episode 05「2人きり の 年越し」
( 菜緒 ( なお )) 私 は 上原 ( うえ はら ) 君 の こと が 好きな の
あっ
( 菜緒 ) あっ あの さ … ( 上原 ) お前 熱 は ?
( 菜緒 ) あ … もう 大丈夫 ( 上原 ) そう
聞こえて た の か … 聞こえて ない の か …
どっち な の
ああ ~! ( 上原 ) 何 ? 何 か 言った ?
( 菜緒 ) あっ う うん … 何も
( 菜緒 ) 聞こえて る 聞こえて ない
聞こえて る 聞こえて ない
よし
あっ お前 の 分 冷蔵 庫 に 入って っ から
うん ありがとう
あの さ さっき 公園 で 話して たこ と
き … 聞こえて ない よ ね ? ( 上原 ) うん
ハァ … よかった
お前 が 俺 の こと 好き と か 言って る の は 聞こえた けど
え …
えっ
フリ だ ろ ? ( 菜緒 ) へ ?
心配 し なくて も 本気に しね ー って
そう だ よ ね !
( 上原 ) ああ でも 言わ ない と 諦め そうに なかった もん な あいつ
そう そう そう な んだ よ
( 上原 ) 告白 大王 って 言わ れて る らしい じゃ ん
ほれ っぽくて 誰 に でも 告白 する って
( 上原 ) フッ ( 菜緒 ) ハハハ …
ハハハ …
( 上原 ) でも よかった な ( 菜緒 ) ん ?
女 と して 見て くれる 奴 が いて
ハッ !
何 怒って んだ よ お前 褒めて んじゃ ん
褒めて ない でしょう が
( まり な ) ハハハ ! ( 菜緒 ) 笑え ない
え ? あっ いや
上原 君 って 結構 と ぼけた 人 な んだ ね
まあ よかった んだ けど さ
でも 全然 本気に さ れ ない の も どんな もんか ね
菜緒 さ 本当 は 好きな んでしょ ? 上原 君 の こと
もう 分かって る よ いい じゃ ん 隠さ なく たって
別に 隠して なんか ない し
私 も 最近 気づいた から …
や ー っと 認めた
そりゃ ね 私 も 上原 君 ラブ だった し
言い出し にくかった の も 分かる けど
ごめん ( まり な ) 言 っと く けど
私 は 上原 君 より 菜緒 の ほう が 大事だ から ね
秘密に さ れて る ほう が よっぽど 悲しい よ
まり な
いや ~ 菜緒 と 恋 バナ できる 日 が 来る と は ね
何 か うれしい ( 菜緒 ) え へ へ
( 上原 ) お前 年 末 年始 どう す ん の ?
田舎 帰る 予定 だ けど … 上原 君 も 帰る よ ね ?
( 上原 ) いや
兄貴 たち 正月 は ハワイ で い ない らしい から
( 菜緒 ) ハワイ ? ( 上原 ) 新婚 旅行 だって さ
( 菜緒 ) ふ ー ん
って こと は 上原 君 … ( 上原 ) バイト
年 末 年始 は 時給 アップ だし
お年玉 も 出る らしい から
ここ で 年越し する って こと ? ( 上原 ) 帰って 寝る だけ だけ どな
そう な んだ
( 上原 ) お前 田舎 帰る 前 に ちゃんと 大掃除 して いけよ
は ー い
( 菜緒 ) 年 末 年始 は 交通 費 高い じゃ ん
それ に 引っ越し で お 金 いっぱい 使い すぎちゃ った し
あと 補習 も ある し …
( 美紀子 ) でも … お 正月 くらい は 帰れる でしょ
それ が バイト 入って って 頼ま れちゃ った んだ よ ね
ほら 冬 休み 終わって も すぐ 春 休み 来る じゃ ん
( 美紀子 ) そう ねえ … 今 から じゃ
飛行機 の チケット 取る の も 大変 かも しれ ない わ ね
飛行機 なんて 高い よ 年 末 年始 は
( 美紀子 ) 分かった わ
お年玉 送って あげる から
ありがとう お 母さん ! じゃ あね
上原 君 と 年越し
( ハト 時計 の 音 )
あけ まして おめでとう 今年 も よろしく な
うん
な ー ん て ね
えっ 年 末 年始 バイト お 休み な の ?
