×

Мы используем cookie-файлы, чтобы сделать работу LingQ лучше. Находясь на нашем сайте, вы соглашаетесь на наши правила обработки файлов «cookie».

image

太宰治『人間失格』(No Longer Human by Osamu Dazai), 第三の手記 一 (1)

第 三 の 手記 一 (1)

竹一 の 予言 の 、一 つ は 当り 、一 つ は 、はずれました。 惚 ほれられる と いう 、名誉で 無い 予言 の ほう は 、あたりました が 、きっと 偉い 絵画 き に なる と いう 、祝福 の 予言 は 、はずれました。

自分 は 、わずかに 、粗悪な 雑誌 の 、無名 の 下手な 漫画 家 に なる 事 が 出来た だけ でした。

鎌倉 の 事件 の ため に 、高等 学校 から は 追放 せられ 、自分 は 、ヒラメ の 家 の 二 階 の 、三 畳 の 部屋 で 寝起き して 、故郷 から は 月々 、極めて 小額 の 金 が 、それ も 直接に 自分 宛 で は なく 、ヒラメ の ところ に ひそかに 送られて 来て いる 様子 でした が 、(しかも 、それ は 故郷 の 兄 たち が 、父 に かくして 送って くれて いる と いう 形式 に なって いた ようでした )それっきり 、あと は 故郷 と の つながり を 全然 、断ち切られて しまい 、そうして 、ヒラメ は いつも 不機嫌 、自分 が あいそ 笑い を して も 、笑わ ず 、人間 と いう もの は こんなに も 簡単に 、それ こそ 手のひら を かえす が 如く に 変化 できる もの か と 、あさましく 、いや 、むしろ 滑稽に 思わ れる くらい の 、ひどい 変り 様 で、

「出ちゃ いけません よ。 とにかく 、出 ないで 下さい よ」

それ ばかり 自分 に 言って いる のでした。

ヒラメ は 、自分 に 自殺 の おそれ あり と 、にらんで いる らしく 、つまり 、女 の 後 を 追って また 海 へ 飛び込んだり する 危険 が ある と 見てとって いる らしく 、自分 の 外出 を 固く 禁じて いる のでした。 けれども 、酒 も 飲め ない し 、煙草 も 吸え ないし 、ただ 、朝 から 晩 まで 二 階 の 三 畳 の こたつ に もぐって 、古 雑誌 なんか 読んで 阿 呆 同然の くらし を して いる 自分 に は 、自殺 の 気力 さえ 失われて いました。

ヒラメ の 家 は 、大久保 の 医 専 の 近く に あり 、書画 骨董 商 、青 竜 園 、だ など と 看板 の 文字 だけ は 相当に 気張って いて も 、一 棟 二戸 の 、その 一 戸 で 、店 の 間口 も 狭く 、店 内 は ホコリ だらけ で 、いい加減な ガラクタ ばかり 並べ 、(もっとも 、ヒラメ は その 店 の ガラクタ に たよって 商売 して いる わけで は なく 、こっち の 所 謂 旦那 の 秘蔵 の もの を 、あっち の 所 謂 旦那 に その 所有 権 を ゆずる 場合 など に 活躍 して 、お 金 を もうけて いる らしい のです )店 に 坐って いる 事 は 殆ど 無く 、たいてい 朝 から 、むずかし そうな 顔 を して そそくさ と 出かけ 、留守 は 十七 、八 の 小僧 ひと り 、これ が 自分 の 見張り 番 と いう わけで 、ひま さえ あれば 近所 の 子供 たち と 外 で キャッチボール など して いて も 、二 階 の 居候 を まるで 馬鹿 か 気 違い くらい に 思って いる らしく 、大人 おとな の 説教 くさい 事 まで 自分 に 言い聞かせ 、自分 は 、ひと と 言い争い の 出来 ない 質 たち な ので 、疲れた ような 、また 、感心 した ような 顔 を して それ に 耳 を 傾け 、服従 して いる のでした。 この 小僧 は 渋田 の かくし 子 で 、それ でも へんな 事情 が あって 、渋田 は 所 謂親 子 の 名乗り を せ ず 、また 渋田 が ずっと 独身 な の も 、何やら その辺 に 理由 が あって の 事 らしく 、自分 も 以前 、自分 の 家 の 者 たち から それ に 就いて の 噂 うわさ を 、ちょっと 聞いた ような 気 も する のです が 、自分 は 、どうも 他人 の 身の上 に は 、あまり 興味 を 持て ない ほう な ので 、深い 事 は 何も 知りません。 しかし 、その 小僧 の 眼 つき に も 、妙に 魚 の 眼 を 聯想 れんそう さ せる ところ が ありました から 、或いは 、本当に ヒラメ の かくし 子 、……でも 、それ ならば 、二 人 は 実に 淋しい 親子 でした。 夜 おそく 、二 階 の 自分 に は 内緒 で 、二 人 で お そば など を 取寄せて 無言 で 食べて いる 事 が ありました。

ヒラメ の 家 で は 食事 は いつも その 小僧 が つくり 、二 階 の やっかい 者 の 食事 だけ は 別に お 膳 ぜん に 載せて 小僧 が 三 度 々々 二 階 に 持ち 運んで 来て くれて 、ヒラメ と 小僧 は 、階段 の 下 の じめじめ した 四 畳 半 で 何やら 、カチャカチャ 皿 小 鉢 の 触れ合う 音 を さ せ ながら 、いそがし げ に 食事 して いる のでした。

三 月 末 の 或る 夕方 、ヒラメ は 思わぬ もうけ 口 に でも ありついた の か 、または 何 か 他 に 策略 で も あった の か 、(その 二 つ の 推察 が 、ともに 当って いた と して も 、おそらくは 、さらに また いくつか の 、自分 など に は とても 推察 の とどか ない こまかい 原因 も あった のでしょう が )自分 を 階下 の 珍 らしく お 銚子 ちょうし など 附いてい る 食卓 に 招いて 、ヒラメ なら ぬ マグロ の 刺身 に 、ごちそう の 主人 あるじ みずから 感服 し 、賞 讃 しょうさん し 、ぼんやり して いる 居候 に も 少し く お 酒 を すすめ、

「どう する つもりな んです 、いったい 、これ から」

自分 は それ に 答え ず 、卓上 の 皿 から 畳 鰯 たたみ いわし を つまみ 上げ 、その 小魚 たち の 銀 の 眼 玉 を 眺めて いたら 、酔い が ほのぼの 発して 来て 、遊び 廻って いた 頃 が なつかしく 、堀木 で さえ なつかしく 、つくづく 「自由 」が 欲しく なり 、ふっと 、かぼそく 泣き そうに なりました。

自分 が この 家 へ 来て から は 、道化 を 演ずる 張合い さえ 無く 、ただ もう ヒラメ と 小僧 の 蔑視 の 中 に 身 を 横たえ 、ヒラメ の ほう でも また 、自分 と 打ち解けた 長 噺 を する の を 避けて いる 様子 でした し 、自分 も その ヒラメ を 追いかけて 何 か を 訴える 気 など は 起ら ず 、ほとんど 自分 は 、間抜け づら の 居候 に なり切って いた のです。

