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Fairy Tales, 売り声

売り 声

売り 声

むかし むかし 、 きっ ちょ むさん と 言う 、 とても ゆかいな 人 が い ました 。

ある 日 の 事 、 きっ ちょ むさん が 打ち 綿 ( うち わた ) を 持って 、 臼杵 ( うすき ) の 町 へ 売り に 行った のです が 、 久しぶりに 町 へ 来た ので 、 どの 道順 で 売り 歩いたら いい の か 分かり ませ ん 。 すると そこ へ 、 一 人 の ツボ 売り が やって 来て 、 「 ええ 、 ツボ は いら ん かな ー 、 ツボ は いら ん かな ー 」 と 、 大声 で 売り 歩いた のです 。 「 よし よし 、 あの ツボ 売り の 後ろ から ついて 行けば 、 うまい 具合 に 町 を 一巡り 出来る だろう 」 そこ でき っ ちょ むさん は 、 ツボ 売り の 後ろ を ついて 歩き ました 。 そして ツボ 売り が 、 大きな 声 で 、 「 ツボ は いら ん かな ー 」 と 、 言う と 、 きっ ちょ むさん も その後 から 、 「 ええ 、 打ち 綿 ー 」 と 、 売り 歩いた のです 。 「 ツボ は いら ん かな ー 」 「 打ち 綿 ―」 「 ツボ は いら ん かな ー 」 さて 、 これ を 聞いた 町 の 人 は 、 くすくす と 笑い 出し ました 。 なぜなら 、 二 人 の 売り 声 を 続いて 聞いて いる と 、 「 打ち 割った 、 ツボ は いら ん かな ー 」 と 、 聞こえる から です 。 これ で は 、 ツボ が 売れる はず が あり ませ ん 。 それ に 気づいた ツボ 売り は 、 きっ ちょ むさん に お 金 を 渡して 、 帰って もらう 事 に した のです 。

それ から 数 日 後 、 きっ ちょ むさん は メガネ を 仕入れる と 、 また 町 へ 売り に 行き ました 。 そして その 時 、 種 売り が 種 を 売り 歩いて いる の に 出会った ので 、 今度 は 、 この 種 売り の 後 を ついて メガネ を 売り 歩く 事 に した のです 。 種 売り が 、 「 種 は いら ん かな ー 」 と 、 言う と 、 きっ ちょ むさん は 、 「 めがね ―」 と 、 売り 声 を あげ ます 。 「 種 は いら ん かな ー 」 「 めがね ―」 「 種 は いら ん かな ー 」 これ を 聞いた 町 の 人 は 、 また くすくす と 笑い 出し ました 。 なぜなら 、 二 人 の 売り 声 を 続いて 聞いて いる と 、 「 芽 が ねえ ( 無い )、 種 は いら ん かな ー 」 と 、 聞こえる から です 。 これ で は 、 種 が 売れる はず が あり ませ ん 。 そこ で 種 売り も また 、 きっ ちょ むさん に お 金 を 渡して 、 帰って もらった のです 。

さて それ から 数 日 後 、 きっ ちょ むさん は ふるい を 仕入れる と 、 また 町 へ 売り に 行き ました 。 そして その 時 は 魚 屋 を 見つけて 、 魚 屋 の 後 に ついて 売り 歩いた のです 。 まず 魚 屋 が 、 「 魚 、 魚 は いら ん かな ー 」 と 、 言う と 、 きっ ちょ むさん が あと から 、 「 ふるい ー 、 ふるい ー 」 と 、 続ける のです 。 「 魚 は いら ん かな ー 」 「 ふるい ー 」 「 魚 は いら ん かな ー 」 これ を 聞いた 町 の 人 は 、 またまた くすくす と 笑い 出し ました 。 なぜなら 、 二 人 の 売り 声 を 続いて 聞いて いる と 、 「 古い 魚 は 、 いら ん かな ー 」 と 、 聞こえる から です 。 これ で は 、 魚 が 売れる はず が あり ませ ん 。 そこ で 魚 屋 も また 、 きっ ちょ むさん に お 金 を 渡して 、 帰って もらった のです 。

