Violet Evergarden Episode 9
( ヴァイオレット ) 少佐 ! 少佐 !
( ギルベルト ) う っ …
大丈夫だ
( 銃声 )
あっ …
( 敵 兵 ) ぐ わ っ … ( 敵 兵 ) あっ
あっ …
ハァ ハァ
ああ …
( ヴァイオレット ) 少佐 !
逃げろ 私 を 置いて 逃げろ
あっ …
でき ませ ん ! 少佐 を 連れて 逃げ ます
私 は いい
( ヴァイオレット ) 逃げ ませ ん !
少佐 が 残る のならば ここ で 戦い ます
逃げる と 言う なら 少佐 を 連れて 逃げ ます
( ギルベルト ) う っ …
( 銃声 )
ヴァイオレット !
くっ …
う っ …
( ヴァイオレット の 力み 声 )
( 荒い 息遣い )
( 敵 兵 ) えい
あっ …
( ヴァイオレット ) ハァ ハァ …
絶対 ! 絶対 少佐 を 死な せ ませ ん !
ん っ … ん ん ー !
( ギルベルト ) やめろ
もう やめて くれ !
生きる んだ
ヴァイオレット
君 は 生きて ―
自由に なり なさい
心から ―
愛して る
( ヴァイオレット )“ 愛 ”?
“ 愛 ” って 何 です か ?
“ 愛 ” って ...
何で すか ?
分かり … ませ ん
私 分かり ませ ん
少佐 !
( 爆発 音 )
( ギルベルト ) う っ …
( ホッジンズ ) ここ だ と 思った よ
ひどい 戦闘 だった
君 たち が 信号 弾 を 上げた あと 全員 が 突撃 し ―
負け を 悟った ガルダリク 軍 は ―
撤退 する 前 に 自ら の 総 本部 を 砲撃 した
君 は その 階段 の 下 で 見つかった
恐らく あいつ は 砲撃 の 瞬間 ―
君 を 守ろう と 突き飛ばした の か …
( ヴァイオレット ) 入院 して いる 間 ―
どなた に 伺って も 少佐 は ご 無事だ と
言え なかった んだ よ
君 は 自分 の こと より あいつ の 身 ばかり を 案じて いて
行こう
ヴァイオレット ちゃん
( ヴァイオレット ) どこ に 行く のです か ?
私 は 少佐 の いらっしゃる 所 に しか 行け ませ ん
会社 に 戻る んだ よ
君 は うち の 自動 手記 人形 だ ろ
じゃあ 俺 も ここ に いる
君 が 一緒に 戻って くれる まで
俺 は あいつ に 君 を 託さ れた んだ から な
決戦 開始 の 直前 ―
あいつ は 俺 の 所 へ 来て 言った んだ
( ギルベルト ) もし 私 に 何 か あったら
ヴァイオレット を 頼む
戦争 が 終結 したら ―
ライデン の エヴァーガーデン 家 まで ―
あの 子 を 送り届けて やって くれ
ギルベルト
頼む よ
( ホッジンズ ) あいつ は ―
決して 君 を 戦う 道具 と は 思って い なかった
1 人 の 女の子 と して の 君 の 将来 を 案じて いた んだ
( クラクション )
( ベネディクト ) おい
引っ張って 悪かった な
大丈夫 か ?
( ホッジンズ ) 大丈夫だ よ ね ?
退院 した ばかりの ころ は どう なる こと か と 思った けど ―
君 は ちゃんと ドール の 仕事 を こなせる ように なった
本当に 頑張った よ ね
あいつ の 命令 が なくて も 生きて いける はずだ
( ヴァイオレット ) もう 少佐 に 命令 は 頂け ない のでしょう か ?
( ギルベルト ) 君 は 悪く ない
この 話 は また 今度 に しよう
( ベネディクト ) 道 が 封鎖 さ れて る
( 兵士 ) あっ 中佐
俺 は 軍 は …
まあ いい 休め
( 兵士 ) はっ
( ホッジンズ ) 何 か あった の か ?
