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Aozora Bunko imports, おじいさんの家

おじいさんの家

お じいさん の 家

小川 未明

学校 から 帰る と 正雄 は 、 ボン と 楽しく 遊び ました 。 ボン は りこうな 犬 で 、 なんでも 正雄 の いう こと は よく 聞き分け ました 。 ただ もの が いえ ない ばかりであり ました から 、 正雄 の 姉さん も 、 お 母さん も 、 みんな が ボン を かわいがり ました 。

ただ 一 つ 困る こと は 、 日 が 暮れて から 、 ボン が ほえる こと で あり ます 。 しかし これ は 犬 の 役目 で 、 夜中 に なに か 足音 が すれば ほえる の に 不思議な こと は あり ませ ん けれど 、 あまり よく ほえ ます ので 近所 で 迷惑 する こと で あり ます 。

「 ボン 、 なぜ そんなに おまえ は ほえる のだ 。 もう 今夜 から ほえて は なら ん よ 、 ご 近所 で 眠れ ない と おっしゃる じゃ ない か 。」 と 、 正雄 の お 母さん が おしかり に なる と 、 ボン は 尾 を 振って 、 じっとり こう そうな 目つき を して 顔 を 見上げて い ました が 、 やはり 、 夜 に なる と 、 家 の 前 を 通る 人 の 足音 や 、 遠く の 物音 など を 聞き つけて 、 あいかわらず ほえた のであり ます 。

正雄 は 、 床 の 中 で 目 を さまして 、 また ボン が ほえて いる が 、 近所 で 迷惑 して いる だろう 。 どうしたら いいか と 心配 し ました 。 正雄 は 起きて 戸口 に 出て ボン を 呼び ました 。 すると ボン は 喜んで すぐ に 走って き ました 。 思いがけなく 夜中 の 寂しい とき に 呼ば れた ので 、 ボン は うれし さ の あまり 、 正雄 に 飛びついて 、 ほお を なめたり 、 手 を なめたり して 喜んだ のであり ます 。

「 ボン や 、 あんまり ほえる と 、 また 、 いつか の ように ひどい め に あわさ れる から 、 黙って いる んだ ぞ 。 夜 が 明けたら いっしょに 散歩 に ゆく から 、 おとなしく して おれ 。」 と 、 正雄 は ボン の 頭 を なで ながら よく いいきかせ ました 。 そうして また 、 正雄 は 床 の 中 に 入って 眠り ました 。

その後 でも 、 おそらく ボン は ほえた か しれ ませ ん 。 けれど 正雄 は よく 眠って しまい ました から 、 なにごと も 知ら なかった のであり ます 。

朝 起きる と 正雄 は 、 戸口 に 出て ボン を 呼び ました 。 ボン は 、 さっそく そば に やってき ました けれど 、 どうした こと か いつも の ように 元気 が なかった のであり ました 。

ボン は 病気 に かかって いる ように 見え ました 。 正雄 を 見 ます と 、 いつも の ように 尾 を 振り ました けれど 、 すぐ に ぐたり と なって 地面 に 腹ばい に なって しまい ました 。 そうして 、 苦し そうな 息づかい を して い ました 。 口笛 を 吹き まして も 、 ついて くる 気力 が もう ボン に は なかった のであり ます 。

正雄 は 驚いて 、 家 の 中 へ 入って 、

「 ボン が 病気 です よ 。」 と 、 お 母さん や 、 姉さん に 告げ ました 。

そこ で 、 みんな が 外 に 出て み ます と 、 ボン は 脇腹 の あたり を せわし そうに 波立て 、 苦しい 息 を して い ました 。 そうして 、 もう 呼んで も 、 起き上がって 尾 を 振る こと も でき なかった のであり ます 。

「 あんまり 、 おまえ が ほえる もの だ から 、 だれ か に 悪い もの を 食べ させ られた のだ よ 。」 と 、 お 母さん は 、 ボン の 頭 を なでて 、 いたわり ながら いわ れ ました 。

姉さん は 、 ボン の 苦しむ の を 見て かわいそうに 思って 、 さっそく 獣医 の もと へ ボン を 車 に 乗せて 連れて いこう と いい ました 。 お 母さん も それ が いい と いう ので 、 正雄 は 車 を 迎え に ゆき ました 。 そのうち 車 が き ました ので 、 ボン を 乗せて 、 姉さん と 正雄 は ついて ゆき ました 。

獣医 の もと へ いって み ます と 、 ほか に も たくさんの 、 病気 の 犬 や 猫 が 入院 して い ました 。 ほか の 病気 の 犬 は 、 檻 の 中 から 、 くび を かしげて 、 新たに きた 患者 を ながめて い ました 。 獣医 は さっそく ボン の 診察 に かかり ました 。

診察 の 結果 は 、 お 母さん の いわ れた とおり 、 だれ か に 毒 の 入った 食物 を たべ させ られた のだろう と いう こと です 。 医者 は ボン の 体 を 子細に 検 べ て い ました が 、 後足 に ついて いる 傷痕 を 指さして 、

「 この 傷 は 、 いつ つけた のです か 。」 と 聞き ました 。

「 その 傷 は 二 、 三 か月 前 に 、 やはり だれ か に いじめ られて つけた ので ございます 。 なにしろ 、 夜 に なる と よく ほえ ます ので 、 近所 から 憎ま れて い ます もん です から 。」 と 、 姉さん は 答え ました 。