「起訴 猶予 と いう の は 、前科 何 犯 と か 、そんな もの に は 、なら ない 模様 です。 だから 、まあ 、あなた の 心掛け 一 つ で 、更生 が 出来る わけです。 あなた が 、もし 、改心 して 、あなた の ほう から 、真面目に 私 に 相談 を 持ちかけて くれたら 、私 も 考えて みます」

ヒラメ の 話 方 に は 、いや 、世の中 の 全部 の 人 の 話 方 に は 、このように ややこしく 、どこ か 朦朧 もうろうと して 、逃腰 と でも いった みたいな 微妙な 複雑 さ が あり 、その ほとんど 無益 と 思わ れる くらい の 厳重な 警戒 と 、無数 と いって いい くらい の 小 うるさい 駈引 と に は 、いつも 自分 は 当惑 し 、どうでも いい や と いう 気分 に なって 、お 道化 で 茶化したり 、または 無言 の 首肯 で 一さい お まかせ と いう 、謂 わ ば 敗北 の 態度 を とって しまう のでした。

この 時 も ヒラメ が 、自分 に 向って 、だいたい 次 の ように 簡単に 報告 すれば 、それ で すむ 事 だった の を 自分 は 後年 に 到って 知り 、ヒラメ の 不必要な 用心 、いや 、世の中 の 人 たち の 不可解な 見栄 、お ていさい に 、何とも 陰 鬱 な 思い を しました。

ヒラメ は 、その 時 、ただ こう 言えば よかった のでした。

「官 立 でも 私立 でも 、とにかく 四 月 から 、どこ か の 学校 へ はいり なさい。 あなた の 生活 費 は 、学校 へ は いる と 、くに から 、もっと 充分に 送って 来る 事 に なって いる のです。」

ずっと 後 に なって わかった のです が 、事実 は 、そのように なって いた のでした。 そうして 、自分 も その 言いつけ に 従った でしょう。 それなのに 、ヒラメ の いやに 用心深く 持って 廻った 言い 方 の ため に 、妙に こじれ 、自分 の 生きて 行く 方向 も まるで 変って しまった のです。

「真面目に 私 に 相談 を 持ちかけて くれる 気持 が 無ければ 、仕様がない です が」

「どんな 相談?

自分 に は 、本当に 何も 見当 が つか なかった のです。

「それ は 、あなた の 胸 に ある 事 でしょう?

「たとえば?

「たとえばって 、あなた 自身 、これ から どう する 気 な んです」

「働いた ほう が 、いい んです か?

「いや 、あなた の 気持 は 、いったい どう な んです」

「だって 、学校 へ は いる と いったって、……」

「そりゃ 、お 金 が 要ります。 しかし 、問題 は 、お 金 で ない。 あなた の 気持 です」

お 金 は 、くに から 来る 事 に なって いる んだ から 、と なぜ 一 こ と 、言わ なかった のでしょう。 その 一言 に 依って 、自分 の 気持 も 、きまった 筈 な のに 、自分 に は 、ただ 五里霧中 でした。

「どう です か? 何 か 、将来 の 希望 、と でも いった もの が 、ある んです か? いったい 、どうも 、ひと を ひとり 世話 して いる と いう の は 、どれ だけ むずかしい もの だ か 、世話 されて いる ひと に は 、わかります まい」

「すみません」

「そりゃ 実に 、心配な もの です。 私 も 、いったん あなた の 世話 を 引受けた 以上 、あなた に も 、生半可 なまはんかな 気持 で いて もらい たく ない のです。 立派に 更生 の 道 を たどる 、と いう 覚悟 の ほど を 見せて もらいたい のです。 たとえば 、あなた の 将来 の 方針 、それ に 就いて あなた の ほう から 私 に 、まじめに 相談 を 持ちかけて 来た なら 、私 も その 相談 に は 応ずる つもり で います。 それ は 、どうせ こんな 、貧乏な ヒラメ の 援助 な のです から 、以前 の ような ぜいたく を 望んだら 、あて が はずれます。 しかし 、あなた の 気持 が しっかり して いて 、将来 の 方針 を はっきり 打ち 樹 たて 、そうして 私 に 相談 を して くれたら 、私 は 、た と いわ ず か ずつ でも 、あなた の 更生 の ため に 、お 手伝い しよう と さえ 思って いる んです。 わかります か? 私 の 気持 が。 いったい 、あなた は 、これ から 、どう する つもりで いる のです」

「ここ の 二 階 に 、置いて もらえ なかったら 、働いて、……」

「本気で 、そんな 事 を 言って いる のです か? いま の この 世の中 に 、た とい 帝国 大学校 を 出たって、……」

「いいえ 、サラリイマン に なる んで は 無い んです」

「それ じゃ 、何 です」

「画家 です」

思い切って 、それ を 言いました。

「へ ええ?

自分 は 、その 時 の 、頸 くび を ちぢめて 笑った ヒラメ の 顔 の 、いかにも ずる そうな 影 を 忘れる 事 が 出来ません。 軽蔑 の 影 に も 似て 、それとも 違い 、世の中 を 海 に たとえる と 、その 海 の 千尋 ちひろ の 深 さ の 箇所 に 、そんな 奇妙な 影 が たゆ とうてい そう で 、何 か 、おとな の 生活 の 奥底 を チラ と 覗 のぞかせた ような 笑い でした。

そんな 事 で は 話 に も 何も なら ぬ 、ちっとも 気持 が しっかり して いない 、考え なさい 、今夜 一晩 まじめに 考えて み なさい 、と 言わ れ 、自分 は 追わ れる ように 二 階 に 上って 、寝て も 、別に 何の 考え も 浮びません でした。 そうして 、あけがた に なり 、ヒラメ の 家 から 逃げました。

夕方 、間違い なく 帰ります。 左記 の 友人 の 許 もと へ 、将来 の 方針 に 就いて 相談 に 行って 来る のです から 、御 心配 無く。 ほんとうに。

と 、用 箋 に 鉛筆 で 大きく 書き 、それ から 、浅草 の 堀木 正雄 の 住所 姓名 を 記して 、こっそり 、ヒラメ の 家 を 出ました。

ヒラメ に 説教 せられた の が 、くやしくて 逃げた わけ では ありません でした。 まさしく 自分 は 、ヒラメ の 言う とおり 、気持 の しっかり して いない 男 で 、将来 の 方針 も 何も 自分 に は まるで 見当 が つか ず 、この上 、ヒラメ の 家 の やっかいに なって いる の は 、ヒラメ に も 気の毒です し 、その うち に 、もし 万一 、自分 に も 発奮 の 気持 が 起り 、志 を 立てた ところ で 、その 更生 資金 を あの 貧乏な ヒラメ から 月々 援助 せられる の か と 思う と 、とても 心苦しくて 、いた たまらない 気持 に なった から でした。

