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屍鬼, Shiki Episode 17

( 信明 ) あれ が 村 に まん延 し て いる 。

( 静 信 ) 《 「 理由 の ない 殺意 は ない 」 》

( 徹 ) 俺 は また 人 を 殺し た よ 。

( 沙 子 ) あなた なら 分かって くれ そう な →

気 が し た から かしら 。

( 敏夫 ) や つら が 勝利 を 確信 する 寸前 か 。

( 静 信 ) あぁ … 。

( 物音 )

( 敏夫 ) 《 どう すれ ば お 気 に 召す ? 》

《 俺 は 選択 し 決断 し た 》 →

《 じゃあ お前 は →

どう な ん だ ? 》

朝 の 光 を 手放し た 花

注が れ ない 雨 を 求め

覚め ない 眠り に つく

誰 か を そっと 呼ぶ 声

闇 の 楽園 は

嘘 か 夢 か

失う の は 身体 と

自分 と いう 心

その 対価 を 差し出し

何 を 得 られる の だ ろ う

この 涙 で 奪え る 程 に

命 は 脆く て 儚く て

全て に 訪れる

終わり を

「 恐怖 」 と 嘆く の か

終演 を 歌う 金 盞花

静か に 咲き誇る

憎しみ も

悲しみ も

その 根 で た くり 寄せ て

終焉 を 歌う 金 盞花

寂し さ を 潤す

注が れ ない 雨 を 求め て

覚め ない 眠り に つく

《 僕 は … どう すれ ば … 》

( 物音 )

( 静 信 ) どなた です ? 道 に 迷わ れ た ん です か ?

( 静 信 ) それとも … 。

( 徹 ) 行って ください 若 御 院 ! 来 て は 駄目 です 。 →

俺 を 見 ない で ください 。

君 は … 。 まさか 武藤 さん の … 。

( 徹 ) それ 以上 は 言わ ない で !

出 て き て くれ ませ ん か ?

( 徹 ) 駄目 です … 。 とても 顔 を 合わせ られ ない 。 →

俺 は … 夏野 を … 。 親友 を 殺し まし た 。

殺し たく なんて なかった 。 だけど あいつ ら が … 。

夏野 を 襲わ ない と 家族 を 襲う って 。

強要 さ れ た の です ね 。

でも 襲った の は 俺 です 。 あいつ は 「 逃げよ う 」 って 言って くれ た のに 。

( 徹 ) いや ! ! 全て は 言い訳 です ! 今 だって 人 を 襲った 帰り な ん だ ! !

( 徹 ) 殺し たく なかった 。 でも 腹 が すく ん です 。 →

何 か 食わ ない と 死 ん で しまう って 思ったら 我慢 でき なく て →

自分 から 殺し に 行き まし た 。 腹 が すく と →

人殺し が 何 だ ! って 気 に なる ん です 。

だって もう 夏野 さえ も 殺し た ん だ し って 。

殺し たく なかった はず な のに … ! ( 静 信 ) あなた は … 。

( 徹 ) 行って ください 若 御 院 ! そして 俺 を 忘れ て ください 。

じゃ ない と 俺 は あなた まで … 。

( 静 信 ) あなた の した こと を 人 は 罪 と 呼ぶ の かも しれ ない 。 →

ですが あなた が 生き たい と 願う 本能 を →

責め られる 人 が いる でしょう か 。

誰 に とって も 死 は 等しく … 。 ( 沙 子 ) 《 ひどい こと な の よ 》 →

《 若く て も 老い て も 善人 も 悪人 も 同じ 》

う っ 。 く ぅぅ … 。

( 沙 子 ) 《 死 は 平等 な の 特別 に ひどい 死 は ない 》

( 静 信 ) 《 特別 に ひどい 死 は ない 》

( 光男 ) 若 御 院 ! ( 静 信 ) どう し まし た ?

