三姉妹探偵団01 chapter 01 (1)
みっ しまい たんてい だん|
Three Sisters Detective Agency 01 chapter 01 (1)
Three Sisters Detetive Agency 01 capítulo 01 (1)
1 灰 の 中 から
はい||なか|
From within 1 ash
「── おはよう 」
"── Good morning"
佐々 本 夕 里子 は 、 目 を 開いて 、 一瞬 戸惑った 。
ささ|ほん|ゆう|さとご||め||あいて|いっしゅん|とまどった
Yuko Sasamoto opened her eyes and was confused for a moment.
いつも なら 自分 が 真 先 に 起きて 、 朝食 の 仕度 を する 。
||じぶん||まこと|さき||おきて|ちょうしょく||したく||
As always, I get up early and prepare my breakfast.
ちょっと 寝坊 した とき に は 、 妹 の 珠美 を けっ とばして 起こして 手伝わ せる 。
|ねぼう|||||いもうと||たまみ||||おこして|てつだわ|
When I overslept a little, I let my sister's Tamami out and let her help.
それ が 、 今 自分 の 方 を 覗き込んで いる の は 、 高校 の クラスメート 、 片瀬 敦子 の 顔 である 。
||いま|じぶん||かた||のぞきこんで||||こうこう|||かたせ|あつこ||かお|
Now it's the face of high school classmate Reiko Katase who is looking into myself now.
「 あ ── 敦子 。
|あつこ
"Oh 敦 Reiko.
私 ……」
わたくし
夕 里子 は 起き上って 、 頭 を 、 妹 の ベッド の 底 板 に 打ちつけ ない ように 、 と 少し 低く して ── やっと 思い出した 。
ゆう|さとご||おきあがって|あたま||いもうと||べっど||そこ|いた||うちつけ||||すこし|ひくく|||おもいだした
Yuriko got up and kept her head a bit low so as not to strike the bottom plate of her sister's bed-it finally remembered.
ここ は 敦子 の 家 な のだ 。
||あつこ||いえ||
Here is a dumpling's house.
「 どう 、 気分 は ?
|きぶん|
"How are you feeling?
敦子 が 訊 いた 。
あつこ||じん|
A dumpling came.
夕 里子 は すっかり 思い出して いた 。
ゆう|さとご|||おもいだして|
Yuuriko was completely remembered.
── 家 が 焼けた んだ 。
いえ||やけた|
-The house was burned.
そして 、 私 は 敦子 の 所 に 泊めて もらった 。
|わたくし||あつこ||しょ||とめて|
And I was allowed to stay at a place of dumplings.
「 大丈夫 よ 」
だいじょうぶ|
夕 里子 は 大きく 息 を ついた 。
ゆう|さとご||おおきく|いき||
Yuuriko has a big breath.
何だか 、 丸一 日 も 眠って いた ような 気 が する 。
なんだか|まるいち|ひ||ねむって|||き||
I feel like I was sleeping for a whole day.
「 今 何 時 な の ?
いま|なん|じ||
「 十一 時 頃 。
じゅういち|じ|ころ
"About eleven o'clock.
もう 起き られる ?
|おき|
Can you wake up already?
「 うん 。
あれ 、 今日 は 学校 ない の ?
|きょう||がっこう||
Oh, don't you have a school today?
「 日曜日 よ 」
にちようび|
"Sunday"
そう か あ 。
土曜 の 夜 に 焼け 出さ れた のだ 。
どよう||よ||やけ|ださ||
It was burnt out on Saturday night.
「 朝 ご飯 できて る 。
あさ|ごはん||
"I have breakfast.
そこ に 私 の 服 置 い と いた から 、 着て 来て ね 」
||わたくし||ふく|お|||||きて|きて|
I was there to put on my clothes, so please come on
「 ありがとう 」
夕 里子 は 肯 いて 、「 ご 迷惑 かけちゃ って 」
ゆう|さとご||こう|||めいわく||
「 何 よ 、 夕 里子 らしく も ない こと 言って 」
なん||ゆう|さとご|||||いって
"What are you saying that it 's not like Yuuriko?"
敦子 は 見るからに 本当に 可愛い 女の子 である 。
あつこ||みるからに|ほんとうに|かわいい|おんなのこ|
Reiko is a really cute girl because she sees.
同性 の 夕 里子 が ほれぼれ と する ほど の 、 愛らし さ 。
どうせい||ゆう|さとご|||||||あいらし|
Love is the same as Yuuriko, who is the same sex, loves you.
しかし 、 夕 里子 とて 、 決して 可愛く ない わけで は ない 。
|ゆう|さとご||けっして|かわいく||||
However, Yuuriko is not always cute.
美人 である 、 と 多少 の 自負 も ある 。
びじん|||たしょう||じふ||
There are also some prides that they are beautiful.
ただ ── ちょっと は ねっ かえり で 気 の 強い の が 玉 に キズ な のだ 。
||||||き||つよい|||たま||きず||
Just ── a little bit addicting to the ball is a scratchy thing.
敦子 の 服 は 、 幸い サイズ 的に は ピッタリ だった 。
あつこ||ふく||さいわい|さいず|てきに||ぴったり|
Sadako's clothes were fortunately good in size.
ただ 好み の 違い はいかん と も し がたく 、 かなり フォーマル な 装い を 好んで 、 家 に いる とき でも 、 まるで ホテル の ロビー に でも 来て いる みたいな 格好 を して いる 敦子 に 比べ 、 夕 里子 は 大体 が ジーパン に Tシャツ と いう スタイル だった 。
|よしみ||ちがい|||||||||よそおい||このんで|いえ||||||ほてる||ろびー|||きて|||かっこう||||あつこ||くらべ|ゆう|さとご||だいたい||じーぱん||t しゃつ|||すたいる|
Just like the difference in preferences I prefer a pretty formal dress, and I like Yuko who is dressed like she is coming to the lobby of a hotel when she 's at home, even when she' s at home. There was a style called T-shirt on jeans.
夕 里子 は 、 敦子 の 兄 が 結婚 前 に 使って いた 部屋 に 泊めて もらった のだった 。
ゆう|さとご||あつこ||あに||けっこん|ぜん||つかって||へや||とめて||
Yuuriko was asked to stay in the room used by Yuko's older brother before her marriage.
