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JIN-仁-, JIN-仁- #01 (2)

JIN - 仁 - #01 (2)

息子 さん は まだ 生きて る んです 生きて る !

すぐに オペ すれば 助かる 可能 性 も 高い

処置 に 入ら せて ください オ オペ と は 一体 何 を ?

オペ と は 手術 の こと です しゅじゅつ ?

治療 です この ケガ を 治す と いう こと です

あの あなた さま は 一体 ? 南方 仁 と いい ます

外科 の 医者 です

あの 蘭 方 医 の 方 で ございます か ? 話 は 後 に して ください !

この 症例 は 30 分 から 遅く と も 1 時間 以内 に

処置 し なければ なら ない んです ほら もう あと 30 分 も ない

息子 さん を 助け たければ すぐに 部屋 に 運んで ください

お 願い し ます

失礼 し ます !

これ と これ と これ と これ と これ 熱湯 で 煮て ください

金づち を 煮る ので ございます か ? できる だけ 早く お 願い し ます

こんな もの を どのように お 使い に ?

お 兄さん の 頭 の 中 に は 血 が たまって る

それ を 取り出す ため に 使う んです これ で 血 を ?

包帯 と か ガーゼ あり ます よ ね ? ガ ガ ?

これ だ !

これ も すぐに 煮て 煮た 後 に 20 センチ 角 に 切って おいて ください

20 せ ん ちかく ?

これ ぐらい です これ ぐらい

それ は ガーゼ と いう もの の かわり に なり ます

これ が ガーゼ なる もの に

それ から これ 借り ます

消毒 薬 あり ます か ?

消毒 と は ? 焼酎 あり ます か ?

はい

言わ れた とおり に いたし ました が

このような しつらえ で よろしゅう ございます か ?

暗い な 照明 これ だけ です か ? は あ ?

結構です で は この 部屋 から 出て 行って ください

ここ に いて は なら ぬ ので ございます か ?

息子 さん を 助け たければ 言う とおり に して ください

大工 道具 で は あり ませ ぬ か

このような もの を いかに ?

存じ ませ ぬ が しゅじゅつ なる もの に 使う ので

煮ろ と 先生 が … あの 蘭 方 医

一体 恭 太郎 に 何 を する つもりじゃ !

よし

縫 合 用 針

持 針 器

替え 刃 メス

せっし 布 かんし

コッヘルペアン 注射 筒 クーパー

手術 用 手袋 に 縫 合 糸 注射 針

局所 麻酔 薬 キシロカイン まで

ありがたい

≪( 咲 ) ノミ と 金づち やっとこ お 持ち いたし ました

ありがとう ございます

部屋 に は 入ら ないで そこ に 置いて ください

はい

ホントに 大工 道具 だ な

神 は 乗り越え られる 試練 しか 与え ない

≪( 咲 ) お やめ ください ませ 母上 先生 は 入る な と …

出て 行って ください と お 願い した はずです が

説明 も なし で は 納得 でき ませ ぬ ゆえ

室 内 は なるべく 清潔に し と き たい ので

無礼な ! 私 が 不潔だ と おっしゃる ので ございます か

そういう こと で は ない んです 蘭 方 医 など …

医者 を かたった 人殺し も 同然 信用 なり ませ ぬ !

≪( 栄 ) も し 恭 太郎 を 死な せたら

この 場 で そ なた を 殺して

私 も 自害 いたし ます

いい でしょう

そのかわり 何 を 見て も 取り乱さ ないで ください

火ばし など で 何 を なさる ので ございます か ?

止血 です 血 を 止める んです

あ ッ ああ …

よし

≪( 栄 ) そのような もの で 何 を !?

ああ …

あれ 割れ ない な

( 金づち で たたく 音 )

よし あった

血 腫 だ

な 何 が …

何 が しゅじゅつ じゃ !

頭 を かち 割って 助かる わけ が なかろう !

息子 さん の 頭 の 中 に は 血 が たまって …

我ら に 何の 恨み が ある ! 取り除く ため に は …

人殺し ーー ! 人殺し じゃ なくて

話 を 聞いて ください !

何 を なさる か ッ お やめ なさい 何 を …

見え ます か ?

ここ に 血 の 海 が あり ます よ ね

これ が 血 腫 です

ほうっておく と この 血 が 脳 を 圧迫 し

あなた の 息子 さん を 死に 追いやる んです

あなた の 敵 は 私 じゃ ない

この 血 の 海 です !

すいません 時間 が ない ので

妹 さん そちら に いらっしゃい ます か ?

はい

これ 以上 かかる と お 兄さん の 命 が 危ない

手伝って もらい たい んです が 血 を 見て も 平気な 方 です か ?

