三 姉妹 探偵 団 4 Chapter 05
みっ|しまい|たんてい|だん|chapter
5 白銀 の 朝
しろがね||あさ
カーテン を 開けた とたん 、 まぶしい 光 が 溢れて 、 夕 里子 は 、 思わず 声 を 上げ そうに なった 。
かーてん||あけた|||ひかり||あふれて|ゆう|さとご||おもわず|こえ||あげ|そう に|
「 珠美 !
たまみ
起き なさい よ !
おき||
と 、 大声 で 呼ぶ 。
|おおごえ||よぶ
「 珠美 ──」
たまみ
振り向いて 、 夕 里子 は 、 珠美 の ベッド が 空 に なって いる の に 気付いた 。
ふりむいて|ゆう|さとご||たまみ||べっど||から||||||きづいた
「 あれ ?
もう 起きた の か 」
|おきた||
珍しい な 、 と 思い つつ 、 やっと 目 が 少し 慣れて 来て 、 もう 一 つ の 、 綾子 の ベッド の 方 に も 目 が 向く と ──。
めずらしい|||おもい|||め||すこし|なれて|きて||ひと|||あやこ||べっど||かた|||め||むく|
「 まさか !
夕 里子 は 目 を 疑った 。
ゆう|さとご||め||うたがった
── 綾子 の ベッド も 空 な のだ 。
あやこ||べっど||から||
こんな こと 、 ある わけ が ない !
何 か あった の かしら ?
なん||||
夕 里子 は 、 ゆうべ の 、 あの 川西 みどり の 「 予言 」 を 思い出した 。
ゆう|さとご|||||かわにし|||よげん||おもいだした
あれ は 、 夕 里子 自身 の こと を 言って いた のだ が ──。
||ゆう|さとご|じしん||||いって|||
国 友 さん ……。
くに|とも|
そう だ わ 、 国 友 さん に 知らせ ない と !
|||くに|とも|||しらせ||
Yes, we must inform Mr. Kunitomo!
綾子 と 珠美 、 二 人 と も 誘拐 さ れた のだろう か ?
あやこ||たまみ|ふた|じん|||ゆうかい||||
Were Ayako and Tamami both kidnapped?
もし そう なら 、 何 人 か で 、 一斉に 襲って 来た の に 違いない 。
|||なん|じん|||いっせいに|おそって|きた|||ちがいない
If so, several people must have attacked us at once.
パジャマ 姿 の まま 、 夕 里子 は 、 廊下 へ と 飛び出した 。
ぱじゃま|すがた|||ゆう|さとご||ろうか|||とびだした
Still in her pajamas, Yuriko ran out into the hallway.
「 おっと !
「 キャッ !
夕 里子 は 、 目の前 に 立って いた 国 友 に 抱きつく ような 格好に なって 、 そのまま 二 人 と も 引っくり返って しまった 。
ゆう|さとご||めのまえ||たって||くに|とも||だきつく||かっこうに|||ふた|じん|||ひっくりかえって|
Yuriko became as if she was hugging Kunitomo who was standing in front of her, and both of them turned over.
「 おい !
どうした ん だ !
「 国 友 さん !
くに|とも|
二 人 と も い ない の !
ふた|じん|||||
They're both gone!
お 姉ちゃん も 珠美 も !
|ねえちゃん||たまみ|
きっと どこ か に 連れて 行か れ ──」
||||つれて|いか|
They're going to take me somewhere...
顔 を 上げる と 、 分厚い セーター 姿 の 、 綾子 と 珠美 が 、 並んで 立って 、 廊下 に 折り重なって いる 国 友 と 夕 里子 を 見て いた 。
かお||あげる||ぶあつい|せーたー|すがた||あやこ||たまみ||ならんで|たって|ろうか||おりかさなって||くに|とも||ゆう|さとご||みて|
「── 何も 廊下 で ラブシーン 、 や ん なく たって いい じゃ ない 」
なにも|ろうか|||||||||
"But... it doesn't have to be a love scene in a hallway."
と 、 珠美 が 言った 。
|たまみ||いった
「 ベッド に 行けば ?
べっど||いけば
"Why don't you go to bed?
「 風邪 引く よ 」
かぜ|ひく|
と 、 綾子 も 、 冷やかす 。
|あやこ||ひやかす
「 あ ── あの ──」
夕 里子 は 、 起き上って 、「 どうして 、 お 姉ちゃん 、 そんなに 早く 起きた の ?
ゆう|さとご||おきあがって|||ねえちゃん||はやく|おきた|
「 早く って …… 夕 里子 、 今 、 午後 の 二 時 よ 」
はやく||ゆう|さとご|いま|ごご||ふた|じ|
Hurry up. ...... Yuriko, it's two o'clock in the afternoon.