しかし 、自分 は 、所 謂 「将来 の 方針 」を 、堀木 ごとき に 、相談 に 行こう など と 本気に 思って 、ヒラメ の 家 を 出た ので は 無かった のでした。 それ は 、ただ 、わずか でも 、つかのま でも 、ヒラメ に 安心 さ せて 置き たくて 、(その 間 に 自分 が 、少し でも 遠く へ 逃げのびて いたい と いう 探偵 小説 的な 策略 から 、そんな 置手紙 を 書いた 、と いう より は 、いや 、そんな 気持 も 幽 かすかに あった に 違いない のです が 、それ より も 、やはり 自分 は 、いきなり ヒラメ に ショック を 与え 、彼 を 混乱 当惑 さ せて しまう の が 、おそろしかった ばかりに 、と でも 言った ほう が 、いくらか 正確 かも 知れません。 どうせ 、ばれる に きまって いる のに 、その とおり に 言う の が 、おそろしくて 、必ず 何かしら 飾り を つける の が 、自分 の 哀しい 性癖 の 一 つ で 、それ は 世間 の 人 が 「嘘つき 」と 呼んで 卑しめて いる 性格 に 似て い ながら 、しかし 、自分 は 自分 に 利益 を もたらそう と して その 飾りつけ を 行った 事 は ほとんど 無く 、ただ 雰囲気 ふんいき の 興 覚めた 一変 が 、窒息 する くらい に おそろしくて 、後 で 自分 に 不利益に なる と いう 事 が わかって いて も 、れいの 自分 の 「必死の 奉仕 」それ は た とい ゆがめられ 微弱で 、馬鹿らしい もの であろう と 、その 奉仕 の 気持 から 、つい 一言 の 飾りつけ を して しまう と いう 場合 が 多かった ような 気 も する のです が 、しかし 、この 習性 も また 、世間 の 所 謂 「正直 者 」たち から 、大いに 乗ぜられる ところ と なりました )その 時 、ふっと 、記憶 の 底 から 浮んで 来た まま に 堀木 の 住所 と 姓名 を 、用 箋 の 端に したためた まで の 事 だった のです。

Learn languages from TV shows, movies, news, articles and more! Try LingQ for FREE

第 三 の 手記 一 (1) だい|みっ||しゅき|ひと Bericht aus dritter Hand I (1) Third Epistle I (1) Relato de tercera mano I (1) Témoignage de tiers I (1) 세 번째 수기 (1) Relato em terceira mão I (1) 第三注1 (1) 第三註1 (1)

竹一 の 予言 の 、一 つ は 当り 、一 つ は 、はずれました。 たけいち||よげん||ひと|||あたり|ひと|||はずれ ました ||prediction|||||correct||||missed One of Takeichi's prophecies came true and the other failed. 惚 ほれられる と いう 、名誉で 無い 予言 の ほう は 、あたりました が 、きっと 偉い 絵画 き に なる と いう 、祝福 の 予言 は 、はずれました。 ぼけ|ほれ られる|||めいよで|ない|よげん||||あたり ました|||えらい|かいが||||||しゅくふく||よげん||はずれ ました ||||荣誉||||||||||画作||||||祝福|||| |to be loved|||honorable||||||was correct||||painting||||||blessing|||| ||||honra|||||||||||||||||||| The unhonorable prophecy that I would fall in love with it came true, but the blessed prophecy that it would surely make a great painting did not come true.

自分 は 、わずかに 、粗悪な 雑誌 の 、無名 の 下手な 漫画 家 に なる 事 が 出来た だけ でした。 じぶん|||そあくな|ざっし||むめい||へたな|まんが|いえ|||こと||できた|| ||仅仅|劣质的|||||||||||||| ||barely|poor|magazine||unknown|||||||||||

鎌倉 の 事件 の ため に 、高等 学校 から は 追放 せられ 、自分 は 、ヒラメ の 家 の 二 階 の 、三 畳 の 部屋 で 寝起き して 、故郷 から は 月々 、極めて 小額 の 金 が 、それ も 直接に 自分 宛 で は なく 、ヒラメ の ところ に ひそかに 送られて 来て いる 様子 でした が 、(しかも 、それ は 故郷 の 兄 たち が 、父 に かくして 送って くれて いる と いう 形式 に なって いた ようでした )それっきり 、あと は 故郷 と の つながり を 全然 、断ち切られて しまい 、そうして 、ヒラメ は いつも 不機嫌 、自分 が あいそ 笑い を して も 、笑わ ず 、人間 と いう もの は こんなに も 簡単に 、それ こそ 手のひら を かえす が 如く に 変化 できる もの か と 、あさましく 、いや 、むしろ 滑稽に 思わ れる くらい の 、ひどい 変り 様 で、 かまくら||じけん||||こうとう|がっこう|||ついほう|せら れ|じぶん||ひらめ||いえ||ふた|かい||みっ|たたみ||へや||ねおき||こきょう|||つきづき|きわめて|しょうがく||きむ||||ちょくせつに|じぶん|あて||||ひらめ|||||おくら れて|きて||ようす||||||こきょう||あに|||ちち|||おくって|||||けいしき||||||||こきょう|||||ぜんぜん|たちきら れて|||ひらめ|||ふきげん|じぶん|||わらい||||わらわ||にんげん|||||||かんたんに|||てのひら||||ごとく||へんか||||||||こっけいに|おもわ|||||かわり|さま| ||||||||||||||||||||||||||起居|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||从那以后|||故乡||||||断绝了||||||不高兴|||爱心|||||||||||||||||手掌||||||||||||||滑稽地||被||||变り|| Kamakura||||||||||expelled||||flatfish||||||||tatami||||getting up|||||||small amount||||||directly||address||||a person||||||||||||||||brother||||||||||||||||from then on|||||||||cut off|||flounder|||sullen|||pity|||||||||||||||||palm||turn|||||||||pitifully|||ridiculously||||||change|| Because of the incident in Kamakura, I was expelled from high school, and I woke up in a three-tatami room on the second floor of a flatfish house, and received a very small amount of money each month, directly from my hometown. It looked like it had been secretly sent to the flounder, not addressed to me, but (moreover, it seemed to be in the format that my brothers in my hometown had sent it to my father in secret. After that, I was completely cut off from the connection with my hometown, and the flounder was always in a bad mood. I wondered if it was possible to change like flipping the palm of the hand. 因為鎌倉的事件,我被從高中驅逐出去,自我則在鰈的家裡的二樓,三榻榻米的小房間裡生活,每個月家鄉會偷偷送來極小的金額,這些款項並不是直接寄給我,而是秘密地寄到鰈的那裡(而且,這似乎是家鄉的兄弟們隱瞞父親的情況下寄來的)自那之後,我與故鄉的聯繫完全斷絕,而鰈總是心情不佳,儘管我勉強笑著,他卻不會笑,讓我想,人類真的可以這麼輕易地變化,簡直是在翻轉手掌般的變化,這樣的變化實在令人感到可憐,甚至更像是一種滑稽的情況。

「出ちゃ いけません よ。 でちゃ|いけ ませ ん| will come out|| "Don't go out. 「不可以出門哦。 とにかく 、出 ないで 下さい よ」 |だ||ください| Anyway, please don't go out. 總之,請不要出去。」

それ ばかり 自分 に 言って いる のでした。 ||じぶん||いって|| That's what I kept telling myself.