( 一星 ( いっせい )) 年越し っつ ったら 普通 そば だ ろ
ラーメン 屋 は おとなしく 休む に 限る
毎年 30 日 が 仕事 納め で 年始 は 3 日 から
( 菜緒 ) バイト ない んだ ( 一星 ) 田舎 帰る んだ ろ ?
( 菜緒 ) え ?
あっ うん … まあ
( 戸 が 開く 音 )
( 菜緒 ) いらっしゃい ! ( 一星 ) いらっしゃい !
( 大地 ) おう ! ( 菜緒 ) あっ
大 ちゃん ! どうした の ? ( 大地 ) 腹 減って …
つ ー か ここ の ラーメン の ファン に なった
毎度 !
( 菜緒 ) はい どうぞ ( 大地 ) いただき ます
( 菜緒 ) は ー い
菜緒 さ … ( 戸 が 開く 音 )
( 菜緒 ) いらっしゃい …
あ べ っち ? ( 阿部 ) 吉川 ( よし かわ )!? 何で ?
何で って 私 ここ で バイト して る んだ
そういう こと か … ( 菜緒 ) ん ?
いや 光 石 が
吉川 に フラ れて 落ち込む 俺 に 教えて くれた の さ
ここ に 来れば 絶対 立ち直れる って
みっ ちゃん 余計な こと を …
ブッ … ( 菜緒 ) え ?
確かに 俺 立ち直れ そう
何 な の !
何 だ 吉川 の 友達 か ? あっ 彼 氏 と か ?
( 阿部 ) 彼 氏 候補 です ! いや フラ れた けど …
( 菜緒 ) ちょっと あ べ っち …
( 一星 ) へ えー お前 意外 と モテ んだ な
意外 は 余計です
( 菜緒 ) はい ( 阿部 ) ありがとう
吉川 ( 菜緒 ) ん ?
俺 今年 の 恋 は 今年 の うち に 忘れて
年明け から 新しい 恋 を 探す よ ( 菜緒 ) うん
来年 は もう ちょっと 慎重に なった ほう が いい と 思う よ
だから 告白 大王 なんて 呼ば れちゃ うんだ よ
でも 俺 好きに なった 人 に は 好き って 言わ ない と
イヤな んだ よ ね
( 一星 ) いや いいね ! 俺 は 分かる よ その 気持ち
( 菜緒 ) ちょっと いっちゃ ん
俺 も 好きに なったら 告白 する 派 だ な
うん ちゃん と 行動 して 後悔 する より
何も し ないで する 後悔 の ほう が ずっと 残る から な
( 阿部 ) 師匠 と 呼んで いい です か ? ラーメン ください 師匠 !
( 一星 ) ラーメン 一 丁 ! ( 徹 平 ) あい よ
( 明 ) それ 終わったら 上がって い いよ
( 上原 ) はい
( なな こ ) 久志 ( ひさし ) 君 ( 上原 ) おう
( なな こ ) ねえ 久志 君
いつ に なったら 新しい 家 招待 して くれ ん の ?
俺 の 年 に 追いついたら 教えて やる よ
( なな こ ) 意地悪 追いつける わけな い じゃ ん
( 明 ) なな こ お前 勉強 し なくて いい の か ?
久志 君 の 住所 聞く まで 戻ら ない !
( 明 ) った くもう … 上がって い いよ ( 上原 ) はい
じゃあ な ( なな こ ) ねえ ! 久志 君
大みそか の バイト の 後
うち で 一緒に 年越し の カウント ダウン しよう ね !
お 先 で ー す ( 明 ) はい お 疲れ さま
( なな こ ) お 父さん ( 明 ) な … 何 だ よ
知って る んだ よ ねえ ?
久志 君 の 新しい 住所
それ は 個人 情報 だ から ね それ は
ハァ … お腹 すいた
( チャイム )
誰 だ ろ
( 菜緒 ) は ー い どうぞ
( 百合 ) ごめん ね 急に ( 菜緒 ) う うん
久志 は ?
スタンド で バイト だ と 思う ( 百合 ) ラッキー
あいつ いる と すぐ 帰れ って うるさい から さ
ドーナツ 買って きた んだ ~ ( 菜緒 ) え ? やった !
あれ ? 菜緒 ちゃん 制服 ? 冬 休み じゃ ない の ?
