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Aozora Bunko imports, おばあさんと黒ねこ

おばあ さん と 黒 ねこ

おばあ さん と 黒 ねこ

小川 未明

いまでは 、 いい 薬 が たくさんに あります けれど 、 まだ 世間 が 開け なかった 、 昔 は 、 家 伝 薬 など を 用いて 病気 を なおした もの であります 。 この 話 も 、 その 時分 の こと で 、 雪 の 降る 北 の 国 に あった こと でした 。 お じいさん は 、 働いて 、 たくさんの お 金 を お ばあさん に 残して 、 先 へ この 世の中 から 去って しまった 。 後 に 残さ れた おばあ さん は 、 独り さびしく 暮らして ゆか なければ なりません でした 。 お じいさん と おばあ さん の 間 に は 、 ただ 一 人 の 子供 も なかった のです 。 おばあ さん は 、 お じいさん の 残して いって くれた 、 たくさんの お 金 が あり ました から 、 なに 不自由 なく 暮らして いく こと が でき ました 。 しかし 、 お ばあさん も また しあわせな 人 では ありません でした 。 ふと 目 を 患って 、 それ が だんだん 悪く なって 、 ついに 両方 の 目 と も 見え なく なって しまった のです 。 おばあ さん の 家 に 、 一 匹 の 黒 ねこ が 飼われて い ました 。 この ねこ は 、 お ばあさん が 病気 に なら ない 時分 に 、 ある 日 の こと 、 犬 に 追われて 裏 の 高い すぎ の 木 に 逃げて きて 上がった のでした 。 「 あの ねこ を 殺して しまえ 。」 と 、 村 の 子供 たち は 、 犬 に けし を かけて 木 の 下 に やってき ました 。 そして ねこ を 目がけて 石 を 投げつけたり 、 棒 を 持ってきて 突き落とそう と したり した ので あり ました 。 黒 ねこ は 、 いっしょうけんめいに 、 すぎ の 木 の 枝 に しがみついて い ました 。 小石 は 、 四方 から 飛んで きて 、 体 の まわり を うなって 飛んで ゆき ました 。 それ が 一 つ 当たろう もの なら 、 いくら ねこ は 、 しっかり しがみついて いて も 、 目 が くらんで 落ち ず に い られません でした 。 ねこ は それ を 思う と 、 ぶるぶる 震えて いた のです 。 「 もっと 長い さお を 持ってこい やい 。」 と 、 子供 たち は 叫んで い ました 。 この とき 、 おばあ さん は 、 家 の 内 で 仕事 を して い ました が 、 あまり 犬 が 吠えます ので 、 何事 が 起こった のであろう と 裏 へ 出て み ました 。 すると 村 の 子供 ら が おおぜい 寄り集まって きて 、 すぎ の 木 に 逃げて 上がった 、 ねこ を 突き落として 、 犬 に 殺さ せよう と して いた のであります 。 おばあ さん は 、 悪い こと を する 子供 ら だ と 思い ました 。 「 ああ 、 みんな いい 子だから 、 そんな こと を する もの で ない 。」 と 、 おばあ さん は いい ました 。 子供 ら は 、 おばあ さん の いう こと など を 耳 に いれません 。 「 あの ねこ は 、 鶏 の ひな を 取った 悪い ねこ だ も の 、 殺したって かま い は し ない 。」 「 あの ねこ は 、 宿なし な んだ から 、 だれ も しかりゃ し ない んだ 。」 子供 たち は 、 かってな 理屈 を つけて 、 さお に さお を 継ぎ足して 、 どうかして 高い 木 の 枝 まで とどく ように したい と 苦心 して い ました 。 犬 は 、 上 を 仰いで 、 おおぜい の 子供 たち の 加勢 が ある ので 、 ますます 猛 り 吠えて いた のです 。 おばあ さん は この 有り様 を 見る と 、 木 の 上 に しがみついて いる ねこ が かわいそうで なりません でした 。 「 その ねこ は 、 家 が ない なら 私 に おくれ 、 飼って やりましょう 。 そのかわり 、 そこ に いる みんな に お 銭 を あげる から ……。」 と 、 おばあ さん は いい ました 。 子供 たち は 、 お 銭 を くれる と いわ れた ので 、 たちまち おとなしく なって しまい ました 。 おばあ さん は みんな に お 銭 を 分けて やり ました 。 子供 たち は 、 犬 を つれて どこ へ と なく 去って しまった のです 。 ねこ は 、 ようやく に して 危うい 命 を お ばあさん に 助け られ ました 。 おばあ さん は 、 ねこ の 好き そうな 魚 を さらに いれて 裏口 に 置いて やり ました 。 日 暮れ方 に なる と 、 ねこ は 、 まったく だれ も あたり に いない の を 見 すまして 木 から 降りて き ました 。 こうして 、 この 黒 ねこ は 、 その 日 から おばあ さん の 家 に 養わ れた のでした 。 ある 日 、 おばあ さん は 、 ねこ に 向かって 、「 私 は 、 このように 目 が 見え なく なって しまった 。 おまえ は 、 これ から 、 私 の 力 に なって くれ なければ いけ ぬ 。」 と いわ れ ました 。 この 村 の 人 たち は 、 お ばあさん が 金持ち だ と いう こと を 知ってい ました 。 そこ で 、 村 は 小さくて 、 いたって 戸数 は 少なかった けれど 、 おばあ さん の 家 を 除いて は 、 いずれ も 貧乏で あり ました 。 中 に は 、 困る と 、 おばあ さん の ところ へ お 金 を 借り に やってき ました 。 おばあ さん は 、 いい 人 で あり ました から 、 いやだ と は いえません でした 。 それ に 、 自分 は 一 人 で いる し 、 また 村 の 人 たち の 世話に なら ない と も かぎら ない から と 思って 、 お 金 を 貸して やり ました 。 「 おばあ さん から 借りた のだ から 、 早く 持っていって 返さ なければ なら ない 。」 と いって 、 正直な 人 は 、 金 が できる と 返し に ゆき ました 。 しかし 、 よく ない 人間 も あって 、「 どうせ おばあ さん は 盲人 だ 。 それ に 金 を 持って いる のだ から 、 すぐに 返す こと は ない 。」 と いって 、 約束 の 日 が きて も 返さ ない もの も あり ました 。 黒い ねこ は 、 よく 人間 を 見分けた のでした 。 「 おばあ さん 、 困って います から 、 お 金 を 貸して ください 。」 と 、 村 の 人 が いって きて も 、 ほんとうに 困って いて 、 また 約束 を 違え ず に 返す 人 なら 、 ねこ は 、 おばあ さん の ひざ の 上 に 乗って 、 のど を ゴロゴロ 鳴らして い ました けれど 、 きた 人 が お ばあさん を だまして 、 金 を 取る 考え である と 、 ねこ は 、 その 人 の 腹 の 中 を 見破り ました 。 「 おばあ さん 、 この 人 に 、 金 を 貸して やる の は 、 お よし なさい 。」 と いわ ぬ ばかりに みえ ました 。 おばあ さん は 、 ねこ が そう いって 鳴いた とき は 、 金 を 貸して やる の を 見合わせ ました 。 いつしか おばあ さん の 家 の 黒 ねこ は 、 人間 より りこうだ と いう 評判 が たち ました 。 なか に も 正直 者 の 人々 は 、 黒 ねこ を ほめ ました けれど 、 腹 の よく ない 、 おばあ さん を だまそう と 思って いる ような もの は 、 黒 ねこ を 悪く いって 、 あんな の を 生かして おいて は 、 末 に なって 、 怖 ろ しい など と いいふらした のであります 。 また 、 ある とき は 、 黒 ねこ の こと を 、「 あの ねこ は 化けます よ 。 ひとり で 障子 を 開けたり 、 閉めたり します 。 また 、 お ばあさん が 、 目 が 見え ない と 思って 、 手ぬぐい を かぶって 、 踊ったり する のです 。」 と いって 、 どうかして 、 黒 ねこ を 退治 して しまおう と し ました 。 しかし 、 なか に は 、 黒 ねこ を かばう もの も あり 、 また 黒 ねこ が りこうで 、 容易に 、 その 人 たち の 手 に かから なかった のです 。 おばあ さん に は 、 べつに 身内 の もの と いう ほど の もの も なかった 。 病気 に なる と 村 の 人 たち が 、 しんせつに 世話 を して やり ました 。 おばあ さん は いい 年 で も あり ました から 、 病気 に かかる と ほどなく この世 から 去って しまい ました 。 村 の 人 たち は 、 おばあ さん に 世話に なった もの が 多かった から 、 その 人 たち の 手 で 葬式 は すまさ れた のです 。 「 さあ 、 葬式 も すんだ が 、 おばあ さん は 、 お 金 を どう したろう ? 」 と 、 いった もの が あり ました 。 「 なるほど 、 おばあ さん は 金持ち だった 。 きっと どこ か へ 隠して ある に 違いない 。」 と 、 ある もの は いい ました 。 