( 光男 ) 鶴見 君 が 亡くなった そう です 。

( 静 信 ) 鶴見 さん が ! ? ( 光男 ) 今 奥さん から 電話 が あって 。

( 光男 ) 実は 肝臓 を 壊し て い た と 。 ( 静 信 ) そう だった ん です か 。

では すぐ 鶴見 さん の お宅 に … 。 ( 光男 ) それ が … 。

( 鶴見 ) 《 いい か 。 寺 は 今 大変 だ から →

共済 病院 に 入院 し てる こと は 言う な 》

( 鶴見 ) 《 あと 俺 が 死 ん だ ら 葬儀 社 に 頼 ん で くれ 》

( 光男 ) 水くさい です よ 。 →

最後 くらい 手伝わ せ て くれりゃ いい のに 。

( 静 信 ) そうです ね 。

( 美和子 ) 静 信 ! ! ( 静 信 ) お 母さん ! ?

( 美和子 ) あぁ … 。 ( 静 信 ) どう し まし た ! ? お 母さん 。

( 光男 ・ 静 信 ) あっ ! ( 美和子 ) 信明 さん が … 。

俺 辺り を 見 て き ます ! ( 静 信 ) いえ 待って ください 。 →

体 の 悪い 父 が 遠く に 行ける と は 思え ませ ん 。 →

警察 に 連絡 し て ください 。 ( 光男 ) は … はい !

( 信明 ) 「 面識 も 得 ませ ん うち に 突然 の お 便り 失礼 し ます 」 →

「 お 手紙 を 差し上げ た の は →

一 度 拙宅 に お 招き いたし たく 思った から です 」 →

「 妻 の 部屋 も 息子 の 部屋 も ご 勘弁 ください 」 →

「 どうぞ 愚 僧 の 部屋 に おい で ください 」 →

「 いつ なり と も ご 遠慮 なく 。 お 待ち し て おり ます 」

これ は … 。

( 信明 ) 《 単なる あいさつ 状 だ 》

( 静 信 ) 《 招待 状 だ ! 》

( 美和子 ) 静 信 。 そこ に 何 か ?

いえ 別に 。

( 清美 ) ねえ 昨日 聞い た ん だ けど →

安 森 本家 の 淳子 さん 亡くなったら し いわ よ 。

( 律子 ) えっ ? でも 淳子 さん →

うち の 病院 に は 来 て ませ ん でし た よ ね 。

( 清美 ) うん 。 最近 は →

国道 の 江 渕 クリニック に 行く 人 の 方 が 多い みたい よ 。 →

患者 さん が それ を 希望 する らしく って 。

( 律子 ) そう なん です か 。

( やす よ ) 大丈夫 。 いつ まで も このまま じゃ な いわ よ 。 →

若 先生 も 頑張って る ん だ し 。 ねっ 。

この 症状 は いつ から ? ( 加奈 美 ) けさ 起き たら … 。

( 加奈 美 ) 先生 。 あの … 噂 で 聞い た ん です けど →

伝染 病 って こと は … 。 ( 敏夫 ) それ は ない 。

( 律子 ) 《 えっ ? 伝染 病 じゃ ない って 。 じゃあ … 》

( 加奈 美 ) 先生 。 母 は … 。

( 敏夫 ) 《 あと 何 人 だ ? あと 何 人 犠牲 者 が 出る ? 》 →

《 いつまで 待て ば いい ! 》

( 律子 ) 先生 … 。 ( 敏夫 ) どう し た ?

妙 さん が 伝染 病 じゃ ない って どういう 意味 な ん です か ?

( 敏夫 ) いや … 。 意味 ?

( 敏夫 ) 特に 何も ない 。

先生 。 もし かして 妙 さん は … 。 ( 敏夫 ) うん ?

律 ちゃん ? ( 律子 ) いえ 何でも あり ませ ん 。 →

失礼 し ます 。

《 おそらく 父 は 桐 敷 家 が 何者 か を 察知 し て い た の だ 》 →

《 あの とき 事 が 起き上がり に よる もの な の か を 確認 し て … 》

( かおり ) あの … すみません 。

君 は 確か 清水 恵 さん の お 友達 の … 。

( かおり ) そうです 。 田中 かおり と いい ます 。 →

あの 若 御 院 に お 願い が あって 来 まし た 。

僕 に ? 何 でしょう か ?

わたし に 戒名 を もらえ ませ ん か ?