ヒラメ は 、自分 に 自殺 の おそれ あり と 、にらんで いる らしく 、つまり 、女 の 後 を 追って また 海 へ 飛び込んだり する 危険 が ある と 見てとって いる らしく 、自分 の 外出 を 固く 禁じて いる のでした。 ひらめ||じぶん||じさつ|||||||||おんな||あと||おって||うみ||とびこんだり||きけん||||みてとって|||じぶん||がいしゅつ||かたく|きんじて|| |||||||||||||||||||||||||||判断|||||||||| |||||||||watching||||||||||||jumping||||||keeping an eye on|||||going out|||strictly prohibited|| It seems that Hirame is aware of the danger of suicide, and he appears to be watching with the thought that there is a risk of jumping back into the sea after the woman, so he is firmly forbidding me from going out. ヒラメ似乎認為自己有自殺的危險,也就是說,因為有可能跟隨女人再次跳入海中,因此嚴厲禁止自己外出。 けれども 、酒 も 飲め ない し 、煙草 も 吸え ないし 、ただ 、朝 から 晩 まで 二 階 の 三 畳 の こたつ に もぐって 、古 雑誌 なんか 読んで 阿 呆 同然の くらし を して いる 自分 に は 、自殺 の 気力 さえ 失われて いました。 |さけ||のめ|||たばこ||すえ|||あさ||ばん||ふた|かい||みっ|たたみ|||||ふる|ざっし||よんで|おもね|ぼけ|どうぜんの|||||じぶん|||じさつ||きりょく||うしなわ れて|い ました |||||||||||||||||||||被炉||钻进||||||||生活|||||||||||| ||||||||cannot smoke|||||||||||||heated table||crawling under|||||sigh||foolish||||||||||will||| However, I couldn't drink alcohol or smoke cigarettes, and all I did was hide under the kotatsu in my room all day long, reading old magazines, living a life that was utterly foolish, and I had even lost the willpower to commit suicide. 然而,既不能喝酒,也不能抽煙,只能從早到晚縮在二樓的三畳熱炕上,隨便翻閱一些舊雜誌,過著愚蠢的生活,連自殺的意志也失去了。

ヒラメ の 家 は 、大久保 の 医 専 の 近く に あり 、書画 骨董 商 、青 竜 園 、だ など と 看板 の 文字 だけ は 相当に 気張って いて も 、一 棟 二戸 の 、その 一 戸 で 、店 の 間口 も 狭く 、店 内 は ホコリ だらけ で 、いい加減な ガラクタ ばかり 並べ 、(もっとも 、ヒラメ は その 店 の ガラクタ に たよって 商売 して いる わけで は なく 、こっち の 所 謂 旦那 の 秘蔵 の もの を 、あっち の 所 謂 旦那 に その 所有 権 を ゆずる 場合 など に 活躍 して 、お 金 を もうけて いる らしい のです )店 に 坐って いる 事 は 殆ど 無く 、たいてい 朝 から 、むずかし そうな 顔 を して そそくさ と 出かけ 、留守 は 十七 、八 の 小僧 ひと り 、これ が 自分 の 見張り 番 と いう わけで 、ひま さえ あれば 近所 の 子供 たち と 外 で キャッチボール など して いて も 、二 階 の 居候 を まるで 馬鹿 か 気 違い くらい に 思って いる らしく 、大人 おとな の 説教 くさい 事 まで 自分 に 言い聞かせ 、自分 は 、ひと と 言い争い の 出来 ない 質 たち な ので 、疲れた ような 、また 、感心 した ような 顔 を して それ に 耳 を 傾け 、服従 して いる のでした。 ひらめ||いえ||おおくぼ||い|せん||ちかく|||しょが|こっとう|しょう|あお|りゅう|えん||||かんばん||もじ|||そうとうに|きばって|||ひと|むね|にのへ|||ひと|と||てん||まぐち||せまく|てん|うち|||||いいかげんな|||ならべ||ひらめ|||てん|||||しょうばい||||||||しょ|い|だんな||ひぞう||||あっ ち||しょ|い|だんな|||しょゆう|けん|||ばあい|||かつやく|||きむ||||||てん||すわって||こと||ほとんど|なく||あさ|||そう な|かお|||||でかけ|るす||じゅうしち|やっ||こぞう|||||じぶん||みはり|ばん|||||||きんじょ||こども|||がい||きゃっちぼーる|||||ふた|かい||いそうろう|||ばか||き|ちがい|||おもって|||おとな|||せっきょう||こと||じぶん||いいきかせ|じぶん||||いいあらそい||でき||しち||||つかれた|||かんしん|||かお|||||みみ||かたむけ|ふくじゅう||| 比目鱼||||大久保|||专|||||||||龙|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||垃圾|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||大人|||||||||||||||||||||||||||||||||||||| ||||Okubo|||specialized|||||calligraphy and painting|antiques|merchant||blue dragon||||||||||considerably|trying hard|||||two-house||||||||storefront||narrow||||dust||||junk|||||||||junk|||||||||||||||treasure||||over there|||||||all|||yield|||||||||making a profit||||||||||hardly|||||difficult|||||hurriedly||going out||||||young boy|||||||watching|||||||||||||||catch ball||||||||lodger||||||difference|||||||adult||sermon||||||self-reminders|||||argument|||||||||||impressed||||||||||tilted|obedience||| ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||nem|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||| The house of Hirame was located near the medical school in Okubo, and although the signboards boasted of a calligraphy and antique shop called Seiryu-en, the reality was a single building with two rooms; one of these rooms had a narrow shop front, and inside was filled with dust and clutter. It mostly displayed assorted junk, though, more accurately, Hirame's business didn't rely on selling that junk. Rather, it seemed he was involved in transferring ownership of hidden treasures of certain gentlemen to others, thereby making money. He was hardly ever at the store; most days, he would hurry out with a serious look on his face, leaving behind a young boy of about seventeen or eighteen as his guard. This boy apparently thought of his upstairs tenant as nearly a fool or a madman and would lecture him with all sorts of adult-like admonishments. Since I was not the type to argue with others, I listened with a tired yet somewhat impressed look on my face and complied. ヒラメ的家在大久保的醫專附近,雖然看似書畫古董商青龍園的招牌字體相當大氣,但其實是一棟兩戶的房子,其中一戶的店面狹小,裡面布滿灰塵,擺滿了不堪入目的雜物(不過,ヒラメ並不是依賴這些雜物做生意,而是用這裡所謂的「老闆」的私藏品,轉讓給那邊所謂的「老闆」,來賺取一些錢)。他幾乎不在店裡坐著,大多數早上都皺著眉頭匆匆出門,留守的僅僅是十七八歲的小夥子,這便是他的看班,若有空閒時間,則總是和附近的小孩外面打壘球;而且似乎完全把二樓的寄住者當成了傻瓜或精神病,還對他自以為是地進行成人的教訓,而他自己是一個無法和人爭論的人,因此面無表情或顯出佩服的樣子,洗耳恭聽並服從於對方的話。 この 小僧 は 渋田 の かくし 子 で 、それ でも へんな 事情 が あって 、渋田 は 所 謂親 子 の 名乗り を せ ず 、また 渋田 が ずっと 独身 な の も 、何やら その辺 に 理由 が あって の 事 らしく 、自分 も 以前 、自分 の 家 の 者 たち から それ に 就いて の 噂 うわさ を 、ちょっと 聞いた ような 気 も する のです が 、自分 は 、どうも 他人 の 身の上 に は 、あまり 興味 を 持て ない ほう な ので 、深い 事 は 何も 知りません。 |こぞう||しぶた|||こ|||||じじょう|||しぶた||しょ|いおや|こ||なのり|||||しぶた|||どくしん||||なにやら|そのへん||りゆう||||こと||じぶん||いぜん|じぶん||いえ||もの|||||ついて||うわさ||||きいた||き|||||じぶん|||たにん||みのうえ||||きょうみ||もて|||||ふかい|こと||なにも|しり ませ ん |||渋田||隐||||||事情|||||||||名号||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||不知道 |young boy||Shibuta||secret||||||||||||so-called|||introduction|||||||||||||area|||||||||||||||||||||nominalizer||rumor|||||||||||||||personal circumstances||||||||||||||| This boy was a hidden child from Shibuya, and yet there were strange circumstances surrounding him. He did not officially recognize his parent-child relationship with Shibuya, and it seemed there was also a reason why Shibuya remained single. I vaguely remembered hearing rumors about this from my own family before, but personally, I was not very interested in the affairs of others, so I didn’t know any details. 這個小僧是渋田的隱藏兒子,不過有著奇怪的背景,渋田並不以親子的名義自稱,而且渋田長久以來一直單身,似乎也與這個有些關聯。我自己曾經聽過一些家裡的人提起過這件事,但我對別人的身世並不太感興趣,所以對於事情的真相並沒有深入了解。 しかし 、その 小僧 の 眼 つき に も 、妙に 魚 の 眼 を 聯想 れんそう さ せる ところ が ありました から 、或いは 、本当に ヒラメ の かくし 子 、……でも 、それ ならば 、二 人 は 実に 淋しい 親子 でした。 ||こぞう||がん||||みょうに|ぎょ||がん||れんそう||||||あり ました||あるいは|ほんとうに|ひらめ|||こ||||ふた|じん||じつに|さびしい|おやこ| ||young boy|||||||||||associate|association||||||||||||||||||||lonely|parent and child| 不過,這個小僧的眼神卻讓人奇妙地聯想到魚的眼睛,因此,或許他真的就是比目魚的隱藏兒子……但如果是這樣,那麼他們兩人真是非常孤獨的親子。 夜 おそく 、二 階 の 自分 に は 内緒 で 、二 人 で お そば など を 取寄せて 無言 で 食べて いる 事 が ありました。 よ||ふた|かい||じぶん|||ないしょ||ふた|じん||||||とりよせて|むごん||たべて||こと||あり ました |late|||||||secret|||||||||ordered||||||| 晚上晚些時候,他們兩人會在二樓私下里默默地訂購荞麥麵之類的食物,無言地享用。

