おキツネのお産 お きつね の おさん

お キツネ の お 産 |きつね|||さん Birth of a fox

むかし むかし 、 ある ところ に 、 とても 腕 の いい お 産婆 ( さんば ) さん が い ました 。 ||||||うで||||さんば||||| Once upon a time, there was a very good midwife (Samba) in one place. お 産婆 さん と は 、 赤ちゃん を 産む お 手伝い を して くれる 人 の 事 です 。 |さんば||||あかちゃん||うむ||てつだい||||じん||こと| この お 産婆 さん に 来て もらう と 、 どんなに ひどい 難産 でも 楽に 赤ちゃん を 産む 事 が 出来る と 評判 でした 。 ||さんば|||きて|||||なんざん||らくに|あかちゃん||うむ|こと||できる||ひょうばん|

ある 夜 の 事 、 お 産婆 さん が 寝て いる と 、 ドンドン ドンと 誰 か が 戸 を たたき ました 。 |よ||こと||さんば|||ねて|||どんどん|どんと|だれ|||と||| 「 はて 、 急な お 産 かな ？ |きゅうな||さん| 」 　 お 産婆 さん が 急いで 戸 を 開ける と 、 この あたり で は 見た 事 の ない 男 の 人 が 、 青い 顔 で 肩 で 息 を し ながら 立って い ます 。 |さんば|||いそいで|と||あける||||||みた|こと|||おとこ||じん||あおい|かお||かた||いき||||たって|| 「 お 産婆 さん 、 早く 来て ください ！ |さんば||はやく|きて| 嫁 が 今 、 苦しんで い ます ！ よめ||いま|くるしんで|| 初めて の お 産 な もん で 、 どう すれば いい か わかり ませ ん ！ はじめて|||さん|||||||||| 」 「 は いはい 、 落ち着いて 。 ||おちついて それ で 、 お宅 は どちら かね ？ ||おたく||| 」 「 わたし が 案内 し ます ので 、 急いで ください ！ ||あんない||||いそいで| 」 　 お 産婆 さん は 大急ぎで 着替えて 、 お 産 に 必要な 物 を 持って 外 へ 出 ました 。 |さんば|||おおいそぎで|きがえて||さん||ひつような|ぶつ||もって|がい||だ| 「 おや ？ 」 　 外 へ 出た お 産婆 さん は 、 首 を かしげ ました 。 がい||でた||さんば|||くび||| 外 は まっ 暗 な のに 男 の 人 の まわり だけ は 、 ちょうちん で 照らした ように 明るい のです 。 がい|||あん|||おとこ||じん|||||||てらした||あかるい| 「 早く ！ はやく 早く 、 お 願い し ます ！ はやく||ねがい|| 」 　 不思議に 思う お 産婆 さん の 手 を 、 男 の 人 が ぐい と 引っぱって 走り 出し ました 。 ふしぎに|おもう||さんば|||て||おとこ||じん||ぐ い||ひっぱって|はしり|だし|