( 静 信 ) どういう こと です ?

母 が 死に まし た 。 その 前 に 父 が 。 →

弟 も もう 帰って き ませ ん 。

( かおり ) きっと 次 は わたし です 。 →

だから 自分 の 戒名 が 必要 な ん です 。

いつ 死 ん で も いい よう に し ない と いけない ん です 。

そういう の って 無理 です か ?

( 静 信 ) いえ 。 生前 に 戒名 を 受ける 方 も おら れ ます が 。

( かおり ) じゃあ 下さい ! ! →

恵 ちゃん は 何 か 分から ない けど 怒って る の ! →

だから 絶対 に 次 は わたし な の !

恵 ちゃん が … ! ?

はい 。

( かおり ) 自分 の お 墓 は 掘って き まし た 。 →

でも お 墓 に は 戒名 を 書か なく ちゃ いけ なく て … 。

自分 じゃ 戒名 の 付け 方 が 分から なく て 。

それ で … それ で … 。

人 は いつ 死ぬ か 分から ぬ もの です 。

僕 も あなた も もう いくら も 生き られ ない かも しれ ない 。

( かおり ) はい … 。

( 静 信 ) けれど いつ 死 ん で も いい と 投げ出し て 構わ ない ほど →

安い 命 など ない の です よ 。

はい … 。

( かおり の 泣き声 )

( 静 信 ) 《 こんな の 僕 が 言って いい せりふ で は ない 》

( 敏夫 ) 《 お前 は 村 が 死に 絶え て も いい の か ! ? 》 →

《 このまま 汚染 の 拡大 を 放置 する こと は でき ない 》

( 静 信 ) 《 沙 子 。 君 が ひどく 孤独 に 見える 》

( 静 信 ) 《 僕 が … 》

( 沙 子 ) 《 本当 に 室井 さん は ロマンチスト だ わ 》

( 清美 ) 先生 。 お 電話 です 。

お 寺 の 奥さま から 。 ( 敏夫 ) ああ 。

お 待た せ し まし た 。 ( 美和子 ) あっ 敏夫 さん ?

( 美和子 ) あの … 静 信 は そちら に 伺って おり ませ ん ?

静 信 が ?

( 敏夫 ) いえ こっち に は 。 どう し まし た ?

それ が … 。

( 敏夫 ) 静 信 が い なく なった ? →

いえ 俺 の 所 に は … 。 いえ で は 。

( 敏夫 ) 静 信 … 。

( 敏夫 ) それ が … お前 の 出し た 答え か 。

( 小池 ) い や ぁ 疲れ た 疲れ た 。 →

霜月 神楽 の 練習 も ほどほど に せ ん と いかん なぁ 。

こんな 遅い と 人 っこ 一 人 おら ん 。

( 笑い声 )

( 康幸 ) こっち が びっくり し た よ 。 ( 高 俊 ) 俺 も あの とき は 焦った 。

( 小池 ) おお … 。 ( 高 俊 ・ 康幸 ) こんばんは !

( 小池 ) ああ こんばん は 。

《 快活 な 若者 たち だ 》

《 誰 だ っけ ? 》

はい 国広 です 。

( 清美 ) 律 ちゃん 。 助け て ! ( 律子 ) 清美 さん ?

( 清美 ) 家 で 誰 か に 捕まって る の ! !

えっ ! ? 捕まって る って … 。 ( 通話 の 切れる 音 )

清美 さん ! ? 清美 さん ! !

《 あれ は わし が 葬式 の 采配 を し た 広沢 の … 》

あい や ー ! !

( 敏夫 ) はい 尾崎 医院 。

( 律子 ) 先生 ! 律子 です ! ( 敏夫 ) ああ 。 どう し た ?

( 律子 ) 清美 さん から 「 助け て 」 って 電話 が !

( 律子 ) わたし 行って き ます ! !

な … ! ? 待つ ん だ 律 ちゃん ! →

くっ … !

お 願い 一緒 に 来 て ! →

太郎 ! ! 清美 さん を 助け たい の !

( 太郎 の 吠え 声 )

( 律子 ) ちょ っ … ちょっと !

だ … 誰 か … ! 助け て くれ !