集まった 人 たち は 、 家 の 内 を くまなく 探し はじめた のです 。 けれど 、 ほんの わずか ばかりの 金 が 財布 の 中 に あった ほか に は 、 まとまった 金 と いう もの が 見当たら なかった 。 「 お 金 の ない はず が ない 。 きっと 天井 張り の 上 だろう ……。 それ で なければ 、 畳 の 下 に ちがいない 。」 と 、 ある もの は いい ました 。 天井 張り の 上 も 、 畳 の 下 も 探し ました けれど 、 やはり 金 は 見いださ れ なかった のでした 。 「 おばあ さん は 、 もう 金 を もって い なかった のじゃ ない か 。 そして 金 が なくなる と 、 ちょうど 自分 の 命 も なくなって しまった のだろう ……。」 と 、 いった もの も あり ました 。 みんな が 、 こうして 大騒ぎ を して いる の を 、 黒 ねこ は あさまし そうに 黙って 見て い ました 。 「 おお 、 この 黒 ねこ が 知っている はずだ 。 さあ 、 どこ に お 金 が しまって ある か 、 いえ ! いわ なけりゃ 、 だれ も 、 飯 を やら ない ぜ 。」 と 、 人々 は 、 黒 ねこ に 向かって い い ました 。 黒 ねこ は 、 とうとう その 日 から 、 主人 を 失い ました 。 そして 、 ひと り さびしい 暗い 空き家 に すんで い ました が 、 だれ も 、 飯 を くれる もの も なかった から 、 夜 に なる と 外 へ 出て 、 あたり の ご みため を あさって いた のです 。 その うち に 、 寒い 、 怖 ろ しい 冬 が やってき ました 。 ご みため の 上 まで 雪 が 深く 積もって しまい ました 。 哀れな 黒 ねこ は 、 ひもじい 腹 を 満たす こと が でき ない ので 、 悲しい 、 うらめしい 声 を あげて 深夜 に 雪 の 上 を うろついた のでした 。 家 の 中 で は 、 人々 が 目 を さまして 、 悲し そうに 鳴く ねこ の 声 に 耳 を 傾けて い ました 。 「 かわいそうに 、 お ばあさん が なくなられて から 、 だれ も 、 食べ物 を やる もの が ない から 、 ああして 鳴き ながら 、 探して 歩いて いる のだ ……。」 と 、 いって い ました 。 それ は 、 吹雪 の した 、 寒い 、 寒い 晩 の こと でした 。 黒 ねこ は 圃 の 中 で 凍えて 死んで い ました 。 村 の 人 は 、 それ を 見つけた けれど 、 気味 悪 がって 、 その 死骸 に 手 を つける もの は なかった のです 。 「 もう 一 度 、 はげしい 吹雪 が すれば 、 黒 ねこ は 隠れて しまう だろう ……。」 そう 思って 、 人々 は 、 雪 の 上 に ある 黒 ねこ の 屍 を 見て い ました 。 しかし 、 一 度 、 その 黒い 動物 の 体 は 、 吹雪 の ため に 隠れた けれど 、 天気 に なる と 、 また 黒く 、 雪 の 上 に 現れた のでした 。 その とき 、 どこ から か 、 たくさんの からす が 集まって きて 、 圃 の 中 に おり 、 黒 ねこ の 死骸 を つつき ました 。 村 の 人々 は 、 雪 球 を 投げたり して からす を 逐った けれど 、 二 、 三 日 は 、 その あたり を 、 ガアガア と 鳴いて 去りません でした 。 雪 が 積もって 、 山 に も 、 里 に も 、 食べ物 が なくなった から でありましょう 。 彼ら は 、 黒 ねこ の 屍 を 食い つくす と また 、 どこ へ と も なく 、 飛んで いって しまい ました 。 村人 が その こと を 忘れて しまった 、 雪 の 消えた ころ です 。 ふたたび どこ から と も なく からす が 集まって きて 、 おばあ さん の 家 の 裏手 の 、 いつか 黒 ねこ が 犬 に 追われて 、 逃げて きて 上がった 、 高い すぎ の 木 の 枝 に 巣 を 造り はじめた のでした 。 山 の 方 から 、 また 丘 を 越えて 、 海 の 方 から 枯れ 枝 や 、 海草 や 、 毛 の ような もの を くわえて きて 、 からす は 巣 を 造り ました 。 「 おばあ さん の 家 の 裏 へ 、 からす が 巣 を 造り ました ね 。」 「 あの 家 は 、 黒 ねこ と か 、 からす と か 、 いろいろな もの が くる 、 みょうな 家 です こと 。」 村 の 人 たち は 、 こんな 話 も した のでした 。 ある 日 の こと 、 みんな が 、 わ いわい いって 空 を ながめて い ました 。 晩 方 の 空 に からす が てんで に 、 ぴかぴか 光る もの を くわえて 、 すぎ の 木 の 頂 を 飛びまわって いた のであります 。 「 あれ は 、 な んでしょう か ? 」 村 の 人 たち は 、 木 の 下 に やってき ました 。 そして 、 中 に は 、 わざわざ 木 の 上 へ 登って ゆく もの も あり ました 。 からす は 、 巣 の 中 へ 、 光る もの を くわえて は いる の も あれば 、 また 、 これ を くわえて 山 の 方 へ 、 丘 を 越して 海 の 方 へ 、 思い思い に 飛び去って しまう もの も あり ました 。 木 の 上 へ 登って いった もの は 、 ようやく の こと で 、 からす に 頭 を つつか れたり 、 目 を ねらわ れたり する の を 防いで 、 巣 の 中 から 光る もの を 一 枚 取り出して みた のでした 。 「 金 の 小判 だ ! 」 と 、 木 の 上 から 叫び ました 。 木 の 下 に 立って いる 人 たち は 、 まさか 金 の 小判 を からす が くわえて くる はず が ない と いって 信じません でした 。 その うち に 、 木 から 降りて きた もの が 、 それ を みんな に 見せる と 、 ほんとうに 、 金 の 小判 で あり ました 。 村 の 人 たち は 、 大急ぎ を して 、 からす の 持って いる 金 の 小判 を 奪おう と し ました 。 しかし 、 からす は 、 それ を くわえて 、 いずこ へ と なく 、 みんな 散って しまって 、 村人 の 手 に は いった 小判 は 、 やっと 二 枚 しか ありません でした 。 「 おばあ さん は 、 金 を 持って い なされた はずだ が 、 なくなられて も 金 が どこ に も 見つから なかった の は おかしい と 思って いた 。 からす が 、 どこ から か 見つけ出して 、 くわえて いった のだろう ……。」 「 まだ 、 どこ か に 、 隠して ある かも しれ ない 。」 彼ら は 、 宝 探し で も する ように 、 おばあ さん の 家 の 周囲 を 掘り はじめた のです 。 けれど 、 なにも 見いだす こと が でき なかった 。 この 話 が 、 まったく 、 不思議な 話 と して 伝わり ました 。 その 翌年 の こと 、 村 に 悪い 病気 が 流行 し ました 。 ちょうど 、 その とき 、 旅 の 薬 売り が 村 へ は いって きた ので 、 村 の 人 は 、 その 薬 売り から 薬 を 買い ました 。 その 薬 は 、たいへんに 病気 に よく きいた のであります 。 薬 売り は 、 あちら へ 呼ば れ 、 こちら へ 呼ば れ し ました 。 「 なに か 、 この 村 に たたって いる の では ありません か ? 」 と 、 薬 売り は いった 。 村 の 人 は 、 べつに 、 たたる もの も ない が 、 お ばあさん が 死んだ けれど 、 だれ も 、 墓 を 建てて やる もの が ない と いう こと を 告げ ました 。 薬 売り は 、 頭 を 振り ながら 、「 それ は 、 よく ありません 。 村 の 人 の お 世話に なった 、 おばあ さん の 墓 を 建てて あげ ない と いう 法 は ありません 。」 と いい ました 。 「 薬屋 さん 、 あなた の いわ れる の は 、 もっともな こと です 。 けれど 、 この 村 は 、 いつ だって 貧乏です 。 そんなに お 金 が ない のです 。」 と 、 村 の 人 は 答え ました 。 薬屋 は 、 考えて い ました が 、「 私 の 持って いる 薬 は 、 どれ も 家 伝 の 名 薬 です 。 この 薬 の 造り 方 を 、 この 村 の 人 たち に 教えて あげましょう 。 そのかわり に 、 からす の くわえて いた と いう 二 枚 の 金 の 小判 を 私 に ください 。 私 は それ を 土産 に して 故郷 へ 帰り 、 この 不思議な 話 を いたします ……。」 と いい ました 。 村 の 人 たち は 、 集まって 相談 を し ました 。 そして 、 二 枚 の 小判 を 薬 売り に やり ました 。 薬 売り は 疫病 に きく 薬 の 製造 法 と 、 下 熱 剤 の 造り 方 を 村 の 人 に 伝授 し ました 。 この 旅人 は 、 小判 を 携えて 、 いずこ へ か 去って しまい ました 。 その後 で 村 の 人 は 、 薬 売り から 教え られた 薬 を 製造 し ました 。 この 薬 もたいへんに よく 病気 に きいた のであります 。 「 こう なった の も 、 おばあ さん の して くだされた こと だ 。」 と 、 村 の 人 は おばあ さん に 感謝 し ました 。 そして 、 黒 ねこ と からす の 絵 を 薬 の 袋 に 描く こと に し ました 。 疫病 に きく 、 毒 下 し の 薬袋 に は 黒 ねこ の 絵 を 描き 、 下 熱 剤 の 薬袋 に は からす の 絵 を 描き ました 。 村 の 人 は 、 造った 薬 を お ぶって 、 それ から 、 山 を 越えて 他国 へ 売り に 出て ゆき ました 。 国々 を 春 、 夏 、 秋 、 冬 と 巡って 、 薬 が 尽きる と 、 また 自分 の 村 へ 帰って きた のです 。 北国 の さびしい 村 は 、 こうして いつしか 名高い 薬 の 産地 と 知れ 、 富んだ 町 と なり ました 。