姉 の 綾子 と 妹 の 珠美 は 、 安東 先生 の お宅 に 厄介に なって いる 。
あね||あやこ||いもうと||たまみ||あんどう|せんせい||おたく||やっかいに||
My sister Reiko and my sister Tamami are in trouble in Mr. Ando's house.
夕 里子 も 一緒に と 言わ れた のだ が 、 いくら 何でも 三 人 は 、 と 思い 、 すぐ 近く の 、 この 片瀬 家 に 泊めて もらった のだった 。
ゆう|さとご||いっしょに||いわ|||||なんでも|みっ|じん|||おもい||ちかく|||かたせ|いえ||とめて||
Yuriko was also said to be with me, but three people thought, whatever, whatever, and they were allowed to stay at this nearby Katase house.
前 に も 泊った こと が ある ので 、 夕 里子 は 勝手 が 分 って いる 。
ぜん|||とまった|||||ゆう|さとご||かって||ぶん||
Yuuriko knows the selfishness because she has stayed before.
洗面 所 で 顔 を 洗う と 、 ダイニング キッチン へ 入って 行った 。
せんめん|しょ||かお||あらう||だいにんぐ|きっちん||はいって|おこなった
When I washed my face in the bathroom, I entered the dining kitchen.
「 まあ 、 夕 里子 さん 、 大丈夫 ?
|ゆう|さとご||だいじょうぶ
敦子 を そのまま ふくらま せた ような 、 若々しい 母親 が 、 大 仰 に 声 を 上げた 。
あつこ||||||わかわかしい|ははおや||だい|あお||こえ||あげた
A youthful mother, who made Ayako inflate as it was, raised her voice.
人 の いい 、 世話好きな タイプ な のである 。
じん|||せわずきな|たいぷ||
It is a good, caring type of people.
「 さ 、 座って 。
|すわって
"Let's sit down.
お腹 空いて る でしょ ?
おなか|あいて||
Are you hungry?
ベーコンエッグ で いい ?
ハムエッグ ?
「 ベーコン で 結構です 」
べーこん||けっこうです
「 卵 は 目玉 で いい の かしら ?
たまご||めだま||||
"Are eggs good and good?
そう ?
じゃ すぐに 作る わ ね 。
||つくる||
敦子 、 コーヒー を 出して あげ なさい 。
あつこ|こーひー||だして||
Dumplings, give me some coffee.
── まあ 、 本当に 災難 だった わ ねえ 。
|ほんとうに|さいなん|||
ま あ Well, it was really a disaster.
私 も 弟 の 所 が 一 度 火事 に あって ね 、 やっぱり 着のみ着のまま で 焼け 出さ れちゃ った の よ 。
わたくし||おとうと||しょ||ひと|たび|かじ|||||きのみきのまま||やけ|ださ||||
My brother was in a fire once, and I was burned in my clothes.
でも 幸い けが人 も なくて 。
|さいわい|けがにん||
But fortunately there were no injuries.
その後 で 、 弟 の 店 は ますます 繁盛 した わ 。
そのご||おとうと||てん|||はんじょう||
After that, my brother's shop prospered more and more.
人間 、 何 が 幸いする か 分 ら ない もの です よ 。
にんげん|なん||さいわい する||ぶん|||||
Human beings do not know what's good for you.
だから 、 あなた 方 も 気 を 落としちゃ だめ 」
||かた||き||おとしちゃ|
So don't you bother
「 ママ が 黙って ない と 、 夕 里子 疲れる よ 」
まま||だまって|||ゆう|さとご|つかれる|
"If Mama isn't silent, Yuriko will get tired."
と 敦子 が 言った 。
|あつこ||いった
「 何 です か 、 お前 は 。
なん|||おまえ|
"What are you?
夕 里子 さん 、 パパ は 出張 で すって ?
ゆう|さとご||ぱぱ||しゅっちょう||
Yuiko Yuko, are you on a business trip?
「 ええ 、 そう な んです 」
「 そう 。
子供 たち だけ で 、 よく 助かった わ ねえ 」
こども|||||たすかった||
The children alone helped me a lot.
「 連絡 ついた の ?
れんらく||
"Did you contact me?
と 敦子 が 訊 いた 。
|あつこ||じん|
「 まだ 。
"Still.
── 今日 日曜 だ から 、 会社 に も 誰 も い ない し 。
きょう|にちよう|||かいしゃ|||だれ||||
-Today is Sunday, there is no one in the company.
どう しよう かしら ね 」
I wonder what to do. "
「 ニュース か 新聞 見て 帰って 来る んじゃ ない ?
にゅーす||しんぶん|みて|かえって|くる||
"You will come back to see the news or the newspaper, right?
「 だ と いい けど ……」
"I hope it is ..."
遅い 朝食 を 取り 終えた ところ へ 、 玄関 の チャイム が 鳴った 。
おそい|ちょうしょく||とり|おえた|||げんかん||ちゃいむ||なった
Just after finishing my late breakfast, the chime at the entrance rang.
敦子 の 母親 が 出て 行く 。
あつこ||ははおや||でて|いく
Reiko 's mother goes out.
「 敦子 、 お 父さん は ?
あつこ||とうさん|
「 ゴルフ 。
ごるふ
朝っぱら から ね 。
あさっぱら||
It is from morning alone.
ご 近所 が 火事 で 焼けた って いう のに 」
|きんじょ||かじ||やけた|||
Even though my neighborhood was burned by a fire.
「 そんな の 仕方ない わ よ 」
||しかたない||
"I can't help it like that."
と 、 夕 里子 は 微笑んだ 。
|ゆう|さとご||ほおえんだ
And Yuuriko smiled.
「── 夕 里子 さん 」
ゆう|さとご|
敦子 の 母 が 戻って 来た 。
あつこ||はは||もどって|きた
「 何 か 、 あなた に 会い た いって 方 が 」
なん||||あい|||かた|
"Something, who wants to see you?"
「 私 に です か ?
わたくし|||
「 警察 の 人 よ 」
けいさつ||じん|
警察 ?
