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食わ ず 逃げ
食わ ず 逃げ
むかし むかし 、 田舎 者 の 男 が 一 人 で 江戸 見物 に やって 来 ました 。
長い 旅 で 疲れた 男 は 、 うまい まんじゅう が 食べ たく なって 一 軒 の まんじゅう 屋 へ 入り ました 。
「 これ は お 客 さま 。
いらっしゃい ませ 。
今日 は どれ を 差し上げ ましょう か ?
」 まんじゅう や の 主人 が ニコニコ し ながら 言う と 、 田舎 者 の 男 は 疑り 深そう な 目 で 言い ました 。
「 おら は 、 遠い 田舎 から やって 来た 。
人 に 聞く と 、 江戸 は 田舎 者 を 簡単に だます そうだ 。
この まんじゅう は 本当に うまい の か 、 教えて くれ ん か ?
」 「 は あ 、 うまい か 、 うまく ない か は 、 一 つ 召し上がって くだされば わかり ます よ 」 「 いや 、 そんな 事 を 言う て 、 おら が 食った あと で 、 まずくて も 銭 を 取る つもりだろう て 」 それ を 聞いた 主人 は 、 ( やれやれ 、 やっかいな 客 が 来た ) と 、 思い ながら も 、 にっこり 笑う と 店 の まんじゅう を 一 つ 口 に 入れ ました 。
「 ああ 、 うまい 、 うまい 」 「 そんなに 、 うめ え か ?
」 「 はい 、 うまい です と も 。
さあ 、 どうぞ 召し上がって くだされ 」 「 いい や 、 お前 が 一 つ 食った ぐらい で は 、 当て に なら ん 。
もう 一 つ 食って くれ 」 「 これ は 、 何と 疑い 深い お方 じゃ 。
それ なら 、 もう 一 つ 食べて み ましょう 」 主人 は もう 一 つ 、 パクリ と 食べて 見せ ました 。
「 ああ 、 うまい 。
本当に うまい まんじゅう だ 」 でも 男 は 、 まだ 疑って い ます 。
「 うーん 、 おら に は まだ 信じ られ ん 。
もう 少し 食べて くれ 」 「 お 振る舞い なら 、 いくら でも 食べて みせ ます ぞ 」 「 お 振る舞い ?
よく 分から ん が 、 もっと 食べて くれ 」 「 はい 。
それでは 」 主人 は 次々 と まんじゅう を 食べて 、 とうとう 一 箱 を 空っぽに して しまい ました 。
「 さあ 、 全部 食べて しまい ました 。
では 、 まんじゅう 代 を 払って 下され 」 「 何 !
お前 が 食った まんじゅう の 銭 など 、 おら は 知ら ん ぞ !
」 「 な っ 、 なんという 事 を !
お前 さん の 振る舞い だ から 全部 食べた のじゃ 。
まんじゅう 代 は 、 絶対 に いただき ます !
」 「 それ それ 、 そう やって 田舎 者 を だます と は 、 やっぱり 江戸 は 恐い ところ じゃ 」 そう 言って 男 は 、 急いで 店 から 逃げ出し ました 。
これ に 腹 を 立てた まんじゅう 屋 の 主人 が 男 を 追いかけよう と 外 へ 出る と 、 隣 の 店 の 主人 が 声 を かけて き ました 。
「 どうした ?
そんなに あわてて 。
・・・ あっ !
さては 食い 逃げ か ?
」 する と まんじ ゃう 屋 の 主人 が 、 少し 考えて から 答え ました 。
「 いや 、 食わ ず 逃げ じゃ 」
♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )
食わ ず 逃げ
くわ||にげ
食わ ず 逃げ
くわ||にげ
むかし むかし 、 田舎 者 の 男 が 一 人 で 江戸 見物 に やって 来 ました 。
||いなか|もの||おとこ||ひと|じん||えど|けんぶつ|||らい|
長い 旅 で 疲れた 男 は 、 うまい まんじゅう が 食べ たく なって 一 軒 の まんじゅう 屋 へ 入り ました 。
ながい|たび||つかれた|おとこ|||||たべ|||ひと|のき|||や||はいり|
「 これ は お 客 さま 。
|||きゃく|
いらっしゃい ませ 。
今日 は どれ を 差し上げ ましょう か ?