ボン の 後足 に は 、 かなり 大きな 傷 が ついて い ました 。

「 ボン は 助かり ましょう か 。」 と 、 正雄 は 心配 し ながら 獣医 に 聞き ました 。

「 さあ 手 を 尽くして み ます が 、 そのへん の こと は わかり かね ます 。」 と 、 不安な 顔つき を して 獣医 は 答え ました 。

その うち に ボン は 、 しだいに 気力 が 衰えて ゆき ました 。 正雄 や 、 姉さん が その 名 を 呼び ました けれど 、 しまい に は 、 まったく その 声 が ボン に は 聞こえ ない ように なり ました 。 そうして 、 薬 を のま したり 、 手当 を したり し たかい も なく 、 とうとう ボン は 目 を 閉じた まま 死んで しまい ました 。

正雄 は 悲しみ ました 。 姉さん も 目 を しめら して 悲しみ ました 。 そうして 、 ボン を また 車 に 乗せて 家 へ 帰り ました 。 ボン が 死んだ と いう こと を 聞か れて 、 お 母 ん も 悲しま れ ました 。

二 みんな は 相談 を して 、 ボン を ていねいに お 寺 の 墓地 へ 葬り ました 。 そうして 、 坊さん に 頼んで お 経 を 読んで やり ました 。 その 当座 、 正雄 は ボン が い なく なった ので さびしくて なり ませ ん でした 。 朝 起きて も 、 学校 から 帰って きて も 、 飛びついて 自分 を 迎えて くれる もの が なくなり 、 また いっしょに 散歩 を する もの が なくなった と 思う と 、 いま まで の ように 楽しみ が なかった のであり ます 。

こうして 、 は や 幾 日 かたって しまい ました 。 正雄 は 、 ボン の こと を いま まで ほど 思い出さ なく なり ました 。

ある 日 の こと 、 戸口 から 尾 を 振り ながら 入って きた 犬 が あり ます 。 なんの 気 なし に 、 その 犬 を 見 ます と 、 正雄 は 驚いて 声 を あげ ました 。

「 あ 、 ボン が 帰って きた 。 ボン が 帰って きた 。」

と 、 つづけざま に いい ました ので 、 みんな は びっくり して 、 その ほう を 見 ます と 、 なるほど 、 ボン が 帰って きた のであり ました 。

「 どうして ボン が 帰って きたろう 。」 と 、 お 母さん は 不思議 がら れ ました 。

「 死んだ ボン が 、 どうして 生きて きた のでしょう ね 。」 と 、 姉さん も びっくり して いい ました 。

正雄 は 、 すぐさま 戸口 に 走り 出て 、 ボン を 見よう と し ました 。 ボン は 喜んで 正雄 の 足 もと に すりよって き ました 。 正雄 は 夢中に なって 、 ボン の 頭 や 脊 中 を なでた のであり ます 。

「 しかし 、 死んだ 犬 が 、 生きて くる はず が ないで す ねえ 、 お 母さん 。」 と 、 姉さん は いい ました 。

「 私 も そう 思う よ 。 ああして 死んで お 寺 に 埋めて しまった のじゃ ない か 。 それ が どうして 生きて きた んでしょう 。」 と 、 お 母さん も 不思議 がって い られ ました 。

けれど 、 その 形 から 、 毛 の 色 から 、 どこまでも ボン と 変わり が あり ませ ん でした 。 正雄 は 、 たしかに ボン が 帰って きた のだ と 思い ました から 、

「 だって 、 ちっとも ボン と 変わり が ない じゃ あり ませ ん か 。 どうしても これ は ボン です 。」 と 正雄 は いいはり ました 。

「 ボン は 後足 に 傷痕 が あった はずだ から 、 そん なら 検 べ て みれば わかる でしょう 。」 と 、 姉さん は いい ました 。

正雄 は 、 犬 を 抱く ように して 、 その 犬 の 後足 を 検 べ て い ました が 、 急に 大きな 声 を たてて 、

「 これ 、 こんなに 後足 に 傷痕 が あり ます 。」 と 叫び ました 。 お 母さん も 、 姉さん も 、 みんな そば に きて 、 それ を 見て 、 びっくり し ました 。

「 まあ 、 どうして ボン が 生きかえって きたろう ……。」

と 、 不思議 がり ました 。

とにかく 、 ボン が 帰って きた のだ と いう ので 、 肉 を やったり 、 ご飯 を やったり 、 お 菓子 を やったり 、 ボン が 好きであった もの を やったり して 、 家 じゅう は 急に にぎやかに なった のであり ました 。 そうして 、 正雄 は 、 また 明日 から 朝 早く 起きて いっしょに 散歩 を し 、 学校 から 帰って きて も いっしょに 散歩 する こと の できる の を 喜んだ のであり ます 。

する と その 日 の 晩 方 の こと で あり ました 。 白い ひげ の 生えた お じいさん が 戸口 を 入って きて 、

「 あ 、 ここ に 家 の 犬 が きて いた か 。 さあ 、 こい 、 こい 。」 と いって 、 ボン を 呼び ました 。 し ます と 、 いま まで 、 正雄 の そば に 喜んで いた 犬 が 急に 立って 、 お じいさん の ほう へ 走って ゆき ました 。 正雄 は 驚いて 、

「 あ 、 この 犬 は 僕 の 家 の 犬 です よ 。 連れて いって は いけ ませ ん 。」 と 、 正雄 は お じいさん に 向かって い い ました 。

「 は は は は 、 この 犬 は 私 の 家 の 犬 じゃ 、 それ は 坊 の 思い違い じゃ 、 これ この とおり 、 私 に ついて くる じゃ ない か 。」 と 、 お じいさん は 笑って 答え ました 。

