episode 02「突然の ファーストキス」
( 目覚まし時計 の 音 )
( 上原 ( うえ はら )) 百 合
う っ !
( 菜緒 ( なお )) 誰 と 間違えて ん の よ !
キス しちゃ った …
上原 君 と
どう しよう
でも ちょっと 待って
上原 君 は 違う 人 と 間違えて キス した んだ よ ね ?
そう そう そう だ よ ちょっと した 事故 だ よ ね
全然 気 に する こと ない
いや 気 に する よ
気 に なる よ
だって
初めて の キ … ス
ハッ ! イヤ !
お前 の ケリ の せい で
俺 の 腹 すげ ー 赤く なって んだ けど
( 菜緒 ) もう こっち 来 ないで よ !
( 上原 ) おい 何 考えて んだ よ !
そっち が あんな こと した から でしょ !
( 上原 ) は ? 何 だ よ あんな こと って
え ?
覚えて ない の ?
だから 何 ?
って いう か 目覚まし 鳴って ん なら 普通に 起こせよ
何 よ 普通 って ( 上原 ) だ から !
“ 普通に 優しく 起こして ください ” って 言って ん の
そ … そんな こと できる わけない でしょ !
ハッ !
わ っ !
あの さ
は … はい
今さら ながら
男 と の 同居 生活 に 危機 感 覚えたり する ?
“ 私 襲わ れたら どう しよう ” なんて 悶々 と して る ?
安心 しろ
俺 お前 に は カケラ も 欲 情 し ない
俺 の カバン ちゃん と 元通りに し とけよ
あと 前 に も 言った けど 学校 で は 絶対 話しかけ ん な
クソ こんち くしょう
何 な んだ よ
3 メートル
あれ ? 上原 君 どこ 行った んだ ろ …
って いう か ここ どこ ?
や っぱ バカだ な あいつ
( 光 石 ) おはよう ( まり な ) おはよう
( 光 石 ) あれ ? 菜緒 今日 休み ?
( まり な ) と は 聞いて ない んだ けど 何 して んだ ろ ?
今日 は 上原 君 を 間近で 見る 絶好 の チャンス な のに
( 光 石 ) ああ … あれ 今日 だった か
( まり な ) イェイ
( 光 石 ) 俺 は 気 が 重い よ
あっ 菜緒 から メール 来た
( 光 石 ) 何て ?
“ 遭難 した !” って
( 光 石 ) は ?
( 菜緒 ) え … ここ どこ ?
あー 遅刻 しちゃ う
あっ 行き止まり
( 犬 の ほえ 声 )
( 菜緒 ) 怖い イヤ !
う あ ~ 助けて ~
ハァ ハァ ハァ … 間に合った
ハァ ハァ ハァ …
間違え られた ファーストキス
欲 情 し ない 宣言
最後に は 犬 …
あれ も これ も 全部 全部 …
上原 君 の せい だ ー !
( 教師 ) こら ! 校 内 で 奇声 を 上げる んじゃ ない
( 菜緒 ) はい ( 教師 ) 遅刻 する ぞ
( 菜緒 ) はい すいません すいません すいません …
( まり な ) 菜緒 食べ ない の ?
1 日 分 の エネルギー 使い果たした っぽい な
方向 音痴 な のに 知ら ない 道 通ったり する から だ よ
いや それ は 私 の せい じゃ なくて …
同居 して る こと も 絶対 バラ すな よ
いや …
私 の せい で ございます
( まり な ) まあ 元気 出し なって
午後 は 待ちに待った A 組 と の 合同 体育 な んだ から !
合同 体育 …
ちょっと ちょっと テンション 低く ない ?
上原 君 の かっこいい 姿 が 目の前 で 見 れる んだ よ
あー 私 は もう いい や 散々 見た し
お腹 いっぱい 食あたり 起こし そう
何 言って ん の 菜緒 !
みっ ちゃん 邪魔 !