でも 、 もしかすると きっ ちょ むさん 、 わざと やって いる の かも しれ ませ ん ね 。

おしまい


売り 声 うり|こえ hawker's or vendor's cry

売り 声 うり|こえ

むかし むかし 、 きっ ちょ むさん と 言う 、 とても ゆかいな 人 が い ました 。 ||||||いう|||じん|||

ある 日 の 事 、 きっ ちょ むさん が 打ち 綿 ( うち わた ) を 持って 、 臼杵 ( うすき ) の 町 へ 売り に 行った のです が 、 久しぶりに 町 へ 来た ので 、 どの 道順 で 売り 歩いたら いい の か 分かり ませ ん 。 |ひ||こと|||||うち|めん||||もって|うすき|||まち||うり||おこなった|||ひさしぶりに|まち||きた|||みちじゅん||うり|あるいたら||||わかり|| すると そこ へ 、 一 人 の ツボ 売り が やって 来て 、 「 ええ 、 ツボ は いら ん かな ー 、 ツボ は いら ん かな ー 」 と 、 大声 で 売り 歩いた のです 。 |||ひと|じん||つぼ|うり|||きて||つぼ|||||-|つぼ|||||-||おおごえ||うり|あるいた| 「 よし よし 、 あの ツボ 売り の 後ろ から ついて 行けば 、 うまい 具合 に 町 を 一巡り 出来る だろう 」   そこ でき っ ちょ むさん は 、 ツボ 売り の 後ろ を ついて 歩き ました 。 |||つぼ|うり||うしろ|||いけば||ぐあい||まち||ひとめぐり|できる||||||||つぼ|うり||うしろ|||あるき| そして ツボ 売り が 、 大きな 声 で 、 「 ツボ は いら ん かな ー 」 と 、 言う と 、 きっ ちょ むさん も その後 から 、 「 ええ 、 打ち 綿 ー 」 と 、 売り 歩いた のです 。 |つぼ|うり||おおきな|こえ||つぼ|||||-||いう||||||そのご|||うち|めん|-||うり|あるいた| 「 ツボ は いら ん かな ー 」 「 打ち 綿 ―」 「 ツボ は いら ん かな ー 」   さて 、 これ を 聞いた 町 の 人 は 、 くすくす と 笑い 出し ました 。 つぼ|||||-|うち|めん|つぼ|||||-||||きいた|まち||じん||||わらい|だし| なぜなら 、 二 人 の 売り 声 を 続いて 聞いて いる と 、 「 打ち 割った 、 ツボ は いら ん かな ー 」 と 、 聞こえる から です 。 |ふた|じん||うり|こえ||つづいて|きいて|||うち|わった|つぼ|||||-||きこえる|| これ で は 、 ツボ が 売れる はず が あり ませ ん 。 |||つぼ||うれる||||| それ に 気づいた ツボ 売り は 、 きっ ちょ むさん に お 金 を 渡して 、 帰って もらう 事 に した のです 。 ||きづいた|つぼ|うり|||||||きむ||わたして|かえって||こと|||

それ から 数 日 後 、 きっ ちょ むさん は メガネ を 仕入れる と 、 また 町 へ 売り に 行き ました 。 ||すう|ひ|あと|||||めがね||しいれる|||まち||うり||いき| そして その 時 、 種 売り が 種 を 売り 歩いて いる の に 出会った ので 、 今度 は 、 この 種 売り の 後 を ついて メガネ を 売り 歩く 事 に した のです 。 ||じ|しゅ|うり||しゅ||うり|あるいて||||であった||こんど|||しゅ|うり||あと|||めがね||うり|あるく|こと||| 種 売り が 、 「 種 は いら ん かな ー 」 と 、 言う と 、 きっ ちょ むさん は 、 「 めがね ―」 と 、 売り 声 を あげ ます 。 しゅ|うり||しゅ|||||-||いう||||||||うり|こえ||| 「 種 は いら ん かな ー 」 「 めがね ―」 「 種 は いら ん かな ー 」   これ を 聞いた 町 の 人 は 、 また くすくす と 笑い 出し ました 。 しゅ|||||-||しゅ|||||-|||きいた|まち||じん|||||わらい|だし| なぜなら 、 二 人 の 売り 声 を 続いて 聞いて いる と 、 「 芽 が ねえ ( 無い )、 種 は いら ん かな ー 」 と 、 聞こえる から です 。 |ふた|じん||うり|こえ||つづいて|きいて|||め|||ない|しゅ|||||-||きこえる|| これ で は 、 種 が 売れる はず が あり ませ ん 。 |||しゅ||うれる||||| そこ で 種 売り も また 、 きっ ちょ むさん に お 金 を 渡して 、 帰って もらった のです 。 ||しゅ|うり||||||||きむ||わたして|かえって||

さて それ から 数 日 後 、 きっ ちょ むさん は ふるい を 仕入れる と 、 また 町 へ 売り に 行き ました 。 |||すう|ひ|あと|||||||しいれる|||まち||うり||いき| そして その 時 は 魚 屋 を 見つけて 、 魚 屋 の 後 に ついて 売り 歩いた のです 。 ||じ||ぎょ|や||みつけて|ぎょ|や||あと|||うり|あるいた| まず 魚 屋 が 、 「 魚 、 魚 は いら ん かな ー 」 と 、 言う と 、 きっ ちょ むさん が あと から 、 「 ふるい ー 、 ふるい ー 」 と 、 続ける のです 。 |ぎょ|や||ぎょ|ぎょ|||||-||いう|||||||||-||-||つづける| 「 魚 は いら ん かな ー 」 「 ふるい ー 」 「 魚 は いら ん かな ー 」   これ を 聞いた 町 の 人 は 、 またまた くすくす と 笑い 出し ました 。 ぎょ|||||-||-|ぎょ|||||-|||きいた|まち||じん|||||わらい|だし| なぜなら 、 二 人 の 売り 声 を 続いて 聞いて いる と 、 「 古い 魚 は 、 いら ん かな ー 」 と 、 聞こえる から です 。 |ふた|じん||うり|こえ||つづいて|きいて|||ふるい|ぎょ|||||-||きこえる|| これ で は 、 魚 が 売れる はず が あり ませ ん 。 |||ぎょ||うれる||||| そこ で 魚 屋 も また 、 きっ ちょ むさん に お 金 を 渡して 、 帰って もらった のです 。 ||ぎょ|や||||||||きむ||わたして|かえって||

でも 、 もしかすると きっ ちょ むさん 、 わざと やって いる の かも しれ ませ ん ね 。

おしまい