夕 里子 は 、 ポカン と して 、
ゆう|さとご||||
Yuriko looked at him blankly,
「 二 時 ……」
ふた|じ
と 、 訊 き 返した 。
|じん||かえした
「 そう 」
珠美 が 肯 いて 、「 早く 食べ ない と 、 朝 も 昼 も 抜き だ よ 」
たまみ||こう||はやく|たべ|||あさ||ひる||ぬき||
Tamami nodded in agreement and said, "If you don't eat quickly, you'll have to skip breakfast and lunch.
と 言った 。
|いった
天然 の 木 の 色 が しっとり と した ムード を 作って いる ダイニングルーム へ 夕 里子 が 入って 行く と 、 石垣 園子 が 、
てんねん||き||いろ|||||むーど||つくって||||ゆう|さとご||はいって|いく||いしがき|そのこ|
「 あら 、 よく 眠れた ?
||ねむれた
と 、 笑い かけた 。
|わらい|
「 ええ ……。
眠り 過ぎちゃ って 」
ねむり|すぎちゃ|
I've been sleeping too much."
と 、 夕 里子 は 頭 を かいた 。
|ゆう|さとご||あたま||
「 すみません 、 こんな 時間 に 」
||じかん|
「 いい の よ 。
ゆうべ 、 あんな 時間 に 着いた んです もの ね 」
||じかん||ついた|||
You must have arrived at such a late hour last night."
でも ……。
大きな 、 木 の テーブル に 一 人 、 ポツンと ついて 、 夕 里子 は 、 いささか の ショック を かみしめて いた 。
おおきな|き||てーぶる||ひと|じん|ぽつんと||ゆう|さとご||||しょっく|||
Sitting alone at a large wooden table, Yuriko was somewhat shocked.
学校 が 休み で 、 気 が 緩んだ の かも しれ ない が 、 それにしても ……。
がっこう||やすみ||き||ゆるんだ||||||
Perhaps the school vacations have made them feel a little more relaxed, but still, ...... is a good place to start.
「── 何 を しょげて る んだ ?
なん||||
What are you looking down on?
国 友 が 入って 来た 。
くに|とも||はいって|きた
「 別に 。
べつに
I don't know.
しょげて なんかいな いわ よ 。
I don't really care.
こんな すてきな 所 で 、 しかも 雪 景色 で 。
||しょ|||ゆき|けしき|
── しょげる こと ない じゃ ない 」
夕 里子 も 、 少し は 強 が って み たかった のである 。
ゆう|さとご||すこし||つよ|||||
Yuriko also wanted to be a little stronger.
「 そう か ?
「 そう よ 」
夕 里子 は 、 国 友 を 見て 、 それ から 、 ちょっと 笑った 。
ゆう|さとご||くに|とも||みて||||わらった
石垣 園子 が 、 朝食 兼 昼食 を 運んで 来て くれる と 、 夕 里子 は 、 最初 、 多少 遠慮 がちに 、 それ から 、 凄い 勢い で 食べ 始めた 。
いしがき|そのこ||ちょうしょく|けん|ちゅうしょく||はこんで|きて|||ゆう|さとご||さいしょ|たしょう|えんりょ||||すごい|いきおい||たべ|はじめた
かなり 、 お腹 も 空いて いる のである 。
|おなか||あいて||
「── 突っ張る こと ない よ 」
つっぱる|||
と 、 国 友 は 、 それ を 見て ニヤニヤ し ながら 言った 。
|くに|とも||||みて||||いった
「 うん ……」
夕 里子 は 、 グーッ と コーヒー を 飲みほして 、
ゆう|さとご||||こーひー||のみほして
「 ああ 、 おいしかった !
「 少し 外 に 出て みたら ?
すこし|がい||でて|
いい 気持 だ よ 」
|きもち||
「 そう ね 。
でも 、 これ 、 片付け ない と 」
||かたづけ||
夕 里子 が 、 皿 を 重ねて ( それほど の 枚数 だった わけで は ない 。
ゆう|さとご||さら||かさねて|||まいすう||||
念のため )、 運んで 行こう と する と 、 園子 が すぐ に 姿 を 見せて 、
ねんのため|はこんで|いこう||||そのこ||||すがた||みせて
「 あら 、 いい んです よ 。
私 の 仕事 です から ね 」
わたくし||しごと|||
と 、 皿 を 受け取る 。
|さら||うけとる
「 でも ──」
「 いい の 。
ゆっくり して ちょうだい 」
その 笑顔 は 、 ちょっと ぐらい なら 、 甘えて も いい か な 、 と 思わ せる 優し さ を 湛えて いた ……。
|えがお|||||あまえて||||||おもわ||やさし|||たたえて|
The smile was filled with a kindness to make me think that it might be amenable if it was a little ... ....