( まり な ) 菜緒 ( 菜緒 ) えっ えっ
( まり な ) 早く ( 菜緒 ) ちょっと まり な
( 女子 生徒 たち の 歓声 )
見な よ あの 現実 離れ した ルックス
儚 ( は かな ) げ で 繊細で
でも ね 時々 す っ ごく 寂しい 顔 する の
( 康 太郎 ) 購買 カレーパン 売り切れ
( 悠 人 ) マジ !?
見た ! 今 今 !
あっ あれ は ただ カレー …
やっぱり 悲しい 生い立ち の せい だ よ ね
でも 憂い を 帯びた 上原 君 も また ステキ
( まり な ) 上原 君 って ご 両親 を 幼い 時 に
交通 事故 で 亡くして る じゃ ん ?
俺 は すねかじり じゃ ない から な
( まり な ) 結論 !
何 万 回 見て も 絶対 に 飽き ない 最高に いい 男
それ が 上原 君 な んだ よ
や っぱ ヤ な 感じ
( まり な ) ん ? ( 菜緒 ) えっ あ … 何でもない
( 菜緒 ) でも さ 上原 君 って 彼女 いる んじゃ ない の ?
え えっ そう な の !? それ 誰 情報 ?
あ …
百合
いや 彼女 の 1 人 や 2 人 ぐらい は いる んじゃ ない か な あって
今 ん ところ そういう 噂 は ない けど
でも そう だ と したら ショックー
あんな レベル の 高い 男 なかなか お目にかかれ ない のに
って いう か そんなに モテ る んだ あの 人
そりゃ 御 三 家 トップ だ もん
“ 掟 ” も 相当 シビアだ し
オキテ …
この 間 見た でしょ 覚えて ない の ?
( 菜緒 ) 見た けど
( まり な ) 女子 の 間 で は 暗黙 の 了解 な の
ん っ
上原 君 の 取り巻き 女子 は 今 3 つ の 派閥 に 分かれて る の
ふ ー ん
( まり な ) 先生 から も 一目 置か れる 優等 生 女子
悪い 遊び を し まくって いる アウトロー 女子
男子 から 圧倒 的 人気 の マネージャー 女子
この 3 つ の 派閥 の 女子 たち が
上原 君 へ の 抜け駆け は 決して 許さ ない って いう 掟 を 作った の
へえ ー
( まり な ) 上原 君 は みんな の 上原 君
不用意に 親しく したり 接触 なんて したら
どんな 目 に 合わさ れる か
もはや 国宝 だ な 上原 君
そう 国宝 ! お さわり 厳禁
って いう か 急が なくて いい の ?
次 お前 の 楽しみに して る 合同 体育 だ よ
( まり な ) あっ そうだ
って いう か 私 国宝 と キス しちゃ って る よ
( 光 石 ) で ? まり な は どこ の 派閥 な の ?
( まり な ) 私 は その他 大勢 の 1 人
いつか 上原 君 が
野 に 咲く 私 を 見つけて くれたら いい な あって
( 光 石 ) 何 か それ 不毛じゃ ね ?
( まり な ) みっ ちゃん … ( 菜緒 ) あっ !
どうした ? ( 光 石 ) 何 ?
あ …
いや … な … 何でもない よ
何でもない から … ごめん ちょっと トイレ に
お腹 痛い
( まり な ) 菜緒 ( 光 石 ) 菜緒 ?
これ を 着て しまったら …
とんでもない こと に
( 翼 ) 上原 君 次の 体育 マジ で 頼む わ
D 組 の ヤツ ら に は 負け たく ない んだ よ ね
いや 俺 保健 室 で 寝る
( 翼 ) あれ 知り合い ? すげ ー 見て る けど
いや 全く 知ら ない
( 僚平 ) 何 か 踊って る よ
変な もん でも 食った んだ ろ
何 だ よ
おい
ふざける な 俺 に 近づく なって 言った だ ろ !
( 菜緒 ) 緊急 事態 な の 読んで よ !
( 上原 ) や だ ね
( 菜緒 ) ん ん っ !
