なまけ者 と 貧乏 神 なまけもの||びんぼう|かみ

なまけ者 と 貧乏 神 なまけもの||びんぼう|かみ

むかし むかし 、 ある ところ に 、 ひどく なまけ者 で 貧乏な 男 が い ました 。 ||||||なまけもの||びんぼうな|おとこ|||

ある 年の暮れ の 事 、 男 が 空腹 を がまん し ながら いろり の 横 で 寝て いる と 、 天井 裏 から 何 か が 、 　 ズドン ！ |としのくれ||こと|おとこ||くうふく|||||||よこ||ねて|||てんじょう|うら||なん||| と 、 落ちて き ました 。 |おちて|| 「 なっ 、 何 だ ？ な っ|なん| 」 　 男 が びっくり して 飛び起きる と 、 落ちて きた の は つぎはぎ だらけ の 汚い 着物 を 着た 貧相な お じいさん でした 。 おとこ||||とびおきる||おちて|||||||きたない|きもの||きた|ひんそうな||| 「 何 だ 、 お前 は ！ なん||おまえ| おれ の 家 の 天井 裏 で 、 何 を して いた ！ ||いえ||てんじょう|うら||なん||| 」 　 すると お じいさん は 、 頭 を ポリポリ と かき ながら 答え ました 。 ||||あたま||||||こたえ| 「 わし は な 、 この 家 に 長い 間 やっかいに なって いる 貧乏 神 だ 」 「 貧乏 神 ？ ||||いえ||ながい|あいだ||||びんぼう|かみ||びんぼう|かみ まあ 、 この 家 なら 貧乏 神 の 一 人 や 二 人 いて も 不思議で は ない が 、 それ が 何 し に 降りて 来た ？ ||いえ||びんぼう|かみ||ひと|じん||ふた|じん|||ふしぎで||||||なん|||おりて|きた 」 「 うむ 、 実は な 。 |じつは| お前 が あまりに も 貧乏な ので 、 この 家 に は 、 わし の 食い物 が 一 つ も ない 。 おまえ||||びんぼうな|||いえ|||||くいもの||ひと||| さすが の わし も 、 このまま で は 命 が 持た ん 。 |||||||いのち||もた| そこ で 逃げ 出そう と した のじゃ が 、 あまり の 空腹に 力 が 入ら ず 、 うっかり 落ちて しまった のじゃ 」 「 そう か 、 おれ は 貧乏 神 も 逃げ 出す ほど の 貧乏だった の か 。 ||にげ|だそう|||||||くうふくに|ちから||はいら|||おちて|||||||びんぼう|かみ||にげ|だす|||びんぼうだった|| まあ 、 出て 行って くれる の なら 、 おれ も ありがたい 。 |でて|おこなって|||||| せめて 見送って やり たい が 、 おれ も 腹 が 減って 動け ない んだ 。 |みおくって||||||はら||へって|うごけ|| だ から 悪い けど 、 勝手に 出て 行って くれ 」 　 そう 言って 再び 寝よう と する 男 に 、 貧乏 神 は 言い ました 。 ||わるい||かってに|でて|おこなって|||いって|ふたたび|ねよう|||おとこ||びんぼう|かみ||いい| 「 まあ 、 寝る の は もう 少し 待って 、 わし の 話 を 聞く んじゃ 。 |ねる||||すこし|まって|||はなし||きく| わし は な 、 貧乏 神 と は いえ 、 これ でも 立派な 神 の はしくれ だ 。 |||びんぼう|かみ||||||りっぱな|かみ||| 長年 世話 に なった のに 、 礼 も せ ん と 出て 行く わけに は いか ん 。 ながねん|せわ||||れい|||||でて|いく|||| そこ で お前 に 、 一 つ 良い 事 を 教えて やろう 」 「 良い 事 ？ ||おまえ||ひと||よい|こと||おしえて||よい|こと 」 「 ああ 、 明日 の 日の出 と 共に 、 この 家 の 前 を 宝物 を 積んだ 馬 が 通る 。 |あした||ひので||ともに||いえ||ぜん||たからもの||つんだ|うま||とおる 一 番 目 の 馬 は 、 金 を 積 ん ど る 。 ひと|ばん|め||うま||きむ||せき||| 二 番 目 の 馬 は 、 銀 を 積 ん ど る 。 ふた|ばん|め||うま||ぎん||せき||| 三 番 目 の 馬 は 、 銅 を 積 ん ど る 。 みっ|ばん|め||うま||どう||せき||| その どれ でも ええ から 、 馬 を 棒 で 殴って みろ 。 |||||うま||ぼう||なぐって| そう すれば その 馬 の 宝 は 、 お前 の 物 に なる 」 「 なるほど 、 確かに それ は 良い 話し だ 。 |||うま||たから||おまえ||ぶつ||||たしかに|||よい|はなし| して 、 殴って も いい 馬 は 、 一 頭 だけ か ？ |なぐって|||うま||ひと|あたま|| 三 頭 と も 殴って は 、 駄目な の か ？ みっ|あたま|||なぐって||だめな|| 」 「 ほっ ほほ ほ 。 なん じゃ 、 急に 欲 が 出て きた か 。 ||きゅうに|よく||でて|| もちろん 、 三 頭 全部 でも 良い ぞ 。 |みっ|あたま|ぜんぶ||よい| 三 番 目 の 馬 だけ なら 、 普通の 暮らし 。 みっ|ばん|め||うま|||ふつうの|くらし 二 番 目 の 馬 も 加われば 、 裕福な 暮らし 。 ふた|ばん|め||うま||くわわれば|ゆうふくな|くらし 一 番 目 の 馬 も 加われば 、 お前 は 長者 に なれる じゃ ろう 。 ひと|ばん|め||うま||くわわれば|おまえ||ちょうじゃ|||| だが な 、 その 最後に 通る 四 番 目 の 馬 だけ は 、 決して 殴る な よ 。 |||さいごに|とおる|よっ|ばん|め||うま|||けっして|なぐる|| その 馬 は 、 わし が 出て 行く 為 の 馬 だ から な 」 「 わかった 。 |うま||||でて|いく|ため||うま|||| 最後の は 殴ら ん 」 　 男 は そう 言う と 、 また 寝て しまい ました 。 さいご の||なぐら||おとこ|||いう|||ねて||