ヒラメ の 家 で は 食事 は いつも その 小僧 が つくり 、二 階 の やっかい 者 の 食事 だけ は 別に お 膳 ぜん に 載せて 小僧 が 三 度 々々 二 階 に 持ち 運んで 来て くれて 、ヒラメ と 小僧 は 、階段 の 下 の じめじめ した 四 畳 半 で 何やら 、カチャカチャ 皿 小 鉢 の 触れ合う 音 を さ せ ながら 、いそがし げ に 食事 して いる のでした。 ひらめ||いえ|||しょくじ||||こぞう|||ふた|かい|||もの||しょくじ|||べつに||ぜん|||のせて|こぞう||みっ|たび||ふた|かい||もち|はこんで|きて||ひらめ||こぞう||かいだん||した||||よっ|たたみ|はん||なにやら||さら|しょう|はち||ふれあう|おと||||||||しょくじ||| |||||||||||||||麻烦|||||||||||放上|||||||||||||||||||||潮湿||||||||||||||||||忙|||||| |||||||||||||||troublesome||||||||tray|||placed|||||||||||||||||||||damp|||||||clinking|||bowl||clinking||||||busy|||||| 在ヒラメ的家裡,餐點總是由那個小傢伙準備,二樓的麻煩角色的餐點則特別放在一個托盤裡,由小傢伙三番五次地端上二樓。ヒラメ和小傢伙在樓梯下潮濕的四畳半裡,發出碗碟之間碰撞的聲音,忙碌地吃著飯。

三 月 末 の 或る 夕方 、ヒラメ は 思わぬ もうけ 口 に でも ありついた の か 、または 何 か 他 に 策略 で も あった の か 、(その 二 つ の 推察 が 、ともに 当って いた と して も 、おそらくは 、さらに また いくつか の 、自分 など に は とても 推察 の とどか ない こまかい 原因 も あった のでしょう が )自分 を 階下 の 珍 らしく お 銚子 ちょうし など 附いてい る 食卓 に 招いて 、ヒラメ なら ぬ マグロ の 刺身 に 、ごちそう の 主人 あるじ みずから 感服 し 、賞 讃 しょうさん し 、ぼんやり して いる 居候 に も 少し く お 酒 を すすめ、 みっ|つき|すえ||ある|ゆうがた|ひらめ||おもわぬ||くち|||||||なん||た||さくりゃく|||||||ふた|||すいさつ|||あたって||||||||いく つ か||じぶん|||||すいさつ|||||げんいん|||||じぶん||かいか||ちん|||ちょうし|||ついてい||しょくたく||まねいて|ひらめ|||まぐろ||さしみ||||しゅじん|||かんぷく||しょう|さん||||||いそうろう|||すこし|||さけ|| |||||||||||||得到了||||||||||||||||||||||||||||||||||||||到达||细微||||||||||||||||||餐桌||招待||||金枪鱼||||||主人|||感服||||||||||||||||| ||end||||||unexpected|unexpected profit||||helped||||||||strategy||||||||||speculation||||||||probably||||||||||speculation||reached||detailed||||||||downstairs||rare|||sake flask|condition||attached||dining table||inviting||||tuna||sashimi|||||master||admiration|||praise|praise|||||lodger|||a little||||| One evening at the end of March, the flounder wondered whether it had stumbled upon an unexpected profit, or whether it was some other ruse (even if both guesses were correct). (There were probably a number of intricate reasons that I couldn't even guess.) I invited myself downstairs to the dining table, which was unusually equipped with chopsticks, and ate tuna, not flounder. The host of the feast admired and praised the sashimi, and offered a drink to the absent-minded roommate. 在三月底的某個傍晚,ヒラメ是否意外地獲得了豐厚的利益,或者有其他的策略,(即使這兩種推測都是正確的,可能還有其他一些自己根本無法推測的細微原因),他邀請自己到樓下珍貴的餐桌上,品嚐不是ヒラメ而是鮪魚的刺身,讓主人感到驚訝並讚賞,也對正在發呆的寄居者稍微推薦了酒。

「どう する つもりな んです 、いったい 、これ から」 ||planning|||| "What are you going to do, from now on?" 「接下來你打算怎麼做呢?」