平気で ございます 咲 は 武士 の 子 で ございます

では 清潔な 着物 に 着替えて きて ください

南方 様

私 も お 手伝い を

では 縫 合し ます

間に合った …

これ で 本当に 治った ので ございます か ?

頭 の 穴 は 開いた まま で は ございませ ぬ か

穴 は 問題 あり ませ ん 後 は 経過 次第

3 日 無事に 過ごせれば 助かり ます

3 日 無事に 過ごせれば 兄 は 助かる ので ございます ね ?

はい ありがとう ございます 先生

母上 兄 上 は 無事に 命 を …

まだ 助かった わけで は ございませ ぬ

3 日 は 分から ぬ と いう こと で ございます よ ね ?

父 は 4 年 前 コロリ で 亡くなった ので ございます

コロリ って … コレラ の こと です か ?

コレラ と も 言う ので ございます か ?

いえ 気 に さ れ ず に

西洋 から 来た はやり 病 と いう こと で ございました ので

蘭 方 医 の 治療 を 受けた ので ございます が

よく 分から ぬ 処方 を さ れた あげく

命 を 落として しまった ので ございます

それ 以来 母 は 西洋 の もの は

何でもかんでも 毛嫌い する ように なり →

言い訳 に しか なり ませ ぬ が

母 の 無礼 を 哀れ と 思って お 許し いただければ …

気 が つき ました ?

これ は ?

昨日 先生 非常 階段 から 落ちて

急性 硬 膜 外 血 腫 の 手術 した んです よ →

覚えて ないで す か ?

覚え てるよ

階段 から 落ちて

その後 江戸 時代 に タイム スリップ して

斬ら れた 侍 手術 して …

は あ ?

ホントな ん だって

先生 聞いて ください よ 南方 先生 が …

未来

私 が 執刀 した の よ

夢 か …

≪( 咲 ) お 目覚め に なら れた ので ございます ね

あの … 今 は 何 年 です か ?

文 久 2 年 で ございます が

江戸 時代 です か ?

ここ は 江戸 で ございます が

将軍 様 の …

上 様 の お 名前 は ?

え ッ ?

黒船 は もう 来 ました ?

ええ 確か 10 年 ほど 前 か と

お 食事 の 用意 を いたし ましょう か

これ が 普通な のです か ? は あ ?

いや あの おかず と か …

申し訳 ございませ ぬ

当 家 は 旗本 と は いえ 無 役 の 150 石 取り ゆえ …

いやいや そういう 意味 で は なくて

こんなに ご飯 ばっかり 食べる もの な んです か ?

は あ ? いい です いい です

いただき ます

うまい

釜 で 炊いて る から かな 全然 違い ます

釜 で 炊か ぬ 方法 が ある ので ございます か ?

うん

あ ッ

これ が 兄 の 部屋 に

どうも

それ は 何 を する 道具 な ので ございます か ?

まあ …

あの まげ は お 結い に なら れ ない ので ございます か ?

はい

あの 白い お召し物 は 異国 の もの で ございます か ?

そう です ね ある 意味

では あの 長崎 の ほう に でも ?

( 栄 ) 恭 太郎 が 目覚めた ようで ございます

経過 は 良好です

このまま もう 少し 安静に して いて ください

南方 様

この度 は ありがとう ございました

これ は ? お礼 で ございます

結構です そんな そのような わけ に は まいり ませ ぬ

いや ホントに 私 も 恭 太郎 さん に 命 を 助けて もらった ので

ホントに …

では せめて 駕籠 を お呼び いたし ます

お 住まい は どちら で ございます か ?

ああ …

すいません

覚えて ない んです

覚えて ない と は どういう こと で ございます か ?

林 の 中 で 転んだ とき に 頭 打った せい かも しれ ませ ん

どうも 記憶 が なくて

そういう お 話 聞いた こと が ございます

お 名前 は 覚えて らっしゃい ました よ ね

ええ まあ

何 か 覚えて たり 覚えて なかったり と いう か

ずいぶん 都合 の よろしい こと で

ハハハハ …

身元 を お 調べ し ましょう か ?

蘭 方 医 なら そんなに 数 が 多い わけで も ございませ ぬ

調べれば すぐに 分かる と …

いやいや 大丈夫です 私 は 蘭 方 医 で は ない んで

すぐ 思い出す と 思い ます んで

ホントに お 気遣い なく お 気遣い なく

〈 そう いえば 〉

〈 どうして あんな 物 を 持ち出そう と した んだ ?〉

《 戻る ぜ よ あん 世界 へ 》

〈 あの 人 を 見つければ 戻れる の か ?〉

〈 あの 標本 は …〉

パッキン

≪( 栄 ) 南方 様 は 当分 ここ に いらっしゃる お つもりな のです か

お 住まい の 方 も 思い出せ ない と おっしゃって たし

しばらく ここ に いて いただいて は ?

