お 花 地蔵
|か|じぞう
Ksitigarbha-Statue
Flower Jizo
Estatua de Ksitigarbha
Statue de Ksitigarbha
Statua di Ksitigarbha
Estátua de Ksitigarbha
Статуя Кшитигарбхи
地藏菩萨像
地藏菩萨像
お 花 地蔵
|か|じぞう
むかし むかし 、 お 春 と いう 名前 の おばあ さん と 、 お 花 と いう 名前 の まご娘 が 二 人 で 暮らして い ました 。
|||はる|||なまえ||||||か|||なまえ||まごむすめ||ふた|じん||くらして||
Once upon a time, there lived an old woman named Oharu and a daughter named Ohana.
お 春 ばあさん は 六十 才 で 、 お 花 は 七 才 です 。
|はる|||ろくじゅう|さい|||か||なな|さい|
Old lady is 60 years old, and Ohana is 7 years old.
お 花 の 両親 は 、 お 花 が 三 才 の 時 に 死んで しまった ので 、 お 春 ばあさん は よ その 家 の 畑 仕事 や 針 仕事 を 手伝って 暮らして い ました 。
|か||りょうしん|||か||みっ|さい||じ||しんで||||はる|||||いえ||はたけ|しごと||はり|しごと||てつだって|くらして||
Hana's parents died when she was three years old, so she had to help her grandmother work in the fields and with needlework.
お 花 は お 春 ばあさん が 仕事 を して いる 間 、 近所 の 男の子 たち 相手 に 遊び 回って い ます 。
|か|||はる|||しごと||||あいだ|きんじょ||おとこのこ||あいて||あそび|まわって||
While Grandma Haru is at work, Ohana is playing around with the boys in the neighborhood.
「 お 花 、 今度 こそ は おら の 勝ち だ ぞ 。
|か|こんど|||||かち||
"Ohana, this time it's my victory.
え いっ !
Yeah!
」 「 よわい くせ に 、 何 を 言って る 。
|||なん||いって|
"You're so weak, what are you talking about?"
や あっ !
」 男の子 が 相手 でも 、 勝つ の は いつも お 花 でした 。
おとこのこ||あいて||かつ|||||か|
"Even against boys, it was always flowers that won.
夕暮れ に なって お 春 ばあさん の 仕事 が 終わる と 、 お 花 は お 春 ばあさん と 一緒に 家 へ 帰り ました 。
ゆうぐれ||||はる|||しごと||おわる|||か|||はる|||いっしょに|いえ||かえり|
「 ばあちゃん 、 今日 は 、 吾助 と ごん 太 を やっつけた よ 」 じまんげに 言う お 花 に 、 お 春 ばあさん は あきれ顔 で 言い ました 。
|きょう||ごすけ||ご ん|ふと|||||いう||か|||はる|||あきれがお||いい|
"Grandma, I beat Gosuke and Gonta today."
「 お 花 。
|か
棒切れ 遊び は 、 男の子 の 遊び じゃ 。
ぼうきれ|あそび||おとこのこ||あそび|
お なご の する もん じゃあ ねえ よ 」 「 だって 、 女の子 と 一緒に 遊ぶ なんて つまら ん もん 。
|||||||||おんなのこ||いっしょに|あそぶ||||
It's not something you do as a child." "Because it's boring to play with a girl.
体 は 女 でも 、 心 は 男 じゃ 」 「 やれやれ 、 死んだ 母親 に そっくりじゃ 」
からだ||おんな||こころ||おとこ|||しんだ|ははおや||
The body is a woman, but the heart is a man." "Well, you look just like your dead mother."
やがて 秋 に なり 、 畑 の かり入れ が 終わって しまう と 、 お 春 ばあさん の 仕事 が 少なく なり ました 。
|あき|||はたけ||かりいれ||おわって||||はる|||しごと||すくなく||
毎年 の 事 です が 、 これ から 春 まで は 家 で 針 仕事 を する 時間 が 多く なり ます 。
まいとし||こと|||||はる|||いえ||はり|しごと|||じかん||おおく||
As is the case every year, from now until spring, I will spend more time doing needlework at home.
そんな ある 日 、 お 花 が お 春 ばあさん に 言い ました 。
||ひ||か|||はる|||いい|
「 わたし 、 もう 遊ぶ の を やめる 。
||あそぶ|||
"I will stop playing.
