三 姉妹 探偵 団 (2) Chapter 12 (2)
「── 妙だ な 」
と 、 国友 が 言った 。
「 大津 和子 ?
「 うん 、 一向に 現われ ない 。
── よし 、 事務 室 へ 行って 、 自宅 の 方 も 訊 いて おこう 」
「 一緒に 行く わ 」
国友 と 夕 里子 は 、 午後 の 講義 が 始まって 、 静かに なった 構内 を 歩いて 行った 。
「 どうして 君 は ここ へ 来た んだ ?
と 、 歩き ながら 、 国友 が 訊 いた 。
「 姉 の こと が 心配で 。
── だって 、 家 へ 電話 して も 出 なかった の ね 。 大学 へ 行った と したら 、 危険 も ある わけでしょう 。 昨日 の 事件 の 後 だ し 」
「 図星 だった わけだ ね 」
「 そう 。
でも 、 お 姉さん に は 、 ピンと 来て ない の よ 、 きっと 」
「 いや 、 しかし 、 面白い 子 だ なあ 、 君 の 姉さん は 」
と 、 国友 は 、 ちょっと 笑って 言った 。
「 今 の 、 水口 恭子 と の 話 だって 、 もし 、 僕 一 人 が 訊問 して たら 、 向 うは 意地 に なって 、 何も 知ら ない 、 と 言い 続けた んじゃ ない か な 。 ところが 、 君 の 姉さん が 言う と 、 それ が とって も 自然で 、 素直だ から 、 みんな 噓 が つけ なく なる んだ 」
「 そういう 所 、 ある わ 」
「 貴重な 人 だ 、 と 思った よ 。
下手に こっち が 策 を めぐらす より 、 綾子 さん の 、 真心 から の 一言 の 方 が 、 ずっと 効果 が ある んだ 」
「 珍しい 人 に は 違いない わ 」
と 、 夕 里子 は 苦笑 し ながら 言った 。
「 しかし ね 」
と 、 国友 は 真顔 に なって 、 続けた 。
「 今 の こと で 分 る 通り 、 綾子 さん は 狙わ れて いる 。 本人 は まさか と 思って いる けれど ね 」
「 危険 ね 」
「 全く だ 。
── 今度 の こと は 幸運だった が 、 これ から は 分 ら ない 」
「 でも 、 お 姉さん は 、 きっと 信じて る わ 。
善良な 人間 は 、 必ず 報われる って ね 」
夕 里子 は 、 ちょっと 目 を 空 の 方 へ 向け 、
「 私 、 もちろん お 姉さん を 守ら なきゃ いけない の は 分 って る けど ……」
「 何 だい ?
「 姉 の 、 あの 子供 の ような 純粋 さ を 、 こわし たく ない の 。
あの まま 、 ずっと 持って いて ほしい の よ 」
と 、 夕 里子 は 言った 。
「 分 る よ 。
── 何となく 分 る 」
と 、 国友 は 肯 いた 。
「 ね 、 姉 を 守って ね 。
もちろん 、 私 も 注意 する けど 」
夕 里子 の 目 は 、 輝いて いた ……。