「── まぶしい 」
一面の 雪 景色 の 中 へ 出て 行く と 、 夕 里子 は 、 目 を 細く した 。
いちめんの|ゆき|けしき||なか||でて|いく||ゆう|さとご||め||ほそく|
それ でも 、 少し 目 が 痛い くらい だ 。
||すこし|め||いたい||
But my eyes still hurt a little.
「 ほら 、 サングラス が ある 」
|さんぐらす||
"Look, I have sunglasses."
と 、 国 友 の 貸して くれた の を かけて 、 やっと ホッ と する 。
|くに|とも||かして||||||ほっ||
Finally, I put on a pair of shoes lent to me by a friend of mine in Japan and felt relieved.
青空 は 、 まるで 凍り ついた 海 の 表面 の ように 、 深い 奥 行 を 思わ せる 色 を して いた 。
あおぞら|||こおり||うみ||ひょうめん|||ふかい|おく|ぎょう||おもわ||いろ|||
The blue sky had a color reminiscent of deep depth like the surface of the frozen sea.
雪 は その 光 を 反射 して 、 まるで それ 自体 が 光って いる ようだ 。
ゆき|||ひかり||はんしゃ||||じたい||ひかって||
「── わ っ 」
夕 里子 は 、 雪 の 中 へ 踏み出して 、 ズボッ と 膝 まで 埋 って しまった ので 、 びっくり して 、 声 を 上げた 。
ゆう|さとご||ゆき||なか||ふみだして|||ひざ||うずま||||||こえ||あげた
Yuriko stepped out into the snow and was surprised to find herself knee-deep in the snow.
もちろん 、 この 辺り で は 、 これ ぐらい 、 大した 雪 で は ない のだろう 。
||あたり|||||たいした|ゆき||||
Of course, in this area, it is not much snow this much.
「 久しぶりだ わ 、 こんな 雪 。
ひさしぶりだ|||ゆき
── 踏み つけ られて ない 雪 の 中 を 歩く なんて 」
ふみ||||ゆき||なか||あるく|
Walking in the untrodden snow.
と 、 夕 里子 は 言った 。
|ゆう|さとご||いった
吐く 息 が 白く なる 。
はく|いき||しろく|
空気 は 冷たい けど 、 でも 陽 射 し は 強く 、 暖かかった 。
くうき||つめたい|||よう|い|||つよく|あたたかかった
The air was cold, but the sun was strong and warm.
「 少し のんびり する と いい よ 」
すこし|||||
"It's good to relax a little."
と 、 国 友 は 言った 。
|くに|とも||いった
「 すばらしい 眺め ね 」
|ながめ|
"It's a beautiful view."
と 、 思わず 声 が 大きく なる 。
|おもわず|こえ||おおきく|
今 の 夕 里子 ぐらい の 年齢 の 女の子 たち は 、 あんまり 、 感動 を 素直に 表わさ ない 。
いま||ゆう|さとご|||ねんれい||おんなのこ||||かんどう||すなおに|あらわさ|
The girls of the age of about even Riko this evening do not express obedience obediently.
ワーッ 、 と か 、 キャーッ と か 、 びっくり したり 感心 したり して しまう の は 、 あんまり カッコイイ こと じゃ なく って 、
||||||||かんしん|||||||||||
It's not cool to be surprised or impressed,
「 こんな もん よ 」
"This is what it looks like."
と 、 分 った ような 顔 で 肩 を すくめる 、 と いう の が まともな 反応 だ 、 と さ れて いる 。
|ぶん|||かお||かた||||||||はんのう|||||
It is said that it is a decent reaction to shrug the shoulders with a distinctive face.
でも 、 やっぱり 、 いい もの は いい し 、 きれいな もの は きれいな のだ 。
But, after all, good things are good, and beautiful things are beautiful.
夕 里子 は 、 こんな 所 に 来て まで 、 感情 に 素直に なれ ない 女の子 で は なかった 。
ゆう|さとご|||しょ||きて||かんじょう||すなおに|||おんなのこ|||
Yuriko was not a girl who could not be honest about her feelings until she came to this place.
「 こんな 所 まで 上って 来て た んだ な 」
|しょ||のぼって|きて|||
"I didn't know they came this far up."
と 、 国 友 が 首 を 振って 、「 夜道 で 、 そんな こと 、 全く 気付か なかった 」
|くに|とも||くび||ふって|よみち||||まったく|きづか|
My friend shook his head and said, "I didn't even notice that on the street at night.
この 山荘 は 、 山 の 中腹 に ある 。
|さんそう||やま||ちゅうふく||
This mountain lodge is located halfway up a mountain.
上って 来る 道 は 、 細い し 、 ガード レール も ない が 、 一応 ちゃん と 舗装 さ れ 、 ゆうべ 、 国 友 も 、 それほど 緊張 せ ず に 運転 して 来る こと が できた 。
のぼって|くる|どう||ほそい||がーど|れーる||||いちおう|||ほそう||||くに|とも|||きんちょう||||うんてん||くる|||
The road up is narrow and has no guardrails, but it is well paved and Yuu and Kunitomo were able to drive it without too much tension.