いろいろ あって さ … 学校 に
補習 か
私 も そう だった なあ
えっ ゆり りん も ? ( 百合 ) うん
卓也 … って 私 の 旦那 様 ね
卓也 は いつも 成績 いい けど 私 は 全然 ダメで さ
頭 が いい の は 血筋 だった んだ
( 百合 ) はい これ ( 菜緒 ) ん ? お年玉 ?
私 たち 年 末 から 旅行 だ から 元日 に 菜緒 ちゃん から 渡して
( 菜緒 ) うん
この 間 バイト 先 に 押しかけた けど
あいつ 話 も まともに 聞か なくて さ
あっ 1 つ は 菜緒 ちゃん に
えっ いや そんな 受け取れ …
いい の これ は 私 と 卓也 の 気持ち だ から
いつも あり が と ね 久志 の こと
いや 私 は 何も
( 百合 ) それ と …
ジャーン ! 鏡餅
デカ い
( 百合 ) ここ に 飾 ろ っ か どう ?
あー すごい ! こんな 大きい の 売って る んだ
( 百合 ) でしょ
( チャイム )
( 菜緒 ) ん ?
は ー い
あんた 誰 ? ( 菜緒 ) え … どちら 様 です か ?
久志 君 は ? ( 菜緒 ) 上原 君 は バイト で …
あの どちら 様 で … ( なな こ ) あんた こそ 久志 君 の 何 ?
同居 人 です けど
は あ !? ちょ っ … ど いて
( 菜緒 ) ちょっと ちょっと ちょっと 待って よ !
( 百合 ) あれ ? なな こ ちゃん ? ( なな こ ) あっ お 姉さん !
( 菜緒 ) えっ お 知り合い ?
あんた 誰 ?
誰 って … 上原 君 の 同居 人 の 吉川 菜緒 です
それ は さっき 聞いた
だから 何で 一緒に 住んで ん の ?
それ は いろいろ あり まして …
あっ でも 同棲 じゃ なくて あくまでも 同 居って こと …
( なな こ ) 当ったり 前 でしょ !
あんた みたいな 色気 の ない 女
久志 君 が 好きに なる わけ ない じゃ ん
何で そんな 言い切れる んです か !
見 ないで
あっ あっ ! ちょ っ … ちょっと 何 す ん の !?
そんな 前 か 後ろ かも 分か ん ない ような 体 じゃ
久志 君 も 何も する 気 起こら ない よ ねえ
ちょっと ! ( なな こ ) じゃあ 聞く けど
久志 君 と 一緒に 住んで て 何 か さ れた ?
( なな こ ) 何にも さ れて ない でしょ ?
いや …
( なな こ ) 女 だ と 思わ れて ない に 決まって る
私 は 久志 君 と 一緒に
年越し の カウント ダウン する 約束 も した んだ から
え ? ( 百合 ) ちょっと
黙って 聞いて りゃ 好き勝手 言って くれる じゃ ない
バイト 先 の 店長 の 娘 だ から って 優しく して りゃ いい気に なって
あなた に どれほど の 色気 が ある って いう の よ
( なな こ ) 私 は ね … C カップ ある の よ !
お 姉さん こそ 一見 胸 あり そうに 見える けど それ …
パッド でしょ !
えっ そう な の ?
( 百合 ) 実は ね
青い わ ね いい ? デカ い 胸 って の はね
年 取る と たれる の よ
な っ …
私 は まだ 15 歳 だ もん 頑張って キープ する もん !
15!?
あんた 老けて る わ ね ー !
失礼な 大人っぽい って 言って くれる ?
あんた こそ 年 増 じゃ ん !
ちょっと ! 私 は まだ に じゅう …
( 上原 ) うる せ ー な 何 騒いで んだ よ
近所 迷惑だ …
お かえり
( 菜緒 ) ちょ っ ちょ っ … ちょっと
何で 逃げ ん の よ ( 上原 ) お前 ふざけ ん な よ
何で こう なって んだ よ ( 菜緒 ) 知ら ない よ
知ら ねえ わけ ね ー だ ろ ( 菜緒 ) 何で 呼んで ん の ? 誰 ?
呼んで ね ー よ
( なな こ ) あ ~ ん ! 久志 君
この 2 人 が なな この こと いじめる の
何 言って ん の ? ( 菜緒 ) キャラ 変わった
こんな 野蛮な 人 たち と は 縁 切った ほう が いい よ
うち の 2 階 来月 に は 空き が 出る かも って
パパ 言って たし そ したら 格安で 久志 君 に 貸す って
( 上原 ) え ? ( 菜緒 ) えっ !?
