蛸薬師 (たこ やくし) たこやくし||

蛸 薬師 ( たこ やくし ) たこ|くすり し||

むかし むかし 、 とても 親孝行な 、 善 光 ( ぜんこう ) と 言う お 坊さん が い ました 。 |||おやこうこうな|ぜん|ひかり|||いう||ぼうさん||| 善 光 は 京 の 町 に ある 小さな お 寺 で 年老いた 母親 と 二 人きり で 暮らして い ました が 、 その 母子 の 仲 の 良 さ と いったら 町 中 で 評判 に なるほど でした 。 ぜん|ひかり||けい||まち|||ちいさな||てら||としおいた|ははおや||ふた|ひときり||くらして|||||ぼし||なか||よ||||まち|なか||ひょうばん||| でも 不幸な 事 に 、 善 光 の 母親 が 突然に 重い 病 に かかって しまい 、 必死の 看病 に も かかわら ず 日に日に 病状 が 悪化 して いく ばかりでした 。 |ふこうな|こと||ぜん|ひかり||ははおや||とつぜんに|おもい|びょう||||ひっしの|かんびょう|||||ひにひに|びょうじょう||あっか||| 医者 も 手 の ほどこし よう が なく 、 とうとう 善 光 の 母親 は 死 を 待つ だけ に なり ました 。 いしゃ||て|||||||ぜん|ひかり||ははおや||し||まつ|||| それ でも 善 光 は 大好きな 母親 の ため に 出来る 事 を 一心に 考え 、 この世 の 名残り に 母親 の 食べ たい 物 を 食べ させて やり たい と 思い ました 。 ||ぜん|ひかり||だいすきな|ははおや||||できる|こと||いっしんに|かんがえ|このよ||なごり||ははおや||たべ||ぶつ||たべ|さ せて||||おもい| そして 母親 の 具合 い が 良い 時 に 尋ねる と 、 母親 は 消え 入り そうな 声 で 、 「 蛸 ( たこ ) が 食べ たい 」 と 、 言う のです 。 |ははおや||ぐあい|||よい|じ||たずねる||ははおや||きえ|はいり|そう な|こえ||たこ|||たべ|||いう| 「 蛸 、 です か ・・・」 　 むかし の お 寺 で は 、 肉 と か 魚 を 食べて は いけない 決まり に なって い ました 。 たこ||||||てら|||にく|||ぎょ||たべて|||きまり|||| それ でも 善 光 は ためらう こと なく 、 母親 に 食べ させる 蛸 を 求めて 出かけ ました 。 ||ぜん|ひかり|||||ははおや||たべ|さ せる|たこ||もとめて|でかけ| そして やっと の 思い で 蛸 を 手 に 入れた のです が 、 寺 の 門前 まで 帰り着いた 時 、 善 光 は 運 悪く 寺 の 人間 に 出会って しまった のです 。 |||おもい||たこ||て||いれた|||てら||もんぜん||かえりついた|じ|ぜん|ひかり||うん|わるく|てら||にんげん||であって|| 「 おい 善 光 。 |ぜん|ひかり お前 さっき 、 漁師 と なにやら 話して いた が 、 その 手 に 持って いる 包み の 中身 は 何 だ ？ おまえ||りょうし|||はなして||||て||もって||つつみ||なかみ||なん| 」 ( しまった ！ 見つかって しまった ！ みつかって| ) 　 善 光 は 、 その 場 から 逃げ 出そう と 思い ました が 、 ( いやいや 、 仏 に つかえる 者 が 、 ここ で 逃げて は いけない ) と 、 善 光 は 手 に 持った 包み を 開いて 、 中 に 入って いる 蛸 を 見せ ました 。 ぜん|ひかり|||じょう||にげ|だそう||おもい||||ふつ|||もの||||にげて||||ぜん|ひかり||て||もった|つつみ||あいて|なか||はいって||たこ||みせ| すると それ を 見た 、 寺 の 人間 は 、 「 何 だ 、 ただ の 経 本 ( きょうほん ) か 」 と 、 言って 、 その 場 を 立ち去った のです 。 |||みた|てら||にんげん||なん||||へ|ほん||||いって||じょう||たちさった| ( 経 本 ？ へ|ほん ) 　 不思議に 思った 善 光 は 、 包み の 中 に ある 物 を 見て びっくり 。 ふしぎに|おもった|ぜん|ひかり||つつみ||なか|||ぶつ||みて| なんと 蛸 が 、 立派な 経 本 に 姿 を 変えて いた のです 。 |たこ||りっぱな|へ|ほん||すがた||かえて|| そして 寺 の 人間 が 立ち去る と 、 経 本 は 再び 蛸 に 姿 を 戻り ました 。 |てら||にんげん||たちさる||へ|ほん||ふたたび|たこ||すがた||もどり| こうして 無事に 蛸 を 口 に する こと が 出来た 母親 は 、 どんどん 元気 を 取り戻した のです 。 |ぶじに|たこ||くち|||||できた|ははおや|||げんき||とりもどした| この 事 に 善 光 は とても 感謝 して 、 寺 の 名前 を 蛸 薬師 ( たこ やくし ) と 呼ぶ こと に した そうです 。 |こと||ぜん|ひかり|||かんしゃ||てら||なまえ||たこ|くすり し||||よぶ||||そう です

おしまい