( 上原 ) やめろ よ ん っ !
( 菜緒 ) あっ あっ !
ああ ~! あ …
あいつ の せい で サボり 損ねた
な っ !
( 上原 ) クソ あいつ どこ 行った
おい おい
( 菜緒 )“ 体操 着 間違って る よ 上原 くん ”
“ 今 家庭 科 室 誰 も い ない から そこ で 交換 しよう ”
間違った の は お前 だろう が !
( 上原 ) おい 待て !
早まる な !
( 菜緒 ) ハッ !
お前 … 普通 切る か ?
だ … だって 上原 君 が 全然 話 聞いて くれ ない から
直せよ
( 菜緒 ) え ?
あと 5 分 で 直せ
無理だ よ !
って いう か ほら チロッ と 穴 空いた だけ だし
ほら よく ヒザ 擦り切れたり する じゃ ん ?
ヒザ じゃ ね ー だ ろ ここ は !
って いう か こんな とこ に 穴 空いて る ヤツ いる わけ ね ー だ ろ
何 な の ガミガミガミ …
は あ !?
分かった よ 直せば いい んでしょう !
うるさい な
だいたい 話 聞いて くれ ない から じゃ ん
は ? お前 が 間違えた んだ ろ
って いう か 何 だ よ この 空け 方 は よ
( 菜緒 ) だって しょうがない でしょ
( 上原 ) は ? こんな とこ 切る ヤツ いね ー だ ろ
( 菜緒 ) うるさい な
もう 針 どれ ?
( 上原 ) どれ じゃ なくて どれ でも い いよ
( 菜緒 ) あっ あった
( シャッター 音 )
まだ かよ
焦らせ ないで よ
パパッ と やれよ 一応 女 だ ろ
そういう の ね 偏見 って 言う んだ よ
どうせ サボろう と して た だけ でしょ
それ と これ と は 話 が 別だ
面倒くさ っ
何 か 言った ?
いえ 何にも
イッタ …
おい 大丈夫 か ?
何 だ よ 大した こと ね ー な
何 その 言い 方
女の子 の 手 に 傷 でも 残ったら どう す んです か ?
女の子 ?
女の子 なら こん ぐらい やれよ
うるさい な やって んじゃ ん 今
全然 進んで ね ー じゃ ん か よ ( 菜緒 ) じゃ 手伝って
( 歓声 )
( 教師 ) ストライク ! バッター アウト
う っ
うわ っ
( 声援 )
( 教師 ) ストライク ! バッター アウト
( 歓声 )
( 女子 生徒 ) 上原 君 かっこいい
ドンマイ ! みっ ちゃん
菜緒 だけ だ よ 俺 を 迎えて くれる の は
そんな こと ない よ ( 光 石 ) そんな こと ある よ
( 大地 ) 菜緒
( 菜緒 ) あっ 大 ちゃん ( 大地 ) よっ
( 光 石 ) 大地 先輩 も 体育 です か ? ( 大地 ) おお
お前 バット の 持ち 方 が 全然 なって ない
( 菜緒 ) 大 ちゃん 私 に 教えて !
私 あいつ から ホームラン 打ち たい の
何が何でも ( 大地 ) ハッ 珍しい な
菜緒 が そんな 闘争 心 むき出し なんて
だって 何 か ヤ な 感じ じゃ ない ?
ちょっと かっこいい から って さ ( 光 石 ) そうだ そうだ
( 菜緒 ) スポーツ が できて 勉強 が できる から って
何でも 許さ れる と 思う な よ ! ( 光 石 ) そうだ そうだ !
全部 が 自分 中心 に 回って る と 思ったら 大 間違い だ !
そう だ そうだ !
打つ ( 菜緒 ) 打つ
菜緒 は ホームラン を 打てる ( 菜緒 ) 打つ
( 大地 ) おっしゃ
じゃあ まずは バット の 持ち 方 から
( 菜緒 ) はい
( 大地 ) 左手 が 下 脇 閉める
( 菜緒 ) はい ( 大地 ) 聞いて る ?