これ から は ばあちゃん の 手伝い を する 」 それ を 聞いて 、 お 春 ばあさん は おどろき ました 。
|||||てつだい|||||きいて||はる||||
「 どうした ん じゃ ?
あんなに 棒 きれ 遊び が 好きだった のに 。
|ぼう||あそび||すきだった|
子ども は 子ども らしく 遊んで おれば ええ んじゃ 」 「 だって 、 ばあちゃん は 、 いつも 夜 遅く まで 働いて いる じゃ ない か 。
こども||こども||あそんで||||||||よ|おそく||はたらいて||||
Children should play like children, okay?"
わたし も 手伝えば 、 夜 遅く まで 働か なくて も いい だろう 」 「 何 を 言って いる 。
||てつだえば|よ|おそく||はたらか|||||なん||いって|
お前 に 手伝って もらった って 、 かえって じゃまに なる だけ だ 。
おまえ||てつだって|||||||
Even if you help me, it'll only get in the way.
・・・ まったく 、 急に なまいきな 事 を 言い よって !
|きゅうに||こと||いい|
… Seriously, suddenly say something stupid!
」 そういう お 春 ばあさん の ほお に 、 ポロリ と うれしなみだ が こぼれ ました 。
||はる||||||||||
” A smile of joy spilled over the cheeks of the old lady.
ところが その 冬 、 お 花 は 流行 病 ( はやり やまい ) の 『 百 日 ぜ き 』 に かかって しまった のです 。
||ふゆ||か||りゅうこう|びょう||||ひゃく|ひ||||||
However, that winter, Ohana fell ill with the epidemic "Hundred Days".
「 ゴホン 、 ゴホン 、 ゴホン 」 朝 も 夜 も 、 お 花 の せき は とまり ませ ん 。
|||あさ||よ|||か||||||
お 春 ばあさん は 必死で 看病 を し ます が 、 小さな 村 で は 医者 も 薬 も あり ませ ん 。
|はる|||ひっしで|かんびょう|||||ちいさな|むら|||いしゃ||くすり||||
「 お 春 、 がんばる んだ よ 。
|はる|||
春 に なれば 、 必ず 良く なる から 」 「 うん 、 ゴホン 、 ゴホン !
はる|||かならず|よく|||||
」 そして あんなに 元気だった お 花 は 、 あっけなく 死んで しまった のです 。
||げんきだった||か|||しんで||
And the flower, which had been so healthy, suddenly died.
お 花 が 死んで しまって から 、 お 春 ばあさん は たましい が 抜か れた ように 何 日 も 何 日 も 仏だん の 前 から 動こう と し ませ ん 。
|か||しんで||||はる|||||ぬか|||なん|ひ||なん|ひ||ぶつだん||ぜん||うごこう||||
ある 日 、 近所 の 人 が 心配 して やって 来 ました 。
|ひ|きんじょ||じん||しんぱい|||らい|
「 お 春 ばあさん 、 もち を 持って きた から 食べて 。
|はる||||もって|||たべて
“Grandma Spring, I brought you mochi, so eat it.
少し は 食べ ん と 、 体 に 悪い よ 。
すこし||たべ|||からだ||わるい|
お 春 ばあさん に は つらい 事 だ が 、 お 花 は きっと 、 あの 世 で おっと う や おっ か あと 親子 水入らず で 暮らして いる よ 」 お 春 ばあさん は 、 やっと 顔 を あげて 言い ました 。
|はる|||||こと||||か||||よ|||||お っ|||おやこ|みずいらず||くらして||||はる||||かお|||いい|
It's hard for the old lady, but I'm sure the flowers are living in the afterlife without water." The old lady finally looked up and said.
「 ああ 、 わたし も 、 その 事 だけ を いのって いた んだ 。
||||こと|||||
"Oh, that's the only thing I was praying for, too.
でも 、 お 花 は まだ おさない 。
||か|||
But I haven't put the flowers on yet.
ちっちゃな お 花 が 、 まよわ ず におっ とうと おっ か あの ところ に 行ける だろう か ?
||か||||にお っ||お っ|||||いける||
Can a small flower go there without worrying about it?
あの世 の どこ か で まい子 に なって 、 一 人 さみしく 泣いて は せんじゃ ろうか ?