けいさつ
── そう か 。
火事 の 後 だ も の 、 当り前だ わ 、 と 夕 里子 は 思った 。
かじ||あと||||あたりまえだ|||ゆう|さとご||おもった
居間 へ 入って 行く と 、 男 が 二 人 、 ソファ に 座って いた 。
いま||はいって|いく||おとこ||ふた|じん|||すわって|
一 人 は 紺 の 背広 の 、 若い 男 で 、 髪 を きれいに 分けて 、 およそ いい センス と は いえ なかった が 、 それ でも 好感 の 持てる 青年 と いう ところ だった 。
ひと|じん||こん||せびろ||わかい|おとこ||かみ|||わけて|||せんす||||||||こうかん||もてる|せいねん||||
One was a young man in a suit of silkworms, who divided the hair cleanly and was not about a good sense, but it was still a young man who had a good feeling.
もう 一 人 は 五十 がらみ の 、 小柄な 男 で 、 こちら は 対照 的に くたびれた 背広 姿 。
|ひと|じん||ごじゅう|||こがらな|おとこ||||たいしょう|てきに||せびろ|すがた
The other is a fifty-man, small man who, in contrast, has a worn figure.
おまけに ……。
As a bonus …….
「 あの 、 佐々 本 夕 里子 です けど 」
|ささ|ほん|ゆう|さとご||
"That 's Uri Sasamoto, though."
と 言う と 、 若い 方 が ちょっと びっくり した 様子 で 、
|いう||わかい|かた|||||ようす|
That said, the younger one looks a little surprised.
「 あ 、 僕 は M 署 の 国友 と いい ます が ……」
|ぼく||m|しょ||くにとも||||
"Oh, I'm M.'s national friend, but ..."
と 言って 、 隣 の 男 を 突 っ ついた 。
|いって|となり||おとこ||つ||
Saying, I shook the guy next to me.
眠って いた のだ 。
ねむって||
I was asleep.
「 ん ?
ああ ── こりゃ 失礼 」
||しつれい
Oh 失 Excuse me "
その 男 は 夕 里子 を 見る と 、「 あんた が 夕 里子 さん ?
|おとこ||ゆう|さとご||みる||||ゆう|さとご|
」 と 目 を 丸く した 。
|め||まるく|
"I rounded my eyes.
「 はい 」
「 いや …… てっきり お 母さん か と 思った んで ね 」
|||かあさん|||おもった||
"No ... I thought I was a mother."
「 母 は 五 年 前 に 死に ました 」
はは||いつ|とし|ぜん||しに|
「 そう か 。
── 私 は 三崎 。
わたくし||みさき
これ は 国友 」
||くにとも
This is a national friend
「 あの 、 火事 の こと でしょう か 」
|かじ||||
"That, is it a fire?"
「 うん 、 まあ …… 気の毒だった ね 」
||きのどくだった|
"Yeah, well ... sorry."
「 どうも 」
「 実は 安東 先生 と いう 方 の お宅 へ 行き まして ね 」
じつは|あんどう|せんせい|||かた||おたく||いき||
"Actually, I went to the house of Mr. Ando,"
と 若い 国友 刑事 が 言った 。
|わかい|くにとも|けいじ||いった
Said a young detective.
「 綾子 さん と いう の は ──」
あやこ|||||
"What are you saying?
「 姉 です 。
あね|
私 が 二 番 目 で 、 下 が 珠美 と いい ます 」
わたくし||ふた|ばん|め||した||たまみ|||
I am the second one and the lower one is Tamami ".
「 そう です か 。
いや 、 綾子 さん が 、 こちら の 夕 里子 さん に 訊 いて くれ と おっしゃった んで 来た んです よ 」
|あやこ|||||ゆう|さとご|||じん||||||きた||
No, Ayako-san came here to say that she would like to visit Yuuriko here. "
「 姉 は 朝 が 弱い んです 、 低 血圧 で 」
あね||あさ||よわい||てい|けつあつ|
"My sister is weak in the morning, with low blood pressure."
と 夕 里子 は 言った 。
|ゆう|さとご||いった
「 それ に 、 私 と 違って 神経 が 細い もの です から 、 たぶん 火事 の ショック で まだ ぼんやり して いる んだ と 思い ます 」
||わたくし||ちがって|しんけい||ほそい|||||かじ||しょっく||||||||おもい|
"Also, unlike me, my nervousness is thin, so I think I'm probably still shocked by the fire."
「 なるほど 」
三崎 刑事 は 欠 伸 を かみ殺して 、「 では 、 あんた に 色々 訊 いて も いい の か な ?
みさき|けいじ||けつ|しん||かみころして||||いろいろ|じん||||||
Misaki detective slays the abolition, "Well then, do you want to talk to you variously?
── 出火 の 原因 は 心当り ある か ね ?
しゅっか||げんいん||こころあたり|||
「 考えて みた んです けど 、 分 り ませ ん 。
かんがえて||||ぶん|||
"I thought, but I do not know.
いつも 私 が 寝る 前 に 火の元 や 戸締り を する こと に なって いて 、 ゆうべ も 、 ちゃんと 全部 見て 回った んです 」
|わたくし||ねる|ぜん||ひのもと||とじまり||||||||||ぜんぶ|みて|まわった|
Every time I go to bed, I'm supposed to shut the fire and shut the house, and I went to see all the music properly.
「 それ は 確か かね ?
||たしか|
"Is that true?
「 はい 、 絶対 です 」
|ぜったい|
「 ふむ ……」
三崎 は 顎 を 手 で こすり ながら 、「 する と 放火 と いう こと も 考え られる わけだ 」
みさき||あご||て||||||ほうか|||||かんがえ||
Misaki rubs his jaw with his hand and says, "If you do, you can think of an arson."
「 放火 ?
ほうか
でも 誰 が ?
|だれ|
「 それ は まだ 分 らん が ──」
|||ぶん||
"I still know that ──"
三崎 は 何 か 言い かけて 言葉 を 切る と 、「 火 が 出た の に 気付いて から 逃げ出す まで の こと を 話して くれ ない か ね 」
みさき||なん||いい||ことば||きる||ひ||でた|||きづいて||にげだす|||||はなして||||
Misaki said something and cut off the words, "Could you tell me anything from noticing that the fire had come up to running away?"