誰 か … 誰 か ~ !

もう 何の 騒ぎ ?

( 小池 ) あぁ ! た … 助け て くれ ! あいつ ら は … 。

あ ~ ら 高 俊 ちゃん じゃ ない の 。 ( 小池 ) へ っ ?

( 高 俊 ) あっ おばさん 。 ( 小池 ) えっ ?

村 に 住み 始め た の ?

( 高 俊 ) ええ 。 やっぱり 山 の 中 より 住み やすい っす ! おばさん も ?

そう な の よ 。 幸い 亭主 も 起き上がって くれ て 。

そりゃ あ 運 が 良かった です ね ! ( 康幸 ) じゃあ 。

今後 は 夜 歩き に 気 を 付ける の よ 。

( 小池 ) 《 皆 起き上がり だった の か 》

( クラクション )

清美 さん … 。

( 吠え 声 )

太郎 … 。

( 太郎 の 鳴き声 )

律 ちゃん ! !

( 敏夫 ) 律 ちゃん 。 入院 する ん だ 。

嫌 です 。 家 に 帰り ます 。

( 律子 ) もう 病院 も 辞め ます 。 ほっと い て ください 。

くっ ! く ぅぅ … !

( 物音 )

( 千鶴 ) 約束 どおり お邪魔 し てる わ 若 先生 。

俺 に は 約束 し た 覚え は ない が ね 。

ンフフ 。 怖い こと 考え て た の ね 。

お 医者 さま は 廃業 って こと かしら ?

う お おお おお ! !

( 銃声 )

( 正 志郎 ) 妻 の 浮気 を 手伝う と は … 。 フッ 。

( 千鶴 ) 正 志郎 よ 。 いい 腕 でしょ 。

の よう だ な 。 だが 人間 の あいつ が な ぜ お前 たち と いる ?

あら 気 に なる の ?

いや 聞い た だけ だ 。

ンフフフ 。 自分 の 意思 で いる の よ 。 室井 さん と 同じ 。

驚 い た ? 今夜 沙 子 を 訪ね て き た わ 。 →

親友 に 裏切ら れ た わ ね 。 →

許せ ない ?

いや 。 そんな こと だ ろ う と 思って た 。

あいつ らしい バカ な 選択 だ 。

( 千鶴 ) 強情 ね 。

静 信 らしい 決断 だ 。

よせ 。 ( 千鶴 ) 何 よ 。 いまさら 命ごい ?

ああ 。 そうだ まだ 死に たく ない 。

俺 は 村 が 滅びる ところ を 見 たい 。 →

この 夏 以来 いったい 何 人 死 ん だ ? →

それ に 対 し て 村 の 連中 が した こと は 何 だ 。 →

変 だ 変 だ と 言い ながら 誰 か が 答え を 出す の を 待つ だけ 。 →

そして 俺 は 答え を 出し た 。 だが それ を やつ ら は →

近代 合理 主義 の 洗礼 が どう だ と か ほ ざ き や が って 簡単 に 捨て た 。

もう うんざり だ 。 自分 の 頭 で 考え ない 連中 に は 付き合い きれ ん 。

それ で ?

俺 は 見届け たい 。

都合 の いい 現実 しか 認め ない 連中 が どう なって いく か を 。

ンフフフ 。 あなた 面白い わ 。 退屈 さ せ ない 男 って 好き よ 。

で 俺 は … 。

( 千鶴 ) わたし は いい 男 が 好き 。 →

そして 好き に なった 男 の 血 は すぐに 頂く こと に し てる の 。

( 千鶴 ) 全て の 資料 を 破棄 し なさい 。 →

指示 どおり 患者 の カルテ を 訂正 し て 。 →

わたし たち に は 絶対 に 従う こと 。

闇 に 紛れ て

息 を 殺す

闇 を まとって

ふっと 微笑む

気のせい さ

お前 など 誰 も 知る はず ない

月 だけ が

見つめ て いる

ああ 終わり の 無い 夜 彷徨う

ああ あなた の 夢 ただ 夢見 て

ああ 終わり の 無い 夜 彷徨う

ああ あなた の 夢 ただ 夢見 て


( 信明 ) あれ が 村 に まん延 し て いる 。

( 静 信 ) 《 「 理由 の ない 殺意 は ない 」 》

( 徹 ) 俺 は また 人 を 殺し た よ 。

( 沙 子 ) あなた なら 分かって くれ そう な →

気 が し た から かしら 。

( 敏夫 ) や つら が 勝利 を 確信 する 寸前 か 。

( 静 信 ) あぁ … 。

( 物音 )