「── ずっと 、 山腹 を 横切って る の が 、 ゆうべ 私 たち の 上って 来た 道 ?
|さんぷく||よこぎって|||||わたくし|||のぼって|きた|どう
"Is that the road that crosses the mountainside all the way up to where we were last night?
「 そう だ よ 。
Yes, that's right.
── そっち の 方 は 崖 に なって る らしい な 」
||かた||がけ|||||
I heard there's a cliff on that side.
「 かなり ある わ よ 」
There's quite a bit.
と 、 夕 里子 は 、 下 を こわごわ 覗き 込んで 、
|ゆう|さとご||した|||のぞき|こんで
「 落ちたら イチコロ ね 」
おちたら||
"If it fell, Ichikoro"
切り立った 、 五十 メートル 近い 絶壁 であった 。
きりたった|ごじゅう|めーとる|ちかい|ぜっぺき|
近づく の を 防止 する 柵 も ロープ も ない 。
ちかづく|||ぼうし||さく||ろーぷ||
危ない なあ 、 と 夕 里子 は 思った 。
あぶない|||ゆう|さとご||おもった
「 あんまり そっち へ 行く と 、 危ない よ !
|||いく||あぶない|
国 友 が 、 夕 里子 の 腕 を 取って 、 引き戻し ながら 、 言った 。
くに|とも||ゆう|さとご||うで||とって|ひきもどし||いった
「 大丈夫 よ 」
だいじょうぶ|
「 雪 が 、 崖 から せり 出して る 。
ゆき||がけ|||だして|
Snow is rising from the cliff.
崩れたら 、 一緒に 下 へ 落ちて しまう ぞ 」
くずれたら|いっしょに|した||おちて||
「 心配 して くれる ?
しんぱい||
"You're worried about me?
「 当り前だ 」
あたりまえだ
"Of course it is."
「 綾子 姉さん じゃ なくて も ?
あやこ|ねえさん|||
「 おい ──」
「 冗談 よ 」
じょうだん|
と 、 夕 里子 は 笑った 。
|ゆう|さとご||わらった
そして 、 大きく 、 思いっ切り 、 冷たく 冴え わたった 空気 を 吸い 込む と 、
|おおきく|おもいっきり|つめたく|さえ||くうき||すい|こむ|
And then, he took in a big, deep, cold, brilliant breath of air,
「 うーん 、 気持 いい !
|きもち|
と 、 大声 を 上げた 。
|おおごえ||あげた
「 僕 も だ 。
ぼく||
── あの 殺伐 と した 都会 から 来た なんて こと を 、 忘れて しまい そうだ よ 」
|さつばつ|||とかい||きた||||わすれて||そう だ|
I almost forgot that I came from that bleak city.
国 友 も 、 まぶし げ に 目 を 細く し ながら 、 遠く に 重なり 合う 山並み を 眺めて いた 。
くに|とも|||||め||ほそく|||とおく||かさなり|あう|やまなみ||ながめて|
Kunitomo also looked at the mountains in the distance with narrowed eyes.
今 は 、 そこ も 白く 化粧 を して いる 。
いま||||しろく|けしょう|||
Now they are wearing white make-up there as well.
「 モンブラン の ケーキ みたい 」
||けーき|
と 、 夕 里子 が 、 素直な 感想 を 述べた 。
|ゆう|さとご||すなおな|かんそう||のべた
「 でも ── 参った なあ 」
|まいった|
But you know what?
「 何 が ?
なん|
「 珠美 は ともかく 、 お 姉さん まで 私 より 早く 起きちゃ う なんて !
たまみ||||ねえさん||わたくし||はやく|おきちゃ||
I can't believe that even your sister woke up earlier than me, let alone Tamami!
立つ 瀬 が ない 」
たつ|せ||
There's nothing to stand on."
「 オーバーだ よ 」
おーばーだ|
「 いえ 、 本当 。
|ほんとう
だって ね ……」
夕 里子 は 、 軽く 目 を 伏せて 、「 ママ が 死んで から 、 私 が いつも ママ の 代り を して た でしょ 。
ゆう|さとご||かるく|め||ふせて|まま||しんで||わたくし|||まま||かわり||||
いつも 時間 通り に 起きて 、 他の 二 人 を 起こして やる 。
|じかん|とおり||おきて|たの|ふた|じん||おこして|
I always get up on time and wake the other two up.
夕 ご飯 も 作った し 、 掃除 、 洗濯 も 、 二 人 に も やら せる けど 、 私 が 、 順番 や 手順 を きちんと 決め ない と 、 二 人 と も ボケッ と して る だけ 。
ゆう|ごはん||つくった||そうじ|せんたく||ふた|じん||||||わたくし||じゅんばん||てじゅん|||きめ|||ふた|じん|||||||
I made dinner, and I let them do the cleaning and laundry, but unless I decide on the order and procedure, they just sit around and do nothing.