( 上原 ) は ? ( 菜緒 ) いや …
( 百合 ) 久志 あんた また 勝手に 引っ越す つもり ?
勝手に 言って る だけ だ ろ
ほら なな こ 暗く なる 前 に 帰れよ
( なな こ ) は ー い
ハァ …
( なな こ ) 来月 に は 空き が 出る かも って
パパ 言って たし 格安で 久志 君 に 貸す って
( 上原 ) え ? ( 菜緒 ) えっ !?
引っ越す の か な
( 菜緒 ) バイト か
( チャイム )
ん ? 誰 だ ろ
は ー い
おお 大 ちゃん どうした の ?
補習 今日 まで だ ろ ?
俺 も 部活 ある し さ 一緒に 行こう と 思って
( 菜緒 ) うん ( 大地 ) あと 話し たい こと も ある し
( 大地 ) お前 正月 田舎 帰ら ない って 本当 ?
( 菜緒 ) 情報 早 すぎ …
( 大地 ) おふくろ が 菜緒 の おばさん から 聞いた って
( 菜緒 ) うん いろいろ あって ね
ほら 引っ越した ばっ か で 交通 費 も バカに な ん ないし
それ に バイト も ある し
年越し うち に 泊まり に 来 ない か ?
え ? ( 大地 ) おふくろ も 心配 して たし
よかったら 年越し そば 一緒に 食べよう
あと 初詣 行こう 八幡 様
去年 も 一緒に 行った よね 八幡 様 ( 大地 ) うん
あそこ 行か ない と 新年 って 感じ し ない んだ よ な
( 菜緒 ) うん
行 こっか な
おばさん に も よろしく 言 っと いて
分かった
( チャイム )
( 教師 ) はい じゃあ 補習 は 以上 に なり ます
( 生徒 たち の はしゃぐ 声 )
はい お前 ら はしゃぎ すぎ ん の は いい けど
年 末 年始 も ちゃんと 予習 やっ とけよ
( まり な ) あー やっと 終わった
( 康 太郎 ) 光 石 補習 の 打ち上げ 行か ね ?
( 光 石 ) おお ー 行く 行く 菜緒 たち も 行く よ な ?
( 菜緒 ) ああ … 行く ! バイト まで 少し 時間 ある し
何 か スカッ と さ せ たい んだ よ ね ねっ まり な
私 行か ない ( 菜緒 ) え ?
ちょっと 菜緒 … いい から
( 菜緒 ) 何 何 何 … どうした の ?
何 どうした の ?
話し たい こと が ある 2 人 で
ん ?
いや ー 信じ られ ない わ
( 菜緒 ) え ?
あんな イケメン と 暮らして る なんて
でも 私
上原 君 に 女 と して 見 られて ない から
それ に たまたま 一緒に 住んで る だけ で
同居 だって いつまで 続く か 分か ん ないし …
菜緒 ?
あっ ごめん 私 の 話 じゃ なくて
何 ? 話 って
うん
実は みっ ちゃん に さ …
ん ?
告白 さ れた
( まり な ) ん ? えっ
菜緒 ? えっ 菜緒 !
ええ ~!
( まり な ) もう 大げさだ よ ( 菜緒 ) ウッソ ~!
( まり な ) 私 も びっくり した けど さ
( 菜緒 ) えっ いつ ? ( まり な ) クリスマスイブ
それ 本当の 告白 じゃ ん ! ( まり な ) や っぱ そう 思う ?
うん そう だ よ ! ( まり な ) ああ ー どうし よう
私 今 まで みっ ちゃん の こと そういう 目 で 見た こと なかった し
それ に みっ ちゃん 悪く は ない けど さ
イケメン で は ない じゃ ん ?
でも まり な !
みっ ちゃん す っ ごい 勇気 出して 告白 した と 思う よ
本当に 好きな んだ よ まり な の こと が
それ は 分かって る けど … ( 菜緒 ) けど ?
ああ ー もう 分か ん ない !
でも みっ ちゃん の こと は 嫌いじゃ ないし
いい 人 だ と は 思う
みっ ちゃん の ため に も ちゃんと 考えて あげて ね
うん
菜緒 ~!