と 言った 。
|いった
夕 里子 は 煙 に 気付いて 目 が 覚めた こと から 、 窓 を 破って 逃げた こと まで を 話した 。
ゆう|さとご||けむり||きづいて|め||さめた|||まど||やぶって|にげた||||はなした
Yuuriko was aware of the smoke and woke up, and talked about breaking through the window and running away.
「 する と 、 寝て いた 八 畳 間 から 直接 外 へ 逃げた わけだ ね 」
||ねて||やっ|たたみ|あいだ||ちょくせつ|がい||にげた||
"If you do, you're fleeing directly out of the sleeping area you were sleeping"
「 はい 、 そう です 」
「 どこ から 火 が 出た か は 、 見当 が つか ない 、 と いう わけ か 」
||ひ||でた|||けんとう|||||||
"I wonder where the fire came from, I have no idea."
「 ええ 」
「 家 の 中 の 見取り図 を 書いて みて くれ ない か ね 。
いえ||なか||みとりず||かいて|||||
"Would you like to write a sketch of the house?
大体 の ところ で いい 」
だいたい||||
Generally good
「 はい 」
国友 が 、 手帳 を 一 枚 破いて 、 鉛筆 と 一緒に くれた 。
くにとも||てちょう||ひと|まい|やぶいて|えんぴつ||いっしょに|
A national friend broke a notebook and gave it with a pencil.
夕 里子 は 、 記憶 を 頼り に 図面 を 書いて 行った が 、 意外に よく 憶 えて い ない の に 驚いた 。
ゆう|さとご||きおく||たより||ずめん||かいて|おこなった||いがいに||おく||||||おどろいた
Yuuriko wrote a drawing based on her memory, but was surprisingly surprised that she did not remember well.
それ でも 何とか 苦労 して 書き上げる と 、
||なんとか|くろう||かきあげる|
But if you somehow struggle to write it out,
「 こんな 風 だった と 思い ます 」
|かぜ|||おもい|
"I think it was like this."
と 三崎 へ 手渡す 。
|みさき||てわたす
And hand over to Misaki.
三崎 は しばらく それ を 見て いた が 、 テーブル の 上 に 図面 を 置く と 、 自分 の 鉛筆 で 、 父 の 部屋 の 窓 側 の 隅 に × 印 を つけた 。
みさき|||||みて|||てーぶる||うえ||ずめん||おく||じぶん||えんぴつ||ちち||へや||まど|がわ||すみ||いん||
Misaki looked at it for a while, but when he put the drawing on the table, he used his pencil to put a cross in the corner of the window of the father's room.
「 この 部屋 は ?
|へや|
「 父 の 部屋 です 」
ちち||へや|
「 ここ から 火 が 出た らしい んだ よ 」
||ひ||でた|||
"It seems like the fire came out of here."
「 でも …… 火の気 が あり ませ ん 。
|ひのけ||||
"But ... I have no feeling of fire.
それ に 父 は 出張 で いま せ ん でした 」
||ちち||しゅっちょう|||||
And my father was on a business trip. "
三崎 と 国友 が ちょっと 目 を 見交わした 。
みさき||くにとも|||め||みかわした
Misaki and Kotoumi had a slight glance.
「 だ から おかしい んだ よ 。
どう 考えて も 放火 と しか 思え ない 」
|かんがえて||ほうか|||おもえ|
Anyway I can only think of it as an arson "
夕 里子 は 啞然 と した 。
ゆう|さとご||啞ぜん||
Yuuriko was stunned.
うち に 放火 !
||ほうか
Arson in my house!
そんな ひどい こと を ……。
「 もう 一 つ 大変な こと が あり まして ね 」
|ひと||たいへんな|||||
"I have one more thing to do."
と 国友 が 申し訳な さ そうに 言った 。
|くにとも||もうしわけな||そう に|いった
And my friend said sorry.
「 何 でしょう ?
なん|
三崎 が 、 鉛筆 で 、 父 の 部屋 の 押入れ の 所 へ 、 人 の 形 を 描いた 。
みさき||えんぴつ||ちち||へや||おしいれ||しょ||じん||かた||えがいた
Misaki drew a human figure with a pencil to the closet of my father's room.
夕 里子 は 戸惑って 三崎 の 顔 を 見た 。
ゆう|さとご||とまどって|みさき||かお||みた
Yuuriko was puzzled and looked at Misaki's face.
「 この 押入れ の あたり から ね 」
|おしいれ||||
"From around this closet"
と 三崎 は 言った 。
|みさき||いった
「 女 の 死体 が 見付かった んだ よ 」
おんな||したい||みつかった||
"I found a woman 's corpse."
「 う っそ 」
と 、 珠美 が 言った 。
|たまみ||いった
「 あんた 、 私 が そんな 冗談 言い に 来た と 思って ん の !
|わたくし|||じょうだん|いい||きた||おもって||
"You think I came to such a joke!
夕 里子 は ドンと テーブル を 叩いた 。
ゆう|さとご||どんと|てーぶる||たたいた
Yuuriko beat the table with Don.
「 お 姉ちゃん 、 ここ うち じゃ ない の よ 」
|ねえちゃん||||||
"My sister, I'm not here."
「 あ 、 いけない 」
夕 里子 は ちょっと 舌 を 出した 。
ゆう|さとご|||した||だした
Yuriko put out a little bit of tongue.
── 安東 の 家 へ 来て いる のである 。
あんどう||いえ||きて||
── It is coming to Andong's house.
「 紅茶 を 淹 れ ました よ 。
こうちゃ||えん|||
"I had a cup of tea.
召し上れ 」
めしあがれ
安東 の 妻 、 岐子 は やはり 学校 の 教師 である 。
あんどう||つま|しこ|||がっこう||きょうし|
Ando's wife, Kiko, is still a school teacher.
夫 が 中学 、 妻 が 高校 、 というのも 珍しい 。
おっと||ちゅうがく|つま||こうこう||めずらしい
It is rare for her husband to be in junior high school and his wife to be in high school.
