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Fairy Tales, 姥っ皮

姥っ皮

姥 っ 皮

むかし むかし 、 ある 長者 の 家 に 、 とても 気立て が 良く 、 美しい 娘 が い ました 。 娘 は みんな に 可愛がら れて 育ち ました が 、 でも 新しい お 母さん が やって 来て から 娘 の 運命 が 変わり ました 。 新しい お 母さん に は みにくい 娘 が いた 為 、 自分 の 娘 より も はるかに きれいな 娘 が 憎かった のです 。 そこ で 新しい お 母さん は 、 美しい 娘 を 毎日 いじめ ました 。 お 父さん は その 事 を 知って い ました が 、 せっかく 来て くれた 新しい お 母さん に は 何も 言い ませ ん でした 。 そして 新しい お 母さん に 言わ れる まま に 、 お 父さん は 娘 に 家 を 出て 行け と 言った のです 。

娘 が 家 を 出て 行く 日 、 新しい お 母さん も お 父さん も 、 娘 が 家 を 出て 行く の を 見送ろう と も し ませ ん でした 。 でも ただ 一 人 、 最後 まで 娘 に 優しかった 乳母 だけ が 娘 を 見送り 、 目 に 涙 を ため ながら 出て 行く 娘 に 言い ました 。 「 お 嬢 さま 。 あなた さま は 、 とても 器量 よし です 。 その 為 に 、 この様な 事 に なり ました 。 そして こんな 事 は 、 世に 出て から も 続く でしょう 。 そこ で 用心 の 為 に 、 これ を かぶって 行き なさい 。 あなた さま の 事 を 、 心から お 守り くださる お 人 が 現れる まで は 」 そして 乳母 は 姥 っ 皮 ( うばっ かわ ) と 言って 、 年 を 取った おばあ さん に なる ため の 作り 物 の 皮 を くれた のです 。 娘 は それ を 被って 年寄り の おばあ さん に 化ける と 、 その 姿 で 家 を 出 ました 。

年寄り の 姿 に なった 娘 は 、 ある 大 商人 の 家 の 水くみ 女 に 雇わ れ ました 。 娘 は いつも 姥 っ 皮 を 被って 働き 、 お 風呂 も 一番 最後に 入った ので 、 誰 に も 姥 っ 皮 を 脱いだ 姿 は 見 られ ませ ん でした 。 そんな ある 晩 の 事 、 娘 が いつも の 様 に 姥 っ 皮 を 脱いで お 風呂 に 入って いる ところ を 、 散歩 に 出かけて いた この 家 の 若旦那 が 見つけて しまった のです 。 「 何と 、 美しい 娘 な んだ 」 若旦那 は 娘 に 声 を かけよう と して 、 思い 止まり ました 。 「 いや 、 よほど の 事情 が あって 、 あの様な 皮 を 被って いる のだろう 。 今 は 、 そっと して おいて やろう 」 若旦那 は その 場 を 立ち去った のです が 、 娘 に 一目 惚れ した 若旦那 は 、 それ 以来 食事 が 喉 を 通ら ず 、 とうとう 病気 に なって しまった のです 。

何 人 も の 医者 に 診て もらい ました が 、 若旦那 の 病気 は 全然 治り ませ ん 。 そこ で 心配 した 父親 の 大 旦那 が 有名な 占い 師 を 連れて 来て 、 若旦那 の 病気 を 占って もらい ました 。 する と 占い 師 は 、 にっこり 笑い 、 「 これ は 、 恋 の 病 です な 。 この お 屋敷 に は 、 多く の 若い 女 中 が い ます 。 おそらく 若旦那 は 、 その 女 中 の 誰 か を 好きに なった のでしょう 。 その 娘 を 嫁 に すれば 、 この 病気 は すぐ に 治って しまい ます 」 と 、 言う のです 。 「 何と 、 息子 は 恋 の 病 であった か 。 それ は ちょうど 良い 、 息子 に は そろそろ 嫁 を 迎え ねば と 思って いた ところ だ 」 そこ で 大 旦那 は 家中 の 女 中 に 命じて 、 一人一人 若旦那 の 部屋 に 行か せて み ました 。 大 旦那 は 隣 の 部屋 から 細く ふすま を 開けて 若旦那 の 様子 を 見て い ました が 、 しかし 若旦那 は どの 女 中 が 来て も 何の 興味 も 示し ませ ん 。 大 旦那 は 首 を 傾げる と 、 「 はて ? これ で この 家 の 女 は 全て の はずだ が 。 ・・・ いや 、 もう 一 人 いる が 、 あれ は 水汲み の ばあさん だし 」 と 、 思い つつ も 、 念 に は 念 を 入れて 、 大 旦那 は 水汲み ばあさん を 若旦那 の 部屋 に 連れて 行き ました 。 すると 若旦那 は 布団 から 起き上がって 、 水汲み ばあさん に こう 言った のです 。 「 どの様な 事情 で その様な 姿 を して いる の か は 分かり ませ ん が 、 もし よければ 、 わたし の 妻 に なって いただけ ませ ん か ? 」 すると 娘 は こく り と 頷いて 、 姥 っ 皮 を 脱いで 美しい 娘 の 姿 を 見せた のです 。 それ を ふすま の すき間 から のぞいて いた 大 旦那 は 、 大喜びです 。