「 いいえ 、 どうしても それ は 僕 の 家 の 犬 です から 、 連れて いって は いけ ませ ん 。」 と 、 正雄 は 、 あくまでも いいはり ました 。

「 は は は 、 困った 坊 だ 。」 と 、 お じいさん は 笑って い ました 。

その とき 、 お 母さん は 出て こ られて 、 正雄 に 向かい 、

「 家 の ボン は 、 この あいだ 死んだ のじゃ ない か 。 やはり この 犬 は 、 お じいさん の 家 のです よ 。 そんな 聞き分け の ない こと を いう もの で ない 。」 と 、 しから れ ました 。 正雄 も 、 なるほど と 思い ました 。

「 私 は 、 何 町 、 何 番地 の だれ と いう もの じゃ 。 今度 の 日曜 に でも 坊 は 遊び に おい で 。」 と 、 お じいさん は 立ち 去る とき に いい ました 。 そうして 、 つえ を ついて 門口 を 出 ます と 、 ボン は お じいさん の 後 に ついて 、 さっさと いって しまった のであり ます 。 みんな は 不思議に 思って 、 その 後ろ姿 を 見送り ました 。

三 正雄 は 姉さん と いっしょに 、 お じいさん の 家 へ たずねて いって みよう と 話し 合い ました 。 やがて 日曜日 に なり まして 、 その 日 の 朝 から よい お 天気 で あり ました から 、 正雄 は 姉さん と 、 お じいさん の 家 へ 出かけ ました 。 お じいさん の 家 は 町 の 端 に なって い まして 、 その辺 は 圃 や 、 庭 が 広う ございまして 、 なんとなく 田舎 へ いった ような 趣 が あり ました 。

お じいさん の 家 は ちょっと わかり にくう ございました 。 二 人 は 番地 を 探して 、 あちら で 聞き 、 こちら で 聞き いたし ました 。 そうして 、 やっと その 家 を 探しあてる こと が できた のです 。

その 家 は 珍しい わら 家 で あり ました 。 日 の 光 が ほこ ほこ と 暖か そうに 屋根 の 上 に 当たって い ました 。 鶏 が 圃 で 餌 を 探して 歩いて いたり 、 はと が 地面 に 降りて 群がって 遊んで いた りし まして 、 まことに のどかな 景色 で あり ました 。

「 まあ 、 ほんとうに いい ところ です こと 。」 と 、 姉さん は 感心 して い い ました 。

「 ボン は いる か しら ん 。」 と 、 正雄 は いって 口笛 を 吹いて み ました 。 けれど 、 ボン は どこ から も 走って き ませ ん でした 。 どこ か へ 遊び に いって いる のだろう と 思って 、 二 人 は 、 その 家 の 門 を 入り ました 。

ちょうど 日当たり の いい 縁側 に 、 おばあ さん が すわって 、 下 を 向いて 、 ぷう ぷう と 糸 車 を まわして 糸 を 紡いで い ました 。 二 人 は 、 その 音 を 聞く と 、 たいへんに 遠い 田舎 へ でも いって いる ような 気 が した のであり ます 。 おばあ さん は 耳 が すこし 遠い ようであり ました 。 で 、 二 人 の 入って きた の を すこしも 知り ませ ん でした 。

「 ここ が お じいさん の 家 だろう か ? 」 と 、 正雄 は 姉さん に 向かって い い ました 。

「 おばあ さん に たずねて み ましょう 。」 と 、 姉さん は いって 、 おばあ さん の そば へ ゆき ました 。 おばあ さん は はじめて 、 人 の きた のに 気 が ついた ようす で あり ました 。 姉さん は 、 お じいさん の 姓 と 名 と を いって 、

「 この お家 で ございます か 。」 と 、 おばあ さん に 聞き ます と 、 おばあ さん は 、 糸 車 を まわす 手 を やめて 、 つくづく と 姉さん と 正雄 の 顔 を ながめ ながら 、

「 おまえ さん たち は 、 どこ から おい で に なり ました 。 私 は 、 ちっとも 見覚え が ない が 。」 と 、 おばあ さん は 答え ました 。

そこ で 、 二 人 は 、 先日 お じいさん が 犬 を 連れて 帰った こと を 、 お は あさ んに よく わかる ように 子細に 語り ます と 、 おばあ さん は 、 やはり 、 ふ に 落ち ぬ ような 顔つき を して 、

「 多分 、 それ は 家 が ちがい ます よ 、 そんな はず が ない から 。」 と 、 おばあ さん は いい ました 。

「 じゃ 、 同じ 番地 に 、 こういう お じいさん は 住んで い ませ ん か 。」 と 、 正雄 は 聞き ます と 、

「 その お じいさん の 家 なら ここ です 。 その 人 は 私 の 連れ合い です が 、 もう 一 月 ばかり 前 に なくなり ました 。」 と 、 おばあ さん は 答え ました 。

二 人 は 思わず 顔 を 見合って 驚き ました 。

「 どうした の だろう 。」 と いって 、 大いに 不思議 がり ました 。 よく おばあ さん に 聞いて み ます と 、 ボン の 死んだ ころ と 、 お じいさん の なくなった ころ と 同じであり ました 。 また 、 先日 正雄 の 家 へ やってきた お じいさん と 、 死んだ お じいさん と は 、 ようす が そっくり 似て いる のであり ました 。 その とき 、 おばあ さん は 、 うなずき な から 二 人 に 向かって 、

「 わかり ました 。 お じいさん は 平常 犬 や 猫 や 鳥 が 大好きであった から 、 きっと その 犬 を つれて 、 いまごろ は 、 極楽 の 路 を 歩いて い なさる のだ 。 坊ちゃん が 、 犬 を かわいがって お やり だった から 、 きっと 犬 が あの 世 から たずねて きた のです よ 。 それ を お じいさん が 迎え に きて 、 また 、 連れて いった のです 。」 と いい ました 。