「 しかし 、 妙な 話 だ ねえ 」
|みょうな|はなし||
"But it's a strange story."
安東 が ドッカ と 座り込んで 言った 。
あんどう||||すわりこんで|いった
Andong sat down and said, 'Doka.
大柄で 、 がっしり と した 体つき 。
おおがらで||||からだつき
It has a large body and a solid body.
健康 そうに よく 陽焼 けして 、 いかにも 人 の 好 い 印象 を 与える 。
けんこう|そう に||ようやき|||じん||よしみ||いんしょう||あたえる
Soothing well and well-being, gives a good impression of people.
実際 、 珠美 の 学校 でも 、 生徒 の 間 で 人気 の 高い 教師 の 一 人 だった 。
じっさい|たまみ||がっこう||せいと||あいだ||にんき||たかい|きょうし||ひと|じん|
In fact, even at the school at Shumi, it was one of the most popular teachers among the students.
「 本当 ねえ 。
ほんとう|
そんな こと って ある かしら ?
Is there anything like that?
妻 の 岐子 が 紅茶 を 配り ながら 言った 。
つま||しこ||こうちゃ||くばり||いった
My wife, Giko, said while giving me some tea.
岐子 は 夫 と は 好 対照 の 、 ほっそり と した 色白の 美人 で 、 子供 が ない せい か 、 若々しく 見えた 。
しこ||おっと|||よしみ|たいしょう|||||いろじろの|びじん||こども|||||わかわかしく|みえた
Giko is a slender, fair-skinned beauty, in good contrast to her husband, and looked young, probably because she had no children.
「 どんな 女 の 人 な の ?
|おんな||じん||
"What kind of woman is it?
と 、 綾子 が 言った 。
|あやこ||いった
「 分 んな いわ よ 。
ぶん|||
"I don't know.
だって 、 焼け 死んだ んだ から 」
|やけ|しんだ||
Because I burned and died. "
「 あ 、 そう か 」
綾子 は 、 まだ 半ば 放心 状態 の ようだ 。
あやこ|||なかば|ほうしん|じょうたい||
Reiko seems to be still in a state of half-heartedness.
おっとり と 大柄で 、 ふくよかな 顔 の 、 なかなか の 美人 である 。
||おおがらで||かお||||びじん|
He is a pretty beautiful woman with a big face, a big face, and a large size.
モダンな ファッション より は 、 和服 姿 の 方 が よく 似合う 。
もだんな|ふぁっしょん|||わふく|すがた||かた|||にあう
Japanese-style clothes look better than modern fashion.
「 でも 、 いつ から その 女 の 人 、 うち に いた の ?
||||おんな||じん||||
"But how long have you been in the house with that woman?
と 珠美 が 言った 。
|たまみ||いった
Said Tamami.
「 全然 気 が 付か なかった わ 」
ぜんぜん|き||つか||
"I was not aware at all."
「 当り前 よ 。
あたりまえ|
知って りゃ 忘れ ない わ 。
しって||わすれ||
I will not forget if I know it.
── 参っちゃ った なあ 、 早く パパ 帰って 来 ない かしら 」
まいっちゃ|||はやく|ぱぱ|かえって|らい||
参 I'm going, I wonder if Dad won't come back soon.
「 お 父さん の 部屋 で その 女 の 人 が 見付かった の ね ?
|とうさん||へや|||おんな||じん||みつかった||
"Did you find the woman in your father 's room?
と 岐子 が 訊 いた 。
|しこ||じん|
And Giko sang.
「 そう らしい んです 。
でも 、 正確に は 分 ら ない けど 。
|せいかくに||ぶん|||
But I do not know exactly.
── ただ 、 パパ の 部屋 に は めったに 入り ませ ん から 、 押入れ の 中 に いた と したら 、 まるで 気 が 付か なかった と 思い ます 」
|ぱぱ||へや||||はいり||||おしいれ||なか||||||き||つか|||おもい|
た だ However, I seldom enter the dad 's room, so if I were in the closet I would not have noticed it.
「 それ に したって ……」
"That's right ..."
珠美 は 、 もう 何 に でも 八つ当り し たい 様子 だ 。
たまみ|||なん|||やつあたり|||ようす|
Suzumi seems to want to hit eight things in everything.
末っ子 の せい か 、 こらえ 性 の ない ところ が ある 。
すえっこ|||||せい|||||
Perhaps because it is the youngest child, there are places where there is no protection.
「 お 父さん と は 連絡 取れ ない の か 」
|とうさん|||れんらく|とれ|||
"Can't I get in touch with my father?"
と 安東 が 言った 。
|あんどう||いった
「 札幌 へ 行って る の は 分 って る んです けど 、 どこ に 泊って る か 見当 つか ない し 、 それ に 、 会社 の 電話 も 、 手帳 なんか が 全部 焼けちゃ って 」
さっぽろ||おこなって||||ぶん|||||||とまって|||けんとう||||||かいしゃ||でんわ||てちょう|||ぜんぶ|やけちゃ|
"I know I'm going to Sapporo, but I have no idea where I am staying, and my office phone and all my notebooks have been burned up."
「 電話 帳 で 引け 」
でんわ|ちょう||ひけ
"Close with phonebook"
「 今日 は 日曜日 でしょう 、 あなた 」
きょう||にちようび||
"Today will be Sunday, you"
「 そう か 。
誰 か 、 お 父さん の 同僚 の 自宅 の 電話 でも 知ら ん の か ?
だれ|||とうさん||どうりょう||じたく||でんわ||しら|||
Does anyone know of your father 's colleague' s phone at home?
姉妹 は 顔 を 見合わせ 、 首 を 振った 。
しまい||かお||みあわせ|くび||ふった
The sister saw her face and shook her head.
「 ふむ 。
いつ 帰る 予定 な んだ ?
|かえる|よてい||
When are you going to go home?
「 確か 月曜日 って ……」
たしか|げつようび|
"Somewhat Monday ..."
「 火曜 じゃ ない ?
かよう||
「 私 、 月曜 って 聞いた わ 」
わたくし|げつよう||きいた|
"I heard that Monday"
と 、 夕 里子 は 言った 。
|ゆう|さとご||いった
「 いずれ に せよ 、 明日 まで 待つ 他 ない の か 」
|||あした||まつ|た|||
"Anyway, will I have to wait until tomorrow?"