こうして 姥 っ 皮 を 脱いだ 娘 は この 家 の 嫁 と なって 、 いつまでも 幸せに 暮らした と いう 事 です 。

おしまい


姥っ皮 うば っ かわ Skin

姥 っ 皮 うば||かわ 姥 husk

むかし むかし 、 ある 長者 の 家 に 、 とても 気立て が 良く 、 美しい 娘 が い ました 。 |||ちょうじゃ||いえ|||きだて||よく|うつくしい|むすめ||| Once upon a time, one of the elders' house had a very well-mannered and beautiful daughter. 娘 は みんな に 可愛がら れて 育ち ました が 、 でも 新しい お 母さん が やって 来て から 娘 の 運命 が 変わり ました 。 むすめ||||かわいがら||そだち||||あたらしい||かあさん|||きて||むすめ||うんめい||かわり| My daughter grew up being loved by everyone, but her fate changed after her new mom arrived. 新しい お 母さん に は みにくい 娘 が いた 為 、 自分 の 娘 より も はるかに きれいな 娘 が 憎かった のです 。 あたらしい||かあさん||||むすめ|||ため|じぶん||むすめ|||||むすめ||にくかった| そこ で 新しい お 母さん は 、 美しい 娘 を 毎日 いじめ ました 。 ||あたらしい||かあさん||うつくしい|むすめ||まいにち|| お 父さん は その 事 を 知って い ました が 、 せっかく 来て くれた 新しい お 母さん に は 何も 言い ませ ん でした 。 |とうさん|||こと||しって|||||きて||あたらしい||かあさん|||なにも|いい||| Dad knew about it, but he didn't say anything to his new mom who had come all the way. そして 新しい お 母さん に 言わ れる まま に 、 お 父さん は 娘 に 家 を 出て 行け と 言った のです 。 |あたらしい||かあさん||いわ|||||とうさん||むすめ||いえ||でて|いけ||いった| And as the new mom told him, the dad told his daughter to leave the house.

娘 が 家 を 出て 行く 日 、 新しい お 母さん も お 父さん も 、 娘 が 家 を 出て 行く の を 見送ろう と も し ませ ん でした 。 むすめ||いえ||でて|いく|ひ|あたらしい||かあさん|||とうさん||むすめ||いえ||でて|いく|||みおくろう|||||| On the day my daughter left home, neither my new mom nor my dad would try to see my daughter leave home. でも ただ 一 人 、 最後 まで 娘 に 優しかった 乳母 だけ が 娘 を 見送り 、 目 に 涙 を ため ながら 出て 行く 娘 に 言い ました 。 ||ひと|じん|さいご||むすめ||やさしかった|うば|||むすめ||みおくり|め||なみだ||||でて|いく|むすめ||いい| But only one nanny, who was kind to her until the end, saw her off and told her she was leaving with tears in her eyes. 「 お 嬢 さま 。 |じょう| あなた さま は 、 とても 器量 よし です 。 ||||きりょう|| その 為 に 、 この様な 事 に なり ました 。 |ため||この よう な|こと||| そして こんな 事 は 、 世に 出て から も 続く でしょう 。 ||こと||よに|でて|||つづく| そこ で 用心 の 為 に 、 これ を かぶって 行き なさい 。 ||ようじん||ため|||||いき| あなた さま の 事 を 、 心から お 守り くださる お 人 が 現れる まで は 」   そして 乳母 は 姥 っ 皮 ( うばっ かわ ) と 言って 、 年 を 取った おばあ さん に なる ため の 作り 物 の 皮 を くれた のです 。 |||こと||こころから||まもり|||じん||あらわれる||||うば||うば||かわ|う ばっ|||いって|とし||とった|||||||つくり|ぶつ||かわ||| 娘 は それ を 被って 年寄り の おばあ さん に 化ける と 、 その 姿 で 家 を 出 ました 。 むすめ||||おおって|としより|||||ばける|||すがた||いえ||だ|