嘘 な ので は ないで す か ?→

話 が おかしい で は あり ませ ぬ か

名前 は 覚えて いる の に 住んで いる 所 は 分から ぬ →

身元 を 調べる の も あの 嫌がり よう

もしかしたら お 尋ね 者 な ので は ないで す か

そんな 方 に は とても 見え ませ ん が

たとえ そう であって も

私 に とって は 命 の 恩人 で ございます

お 世話 する の が 人 の 道 か と

ですが … 主 は 私 で ございます !

ならば 主 らしく 思慮 深い 行動 を して いただき たい もの です

して いる つもりです が ≪( 栄 ) そうです か

恭 太郎 さん が 襲わ れた の は

勝 と か いう 異国 び いき の 所 に →

通って いる から で は ございませ ぬ か ?

軽 佻浮 薄 な 流行 に 乗る から こういう こと に なる ので は !

勝 先生 の ご 主張 こそ これ から の この 国 を 立ち行か せる

唯一 の 道 で ございます これ 以上

主 を 亡くして は 橘 家 の 行く末 が 危ぶま れ ま する

≪( 栄 ) 南方 様 に は 感謝 して おり ます

ですが 物騒な こと に かかわり たく は ございませ ぬ →

私 は 最期 に 父上 と お 約束 いたし ました

何 が あって も 橘 家 を 守り抜く と

しかし 母上 父上 なら …

いえ 何でも

南方 先生 お 忘れ物 が

「 お 食事 ありがとう ございました 」

「 身元 を 思い出した ので これ にて 失礼 致し ます 」

先生 …

〈 あいつが いれば 戻れる はずだ 〉

〈 あいつ に 連れて こ られた ような もん な んだ から 〉

おい ホルマリン 君

どこ 行っちゃ った んだ よ

何で こんな 目 に あわ なきゃ いけない んだ よ

〈 ここ って …〉

〈 これ 神田 川 ?〉

〈 また 落ちれば 〉

〈 戻れる ?〉

≪( 男 ) やめ ん かえ !

《 戻る ぜ よ あん 世界 へ 》

≪( 男 ) やめ ん かえ 何 しち ょる が ぜ !

( 男 ) お まん は アホ か !

人間 は なあ 急が ん でも いつか 死 ぬる が じゃき

ほっ ちょ いて も いつか 死 ぬる が を

わざわざ 苦労 して 死 ぬる なん ぞ アホ の する こと じゃ

違い ます お まん は そんな こと も 分から ん か

死ぬ つもり なんか あり ませ ん この アホ アホ

死ぬ つもり なんか ない って 言って る でしょ 離して ください !

ほ いたら 何 し とった が ぜ ?

死のう と し ゆう ふうに しか 見え ん かった ぜ よ

家 に 帰ろう と 思った んです よ

家 に ?

お まん の 家 は この 谷 の 底 に ある が かい ?

そう です

ハッハッハッハッハッ !

ほうか ほうか そりゃ 邪魔 を して すま ん かった のう

いえ

お まん は 武士 じゃ ない が かえ ?

私 は 医者 です

医者

ほうか 医者 が 命 を 粗末に する わけ が ない のう

そう です よ いや まっ こと すま ん かった ぜ よ

アホ は わし の 方 じゃ った のう

アッハッハッハッ

あの

名前 教えて もらえ ます か ?

いや あなた の 声 が 聞こえた んです よ

あ ッ ? ほり ゃあ ほう じゃ ろう

そう じゃ なくて わ しか ?

わし は … ≪( 仲間 ) おい !→

どこ 行き ゆうが ぜ よ →

お まん は それ やき どこ から も はぐれる が じゃ

おお すま ん すま ん

ちょっと !

今度 お まん の 家 教えて くれ

わしゃ しばらく 江戸 に おる き

あ ッ 違う か ちょっと すいません

名前 !

あの !

どこ 行っちゃ った んだ よ

( にぎわい )

すごい

本物

毎度 ありがとう ございました

へ ッ ?

ど いた ど いた ! あ ッ

はい ど いた ! あいつ の 先祖 飛脚 だった の か な

≪( 茜 ) 旦那 変わった 頭 だ ね !→

何 だい そりゃ 新しい はやり な の かい ?

いや

まあ いい や 黒 米 いなり は こっち だ よ

黒 米 いなり ?