( 敏夫 ) 《 どう すれ ば お 気 に 召す ? 》

《 俺 は 選択 し 決断 し た 》 →

《 じゃあ お前 は →

どう な ん だ ? 》

朝 の 光 を 手放し た 花

注が れ ない 雨 を 求め

覚め ない 眠り に つく

誰 か を そっと 呼ぶ 声

闇 の 楽園 は

嘘 か 夢 か

失う の は 身体 と

自分 と いう 心

その 対価 を 差し出し

何 を 得 られる の だ ろ う

この 涙 で 奪え る 程 に

命 は 脆く て 儚く て

全て に 訪れる

終わり を

「 恐怖 」 と 嘆く の か

終演 を 歌う 金 盞花

静か に 咲き誇る

憎しみ も

悲しみ も

その 根 で た くり 寄せ て

終焉 を 歌う 金 盞花

寂し さ を 潤す

注が れ ない 雨 を 求め て

覚め ない 眠り に つく

《 僕 は … どう すれ ば … 》

( 物音 )

( 静 信 ) どなた です ? 道 に 迷わ れ た ん です か ?

( 静 信 ) それとも … 。

( 徹 ) 行って ください 若 御 院 ! 来 て は 駄目 です 。 →

俺 を 見 ない で ください 。

君 は … 。 まさか 武藤 さん の … 。

( 徹 ) それ 以上 は 言わ ない で !

出 て き て くれ ませ ん か ?

( 徹 ) 駄目 です … 。 とても 顔 を 合わせ られ ない 。 →

俺 は … 夏野 を … 。 親友 を 殺し まし た 。

殺し たく なんて なかった 。 だけど あいつ ら が … 。

夏野 を 襲わ ない と 家族 を 襲う って 。

強要 さ れ た の です ね 。

でも 襲った の は 俺 です 。 あいつ は 「 逃げよ う 」 って 言って くれ た のに 。

( 徹 ) いや ! ! 全て は 言い訳 です ! 今 だって 人 を 襲った 帰り な ん だ ! !

( 徹 ) 殺し たく なかった 。 でも 腹 が すく ん です 。 →

何 か 食わ ない と 死 ん で しまう って 思ったら 我慢 でき なく て →

自分 から 殺し に 行き まし た 。 腹 が すく と →

人殺し が 何 だ ! って 気 に なる ん です 。

だって もう 夏野 さえ も 殺し た ん だ し って 。

殺し たく なかった はず な のに … ! ( 静 信 ) あなた は … 。

( 徹 ) 行って ください 若 御 院 ! そして 俺 を 忘れ て ください 。

じゃ ない と 俺 は あなた まで … 。

( 静 信 ) あなた の した こと を 人 は 罪 と 呼ぶ の かも しれ ない 。 →

ですが あなた が 生き たい と 願う 本能 を →

責め られる 人 が いる でしょう か 。

誰 に とって も 死 は 等しく … 。 ( 沙 子 ) 《 ひどい こと な の よ 》 →

《 若く て も 老い て も 善人 も 悪人 も 同じ 》

う っ 。 く ぅぅ … 。

( 沙 子 ) 《 死 は 平等 な の 特別 に ひどい 死 は ない 》

( 静 信 ) 《 特別 に ひどい 死 は ない 》

( 光男 ) 若 御 院 ! ( 静 信 ) どう し まし た ?