正雄 も 姉さん も 、 あるいは そう か と 思い ました 。 やがて おばあ さん に 別れ を 告げて 帰る 途 すがら 、 二 人 は ボン の こと を 話し 合い ました 。 ボン は この世 に 生きて いて 、 人情 の ない 人 たち に いじめ られる より か 、 かえって あの 世 に いって 、 しんせつな お じいさん に かわいがら れた ほう が 、 どれほど しあわせである か しれ ない と 語り 合った のであり ま


おじいさんの家 お じいさん の いえ Das Haus des Großvaters Grandfather's house Casa del nonno 할아버지의 집 Dom dziadka 祖父的房子 爺爺的房子

お じいさん の 家 |||いえ Old grandmother's house

小川 未明 おがわ|みめい Ogawa Miki

学校 から 帰る と 正雄 は 、 ボン と 楽しく 遊び ました 。 がっこう||かえる||まさお||ぼん||たのしく|あそび| After returning from school, Masao enjoyed playing with Bonn. ボン は りこうな 犬 で 、 なんでも 正雄 の いう こと は よく 聞き分け ました 。 ぼん|||いぬ|||まさお||||||ききわけ| Bonn is a good dog and I often heard about Masao. ただ もの が いえ ない ばかりであり ました から 、 正雄 の 姉さん も 、 お 母さん も 、 みんな が ボン を かわいがり ました 。 ||||||||まさお||ねえさん|||かあさん||||ぼん||| Ich konnte nichts dazu sagen, also liebten alle, einschließlich Masaos Schwester und Mutter, Bonn. I couldn't say anything about it, so everyone, including Masao's sister and mother, loved Bonn.

ただ 一 つ 困る こと は 、 日 が 暮れて から 、 ボン が ほえる こと で あり ます 。 |ひと||こまる|||ひ||くれて||ぼん|||||| The only problem is that Bonn barks after dark. しかし これ は 犬 の 役目 で 、 夜中 に なに か 足音 が すれば ほえる の に 不思議な こと は あり ませ ん けれど 、 あまり よく ほえ ます ので 近所 で 迷惑 する こと で あり ます 。 |||いぬ||やくめ||よなか||||あしおと||||||ふしぎな||||||||||||きんじょ||めいわく||||| However, this is the role of a dog, and it is not strange to bark if there are any footsteps in the middle of the night, but it is to annoy the neighbors because they bark so well.

「 ボン 、 なぜ そんなに おまえ は ほえる のだ 。 ぼん|||||| "Bonn, why are you so frightened? もう 今夜 から ほえて は なら ん よ 、 ご 近所 で 眠れ ない と おっしゃる じゃ ない か 。」 |こんや||||||||きんじょ||ねむれ|||||| You shouldn't bark from tonight, you said you can't sleep in your neighborhood. " と 、 正雄 の お 母さん が おしかり に なる と 、 ボン は 尾 を 振って 、 じっとり こう そうな 目つき を して 顔 を 見上げて い ました が 、 やはり 、 夜 に なる と 、 家 の 前 を 通る 人 の 足音 や 、 遠く の 物音 など を 聞き つけて 、 あいかわらず ほえた のであり ます 。 |まさお|||かあさん||お しかり||||ぼん||お||ふって|||そう な|めつき|||かお||みあげて|||||よ||||いえ||ぜん||とおる|じん||あしおと||とおく||ものおと|||きき||||| When Masao's mother came to her, Bonn shook his tail and looked up at his face with a gentle look, but again, at night, he passed in front of his house. He heard people's footsteps and distant noises, and he still barked.

正雄 は 、 床 の 中 で 目 を さまして 、 また ボン が ほえて いる が 、 近所 で 迷惑 して いる だろう 。 まさお||とこ||なか||め||||ぼん|||||きんじょ||めいわく||| Masao woke up in the floor, and Bonn was barking, but he would be annoying in the neighborhood. どうしたら いいか と 心配 し ました 。 どう したら|いい か||しんぱい|| Ich machte mir Sorgen, was ich tun sollte. I was worried about what to do. 正雄 は 起きて 戸口 に 出て ボン を 呼び ました 。 まさお||おきて|とぐち||でて|ぼん||よび| Masao got up and went out to the door and called Bonn. すると ボン は 喜んで すぐ に 走って き ました 。 |ぼん||よろこんで|||はしって|| Bonn war froh, sofort zu rennen. Bon was happy and ran immediately. 思いがけなく 夜中 の 寂しい とき に 呼ば れた ので 、 ボン は うれし さ の あまり 、 正雄 に 飛びついて 、 ほお を なめたり 、 手 を なめたり して 喜んだ のであり ます 。 おもいがけなく|よなか||さびしい|||よば|||ぼん||||||まさお||とびついて||||て||||よろこんだ|| He was called unexpectedly at lonely time in the middle of the night, so Bon was so glad that he jumped at Masao and licked his cheeks and his hands.

「 ボン や 、 あんまり ほえる と 、 また 、 いつか の ように ひどい め に あわさ れる から 、 黙って いる んだ ぞ 。 ぼん||||||||||||あわ さ|||だまって||| "I'm silent when you're bonking, or if you bark so much, you'll be terribly disturbed someday. 夜 が 明けたら いっしょに 散歩 に ゆく から 、 おとなしく して おれ 。」 よ||あけたら||さんぽ|||||| I will go for a walk together at dawn, so stay calm. " と 、 正雄 は ボン の 頭 を なで ながら よく いいきかせ ました 。 |まさお||ぼん||あたま||な で|||| Masao stroked the head of Bonn well. そうして また 、 正雄 は 床 の 中 に 入って 眠り ました 。 ||まさお||とこ||なか||はいって|ねむり| And again, Masao went into the floor and slept.