年寄り の 姿 に なった 娘 は 、 ある 大 商人 の 家 の 水くみ 女 に 雇わ れ ました 。 としより||すがた|||むすめ|||だい|しょうにん||いえ||みずくみ|おんな||やとわ|| 娘 は いつも 姥 っ 皮 を 被って 働き 、 お 風呂 も 一番 最後に 入った ので 、 誰 に も 姥 っ 皮 を 脱いだ 姿 は 見 られ ませ ん でした 。 むすめ|||うば||かわ||おおって|はたらき||ふろ||ひと ばん|さいごに|はいった||だれ|||うば||かわ||ぬいだ|すがた||み|||| そんな ある 晩 の 事 、 娘 が いつも の 様 に 姥 っ 皮 を 脱いで お 風呂 に 入って いる ところ を 、 散歩 に 出かけて いた この 家 の 若旦那 が 見つけて しまった のです 。 ||ばん||こと|むすめ||||さま||うば||かわ||ぬいで||ふろ||はいって||||さんぽ||でかけて|||いえ||わか だんな||みつけて|| 「 何と 、 美しい 娘 な んだ 」   若旦那 は 娘 に 声 を かけよう と して 、 思い 止まり ました 。 なんと|うつくしい|むすめ|||わか だんな||むすめ||こえ|||||おもい|とまり| 「 いや 、 よほど の 事情 が あって 、 あの様な 皮 を 被って いる のだろう 。 |||じじょう|||あの よう な|かわ||おおって|| 今 は 、 そっと して おいて やろう 」   若旦那 は その 場 を 立ち去った のです が 、 娘 に 一目 惚れ した 若旦那 は 、 それ 以来 食事 が 喉 を 通ら ず 、 とうとう 病気 に なって しまった のです 。 いま||||||わか だんな|||じょう||たちさった|||むすめ||いちもく|ほれ||わか だんな|||いらい|しょくじ||のど||とおら|||びょうき||||

何 人 も の 医者 に 診て もらい ました が 、 若旦那 の 病気 は 全然 治り ませ ん 。 なん|じん|||いしゃ||みて||||わか だんな||びょうき||ぜんぜん|なおり|| そこ で 心配 した 父親 の 大 旦那 が 有名な 占い 師 を 連れて 来て 、 若旦那 の 病気 を 占って もらい ました 。 ||しんぱい||ちちおや||だい|だんな||ゆうめいな|うらない|し||つれて|きて|わか だんな||びょうき||うらなって|| する と 占い 師 は 、 にっこり 笑い 、 「 これ は 、 恋 の 病 です な 。 ||うらない|し|||わらい|||こい||びょう|| この お 屋敷 に は 、 多く の 若い 女 中 が い ます 。 ||やしき|||おおく||わかい|おんな|なか||| おそらく 若旦那 は 、 その 女 中 の 誰 か を 好きに なった のでしょう 。 |わか だんな|||おんな|なか||だれ|||すきに|| その 娘 を 嫁 に すれば 、 この 病気 は すぐ に 治って しまい ます 」 と 、 言う のです 。 |むすめ||よめ||||びょうき||||なおって||||いう| 「 何と 、 息子 は 恋 の 病 であった か 。 なんと|むすこ||こい||びょう|| それ は ちょうど 良い 、 息子 に は そろそろ 嫁 を 迎え ねば と 思って いた ところ だ 」   そこ で 大 旦那 は 家中 の 女 中 に 命じて 、 一人一人 若旦那 の 部屋 に 行か せて み ました 。 |||よい|むすこ||||よめ||むかえ|||おもって||||||だい|だんな||うちじゅう||おんな|なか||めいじて|ひとりひとり|わか だんな||へや||いか||| 大 旦那 は 隣 の 部屋 から 細く ふすま を 開けて 若旦那 の 様子 を 見て い ました が 、 しかし 若旦那 は どの 女 中 が 来て も 何の 興味 も 示し ませ ん 。 だい|だんな||となり||へや||ほそく|||あけて|わか だんな||ようす||みて|||||わか だんな|||おんな|なか||きて||なんの|きょうみ||しめし|| 大 旦那 は 首 を 傾げる と 、 「 はて ? だい|だんな||くび||かしげる|| これ で この 家 の 女 は 全て の はずだ が 。 |||いえ||おんな||すべて||| ・・・ いや 、 もう 一 人 いる が 、 あれ は 水汲み の ばあさん だし 」 と 、 思い つつ も 、 念 に は 念 を 入れて 、 大 旦那 は 水汲み ばあさん を 若旦那 の 部屋 に 連れて 行き ました 。 ||ひと|じん|||||みずくみ|||||おもい|||ねん|||ねん||いれて|だい|だんな||みずくみ|||わか だんな||へや||つれて|いき| すると 若旦那 は 布団 から 起き上がって 、 水汲み ばあさん に こう 言った のです 。 |わか だんな||ふとん||おきあがって|みずくみ||||いった| 「 どの様な 事情 で その様な 姿 を して いる の か は 分かり ませ ん が 、 もし よければ 、 わたし の 妻 に なって いただけ ませ ん か ? どの よう な|じじょう||その よう な|すがた|||||||わかり||||||||つま|||||| 」   すると 娘 は こく り と 頷いて 、 姥 っ 皮 を 脱いで 美しい 娘 の 姿 を 見せた のです 。 |むすめ|||||うなずいて|うば||かわ||ぬいで|うつくしい|むすめ||すがた||みせた| それ を ふすま の すき間 から のぞいて いた 大 旦那 は 、 大喜びです 。 ||||すきま||||だい|だんな||おおよろこびです

こうして 姥 っ 皮 を 脱いだ 娘 は この 家 の 嫁 と なって 、 いつまでも 幸せに 暮らした と いう 事 です 。 |うば||かわ||ぬいだ|むすめ|||いえ||よめ||||しあわせに|くらした|||こと|

おしまい