( 光男 ) 鶴見 君 が 亡くなった そう です 。

( 静 信 ) 鶴見 さん が ! ? ( 光男 ) 今 奥さん から 電話 が あって 。

( 光男 ) 実は 肝臓 を 壊し て い た と 。 ( 静 信 ) そう だった ん です か 。

では すぐ 鶴見 さん の お宅 に … 。 ( 光男 ) それ が … 。

( 鶴見 ) 《 いい か 。 寺 は 今 大変 だ から →

共済 病院 に 入院 し てる こと は 言う な 》

( 鶴見 ) 《 あと 俺 が 死 ん だ ら 葬儀 社 に 頼 ん で くれ 》

( 光男 ) 水くさい です よ 。 →

最後 くらい 手伝わ せ て くれりゃ いい のに 。

( 静 信 ) そうです ね 。

( 美和子 ) 静 信 ! ! ( 静 信 ) お 母さん ! ?

( 美和子 ) あぁ … 。 ( 静 信 ) どう し まし た ! ? お 母さん 。

( 光男 ・ 静 信 ) あっ ! ( 美和子 ) 信明 さん が … 。

俺 辺り を 見 て き ます ! ( 静 信 ) いえ 待って ください 。 →

体 の 悪い 父 が 遠く に 行ける と は 思え ませ ん 。 →

警察 に 連絡 し て ください 。 ( 光男 ) は … はい !

( 信明 ) 「 面識 も 得 ませ ん うち に 突然 の お 便り 失礼 し ます 」 →

「 お 手紙 を 差し上げ た の は →

一 度 拙宅 に お 招き いたし たく 思った から です 」 →

「 妻 の 部屋 も 息子 の 部屋 も ご 勘弁 ください 」 →

「 どうぞ 愚 僧 の 部屋 に おい で ください 」 →

「 いつ なり と も ご 遠慮 なく 。 お 待ち し て おり ます 」

これ は … 。

( 信明 ) 《 単なる あいさつ 状 だ 》

( 静 信 ) 《 招待 状 だ ! 》

( 美和子 ) 静 信 。 そこ に 何 か ?

いえ 別に 。

( 清美 ) ねえ 昨日 聞い た ん だ けど →

安 森 本家 の 淳子 さん 亡くなったら し いわ よ 。

( 律子 ) えっ ? でも 淳子 さん →

うち の 病院 に は 来 て ませ ん でし た よ ね 。

( 清美 ) うん 。 最近 は →

国道 の 江 渕 クリニック に 行く 人 の 方 が 多い みたい よ 。 →

患者 さん が それ を 希望 する らしく って 。

( 律子 ) そう なん です か 。

( やす よ ) 大丈夫 。 いつ まで も このまま じゃ な いわ よ 。 →

若 先生 も 頑張って る ん だ し 。 ねっ 。

この 症状 は いつ から ? ( 加奈 美 ) けさ 起き たら … 。

( 加奈 美 ) 先生 。 あの … 噂 で 聞い た ん です けど →

伝染 病 って こと は … 。 ( 敏夫 ) それ は ない 。

( 律子 ) 《 えっ ? 伝染 病 じゃ ない って 。 じゃあ … 》

( 加奈 美 ) 先生 。 母 は … 。

( 敏夫 ) 《 あと 何 人 だ ? あと 何 人 犠牲 者 が 出る ? 》 →

《 いつまで 待て ば いい ! 》

( 律子 ) 先生 … 。 ( 敏夫 ) どう し た ?

妙 さん が 伝染 病 じゃ ない って どういう 意味 な ん です か ?

( 敏夫 ) いや … 。 意味 ?

( 敏夫 ) 特に 何も ない 。

先生 。 もし かして 妙 さん は … 。 ( 敏夫 ) うん ?

律 ちゃん ? ( 律子 ) いえ 何でも あり ませ ん 。 →

失礼 し ます 。

《 おそらく 父 は 桐 敷 家 が 何者 か を 察知 し て い た の だ 》 →

《 あの とき 事 が 起き上がり に よる もの な の か を 確認 し て … 》

( かおり ) あの … すみません 。

君 は 確か 清水 恵 さん の お 友達 の … 。

( かおり ) そうです 。 田中 かおり と いい ます 。 →

あの 若 御 院 に お 願い が あって 来 まし た 。

僕 に ? 何 でしょう か ?

わたし に 戒名 を もらえ ませ ん か ?

( 静 信 ) どういう こと です ?