もう スッキリ した ( 菜緒 ) よかった
( 徹 平 ) はい 菜緒 ちゃん これ
( 菜緒 ) え ? ( 徹 平 ) お年玉
いや そんな 受け取れ ませ ん
大した 額 じゃ ない から
今日 で 今年 の 営業 も おしまい だ から な
お っ 一星 お前 に も やる
ありがとう ございます
ほら こう やって 素直に 受け取る もん だ よ
ありがとう ございます ( 徹 平 ) はい
じゃあ 吉川 も また 来年 な ( 菜緒 ) うん
店長 も いっちゃ ん も よい お 年 を
( 菜緒 ) 何 だ っけ ? これ
( 上原 ) 何 やって ん の ?
( 菜緒 ) 言わ れた とおり 大掃除
今年 の 汚れ は 今年 の うち に って ね
( 上原 ) 掃除 って か 散らかして ない ?
失礼な 断 捨離 よ 断 捨離
断 捨離 ?
ある 物 を 全部 出して
必要な 物 と 不必要な 物 を 見分ける の
お前 引っ越して きた ばっ か で そこ まで する 必要 が ある って
ある 意味 すごい な 俺 バイト 行く から
( 菜緒 ) いって らっしゃい あっ !
私 明日 大 ちゃん ち 行く から ( 上原 ) えっ
私 の お 母さん が 大 ちゃん の おばさん と 話して
大みそか は 大 ちゃん ち に 泊まる って こと に なった の
ふ ー ん いい んじゃ ねえ の
俺 バイト で い ない し
( なな こ ) 久志 君 と 一緒に
年越し の カウント ダウン する 約束 も した んだ から !
だ よ ね
寒 っ …
もう バイト か …
( 上原 ) ありがとう ございました
さ み ~
えっ !?
え … 消えた
ブレーカー どこ ?
( 菜緒 ) あっ あった
よい しょ
これ か
よい しょ ついた か ?
あれ ? 何で ついて ない の ?
店長 お 疲れ さ まで す
( 明 ) おお 上原 君 無事だった か ?
( 上原 ) え ? ( 明 ) いや 停電
上原 君 ち の ほう だ ろ ?
ああ 俺 朝 から 出て た んで
( 明 ) そ っか 心配 して た んだ よ 停電 の 影響 で
電車 も 止まっちゃ って る なんて 言って たから さ
いや あ よかった よかった そ っか そ っか
( 菜緒 ) 寒 っ
うわ っ 冷た っ !
え … 何で 濡れて ん の ?
え ~ もう …
お っ ヤバ い
ビチョビチョ じゃ ん
溶けて る
( 通話 中 の 音 )
( 菜緒 ) もしもし 大 ちゃん 私 だ けど …
ごめん 今日 行け な そう
電車 止まって ん だって な 迎え に 行 こっか ?
う うん うち の ほう 停電 して る し
家 から 出 ない ほう が いい と 思って
( 大地 ) 停電 ? ( 菜緒 ) うん
でも しばらく すれば つく と 思う んだ けど な
( 大地 ) そ っか 分かった
あいつ いる の か ? 上原
う うん
だ ぶん 今日 は 帰って こ ない と 思う
そ っか
でも 全然 平気だ よ うち に いたら どう って こと ないし
そう か 分かった じゃ あな
あっ 大 ちゃん よい お 年 を
よい お 年 を
( 菜緒 ) じゃ あね
( 菜緒 ) 寒い …
そう いや さ 来月 ここ の 2 階 に 空き が でる んだ よ
その 話 本当だった んです ね
( 明 ) あっ な な こか ( 上原 ) はい
でも 本当に 空く と は 思って なくて
まあ 本来 なら 7万 で 貸して る んだ けど
上原 君 なら 5万 で いい よ ( 上原 ) え ?
( 明 ) まあ 引っ越し 代 まで は 出して やれ ない けど な
今 の 所 も 7~8万 は 払って る んだ ろ ?