その後 でも 、 おそらく ボン は ほえた か しれ ませ ん 。 そのご|||ぼん|||||| Even after that, you probably could have barred Bonn. けれど 正雄 は よく 眠って しまい ました から 、 なにごと も 知ら なかった のであり ます 。 |まさお|||ねむって||||||しら||| Masao schlief jedoch gut ein, sodass er nichts davon wusste. However, Masao slept well, so he did not know anything.

朝 起きる と 正雄 は 、 戸口 に 出て ボン を 呼び ました 。 あさ|おきる||まさお||とぐち||でて|ぼん||よび| Waking up in the morning, Masao went out to the door and called Bonn. ボン は 、 さっそく そば に やってき ました けれど 、 どうした こと か いつも の ように 元気 が なかった のであり ました 。 ぼん||||||||||||||げんき|||| Bon had just arrived by his side, but he wasn't as energetic as usual.

ボン は 病気 に かかって いる ように 見え ました 。 ぼん||びょうき|||||みえ| Bonn appeared to be ill. 正雄 を 見 ます と 、 いつも の ように 尾 を 振り ました けれど 、 すぐ に ぐたり と なって 地面 に 腹ばい に なって しまい ました 。 まさお||み||||||お||ふり|||||ぐ たり|||じめん||はらばい|||| When I looked at Masao, he shook his tail as usual, but he quickly fell asleep on the ground. そうして 、 苦し そうな 息づかい を して い ました 。 |にがし|そう な|いきづかい|||| He was breathing painfully. 口笛 を 吹き まして も 、 ついて くる 気力 が もう ボン に は なかった のであり ます 。 くちぶえ||ふき|||||きりょく|||ぼん||||| Even though he whistled, the energy to follow was no longer in Bonn.

正雄 は 驚いて 、 家 の 中 へ 入って 、 まさお||おどろいて|いえ||なか||はいって Masao was surprised and went inside the house,

「 ボン が 病気 です よ 。」 ぼん||びょうき|| Bonn is sick. と 、 お 母さん や 、 姉さん に 告げ ました 。 ||かあさん||ねえさん||つげ| I told my mother and my sister.

そこ で 、 みんな が 外 に 出て み ます と 、 ボン は 脇腹 の あたり を せわし そうに 波立て 、 苦しい 息 を して い ました 。 ||||がい||でて||||ぼん||わきばら|||||そう に|なみだて|くるしい|いき|||| Then, when everyone went outside, Bonn was rippling around the side of his flank and was breathing a bitter breath. そうして 、 もう 呼んで も 、 起き上がって 尾 を 振る こと も でき なかった のであり ます 。 ||よんで||おきあがって|お||ふる|||||| And he couldn't get up and shake his tail anymore.

「 あんまり 、 おまえ が ほえる もの だ から 、 だれ か に 悪い もの を 食べ させ られた のだ よ 。」 ||||||||||わるい|||たべ|さ せ||| "So much, because you bark, someone made you eat something bad." と 、 お 母さん は 、 ボン の 頭 を なでて 、 いたわり ながら いわ れ ました 。 ||かあさん||ぼん||あたま||||||| Was stroking the head of Bonn, and said, "Carefully."

姉さん は 、 ボン の 苦しむ の を 見て かわいそうに 思って 、 さっそく 獣医 の もと へ ボン を 車 に 乗せて 連れて いこう と いい ました 。 ねえさん||ぼん||くるしむ|||みて||おもって||じゅうい||||ぼん||くるま||のせて|つれて|||| She was sorry to see Bonn suffering, and told her to take her to a vet at once. お 母さん も それ が いい と いう ので 、 正雄 は 車 を 迎え に ゆき ました 。 |かあさん||||||||まさお||くるま||むかえ||| Masao also picked up the car because his mother liked it too. そのうち 車 が き ました ので 、 ボン を 乗せて 、 姉さん と 正雄 は ついて ゆき ました 。 その うち|くるま|||||ぼん||のせて|ねえさん||まさお|||| One day, a car arrived, so I put a bon on it, and my sister and Masao followed me.

獣医 の もと へ いって み ます と 、 ほか に も たくさんの 、 病気 の 犬 や 猫 が 入院 して い ました 。 じゅうい||||||||||||びょうき||いぬ||ねこ||にゅういん||| When I went to the veterinarian, there were many other sick dogs and cats in the hospital. ほか の 病気 の 犬 は 、 檻 の 中 から 、 くび を かしげて 、 新たに きた 患者 を ながめて い ました 。 ||びょうき||いぬ||おり||なか|||||あらたに||かんじゃ|||| The other sick dog was looking out of the cage and yawning at the new patient. 獣医 は さっそく ボン の 診察 に かかり ました 。 じゅうい|||ぼん||しんさつ||| The veterinarian immediately examined Bonn.

診察 の 結果 は 、 お 母さん の いわ れた とおり 、 だれ か に 毒 の 入った 食物 を たべ させ られた のだろう と いう こと です 。 しんさつ||けっか|||かあさん||||||||どく||はいった|しょくもつ|||さ せ|||||| The result of the consultation is that, as the mother said, someone had eaten poisoned food. 医者 は ボン の 体 を 子細に 検 べ て い ました が 、 後足 に ついて いる 傷痕 を 指さして 、 いしゃ||ぼん||からだ||しさいに|けん||||||あとあし||||きずあと||ゆびさして The doctor was examining Bonn's body in detail, pointing to a scar on his hind legs.