── 時々 、 考えた わ 」
ときどき|かんがえた|
Sometimes I think about it.
「 何 を ?
なん|
「 私 が もし 死んだら 、 二 人 で 、 どう する んだろう って 」
わたくし|||しんだら|ふた|じん|||||
"If I die, what will we do together?"
「 おいおい ──」
「 もしも 、 の 話 よ 」
||はなし|
と 、 夕 里子 は 、 ちょっと 照れた ように 笑って 、「 こんな 話 、 私 が する の 、 変 か なあ 」
|ゆう|さとご|||てれた||わらって||はなし|わたくし||||へん||
Yuriko smiled a little embarrassed and said, "Is it strange for me to talk about this?
「 そんな こと は ない さ 」
国 友 は 、 夕 里子 の 肩 を 抱いた 。
くに|とも||ゆう|さとご||かた||いだいた
「 君 は ね 、 何もかも 、 一 人 で 引き受け 過ぎる んだ 」
きみ|||なにもかも|ひと|じん||ひきうけ|すぎる|
You know, you take on too much on your own.
「 そう …… かも ね 」
「 もう 少し 気楽に やれ よ 。
|すこし|きらくに||
君 が い なくて も 、 あの 二 人 は 、 ちゃんと 起きて 来た じゃ ない か 。
きみ||||||ふた|じん|||おきて|きた|||
Even without you, those two got up just fine.
── そうだ ろ ?
そう だ|
「 うん 」
夕 里子 は 肯 いた 。
ゆう|さとご||こう|
分 って る 。
ぶん||
でも ── 正直な ところ 、 夕 里子 は ちょっと 寂しい 気分 に も なって いた 。
|しょうじきな||ゆう|さとご|||さびしい|きぶん||||
私 が い なきゃ 、 何も でき ない んだ から !
わたくし||||なにも||||
Without me, you can't do anything!
そう 文句 は 言い つつ も 、 いつの間にか 、 夕 里子 に とって も 、 その 思い が 、 支え に なって しまった 。
|もんく||いい|||いつのまにか|ゆう|さとご|||||おもい||ささえ|||
Despite saying complaints, unexpectedly, even for Yuriko, that feeling became a support.
いや ね !
夕 里子 は 、 ちょっと 顔 を しかめた 。
ゆう|さとご|||かお||
── まだ 十八 な のに 、 これ じゃ まる きり 「 お 母さん 」 じゃ ない の !
|じゅうはち||||||||かあさん|||
She's only 18, and she's totally "Mom." No, it's not!
「 国 友 さん 」
くに|とも|
夕 里子 は サングラス を 外す と 、「 まぶしい から 、 目 を つぶって る 」
ゆう|さとご||さんぐらす||はずす||||め|||
Yuriko takes off her sunglasses and says, "It's too bright, so I'm keeping my eyes closed.
「── それ で ?
夕 里子 は 、 目 を つぶった まま 、 国 友 の 方 に 、 少し 顔 を 上げた 。
ゆう|さとご||め||||くに|とも||かた||すこし|かお||あげた
── ま 、 これ で 、 キス して ほしい のだ と 分 ら ない ので は 、 男 と して 少々 鈍 すぎる と 言わ れて も 仕方 ある まい 。
|||きす|||||ぶん|||||おとこ|||しょうしょう|どん|||いわ|||しかた||
I am not sure what to make of this, but if you can't tell that I want you to kiss me, then you are being a bit obtuse as a man.
が 、 国 友 は 、 少々 迷った もの の 、 然 る べき 結論 に は 、 無事に 辿りついた 。
|くに|とも||しょうしょう|まよった|||ぜん|||けつろん|||ぶじに|たどりついた
However, although Kunitomo was a little confused, he was able to reach the right conclusion without incident.
夕 里子 は 、 国 友 の 腕 が 、 自分 を 抱き 寄せる の を 感じ 、 国 友 の 胸 に 自分 の 胸 が 押しつけ られる の を 感じた 。
ゆう|さとご||くに|とも||うで||じぶん||いだき|よせる|||かんじ|くに|とも||むね||じぶん||むね||おしつけ||||かんじた
── 心臓 が 高鳴って ── そして 、 国 友 の 熱い 息 が 、 顔 に かかる の を 感じた ……。
しんぞう||たかなって||くに|とも||あつい|いき||かお|||||かんじた
I felt my heart pounding, and then I felt Kunitomo's hot breath on my face. ......
そこ へ ── ボカン !
「 キャッ !
夕 里子 は 悲鳴 を 上げた 。
ゆう|さとご||ひめい||あげた
雪 の 玉 が 、 みごと 、 二 人 の 顔 の 接着 点 (?