きょう||||さしあげ||
」 まんじゅう や の 主人 が ニコニコ し ながら 言う と 、 田舎 者 の 男 は 疑り 深そう な 目 で 言い ました 。
|||あるじ||にこにこ|||いう||いなか|もの||おとこ||うたぐり|しんそう||め||いい|
「 おら は 、 遠い 田舎 から やって 来た 。
||とおい|いなか|||きた
人 に 聞く と 、 江戸 は 田舎 者 を 簡単に だます そうだ 。
じん||きく||えど||いなか|もの||かんたんに||そう だ
この まんじゅう は 本当に うまい の か 、 教えて くれ ん か ?
|||ほんとうに||||おしえて|||
」 「 は あ 、 うまい か 、 うまく ない か は 、 一 つ 召し上がって くだされば わかり ます よ 」 「 いや 、 そんな 事 を 言う て 、 おら が 食った あと で 、 まずくて も 銭 を 取る つもりだろう て 」 それ を 聞いた 主人 は 、 ( やれやれ 、 やっかいな 客 が 来た ) と 、 思い ながら も 、 にっこり 笑う と 店 の まんじゅう を 一 つ 口 に 入れ ました 。
||||||||ひと||めしあがって|||||||こと||いう||||くった|||||せん||とる|||||きいた|あるじ||||きゃく||きた||おもい||||わらう||てん||||ひと||くち||いれ|
「 ああ 、 うまい 、 うまい 」 「 そんなに 、 うめ え か ?
」 「 はい 、 うまい です と も 。
さあ 、 どうぞ 召し上がって くだされ 」 「 いい や 、 お前 が 一 つ 食った ぐらい で は 、 当て に なら ん 。
||めしあがって||||おまえ||ひと||くった||||あて|||
もう 一 つ 食って くれ 」 「 これ は 、 何と 疑い 深い お方 じゃ 。
|ひと||くって||||なんと|うたがい|ふかい|おかた|
それ なら 、 もう 一 つ 食べて み ましょう 」 主人 は もう 一 つ 、 パクリ と 食べて 見せ ました 。
|||ひと||たべて|||あるじ|||ひと||||たべて|みせ|
「 ああ 、 うまい 。
本当に うまい まんじゅう だ 」 でも 男 は 、 まだ 疑って い ます 。
ほんとうに|||||おとこ|||うたがって||
「 うーん 、 おら に は まだ 信じ られ ん 。
|||||しんじ||
もう 少し 食べて くれ 」 「 お 振る舞い なら 、 いくら でも 食べて みせ ます ぞ 」 「 お 振る舞い ?
|すこし|たべて|||ふるまい||||たべて|||||ふるまい
よく 分から ん が 、 もっと 食べて くれ 」 「 はい 。
|わから||||たべて||
それでは 」 主人 は 次々 と まんじゅう を 食べて 、 とうとう 一 箱 を 空っぽに して しまい ました 。
|あるじ||つぎつぎ||||たべて||ひと|はこ||からっぽに|||
「 さあ 、 全部 食べて しまい ました 。
|ぜんぶ|たべて||
では 、 まんじゅう 代 を 払って 下され 」 「 何 !
||だい||はらって|くだされ|なん
お前 が 食った まんじゅう の 銭 など 、 おら は 知ら ん ぞ !
おまえ||くった|||せん||||しら||
」 「 な っ 、 なんという 事 を !
|||こと|
お前 さん の 振る舞い だ から 全部 食べた のじゃ 。
おまえ|||ふるまい|||ぜんぶ|たべた|
まんじゅう 代 は 、 絶対 に いただき ます !
|だい||ぜったい|||
」 「 それ それ 、 そう やって 田舎 者 を だます と は 、 やっぱり 江戸 は 恐い ところ じゃ 」 そう 言って 男 は 、 急いで 店 から 逃げ出し ました 。
||||いなか|もの||||||えど||こわい||||いって|おとこ||いそいで|てん||にげだし|
これ に 腹 を 立てた まんじゅう 屋 の 主人 が 男 を 追いかけよう と 外 へ 出る と 、 隣 の 店 の 主人 が 声 を かけて き ました 。
||はら||たてた||や||あるじ||おとこ||おいかけよう||がい||でる||となり||てん||あるじ||こえ||||
「 どうした ?
そんなに あわてて 。
・・・ あっ !
さては 食い 逃げ か ?
|くい|にげ|
」 する と まんじ ゃう 屋 の 主人 が 、 少し 考えて から 答え ました 。
||||や||あるじ||すこし|かんがえて||こたえ|
「 いや 、 食わ ず 逃げ じゃ 」
|くわ||にげ|
♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )
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