安東 は 難しい 顔 で 言った 。
あんどう||むずかしい|かお||いった
Andong said with a difficult face.
「 すみません 、 お 世話に なって 」
||せわに|
"Excuse me, thank you for your help"
何 か 言わ なきゃ 悪い と 思った の か 、 綾子 が 頭 を 下げる 。
なん||いわ||わるい||おもった|||あやこ||あたま||さげる
Ayako lowered her head if I thought it was bad if I had to say something.
「 いや 、 そんな こと は いい んだ 。
"No, that's good.
しかし 、 親類 の 人 と か 、 連絡 する 先 は ない の か ?
|しんるい||じん|||れんらく||さき||||
However, there is no relative or someone to contact you?
「 うち は 父 も 母 も 近い 親類 が 全然 ない んです 」
||ちち||はは||ちかい|しんるい||ぜんぜん||
"My father and mother have no close relatives at all."
と 、 夕 里子 は 言った 。
|ゆう|さとご||いった
「 すみません 、 姉 と 妹 を もう 一晩 置いて 下さい 」
|あね||いもうと|||ひとばん|おいて|ください
"Excuse me, please leave my sister and sister one more night"
「 そんな こと は 構わ ない よ 」
|||かまわ||
"I do not mind such a thing"
と 、 快く 安東 が 肯 く 。
|こころよく|あんどう||こう|
And, Ando feels good.
「 早く お 父さん が お 帰り に なる と いい のに ね 」
はやく||とうさん|||かえり||||||
"I hope your father will return sooner"
と 岐子 が 言った 。
|しこ||いった
電話 が 鳴って 、 岐子 が 立って 行った 。
でんわ||なって|しこ||たって|おこなった
The phone rang and Gikko stood up.
受話器 を 上げて 、 向 う の 声 を 聞く と 、
じゅわき||あげて|むかい|||こえ||きく|
When you pick up the handset and hear the voice over there,
「 夕 里子 さん 、 あなた よ 」
ゆう|さとご|||
"Yuuriko, you are"
と 言った 。
|いった
「 国友 さん って いう 方 」
くにとも||||かた
"One who says Kunitomo"
「 国友 ……。
くにとも
あ 、 さっき の 刑事 さん だ わ 」
|||けいじ|||
Oh, it 's the previous detective. "
夕 里子 は 受話器 を 取った 。
ゆう|さとご||じゅわき||とった
「── 実は 、 今 検死 官 が 例の 女性 の 死体 を 見た んです が ね 」
じつは|いま|けんし|かん||れいの|じょせい||したい||みた|||
"Actually, the post-mortemist saw the corpse of a woman in the example."
と 、 国友 は あまり 気 が 進ま ない 口ぶり で 言った 。
|くにとも|||き||すすま||くちぶり||いった
Said, Kotomu said with a voice that did not make much progress.
「 死因 は 焼死 じゃ ない んだ な 」
しいん||しょうし||||
"The cause of death is not burning."
「 え ?
それ じゃ 何 です か ?
||なん||
What is that then?
「 体 に ね 、 ナイフ の 刃 先 が 残って いた んです 。
からだ|||ないふ||は|さき||のこって||
"There was a knife tip left on my body.
心臓 を 刺して 、 ナイフ が 折れた らしい 。
しんぞう||さして|ないふ||おれた|
He stabbed the heart and the knife was broken.
つまり 女 は 刺し殺さ れて いる んです よ 」
|おんな||さしころさ||||
In a word, the woman is stabbed away "
「 殺さ れ …… た ?
ころさ||
" killed ?
夕 里子 は 頭 が 混乱 して 来た 。
ゆう|さとご||あたま||こんらん||きた
Yuuriko was confused in her head.
「 つまり 、 誰 か が その 女 の 人 を 刺し殺して 、 うち の 押入れ に 入れて おいた んです か ?
|だれ||||おんな||じん||さしころして|||おしいれ||いれて|||
"So, did somebody stab and kill the woman and put it in my closet?
「 そして 火 を つけた んです ね 、 おそらく 。
|ひ|||||
"And I put on the fire, probably.
身 許 を 知ら れ たく なかった の か 。
み|ゆる||しら|||||
Didn't you want to be informed?
── あの 女性 は 服 を はぎ取ら れて いる らしい んです よ 」
|じょせい||ふく||はぎとら|||||
It seems that that woman is stripped of her clothes. "
「 じゃ …… 裸 で ?
|はだか|
"See you ... naked?
「 そう 。
死後 、 せいぜい 一 日 しか たって い ない 。
しご||ひと|ひ||||
It only lasts one day after death.
つまり 、 殺して すぐに 押入れ へ 裸 に して 押し込んだ らしい です ね 」
|ころして||おしいれ||はだか|||おしこんだ|||
In a word, it seems that you killed and immediately put it into a closet nakedly and pushed it in.
夕 里子 は 悪い 夢 を 見て いる ようだった 。
ゆう|さとご||わるい|ゆめ||みて||
Yuuriko seemed to have a bad dream.
夕 里子 は 昨日 、 学校 から 帰った 後 、 家 を 掃除 した のだ 。
ゆう|さとご||きのう|がっこう||かえった|あと|いえ||そうじ||
Yuuriko cleaned the house yesterday after returning from school.
その とき 、 パパ の 部屋 も 掃除 した 。
||ぱぱ||へや||そうじ|
At that time, I cleaned my dad's room.
押入れ は 開け なかった が ……。
おしいれ||あけ||
I could not open the closet ...
あの とき 、 もう 死体 は あった の かも しれ ない 。
|||したい||||||
At that time, there may have been corpses.
襖 一 枚 の 向 うに ……。
ふすま|ひと|まい||むかい|
Let's go ahead ...
「 それ から 、 これ は 言いにくい んです が 」
||||いいにくい||
"And then it 's hard to say this."
と 、 国友 は ためらい がちに 言った 。
|くにとも||||いった
Said, his friend was hesitant.