黒 米 いなり だ ろ 食べ に 来た んだ ろ ? ほら

≪( 茜 ) これ 食べ なきゃ 江戸っ子 と は いえ ない よ

ほら 並んだ 並んだ

ちょっと 私 は …

( 喜市 ) おじさん 枝豆 買って おくれよ

邪魔 す んじゃ ない よ 喜市 枝豆 の 方 が うまい よ

今 それ どころ じゃ ない んだ

じゃあ ゆで卵 は どう ? ゆで卵 は お っ 母さん が 売って る んだ

ごめん !


JIN - 仁 - #01 (2) |しとし

息子 さん は   まだ 生きて る んです 生きて る ! むすこ||||いきて||ん です|いきて|

すぐに オペ すれば 助かる 可能 性 も 高い |||たすかる|かのう|せい||たかい

処置 に 入ら せて ください オ   オペ と は 一体   何 を ? しょち||はいら|||||||いったい|なん|

オペ と は   手術 の こと です しゅじゅつ ? |||しゅじゅつ||||

治療 です   この ケガ を 治す と いう こと です ちりょう|||けが||なおす||||

あの   あなた さま は   一体 ? 南方 仁 と いい ます ||||いったい|なんぽう|しとし|||

外科 の 医者 です げか||いしゃ|

あの 蘭 方 医 の 方 で ございます か ? 話 は 後 に して ください ! |らん|かた|い||かた||||はなし||あと|||

この 症例 は  30 分 から 遅く と も 1 時間 以内 に |しょうれい||ぶん||おそく|||じかん|いない|

処置 し なければ なら ない んです ほら   もう   あと 30 分 も ない しょち|||||ん です||||ぶん||

息子 さん を 助け たければ すぐに 部屋 に 運んで ください むすこ|||たすけ|||へや||はこんで|

お 願い し ます |ねがい||

失礼 し ます ! しつれい||

これ と   これ と   これ と これ と   これ   熱湯 で 煮て ください |||||||||ねっとう||にて|

金づち を 煮る ので ございます か ? できる だけ   早く お 願い し ます かなづち||にる||||||はやく||ねがい||

こんな もの を どのように お 使い に ? |||どのよう に||つかい|

お 兄さん の 頭 の 中 に は 血 が たまって る |にいさん||あたま||なか|||ち|||

それ を   取り出す ため に 使う んです これ で   血 を ? ||とりだす|||つかう|ん です|||ち|

包帯 と か ガーゼ   あり ます よ ね ? ガ   ガ ? ほうたい|||がーぜ||||||

これ だ !

これ も   すぐに 煮て   煮た 後 に 20 センチ 角 に 切って おいて ください |||にて|にた|あと||せんち|かど||きって||

20 せ ん ちかく ?

これ ぐらい です   これ ぐらい

それ は   ガーゼ と いう もの の かわり に なり ます ||がーぜ||||||||

これ が   ガーゼ なる もの に ||がーぜ|||

それ から   これ 借り ます |||かり|

消毒 薬 あり ます か ? しょうどく|くすり|||

消毒 と は ? 焼酎 あり ます か ? しょうどく|||しょうちゅう|||

はい

言わ れた とおり に いたし ました が いわ||||||

このような   しつらえ で よろしゅう ございます か ?

暗い な   照明 これ だけ です か ? は あ ? くらい||しょうめい||||||

結構です   で は   この 部屋 から 出て 行って ください けっこう です||||へや||でて|おこなって|

ここ に いて は なら ぬ ので ございます か ?

息子 さん を 助け たければ 言う とおり に して ください むすこ|||たすけ||いう||||

大工 道具 で は あり ませ ぬ か だいく|どうぐ||||||

このような もの を   いかに ?

