四 よっ

< p > その 明くる 日 、 若者 は また 昨日 の よう に あて も なく 歩いて 行き ました 。 ||あくる|ひ|わかもの|||きのう|||||||あるいて|いき| すると お 昼 近く なって 、 向こう から 大そう りっぱな いい 馬 に 乗った 人 が 、 二 、 三 人 の お供 を 連れて 、 とくい らしく ぽかぽか やって 来 ました 。 ||ひる|ちかく||むこう||たいそう|||うま||のった|じん||ふた|みっ|じん||おとも||つれて|||||らい| 若者 は その 馬 を 見る と 、 p >< p >「 や あ 、 いい 馬 だ なあ 、 ああいう の が 千 両 馬 と いう のだろう 。」 わかもの|||うま||みる|||||||うま||||||せん|りょう|うま||| p >< p > と 、 思わず 独り言 を いい ながら 、 馬 を ながめて い ました 。 |||おもわず|ひとりごと||||うま|||| すると 馬 は 若者 の 前 まで 来て 、 ふいに ばったり 倒れて 、 そのまま そこ で 死んで しまい ました 。 |うま||わかもの||ぜん||きて|||たおれて||||しんで|| 乗って いる 主人 も お供 の 家来 たち も 、 真っ青に なり ました 。 のって||あるじ||おとも||けらい|||まっさおに|| 馬 の くら を はずして 、 水 を 飲ま したり 、 なで さ すったり 、 いろいろに いたわって い ました が 、 馬 は どうしても 生き返り ませ ん でした 。 うま|||||すい||のま||な で||||||||うま|||いきかえり||| 乗り手 は がっかり して 、 泣き出し そうな 顔 を し ながら 、 近所 の 百姓 馬 を 借りて 、 それ に 乗って しおしお と 帰って いき ました 。 のりて||||なきだし|そう な|かお||||きんじょ||ひゃくしょう|うま||かりて|||のって|||かえって|| その後 から 、 家来 たち が 、 馬 の くら や くつわ を はずして 、 ついていき ました 。 そのご||けらい|||うま|||||||| けれど いくら いい 馬 でも 、 死んだ 馬 を かついで いく こと は でき ない ので 、 それ に は 下 男 を 一 人 後 に 残して 、 死んだ 馬 の 始末 を さ せる こと に なり ました 。 |||うま||しんだ|うま||||||||||||した|おとこ||ひと|じん|あと||のこして|しんだ|うま||しまつ||||||| さっき から この 様子 を 見て いた 若者 は 、「 昨日 は 一 本 の わら が みかん 三 つ に なり 、 三 つ の みかん が 布 三 反 に なった 。 |||ようす||みて||わかもの||きのう||ひと|ほん|||||みっ||||みっ|||||ぬの|みっ|はん|| こんど は 三 反 の 布 が 馬 一 匹 に なる かも 知れ ない 。」 ||みっ|はん||ぬの||うま|ひと|ひき||||しれ| と 思い ながら 、 下 男 の そば に 近づいて 、 p >< p >「 もし 、 もし 、 その 馬 は どう した の です 。 |おもい||した|おとこ||||ちかづいて||||||うま||||| 大そう りっぱな 、 いい 馬 で は あり ませ ん か 。」 たいそう|||うま|||||| と いい ました 。 下 男 は 、 p >< p >「 ええ 、 これ は 大金 を 出して 、 はるばる 陸奥 国 から 取り寄せた 馬 で 、 これ まで も いろんな 人 が ほしがって 、 いくら でも 金 は 出す から 、 ゆずって くれ ない か と 、 ずいぶん うるさく 申し込んで きた もの です が 、 殿さま が 惜し がって 、 手放そう と も なさら なかった の です 。 した|おとこ|||||||たいきん||だして||むつ|くに||とりよせた|うま||||||じん|||||きむ||だす|||||||||もうしこんで|||||とのさま||おし||てばなそう|||||| それ が ひょんな こと で 死んで しまって 、 元 も 子 も あり ませ ん 。 |||||しんで||もと||こ|||| まあ 、 皮 でも はいで 、 わたし が もらって 、 売ろう か と 思う の です が 、 旅 の 途中 で は それ も でき ない し 、 そう か と いって このまま 往来 に 捨てて おく こと も でき ない ので 、 どうした もの か 、 困って いる ところ です 。」 |かわ||||||うろう|||おもう||||たび||とちゅう|||||||||||||おうらい||すてて||||||||||こまって||| p >< p > と いい ました 。 若者 は 、 p >< p >「 それ は お 気の毒 です ね 。 わかもの|||||||きのどく|| では 馬 は わたし が 引き受けて 、 何とか 始末 して 上げ ます から 、 わたし に ゆずって 下さい ませ ん か 。 |うま||||ひきうけて|なんとか|しまつ||あげ||||||ください||| その代わり に これ を 上げ ましょう 。」 そのかわり||||あげ| と いって 、 白い 布 を 一 反 出し ました 。 ||しろい|ぬの||ひと|はん|だし| 下 男 は 死んだ 馬 が 布 一 反 に なれば 、 とんだ もうけ もの だ と 思って 、 さっそく 馬 と 取りかえ っこ を し ました 。 した|おとこ||しんだ|うま||ぬの|ひと|はん||||||||おもって||うま||とりかえ|||| その 上 、「 もし か 若者 の 気 が かわって 、 馬 の 死骸 な ん ぞ と 取りかえて は 損だ と 考えて 、 布 を 取り返し に でも 来る と 大へんだ 。」 |うえ|||わかもの||き|||うま||しがい|||||とりかえて||そんだ||かんがえて|ぬの||とりかえし|||くる||たいへんだ と 思って 、 後 を も 見返ら ず に 、 さっさと 駆けて 行って しまい ました 。 |おもって|あと|||みかえら||||かけて|おこなって|| p >