自分 は それ に 答え ず 、卓上 の 皿 から 畳 鰯 たたみ いわし を つまみ 上げ 、その 小魚 たち の 銀 の 眼 玉 を 眺めて いたら 、酔い が ほのぼの 発して 来て 、遊び 廻って いた 頃 が なつかしく 、堀木 で さえ なつかしく 、つくづく 「自由 」が 欲しく なり 、ふっと 、かぼそく 泣き そうに なりました。 じぶん||||こたえ||たくじょう||さら||たたみ|いわし|||||あげ||こざかな|||ぎん||がん|たま||ながめて||よい|||はっして|きて|あそび|まわって||ころ|||ほりき|||||じゆう||ほしく||||なき|そう に|なり ました ||||||table|||||sardines|tatami|sardine||picked up|||small fish||||||||gazing||dizziness||nostalgic|emerging|||wandering|||||||||truly||||||nostalgic|||

自分 が この 家 へ 来て から は 、道化 を 演ずる 張合い さえ 無く 、ただ もう ヒラメ と 小僧 の 蔑視 の 中 に 身 を 横たえ 、ヒラメ の ほう でも また 、自分 と 打ち解けた 長 噺 を する の を 避けて いる 様子 でした し 、自分 も その ヒラメ を 追いかけて 何 か を 訴える 気 など は 起ら ず 、ほとんど 自分 は 、間抜け づら の 居候 に なり切って いた のです。 じぶん|||いえ||きて|||どうけ||えんずる|はりあい||なく|||ひらめ||こぞう||べっし||なか||み||よこたえ|ひらめ|||||じぶん||うちとけた|ちょう|はなし|||||さけて||ようす|||じぶん|||ひらめ||おいかけて|なん|||うったえる|き|||おこら|||じぶん||まぬけ|||いそうろう||なりきって|| ||||||||||perform|back-and-forth|||||||||scorn||||||lying||||||||became familiar|long|long story||||||||||||||||||||||||||||foolish|awkward||||completely||

「起訴 猶予 と いう の は 、前科 何 犯 と か 、そんな もの に は 、なら ない 模様 です。 きそ|ゆうよ|||||ぜんか|なん|はん|||||||||もよう| indictment|suspension|||||criminal record|||||||||||sign| “It seems that the postponement of prosecution does not apply to criminals with criminal records or anything like that. だから 、まあ 、あなた の 心掛け 一 つ で 、更生 が 出来る わけです。 ||||こころがけ|ひと|||こうせい||できる| ||||effort||||rehabilitation||| So, well, you can rehabilitate with just one of your efforts. あなた が 、もし 、改心 して 、あなた の ほう から 、真面目に 私 に 相談 を 持ちかけて くれたら 、私 も 考えて みます」 |||かいしん||||||まじめに|わたくし||そうだん||もちかけて||わたくし||かんがえて|み ます |||change of heart|||||||||||bring up|if you were to||||

ヒラメ の 話 方 に は 、いや 、世の中 の 全部 の 人 の 話 方 に は 、このように ややこしく 、どこ か 朦朧 もうろうと して 、逃腰 と でも いった みたいな 微妙な 複雑 さ が あり 、その ほとんど 無益 と 思わ れる くらい の 厳重な 警戒 と 、無数 と いって いい くらい の 小 うるさい 駈引 と に は 、いつも 自分 は 当惑 し 、どうでも いい や と いう 気分 に なって 、お 道化 で 茶化したり 、または 無言 の 首肯 で 一さい お まかせ と いう 、謂 わ ば 敗北 の 態度 を とって しまう のでした。 ひらめ||はなし|かた||||よのなか||ぜんぶ||じん||はなし|かた|||||||もうろう|||にげごし|||||びみょうな|ふくざつ||||||むえき||おもわ||||げんじゅうな|けいかい||むすう||||||しょう||くひき|||||じぶん||とうわく|||||||きぶん||||どうけ||ちゃかしたり||むごん||しゅこう||いっさい|||||い|||はいぼく||たいど|||| |||||||||||||||||||||vague|vaguely||hesitant|||||subtle|complexity||||||useless||||||serious|||||||||||digressions|||||||bewildered|||||||||||||making fun||||nod||infant||leave it to||||||||||||

この 時 も ヒラメ が 、自分 に 向って 、だいたい 次 の ように 簡単に 報告 すれば 、それ で すむ 事 だった の を 自分 は 後年 に 到って 知り 、ヒラメ の 不必要な 用心 、いや 、世の中 の 人 たち の 不可解な 見栄 、お ていさい に 、何とも 陰 鬱 な 思い を しました。 |じ||ひらめ||じぶん||むかい って||つぎ|||かんたんに|ほうこく|||||こと||||じぶん||こうねん||とう って|しり|ひらめ||ふひつような|ようじん||よのなか||じん|||ふかかいな|みえ||||なんとも|かげ|うつ||おもい||し ました ||||||||||||||||||||||||in later years||||||unnecessary|caution|||||||incomprehensible|pretense||ostentation|||||||| At this time as well, I knew in later years that the flounder would have been able to do so by simply reporting to me as follows, and the unnecessary precautions of the flounder, no, the world. The mysterious appearance of these people, and the fact that they had a very gloomy feeling.

ヒラメ は 、その 時 、ただ こう 言えば よかった のでした。 ひらめ|||じ|||いえば||

「官 立 でも 私立 でも 、とにかく 四 月 から 、どこ か の 学校 へ はいり なさい。 かん|た||しりつ|||よっ|つき|||||がっこう||| |||private|||||||||||| あなた の 生活 費 は 、学校 へ は いる と 、くに から 、もっと 充分に 送って 来る 事 に なって いる のです。」 ||せいかつ|ひ||がっこう||||||||じゅうぶんに|おくって|くる|こと|||| |||||||||||||sufficiently|||||||

ずっと 後 に なって わかった のです が 、事実 は 、そのように なって いた のでした。 |あと||||||じじつ||||| |||||||||that||| I found out much later that in fact that was the way it was supposed to be. そうして 、自分 も その 言いつけ に 従った でしょう。 |じぶん|||いいつけ||したがった| ||||instruction||| それなのに 、ヒラメ の いやに 用心深く 持って 廻った 言い 方 の ため に 、妙に こじれ 、自分 の 生きて 行く 方向 も まるで 変って しまった のです。 |ひらめ|||ようじんぶかく|もって|まわった|いい|かた||||みょうに||じぶん||いきて|いく|ほうこう|||かわって|| ||||cautiously||turned|||||||complicated|||||direction||||| And yet, because of the flounder's reluctantly cautious way of speaking, things got strangely complicated, and the direction of my life completely changed.

「真面目に 私 に 相談 を 持ちかけて くれる 気持 が 無ければ 、仕様がない です が」 まじめに|わたくし||そうだん||もちかけて||きもち||なければ|しようがない|| |||||propose to||||not|nothing can be done|| "If you don't have a serious intention to consult with me, there is no specification."

「どんな 相談? |そうだん

自分 に は 、本当に 何も 見当 が つか なかった のです。 じぶん|||ほんとうに|なにも|けんとう|||| |||||idea|||| I really had no clue.

「それ は 、あなた の 胸 に ある 事 でしょう? ||||むね|||こと|

「たとえば?

「たとえばって 、あなた 自身 、これ から どう する 気 な んです」 たとえば って||じしん|||||き|| for example||||||||| "For example, what are you going to do about yourself?"

「働いた ほう が 、いい んです か? はたらいた||||| worked|||||

「いや 、あなた の 気持 は 、いったい どう な んです」 |||きもち||||| "No, how are you feeling?"