で ボール が 来たら バット で 打つ って いう より か は
重心 移動 して 体 で 打つ
( 菜緒 ) おお !
( 教師 ) ストライク !
( 菜緒 ) えっ うん ?
えっ え ?
( 教師 ) スリーストライク ! バッター アウト
( 歓声 ) ( 教師 ) 試合 終了 !
え ? ウソ もう 終わり ?
上原 君 少し ぐらい 手加減 して くれた って いい じゃ ん
( 菜緒 ) え ? あれ ? あれ ? 私 の 制服 …
( 詩 織 ) 吉川 ( よし かわ ) さん
これ 廊下 に 落ちて た けど 吉川 さん のじゃ ない ?
ええ !? 菜緒 制服 落とした の ?
ああ … そう かも ごめん ありがとう
ちょっと 何 して ん の ?
( 美 南 ) でも そういう 隙 が ある ところ が
吉川 さん の 魅力 な んじゃ ない ?
( エリカ ) 羨ま し いわ ー 女子 力 高い って
上原 君 も 吉川 さん に は 一目 置いて る みたいだ もの ね
えっ そう な の !?
そんな …
( 美 南 ) じゃ お 先 に ( エリカ ) また ね ー
でも さ ー 牛乳 プリン と 牛乳 寒天
どっち か 選ぶ の 本当 迷っちゃ うんだ よ ね
もう 究極 の 選択 だ よ ね
もう あの プリン の 濃厚な 感じ 魅力 の 1 つ な んだ けど
あの 寒天 の ツルン と した 感じ が もう たまらない んだ よ ね
あっ ねえ まり な どっち 派 ?
何 隠して ん の ? ( 菜緒 ) え ?
菜緒 隠し事 ある 時 って
どうでも いい こと ベラベラ しゃべる じゃ ん
いや …
どうでも いい 話 して る つもりじゃ …
( 菜緒 ) ちょっと まり な
まり な 待って
( 菜緒 ) ちょっと !
あの ね まり な
あっ
こういう こと ?
こういう 感じ で 男 と 同棲 しちゃ って ます って こと ?
あの ね 話 は 長く なる んだ けど
私 に も 秘密に して た んだ
ごめん
( 菜緒 )… と いう わけ
ふ ー ん
( 菜緒 ) だ から 同棲 と か 付き合って る って わけじゃ なくて
女子 寮 が 空く まで は 我慢 って 感じ
で 誰 ?
え ?
その 一緒に 暮らして る 男
あ ~ それ は …
年上 ? タメ ? どっち ?
同じ くらい … か なあ ? フフフッ
マジ !? 同じ 学校 と か ? 私 知って る 人だったり する ?
ハハハ
あ ! まさか の 大 ちゃん ?
… な わけ ない か
うん ないない ない
じゃあ さ じゃ あさ レベル 的に もっと 上 ? 下 ?
って そりゃ 下 だ よね 大 ちゃん 御 三 家 だ し
上 ? かな …
え ?
大 ちゃん より 上 み たい 世間 的に は …
フッ それ って もうさ
( ドア が 開く 音 )
上原 君 じゃ ん !
お … お かえり
今日 バイト 早い ね
今日 早 上がり
あ … そう な んだ
あっ こちら 親友 の まり な
もう 何で 今日 に 限って
( まり な ) ん っ
ん ー もう !
秘密に して て 本当 ごめん !
菜緒
( 菜緒 ) はい
( まり な ) で かした ( 菜緒 ) へ ?
ちょっと 座って 座って
だって だって あの 上原 君 と
お 近づき に なれる なんて 超 ラッキーじゃ ん !
菜緒 ん ち に くれば
必然 的に 上原 君 に も 会える って こと でしょ ?
うん まあ …
でも バイト で ほぼ 家 に い ない けど
菜緒 は どう 思って ん の ?
何 が ?