「 お 父さん の 会社 は K 建設 です ね 」
|とうさん||かいしゃ||k|けんせつ||
"Father 's company is K construction."
「 そうです 」
そう です
「 販売 第 二 課 、 と 」
はんばい|だい|ふた|か|
"The second part of sales, and"
「 はい 」
「 その 課長 さん が 、 植松 と いう 人 でして ね 、 自宅 の 電話 が 分 った ので 連絡 した んです よ 」
|かちょう|||うえまつ|||じん|||じたく||でんわ||ぶん|||れんらく|||
"The manager was Uematsu, and I got in touch with me because I knew my home phone."
「 ああ 、 そう だ わ 、 植松 って 人 です 。
||||うえまつ||じん|
"Oh, yes, Uematsu is a person.
父 の 居場所 、 分 り ました か ?
ちち||いばしょ|ぶん|||
Did you know where your father was?
「 それ が ね 、 お 父さん は 出張 に なんか 行って ない 、 って こと な んです 」
||||とうさん||しゅっちょう|||おこなって|||||
"That 's right, Father isn't going to go on a business trip."
夕 里子 は ポカン と して 、 綾子 と 珠美 の 心配 そうな 顔 を 眺めた 。
ゆう|さとご|||||あやこ||たまみ||しんぱい|そう な|かお||ながめた
Yuuriko was pokan, and looked at the worrying face of Reiko and Tamami.
左手 の 指 を 三 本 出して 、
ひだりて||ゆび||みっ|ほん|だして
Put out three fingers of your left hand,
「 これ 、 三 本 ?
|みっ|ほん
"This, three?
「 そう よ 」
「 じゃ 、 おかしく ない んだ ……」
"That's not funny ..."
「 どうした の 、 お 姉ちゃん ?
|||ねえちゃん
夕 里子 は 受話器 を 握り 直した 。
ゆう|さとご||じゅわき||にぎり|なおした
Yuriko grabbed the handset again.
「 あの ── それ は 、 どういう 意味 です か ?
||||いみ||
"Uh-what does that mean?
父 は 木曜日 から 出張 で 札幌 へ 行って る んです よ 」
ちち||もくようび||しゅっちょう||さっぽろ||おこなって|||
Father is going to Sapporo on a business trip from Thursday. "
「 それ が ね 、 実際 は お 父さん は 休み を 取って る んです よ 。
|||じっさい|||とうさん||やすみ||とって|||
"That's right, in fact my father is taking a break.
木曜日 から 」
もくようび|
From Thursday
「 じゃ …… 札幌 に は ?
|さっぽろ||
「 どこ へ 行って る の か は 分 り ませ ん 。
||おこなって|||||ぶん|||
心当り は ?
こころあたり|
What is your mind?
「 そんな …… 私 に 分 る はず が ない でしょう 」
|わたくし||ぶん|||||
"That ...... I can't tell."
ショック が 夕 里子 に 反抗 的な 口 を きかせた 。
しょっく||ゆう|さとご||はんこう|てきな|くち||
The shock made Yuriko a rebellious voice.
パパ が そんな 噓 を つく なんて !
ぱぱ||||||
I hope my dad will make such a bag!
そんな こと が ある もんか !
Monk that has such a thing!
「 連絡 が あったら 、 すぐに 知らせて 下さい 。
れんらく||||しらせて|ください
"Please let me know as soon as you get in touch.
いい です ね 」
国友 の 言葉 は 優しかった が 、 言い 方 は 厳しく なって いた 。
くにとも||ことば||やさしかった||いい|かた||きびしく||
His friend's words were good, but his words were strict.
受話器 を 置いた 夕 里子 は 、 物 問い た げ な みんな の 視線 を 受け止め かねて 、 目 を 伏せて しまった 。
じゅわき||おいた|ゆう|さとご||ぶつ|とい||||||しせん||うけとめ||め||ふせて|
Yuuriko, who placed the handset, shuts her eyes because she could not catch the eyes of everyone who was questioning.
「 何事 な の ?
なにごと||
"What 's wrong?
と 安東 岐子 が 訊 いた 。
|あんどう|しこ||じん|
And Gyoko Ando wandered.
「 あの …… 大した こと じゃ あり ませ ん 」
|たいした|||||
"That ...... not a big deal"
大した こと 、 どころ で は ない のだ が 、 なぜ か 口 に し たく なかった 。
たいした||||||||||くち||||
It wasn't a big deal, but I didn't want to say something about it.
みんな に しゃべら ない 内 に 、 もう 一 度 警察 から 電話 が かかって 来て 、
||||うち|||ひと|たび|けいさつ||でんわ|||きて
While I was not talking to everyone, I received another phone call from the police,
「 今 の は 植松 さん の 勘違い でした よ 」
いま|||うえまつ|||かんちがい||
"It was Mr. Uematsu 's misunderstanding now"
と 言って くれる ので は ない か と 思った のだ 。
|いって|||||||おもった|
I thought it would mean to say that.
「 でも 、 今 の 様子 じゃ ──」
|いま||ようす|
"But, it's the situation now-"
「 すみません 」
夕 里子 は ピョコン と 頭 を 下げて 、「 私 たち 三 人 だけ に して 下さい 、 お 願い です 」
ゆう|さとご||||あたま||さげて|わたくし||みっ|じん||||ください||ねがい|
Yuuriko lowered her head with Pyokon and said, "Please give us only three people,"
父 が 噓 を ついて いた と は 言い たく なかった 。
ちち||||||||いい||
I did not want to say that my father was wearing a spear.
他人 に 聞か れる の は 、 もっと いやだった 。
たにん||きか|||||
It was more disgusting to be heard by others.
「 よし 、 席 を 外そう 」
|せき||がいそう
"Yeah, let's leave our seat"
安東 が 立ち上って 、 岐子 を 促す 。
あんどう||たちのぼって|しこ||うながす
Andong gets up and urges Gikko.
「── どうした の よ 、 一体 」
|||いったい
"-What the hell is it?"
綾子 が 咎め だて する ように 、「 失礼じゃ ない の 、 先生 に 」
あやこ||とがめ||||しつれいじゃ|||せんせい|
"As excuse me, to the teacher, as Reiko is giving up.