おばあ さん と 黒 ねこ |||くろ| Oma und die schwarze Katze Grandma and a black cat La grand-mère et le chat noir 할머니와 검은 고양이 Babcia i czarny kot A avó e o gato preto Бабушка и черный кот 奶奶和黑猫 奶奶和黑貓

おばあ さん と 黒 ねこ |||くろ| Grandmother and black cat

小川 未明 おがわ|みめい Miki Ogawa

いまでは 、 いい 薬 が たくさんに あります けれど 、 まだ 世間 が 開け なかった 、 昔 は 、 家 伝 薬 など を 用いて 病気 を なおした もの であります 。 ||くすり|||あり ます|||せけん||あけ||むかし||いえ|つたい|くすり|||もちいて|びょうき||なお した||であり ます Nowadays, there are many good medicines, but in the old days, when the world was not yet open to the public, people used family medicines to cure illnesses. この 話 も 、 その 時分 の こと で 、 雪 の 降る 北 の 国 に あった こと でした 。 |はなし|||じぶん||||ゆき||ふる|きた||くに|||| This story was also about that time and was in the northern country where it snows. お じいさん は 、 働いて 、 たくさんの お 金 を お ばあさん に 残して 、 先 へ この 世の中 から 去って しまった 。 |||はたらいて|||きむ|||||のこして|さき|||よのなか||さって| The old man worked, left a lot of money to the grandmother, and left the world. 後 に 残さ れた おばあ さん は 、 独り さびしく 暮らして ゆか なければ なりません でした 。 あと||のこさ|||||ひとり||くらして|||なり ませ ん| The grandmother who was left behind had to live alone and lonely. お じいさん と おばあ さん の 間 に は 、 ただ 一 人 の 子供 も なかった のです 。 ||||||あいだ||||ひと|じん||こども||| There was no single child between the grandfather and the grandmother. おばあ さん は 、 お じいさん の 残して いって くれた 、 たくさんの お 金 が あり ました から 、 なに 不自由 なく 暮らして いく こと が でき ました 。 ||||||のこして|||||きむ||||||ふじゆう||くらして||||| The grandmother was able to live without any inconvenience because she had a lot of money left by her grandfather. しかし 、 お ばあさん も また しあわせな 人 では ありません でした 。 ||||||じん||あり ませ ん| But the grandmother was not a happy person either. ふと 目 を 患って 、 それ が だんだん 悪く なって 、 ついに 両方 の 目 と も 見え なく なって しまった のです 。 |め||わずらって||||わるく|||りょうほう||め|||みえ|||| I suddenly suffered from an eye, and it got worse and finally I couldn't see both eyes. おばあ さん の 家 に 、 一 匹 の 黒 ねこ が 飼われて い ました 。 |||いえ||ひと|ひき||くろ|||かわ れて|| There was a black cat in my aunt's house. この ねこ は 、 お ばあさん が 病気 に なら ない 時分 に 、 ある 日 の こと 、 犬 に 追われて 裏 の 高い すぎ の 木 に 逃げて きて 上がった のでした 。 ||||||びょうき||||じぶん|||ひ|||いぬ||おわ れて|うら||たかい|||き||にげて||あがった| One day, at a time when the grandmother did not get sick, the cat was chased by a dog and fled to a tree that was too high behind. 「 あの ねこ を 殺して しまえ 。」 |||ころして| "Kill that cat." と 、 村 の 子供 たち は 、 犬 に けし を かけて 木 の 下 に やってき ました 。 |むら||こども|||いぬ|||||き||した||| Said the village children came under the tree with a dog beckon. そして ねこ を 目がけて 石 を 投げつけたり 、 棒 を 持ってきて 突き落とそう と したり した ので あり ました 。 |||めがけて|いし||なげつけたり|ぼう||もってきて|つきおとそう|||||| They threw stones at the cat and tried to push it down with sticks. 黒 ねこ は 、 いっしょうけんめいに 、 すぎ の 木 の 枝 に しがみついて い ました 。 くろ||||||き||えだ|||| The black cat was clinging to the branches of a tree that was too much. 小石 は 、 四方 から 飛んで きて 、 体 の まわり を うなって 飛んで ゆき ました 。 こいし||しほう||とんで||からだ|||||とんで|| Pebbles flew from all sides and flew around the body. それ が 一 つ 当たろう もの なら 、 いくら ねこ は 、 しっかり しがみついて いて も 、 目 が くらんで 落ち ず に い られません でした 。 ||ひと||あたろう||||||||||め|||おち||||られ ませ ん| If that was the case, the cat, no matter how tightly clinging, couldn't help falling down blindly. ねこ は それ を 思う と 、 ぶるぶる 震えて いた のです 。 ||||おもう|||ふるえて|| When I thought about it, the cat was trembling. 「 もっと 長い さお を 持ってこい やい 。」 |ながい|||もってこい| "I'd like to bring a longer rod." と 、 子供 たち は 叫んで い ました 。 |こども|||さけんで|| cried the children. この とき 、 おばあ さん は 、 家 の 内 で 仕事 を して い ました が 、 あまり 犬 が 吠えます ので 、 何事 が 起こった のであろう と 裏 へ 出て み ました 。 |||||いえ||うち||しごと|||||||いぬ||ほえ ます||なにごと||おこった|||うら||でて|| At this time, the aunt was working in the house, but the dog barked so much that she went out to the back, wondering what had happened. すると 村 の 子供 ら が おおぜい 寄り集まって きて 、 すぎ の 木 に 逃げて 上がった 、 ねこ を 突き落として 、 犬 に 殺さ せよう と して いた のであります 。 |むら||こども||||よりあつまって||||き||にげて|あがった|||つきおとして|いぬ||ころさ|||||のであり ます Then the children of the village gathered together and ran up to the tree that was too much, and pushed the cat down to try to kill the dog. おばあ さん は 、 悪い こと を する 子供 ら だ と 思い ました 。 |||わるい||||こども||||おもい| I thought the grandmothers were children who did bad things. 