存じ ませ ぬ が しゅじゅつ なる もの に 使う ので ぞんじ||||||||つかう|

煮ろ と 先生 が … あの 蘭 方 医 にろ||せんせい|||らん|かた|い

一体   恭 太郎 に 何 を する つもりじゃ ! いったい|きよう|たろう||なん|||

よし

縫 合 用 針 ぬ|ごう|よう|はり

持 針 器 じ|はり|うつわ

替え 刃 メス かえ|は|めす

せっし   布 かんし |ぬの|

コッヘルペアン   注射 筒   クーパー |ちゅうしゃ|つつ|

手術 用 手袋 に 縫 合 糸   注射 針 しゅじゅつ|よう|てぶくろ||ぬ|ごう|いと|ちゅうしゃ|はり

局所 麻酔 薬 キシロカイン まで きょくしょ|ますい|くすり||

ありがたい

≪( 咲 ) ノミ と 金づち   やっとこ お 持ち いたし ました さ|のみ||かなづち|||もち||

ありがとう ございます

部屋 に は 入ら ないで そこ に 置いて ください へや|||はいら||||おいて|

はい

ホントに   大工 道具 だ な ほんとに|だいく|どうぐ||

神 は 乗り越え られる 試練 しか 与え ない かみ||のりこえ||しれん||あたえ|

≪( 咲 ) お やめ ください ませ   母上 先生 は 入る な と … さ|||||ははうえ|せんせい||はいる||

出て 行って ください と お 願い した はずです が でて|おこなって||||ねがい||はず です|

説明 も なし で は 納得 でき ませ ぬ ゆえ せつめい|||||なっとく||||

室 内 は   なるべく 清潔に し と き たい ので しつ|うち|||せいけつに|||||

無礼な !  私 が 不潔だ と おっしゃる ので ございます か ぶれいな|わたくし||ふけつだ|||||

そういう こと で は ない んです 蘭 方 医 など … |||||ん です|らん|かた|い|

医者 を かたった 人殺し も 同然 信用 なり ませ ぬ ! いしゃ|||ひとごろし||どうぜん|しんよう|||

≪( 栄 ) も し   恭 太郎 を 死な せたら さかい|||きよう|たろう||しな|

この 場 で   そ なた を 殺して |じょう|||||ころして

私 も   自害 いたし ます わたくし||じがい||

いい でしょう

そのかわり   何 を 見て も 取り乱さ ないで ください |なん||みて||とりみださ||

火ばし など で 何 を なさる ので ございます か ? ひばし|||なん|||||

止血 です   血 を 止める んです しけつ||ち||とどめる|ん です

あ ッ   ああ …

よし

≪( 栄 ) そのような もの で   何 を !? さかい||||なん|

ああ …

あれ   割れ ない な |われ||

( 金づち で たたく 音 ) かなづち|||おと

よし   あった

血 腫 だ ち|しゅ|

な   何 が … |なん|

何 が   しゅじゅつ じゃ ! なん|||

頭 を   かち 割って 助かる わけ が なかろう ! あたま|||わって|たすかる|||

息子 さん の 頭 の 中 に は 血 が たまって … むすこ|||あたま||なか|||ち||

我ら に 何の 恨み が ある ! 取り除く ため に は … われら||なんの|うらみ|||とりのぞく|||

人殺し ーー ! 人殺し じゃ なくて ひとごろし|--|ひとごろし||

話 を 聞いて ください ! はなし||きいて|

何 を なさる か ッ お やめ なさい   何 を … なん||||||||なん|

見え ます か ? みえ||

ここ に   血 の 海 が あり ます よ ね ||ち||うみ|||||

これ が   血 腫 です ||ち|しゅ|

ほうっておく と この 血 が 脳 を 圧迫 し |||ち||のう||あっぱく|

あなた の 息子 さん を 死に 追いやる んです ||むすこ|||しに|おいやる|ん です

あなた の 敵 は   私 じゃ ない ||てき||わたくし||

この 血 の 海 です ! |ち||うみ|

すいません   時間 が ない ので |じかん|||

妹 さん   そちら に いらっしゃい ます か ? いもうと||||||