さて 、 男 の 人 と 一緒に 、 どの くらい 走った でしょう 。 |おとこ||じん||いっしょに|||はしった| 気 が つく と お 産婆 さん は 、 見た 事 も ない ご殿 の 中 に い ました 。 き|||||さんば|||みた|こと|||ごてん||なか||| そこ で は 数え きれ ない ほど たくさん の 女 中さん が お 産婆 さん を 出迎えて 、 「 どうか 奥さま を 、 よろしく お 願い し ます 」 と 、 頭 を さげ ます 。 |||かぞえ||||||おんな|ちゅうさん|||さんば|||でむかえて||おくさま||||ねがい||||あたま||| 長い 廊下 を 女 中頭 ( じょ ちゅう が しら ) に 案内 さ れる と 、 金色 の ふすま が 見え ました 。 ながい|ろうか||おんな|なかがみ||||||あんない||||きんいろ||||みえ| 「 奥さま が 、 お 待ち で ございます 」 　 女 中頭 に 言わ れて 部屋 に 入る と 大きな お腹 を かかえた 美しい 女 の 人 が 、 ふとん の 上 で 苦し そうに 転げ 回って い ます 。 おくさま|||まち|||おんな|なかがみ||いわ||へや||はいる||おおきな|おなか|||うつくしい|おんな||じん||||うえ||にがし|そう に|ころげ|まわって|| 「 は いはい 、 落ち着いて 。 ||おちついて わたし が 来た から 、 もう 大丈夫 」 　 お 産婆 さん は やさしく 言う と 女 中頭 に お 湯 や 布 を たくさん 用意 さ せて 、 さっそく お 産 に とりかかり ました 。 ||きた|||だいじょうぶ||さんば||||いう||おんな|なかがみ|||ゆ||ぬの|||ようい|||||さん||| 「 さあ 、 楽に して 、 りき まず に 、 力 を 抜いて 、 そう そう 、 がんばって 」 　 する と 、 まもなく 、 「 フギァアーー ！ |らくに|||||ちから||ぬいて|||||||フギァアー- 」 と 、 元気な 男 の 赤ちゃん が 生まれ ました 。 |げんきな|おとこ||あかちゃん||うまれ| 「 ふう 、 やれやれ 」 　 お 産婆 さん が 汗 を ぬぐう と 、 さっき の 男 の 人 が 目 に 涙 を 浮かべて お 産婆 さん に お 礼 を 言い ました 。 |||さんば|||あせ||||||おとこ||じん||め||なみだ||うかべて||さんば||||れい||いい| 「 本当に 、 ありがとう ございました 。 ほんとうに|| 無事に 息子 が 生まれ 、 こんなに うれしい 事 は あり ませ ん 。 ぶじに|むすこ||うまれ|||こと|||| どうぞ 、 あちら の 部屋 で ゆっくり お 休み ください 」 　 お 産婆 さん は 長い 廊下 を 連れて いか れて 、 今度 は 銀色 の ふすま の 部屋 に 案内 さ れ ました 。 |||へや||||やすみ|||さんば|||ながい|ろうか||つれて|||こんど||ぎんいろ||||へや||あんない||| 「 おや 、 まあ 」 　 そこ に は 黒 塗り の 見事な お ぜん が あり 、 お 産婆 さん の ため に 用意 さ れた ごちそう が ならんで い ます 。 |||||くろ|ぬり||みごとな||||||さんば|||||ようい||||||| 「 ああ 、 ありがたい ねえ 」 　 お 産婆 さん は 用意 さ れた ごちそう を パクパク と 食べる と 、 うとうと 眠って しまい ました 。 ||||さんば|||ようい|||||||たべる|||ねむって||

それ から 、 どの くらい 時間 が たった でしょう 。 ||||じかん||| コケコッコー ！ 一番どり の 鳴き声 で 、 お 産婆 さん は はっと 目 を 覚まし ました 。 いちばんどり||なきごえ|||さんば||||め||さまし| 「 ここ は ？ 」 　 立派な ご殿 に いた はずな のに 、 お 産婆 さん が 目 を 覚ました の は 古い 小さな 小屋 の 中 でした 。 りっぱな|ごてん||||||さんば|||め||さました|||ふるい|ちいさな|こや||なか| 「 不思議な 事 も ある もん だ ねえ 」 　 お 産婆 さん は 村 に 帰る と 、 村 の 人 たち に ゆうべ の 事 を 話し ました 。 ふしぎな|こと|||||||さんば|||むら||かえる||むら||じん|||||こと||はなし| すると 村人 たち は 口々に 、 「 それ は きっと 、 お 産婆 さん の 評判 を 聞いて 、 キツネ が 頼み に 来た にち げ え ねえ 」 と 、 言った そうです 。 |むらびと|||くちぐちに|||||さんば|||ひょうばん||きいて|きつね||たのみ||きた||||||いった|そう です

おしまい