お 酒 の 好きな 子 ザル
むかし むかし 、 ある 山 に 、 お母さん と 子供 の サル が 住んで いました 。 こまった 事 に 子 ザル は お 酒 が 大好きで 、 こっそり 人 の 家 に しのびこんで は 、 お 酒 を なめて いました 。 「 酒 を 飲む と は 、 めずらしい サル だ 。 よし 、 あの サル を 捕まえて やろう 。」
それ を 見た 猟師 は 、 おけ に いっぱい 酒 を 入れて 、 山 の サル の 通る 道 へ おきました 。 「 くん くん 。 おや 、 いい に おい が する ぞ 」
におい を かぎつけた 子 ザル が 、 おけ の ところ に やってきました 。 「 わ あっ、 お 酒 だ 」 子 ザル は 大喜びで 、 お母さん の ところ へ 行って 言いました 。 「 あの ね 、 山道 に お 酒 が ある よ 」
すると お母さん ザル は 、 怖い 顔 で 言いました 。 「 だめだ め ! お前 を つかまえよう と して 、 猟師 が わざと おいた に ちがいない 。 どんな こと が あって も 、 飲んで は いけません よ ! でも 、 お 酒 の 好きな 子 ザル は 、 がまん が できません 。 「 一口 だけ なら 、 飲んで も いい ? 「 だめだ め ! 「 なめる だけ なら 、 いい ? 「 だめだ め ! 「 なら 、 におい を かいで も いい ? あんまり しつこく 言う ので 、 お母さん ザル は 、 「 におい を かぐ ぐらい なら いい けど 、 絶対 に 飲んで は いけません よ 」 と 、 言って しまった のです 。 子 ザル は すぐに おけ の ところ へ 飛んで いって 、 お 酒 の に おい を かぎました 。 「 ああ 、 いい におい だ 。 おいし そうだ な ー 」
におい だけ と 、 お母さん ザル と 約束 しました が 、 でも におい だけ なんて 、 とても がまん が できません 。 「 一口 ぐらい なら 、 いい だろう 」
子 ザル は お母さん と の 約束 を 忘れて 、 ゴクリ と お 酒 を 飲みました 。 「 おいしい な 。 もう 一口 」
「 これ で おわり に しよう 。 もう 一口 」
「 さいごに 、 もう 一口 」
「 おしまい に 、 もう 一口 」
「 おまけに 、 もう 一口 」
「 ぷは ーっ、・・・ 酔っぱらっちゃった 」 おけ の なか の お 酒 を すっかり 飲んで しまった 子 ザル は 、 そこ へ 倒れて 動け なく なりました 。 「 しめ しめ 、 うまく いった ぞ 」
さっき から 木 の 後ろ に かくれて いた 猟師 は 、 たおれて いる 子 ザル を 拾いあげる と 、 山 を 下りて いきました 。 かわいそうに 子 ザル は 、 お母さん と の 約束 を 守ら なかった ため に 、 二度と お母さん の ところ へ 戻る こと が できません でした 。 おしまい
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