はい
( 明 ) 長い 目 で 見たら 家賃 が 安い に 越した こと は ない ぞ
ここ なら まかない も 食べ られる し
まあ うるさい の は いる けど な
( テレビ ) 東京 都 の 一部 の 地域 で 大規模な 停電 が 起きて い ます
電力 会社 は 送電 線 に 何らか の 故障 が ある と して い ます が
原因 は まだ 分かって い ませ ん
復旧 の メド は 立た ず 今 も およそ 3500…
( メール の 着信 音 )
もう 充電 なくなっちゃ うよ
よし いざ と いう 時 の ため に 切って おこう
ごめん みんな
( 菜緒 ) 冷た …
電気 入って ない こたつ って こんな 冷たい んだ
上原 君 帰って こ ない か な
( 明 ) フッ
( 明 ) 今日 は もう 上がって い いよ
いや でも まだ お 客 さん 来る かも しれ ませ ん し
( 明 ) 時給 は さ いつも どおり ちゃん と つけて おく から
大みそか ぐらい ゆっくり しろ
すいません ありがとう ございます
( 明 ) あっ 明日 元日 うち 休み だ から 間違って 来る な よ
はい
店長 今年 も お 世話に なり ました
よい お 年 を
はい
( 呼び出し 音 )
( アナウンス ) お かけ に なった 電話 は
電源 が 入って い ない ため …
( 菜緒 )“ よい お 年 を ” ぐらい 言い たい な
あっ
上原 君 電話 くれた んだ
( 呼び出し 音 )
あっ お 願い 繋がって
( スマホ の バイブ 音 )
( 呼び出し 音 )
( 上原 ) もしもし ( 菜緒 ) あっ !
もしもし 上原 君 ?
お前 今 どこ ?
うち の ほう 停電 して る みたいだ けど
そう もう 大変な ん …
え ? 大丈夫 か ?
うん … う うん 大丈夫 気 に し ないで
カウント ダウン 楽しんで ね
じゃあ な
あっ
( 菜緒 ) 上原 君 ( 上原 ) ん ?
よい お 年 を …
( 不通 音 )
よい お 年 を …
( 上原 ) イテッ あっ すいません
吉川 ? いる の か ?
や っぱ いる わけ ない か
( 菜緒 ) いる よ
( 上原 ) お前 何で いる んだ よ !
( 菜緒 ) だって …
( 上原 ) 今日 泊まり じゃ なかった の か よ
( 菜緒 ) だって 電車 止まって る し
停電 で 冷蔵 庫 と か いろいろ あって …
( 上原 ) そう ならそう と 言えよ
突然 電話 切れる から 変だ と 思ったら
( 菜緒 ) だって なな こ ちゃん ち で カウント ダウン …
バイト 邪魔 し たく なくて
上原 君 こそ 何で ? ( 上原 ) 何で って
俺 は 最初 から …
頼れ って 言った だ ろ
ごめん
寒い な ( 菜緒 ) うん
あっ ついた
これ 兄貴 たち の 結婚 式 で もらった キャンドル
きれい
捨てよう か と 思って た けど 意外な とこ で 役 に 立った な
明るい し あったかい し
よし ! 私 今日 ここ で 寝よ っと
ちょ っ … 上原 君 ?
えっ 何 ?
私 また 何 か やっちゃ った ?
え …
2 人 で 同じ と こ いた ほう が 部屋 の 温度 上がる し
近い
( ドア が 開く 音 )
( 菜緒 ) 着替えた んだ
( 上原 ) 当たり前だ ろ 寝る んだ から
( 菜緒 ) だ よ ね
( 上原 ) あー さ み ー
( 上原 ) 安心 しろ ( 菜緒 ) え ?
( 上原 ) 襲ったり し ない から
( 菜緒 ) 分かって る よ !
上原 君 が 私 の こと 女 と して 見て ない の は
私 が 一 番 よく 分かって ます から
安心 して
私 も そんな こと 1 ミリ も 期待 して ませ ん から
知って る よ
( 菜緒 ) 上原 君 寝た ?
寝た
あの さ
上原 君 が 家 出た の って
百合 さん と お 兄さん が 結婚 した から ?
何 だ よ 急に
( 菜緒 ) だって いっぱい バイト して
し なくて も いい 苦労 ばっ かして 家 出て …
すごい 覚悟 が ない と でき ない なって 思って
あっ ごめん 余計 なお 世話だ よ ね
( 上原 ) 例えば さ
お前 が 8 年間 片思い して た 相手 が いた と して さ
そい つ が 他の 奴 と 結婚 して
その 横 で 平気な 顔 して い られる か ?
そん だけ
( 菜緒 ) お 兄さん と は もう 会わ ない の ?