ゆき||たま|||ふた|じん||かお||せっちゃく|てん
) に ぶつかった のである 。
「 冷たい !
つめたい
「 誰 だ !
だれ|
国 友 の 方 も 、 口 の 中 に 雪 が 入って しまって 、 ブル ブルッ と 頭 を 振り ながら 、 怒鳴った 。
くに|とも||かた||くち||なか||ゆき||はいって||ぶる|ぶるっ||あたま||ふり||どなった
「── や あ 、 ごめん 」
と 、 男の子 の 声 が した 。
|おとこのこ||こえ||
夕 里子 は 振り向いた 。
ゆう|さとご||ふりむいた
紺 の ジャンパー を 着た 少年 が 、 毛糸 の 手袋 を はめて 、 立って いた 。
こん||じゃんぱー||きた|しょうねん||けいと||てぶくろ|||たって|
「 ぶつける 気 じゃ なかった んだ よ 」
|き||||
"I didn't mean to hit you."
と 、 少年 は 言った 。
|しょうねん||いった
「 本当だ よ 」
ほんとうだ|
可愛い 顔立ち だ 。
かわいい|かおだち|
「 君 ── 秀 哉 君 ?
きみ|しゅう|や|きみ
と 、 夕 里子 は 訊 いた 。
|ゆう|さとご||じん|
「 うん 。
── 三 姉妹 の 真中 の 夕 里子 さん でしょ ?
みっ|しまい||まんなか||ゆう|さとご||
「 知って る の ?
しって||
「 聞いた 。
きいた
── そっち が 国 友 さん だ ね 」
||くに|とも|||
That's your friend, isn't it?
「 やっと 会えた ね 」
|あえた|
"It's so nice to finally meet you."
と 、 国 友 は 肯 いて 見せた 。
|くに|とも||こう||みせた
「 なかなか 会え ない んで 、 どうした の か と 思って いた んだ よ 」
|あえ|||||||おもって|||
"I could not meet them easily, so I thought what was going on."
「 色々 、 忙しい んだ よ 」
いろいろ|いそがしい||
I'm busy with a lot of things."
いやに 大人びた 口 の きき 方 を する 子 だった 。
|おとなびた|くち|||かた|||こ|
She was a child who had a very mature way of speaking.
何だか 、 冷めて いる 、 と いう 印象 。
なんだか|さめて||||いんしょう
I got the impression that he was somewhat cold.
「── 秀 哉 」
しゅう|や
と 、 園子 が 、 雪 の 中 を やって 来た 。
|そのこ||ゆき||なか|||きた
「 ママ 」
まま
「 どこ に いた の ?
Where were you?
せっかく 家庭 教師 の 先生 が いら した のに 」
|かてい|きょうし||せんせい||||
And yet you have a tutor here."
と 、 園子 は 、 苦労 して 歩いて 来る 。
|そのこ||くろう||あるいて|くる
Sonoko walks over with great difficulty.
「── ワァ 、 凄 え 雪 !
|すご||ゆき
"Wow, it's snowing like crazy!
珠美 の 声 だ 。
たまみ||こえ|
夕 里子 は 、 少々 恥ずかしく なって 、 サングラス を かけ 直した 。
ゆう|さとご||しょうしょう|はずかしく||さんぐらす|||なおした
「 待って よ 。
まって|
── 歩け ない よ 」
あるけ||
I can't walk.
と 、 心細い 声 を 出して いる の は 、 もちろん 綾子 である 。
|こころぼそい|こえ||だして|||||あやこ|
「 お 姉ちゃん 。
|ねえちゃん
── 大丈夫 ?
だいじょうぶ
と 、 夕 里子 が 雪 を はね飛ばし ながら 駆けて 行く 。
|ゆう|さとご||ゆき||はねとばし||かけて|いく
「 うん 。
── ああ 、 くたびれた !
Oh, I'm tired of it!
綾子 は 、 ハアハア 息 を 切らして いる 。
あやこ||はあはあ|いき||きらして|
「 まぶしくて 何も 見え ない !
|なにも|みえ|
「 文句 、 多い の 」
もんく|おおい|
夕 里子 は 、 サングラス を 、 綾子 に かけて やった 。
ゆう|さとご||さんぐらす||あやこ|||
「 残って 待って ろ 、 って 言った じゃ ない 」
のこって|まって|||いった||
と 、 珠美 は 、 雪 を すくって 、 雪 玉 を 作ったり して いる 。
|たまみ||ゆき|||ゆき|たま||つくったり||
「 だって ── こんなに 凄い なんて 、 思わ なかった んだ もん 」
||すごい||おもわ|||
Because I never thought it would be this great.
と 、 綾子 は 、 深呼吸 して 、「 でも 、 気持 いい わ ね !
|あやこ||しんこきゅう|||きもち|||
園子 が 、 秀 哉 を 連れて 、 戻って きた 。
そのこ||しゅう|や||つれて|もどって|
「 お 待た せ して 。
|また||
Sorry to keep you waiting.