はい

これ 以上 かかる と お 兄さん の 命 が 危ない |いじょう||||にいさん||いのち||あぶない

手伝って もらい たい んです が 血 を 見て も 平気な 方 です か ? てつだって|||ん です||ち||みて||へいきな|かた||

平気で ございます 咲 は   武士 の 子 で ございます へいきで||さ||ぶし||こ||

では   清潔な 着物 に 着替えて きて ください |せいけつな|きもの||きがえて||

南方 様 なんぽう|さま

私 も   お 手伝い を わたくし|||てつだい|

では   縫 合し ます |ぬ|ごうし|

間に合った … まにあった

これ で   本当に 治った ので ございます か ? ||ほんとうに|なおった|||

頭 の 穴 は   開いた まま で は ございませ ぬ か あたま||あな||あいた||||||

穴 は   問題 あり ませ ん 後 は   経過 次第 あな||もんだい||||あと||けいか|しだい

3 日   無事に 過ごせれば 助かり ます ひ|ぶじに|すごせれば|たすかり|

3 日   無事に 過ごせれば 兄 は 助かる ので ございます ね ? ひ|ぶじに|すごせれば|あに||たすかる|||

はい ありがとう ございます   先生 |||せんせい

母上   兄 上 は   無事に 命 を … ははうえ|あに|うえ||ぶじに|いのち|

まだ   助かった わけで は ございませ ぬ |たすかった||||

3 日 は   分から ぬ と いう こと で ございます よ ね ? ひ||わから||||||||

父 は  4 年 前   コロリ で 亡くなった ので ございます ちち||とし|ぜん|||なくなった||

コロリ って … コレラ の こと です か ? ||これら||||

コレラ と も 言う ので ございます か ? これら|||いう|||

いえ   気 に さ れ ず に |き|||||

西洋 から 来た   はやり 病 と いう こと で ございました ので せいよう||きた||びょう||||||

蘭 方 医 の 治療 を 受けた ので ございます が らん|かた|い||ちりょう||うけた|||

よく 分から ぬ 処方 を さ れた あげく |わから||しょほう||||

命 を 落として しまった ので ございます いのち||おとして|||

それ 以来   母 は   西洋 の もの は |いらい|はは||せいよう|||

何でもかんでも 毛嫌い する ように なり → なんでもかんでも|けぎらい||よう に|

言い訳 に しか なり ませ ぬ が いい わけ||||||

母 の 無礼 を   哀れ と 思って お 許し いただければ … はは||ぶれい||あわれ||おもって||ゆるし|

気 が つき ました ? き|||

これ は ?

昨日   先生   非常 階段 から 落ちて きのう|せんせい|ひじょう|かいだん||おちて

急性 硬 膜 外 血 腫 の 手術 した んです よ → きゅうせい|かた|まく|がい|ち|しゅ||しゅじゅつ||ん です|

覚えて ないで す か ? おぼえて|||

覚え てるよ おぼえ|

階段 から 落ちて かいだん||おちて

その後   江戸 時代 に タイム スリップ して そのご|えど|じだい||たいむ|すりっぷ|

斬ら れた 侍   手術 して … きら||さむらい|しゅじゅつ|

は あ ?

ホントな ん だって ほんとな||

先生   聞いて ください よ 南方 先生 が … せんせい|きいて|||なんぽう|せんせい|

未来 みらい

私 が 執刀 した の よ わたくし||しっとう|||

夢 か … ゆめ|

≪( 咲 ) お 目覚め に なら れた ので ございます ね さ||めざめ||||||

あの …  今 は   何 年 です か ? |いま||なん|とし||

文 久 2 年 で ございます が ぶん|ひさ|とし|||

江戸 時代 です か ? えど|じだい||

ここ は   江戸 で ございます が ||えど|||

将軍 様 の … しょうぐん|さま|

上 様 の お 名前 は ? うえ|さま|||なまえ|

え ッ ?

