白いおうぎと黒いおうぎ しろい おうぎ と くろい おうぎ

白い おうぎ と 黒い おうぎ しろい|||くろい|

むかし むかし 、 ある ところ に 、 二 人 の 姉妹 が い ました 。 |||||ふた|じん||しまい||| お 姉さん の 方 は 色白で きれいな 顔 を して いる のに 、 妹 の 方 は 色 黒 で ちっとも きれいで は あり ませ ん 。 |ねえさん||かた||いろじろで||かお|||||いもうと||かた||いろ|くろ||||||| だから お 母さん は 、 色白で きれいな 顔 の お 姉さん ばかり を 可愛がって い ました 。 ||かあさん||いろじろで||かお|||ねえさん|||かわいがって||

ある 日 の 事 、 二 人 が 一緒に 道 を 歩いて いる と 、 向こう から 馬 に 乗った 男 の 人 が やって 来て 尋ね ました 。 |ひ||こと|ふた|じん||いっしょに|どう||あるいて|||むこう||うま||のった|おとこ||じん|||きて|たずね| 「 この 村 の お 宮 へ 行き たい のです が 、 どっち へ 行けば いい のでしょう か ？ |むら|||みや||いき||||||いけば||| 」 　 この 男 の 人 は ひげ だらけ の 顔 を して いて 、 汚れた 着物 を 着て い ました 。 |おとこ||じん|||||かお||||けがれた|きもの||きて|| ( なんて 汚い んでしょう 。 |きたない| こんな 人 と は 、 口 を きく の も いやだ わ ) 　 そう 思った お 姉さん は 、 聞こえ ない ふり を し ました 。 |じん|||くち||||||||おもった||ねえさん||きこえ||||| でも 、 親切な 妹 は 、 「 それでは 、 わたし が 案内 して あげ ましょう 」 と 、 村 は ずれ に ある お 宮 さん まで 、 男 の 人 を 連れて 行って あげた のです 。 |しんせつな|いもうと|||||あんない|||||むら||||||みや|||おとこ||じん||つれて|おこなって|| 二 人 が お 宮 の 前 まで 来る と 、 男 の 人 は ふところ から 白い おうぎ を 出して 言い ました 。 ふた|じん|||みや||ぜん||くる||おとこ||じん||||しろい|||だして|いい| 「 わたし は 人間 の 姿 を して いる が 、 本当 は 山 の 神 じゃ 。 ||にんげん||すがた|||||ほんとう||やま||かみ| お前 は まことに 親切な 娘 。 おまえ|||しんせつな|むすめ お 礼 に この おうぎ で あおいで やろう 」 　 山 の 神さま が 、 白い おうぎ で 娘 を あおぐ と どう でしょう 。 |れい|||||||やま||かみさま||しろい|||むすめ||||| 色 黒 だった 娘 の 顔 が 、 みるみる 色白で きれいに なった のです 。 いろ|くろ||むすめ||かお|||いろじろで||| 「 よい 顔 じゃ 。 |かお| お前 の うつくしい 心 に は 、 その 顔 が 似合って おる 。 おまえ|||こころ||||かお||にあって| ・・・ それにしても 、 お前 の 姉さん は ひどい 娘 じゃ 。 |おまえ||ねえさん|||むすめ| わし の 汚い かっこう を 見て 、 口 を きこう と も し なかった 。 ||きたない|||みて|くち|||||| いくら 色白で きれいな 顔 を して おって も 、 心 は まっ 黒 だ な 」 　 そう 言って 、 山 の 神さま は お 宮 の 中 へ 消えて 行き ました 。 |いろじろで||かお|||||こころ|||くろ||||いって|やま||かみさま|||みや||なか||きえて|いき|

さて 、 妹 が 戻って くる と 、 お 姉さん は 目 を 丸く して 驚き ました 。 |いもうと||もどって||||ねえさん||め||まるく||おどろき| 色 が 黒くて みっともない 顔 の 妹 が 、 見ちがえる ほど きれいに なって いた のです 。 いろ||くろくて||かお||いもうと||みちがえる||||| 「 どうして 、 そんなに きれいに なった の ？ 」 　 美し さ で 負けた お 姉さん は 、 くやしくて たまり ませ ん 。 うつくし|||まけた||ねえさん||||| そこ で 妹 から わけ を 聞き 出す と 、 すぐ に お 宮 さん へ 飛んで 行き ました 。 ||いもうと||||きき|だす|||||みや|||とんで|いき| 「 山 の 神さま 、 お 願い です 。 やま||かみさま||ねがい| どうか わたし も 、 おうぎ で あおいで ください 」 　 すると お 宮 の 中 から 、 山 の 神さま が 出て きて 言い ました 。 |||||||||みや||なか||やま||かみさま||でて||いい| 「 そんなに あおいで ほしけりゃ 、 のぞみ 通り に あおいで やろう 」 　 山 の 神さま は ふところ から 黒い おうぎ を 取り出す と 、 お 姉さん の 顔 を あおぎ ました 。 ||||とおり||||やま||かみさま||||くろい|||とりだす|||ねえさん||かお||| する と 色白で 美しかった お 姉さん の 顔 は みるみる 黒く なり 、 とても ひどい 顔 に なった のです 。 ||いろじろで|うつくしかった||ねえさん||かお|||くろく||||かお||| でも 、 それ を 知ら ない お 姉さん は 、 大喜びで 妹 の ところ へ もどって き ました 。 |||しら|||ねえさん||おおよろこびで|いもうと|||||| 「 どう 、 わたし 、 すごく きれいに なった でしょう ？ 」 「・・・・・・」 　 妹 は 何も 言え なくて 、 首 を 横 に ふり ました 。 いもうと||なにも|いえ||くび||よこ||| 「 えっ ？ 」 　 お 姉さん は あわてて 近く に ある 池 に 行く と 、 水面 に 自分 の 顔 を うつして み ました 。 |ねえさん|||ちかく|||いけ||いく||すいめん||じぶん||かお|||| すると そこ に うつって いる の は 、 色 黒 の みにくい 顔 だった のです 。 |||||||いろ|くろ|||かお|| 「 どう しよう 、 どう しよう 」 　 お 姉さん は すぐ に お 宮 へ 行って 、 元 の 顔 に もどして くれる ように 頼み ました 。 |||||ねえさん|||||みや||おこなって|もと||かお|||||たのみ| でも どこ へ 消えた の か 、 山 の 神さま は 二度と 姿 を 現し ませ ん でした 。 |||きえた|||やま||かみさま||にどと|すがた||あらわし|||

さて 、 妹 は それ から も ますます きれいに なって 、 その 国 の お 殿さま の 奥 方 に なり 、 いつまでも 幸せに 暮らし ました 。 |いもうと|||||||||くに|||とのさま||おく|かた||||しあわせに|くらし| しかし お 姉さん の 方 は 、 一生 、 色 黒 で みにくい 顔 だった そうです 。 ||ねえさん||かた||いっしょう|いろ|くろ|||かお||そう です

おしまい