── これ が 秀 哉 です 」
||しゅう|や|
珠美 が 、 気軽に 、
たまみ||きがるに
Tamami is at ease,
「 オス 」
おす
と 言って 、 ポン と 雪 の 玉 を 秀 哉 の 方 へ 投げた 。
|いって|||ゆき||たま||しゅう|や||かた||なげた
秀 哉 は 、 片手 で 器用に 受け止めた 。
しゅう|や||かたて||きように|うけとめた
「── あら 」
と 言った の は 、 綾子 である 。
|いった|||あやこ|
「 あなた は ……」
「 また 会う よ 、 って 言った だ ろ 」
|あう|||いった||
"You said you'd see me again."
秀 哉 が 、 微笑んだ 。
しゅう|や||ほおえんだ
「 秀 哉 、 この 先生 に 会った こと ある の ?
しゅう|や||せんせい||あった|||
と 、 園子 が 不思議 そうな 顔 で 訊 く 。
|そのこ||ふしぎ|そう な|かお||じん|
「 そんな 気 が する だけ かも ね 」
|き|||||
"Maybe it just feels that way."
と 言って 、 秀 哉 は 、 さっさと 山荘 の 方 へ 歩いて 行った 。
|いって|しゅう|や|||さんそう||かた||あるいて|おこなった
「 秀 哉 !
しゅう|や
ちゃんと ご 挨拶 ぐらい し なくちゃ ──」
||あいさつ|||
と 、 園子 が 追い かけて 行く 。
|そのこ||おい||いく
後 に 残った 夕 里子 たち 、 何となく 妙な 気分 で 、 それ を 見送って いた が ……。
あと||のこった|ゆう|さとご||なんとなく|みょうな|きぶん||||みおくって||
The remaining Yuriko and her friends were looking away with a somewhat strange feeling. ......
「 お 姉ちゃん 、 知って る の 、 あの 子 ?
|ねえちゃん|しって||||こ
と 、 夕 里子 が 訊 いた 。
|ゆう|さとご||じん|
「 うん 。
── あの 子 よ 。
|こ|
オレンジ色 の タクシー に 乗る な 、 って 言った の 」
おれんじいろ||たくしー||のる|||いった|
「 ええ ?
夕 里子 は 、 目 を 丸く した 。
ゆう|さとご||め||まるく|
「 何 だい 、 それ は ?
なん|||
"What is it?
訳 の 分 ら ない 国 友 に 、 夕 里子 は 、 命拾い した いきさつ を 話して やった 。
やく||ぶん|||くに|とも||ゆう|さとご||いのちびろい||||はなして|
Yuriko told her friend how she had saved her life.
「── へえ 、 超 能力 か 。
|ちょう|のうりょく|
そんな 顔 して る よ 、 あの 子 」
|かお|||||こ
He's got that look on his face.
と 、 国 友 は 言った 。
|くに|とも||いった
「 うん 。
ただ ね 、 私 が 気 に なって いる の は 、 別の こと な の 」
||わたくし||き||||||べつの|||
「 と いう と ?
夕 里子 は 、 目 を 細め 、 手 を かざして 、 しばらく 雪 の 上 を 眺めて いた 。
ゆう|さとご||め||ほそめ|て||||ゆき||うえ||ながめて|
「── じゃ 、 行こう 」
|いこう
と 、 綾子 が 歩き 出す 。
|あやこ||あるき|だす
「 こちら は 家庭 教師 な んだ から 。
||かてい|きょうし|||
仕事 を し なくちゃ 」
しごと|||
I have work to do."
「 そう だ !
さっき 、 クッキー 焼く 匂い が して た 。
|くっきー|やく|におい|||
食べよ っと 」
たべよ|
珠美 が 、 身軽に 走って 行く 。
たまみ||みがるに|はしって|いく
「── 行こう か 」
いこう|
「 ええ 」
夕 里子 は 、 山荘 の 方 へ と 歩き ながら 、「 どうして 、 昨日 、 あの 子 は 東京 に いた の かしら ?
ゆう|さとご||さんそう||かた|||あるき|||きのう||こ||とうきょう||||
と 言った 。
|いった
「 え ?
「 う うん 、 何でもない 」
||なんでもない
"Uh-uh, nothing."
夕 里子 は 首 を 振った 。
ゆう|さとご||くび||ふった
そう 。
あの 子 が 東京 に いて も 、 それ は 別に 構わ ない が 、 しかし 、 園子 は 、 一言 も そんな こと は 言って い ない 。
|こ||とうきょう||||||べつに|かまわ||||そのこ||いちげん|||||いって||
I don't mind her being in Tokyo, but Sonoko has never said a word about it.