あのよ|||||まいこ|||ひと|じん||ないて|||
Wouldn't it be better to become a child somewhere in the afterlife and cry alone?
いっその事 わたし も 死んで 、 お 花 を 探し に 行き て え 」 「 何 言って いる の !
いっそのこと|||しんで||か||さがし||いき|||なん|いって||
死ぬ なんて 、 そんな 事 を 考えたら だめだ よ 。
しぬ|||こと||かんがえたら||
You shouldn't be thinking about dying like that.
大丈夫 、 お 花 は しっかり者 だ から 」 「 ああ 、 そう じゃ な 。
だいじょうぶ||か||しっかりもの||||||
・・・ そうじゃ と 、 いい が 」
そう じゃ|||
夜 に なって 近所 の 人 が 帰る と 、 お 春 ばあさん は また 仏だん の 前 に すわり 込み ました 。
よ|||きんじょ||じん||かえる|||はる||||ぶつだん||ぜん|||こみ|
In the evening, when the neighbors had gone home, the old lady sat down in front of the altar again.
「 お 花 、 大丈夫だろう か ?
|か|だいじょうぶだろう|
どこ か で 、 ばあちゃん を さがして いる んじゃ ない だろう か ?
Aren't you looking for grandma somewhere?
一 人 さみしく 、 泣いて い ない と いい が 。
ひと|じん||ないて|||||
I hope you're not crying because you're alone.
お 花 は 、 かわいい 子 じゃ った 。
|か|||こ||
笑い顔 なんて 、 まるで お じぞう さま に そっくりじゃ った 。
わらいがお||||||||
His smiling face was just like that of Ojizo-sama.
・・・ お じぞう さま 。
そう じゃ !
」 お 春 ばあさん は 、 その 夜 から 、 お じぞう さま を ほり 始め ました 。
|はる||||よ|||||||はじめ|
That night, the old lady began digging for Ojizo-sama.
お じぞう さま は 子ども の 守り神 で 、 死んだ 子ども を 天国 に みちびいて くれる と 言わ れて い ます 。
||||こども||まもりがみ||しんだ|こども||てんごく|||||いわ|||
そこ で お 春 ばあさん は お じぞう さま を つくって 、 早く お 花 を 天国 へ 送って やろう と 思った のです 。
|||はる||||||||はやく||か||てんごく||おくって|||おもった|
So the old lady decided to make a goddess and send the flowers to heaven as soon as possible.
しかし お じぞう さま を 作る こと は 、 年老いた お 春 ばあさん に は 大変な 事 です 。
|||||つくる|||としおいた||はる||||たいへんな|こと|
But making Ojizo-sama is a big deal for an old spring lady.
お 春 ばあさん は 毎日 毎日 お じぞう さま を ほり 続けて 、 春 が 来る 頃 に ようやく 出来 上がり ました 。
|はる|||まいにち|まいにち||||||つづけて|はる||くる|ころ|||でき|あがり|
Day after day, the old lady continued to dig the ojizo-sama, and by the time spring came, it was finally finished.
それ は お 花 に そっくりの 、 小さな 小さな おじ ぞうさ まで す 。
|||か|||ちいさな|ちいさな||||
It's even a tiny little uncle who looks just like a flower.
「 これ で きっと 、 お 春 は おっと うと おっ か あに 会える に ちがいない 」 お 春 ばあさん は その 小さな お じぞう さま を 、 村 を 見渡せる 丘 の 上 に 置く 事 に し ました 。
||||はる||||お っ|||あえる||||はる||||ちいさな|||||むら||みわたせる|おか||うえ||おく|こと|||
"With this, I'm sure I'll be able to meet the old man in the spring."
やがて この お じぞう さま は 『 お 花 じぞう 』 と よば れ 、 村人 たち は 子ども が 百 日 ぜ き に かかる と 、 お 花 が 大好きだった 「 いり 米 」 を お供え し ました 。
|||||||か|||||むらびと|||こども||ひゃく|ひ|||||||か||だいすきだった||べい||おそなえ||
Before long, this jizo-sama was called 'Ohana', and when the children were 100 days old, the villagers offered them 'irried rice,' which they loved flowers.
する と その 子ども は 、 必ず すぐ に 良く なった そうです 。
|||こども||かならず|||よく||そう です
It is said that the child immediately recovered without fail.