「 ああ 、 みんな いい 子だから 、 そんな こと を する もの で ない 。」 |||こだから||||||| "Oh, everyone is a good boy, so it doesn't do that." と 、 おばあ さん は いい ました 。 Said the grandmother. 子供 ら は 、 おばあ さん の いう こと など を 耳 に いれません 。 こども||||||||||みみ||いれ ませ ん Children can't hear what the grandmother says. 「 あの ねこ は 、 鶏 の ひな を 取った 悪い ねこ だ も の 、 殺したって かま い は し ない 。」 |||にわとり||||とった|わるい|||||ころした って||||| "That cat doesn't care if he killed a bad cat that took a chicken chick." 「 あの ねこ は 、 宿なし な んだ から 、 だれ も しかりゃ し ない んだ 。」 |||やどなし||||||||| "That cat has no inn, so no one has to." 子供 たち は 、 かってな 理屈 を つけて 、 さお に さお を 継ぎ足して 、 どうかして 高い 木 の 枝 まで とどく ように したい と 苦心 して い ました 。 こども||||りくつ|||||||つぎたして||たかい|き||えだ||||し たい||くしん||| The children had been struggling to make some sense, to add the sao to the sao, and somehow reach the tall tree branches. 犬 は 、 上 を 仰いで 、 おおぜい の 子供 たち の 加勢 が ある ので 、 ますます 猛 り 吠えて いた のです 。 いぬ||うえ||あおいで|||こども|||かせい|||||もう||ほえて|| The dog was looking up and barking more and more because of the help of most of the children. おばあ さん は この 有り様 を 見る と 、 木 の 上 に しがみついて いる ねこ が かわいそうで なりません でした 。 ||||ありさま||みる||き||うえ|||||||なり ませ ん| When the grandmother saw this situation, she couldn't feel sorry for the cat clinging on the tree. 「 その ねこ は 、 家 が ない なら 私 に おくれ 、 飼って やりましょう 。 |||いえ||||わたくし|||かって|やり ましょう "If you don't have a house, let me keep it and keep it. そのかわり 、 そこ に いる みんな に お 銭 を あげる から ……。」 |||||||せん||| Instead, I'll give money to everyone there ... " と 、 おばあ さん は いい ました 。 said the old lady. 子供 たち は 、 お 銭 を くれる と いわ れた ので 、 たちまち おとなしく なって しまい ました 。 こども||||せん||||||||||| The children immediately quieted down when they were told that they could have some money. おばあ さん は みんな に お 銭 を 分けて やり ました 。 ||||||せん||わけて|| The grandmother gave money to everyone. 子供 たち は 、 犬 を つれて どこ へ と なく 去って しまった のです 。 こども|||いぬ|||||||さって|| The children left with the dog and went nowhere. ねこ は 、 ようやく に して 危うい 命 を お ばあさん に 助け られ ました 。 |||||あやうい|いのち|||||たすけ|| The cat was finally helped by his grandmother to endangered life. おばあ さん は 、 ねこ の 好き そうな 魚 を さらに いれて 裏口 に 置いて やり ました 。 |||||すき|そう な|ぎょ|||い れて|うらぐち||おいて|| The aunt put more fish that she liked and put them in the back door. 日 暮れ方 に なる と 、 ねこ は 、 まったく だれ も あたり に いない の を 見 すまして 木 から 降りて き ました 。 ひ|くれがた||||||||||||||み||き||おりて|| When evening came, the cat came down from the tree, seeing that there was no one around at all. こうして 、 この 黒 ねこ は 、 その 日 から おばあ さん の 家 に 養わ れた のでした 。 ||くろ||||ひ|||||いえ||やしなわ|| And so, from that day on, this black cat was brought into the grandmother's house. ある 日 、 おばあ さん は 、 ねこ に 向かって 、「 私 は 、 このように 目 が 見え なく なって しまった 。 |ひ||||||むかって|わたくし|||め||みえ||| One day, the aunt said to the cat, "I've lost my eyes like this. おまえ は 、 これ から 、 私 の 力 に なって くれ なければ いけ ぬ 。」 ||||わたくし||ちから|||||| You must help me from now on. " と いわ れ ました 。 I was told. この 村 の 人 たち は 、 お ばあさん が 金持ち だ と いう こと を 知ってい ました 。 |むら||じん||||||かねもち||||||しってい| The people of this village knew that the old woman was rich. そこ で 、 村 は 小さくて 、 いたって 戸数 は 少なかった けれど 、 おばあ さん の 家 を 除いて は 、 いずれ も 貧乏で あり ました 。 ||むら||ちいさくて||こすう||すくなかった|||||いえ||のぞいて||||びんぼうで|| There, the villages were small and the number of houses was small, but all but the grandmother's house were poor. 中 に は 、 困る と 、 おばあ さん の ところ へ お 金 を 借り に やってき ました 。 なか|||こまる||||||||きむ||かり||| In the meantime, when I was in trouble, I came to borrow money from my aunt. おばあ さん は 、 いい 人 で あり ました から 、 いやだ と は いえません でした 。 ||||じん||||||||いえ ませ ん| My grandmother was a good person, so I couldn't say no to her. それ に 、 自分 は 一 人 で いる し 、 また 村 の 人 たち の 世話に なら ない と も かぎら ない から と 思って 、 お 金 を 貸して やり ました 。 ||じぶん||ひと|じん|||||むら||じん|||せわに|||||||||おもって||きむ||かして|| Besides, I lent money because I was alone and I didn't have to take care of the villagers. 「 おばあ さん から 借りた のだ から 、 早く 持っていって 返さ なければ なら ない 。」 |||かりた|||はやく|もっていって|かえさ||| "I borrowed it from my aunt, so I have to bring it back as soon as possible." と いって 、 正直な 人 は 、 金 が できる と 返し に ゆき ました 。 ||しょうじきな|じん||きむ||||かえし||| However, honest people went back to the point that they could make money. しかし 、 よく ない 人間 も あって 、「 どうせ おばあ さん は 盲人 だ 。 |||にんげん|||||||もうじん| But there are some people who are not so nice, and they say, "Grandmother is blind anyway. それ に 金 を 持って いる のだ から 、 すぐに 返す こと は ない 。」 ||きむ||もって|||||かえす||| And because he has money, he won't return it right away. " と いって 、 約束 の 日 が きて も 返さ ない もの も あり ました 。 ||やくそく||ひ||||かえさ||||| However, some did not return even when the promised date came. 黒い ねこ は 、 よく 人間 を 見分けた のでした 。 くろい||||にんげん||みわけた| The black cat often recognized humans. 「 おばあ さん 、 困って います から 、 お 金 を 貸して ください 。」 ||こまって|い ます|||きむ||かして| "Grandmother, I'm in trouble, so please lend me some money." と 、 村 の 人 が いって きて も 、 ほんとうに 困って いて 、 また 約束 を 違え ず に 返す 人 なら 、 ねこ は 、 おばあ さん の ひざ の 上 に 乗って 、 のど を ゴロゴロ 鳴らして い ました けれど 、 きた 人 が お ばあさん を だまして 、 金 を 取る 考え である と 、 ねこ は 、 その 人 の 腹 の 中 を 見破り ました 。 |むら||じん||||||こまって|||やくそく||ちがえ|||かえす|じん|||||||||うえ||のって|||ごろごろ|ならして|||||じん||||||きむ||とる|かんがえ||||||じん||はら||なか||みやぶり| And even if the villagers came, if they were really in trouble and would return their promises without making a mistake, the cat would ride on his aunt's lap and rumbling in his throat. However, when the person who came was thinking of tricking the aunt into taking money, the cat saw through the person's belly. 「 おばあ さん 、 この 人 に 、 金 を 貸して やる の は 、 お よし なさい 。」 |||じん||きむ||かして|||||| “Oh, grandmother, lend me money to this person.” と いわ ぬ ばかりに みえ ました 。 I couldn't help but see it. おばあ さん は 、 ねこ が そう いって 鳴いた とき は 、 金 を 貸して やる の を 見合わせ ました 。 |||||||ないた|||きむ||かして||||みあわせ| The aunt forgot to lend money when the cat rang. いつしか おばあ さん の 家 の 黒 ねこ は 、 人間 より りこうだ と いう 評判 が たち ました 。 ||||いえ||くろ|||にんげん|||||ひょうばん||| Someday, the black cat in the grandmother's house has gained a reputation for being better than humans. なか に も 正直 者 の 人々 は 、 黒 ねこ を ほめ ました けれど 、 腹 の よく ない 、 おばあ さん を だまそう と 思って いる ような もの は 、 黒 ねこ を 悪く いって 、 あんな の を 生かして おいて は 、 末 に なって 、 怖 ろ しい など と いいふらした のであります 。 |||しょうじき|もの||ひとびと||くろ||||||はら|||||||||おもって|||||くろ|||わるく|||||いかして|||すえ|||こわ||||||のであり ます Honest people praised the black cat, but those who weren't hungry and wanted to cheat the aunt, made the black cat bad and kept it alive. At the end of the day, he said that he was scared. また 、 ある とき は 、 黒 ねこ の こと を 、「 あの ねこ は 化けます よ 。 ||||くろ||||||||ばけ ます| Also, at one point, the black cat was called, "That cat is freaking out. ひとり で 障子 を 開けたり 、 閉めたり します 。 ||しょうじ||あけたり|しめたり|し ます You can open and close the shoji by yourself. また 、 お ばあさん が 、 目 が 見え ない と 思って 、 手ぬぐい を かぶって 、 踊ったり する のです 。」 ||||め||みえ|||おもって|てぬぐい|||おどったり|| Also, the old lady wears a towel and dances, thinking that she cannot see her eyes. " と いって 、 どうかして 、 黒 ねこ を 退治 して しまおう と し ました 。 |||くろ|||たいじ||||| Then he tried to get rid of the black cat somehow. しかし 、 なか に は 、 黒 ねこ を かばう もの も あり 、 また 黒 ねこ が りこうで 、 容易に 、 その 人 たち の 手 に かから なかった のです 。 ||||くろ||||||||くろ||||よういに||じん|||て|||| However, some of them protected black cats, and some of them were black cats, which were not easily in their hands. おばあ さん に は 、 べつに 身内 の もの と いう ほど の もの も なかった 。 |||||みうち||||||||| The aunt didn't have anything like a relative. 病気 に なる と 村 の 人 たち が 、 しんせつに 世話 を して やり ました 。 びょうき||||むら||じん||||せわ|||| When he became ill, the villagers took good care of him. おばあ さん は いい 年 で も あり ました から 、 病気 に かかる と ほどなく この世 から 去って しまい ました 。 ||||とし||||||びょうき|||||このよ||さって|| My aunt had a good year, so she died shortly after getting sick. 村 の 人 たち は 、 おばあ さん に 世話に なった もの が 多かった から 、 その 人 たち の 手 で 葬式 は すまさ れた のです 。 むら||じん||||||せわに||||おおかった|||じん|||て||そうしき|||| Many of the villagers were taken care of by their aunts, so the funeral was done by them. 「 さあ 、 葬式 も すんだ が 、 おばあ さん は 、 お 金 を どう したろう ? |そうしき||||||||きむ||| "Now, the funeral is over, but what happened to the old lady? 」 と 、 いった もの が あり ました 。 「 なるほど 、 おばあ さん は 金持ち だった 。 ||||かねもち| I see. My grandmother was rich. きっと どこ か へ 隠して ある に 違いない 。」 ||||かくして|||ちがいない They must have hidden it somewhere." と 、 ある もの は いい ました 。 集まった 人 たち は 、 家 の 内 を くまなく 探し はじめた のです 。 あつまった|じん|||いえ||うち|||さがし|| The gathered people began to search all over the house. けれど 、 ほんの わずか ばかりの 金 が 財布 の 中 に あった ほか に は 、 まとまった 金 と いう もの が 見当たら なかった 。 ||||きむ||さいふ||なか|||||||きむ|||||みあたら| But there was only a small amount of gold in my wallet, and I couldn't find any chunks of gold. 「 お 金 の ない はず が ない 。 |きむ||||| I would never be without money. きっと 天井 張り の 上 だろう ……。 |てんじょう|はり||うえ| I'm sure it's on the ceiling ... それ で なければ 、 畳 の 下 に ちがいない 。」 |||たたみ||した|| Otherwise, it must be under the tatami mat." と 、 ある もの は いい ました 。 天井 張り の 上 も 、 畳 の 下 も 探し ました けれど 、 やはり 金 は 見いださ れ なかった のでした 。 