「 この 傷 は 、 いつ つけた のです か 。」 |きず||||| "When did you make this wound?" と 聞き ました 。 |きき| I heard.

「 その 傷 は 二 、 三 か月 前 に 、 やはり だれ か に いじめ られて つけた ので ございます 。 |きず||ふた|みっ|かげつ|ぜん|||||||||| "A few months ago, the wound was still bullied by someone. なにしろ 、 夜 に なる と よく ほえ ます ので 、 近所 から 憎ま れて い ます もん です から 。」 |よ||||||||きんじょ||にくま|||||| After all, I often hate it at night, so I hate it from my neighborhood. " と 、 姉さん は 答え ました 。 |ねえさん||こたえ| Replied, Unnie answered.

ボン の 後足 に は 、 かなり 大きな 傷 が ついて い ました 。 ぼん||あとあし||||おおきな|きず|||| Bon had a fairly large wound on his hind legs.

「 ボン は 助かり ましょう か 。」 ぼん||たすかり|| "Can Bon be saved?" と 、 正雄 は 心配 し ながら 獣医 に 聞き ました 。 |まさお||しんぱい|||じゅうい||きき| Asked Masao, worried,.

「 さあ 手 を 尽くして み ます が 、 そのへん の こと は わかり かね ます 。」 |て||つくして|||||||||| "I'll do my best, but I don't understand that." と 、 不安な 顔つき を して 獣医 は 答え ました 。 |ふあんな|かおつき|||じゅうい||こたえ| The veterinarian answered with an anxious look.

その うち に ボン は 、 しだいに 気力 が 衰えて ゆき ました 。 |||ぼん|||きりょく||おとろえて|| In the meantime, Bonn gradually lost his energy. 正雄 や 、 姉さん が その 名 を 呼び ました けれど 、 しまい に は 、 まったく その 声 が ボン に は 聞こえ ない ように なり ました 。 まさお||ねえさん|||な||よび||||||||こえ||ぼん|||きこえ|||| Masao and her sister called her name, but in the end Bonn couldn't hear it at all. そうして 、 薬 を のま したり 、 手当 を したり し たかい も なく 、 とうとう ボン は 目 を 閉じた まま 死んで しまい ました 。 |くすり||||てあて||||||||ぼん||め||とじた||しんで|| So Bonn eventually died with his eyes closed, without wanting to take any medicine or take any allowances.

正雄 は 悲しみ ました 。 まさお||かなしみ| 姉さん も 目 を しめら して 悲しみ ました 。 ねえさん||め||||かなしみ| My sister was also saddened with a narrowing of the eyes. そうして 、 ボン を また 車 に 乗せて 家 へ 帰り ました 。 |ぼん|||くるま||のせて|いえ||かえり| Then we put Bonn in the car again and headed home. ボン が 死んだ と いう こと を 聞か れて 、 お 母 ん も 悲しま れ ました 。 ぼん||しんだ|||||きか|||はは|||かなしま|| My mother was saddened to hear that Bonn was dead.

二 みんな は 相談 を して 、 ボン を ていねいに お 寺 の 墓地 へ 葬り ました 。 ふた|||そうだん|||ぼん||||てら||ぼち||ほうむり| そうして 、 坊さん に 頼んで お 経 を 読んで やり ました 。 |ぼうさん||たのんで||へ||よんで|| その 当座 、 正雄 は ボン が い なく なった ので さびしくて なり ませ ん でした 。 |とうざ|まさお||ぼん|||||||||| In the meantime, Masao was not lonely because Bonn was gone. 朝 起きて も 、 学校 から 帰って きて も 、 飛びついて 自分 を 迎えて くれる もの が なくなり 、 また いっしょに 散歩 を する もの が なくなった と 思う と 、 いま まで の ように 楽しみ が なかった のであり ます 。 あさ|おきて||がっこう||かえって|||とびついて|じぶん||むかえて|||||||さんぽ|||||||おもう||||||たのしみ|||| Even if I wake up in the morning or come back from school, there was nothing left to jump in and greet me, and I thought that there were no more things to walk with, so I had no fun as ever. .

こうして 、 は や 幾 日 かたって しまい ました 。 |||いく|ひ||| 正雄 は 、 ボン の こと を いま まで ほど 思い出さ なく なり ました 。 まさお||ぼん|||||||おもいださ||| Masao no longer remembers Bonn.

ある 日 の こと 、 戸口 から 尾 を 振り ながら 入って きた 犬 が あり ます 。 |ひ|||とぐち||お||ふり||はいって||いぬ||| One day, a dog came through the door, wagging its tail. なんの 気 なし に 、 その 犬 を 見 ます と 、 正雄 は 驚いて 声 を あげ ました 。 |き||||いぬ||み|||まさお||おどろいて|こえ||| When he looked at the dog without any worries, Masao shouted and shouted.

「 あ 、 ボン が 帰って きた 。 |ぼん||かえって| ボン が 帰って きた 。」 ぼん||かえって|

と 、 つづけざま に いい ました ので 、 みんな は びっくり して 、 その ほう を 見 ます と 、 なるほど 、 ボン が 帰って きた のであり ました 。 |||||||||||||み||||ぼん||かえって||| Everyone was surprised and looked at him, and indeed, Bonn came back.

「 どうして ボン が 帰って きたろう 。」 |ぼん||かえって| "Why is Bonn back?" と 、 お 母さん は 不思議 がら れ ました 。 ||かあさん||ふしぎ||| , My mother was wondering.

