火 の 用心
ひ||ようじん
火||小心
fire||caution
watch out for fire
attention au feu
火 的 注意
学者 の エヌ 博士 は 、 助手 の 青年 を 呼んで 、 こう 話しかけた 。
がくしゃ|||はかせ||じょしゅ||せいねん||よんで||はなしかけた
学者|||||||||叫||说话
||N|||||young man||||
|||||||jovem||||
The scholar, Dr. Enu, called his assistant, a young man, and spoke to him.
學者的恩博士叫來助手的青年,這樣對他說。
「 きみ も そろそろ 、 なに か 珍しい 物 を 発明 して いい ころ だ と 思う が ね 」
|||||めずらしい|ぶつ||はつめい||||||おもう||
你||||||||||||||||
I think it's about time you invented something unusual.
「我認為你也差不多是時候發明一些稀奇的東西了。」
「 はい 。
Yes.
じつは 、 いま 、 ご 報告 しよう と 思って いた ところ です 」
|||ほうこく|||おもって|||
Actually, I was just about to report it now.
「 なに か 作った と いう わけだ ね 」
||つくった||||
So you made something, huh?
「 ええ 、 これ です 。
Yes, this is it.
ロボット の 鳥 です よ 」
ろぼっと||ちょう||
||bird||
It's a robot bird.
と 青年 は 手 に して いた 鳥 を 見せた 。
|せいねん||て||||ちょう||みせた
And the young man showed the bird he had in his hand.
カラス ぐらい の 大き さ だった 。
からす|||おおき||
It was about the size of a crow.
博士 は 、 それ を ながめ ながら 聞いた 。
はかせ||||||きいた
||||gazed||
The doctor listened while looking at it.
「 うまく 飛ぶ の か ね 」
|とぶ|||
I wonder if it will fly well?
「 もちろん です 。
of course|
Of course.
しかも 、 ただ 飛ぶ だけ では ありません 。
||とぶ|||
Moreover, it's not just about flying.
よく ごらん に なって 下さい 」
||||ください
|please look|||
Please take a good look."
青年 は 鳥 の 頭 に ついて いる ボタン を 押した 。
せいねん||ちょう||あたま||||ぼたん||おした
||||||||||pressed
The young man pressed the button on the bird's head.
ロボット の 鳥 は 羽ばたき を し 、 へや の なか を 飛びまわり はじめた 。
ろぼっと||ちょう||はばたき|||||||とびまわり|
||||flapping|||room||||flying around|started
そして 「 火 の 用心 、 火 の 用心 」 と さえずる 。
|ひ||ようじん|ひ||ようじん||
|||safety|||||chirp
And even "Beware of fire, beware of fire.
また 、 口 を ぱくぱく やる と 、 カチカチ と いう ヒョウシ 木 の 音 を たてた 。
|くち||ぱく ぱく|||かちかち||||き||おと||
|||opening and closing|||clicking|||sound|||||made
He also made a ticking sound with his mouth.
それ を 見て 、 博士 は 腕 ぐみ を した 。
||みて|はかせ||うで|||
||||||sleeve||
Seeing this, the doctor made an arm-lugging motion.
「 妙な もの を 作った な 。
みょうな|||つくった|
"You've created something strange.
しかし 、 まあ 少し は 役 に 立つ かも しれない な 」
||すこし||やく||たつ||しれ ない|
||||role|||||
But, well, maybe it helps a little."
「 いえ 、 少し では ありません 。
|すこし||
"No, not a little.
とても 大きな 働き を します 。
|おおきな|はたらき||
It works in a very big way.
この 鳥 は 火事 を 発見 する と 、 大声 で 叫びます 。
|ちょう||かじ||はっけん|||おおごえ||さけびます
|||fire||discovery|||||screams
When this bird discovers a fire, it cries out loudly.
また 、 その 場所 を 、 電波 で 知らせて くれます 」
||ばしょ||でんぱ||しらせて|
||||radio wave||will inform|
Also, it will let you know the location via radio.
「 そう か 。
I see.
そう なる と 大 発明 だ 。
|||だい|はつめい|
||||invention|
That would be a great invention.
たくさん 作って 飛ばせば 、 火事 に よる 災害 を 、 ぐんと へらす こと が できる わけだ 。
|つくって|とばせば|かじ|||さいがい|||||||
||if you fly||||disaster||greatly|||||
If we make a lot of them and let them fly, we can greatly reduce the disaster caused by fire.
よく やった 」
Well done."
博士 は 青年 を ほめ 、 感心 し ながら タバコ に 火 を つけた 。
はかせ||せいねん|||かんしん|||たばこ||ひ||
||||praised|admiration|||cigarette|locative particle|||attached
The doctor praised the young man and lit a cigarette with admiration.
その とたん 、 ロボット 鳥 は そば へ 飛んで きて 「 火事 だ 、 火事 だ 」 と 叫んだ 。
||ろぼっと|ちょう||||とんで||かじ||かじ|||さけんだ
|at that moment||||||flew|||||||shouted
At that moment, the robot bird flew over and shouted, 'Fire! Fire!'
同時に 、 青年 の 持って いた 装置 は 、 ガーガー と 音 を たて はじめた 。
どうじに|せいねん||もって||そうち||||おと|||
|||||device||gargling||||sound|
At the same time, the device that the young man was holding began to make a honking sound.
博士 は あわてて タバコ を 投げ捨てた 。
はかせ|||たばこ||なげすてた
||in a hurry|||threw away
The doctor hurriedly threw away his cigarette.
「 性能 の たしかな こと は 、 よく わかった 。
せいのう||||||
performance||certain||||
I've learned that performance is a good thing.