上原 君 の こと 何とも 思って ない の ?
うん 思って ない けど
本当 ?
うん 全然
じゃあ 協力 して で 仲 取り持って お 願い !
まあ 別に いい けど
でも 上原 君 まり な が 思って る ような 人 じゃ …
って 聞いて ないし
えっ あっ イェーイ !
イェーイ …
( まり な ) バイバーイ ( 菜緒 ) また ね バイバーイ
( 菜緒 ) あれ の どこ が そんな いい んだ ろ …
お っ ! びっくり した
バレ て ない よ ね …
おい
( 菜緒 ) はい … はい ( 上原 ) お前 何 考えて ん の
何 って ?
同居 バレ たら 退学 だ ぞ
( 菜緒 ) 分かって る よ ( 上原 ) 分かって ねえ から
あんな うる せ ー の 連れて くるんだ ろ
ちょっと そんな 言い 方
ちゃんと 言 っと け よ 絶対 言いふらす なって
まり な は そんな こと する 子 じゃ ない から
何で 分か んだ よ ( 菜緒 ) 分かる よ
まり な は 中学 ん 時 から 友達 だ し
友達 ね
何 よ
ますます 信用 で きね ー な
は ?
お前 の 友達 なんか お前 同様 ボケボケ に 決まって んだ ろ
お前 な !
まり な は
私 と は 全然 違う の
しっかり して て 絶対 大丈夫 !
まり な の こと ちゃん と 知ら ない くせ に
信頼 でき ない と か
おかしい よ そんな の
まり な は 私 が 一 番 信頼 できる 友達 な んだ から !
す っ ごく す っ ごく ヤ な ヤツ !
もう 大 っ 嫌い !
わ っ わ っ !
どこ 行く の ?
トイレ
( 転ぶ 音 )
( 教師 ) 吉川 さん ! 何 して る の ?
( 菜緒 ) はい ごめんなさい
( まり な ) 菜緒 大丈夫 ?
( 菜緒 ) うん
本当に ?
( 菜緒 ) え ?
何 か 今日 朝 から 変
元気 ないし
あっ !
もし かして 昨日 上原 君 と 何 か あった ?
え ? う うん
ちょっと お腹 すいた だけ だ から
( まり な ) 本当に ? ( 菜緒 ) うん 本当
菜緒 が 笑って ない と 私 も 調子 狂う んだ から ね
ありがとう まり な
う うん よい しょ
あ ~ あ
( 康 太郎 ) 吉川 お前 呼ば れて る って よ
えっ 誰 が ?
( 悠 人 ) 上原 君 体育 倉庫 で 待って る って
そ っか ありがとう
( 康 太郎 ) あいつ 実は モテ てん の かな ?
( 悠 人 ) な っ ( 康 太郎 ) おう
何で 急に 学校 で 呼び出す んだろう
私 また 何 か やら かした ?
上原 君 ?
あれ ? どこ 行った …
( 扉 が 閉まる 音 )
ゲ …
ごめんなさい ウソ ついちゃ い ました
ハハハ …
あー !
( 美 南 ) 逃げ らん ない んだ から ね ー
( エリカ ) って いう かさ あんた 上原 君 の 何 ?
( 菜緒 ) 何 って
す っと ぼけ ん の も 大概 に し なさい !
( 美 南 ) 上原 久志 ( ひさし ) の 掟
知ら ない と は 言わ せ ない わ よ
あれ ? 上原 君 何で ここ に いん の ?
え ?
( 詩 織 ) 上原 君 は みんな の 上原 君 な の
分かった ? ( エリカ ) って いう か あんた は
みんな の 中 に 入れる レベル じゃ ね ー けど
( 美 南 ) 確かに
よく そんな 貧相な 顔 と 体 で あの 上原 君 の 前 に い られる ね
( 詩 織 ) 全て が 完璧で クール で
なのに 心 に 悲しい 傷 を 負って しまった 悲劇 の 主人公
( 詩 織 ) それ が 上原 君 な の ( 美 南 ) かわいそうな 上原 君
でも 私 たち は ずっと 上原 君 の そば に いる
上原 君 の こと を 温かく 見守り 続ける こと が
私 たち の 使命 な の
(3 人 ) だ よ ね そうだ よ ね
私 たち が 必要不可欠 って いう か
そう それ だ よ ね
そういう の いら ない と 思う
は ?
