江戸小話, 急病

急病 きゅうびょう

伊勢屋 ( いせ や → 節約 家 で 有名な 、 江戸 の 大 商人 ) の 小僧 さん が 、 夜 遅く に 医者 の 家 の 戸 を 叩き ました 。 いせや|||せつやく|いえ||ゆうめいな|えど||だい|しょうにん||こぞう|||よ|おそく||いしゃ||いえ||と||たたき| 「 先生 ！ せんせい 先生 ！ せんせい 伊勢屋 の 奥さま が 、 急に 倒れ ました ！ いせや||おくさま||きゅうに|たおれ| 」 「 何 ！ なん 伊勢屋 の ！ いせや| 」 　 医者 は あわてて 起き 出す と 、 急いで 伊勢屋 に 向かい ました 。 いしゃ|||おき|だす||いそいで|いせや||むかい| 伊勢屋 の 奥さん を 治療 すれば 、 治療 費 に 大金 を もらえる から です 。 いせや||おくさん||ちりょう||ちりょう|ひ||たいきん|||| 医者 が 伊勢屋 に つき ます と 、 伊勢屋 は もう 上 を 下 へ の 大騒ぎ です 。 いしゃ||いせや|||||いせや|||うえ||した|||おおさわぎ| 医者 は その 中 へ 飛び込む と 、 いきなり 女 中 の 手 を 取って 脈 を み はじめ ました 。 いしゃ|||なか||とびこむ|||おんな|なか||て||とって|みゃく|||| 女 中 は あわてて 、 「 あれ ぇ 、 病人 は 、 わたし で は ござ り ませ ぬ 」 と 、 言う と 、 「 ええ い 、 このように 一刻 を 争う とき に 、 誰 の かれ の と いって おれ ぬ わ 」 と 、 医者 は 言った そうです 。 おんな|なか|||||びょうにん||||||||||いう||||このよう に|いっこく||あらそう|||だれ||||||||||いしゃ||いった|そう です

こういう 医者 は 、 やぶ医者 です 。 |いしゃ||やぶいしゃ|

♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )