Another Episode 7 Another Episode 7

夜 ヲ 覆 ウ 目蓋 開 ケ よ||おお||まぶた|ひらき|

凶 キ 影 ヲ 恐 レルナカレ きょう||かげ||こわ|

仄 くら き 柩 から そく|||ひつぎ|

産み 堕 と さ れ た 人形 の よう に うみ|だ|||||にんぎょう|||

躰 は 赤く 凍え からだ||あかく|こごえ

心 は 闇 に あやさ れ 育つ こころ||やみ||||そだつ

君 に 僕 が 見える かい きみ||ぼく||みえる|

つなぐ 手 の 冷た さ に |て||つめた||

鮮血 の 爪 立てる せんけつ||つめ|たてる

眉 寄せ て ごらん よ まゆ|よせ|||

壊し 合 お う 先 に 続く 謎 に 満ちる 結末 を こわし|ごう|||さき||つづく|なぞ||みちる|けつまつ|

羽 も 脚 も もが れ た まま はね||あし|||||

虚 空 の なか 朽ち果てる より きょ|から|||くちはてる|

もう ひと り 僕 が い て |||ぼく|||

誰 か を 痛い ほど 愛し て いる ん だ だれ|||いたい||あいし||||

さ ぁ どっち が 幻 だ ろ う ね ||||まぼろし||||

皆 出 なさい みな|だ|

外 へ がい|

大至急 警察 と 救急 を だいしきゅう|けいさつ||きゅうきゅう|

怪我 し た 者 は い ない な けが|||もの||||

榊原 くん 君 は さかきばら||きみ|

大丈夫 です だいじょうぶ|

行 こ う 榊原 くん ぎょう|||さかきばら|

駄目 だった み たい ね 「 い ない もの 」 を 二 人 に 増やし て も だめ|||||||||ふた|じん||ふやし||

もう 疲れ た |つかれ|

疲れ まし た つかれ||

どう し たら いい の か 分から ない ん です ||||||わから|||

久保寺 先生 くぼでら|せんせい

あなた なら 分かって くれ ます よ ね ||わかって||||

後 は よろしく お 願い し ます あと||||ねがい||

あれ が 気 に かかって 仕方なかった ん だ ||き|||しかたなかった||

すま ん ね

それ で だ

警察 が 先生 の 自宅 を 調べ に 行った ところ けいさつ||せんせい||じたく||しらべ||おこなった|

大 変な こと に なって い た らしい だい|へんな||||||

久保寺 先生 は 独身 で くぼでら|せんせい||どくしん|

ずっと 母親 と 二 人 暮らし で ね |ははおや||ふた|じん|くらし||

母親 は もう 高齢 で ははおや|||こうれい|

重病 を お 患って 寝たきり の 生活 が 長い こと 続 い て い たら しん だ が じゅうびょう|||わずらって|ねたきり||せいかつ||ながい||つづ|||||||

その 母親 だ が ね |ははおや|||

ベッド の 上 で 亡くなって い た そう な ん だ よ べっど||うえ||なくなって|||||||

状況 的 に は 明らか に 他殺 じょうきょう|てき|||あきらか||たさつ

介護 の 疲れ 三 組 の 災厄 かいご||つかれ|みっ|くみ||さいやく

の っぴ き なら ない 精神 状態 に 追い込ま れ て |||||せいしん|じょうたい||おいこま||

母親 を 危 め て しまった ははおや||き|||

と いう こと な ん だ ろ う な

そして 自ら の 教え子 の 前 で 自殺 し た |おのずから||おしえご||ぜん||じさつ||

どう 思う この 常軌 を 逸 し た 選択 を |おもう||じょうき||そら|||せんたく|

これ も 「 現象 」 の 結果 だ と ||げんしょう||けっか||

だから 普通 なら 起こり え ない 形 で |ふつう||おこり|||かた|

死に 引き込ま れ て しまった しに|ひきこま|||

そう 考える の が 妥当 だ ろ |かんがえる|||だとう||

災厄 は 止まら ない さいやく||とまら|

これ から も 人 が 死ぬ |||じん||しぬ

仕方 ねえ よ しかた||

な サカキ そう 落ち込む な って |さかき||おちこむ||

自分 を 責め た って よ じぶん||せめ|||

今更 どうにも な ん ねえ よ いまさら|||||

つい この 間 まで さあ ||あいだ||

そりゃ あ 心 が 痛 ん だ さあ ||こころ||つう|||

事情 は もう 全部 知って ん だ ろ う じじょう|||ぜんぶ|しって||||

だったら 察し て くれよ な |さっし|||

十分 に 察 し てる よ じゅうぶん||さっ|||

分かって る わかって|

見 崎 も 肩 の 荷 が 下り た って 感じ か み|さき||かた||に||くだり|||かんじ|

さあ もともと 重く なんて なかった し ||おもく|||

や っぱ お前 変わって ん な ||おまえ|かわって||

ここ か

何 だ よ お前 いきなり なん|||おまえ|

「 い ない もの 」 は 終わった けど ||||おわった|

一応 は 覚悟 し て おい て ね いちおう||かくご|||||

何 「 あなた たち の せい よ 」 なん||||| お おい

って 言う 声 |いう|こえ

お互い まったく 責任 が 無い と は いえ ないし おたがい||せきにん||ない||||

私 も 「 無能 」 の 謗 り を 受け て も 仕方なし わたくし||むのう||ぼう|||うけ|||しかた なし

そう だ ね

お前 は どう な ん だ よ おまえ||||||

恒一 くん の せい に は でき ない つねいち|||||||

いくら なんでも ね

まだ 終わって ない |おわって|

災厄 も 対策 係 の 仕事 も さいやく||たいさく|かかり||しごと|

まだまだ これ から よ

このまま 夏 休み まで 出 て 来 ない 人 も いる の か な |なつ|やすみ||だ||らい||じん|||||

絶対 いる ね ぜったい||

もう 町 から 脱出 し た 人 いるか も |まち||だっしゅつ|||じん||

脱出 だっしゅつ

そう 毎年 いる らしい から |まいとし|||

夏 休み に 夜 見 山 から 逃げ出す 人 たち なつ|やすみ||よ|み|やま||にげだす|じん|

うん なんだか な

に し て も 見 崎 や っぱ お前 って 変わって ん な ||||み|さき|||おまえ||かわって||

人事 み たい に 淡々 と さ じんじ||||たんたん||

そう

実は お前 が 本当 に 今年 の 「 もう 一 人 」 だったり し て じつは|おまえ||ほんとう||ことし|||ひと|じん|||

当の 勅使河原 くん が そう かも しれ ない よ とうの|てしがわら|||||||

お 俺 |おれ

まさか

冗談 は なし ね じょうだん|||

本当 に まさか ほんとう||

いやいや いや 死 ん だ なんて 心当たり は これ っぽ っち も ねえ し ||し||||こころあたり|||||||

自慢 じゃ ない が じまん|||

がき の 頃 やら かし た こと は はっきり 覚え てる し ||ころ|||||||おぼえ||

元気 そう だ ね げんき|||

おかげ さま で

赤沢 さん 千 曳 さん に なに か あかさわ||せん|えい||||

対策 係 だ から ね たいさく|かかり|||

ここ に は よく 来る ||||くる

そう だった ん だ

彼女 は 強い 子 だ し かのじょ||つよい|こ||

本人 も それ に 自覚 的 な ん だ が ほんにん||||じかく|てき||||

戦い を 挑む 相手 が な たたかい||いどむ|あいて||

不憫 で なら ん よ ふびん||||

ああ そう いえ ば 今日 は 三神 先生 も 来 られ て ね ||||きょう||みかみ|せんせい||らい|||

三神 先生 が みかみ|せんせい|

私 の 経歴 に つい て は 彼女 も 知って る から ね わたくし||けいれき|||||かのじょ||しって|||

それ で 改まって 相談 を と ||あらたまって|そうだん||

で 君 たち は |きみ||

十五 年 前 途中 で 止まった と いう 話 を 聞い た ん です じゅうご|とし|ぜん|とちゅう||とまった|||はなし||ききい|||

それ で

この 二十五 年間 で 唯一 途中 で 止まった 年 だ |にじゅうご|ねんかん||ゆいいつ|とちゅう||とまった|とし|

その 年度 の 犠牲 者 は |ねんど||ぎせい|もの|

私 が 把握 でき て い なかった 理 津 子 くん を 除け ば 七 人 わたくし||はあく|||||り|つ|こ|||のけ||なな|じん

理 津 子 くん は いつ り|つ|こ|||

七 月 です なな|つき|

これ は

八 月 で 止まった と いう こと です か やっ|つき||とまった|||||

そ 八 月 の 日付け を 見 て ご覧 |やっ|つき||ひづけ||み||ごらん

八 月 九 日 やっ|つき|ここの|ひ

実は その 年 の 三 組 は 八 月 八 日 から 合宿 を 行って て ね じつは||とし||みっ|くみ||やっ|つき|やっ|ひ||がっしゅく||おこなって||

合宿 がっしゅく

確か 夏 休み 何 か が たしか|なつ|やすみ|なん||

その 合宿 で 二 人 が 事故 に |がっしゅく||ふた|じん||じこ|

そして その 合宿 で 何 か が あって ||がっしゅく||なん|||

災厄 が 止まった さいやく||とまった

おそらく その ページ 「 死者 」 の 名前 が 書か れ て ない だ ろ う ||ぺーじ|ししゃ||なまえ||かか||||||

誰 が 「 死者 」 だった の か その 年 は 確認 でき なかった ん だ よ だれ||ししゃ|||||とし||かくにん|||||

何故 止まった ん です か なぜ|とまった|||

はっきり と は 分から ない |||わから|

ただ 合宿 中 に 夜 見 山 神社 へ お参り に 行った らしい |がっしゅく|なか||よ|み|やま|じんじゃ||おまいり||おこなった|

神社 じんじゃ

古い 神社 だ ふるい|じんじゃ|

「 夜 見 山 」 と いう 山 の 中腹 に ある よ|み|やま|||やま||ちゅうふく||

合宿 施設 も その 山 の ふもと で よ がっしゅく|しせつ|||やま||||

じゃ その 神社 へ お参り に 行け ば ||じんじゃ||おまいり||いけ|

当然 その後 の 「 ある 年 」 に お参り に 行った よう だ が とうぜん|そのご|||とし||おまいり||おこなった|||

効果 は しか し なかった こうか||||

意味 は 無かった いみ||なかった

いえ 断定 は でき ない |だんてい|||

八 月 上旬 に 大勢 で 行った から 効果 が あった の かも しれ ない やっ|つき|じょうじゅん||おおぜい||おこなった||こうか||||||

お参り と は 関係なく おまいり|||かんけいなく

別に 何 か が あった べつに|なん|||

と いう 可能 性 も 無論 否定 でき ない ||かのう|せい||むろん|ひてい||

実は 今日 三神 先生 が 来 られ た 時 も この 話 に なって ね じつは|きょう|みかみ|せんせい||らい|||じ|||はなし|||

急な 話 です が きゅうな|はなし||

八 月 八 日 から 十 日 まで 二 泊 三 日 の クラス 合宿 を 行い ます やっ|つき|やっ|ひ||じゅう|ひ||ふた|はく|みっ|ひ||くらす|がっしゅく||おこない|

これ は 大切 な 行事 だ と 思って ください ||たいせつ||ぎょうじ|||おもって|

都合 の つく 人 は できる だけ 参加 し て ください つごう|||じん||||さんか|||

詳細 に つい て は 近日 中 に 皆さん に プリント を お 送り し ます しょうさい|||||きんじつ|なか||みなさん||ぷりんと|||おくり||

質問 しつもん

先生 せんせい

「 死者 」 は 誰 ししゃ||だれ

「 死者 」 は 誰 ししゃ||だれ

「 死者 」 は 誰 ししゃ||だれ

「 死者 」 は あなた ししゃ||

ぼ 僕 |ぼく

はい

ま ー すます 暑い ぞ インド は |-||あつい||いんど|

元気 で やって る か げんき||||

まあまあ だ ね

皆 元気 に し てる よ みな|げんき||||

あの さ お 父さん |||とうさん

お 母さん の 中学 時代 の 写真 って 見 た こと ある |かあさん||ちゅうがく|じだい||しゃしん||み|||

写真 しゃしん

卒業 アルバム は 確か 婚約 し た 頃 に 見せ て くれ た な そつぎょう|あるばむ||たしか|こんやく|||ころ||みせ||||

他の 写真 は たの|しゃしん|

中学 の 卒業 式 の 日 に 撮った って いう 集合 写真 って 見 た こと ある ちゅうがく||そつぎょう|しき||ひ||とった|||しゅうごう|しゃしん||み|||

集合 写真 何で また しゅうごう|しゃしん|なんで|

その ちょっと 変 な 写真 だった って ||へん||しゃしん||

えっ と 心 霊 写真 み たい な ||こころ|れい|しゃしん|||

どこ で 仕入れ て 来 た ん だ そんな よう な 話 ||しいれ||らい|||||||はなし

だいたい お前 心 霊 写真 なんて もの は だ な |おまえ|こころ|れい|しゃしん|||||

いや あの

そう いえ ば 昔 そんな 話 を 聞い た っけ なあ |||むかし||はなし||ききい|||

気味 の 悪い 写真 が ある ん だ って きみ||わるい|しゃしん|||||

見 た の その 写真 み||||しゃしん

いや 身近 に ある の は 嫌 だ から 実家 に おい て き た と か |みぢか|||||いや|||じっか|||||||

実家 に じっか|

おい 恒一 そっち で 何 か あった の か |つねいち|||なん||||

あっ ない ない ちょっと 退屈 な だけ ||||たいくつ||

そう か

理 津 子 は な 本当 に 魅力 的 な 人 だった ぞ り|つ|こ|||ほんとう||みりょく|てき||じん||

私 の あいつ に 対 する 気持ち は 今 でも まったく 変わって ない わたくし||||たい||きもち||いま|||かわって|

だから 恒一 お前 は 私 に とって |つねいち|おまえ||わたくし||

分かった 分かった わかった|わかった

じゃあ また ね

イノヤ

その お 店 の 場所 は 知って る けど さあ ||てん||ばしょ||しって|||

今日 きょう

何 だ よ なん||

もし かして 鳴 ちゃん と デート か ||な|||でーと|

で 何 の 話 |なん||はなし

とにかく 直 に 会って 話し たい ん だ よ |なお||あって|はなし||||

デート なら 彼女 も 連れ て 来い よ でーと||かのじょ||つれ||こい|

クラス の 問題 で も ある し な くらす||もんだい|||||

じゃあ 行く よ |いく|

恒一 くん こっち よ つねいち|||

赤沢 さん あかさわ|

勅使河原 に 呼ば れ て き た ん でしょ う てしがわら||よば|||||||

えっ と

座ったら すわったら

赤沢 さん も あかさわ||

そ っ クラス の 問題 だって いう から ||くらす||もんだい|||

じゃ なきゃ あんな 男 に 呼び出さ れ て 出 て 来る わけない |||おとこ||よびださ|||だ||くる|

勅使河原 から 大体 聞い た てしがわら||だいたい|ききい|

十五 年 前 の 話 じゅうご|とし|ぜん||はなし

その 恒一 くん の お 母さん の こと も |つねいち||||かあさん|||

そう

いらっしゃい

泉美 ちゃん の お 友達 いずみ||||ともだち

ええ クラスメート の 榊原 恒一 くん です |||さかきばら|つねいち||

あら じゃあ 優 矢 くん の お 友達 ね ||すぐる|や||||ともだち|

いつも 弟 が お 世話 に なって ます |おとうと|||せわ|||

望月 優 矢 の 姉 の 智香 です 初め まして もちづき|すぐる|や||あね||ちか||はじめ|

ああ はい 初め まして ||はじめ|

色々 聞い て ます よ 優 矢 くん から は いろいろ|ききい||||すぐる|や|||

ご 注文 は |ちゅうもん|

えっ えっ と

私 と 同じ やつ を わたくし||おなじ||

あら 畏まり まし た |かしこまり||

赤沢 さん 何 飲 ん でる の あかさわ||なん|いん|||

コーヒー こーひー

僕 コーヒー 苦く て 飲め ない ん だ けど ぼく|こーひー|にがく||のめ||||

ここ の コーヒー は 本物 よ ||こーひー||ほんもの|

ハワイ コナ の エクストラ ファンシー はわい||||

お 待た せ し まし た ご ゆっくり どうぞ |また|||||||

騙さ れ た と 思って そのまま 飲 ん で み て だまさ||||おもって||いん||||

苦い けど 甘い にがい||あまい

美味しい ね これ おいしい||

恒一 くん 東京 帰ら なかった ん だ つねいち||とうきょう|かえら|||

うん 逃げ出す みたい で ちょっと ね |にげだす||||

僕 が 「 死者 」 じゃ ない か って 疑って る ぼく||ししゃ|||||うたがって|

あなた 生まれて い ない の かも しれ ない |うまれて||||||

十五 年 前 「 災厄 」 で あなた の お 母 様 が 亡くなら れ た じゅうご|とし|ぜん|さいやく|||||はは|さま||なくなら||

そして あなた も 生まれ て こ られ なかった |||うまれ||||

それ から 十 五 年 経った 今 ||じゅう|いつ|とし|たった|いま

あなた が 転校 生 と して 三 組 に 復活 し た ||てんこう|せい|||みっ|くみ||ふっかつ||

バカ な ばか|

そんな バカ な 話 |ばか||はなし

本気 に し ない で ね ほんき|||||

その 可能 性 を 考え た の は 本当 |かのう|せい||かんがえ||||ほんとう

でも ね

握手 あくしゅ

やっぱり あなた と どこ か で 会った ||||||あった

う うん どこ か で 握手 した こと が ある と 思う |||||あくしゅ||||||おもう

えっ そう かな

頭 の 記憶 と し て は 残って い ない けど あたま||きおく|||||のこって|||

手 が ね 体 が 覚え てる て|||からだ||おぼえ|

そう いえ ば 病院 でも 握手 し た よ ね |||びょういん||あくしゅ||||

あれ って 意味 が ある の ||いみ|||

死者 の 手 は 驚く ほど 冷たい って 噂 が ね ししゃ||て||おどろく||つめたい||うわさ||

でも たぶん 嘘 ね ||うそ|

そんな 簡単 な 方法 で 分かる ん なら |かんたん||ほうほう||わかる||

あら いらっしゃい

ごめん ごめん

お 待た せ |また|

何 それ なん|

俺 そんなに 嫌わ れ てる おれ||きらわ||

はっきり 言わ れ たい |いわ||

それ も 悪く ねえ が ||わるく||

まあ 今日 は いい や |きょう|||

話 って 何 はなし||なん

望月 お前 が 話す よ な もちづき|おまえ||はなす||

うん

今回 の 件 お 姉さん も 巻き込ま れ ちゃ う 可能 性 だって ある から こんかい||けん||ねえさん||まきこま||||かのう|せい|||

あの 僕 の お 姉さん って |ぼく|||ねえさん|

智香 さん だ よ ね ちか||||

うん それ で ね 僕 どうしても 黙って い られ なく て ||||ぼく||だまって||||

事情 を 話し た じじょう||はなし|

かなり 詳しく |くわしく

お 姉さん も やっぱり 夜 見 北 の 出身 で |ねえさん|||よ|み|きた||しゅっしん|

三 組 の 噂 は 知って た みたい みっ|くみ||うわさ||しって||

そこ で だ

その 智香 さん から びっくり 情報 が 出 て き た ん だ な |ちか||||じょうほう||だ||||||

松永 克巳 って 人 で うち の 常連 さん な ん だ けど まつなが|かつみ||じん||||じょうれん|||||

夜 見 北 の 出身 だ と は 知って いた ん だ けど よ|み|きた||しゅっしん||||しって||||

三 年 三 組 だった って 知った の は 最近 の こと で ね みっ|とし|みっ|くみ|||しった|||さいきん||||

それ で 思い切って 訪ね て み た の ||おもいきって|たずね||||

「 松永 さん の 年 は 「 ある 年 」 だった の か 」 って まつなが|||とし|||とし||||

そう したら ね

あの 年 の 呪い は 俺 が 俺 は 悪く ない ん だ |とし||まじない||おれ||おれ||わるく|||

皆 を 助け た ん だ みな||たすけ|||

助け た ん だ よ 俺 が たすけ|||||おれ|

だから 伝え なきゃ と 思って |つたえ|||おもって

残し た ん だ 「 あれ 」 を のこし|||||

どういう 意味 な ん です か 「 あれ 」 って |いみ||||||

あの 人 まるで 覚え て なく て |じん||おぼえ|||

あの 後 いくら 聞い て も 「 知ら ない 」 って いう ばかり で |あと||ききい|||しら|||||

気 に なる だ ろ う この 話 き|||||||はなし

松永 と いう 人 が 「 災厄 」 を 止め た まつなが|||じん||さいやく||とどめ|

そして その 手がかり を どこ か に 残し た ||てがかり|||||のこし|

って こと だ よ な

で だ その 松永 って やつ に 俺 たち も 話 を 聞い て みよ うか と 思う ん だ が |||まつなが||||おれ|||はなし||ききい|||||おもう|||

その 松永 って 人 は どこ に |まつなが||じん|||

どこ に 住 ん で いる か まで は ||じゅう||||||

それ じゃあ

恒一 くん あなた の 身近 に 松永 さん の 同級 生 が い なかった つねいち||||みぢか||まつなが|||どうきゅう|せい|||

そう おばさん の 同級 生 な ん だ |||どうきゅう|せい|||

もし 松永 って 人 の 居場所 が 分かったら |まつなが||じん||いばしょ||わかったら

見 崎 も 一緒 に 行く み|さき||いっしょ||いく

その 人形 やっぱり 君 が モデル な ん だ よ ね |にんぎょう||きみ||もでる|||||

半分 だけ って 言って た けど はんぶん|||いって||

そっくり だ し

この 子 は ね 十二 年 前 に あの 人 が 産 ん だ 子 |こ|||じゅうに|とし|ぜん|||じん||さん|||こ

えっ 妹 さん |いもうと|

だけど 生まれ た 時 に は 死 ん じゃ って た 子 |うまれ||じ|||し|||||こ

これ は ね あの 人 が 生き られ なかった 我が 子 を 思い ながら 作った 人形 ||||じん||いき|||わが|こ||おもい||つくった|にんぎょう

だから 私 は 半分 か それ 以下 |わたくし||はんぶん|||いか

実は ね 私 明日 から 出かけ なきゃ なら ない の じつは||わたくし|あした||でかけ||||

えっ どこ へ

お 父さん と お 母さん 私 と 三 人 で 別荘 へ 行 こ う って |とうさん|||かあさん|わたくし||みっ|じん||べっそう||ぎょう|||

いや だって いう わけ に も いか なく て

夜 見 山市 の 外 よ|み|さんし||がい

そう

町 から 脱出 まち||だっしゅつ

一 週間 ほど で 帰る 予定 だ から ひと|しゅうかん|||かえる|よてい||

戻って き て 合宿 に も 行く つもり もどって|||がっしゅく|||いく|

そ っか

ね 実家 に ある かも って 言って た 例 の 集合 写真 見つかった |じっか|||||いって||れい||しゅうごう|しゃしん|みつかった

いや まだ

見つかったら その 写真 見せ て くれる みつかったら||しゃしん|みせ||

うん

何 か あったら この 番号 に なん||||ばんごう|

これ って 電話 番号 ||でんわ|ばんごう

携帯 の けいたい|

そう よ

見 崎 の み|さき|

そう

いや な 機械 なんて 言って た くせ に ||きかい||いって|||

本当 に いや な の ほんとう||||

四六時中 電波 で 繋がって る なんて 気持ち 悪い しろくじちゅう|でんぱ||つながって|||きもち|わるい

なのに どうして

持た さ れ てる の もた||||

偶に あの 人 不安 で 仕方なく なる みたい で たまに||じん|ふあん||しかたなく|||

そう な ん だ

そう いえ ば

えっ なに

自分 が 「 死者 」 なん じゃ ない か 疑って み た って 言って た けど じぶん||ししゃ|||||うたがって||||いって||

ああ

疑い は 解け た うたがい||とけ|

うん

あれ

新しい 人形 が この 中 に 納め られる みたい あたらしい|にんぎょう|||なか||おさめ||

安心 し て あんしん||

「 死者 」 じゃ ない ししゃ||

榊原 くん は 「 死者 」 じゃ ない から さかきばら|||ししゃ|||

色褪せ て く フィルム の よう に いろあせ|||ふぃるむ|||

確か な 今 も いずれ 霞 ん で たしか||いま|||かすみ||

何でもなく 笑い あった なんでもなく|わらい|

刹那 の 時間 と 光 せつな||じかん||ひかり

繋がって ゆく 記憶 の 底 に つながって||きおく||そこ|

誰 か が 見つける ため ある と 信じ てる 今 でも だれ|||みつける||||しんじ||いま|