黒船 は   もう 来 ました ? くろふね|||らい|

ええ   確か  10 年 ほど 前 か と |たしか|とし||ぜん||

お 食事 の 用意 を いたし ましょう か |しょくじ||ようい||||

これ が   普通な のです か ? は あ ? ||ふつうな|の です|||

いや   あの   おかず と か …

申し訳 ございませ ぬ もうし わけ||

当 家 は   旗本 と は いえ 無 役 の 150 石 取り ゆえ … とう|いえ||はたもと||||む|やく||いし|とり|

いやいや そういう 意味 で は なくて ||いみ|||

こんなに   ご飯 ばっかり 食べる もの な んです か ? |ごはん||たべる|||ん です|

は あ ? いい です   いい です

いただき ます

うまい

釜 で 炊いて る から かな 全然   違い ます かま||たいて||||ぜんぜん|ちがい|

釜 で 炊か ぬ 方法 が ある ので ございます か ? かま||たか||ほうほう|||||

うん

あ ッ

これ が   兄 の 部屋 に ||あに||へや|

どうも

それ は   何 を する 道具 な ので ございます か ? ||なん|||どうぐ||||

まあ …

あの   まげ は   お 結い に なら れ ない ので ございます か ? ||||ゆい|||||||

はい

あの 白い   お召し物 は 異国 の もの で ございます か ? |しろい|おめしもの||いこく|||||

そう です ね   ある 意味 ||||いみ

では   あの 長崎 の ほう に でも ? ||ながさき||||

( 栄 ) 恭 太郎 が 目覚めた ようで ございます さかい|きよう|たろう||めざめた||

経過 は   良好です けいか||りょうこう です

このまま   もう 少し 安静に して いて ください ||すこし|あんせいに|||

南方 様 なんぽう|さま

この度 は   ありがとう ございました このたび|||

これ は ? お礼 で ございます ||お れい||

結構です   そんな そのような わけ に は まいり ませ ぬ けっこう です||||||||

いや   ホントに   私 も 恭 太郎 さん に 命 を 助けて もらった ので |ほんとに|わたくし||きよう|たろう|||いのち||たすけて||

ホントに … ほんとに

では   せめて 駕籠 を お呼び いたし ます ||がかご||および||

お 住まい は どちら で ございます か ? |すまい|||||

ああ …

すいません

覚えて ない んです おぼえて||ん です

覚えて ない と は どういう こと で ございます か ? おぼえて||||||||

林 の 中 で 転んだ とき に 頭   打った せい かも しれ ませ ん りん||なか||ころんだ|||あたま|うった|||||

どうも 記憶 が なくて |きおく||

そういう お 話 聞いた こと が ございます ||はなし|きいた|||

お 名前 は 覚えて らっしゃい ました よ ね |なまえ||おぼえて||||

ええ   まあ

何 か   覚えて たり 覚えて なかったり と いう か なん||おぼえて||おぼえて||||

ずいぶん 都合 の よろしい こと で |つごう||||

ハハハハ …

身元 を お 調べ し ましょう か ? みもと|||しらべ|||

蘭 方 医 なら   そんなに 数 が 多い わけで も ございませ ぬ らん|かた|い|||すう||おおい||||

調べれば   すぐに 分かる と … しらべれば||わかる|

いやいや 大丈夫です 私 は   蘭 方 医 で は ない んで |だいじょうぶ です|わたくし||らん|かた|い||||

すぐ 思い出す と 思い ます んで |おもいだす||おもい||

ホントに お 気遣い なく   お 気遣い なく ほんとに||きづかい|||きづかい|

〈 そう いえば 〉

〈 どうして   あんな 物 を 持ち出そう と した んだ ?〉 ||ぶつ||もちだそう|||

《 戻る ぜ よ   あん 世界 へ 》 もどる||||せかい|

〈 あの 人 を 見つければ 戻れる の か ?〉 |じん||みつければ|もどれる||

〈 あの 標本 は …〉 |ひょうほん|

パッキン

≪( 栄 ) 南方 様 は   当分 ここ に いらっしゃる お つもりな のです か さかい|なんぽう|さま||とうぶん||||||の です|

お 住まい の 方 も 思い出せ ない と   おっしゃって たし |すまい||かた||おもいだせ||||

しばらく   ここ に いて いただいて は ?