「だって 、学校 へ は いる と いったって、……」 |がっこう|||||いった って

「そりゃ 、お 金 が 要ります。 ||きむ||いり ます ||||needed しかし 、問題 は 、お 金 で ない。 |もんだい|||きむ|| あなた の 気持 です」 ||きもち| It's your feelings."

お 金 は 、くに から 来る 事 に なって いる んだ から 、と なぜ 一 こ と 、言わ なかった のでしょう。 |きむ||||くる|こと||||||||ひと|||いわ|| Why didn't you tell me that the money was supposed to come from somewhere else? その 一言 に 依って 、自分 の 気持 も 、きまった 筈 な のに 、自分 に は 、ただ 五里霧中 でした。 |いちげん||よって|じぶん||きもち|||はず|||じぶん||||ごりむちゅう| |word|||||||||||||||lost|

「どう です か? 何 か 、将来 の 希望 、と でも いった もの が 、ある んです か? なん||しょうらい||きぼう|||||||| Do you have any kind of hope for the future? いったい 、どうも 、ひと を ひとり 世話 して いる と いう の は 、どれ だけ むずかしい もの だ か 、世話 されて いる ひと に は 、わかります まい」 |||||せわ|||||||||||||せわ|さ れて|||||わかり ます| ||||||||||||||difficult||||||||||| I don't know how difficult it is to take care of someone by myself, but the person being cared for doesn't understand."

「すみません」

「そりゃ 実に 、心配な もの です。 |じつに|しんぱいな|| 私 も 、いったん あなた の 世話 を 引受けた 以上 、あなた に も 、生半可 なまはんかな 気持 で いて もらい たく ない のです。 わたくし|||||せわ||ひきうけた|いじょう||||なまはんか||きもち|||||| |||||||undertaken|||||half-hearted|half-hearted||||||| 立派に 更生 の 道 を たどる 、と いう 覚悟 の ほど を 見せて もらいたい のです。 りっぱに|こうせい||どう|||||かくご||||みせて|もらい たい| splendidly|rehabilitation||||follow||||||||| I would like you to show your determination to follow the path of rebirth in a respectable way. たとえば 、あなた の 将来 の 方針 、それ に 就いて あなた の ほう から 私 に 、まじめに 相談 を 持ちかけて 来た なら 、私 も その 相談 に は 応ずる つもり で います。 |||しょうらい||ほうしん|||ついて|||||わたくし|||そうだん||もちかけて|きた||わたくし|||そうだん|||おうずる|||い ます |||||direction||||||||||seriously|||propose|||||||||respond||| For example, if you seriously approach me for advice on your future policy, I will also respond to that consultation. それ は 、どうせ こんな 、貧乏な ヒラメ の 援助 な のです から 、以前 の ような ぜいたく を 望んだら 、あて が はずれます。 ||||びんぼうな|ひらめ||えんじょ||||いぜん|||||のぞんだら|||はずれ ます ||||poor|||assistance|||||||luxury||wish|expectation||disappointed After all, it's the help of such a poor flounder, so if you want the same luxury as before, you won't be able to get it. しかし 、あなた の 気持 が しっかり して いて 、将来 の 方針 を はっきり 打ち 樹 たて 、そうして 私 に 相談 を して くれたら 、私 は 、た と いわ ず か ずつ でも 、あなた の 更生 の ため に 、お 手伝い しよう と さえ 思って いる んです。 |||きもち|||||しょうらい||ほうしん|||うち|き|||わたくし||そうだん||||わたくし|||||||||||こうせい|||||てつだい||||おもって|| ||||||||||direction||||establish|establish||||||||||||said|even||||||rehabilitation||||||||||| However, if you are firm in your heart, have a clear plan for your future, and consult with me, I will do whatever it takes to help you rehabilitate. I'm even thinking of helping out. わかります か? わかり ます| 私 の 気持 が。 わたくし||きもち| いったい 、あなた は 、これ から 、どう する つもりで いる のです」

「ここ の 二 階 に 、置いて もらえ なかったら 、働いて、……」 ||ふた|かい||おいて|||はたらいて "If you don't put me on the second floor here, I'll work..."

「本気で 、そんな 事 を 言って いる のです か? ほんきで||こと||いって||| いま の この 世の中 に 、た とい 帝国 大学校 を 出たって、……」 |||よのなか||||ていこく|だいがっこう||でた って ||||||||university||even if one graduates

「いいえ 、サラリイマン に なる んで は 無い んです」 ||||||ない| |salaried worker||||||

「それ じゃ 、何 です」 ||なん|

「画家 です」 がか|

思い切って 、それ を 言いました。 おもいきって|||いい ました boldly|||

「へ ええ?

自分 は 、その 時 の 、頸 くび を ちぢめて 笑った ヒラメ の 顔 の 、いかにも ずる そうな 影 を 忘れる 事 が 出来ません。 じぶん|||じ||けい||||わらった|ひらめ||かお||||そう な|かげ||わすれる|こと||でき ませ ん |||||neck|neck||tightened||flounder||||certainly|sly||||||| I can't forget the cunning shadow on the flounder's face at that time, with its neck hunched and laughing. 軽蔑 の 影 に も 似て 、それとも 違い 、世の中 を 海 に たとえる と 、その 海 の 千尋 ちひろ の 深 さ の 箇所 に 、そんな 奇妙な 影 が たゆ とうてい そう で 、何 か 、おとな の 生活 の 奥底 を チラ と 覗 のぞかせた ような 笑い でした。 けいべつ||かげ|||にて||ちがい|よのなか||うみ|||||うみ||ちひろ|||ふか|||かしょ|||きみょうな|かげ||||||なん||||せいかつ||おくそこ||||のぞ|||わらい| contempt||||||||||||compare|||||Chihiro|Chihiro|||||spot||||||lingering|swaying|||||||||depth||glimpse||peeked|hinted||| It's like a shadow of contempt, or maybe it's different. If we compare the world to the sea, there's a strange shadow that seems to linger in the depths of the sea, and somehow it's the depths of adult life. It was a laughter that seemed to peep out.

そんな 事 で は 話 に も 何も なら ぬ 、ちっとも 気持 が しっかり して いない 、考え なさい 、今夜 一晩 まじめに 考えて み なさい 、と 言わ れ 、自分 は 追わ れる ように 二 階 に 上って 、寝て も 、別に 何の 考え も 浮びません でした。 |こと|||はなし|||なにも||||きもち|||||かんがえ||こんや|ひとばん||かんがえて||||いわ||じぶん||おわ|||ふた|かい||のぼって|ねて||べつに|なんの|かんがえ||うかび ませ ん| |||||||||||||||||||one night||||||||||chased|||||||||||||came to mind| そうして 、あけがた に なり 、ヒラメ の 家 から 逃げました。 ||||ひらめ||いえ||にげ ました |morning|||||||

夕方 、間違い なく 帰ります。 ゆうがた|まちがい||かえり ます |||will return 左記 の 友人 の 許 もと へ 、将来 の 方針 に 就いて 相談 に 行って 来る のです から 、御 心配 無く。 さき||ゆうじん||ゆる|||しょうらい||ほうしん||ついて|そうだん||おこなって|くる|||ご|しんぱい|なく above||||place|||||||||||||||| ほんとうに。