と 言った 。
|いった
「 他人 に 言い たく ない 話 だって ある わ よ 」
たにん||いい|||はなし||||
"There is even a story that I do not want to tell others."
「 だって 先生 よ 」
|せんせい|
「 先生 だって 、 他人 は 他人 よ !
せんせい||たにん||たにん|
"Even a teacher, others are others!
と 、 夕 里子 は また テーブル を ドンと 叩いた 。
|ゆう|さとご|||てーぶる||どんと|たたいた
And Yuuriko slammed the table again.
ティーカップ が ガチャン 、 と 音 を 立てる 。
||||おと||たてる
The tea cup makes a sound like a gattan.
「 ねえ 、 よく 聞いて 」
||きいて
"Hey, listen carefully"
夕 里子 は 、 今 の 国友 の 電話 の 内容 を 説明 した 。
ゆう|さとご||いま||くにとも||でんわ||ないよう||せつめい|
Yuuriko explained the contents of his present friend's phone call.
「 じゃ 、 パパ 、 どこ に いる の ?
|ぱぱ||||
"Well, dad, where are you?
綾子 は 当惑 し 切った 表情 で 言った 。
あやこ||とうわく||きった|ひょうじょう||いった
Reiko said with an embarrassed look.
「 分 んな いわ よ 」
ぶん|||
"I don't know."
「 どうして 噓 ついた の かしら ?
"I wonder why you were jealous?
「 噓 と は 限 ん ない じゃ ない の 。
|||げん|||||
"It's not limited to jealousy.
その 課長 って 人 の 勘違い かも しれ ない し 、 何 か 特別な 事情 が あって ──」
|かちょう||じん||かんちがい|||||なん||とくべつな|じじょう||
The manager may be misunderstood by a person or something special.
「 ねえ 」
突然 、 珠美 が 言った 。
とつぜん|たまみ||いった
「 はっきり さ せ なきゃ 」
"I have to make it clear"
夕 里子 と 綾子 は 、 珠美 を 見た 。
ゆう|さとご||あやこ||たまみ||みた
Yuuriko and Yuko saw Tamami.
「 だって さ 、 私 たち が ここ で ああ だ こう だ 言って たって 仕方ない じゃ ない 。
||わたくし|||||||||いって||しかたない||
"Because we can not say that we're here ah.
本当の こと は 分 り っこ ない んだ し 。
ほんとうの|||ぶん|||||
I do not know the true thing.
それ より 、 警察 の 人 が どう 思って る か よ 」
||けいさつ||じん|||おもって|||
What does a police person think more than that?
珠美 は 三 人 姉妹 の 中 でも 、 一 番 の 現実 主義 者 な のである 。
たまみ||みっ|じん|しまい||なか||ひと|ばん||げんじつ|しゅぎ|もの||
Sumi is the best realist among the three sisters.
そういう 世代 な の かも しれ ない 。
|せだい|||||
It may be such a generation.
「 つまり 、 あんた の 言い たい こと は ──」
|||いい|||
"That's what you want to say ──"
「 家 の 中 に 、 殺さ れた 女 の 人 の 死体 が あった んでしょ 。
いえ||なか||ころさ||おんな||じん||したい|||
"There was a dead body of a killed woman in the house.
それ も パパ の 部屋 の 押入れ に 。
||ぱぱ||へや||おしいれ|
そして パパ は 出張 と 言って 出かけた けど 、 実際 は 出張 なんか じゃ なくて 、 行方 が 分 ら ない 。
|ぱぱ||しゅっちょう||いって|でかけた||じっさい||しゅっちょう||||ゆくえ||ぶん||
And dad said he was on a business trip, but he wasn't actually on a business trip, and he did not know where it was.
── はっきり して る わ よ 。
-It's clear.
その 女 の 人 は パパ が 殺した んだ わ 」
|おんな||じん||ぱぱ||ころした||
The dad killed that woman. "
夕 里子 は じっと 珠美 を 見つめた 。
ゆう|さとご|||たまみ||みつめた
「 あんた 、 本気で そう 思って ん の ?
|ほんきで||おもって||
"Do you really think so?
「 私 が 思って んじゃ ない よ 。
わたくし||おもって|||
"I'm not thinking.
警察 が そう 思って る って こと 」
けいさつ|||おもって|||
That the police think so "
「 なら いい けど 」
「 でも 、 そんな こと ……」
"But that kind of thing ..."
と 綾子 一 人 は まだ 事態 が よく 呑み込め てい ない 。
|あやこ|ひと|じん|||じたい|||のみこめ||
Toshio and one of them have not been addicted to the situation yet.
「 パパ が 帰って 来れば 分 る わ よ 」
ぱぱ||かえって|くれば|ぶん|||
"I know if Daddy comes back"
夕 里子 は 、 自分 に 言い聞かせる ように 言った 。
ゆう|さとご||じぶん||いいきかせる||いった
Yuuriko told me to tell her.
「 何もかも 、 ちゃんと 説明 して くれて 、 何でもなかった って 分 る わ よ 」
なにもかも||せつめい|||なんでもなかった||ぶん|||
"Everything, explain me properly, I know it wasn't anything."
「 女 の 死体 が 押入れ に あった の が 、『 何でもない 』 こと な の ?
おんな||したい||おしいれ|||||なんでもない|||
"Is the woman 's corpse in the closet' nothing '?
「 珠美 ったら 、 もう ちょっと 希望 的 観測 を 述べ られ ない の ?
たまみ||||きぼう|てき|かんそく||のべ|||
"If you are at a loss, can you say a little more hopeful observation?
「 希望 なんか 持って っ から 、 裏切ら れ んだ よ 」
きぼう||もって|||うらぎら|||
"I'm betrayed because I have hope."
「 言って くれる わ ね 」
いって|||
"I will tell you"
しばらく 三 人 は 黙り 込んで いた 。
|みっ|じん||だまり|こんで|
For a while the three were silent.
── やがて 、 綾子 が ポツンと 言った 。
|あやこ||ぽつんと|いった
や Before long, Ayako said Potun.
「 パパ に 電話 して みたら ?
ぱぱ||でんわ||
"If I try to call daddy?