( 兵士 ) ケスクレール の 街 が ―
ガルダリク の 和平 反対 派 に 襲撃 を 受け ました
( ホッジンズ ) 反対 勢力 が 活発 化 して いる と は 聞いて いた が …
状況 は ?
制圧 し ました が
まだ 周辺 の 警戒 を 解ける 状態 で は あり ませ ん
( ドア の 開閉 音 ) ( ホッジンズ ) 別の 道 を 行こう か
( ベネディクト ) 了解
( 鐘 の 音 )
( アイリス ) ヴァイオレット 戻って きた んです よ ね ?
( エリカ ) みたいだ けど
( アイリス ) 仕事 に も 戻って き ます よ ね ?
( カトレア ) ちょっと 様子 見て きて よ
( ベネディクト ) お前 が 行けば いい だ ろ
( カトレア ) あんた くらい が ちょうど いい の
“ くらい ” って 何 だ よ
こっち は それ どころ じゃ ねえ んだ よ
( ローランド ) ベネディクト
12 区 辺り を 捜して みて くれる か ?
わし は 14 区 の ほう へ 行って みる
( カトレア ) 何 か あった の ?
( ローランド ) 新人 の 配達 員 が ―
配達 し きれ なかった 手紙 を 捨てて しまって な
え ?
これ から 捜し に 行く んだ よ
( ローランド ) 大丈夫
大体 あたり は ついて る から
( ノック )
( カトレア ) ヴァイオレット いる んでしょ ?
少し で いい から 顔 を 見せて
( ヴァイオレット ) ご 心配 おか けして 申し訳 あり ませ ん
あっ …
体 の 具合 は どう ? ちゃん と 食べて る ?
差し入れ 置 い と くわ ね
明日 は 顔 出せ そう ?
みんな 待って る し ―
あなた へ の 依頼 も たくさん 来て る の よ
( ヴァイオレット ) 私 は … ( カトレア ) え ?
( ヴァイオレット ) ホッジンズ 社長 が おっしゃった とおり ―
燃えて いる のです
自分 が して きた こと で …
( ホッジンズ ) いつか 俺 が 言った こと が 分かる とき が 来る
そして 初めて
自分 が たくさん ヤケド して いる こと に 気づく んだ
( カトレア ) どうして そんな こと 言った の よ !
あの 子 の 境遇 を 考えたら しかた の ない こと だった じゃ ない !
( ホッジンズ ) 境遇 が どう であれ 経緯 や 理由 が 何 であれ ―
して きた こと は 消せ ない
( カトレア ) だったら 忘れて 一 から また …
忘れる こと も でき ないだ ろ
あっ …
( ホッジンズ ) 燃えて いる の は あの 子 だけ じゃ ない
俺 や 君 だって
表面 上 は 消えた ように 見える ヤケド の 痕 も ―
ずっと 残って る
だったら
どう すれば いい の ? あの 子
( ホッジンズ ) どう する か は 自分 で 決める しか ない
燃え上がった 体 と 向き合って 受け入れた あと
( カトレア ) でも ―
あの 子 少佐 も …
何もかも なくして しまった の よ
( ホッジンズ ) 大丈夫
なくして ない よ
何も
( アイリス ) カトレア さん も 戻って こ ない
明日 は 私 が あの 子 の 様子 見 に 行って き ます
( エリカ ) しばらく そっと して おいて あげた ほう が …
でも …
“ 愛して る ” を 知り たい のです
私 は 少佐 の “ 愛して る ” が 知り たくて
ドール に なった のです
( アイリス ) 本当に ―
そっと して おく だけ で いい んです か ?
( エリカ ) え ?
このまま あの 子 もう ドール 辞めちゃ うんじゃ …
( ノック )
( スペンサー ) 代筆 を 頼み たい んだ が …
( ヴァイオレット ) 少佐
( ギルベルト ) どうした ん だ ?
ヴァイオレット
少佐 少佐 …
ご 無事だった のです ね
( ギルベルト ) その 服 は ?
( ヴァイオレット ) 今 私 は 自動 手記 人形 と して 働いて いる のです
君 が ?