「 死んだ ボン が 、 どうして 生きて きた のでしょう ね 。」 しんだ|ぼん|||いきて||| "Why did the dead Bonn live?" と 、 姉さん も びっくり して いい ました 。 |ねえさん||||| She was surprised.

正雄 は 、 すぐさま 戸口 に 走り 出て 、 ボン を 見よう と し ました 。 まさお|||とぐち||はしり|でて|ぼん||みよう||| Masao immediately ran into the doorway and tried to see Bonn. ボン は 喜んで 正雄 の 足 もと に すりよって き ました 。 ぼん||よろこんで|まさお||あし||||| Bong happily rubbed himself against Masao's feet. 正雄 は 夢中に なって 、 ボン の 頭 や 脊 中 を なでた のであり ます 。 まさお||むちゅうに||ぼん||あたま||せき|なか|||| Masao became absorbed in stroking Bon's head and spine.

「 しかし 、 死んだ 犬 が 、 生きて くる はず が ないで す ねえ 、 お 母さん 。」 |しんだ|いぬ||いきて||||||||かあさん "But a dead dog can't come alive, hey, mom." と 、 姉さん は いい ました 。 |ねえさん|||

「 私 も そう 思う よ 。 わたくし|||おもう| "I think so too. ああして 死んで お 寺 に 埋めて しまった のじゃ ない か 。 |しんで||てら||うずめて|||| I think he died and buried it in the temple. それ が どうして 生きて きた んでしょう 。」 |||いきて|| Why did it come alive? " と 、 お 母さん も 不思議 がって い られ ました 。 ||かあさん||ふしぎ|||| My mother was also wondering.

けれど 、 その 形 から 、 毛 の 色 から 、 どこまでも ボン と 変わり が あり ませ ん でした 。 ||かた||け||いろ|||ぼん||かわり||||| However, from its shape, its hair color, it was no different from Bonn. 正雄 は 、 たしかに ボン が 帰って きた のだ と 思い ました から 、 まさお|||ぼん||かえって||||おもい|| Masao thought that Bonn had indeed returned,

「 だって 、 ちっとも ボン と 変わり が ない じゃ あり ませ ん か 。 ||ぼん||かわり||||||| "Why isn't it exactly the same as Bonn? どうしても これ は ボン です 。」 |||ぼん| This is Bonn by all means." と 正雄 は いいはり ました 。 |まさお||| Masao said.

「 ボン は 後足 に 傷痕 が あった はずだ から 、 そん なら 検 べ て みれば わかる でしょう 。」 ぼん||あとあし||きずあと|||||||けん||||| "Bon should have had scars on his hind legs, so you'll know if you look at it." と 、 姉さん は いい ました 。 |ねえさん|||

正雄 は 、 犬 を 抱く ように して 、 その 犬 の 後足 を 検 べ て い ました が 、 急に 大きな 声 を たてて 、 まさお||いぬ||いだく||||いぬ||あとあし||けん||||||きゅうに|おおきな|こえ|| Masao was holding the dog and examining its hind legs, but suddenly he was shaking his head,

「 これ 、 こんなに 後足 に 傷痕 が あり ます 。」 ||あとあし||きずあと||| Here, there's such a scar on her hind leg. と 叫び ました 。 |さけび| I shouted, "I'm not going to let them get away with that! お 母さん も 、 姉さん も 、 みんな そば に きて 、 それ を 見て 、 びっくり し ました 。 |かあさん||ねえさん||||||||みて||| I was so surprised to see my mother and sister standing by my side.

「 まあ 、 どうして ボン が 生きかえって きたろう ……。」 ||ぼん||いきかえって| "Well, why did Bonn come back to life ..."

と 、 不思議 がり ました 。 |ふしぎ|| I was wondering.

とにかく 、 ボン が 帰って きた のだ と いう ので 、 肉 を やったり 、 ご飯 を やったり 、 お 菓子 を やったり 、 ボン が 好きであった もの を やったり して 、 家 じゅう は 急に にぎやかに なった のであり ました 。 |ぼん||かえって||||||にく|||ごはん||||かし|||ぼん||すきであった|||||いえ|||きゅうに|||| Anyway, Bon is back, so he cooked meat, cooked rice, baked sweets, and did anything he liked, and the whole house was suddenly lively. It was. そうして 、 正雄 は 、 また 明日 から 朝 早く 起きて いっしょに 散歩 を し 、 学校 から 帰って きて も いっしょに 散歩 する こと の できる の を 喜んだ のであり ます 。 |まさお|||あした||あさ|はやく|おきて||さんぽ|||がっこう||かえって||||さんぽ|||||||よろこんだ|| Then Masao was pleased to be able to get up early in the morning and take a walk with him from tomorrow, and to take a walk with him when he came back from school.

する と その 日 の 晩 方 の こと で あり ました 。 |||ひ||ばん|かた||||| Then it was the evening of the day. 白い ひげ の 生えた お じいさん が 戸口 を 入って きて 、 しろい|||はえた||||とぐち||はいって| An old man with a white beard entered the doorway,

「 あ 、 ここ に 家 の 犬 が きて いた か 。 |||いえ||いぬ|||| "Oh, was there a dog at home here? さあ 、 こい 、 こい 。」 Come on, come on, come on. " と いって 、 ボン を 呼び ました 。 ||ぼん||よび| and called Bonn. し ます と 、 いま まで 、 正雄 の そば に 喜んで いた 犬 が 急に 立って 、 お じいさん の ほう へ 走って ゆき ました 。 |||||まさお||||よろこんで||いぬ||きゅうに|たって||||||はしって|| Then, the dog that had been happily standing by Masao's side suddenly stood up and ran toward his grandfather. 正雄 は 驚いて 、 まさお||おどろいて Masao was surprised,

「 あ 、 この 犬 は 僕 の 家 の 犬 です よ 。 ||いぬ||ぼく||いえ||いぬ|| Oh, this dog is my family's dog. 連れて いって は いけ ませ ん 。」 つれて||||| Don't take me. " と 、 正雄 は お じいさん に 向かって い い ました 。 |まさお|||||むかって||| Masao was heading for his grandfather.