上原 君 は かわいそう なんか じゃ ない から
( 菜緒 ) そんな の いら ない
( 美 南 ) は ? ( 詩 織 ) 何 言って ん の よ
上原 君 は ご 両親 を … ( 菜緒 ) 知って る よ
知って る けど
でも いろいろ 頑張って る 人 に は
“ かわいそう ” じゃ なくて “ すごい ね ” でしょ !
そもそも “ 掟 ” 自体 が おかしい んだ よ
(3 人 ) は あ !?
さっき から 見た目 と か 雰囲気 で
上原 君 の こと ああ だ こう だ 言って る けど さ
本当に 相手 の こと 知り たい んだったら
もっと 話したり 笑ったり ケンカ したり
そういう の 繰り返さ なきゃ 分かる わけな い じゃ ん !
そんな の も 分か ん ない ダメ 女子 に は
上原 君 は カケラ も 欲 情 し ない から !
全部 言っちゃ った
( 菜緒 ) キャッ ! ( 美 南 ) 何 か 頭 きたし
つうか 何 様 な んだ よ お前
クソムカ つく
( 物音 )
(4 人 ) 上原 君 !?
お前 って さ や っぱ アホ だ な
な っ …
こいつ 俺 と 付き合って る から
え ?
( 上原 ) 文句 が ある なら 俺 に 言えよ
( 詩 織 ) ウソ ウソ … ( 美 南 ) そんな …
( エリカ ) う … 上原 君
帰る ぞ
あ … あの さ
何 ?
何で こんなに なっちゃ った んだ っけ ?
私 と 上原 君 って さ
いい から 黙って サクサク 歩け
はい
( 女子 生徒 たち の ざわめき )
菜緒 ?
( 菜緒 ) え ?
ここ まで くれば 誰 も 見て ないだ ろ
え ?
( 上原 ) よくよく 考えたら さ
まるっきり 他人 の フリ って いう の は 無理 が ある よ な
付き合って る こと に し とけば 家 に 行く の も 不自然じゃ ないし
それ って つまり …
付き合って る フリ しよう ぜ
フリ ?
あっ ごめん 期待 さ せちゃ った ?
別に … して ないし
何なら 本当に 付き合う ?
ウッソー
じゃあ 俺 このまま バイト 行く から
( 菜緒 ) うん
上原 君
ありがとう
助けて くれて
悪かった な
ん ?
( 上原 ) 昨日 …
あんた の 友達 の こと
あ … うん
早く 帰 ん ね ー と 風邪 ひく ぞ
うん
上原 君 ?
上原 君
ねえ 上原 君 どうした の ?
ねえ 上原 君 ちょっと …
( 救急 車 の サイレン )
( 医師 ) 心配 ないで すよ 疲労 と 睡眠 不足
あと は 軽い 栄養 失調 が 重なった かな
2~3 日 ゆっくり 休んで ちゃんと 食べれば 大丈夫
はい ありがとう ございます
( 医師 ) 一応 彼 の ご 家族 に も 連絡 して おいた から
お 大事に ね
( 菜緒 ) 上原 君
おお
“ おお ” じゃ ない よ す っ ごい 心配 した んだ から ね
もう ソファ で なんか で 寝る から だ よ
( 上原 ) 大げさな んだ よ これ くらい で
これ くらい って
よし 帰る か
え ?
ちょっと そんな の ダメに 決まって る でしょ !
俺 の 体 は うまい もん 食えば 治る
は ?
( 戸 が 開く 音 )
百合
( 菜緒 ) 百 合 って …
この 人 が 上原 君 の ?
♪~