と 、用 箋 に 鉛筆 で 大きく 書き 、それ から 、浅草 の 堀木 正雄 の 住所 姓名 を 記して 、こっそり 、ヒラメ の 家 を 出ました。 |よう|せん||えんぴつ||おおきく|かき|||あさくさ||ほりき|まさお||じゅうしょ|せいめい||しるして||ひらめ||いえ||で ました ||||||||||Asakusa|||Masao||address|name||wrote||||||

ヒラメ に 説教 せられた の が 、くやしくて 逃げた わけ では ありません でした。 ひらめ||せっきょう|せら れた||||にげた|||あり ませ ん| ||scolding||||frustrated||||| まさしく 自分 は 、ヒラメ の 言う とおり 、気持 の しっかり して いない 男 で 、将来 の 方針 も 何も 自分 に は まるで 見当 が つか ず 、この上 、ヒラメ の 家 の やっかいに なって いる の は 、ヒラメ に も 気の毒です し 、その うち に 、もし 万一 、自分 に も 発奮 の 気持 が 起り 、志 を 立てた ところ で 、その 更生 資金 を あの 貧乏な ヒラメ から 月々 援助 せられる の か と 思う と 、とても 心苦しくて 、いた たまらない 気持 に なった から でした。 |じぶん||ひらめ||いう||きもち|||||おとこ||しょうらい||ほうしん||なにも|じぶん||||けんとう||||このうえ|ひらめ||いえ|||||||ひらめ|||きのどくです||||||まんいち|じぶん|||はっぷん||きもち||おこり|こころざし||たてた||||こうせい|しきん|||びんぼうな|ひらめ||つきづき|えんじょ|せら れる||||おもう|||こころぐるしくて|||きもち|||| exactly|||flatfish|||||||||||||direction|||||||prospect|||||||||troublesome||||||||pitiful||||||unlikely||||excitement||||happening|will||||||rehabilitation|rehabilitation funds||||flatfish|||assistance||||||||painful|||||||

しかし 、自分 は 、所 謂 「将来 の 方針 」を 、堀木 ごとき に 、相談 に 行こう など と 本気に 思って 、ヒラメ の 家 を 出た ので は 無かった のでした。 |じぶん||しょ|い|しょうらい||ほうしん||ほりき|||そうだん||いこう|||ほんきに|おもって|ひらめ||いえ||でた|||なかった| |||||||||||||||||seriously|||||||||| それ は 、ただ 、わずか でも 、つかのま でも 、ヒラメ に 安心 さ せて 置き たくて 、(その 間 に 自分 が 、少し でも 遠く へ 逃げのびて いたい と いう 探偵 小説 的な 策略 から 、そんな 置手紙 を 書いた 、と いう より は 、いや 、そんな 気持 も 幽 かすかに あった に 違いない のです が 、それ より も 、やはり 自分 は 、いきなり ヒラメ に ショック を 与え 、彼 を 混乱 当惑 さ せて しまう の が 、おそろしかった ばかりに 、と でも 言った ほう が 、いくらか 正確 かも 知れません。 |||||||ひらめ||あんしん|||おき|||あいだ||じぶん||すこし||とおく||にげのびて|い たい|||たんてい|しょうせつ|てきな|さくりゃく|||おきてがみ||かいた|||||||きもち||ゆう||||ちがいない|||||||じぶん|||ひらめ||しょっく||あたえ|かれ||こんらん|とうわく||||||||||いった||||せいかく||しれ ませ ん |||||moment||||||||||||||||||escape||||detective|||strategy|||note left||||||||||||faintly|||||||||||||||||give|||confusion|confusion||||||frightening|||||||a little|somewhat accurate|| I just wanted to put the flounder at ease, even if only for a short time, and (during that time, I wanted to escape as far away as possible, even if only for a short time). Or rather, I must have had a faint feeling of that sort, but more than that, I was the one who suddenly shocked the flounder and left him confused and bewildered. However, it might be somewhat more accurate to say that it was just terrifying. どうせ 、ばれる に きまって いる のに 、その とおり に 言う の が 、おそろしくて 、必ず 何かしら 飾り を つける の が 、自分 の 哀しい 性癖 の 一 つ で 、それ は 世間 の 人 が 「嘘つき 」と 呼んで 卑しめて いる 性格 に 似て い ながら 、しかし 、自分 は 自分 に 利益 を もたらそう と して その 飾りつけ を 行った 事 は ほとんど 無く 、ただ 雰囲気 ふんいき の 興 覚めた 一変 が 、窒息 する くらい に おそろしくて 、後 で 自分 に 不利益に なる と いう 事 が わかって いて も 、れいの 自分 の 「必死の 奉仕 」それ は た とい ゆがめられ 微弱で 、馬鹿らしい もの であろう と 、その 奉仕 の 気持 から 、つい 一言 の 飾りつけ を して しまう と いう 場合 が 多かった ような 気 も する のです が 、しかし 、この 習性 も また 、世間 の 所 謂 「正直 者 」たち から 、大いに 乗ぜられる ところ と なりました )その 時 、ふっと 、記憶 の 底 から 浮んで 来た まま に 堀木 の 住所 と 姓名 を 、用 箋 の 端に したためた まで の 事 だった のです。 |||||||||いう||||かならず|なにかしら|かざり|||||じぶん||かなしい|せいへき||ひと|||||せけん||じん||うそつき||よんで|いやしめて||せいかく||にて||||じぶん||じぶん||りえき||||||かざりつけ||おこなった|こと|||なく||ふんいき|||きょう|さめた|いっぺん||ちっそく|||||あと||じぶん||ふりえきに||||こと||||||じぶん||ひっしの|ほうし|||||ゆがめ られ|びじゃくで|ばからしい|||||ほうし||きもち|||いちげん||かざりつけ||||||ばあい||おおかった||き|||||||しゅうせい|||せけん||しょ|い|しょうじき|もの|||おおいに|じょうぜ られる|||なり ました||じ||きおく||そこ||うかんで|きた|||ほりき||じゅうしょ||せいめい||よう|せん||はしたに||||こと|| |be revealed||certainly|||||||||terrifying|||decoration|||||||sad|fetish||||||||||||||belittling||||||||||||||bring||||decorations|||||||||||||sudden change||suffocation|||||||||disadvantage|||||||||||||service|||||distorted|faint|ridiculous|||||service|||||||decoration|||||||||||||||||habit||||||||||||influenced|||||||||||surfaced|||||||||||||to|jotted||||| It's one of my sad tendencies to always put some kind of embellishment on myself, because it's one of my sad tendencies that people call me a "liar" and humiliate me. Although he has a similar personality, he has seldom done the decorations to benefit himself, only that the sudden change in the atmosphere is suffocatingly frightening. Even if I knew that it would be to my detriment later, my own "desperate service", even if it was distorted, feeble, and ridiculous, I could not help but feel a sense of service. I get the feeling that there were many cases of embellishing one's words, but this habit also came to be greatly multiplied by the so-called "honest people" of the world.) At one point, I had just written down Horiki's name and address on a piece of writing paper, just as they came to me from the depths of my memory.