と する と 、 秀 哉 は 、 父親 の 方 と 一緒だった のだろう か ?
|||しゅう|や||ちちおや||かた||いっしょだった||
「── ねえ 、 国 友 さん 」
|くに|とも|
「 何 だい ?
なん|
「 ここ の ご 主人 に 会った ?
|||あるじ||あった
「 いや 、 まだ だ 」
"No, not yet."
と 、 首 を 振って 、「 何だか 、 昼間 は 寝て る こと が 多い ん だって さ 。
|くび||ふって|なんだか|ひるま||ねて||||おおい|||
He shook his head and said, "Well, he often sleeps during the day.
何やら 研究 して る らしい 」
なにやら|けんきゅう|||
They're doing some kind of research."
「 へえ 。
── 学者 ?
がくしゃ
「 詳しく は 知ら ない けど 、 あの 奥さん の 話 じゃ 、 そんな こと だった よ 」
くわしく||しら||||おくさん||はなし|||||
「 そう 」
夕 里子 は 、 それ きり 、 何も 言わ なかった 。
ゆう|さとご||||なにも|いわ|
もう 一 つ 、 気 に なって いる こと が あった のだ 。
|ひと||き|||||||
There was one more thing on my mind.
でも ── それ は 、 何だか 、 あまりに 馬鹿らしい こと で ……。
|||なんだか||ばからしい||
夕 里子 たち が 歩いて いる の は 、 山荘 の 裏手 である 。
ゆう|さとご|||あるいて||||さんそう||うらて|
玄関 は この ちょうど 反対 側 。
げんかん||||はんたい|がわ
The entrance is just on the opposite side.
裏庭 の ように なった この 場所 は 、 今 、 雪 に 埋もれて 、 白 一色 だった 。
うらにわ|||||ばしょ||いま|ゆき||うずもれて|しろ|いっしょく|
This place, which had become like a backyard, was now buried in snow and was all white.
そこ に 、 夕 里子 たち の 足跡 が ……。
||ゆう|さとご|||あしあと|
建物 へ 入る ところ で 、 夕 里子 が 、 ふと 振り返った 。
たてもの||はいる|||ゆう|さとご|||ふりかえった
As we were entering the building, Yuriko suddenly turned around.
「── どうした ん だ ?
と 、 国 友 が 訊 く 。
|くに|とも||じん|
「 う うん 。
別に ──」
べつに
上り口 で 、 みんな 長靴 を 脱いで 、 スリッパ に はき かえて いる 。
あがりぐち|||ながぐつ||ぬいで|すりっぱ||||
あの 少年 ── 秀 哉 の 靴 も 、 もちろん あった 。
|しょうねん|しゅう|や||くつ|||
夕 里子 は 、 国 友 が 上って 行った 後 、 一 人 で か が み込む と 、 秀 哉 の 長靴 を 手 に 取り 、 底 の 模様 を 見た 。
ゆう|さとご||くに|とも||のぼって|おこなった|あと|ひと|じん||||みこむ||しゅう|や||ながぐつ||て||とり|そこ||もよう||みた
そして 、 少し 雪 の 方 へ 戻って みる 。
|すこし|ゆき||かた||もどって|
Then, let's go back towards the snow.
「── やっぱり 」
と 、 夕 里子 は 呟いた 。
|ゆう|さとご||つぶやいた
当然の こと だ が 、 夕 里子 たち 、 みんな 、 足跡 が 、 出て 行った とき と 戻った とき 、 二 通り 、 雪 の 上 に 残って いる 。
とうぜんの||||ゆう|さとご|||あしあと||でて|おこなった|||もどった||ふた|とおり|ゆき||うえ||のこって|
Naturally, Yuriko and the others left their footprints on the snow, either when they left or when they returned.
ただ ── 秀 哉 の もの は 、 戻った 足跡 しか ない のだ 。
|しゅう|や||||もどった|あしあと|||
The only thing that belongs to Hideya is the footprints of his return.
ここ から 出て 行った 跡 が 、 どこ に も ない 。
||でて|おこなった|あと|||||
There is no sign of their departure from here.
どういう こと だろう ?
いや 、 大した こと じゃ ない の かも ……。
|たいした|||||
No, it may not be a big deal. ......
どこ か 、 建物 の わき を 回って 出る 道 が ある の かも しれ ない 。
||たてもの||||まわって|でる|どう||||||
ただ ── 何となく 、 夕 里子 に は 気 に なった のだった 。
|なんとなく|ゆう|さとご|||き|||
「── お 姉ちゃん 、 何 して ん の !
|ねえちゃん|なん|||
珠美 の 声 に 、 夕 里子 は 、
たまみ||こえ||ゆう|さとご|
「 今 行 くわ よ !
いま|ぎょう||
と 返事 を して 、 急いで 長靴 を 脱いだ 。
|へんじ|||いそいで|ながぐつ||ぬいだ