( ヴァイオレット ) はい 手紙 を 代筆 して おり ます
( ギルベルト ) 手紙 か
多く の 命 を 奪った その 手 で …
少佐
人 を 結ぶ 手紙 を 書く の か ?
ハッ !
少佐
うわ ー !
う っ …
ん ん … う っ …
ん ん ー !
( ヴァイオレット の 泣き声 )
少佐 少佐 …
私 は どう したら …
命令 を …
命令 を くださ い
( ヴァイオレット の 泣き声 )
( ローランド ) 手紙 だ よ
ヴァイオレット ・ エヴァーガーデン
( 足音 )
お前 さん 宛て だ
エリカ と アイリス から 頼ま れた んだ
じゃあ 確かに 届けた よ
まだ 配達 を ?
ああ
捨て られた 手紙 が 見つかった んで ね
( ヴァイオレット ) ベネディクト さん は ?
ハハハ …
あいつ 足 くじいて な
あんな 靴 履いて る から だ よ
まったく 何 やって ん の よ
イテテ … 痛い !
( ローランド ) じゃあ わし は クラフト 通り を 回る から
あんた は 1 本 裏手 を 頼む よ
どれ 1 つ 取った って ―
誰 か の 大切な 思い だ から な
届か なくて いい 手紙 なんて ない んだ
( 男の子 ) 手紙 だ
お 母 さ ー ん ! お 父さん から だ よ
( ローランド ) 配達 終わった かい ?
お 疲れ さ ん
ん ?
よかった みんな ちゃんと 届いた んだ な
“ ヴァイオレット 大丈夫 ?”
“ 会い に 行こう と 思った けど ―”
“ アイリス と 相談 して 手紙 を 書く こと に し ました ”
“ ドール が ドール に 手紙 を 書く なんて ―”
“ 変 かも しれ ない けれど ―”
“ でも 伝え たかった の ”
“ 心配 して る って ”
“ それ から あなた の こと ―”
“ 待って る って ”
( エリカ )“ 今 は ―”
“ とても 仕事 に 戻る 気持ち に は なれ ない かも しれ ない から ―”
“ ゆっくり 休んで ”
“ でも 何 か あったら 遠慮 なく 私 たち を 呼んで ”
“ 私 も アイリス も あなた が 戻って くる の を 信じて る ”
( アイリス )“ それ から 今日 スペンサー さん って 人 が ―”
“ あなた に 代筆 を 頼み たい って 来た わ よ ”
“ 妹 さん に 感謝 と おわび の 手紙 を 書き たい んです って ”
“ あなた に 書いて ほしい そう よ ”
“ どうしても あなた じゃ なきゃ ダメな ん だって ”
( ヴァイオレット ) こちら で よろしい でしょう か ?
ああ
妹 に 手紙 を 書く なんて 何 か テレ くさい が
でも あいつ の おかげ で 仕事 も 決まった
もう 一 度 やり 直す 気持ち に なれた んだ
( スペンサー ) 悪かった な わざわざ 来て もらって
しばらく 休む と 聞いて いた んだ が …
同僚 が 知らせて くれた のです
手紙 で
それ は 私 が 生まれて 初めて もらった 手紙 です
手紙 を もらう と いう の は
とても うれしい こと な のだ と 分かり ました
ルクリア も 喜ぶ と 思い ます
( スペンサー ) ありがとう
あっ
( 男性 ) ん ?
〝 その 名 に ふさわしい 〞
〝 その 名 が 似合う 〞
( ローランド ) お ?
ヴァイオレット ?
( カトレア ) ヴァイオレット ?
( ホッジンズ ) あっ
( ヴァイオレット ) 社長 の おっしゃる とおり ―
私 は たくさんの ヤケド を して い ました
いい のでしょう か ?
私 は 自動 手記 人形 で いて いい のでしょう か ?
生きて …
生きて いて いい のでしょう か ?
あっ …
( ホッジンズ ) して きた こと は 消せ ない
でも …
でも ―
君 が 自動 手記 人形 と して やってきた こと も ―
消え ない んだ よ
( ホッジンズ ) ヴァイオレット ・ エヴァーガーデン