母 が 死に まし た 。 その 前 に 父 が 。 →

弟 も もう 帰って き ませ ん 。

( かおり ) きっと 次 は わたし です 。 →

だから 自分 の 戒名 が 必要 な ん です 。

いつ 死 ん で も いい よう に し ない と いけない ん です 。

そういう の って 無理 です か ?

( 静 信 ) いえ 。 生前 に 戒名 を 受ける 方 も おら れ ます が 。

( かおり ) じゃあ 下さい ! ! →

恵 ちゃん は 何 か 分から ない けど 怒って る の ! →

だから 絶対 に 次 は わたし な の !

恵 ちゃん が … ! ?

はい 。

( かおり ) 自分 の お 墓 は 掘って き まし た 。 →

でも お 墓 に は 戒名 を 書か なく ちゃ いけ なく て … 。

自分 じゃ 戒名 の 付け 方 が 分から なく て 。

それ で … それ で … 。

人 は いつ 死ぬ か 分から ぬ もの です 。

僕 も あなた も もう いくら も 生き られ ない かも しれ ない 。

( かおり ) はい … 。

( 静 信 ) けれど いつ 死 ん で も いい と 投げ出し て 構わ ない ほど →

安い 命 など ない の です よ 。

はい … 。

( かおり の 泣き声 )

( 静 信 ) 《 こんな の 僕 が 言って いい せりふ で は ない 》

( 敏夫 ) 《 お前 は 村 が 死に 絶え て も いい の か ! ? 》 →

《 このまま 汚染 の 拡大 を 放置 する こと は でき ない 》

( 静 信 ) 《 沙 子 。 君 が ひどく 孤独 に 見える 》

( 静 信 ) 《 僕 が … 》

( 沙 子 ) 《 本当 に 室井 さん は ロマンチスト だ わ 》

( 清美 ) 先生 。 お 電話 です 。

お 寺 の 奥さま から 。 ( 敏夫 ) ああ 。

お 待た せ し まし た 。 ( 美和子 ) あっ 敏夫 さん ?

( 美和子 ) あの … 静 信 は そちら に 伺って おり ませ ん ?

静 信 が ?

( 敏夫 ) いえ こっち に は 。 どう し まし た ?

それ が … 。

( 敏夫 ) 静 信 が い なく なった ? →

いえ 俺 の 所 に は … 。 いえ で は 。

( 敏夫 ) 静 信 … 。

( 敏夫 ) それ が … お前 の 出し た 答え か 。

( 小池 ) い や ぁ 疲れ た 疲れ た 。 →

霜月 神楽 の 練習 も ほどほど に せ ん と いかん なぁ 。

こんな 遅い と 人 っこ 一 人 おら ん 。

( 笑い声 )

( 康幸 ) こっち が びっくり し た よ 。 ( 高 俊 ) 俺 も あの とき は 焦った 。

( 小池 ) おお … 。 ( 高 俊 ・ 康幸 ) こんばんは !

( 小池 ) ああ こんばん は 。

《 快活 な 若者 たち だ 》

《 誰 だ っけ ? 》

はい 国広 です 。

( 清美 ) 律 ちゃん 。 助け て ! ( 律子 ) 清美 さん ?

( 清美 ) 家 で 誰 か に 捕まって る の ! !

えっ ! ? 捕まって る って … 。 ( 通話 の 切れる 音 )

清美 さん ! ? 清美 さん ! !

《 あれ は わし が 葬式 の 采配 を し た 広沢 の … 》

あい や ー ! !

( 敏夫 ) はい 尾崎 医院 。

( 律子 ) 先生 ! 律子 です ! ( 敏夫 ) ああ 。 どう し た ?

( 律子 ) 清美 さん から 「 助け て 」 って 電話 が !

( 律子 ) わたし 行って き ます ! !

な … ! ? 待つ ん だ 律 ちゃん ! →

くっ … !

お 願い 一緒 に 来 て ! →

太郎 ! ! 清美 さん を 助け たい の !

( 太郎 の 吠え 声 )

( 律子 ) ちょ っ … ちょっと !

だ … 誰 か … ! 助け て くれ !

