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Fairy Tales, 彦一のウナギつり

彦一 の ウナギ つり

彦 一 の ウナギ つ り

むかし むかし 、 彦 一 ( ひこ いち ) と 言う 、 とても かしこい 子ども が い ました 。

ある 日 の こと 、 彦 一 は 肥 後 ( ひご → くまもと けん ) の 国ざかい の 川 へ 、 ウナギ つ り に 出かけ ました 。 けれど この 日 は どうした こと か 、 ウナギ が さっぱり つれ ませ ん 。 つれる 場所 を 探して 川 の 上流 へ 上流 へ と のぼって 行く と 、 いつの間にか 隣 の 国 の 領地 ( りょうち ) に 入って しまい ました 。 「 まあ 、 誰 に も 見つから ない だろう 」 彦 一 が つり を 始める と 、 今度 は おもしろい ように ウナギ が つれ ます 。 すると そこ に 隣 の 領地 の さむらい が ウナギ つ り に やって 来て 、 彦 一 を 見つけ ました 。 「 やい 、 やい 、 彦 一 。 ここ は 、 わし の 殿さま の 領地 の 川 じゃ 。 お前 が つった ウナギ を 残らず よこせ 」 ところが 彦 一 は 、 少しも あわて ませ ん 。 「 おら は 、 八 代 ( やつし ろ ) の 川 を 大きな ウナギ が 何 百 匹 も のぼる の を 見て 、 それ を つり に 来た まで じゃ 。 八 代 の おれ が 八 代 の ウナギ を とって 、 どこ が 悪い 」 「 ふむ 、 それ は そう だ が 、 八 代 の ウナギ と わし の 領地 の ウナギ と を 、 どうして 見分ける 事 が 出来る んだ 。 へりくつ を ぬかす な 」 「 いい や 、 見分ける など 、 わけ も ない 」 彦 一 は 大きな ウナギ を つり あげる と 、 「 これ は 、 八 代 から のぼって きた やつ 」 と 、 自分 の ビク (→ さかな を 入れる カゴ ) に 入れ 、 小さい の が かかる と 、 「 これ は 、 そちら の ウナギ 」 と 、 さむらい の ビク に ポイ と 投げ入れ ました 。 そうして 彦 一 は 、 大きい ウナギ だけ を 持って 帰り ました 。

おしまい


彦一 の ウナギ つり ひこいち||うなぎ| Hikoichi's Eel Fishing

彦 一 の ウナギ つ り ひこ|ひと||うなぎ||

むかし むかし 、 彦 一 ( ひこ いち ) と 言う 、 とても かしこい 子ども が い ました 。 ||ひこ|ひと|ひ こ|||いう|||こども|||

ある 日 の こと 、 彦 一 は 肥 後 ( ひご → くまもと けん ) の 国ざかい の 川 へ 、 ウナギ つ り に 出かけ ました 。 |ひ|||ひこ|ひと||こえ|あと||くま もと|||くにざかい||かわ||うなぎ||||でかけ| One day, Hikoichi went fishing for eels in the river of Zakai in the province of Higo. けれど この 日 は どうした こと か 、 ウナギ が さっぱり つれ ませ ん 。 ||ひ|||||うなぎ||||| But for some reason, I didn't catch any eels that day. つれる 場所 を 探して 川 の 上流 へ 上流 へ と のぼって 行く と 、 いつの間にか 隣 の 国 の 領地 ( りょうち ) に 入って しまい ました 。 |ばしょ||さがして|かわ||じょうりゅう||じょうりゅう||||いく||いつのまにか|となり||くに||りょうち|||はいって|| Looking for a place to catch it, I went up the river upstream and downstream, and before I knew it, I had entered the territory of a neighboring country. 「 まあ 、 誰 に も 見つから ない だろう 」   彦 一 が つり を 始める と 、 今度 は おもしろい ように ウナギ が つれ ます 。 |だれ|||みつから|||ひこ|ひと||||はじめる||こんど||||うなぎ||| "Well, no one will find it." When Hikoichi started fishing, this time the eel was taken in amusingly. すると そこ に 隣 の 領地 の さむらい が ウナギ つ り に やって 来て 、 彦 一 を 見つけ ました 。 |||となり||りょうち||||うなぎ|||||きて|ひこ|ひと||みつけ| Then, a samurai from the neighboring territory came to fish eels and found Hikoichi. 「 やい 、 やい 、 彦 一 。 ||ひこ|ひと ここ は 、 わし の 殿さま の 領地 の 川 じゃ 。 ||||とのさま||りょうち||かわ| This is the river in my lord's territory. お前 が つった ウナギ を 残らず よこせ 」   ところが 彦 一 は 、 少しも あわて ませ ん 。 おまえ|||うなぎ||のこらず|||ひこ|ひと||すこしも||| Give me all the eels you caught.” However, Hikoichi was not upset at all. 「 おら は 、 八 代 ( やつし ろ ) の 川 を 大きな ウナギ が 何 百 匹 も のぼる の を 見て 、 それ を つり に 来た まで じゃ 。 ||やっ|だい||||かわ||おおきな|うなぎ||なん|ひゃく|ひき|||||みて|||||きた|| "I saw hundreds of big eels climbing up the Yatsushiro River, so I came to catch them. 八 代 の おれ が 八 代 の ウナギ を とって 、 どこ が 悪い 」  「 ふむ 、 それ は そう だ が 、 八 代 の ウナギ と わし の 領地 の ウナギ と を 、 どうして 見分ける 事 が 出来る んだ 。 やっ|だい||||やっ|だい||うなぎ|||||わるい|||||||やっ|だい||うなぎ||||りょうち||うなぎ||||みわける|こと||できる| What's wrong with me, Yatsushiro, taking Yatsushiro's eel?" "Hmm, that's true, but how can I tell Yatsushiro's eel from my territory's eel?" へりくつ を ぬかす な 」 「 いい や 、 見分ける など 、 わけ も ない 」   彦 一 は 大きな ウナギ を つり あげる と 、 「 これ は 、 八 代 から のぼって きた やつ 」 と 、 自分 の ビク (→ さかな を 入れる カゴ ) に 入れ 、 小さい の が かかる と 、 「 これ は 、 そちら の ウナギ 」 と 、 さむらい の ビク に ポイ と 投げ入れ ました 。 ||||||みわける|||||ひこ|ひと||おおきな|うなぎ|||||||やっ|だい||||||じぶん|||||いれる|||いれ|ちいさい|||||||||うなぎ||||||ぽい||なげいれ| Don't be modest." "No, there's no way to tell them apart." Hikoichi hoisted a big eel and said, "This is the one that came up from Yatsushiro." ), and when a small one hits it, he threw it into the samurai's Viku, saying, "This is your eel." そうして 彦 一 は 、 大きい ウナギ だけ を 持って 帰り ました 。 |ひこ|ひと||おおきい|うなぎ|||もって|かえり|

おしまい