嘘 な ので は ないで す か ?→ うそ||||||

話 が おかしい で は   あり ませ ぬ か はなし||||||||

名前 は 覚えて いる の に 住んで いる 所 は 分から ぬ → なまえ||おぼえて||||すんで||しょ||わから|

身元 を 調べる の も あの 嫌がり よう みもと||しらべる||||いやがり|

もしかしたら お 尋ね 者 な ので は ないで す か ||たずね|もの||||||

そんな 方 に は とても 見え ませ ん が |かた||||みえ|||

たとえ そう であって も

私 に とって は 命 の 恩人 で ございます わたくし||||いのち||おんじん||

お 世話 する の が 人 の 道 か と |せわ||||じん||どう||

ですが … 主 は   私 で ございます ! |おも||わたくし||

ならば 主 らしく   思慮 深い 行動 を して いただき たい もの です |おも||しりょ|ふかい|こうどう||||||

して いる つもりです が ≪( 栄 ) そうです か ||つもり です||さかい|そう です|

恭 太郎 さん が 襲わ れた の は きよう|たろう|||おそわ|||

勝 と か いう   異国 び いき の 所 に → か||||いこく||||しょ|

通って いる から で は ございませ ぬ か ? かよって|||||||

軽 佻浮 薄 な 流行 に 乗る から こういう こと に なる ので は ! けい|ちょうふ|うす||りゅうこう||のる|||||||

勝 先生 の ご 主張 こそ   これ から の この 国 を 立ち行か せる か|せんせい|||しゅちょう||||||くに||たちゆか|

唯一 の 道 で ございます これ 以上 ゆいいつ||どう||||いじょう

主 を 亡くして は 橘 家 の 行く末 が 危ぶま れ ま する おも||なくして||たちばな|いえ||ゆくすえ||あやぶま|||

≪( 栄 ) 南方 様 に は 感謝 して おり ます さかい|なんぽう|さま|||かんしゃ|||

ですが   物騒な こと に かかわり たく は ございませ ぬ → |ぶっそうな|||||||

私 は 最期 に   父上 と お 約束 いたし ました わたくし||さいご||ちちうえ|||やくそく||

何 が あって も 橘 家 を 守り抜く と なん||||たちばな|いえ||まもりぬく|

しかし 母上   父上 なら … |ははうえ|ちちうえ|

いえ   何でも |なんでも

南方 先生   お 忘れ物 が なんぽう|せんせい||わすれもの|

「 お 食事   ありがとう ございました 」 |しょくじ||

「 身元 を 思い出した ので これ にて 失礼 致し ます 」 みもと||おもいだした||||しつれい|いたし|

先生 … せんせい

〈 あいつが いれば 戻れる はずだ 〉 あいつ が||もどれる|

〈 あいつ に 連れて こ られた ような もん な んだ から 〉 ||つれて|||||||

おい   ホルマリン 君 |ほるまりん|きみ

どこ 行っちゃ った んだ よ |おこなっちゃ|||

何で こんな 目 に あわ なきゃ いけない んだ よ なんで||め||||||

〈 ここ って …〉

〈 これ   神田 川 ?〉 |しんでん|かわ

〈 また 落ちれば 〉 |おちれば

〈 戻れる ?〉 もどれる

≪( 男 ) やめ ん かえ ! おとこ|||

《 戻る ぜ よ   あん 世界 へ 》 もどる||||せかい|

≪( 男 ) やめ ん かえ 何 しち ょる が ぜ ! おとこ||||なん||||

( 男 ) お まん は   アホ か ! おとこ|||||

人間 は なあ   急が ん でも いつか 死 ぬる が じゃき にんげん|||いそが||||し|||

ほっ ちょ いて も いつか 死 ぬる が を |||||し|||

わざわざ 苦労 して 死 ぬる なん ぞ   アホ の する こと じゃ |くろう||し||||||||

違い ます お まん は   そんな こと も 分から ん か ちがい||||||||わから||

死ぬ つもり なんか あり ませ ん この アホ   アホ しぬ||||||||

死ぬ つもり なんか ない って 言って る でしょ   離して ください ! しぬ|||||いって|||はなして|

ほ いたら   何 し とった が ぜ ? ||なん||||

死のう と し ゆう ふうに しか 見え ん かった ぜ よ しのう||||||みえ||||

家 に 帰ろう と 思った んです よ いえ||かえろう||おもった|ん です|

家 に ? いえ|

お まん の 家 は この 谷 の 底 に ある が かい ? |||いえ|||たに||そこ||||

そう です

ハッハッハッハッハッ !

ほうか   ほうか   そりゃ 邪魔 を して すま ん かった のう |||じゃま||||||

いえ

お まん は 武士 じゃ ない が かえ ? |||ぶし||||

私 は   医者 です わたくし||いしゃ|

医者 いしゃ

ほうか   医者 が 命 を 粗末に する わけ が ない のう |いしゃ||いのち||そまつに|||||

そう です よ いや   まっ こと   すま ん かった ぜ よ

アホ は   わし の 方 じゃ った のう ||||かた|||

アッハッハッハッ

あの

名前   教えて もらえ ます か ? なまえ|おしえて|||

いや   あなた の 声 が 聞こえた んです よ |||こえ||きこえた|ん です|

あ ッ ?  ほり ゃあ   ほう じゃ ろう

そう じゃ なくて わ しか ?

わし は … ≪( 仲間 ) おい !→ ||なかま|

どこ 行き ゆうが ぜ よ → |いき|||

お まん は   それ やき どこ から も   はぐれる が じゃ

おお   すま ん   すま ん

ちょっと !

今度   お まん の 家   教えて くれ こんど||||いえ|おしえて|

わしゃ   しばらく 江戸 に おる き ||えど|||

あ ッ   違う か   ちょっと すいません ||ちがう|||

名前 ! なまえ

あの !

どこ 行っちゃ った んだ よ |おこなっちゃ|||

( にぎわい )

すごい

本物 ほんもの

毎度 ありがとう ございました まいど||

へ ッ ?

ど いた   ど いた ! あ ッ

はい   ど いた ! あいつ の 先祖   飛脚 だった の か な |||||せんぞ|ひきゃく||||

≪( 茜 ) 旦那   変わった 頭 だ ね !→ あかね|だんな|かわった|あたま||

何 だい   そりゃ 新しい はやり な の かい ? なん|||あたらしい||||

いや

まあ   いい や 黒 米 いなり は   こっち だ よ |||くろ|べい|||||

黒 米 いなり ? くろ|べい|

黒 米 いなり だ ろ 食べ に 来た んだ ろ ?  ほら くろ|べい||||たべ||きた|||

≪( 茜 ) これ 食べ なきゃ 江戸っ子 と は いえ ない よ あかね||たべ||えどっこ|||||

ほら   並んだ   並んだ |ならんだ|ならんだ

ちょっと   私 は … |わたくし|

( 喜市 ) おじさん 枝豆 買って おくれよ きいち||えだまめ|かって|

邪魔 す んじゃ ない よ   喜市 枝豆 の 方 が うまい よ じゃま|||||きいち|えだまめ||かた|||

今   それ どころ じゃ ない んだ いま|||||

じゃあ   ゆで卵 は どう ?  ゆで卵 は お っ 母さん が 売って る んだ |ゆでたまご|||ゆでたまご||||かあさん||うって||

ごめん !