( 上原 ) いや 別に 恨んじゃ い ない から
これ は
俺 の 気持ち の 問題 だ から
ただ 俺 は もう 家 に 戻る 気 は ない
お やすみ
お やすみ
( 菜緒 ) あっ ( 上原 ) 何 だ よ
( 菜緒 ) もう 12 時 過ぎた ? ( 上原 ) と っく だ ろ
あけ まして おめでとう ございます 上原 君
今年 も よろしく ね
お手柔らかに
もう 寝る ぞ
うん 寝る
( 菜緒 ) あー ついた ! よかった
電車 動いて る かな ( 上原 ) 何 ? ど っか 行く の ?
( 菜緒 ) うん 大 ちゃん が 初詣 一緒に 行こう って
あっ 上原 君 も 行く ?
新年 だ し そういう の ちゃん と し といた ほう が
いい か なって 思って ( 上原 ) そうだ な
えっ 行く の ? ( 上原 ) ダメな の ?
全然
うん 全然 行こう !
( 菜緒 ) もう 上原 君 が
グズグズ して る から 遅く なっちゃ った じゃ ん
( 上原 ) 人 の こと 言え ないだ ろ ( 菜緒 ) は ?
( 上原 ) 今朝 言う な よ ( 菜緒 ) そっち が 来る って 言った から …
( 上原 ) 昨日 言って くれれば よかった じゃ ん
( 菜緒 ) う っさ いな 大 ちゃん !
あけ まして おめでとう
今年 も よろしく お 願い し ます
上原 君 も 連れて きた の
どうも ( 大地 ) どうも
大丈夫だった か ? 停電
( 菜緒 ) うん 上原 君 帰って きて くれた から
あり が と な
いや 別に 自分 の 家 に 帰った だけ です から
( 菜緒 ) そうだ よ 大 ちゃん 何 か 親 みたい
俺 が 行って やれたら よかった んだ けど な
( 菜緒 ) う うん ご 心配 お かけ し ました
長い お 願い だ な
100 円 で ちょっと 欲張り すぎた かな
菜緒
この 間 話そう と 思った んだ けど さ
( 菜緒 ) うん
あ … また 今度 話す
うん
( 菜緒 ) 私 も お守り 欲しい
( 上原 ) 交通 安全 でも 買 っと け お前
( 菜緒 ) うん
( 菜緒 ) あっ みっ ちゃん
あっ !
あっ !
( まり な ) あ … 今年 も よろしく ね 菜緒
( 菜緒 ) も しか して まり な …
俺 たち 付き合う こと に なり ました
おめでとう !
( まり な ) あり が と 菜緒 の おかげ だ よ
そう な の ?
( まり な ) えっ !? ちょっと 何で 菜緒 が 泣いて ん の ?
( 光 石 ) マジ で ? ( 菜緒 ) うれしくて …
( 大地 ) しょうが ねえ なあ ( 菜緒 ) ありがとう
( まり な ) あー もう ありがとう ( 菜緒 ) おめでとう
みっ ちゃん の 大吉 ヤバ かった な
みっ ちゃん って 誰 ?
( 菜緒 ) えっ ウソ ? ( 上原 ) え ?
ずっと いた じゃ ん 学校 始まった 時 から
( 菜緒 ) ん ? ( 上原 ) ゲッ
ゲッ
ご ゆっくり
( なな こ ) 久志 君 ひどい ( 上原 ) あ ?
カウント ダウン しよう って 言った のに
お前 が 勝手に 言って た だけ だ ろ
もう イヤ 何で ?
何で あんな 人 と 一緒に 住んで ん の よ
なな この ほう が ずっと 前 から 久志 君 の こと 知って る のに
なな この ほう が ずっと 久志 君 の こと 好きな のに
久志 君 引っ越して きて
うち の マンション の 2 階 5万 円 だ よ
家賃 今 より 下がる し バイト だって し やすく なる でしょ
その こと なら 店長 から も 言わ れた よ
じゃあ …
ちゃんと 断った よ
( なな こ ) 何で ?
( 上原 ) 俺 高校 生 だし 物件 借り 直す って 大変な んだ
( なな こ ) そんな の お 父さん が 何とか して くれる よ
それ に 俺
ここ の 暮らし が 気 に 入って る から 引っ越す 気 ないし
( 上原 ) ほ ~ ら 分かったら 帰って 受験 勉強 頑張れ
吉川
夕飯 作る けど 食べる ? ( 上原 ) あの さ
お前 気づいて ない みたいだ から 言う けど
( 菜緒 の 鼓動 )
♪~