さて 次の 日 、 日の出 と 共に 起きる はずの 男 は 、 いつも の なまけ ぐ せ で 少し 寝坊 を して しまい ました 。 |つぎの|ひ|ひので||ともに|おきる||おとこ||||||||すこし|ねぼう|||| 「 いけ ねえ ！ 寝 過ごした ！ ね|すごした 」 　 男 が あわてて 家 を 飛び出す と 、 ちょうど 家 の 前 を 立派な 荷物 を 積んだ 馬 が 通ろう と して い ました 。 おとこ|||いえ||とびだす|||いえ||ぜん||りっぱな|にもつ||つんだ|うま||とおろう|||| 「 よし 、 間に合った 。 |まにあった あれ が 金 の 馬 だ な 。 ||きむ||うま|| これ で おれ は 、 長者 に なれる ぞ 」 　 男 は 庭 から 物干し 竿 を 持ち出す と 、 その 馬 の 頭 めがけて 物干し 竿 を 振り下ろし ました 。 ||||ちょうじゃ||||おとこ||にわ||ものほし|さお||もちだす|||うま||あたま||ものほし|さお||ふりおろし| 「 え いっ ！ 」 　 しかし 物干し 竿 が 長 すぎて 、 途中 の 木 の 枝 に 引っかかって しまった のです 。 |ものほし|さお||ちょう||とちゅう||き||えだ||ひっかかって|| その 間 に 宝物 を 乗せた 馬 は 、 ゆうゆうと 通り 過ぎて 行き ました 。 |あいだ||たからもの||のせた|うま|||とおり|すぎて|いき| 「 しまった ！ 金 の 馬 を 、 逃がして しまった ！ きむ||うま||にがして| ・・・ まあ いい 、 残り の 銀 の 馬 と 銅 の 馬 を 殴って しまえば 、 おれ は 大 金持ち に なれる ぞ 。 ||のこり||ぎん||うま||どう||うま||なぐって||||だい|かねもち||| よし 、 次 は 短い 棒 で 」 　 男 は 台所 から ゴマ を すりつぶす 『 すりこぎ 棒 』 を 持って 来る と 、 二 番 目 の 馬 が やって 来る の を 待ち ました 。 |つぎ||みじかい|ぼう||おとこ||だいどころ||ごま||||ぼう||もって|くる||ふた|ばん|め||うま|||くる|||まち| 間もなく 、 また 立派な 荷物 を 積んだ 馬 が 、 家 の 前 を 通ろう と し ました 。 まもなく||りっぱな|にもつ||つんだ|うま||いえ||ぜん||とおろう||| 「 よし 、 これ が 銀 の 馬 だ な 。 |||ぎん||うま|| 今度 こそ 、 え いっ ！ こんど||| 」 　 男 は すりこぎ 棒 を 振り 上げる と 、 馬 の 頭 めがけて 振り下ろし ました 。 おとこ|||ぼう||ふり|あげる||うま||あたま||ふりおろし| しかし いくら なんでも すりこぎ 棒 で は 短 すぎて 、 馬 の 頭 に は 届き ませ ん でした 。 ||||ぼう|||みじか||うま||あたま|||とどき||| 宝物 を 乗せた 馬 は 、 男 の 横 を ゆうゆうと 通り 過ぎて 行き ます 。 たからもの||のせた|うま||おとこ||よこ|||とおり|すぎて|いき| 「 しまった ！ また しくじった か 。 今度 は 、 もう 少し 長 めの 棒 に しよう 」 　 そこ で 男 は てんびん 棒 を 持って 来て 、 次の 馬 が 来る の を 待ち ました 。 こんど|||すこし|ちょう||ぼう|||||おとこ|||ぼう||もって|きて|つぎの|うま||くる|||まち| やがて 馬 が やって 来た のです が 、 この 馬 に は 荷物 が 積ま れて い ませ ん 。 |うま|||きた||||うま|||にもつ||つま|||| 「 おかしい な ？ 銅 の 馬 の やつ 、 何も 積んで い ない ぞ 。 どう||うま|||なにも|つんで||| まあ いい 、 今度 こそ 馬 を 仕留めて 、 普通の 暮らし を 手 に 入れて やる 」 　 男 は てんびん 棒 を 振り 上げる と 、 馬 の 頭 めがけて 振り下ろし ました 。 ||こんど||うま||しとめて|ふつうの|くらし||て||いれて||おとこ|||ぼう||ふり|あげる||うま||あたま||ふりおろし| ゴチーン ！ てんびん 棒 は 見事に 馬 の 頭 に 命中 して 、 馬 は そのまま 死んで しまい ました 。 |ぼう||みごとに|うま||あたま||めいちゅう||うま|||しんで|| 「 やった ！ 銅 の 馬 を しとめた ぞ ！ どう||うま||| 」 　 男 が 大喜び して いる と 、 家 の 天井 裏 から 貧乏 神 が 降りて 来て 、 がっかり し ながら 言い ました 。 おとこ||おおよろこび||||いえ||てんじょう|うら||びんぼう|かみ||おりて|きて||||いい| 「 ああ 、 なんて 事 を 。 ||こと| お前 は 、 わし が 乗る はずの 馬 を 殺して しまった な 。 おまえ||||のる||うま||ころして|| せっかく 、 よそ の 家 で 暮らそう と 思った のに 、 これ で は 旅立つ 事 が 出来 ないで は ない か 。 |||いえ||くらそう||おもった|||||たびだつ|こと||でき|||| ・・・ 仕方 が ない 、 これ から も お前 の 所 で やっかいに なる ぞ 」 しかた||||||おまえ||しょ||||

こうして 男 は 、 それ から も 貧乏な 暮らし を 続けた と 言う 事 です 。 |おとこ|||||びんぼうな|くらし||つづけた||いう|こと|

おしまい