てんじょう|はり||うえ||たたみ||した||さがし||||きむ||みいださ||| We searched above the ceiling and under the tatami mats, but we could not find any gold. 「 おばあ さん は 、 もう 金 を もって い なかった のじゃ ない か 。 ||||きむ||||||| I thought, "Maybe grandmother didn't have any more money. そして 金 が なくなる と 、 ちょうど 自分 の 命 も なくなって しまった のだろう ……。」 |きむ|||||じぶん||いのち|||| And just as the money ran out, so did his life. ...... と 、 いった もの も あり ました 。 みんな が 、 こうして 大騒ぎ を して いる の を 、 黒 ねこ は あさまし そうに 黙って 見て い ました 。 |||おおさわぎ||||||くろ||||そう に|だまって|みて|| The black cat was silently watching everyone making such a fuss. 「 おお 、 この 黒 ねこ が 知っている はずだ 。 ||くろ|||しっている| "Oh, this black cat should know. さあ 、 どこ に お 金 が しまって ある か 、 いえ ! ||||きむ||||| Now, where do you keep the money? いわ なけりゃ 、 だれ も 、 飯 を やら ない ぜ 。」 ||||めし|||| If not, no one will eat. " と 、 人々 は 、 黒 ねこ に 向かって い い ました 。 |ひとびと||くろ|||むかって||| And the people went toward the black cat. 黒 ねこ は 、 とうとう その 日 から 、 主人 を 失い ました 。 くろ|||||ひ||あるじ||うしない| The black cat finally lost his master from that day. そして 、 ひと り さびしい 暗い 空き家 に すんで い ました が 、 だれ も 、 飯 を くれる もの も なかった から 、 夜 に なる と 外 へ 出て 、 あたり の ご みため を あさって いた のです 。 ||||くらい|あきや||||||||めし|||||||よ||||がい||でて|||||||| And I lived in a lonely dark vacant house, but no one gave me food, so at night I went out and hunted for the garbage around me. その うち に 、 寒い 、 怖 ろ しい 冬 が やってき ました 。 |||さむい|こわ|||ふゆ||| In the meantime, a cold, scary winter came. ご みため の 上 まで 雪 が 深く 積もって しまい ました 。 |||うえ||ゆき||ふかく|つもって|| The snow was so deep that it even covered the tops of the garbage cans. 哀れな 黒 ねこ は 、 ひもじい 腹 を 満たす こと が でき ない ので 、 悲しい 、 うらめしい 声 を あげて 深夜 に 雪 の 上 を うろついた のでした 。 あわれな|くろ||||はら||みたす||||||かなしい||こえ|||しんや||ゆき||うえ||| Unable to satisfy his stringy stomach, the poor black cat wandered around on the snow late at night, making sad, envious noises. 家 の 中 で は 、 人々 が 目 を さまして 、 悲し そうに 鳴く ねこ の 声 に 耳 を 傾けて い ました 。 いえ||なか|||ひとびと||め|||かなし|そう に|なく|||こえ||みみ||かたむけて|| Inside the house, people woke up and listened to the sad mewing of the cat. 「 かわいそうに 、 お ばあさん が なくなられて から 、 だれ も 、 食べ物 を やる もの が ない から 、 ああして 鳴き ながら 、 探して 歩いて いる のだ ……。」 ||||なくなら れて||||たべもの||||||||なき||さがして|あるいて|| "Poor thing, since her grandmother passed away, no one has anything to give her to eat, so she walks around like that, whimpering and looking for food. ...... と 、 いって い ました 。 それ は 、 吹雪 の した 、 寒い 、 寒い 晩 の こと でした 。 ||ふぶき|||さむい|さむい|ばん||| It was a cold, cold evening with a blizzard. 黒 ねこ は 圃 の 中 で 凍えて 死んで い ました 。 くろ|||ほ||なか||こごえて|しんで|| The black cat was frozen and dead in the field. 村 の 人 は 、 それ を 見つけた けれど 、 気味 悪 がって 、 その 死骸 に 手 を つける もの は なかった のです 。 むら||じん||||みつけた||きみ|あく|||しがい||て|||||| The villagers found it, but it was creepy and nothing could touch the corpse. 「 もう 一 度 、 はげしい 吹雪 が すれば 、 黒 ねこ は 隠れて しまう だろう ……。」 |ひと|たび||ふぶき|||くろ|||かくれて|| "If there is another heavy snowstorm, the black cat will be hidden ..." そう 思って 、 人々 は 、 雪 の 上 に ある 黒 ねこ の 屍 を 見て い ました 。 |おもって|ひとびと||ゆき||うえ|||くろ|||しかばね||みて|| So they looked at the black cat's corpse on the snow. しかし 、 一 度 、 その 黒い 動物 の 体 は 、 吹雪 の ため に 隠れた けれど 、 天気 に なる と 、 また 黒く 、 雪 の 上 に 現れた のでした 。 |ひと|たび||くろい|どうぶつ||からだ||ふぶき||||かくれた||てんき|||||くろく|ゆき||うえ||あらわれた| But once the black animal's body was hidden by the blizzard, it reappeared on the snow when the weather turned. その とき 、 どこ から か 、 たくさんの からす が 集まって きて 、 圃 の 中 に おり 、 黒 ねこ の 死骸 を つつき ました 。 ||||||||あつまって||ほ||なか|||くろ|||しがい||| At that time, many ravens came from somewhere and were in the field, pecking at the carcass of a black cat. 村 の 人々 は 、 雪 球 を 投げたり して からす を 逐った けれど 、 二 、 三 日 は 、 その あたり を 、 ガアガア と 鳴いて 去りません でした 。 むら||ひとびと||ゆき|たま||なげたり||||ちく った||ふた|みっ|ひ|||||||ないて|さり ませ ん| The villagers threw snowballs and crowed the crows, but for a few days they didn't scream around and leave. 雪 が 積もって 、 山 に も 、 里 に も 、 食べ物 が なくなった から でありましょう 。 ゆき||つもって|やま|||さと|||たべもの||||であり ましょう Maybe it's because the snow has piled up and there is no food in the mountains or in the villages. 彼ら は 、 黒 ねこ の 屍 を 食い つくす と また 、 どこ へ と も なく 、 飛んで いって しまい ました 。 かれら||くろ|||しかばね||くい|||||||||とんで||| When they ate the corpse of the black cat, they flew away, nowhere else. 村人 が その こと を 忘れて しまった 、 雪 の 消えた ころ です 。 むらびと|||||わすれて||ゆき||きえた|| This is where the snow disappeared and the villagers forgot about it. ふたたび どこ から と も なく からす が 集まって きて 、 おばあ さん の 家 の 裏手 の 、 いつか 黒 ねこ が 犬 に 追われて 、 逃げて きて 上がった 、 高い すぎ の 木 の 枝 に 巣 を 造り はじめた のでした 。 ||||||||あつまって|||||いえ||うらて|||くろ|||いぬ||おわ れて|にげて||あがった|たかい|||き||えだ||す||つくり|| Crows gathered from nowhere again, and one day a black cat, behind the aunt's house, was chased by a dog and ran away, building a nest on a branch of a tree that was too tall. I started. 山 の 方 から 、 また 丘 を 越えて 、 海 の 方 から 枯れ 枝 や 、 海草 や 、 毛 の ような もの を くわえて きて 、 からす は 巣 を 造り ました 。 やま||かた|||おか||こえて|うみ||かた||かれ|えだ||かいそう||け|||||||||す||つくり| From the mountains, over the hills, and from the sea, the ravens built their nests, including dead branches, seaweed, and hair. 「 おばあ さん の 家 の 裏 へ 、 からす が 巣 を 造り ました ね 。」 |||いえ||うら||||す||つくり|| "A raven built a nest in the back of your grandmother's house. 「 あの 家 は 、 黒 ねこ と か 、 からす と か 、 いろいろな もの が くる 、 みょうな 家 です こと 。」 |いえ||くろ||||||||||||いえ|| "That house is a mysterious house where various things such as black cats and crows come." 村 の 人 たち は 、 こんな 話 も した のでした 。 むら||じん||||はなし||| The villagers also talked about this. ある 日 の こと 、 みんな が 、 わ いわい いって 空 を ながめて い ました 。 |ひ||||||||から|||| One day, everyone was looking at the sky, happily. 晩 方 の 空 に からす が てんで に 、 ぴかぴか 光る もの を くわえて 、 すぎ の 木 の 頂 を 飛びまわって いた のであります 。 ばん|かた||から|||||||ひかる||||||き||いただ||とびまわって||のであり ます In the evening sky, in addition to something shiny, he was flying around the top of a tree that was too much. 「 あれ は 、 な んでしょう か ? What is that? 」 村 の 人 たち は 、 木 の 下 に やってき ました 。 むら||じん|||き||した||| The villagers came to the bottom of the tree. そして 、 中 に は 、 わざわざ 木 の 上 へ 登って ゆく もの も あり ました 。 |なか||||き||うえ||のぼって||||| And some of them bothered to climb up the tree. からす は 、 巣 の 中 へ 、 光る もの を くわえて は いる の も あれば 、 また 、 これ を くわえて 山 の 方 へ 、 丘 を 越して 海 の 方 へ 、 思い思い に 飛び去って しまう もの も あり ました 。 ||す||なか||ひかる|||||||||||||やま||かた||おか||こして|うみ||かた||おもいおもい||とびさって||||| Some of the crows entered the nest with something shiny in their mouths, while others took it into their mouths and flew off to the mountains or over the hills to the sea. 木 の 上 へ 登って いった もの は 、 ようやく の こと で 、 からす に 頭 を つつか れたり 、 目 を ねらわ れたり する の を 防いで 、 巣 の 中 から 光る もの を 一 枚 取り出して みた のでした 。 き||うえ||のぼって||||||||||あたま||||め|||||||ふせいで|す||なか||ひかる|||ひと|まい|とりだして|| The one who climbed up the tree was finally able to prevent his head from being struck by the crow and his eyes from being aimed at, and he took out a shining object from the nest. did . 「 金 の 小判 だ ! きむ||こばん| "It's a gold koban! 」 と 、 木 の 上 から 叫び ました 。 |き||うえ||さけび| 木 の 下 に 立って いる 人 たち は 、 まさか 金 の 小判 を からす が くわえて くる はず が ない と いって 信じません でした 。 き||した||たって||じん||||きむ||こばん|||||||||||しんじ ませ ん| The people standing under the tree did not believe it, saying that a raven would never part with a gold koban. その うち に 、 木 から 降りて きた もの が 、 それ を みんな に 見せる と 、 ほんとうに 、 金 の 小判 で あり ました 。 |||き||おりて||||||||みせる|||きむ||こばん||| Eventually, something came down from the tree and showed everyone what it was, and it was really a gold koban. 村 の 人 たち は 、 大急ぎ を して 、 からす の 持って いる 金 の 小判 を 奪おう と し ました 。 むら||じん|||おおいそぎ|||||もって||きむ||こばん||うばおう||| The villagers rushed to get the gold koban from the raven. しかし 、 からす は 、 それ を くわえて 、 いずこ へ と なく 、 みんな 散って しまって 、 村人 の 手 に は いった 小判 は 、 やっと 二 枚 しか ありません でした 。 |||||||||||ちって||むらびと||て||||こばん|||ふた|まい||あり ませ ん| However, in addition to that, everyone was scattered, not everywhere, and there were only two oval coins in the hands of the villagers. 「 おばあ さん は 、 金 を 持って い なされた はずだ が 、 なくなられて も 金 が どこ に も 見つから なかった の は おかしい と 思って いた 。 |||きむ||もって|||||なくなら れて||きむ|||||みつから||||||おもって| "The aunt must have had the money, but I thought it was strange that she couldn't find it anywhere even if she lost it. からす が 、 どこ から か 見つけ出して 、 くわえて いった のだろう ……。」 |||||みつけだして||| I wonder if the crow found it somewhere and added it ... " 「 まだ 、 どこ か に 、 隠して ある かも しれ ない 。」 ||||かくして|||| "I'm sure it's still hidden somewhere..." 彼ら は 、 宝 探し で も する ように 、 おばあ さん の 家 の 周囲 を 掘り はじめた のです 。 かれら||たから|さがし||||||||いえ||しゅうい||ほり|| They started digging around their grandmother's house as if they were looking for treasure. けれど 、 なにも 見いだす こと が でき なかった 。 ||みいだす|||| But I couldn't find anything. この 話 が 、 まったく 、 不思議な 話 と して 伝わり ました 。 |はなし|||ふしぎな|はなし|||つたわり| This story was conveyed as a completely mysterious story. その 翌年 の こと 、 村 に 悪い 病気 が 流行 し ました 。 |よくねん|||むら||わるい|びょうき||りゅうこう|| The following year, a bad disease broke out in the village. ちょうど 、 その とき 、 旅 の 薬 売り が 村 へ は いって きた ので 、 村 の 人 は 、 その 薬 売り から 薬 を 買い ました 。 |||たび||くすり|うり||むら||||||むら||じん|||くすり|うり||くすり||かい| Just then, a traveling medicine seller came to the village, and the villagers bought medicine from him. その 薬 は 、たいへんに 病気 に よく きいた のであります 。 |くすり|||びょうき||||のであり ます The drug was very sick. 薬 売り は 、 あちら へ 呼ば れ 、 こちら へ 呼ば れ し ました 。 くすり|うり||||よば||||よば||| Medicine sellers were called there and there. 「 なに か 、 この 村 に たたって いる の では ありません か ? |||むら||||||あり ませ ん| "Something must be hitting this village. 」 と 、 薬 売り は いった 。 |くすり|うり|| "The drug dealer said. 村 の 人 は 、 べつに 、 たたる もの も ない が 、 お ばあさん が 死んだ けれど 、 だれ も 、 墓 を 建てて やる もの が ない と いう こと を 告げ ました 。 むら||じん|||||||||||しんだ||||はか||たてて|||||||||つげ| The villagers told me that there was nothing to say, but that the old lady had died, but no one had anything to build a tomb. 薬 売り は 、 頭 を 振り ながら 、「 それ は 、 よく ありません 。 くすり|うり||あたま||ふり|||||あり ませ ん The medicine man shook his head and said, "That's not good. 村 の 人 の お 世話に なった 、 おばあ さん の 墓 を 建てて あげ ない と いう 法 は ありません 。」 むら||じん|||せわに|||||はか||たてて|||||ほう||あり ませ ん There is no law not to build a grandmother's grave that was taken care of by the villagers. " と いい ました 。 「 薬屋 さん 、 あなた の いわ れる の は 、 もっともな こと です 。 くすりや|||||||||| "Pharmaceutical shop, what you say is justified. けれど 、 この 村 は 、 いつ だって 貧乏です 。 ||むら||||びんぼうです But this village is always poor. そんなに お 金 が ない のです 。」 ||きむ||| I don't have that much money. と 、 村 の 人 は 答え ました 。 |むら||じん||こたえ| 薬屋 は 、 考えて い ました が 、「 私 の 持って いる 薬 は 、 どれ も 家 伝 の 名 薬 です 。 くすりや||かんがえて||||わたくし||もって||くすり||||いえ|つたい||な|くすり| The drugstore was thinking, "All the medicines I have are famous medicines in the family tradition. この 薬 の 造り 方 を 、 この 村 の 人 たち に 教えて あげましょう 。 |くすり||つくり|かた|||むら||じん|||おしえて|あげ ましょう I will teach the villagers how to make this potion. そのかわり に 、 からす の くわえて いた と いう 二 枚 の 金 の 小判 を 私 に ください 。 ||||||||ふた|まい||きむ||こばん||わたくし|| Instead, give me two gold oval coins that were in addition to the crow. 私 は それ を 土産 に して 故郷 へ 帰り 、 この 不思議な 話 を いたします ……。」 わたくし||||みやげ|||こきょう||かえり||ふしぎな|はなし||いたし ます I will take it as a souvenir and return to my hometown to tell this mysterious story .... " と いい ました 。 村 の 人 たち は 、 集まって 相談 を し ました 。 むら||じん|||あつまって|そうだん||| The villagers gathered to discuss the matter. そして 、 二 枚 の 小判 を 薬 売り に やり ました 。 |ふた|まい||こばん||くすり|うり||| Then, I sent two oval coins to sell medicine. 薬 売り は 疫病 に きく 薬 の 製造 法 と 、 下 熱 剤 の 造り 方 を 村 の 人 に 伝授 し ました 。 くすり|うり||えきびょう|||くすり||せいぞう|ほう||した|ねつ|ざい||つくり|かた||むら||じん||でんじゅ|| The drug sales taught the villagers how to manufacture the drug for epidemics and how to make the hypothermia. この 旅人 は 、 小判 を 携えて 、 いずこ へ か 去って しまい ました 。 |たびびと||こばん||たずさえて||||さって|| This traveler left with an oval. その後 で 村 の 人 は 、 薬 売り から 教え られた 薬 を 製造 し ました 。 そのご||むら||じん||くすり|うり||おしえ||くすり||せいぞう|| The villagers then produced the medicine that the medicine seller had told them about. この 薬 もたいへんに よく 病気 に きいた のであります 。 |くすり|も たいへんに||びょうき|||のであり ます This medicine was also very often ill. 「 こう なった の も 、 おばあ さん の して くだされた こと だ 。」 "This is what my aunt did." と 、 村 の 人 は おばあ さん に 感謝 し ました 。 |むら||じん|||||かんしゃ|| The villagers thanked their grandmother. そして 、 黒 ねこ と からす の 絵 を 薬 の 袋 に 描く こと に し ました 。 |くろ|||||え||くすり||ふくろ||えがく|||| Then, I decided to draw a picture of a black cat and a crow on a medicine bag. 疫病 に きく 、 毒 下 し の 薬袋 に は 黒 ねこ の 絵 を 描き 、 下 熱 剤 の 薬袋 に は からす の 絵 を 描き ました 。 えきびょう|||どく|した|||やくたい|||くろ|||え||えがき|した|ねつ|ざい||やくたい|||||え||えがき| For the plague, I drew a picture of a black cat on the poisoned medicine bag and a picture of a crow on the medicine bag of the hypothermia. 村 の 人 は 、 造った 薬 を お ぶって 、 それ から 、 山 を 越えて 他国 へ 売り に 出て ゆき ました 。 むら||じん||つくった|くすり||||||やま||こえて|たこく||うり||でて|| The villagers were so proud of the medicine they made that they went over the mountains to sell it in other countries. 国々 を 春 、 夏 、 秋 、 冬 と 巡って 、 薬 が 尽きる と 、 また 自分 の 村 へ 帰って きた のです 。 くにぐに||はる|なつ|あき|ふゆ||めぐって|くすり||つきる|||じぶん||むら||かえって|| They traveled from country to country in spring, summer, fall, and winter, and when they ran out of medicine, they returned to their villages. 北国 の さびしい 村 は 、 こうして いつしか 名高い 薬 の 産地 と 知れ 、 富んだ 町 と なり ました 。 きたぐに|||むら||||なだかい|くすり||さんち||しれ|とんだ|まち||| Thus, a lonely village in the north became a wealthy town known for its famous medicine.