だが 、 これ で は 困る 。
||||こまる
||||trouble
But this is not good enough.
もっと 改良 し なさい 」
|かいりょう||
|improvement||
Sir, please improve.
「 そう いたします 」
"Yes, sir."
青年 は ひきさがった 。
せいねん||
||withdrew
The young man ran over.
何 日 かたって 、 青年 は また 持ってきた 。
なん|ひ||せいねん|||もってきた
||after||||brought
Days later, the young man brought it back.
「 こんど は 大丈夫 です 。
||だいじょうぶ|
this time|||
小さな 火 に は 反応 しない よう に 、 改良 しました から 」
ちいさな|ひ|||はんのう|し ない|||かいりょう||
||||reaction||||improvement||
We've modified it so that it doesn't react to small fires."
「 では 、 みせて もらおう 」
|let's see|
"Well, let's see what you got."
「 はい 」
青年 は へや の 窓 を 開け 、 鳥 の ボタン を 押した 。
せいねん||||まど||あけ|ちょう||ぼたん||おした
||||||opened|||||
The young man opened the window of his room and pressed the bird button.
しかし 、 鳥 は 窓 から 出て ゆこう と せず 、 へや の すみ へ 飛んで いって 「 火事 だ 」 と 叫んだ 。
|ちょう||まど||でて|||せ ず|||||とんで||かじ|||さけんだ
||||||will go||||||||||||
But instead of going out the window, the bird flew to the corner of the room and shouted, "There's a fire!
そこ に は 、 きょう から つけ はじめた 煖房 装置 が あった 。
|||||||だんぼう|そうち||
|||today||||heating|device||
There was a heating system that was turned on today.
博士 は 笑って 言った 。
はかせ||わらって|いった
The doctor laughed and said.
「 まだ 、 実用 に は むりな ようだ な 」
|じつよう|||||
|practical use|||not possible||
"It still looks like it's not practical."
さらに 何 日 かたった 。
|なん|ひ|
|||passed
After a few more days .
ある 夜 、 博士 は 眠って いる ところ を 起された 。
|よ|はかせ||ねむって||||おこされた
||||||||woken
One night, he was awakened from his sleep.
目 を こすって 相手 を 見る と 助手 であり 、 時計 を のぞく と 午前 四 時 だった 。
め|||あいて||みる||じょしゅ||とけい||||ごぜん|よっ|じ|
||rubbing|||||assistant||||looked at|||||
I rubbed my eyes and saw that the person I was looking at was my assistant, and that it was 4:00 a.m. I looked at my watch.
「 どうした ん だ 、 こんな 時間 に 」
||||じかん|
"What are you doing here at this hour?"
「 一刻 も 早く お 知らせ しよう と 思った から です 。
いっこく||はやく||しらせ|||おもった||
a moment|||||||||
I wanted to let you know as soon as possible.
こんど こそ 、 本当に 完成 しました 。
||ほんとうに|かんせい|
|now||completion|
This time, it has truly been completed.
よく 教えこんだ の です 。
|おしえこんだ||
|taught||
I taught it well.
火事 と は 、 しだいに 熱 さ を まして ゆく もの だ と 。
かじ||||ねつ|||||||
|||gradually|heat||||will go|||
A fire is something that gradually increases in heat.
これ なら 、 煖房 が あって も さわぎません 」
||だんぼう||||
||heating||||won't make noise
This way, there is no sound even when the room is heated.
こんど は 鳥 も 、 開けた 窓 から 飛び出して いった 。
||ちょう||あけた|まど||とびだして|
This time the birds flew out through the open window too.
「 火 の 用心 、 カチカチ 」 と いう 音 が 遠ざかって いった 。
ひ||ようじん|かちかち|||おと||とおざかって|
The sound of "Beware of fire, tick-tock" was far away.
しばらく する と 、 青年 の 手 に ある 受信 装置 が ガーガー と 鳴り はじめた 。
|||せいねん||て|||じゅしん|そうち||||なり|
After a while, the receiver in the young man's hand started beeping.
「 ほら 、 どこ か で 火事 を みつけました 」
||||かじ||
"Look, I found a fire somewhere."
しかし 、 装置 を 調べる と 、 鳥 は どんどん 飛び つづけて いる こと が わかった 。
|そうち||しらべる||ちょう|||とび|||||
But when we examined the device, we found that the bird kept on flying and flying.
遠く に 火事 を 発見 して 、 それ に むかって いる の かも しれない 。
とおく||かじ||はっけん||||||||しれ ない
They may have spotted a fire in the distance and are heading towards it.
その 方角 に 当る 消防 署 に 電話 を かけ 、 聞いて みた 。
|ほうがく||あたる|しょうぼう|しょ||でんわ|||きいて|
I called the fire department in that direction and asked.
しかし 、 どこ に も 火事 は ない と いう 返事 だった 。
||||かじ|||||へんじ|
But the reply was that there was no fire anywhere.
青年 は ふしぎがった 。
せいねん||
The young man was mystified.
「 どういう こと な のだろう 。
What does this mean?
こんど こそ 成功 だ と 思った のに 」
||せいこう|||おもった|
I thought I'd finally succeeded this time."
その うち 、 博士 は ひざ を たたいて 言った 。
||はかせ|||||いった
Eventually, he tapped his knee and said.
「 わかった ぞ 。
Okay, I got it.
この 飛び 方 を 見る と 、 のぼって きた 太陽 を めざして いる らしい 。
|とび|かた||みる||||たいよう||||
のぼる に つれて 、 あたたかく なる から な 。
It gets warmer as you go up.
この 調子 だ と 、 戻って こない かも しれない ぞ 」
|ちょうし|||もどって|||しれ ない|
In this condition, he might not come back.