誰 か … 誰 か ~ !

もう 何の 騒ぎ ?

( 小池 ) あぁ ! た … 助け て くれ ! あいつ ら は … 。

あ ~ ら 高 俊 ちゃん じゃ ない の 。 ( 小池 ) へ っ ?

( 高 俊 ) あっ おばさん 。 ( 小池 ) えっ ?

村 に 住み 始め た の ?

( 高 俊 ) ええ 。 やっぱり 山 の 中 より 住み やすい っす ! おばさん も ?

そう な の よ 。 幸い 亭主 も 起き上がって くれ て 。

そりゃ あ 運 が 良かった です ね ! ( 康幸 ) じゃあ 。

今後 は 夜 歩き に 気 を 付ける の よ 。

( 小池 ) 《 皆 起き上がり だった の か 》

( クラクション )

清美 さん … 。

( 吠え 声 )

太郎 … 。

( 太郎 の 鳴き声 )

律 ちゃん ! !

( 敏夫 ) 律 ちゃん 。 入院 する ん だ 。

嫌 です 。 家 に 帰り ます 。

( 律子 ) もう 病院 も 辞め ます 。 ほっと い て ください 。

くっ ! く ぅぅ … !

( 物音 )

( 千鶴 ) 約束 どおり お邪魔 し てる わ 若 先生 。

俺 に は 約束 し た 覚え は ない が ね 。

ンフフ 。 怖い こと 考え て た の ね 。

お 医者 さま は 廃業 って こと かしら ?

う お おお おお ! !

( 銃声 )

( 正 志郎 ) 妻 の 浮気 を 手伝う と は … 。 フッ 。

( 千鶴 ) 正 志郎 よ 。 いい 腕 でしょ 。

の よう だ な 。 だが 人間 の あいつ が な ぜ お前 たち と いる ?

あら 気 に なる の ?

いや 聞い た だけ だ 。

ンフフフ 。 自分 の 意思 で いる の よ 。 室井 さん と 同じ 。

驚 い た ? 今夜 沙 子 を 訪ね て き た わ 。 →

親友 に 裏切ら れ た わ ね 。 →

許せ ない ?

いや 。 そんな こと だ ろ う と 思って た 。

あいつ らしい バカ な 選択 だ 。

( 千鶴 ) 強情 ね 。

静 信 らしい 決断 だ 。

よせ 。 ( 千鶴 ) 何 よ 。 いまさら 命ごい ?

ああ 。 そうだ まだ 死に たく ない 。

俺 は 村 が 滅びる ところ を 見 たい 。 →

この 夏 以来 いったい 何 人 死 ん だ ? →

それ に 対 し て 村 の 連中 が した こと は 何 だ 。 →

変 だ 変 だ と 言い ながら 誰 か が 答え を 出す の を 待つ だけ 。 →

そして 俺 は 答え を 出し た 。 だが それ を やつ ら は →

近代 合理 主義 の 洗礼 が どう だ と か ほ ざ き や が って 簡単 に 捨て た 。

もう うんざり だ 。 自分 の 頭 で 考え ない 連中 に は 付き合い きれ ん 。

それ で ?

俺 は 見届け たい 。

都合 の いい 現実 しか 認め ない 連中 が どう なって いく か を 。

ンフフフ 。 あなた 面白い わ 。 退屈 さ せ ない 男 って 好き よ 。

で 俺 は … 。

( 千鶴 ) わたし は いい 男 が 好き 。 →

そして 好き に なった 男 の 血 は すぐに 頂く こと に し てる の 。

( 千鶴 ) 全て の 資料 を 破棄 し なさい 。 →

指示 どおり 患者 の カルテ を 訂正 し て 。 →

わたし たち に は 絶対 に 従う こと 。

闇 に 紛れ て

息 を 殺す

闇 を まとって

ふっと 微笑む

気のせい さ

お前 など 誰 も 知る はず ない

月 だけ が

見つめ て いる

ああ 終わり の 無い 夜 彷徨う

ああ あなた の 夢 ただ 夢見 て

ああ 終わり の 無い 夜 彷徨う

ああ あなた の 夢 ただ 夢見 て