「 は は は は 、 この 犬 は 私 の 家 の 犬 じゃ 、 それ は 坊 の 思い違い じゃ 、 これ この とおり 、 私 に ついて くる じゃ ない か 。」 |||||いぬ||わたくし||いえ||いぬ||||ぼう||おもいちがい|||||わたくし|||||| "Hahahaha, this dog is a dog in my house, it 's a misunderstanding of a bob. と 、 お じいさん は 笑って 答え ました 。 ||||わらって|こたえ| The grandfather answered with a smile.

「 いいえ 、 どうしても それ は 僕 の 家 の 犬 です から 、 連れて いって は いけ ませ ん 。」 ||||ぼく||いえ||いぬ|||つれて||||| No, by all means, you can't take that dog away because it's my dog. と 、 正雄 は 、 あくまでも いいはり ました 。 |まさお|||| Masao was just fine.

「 は は は 、 困った 坊 だ 。」 |||こまった|ぼう| "Hahaha is a troubled boy." と 、 お じいさん は 笑って い ました 。 ||||わらって|| My grandfather laughed.

その とき 、 お 母さん は 出て こ られて 、 正雄 に 向かい 、 |||かあさん||でて|||まさお||むかい At that moment, Mom came out and turned to Masao,

「 家 の ボン は 、 この あいだ 死んだ のじゃ ない か 。 いえ||ぼん||||しんだ||| "Isn't Bon in the house dead during this time? やはり この 犬 は 、 お じいさん の 家 のです よ 。 ||いぬ|||||いえ|| After all, this dog is the grandfather's house. そんな 聞き分け の ない こと を いう もの で ない 。」 |ききわけ|||||||| It does not mean that there is no such distinction. " と 、 しから れ ました 。 |し から|| He was scolded. 正雄 も 、 なるほど と 思い ました 。 まさお||||おもい| Masao also thought, "I see.

「 私 は 、 何 町 、 何 番地 の だれ と いう もの じゃ 。 わたくし||なん|まち|なん|ばんち|||||| "I am who in what town and at what address. 今度 の 日曜 に でも 坊 は 遊び に おい で 。」 こんど||にちよう|||ぼう||あそび||| Even on the next Sunday, the boy came to play. " と 、 お じいさん は 立ち 去る とき に いい ました 。 ||||たち|さる|||| Said the old man when he left. そうして 、 つえ を ついて 門口 を 出 ます と 、 ボン は お じいさん の 後 に ついて 、 さっさと いって しまった のであり ます 。 ||||かどぐち||だ|||ぼん|||||あと||||||| Then, when he walked out of the gate with the staff, Bonn went after his grandfather and went quickly. みんな は 不思議に 思って 、 その 後ろ姿 を 見送り ました 。 ||ふしぎに|おもって||うしろすがた||みおくり| Everyone was wondering and looked back.

三 正雄 は 姉さん と いっしょに 、 お じいさん の 家 へ たずねて いって みよう と 話し 合い ました 。 みっ|まさお||ねえさん||||||いえ||||||はなし|あい| Ms. Masao talked with her sister to visit his grandfather's house. やがて 日曜日 に なり まして 、 その 日 の 朝 から よい お 天気 で あり ました から 、 正雄 は 姉さん と 、 お じいさん の 家 へ 出かけ ました 。 |にちようび|||||ひ||あさ||||てんき|||||まさお||ねえさん|||||いえ||でかけ| Soon it was Sunday, and the weather was fine from the morning of that day, so Masao went to her sister and grandfather's house. お じいさん の 家 は 町 の 端 に なって い まして 、 その辺 は 圃 や 、 庭 が 広う ございまして 、 なんとなく 田舎 へ いった ような 趣 が あり ました 。 |||いえ||まち||はし|||||そのへん||ほ||にわ||ひろう|||いなか||||おもむき||| His grandfather's house was on the edge of the town, and there were many fields and gardens around it, making him feel like going to the countryside.

お じいさん の 家 は ちょっと わかり にくう ございました 。 |||いえ||||| My grandfather's house was a little confusing. 二 人 は 番地 を 探して 、 あちら で 聞き 、 こちら で 聞き いたし ました 。 ふた|じん||ばんち||さがして|||きき|||きき|| They looked for the house number, listened there, and listened here. そうして 、 やっと その 家 を 探しあてる こと が できた のです 。 |||いえ||さがしあてる|||| Finally, I was able to find the house.

その 家 は 珍しい わら 家 で あり ました 。 |いえ||めずらしい||いえ||| The house was a rare straw house. 日 の 光 が ほこ ほこ と 暖か そうに 屋根 の 上 に 当たって い ました 。 ひ||ひかり|||||あたたか|そう に|やね||うえ||あたって|| The light of the sun was shining warmly on the roof. 鶏 が 圃 で 餌 を 探して 歩いて いたり 、 はと が 地面 に 降りて 群がって 遊んで いた りし まして 、 まことに のどかな 景色 で あり ました 。 にわとり||ほ||えさ||さがして|あるいて||||じめん||おりて|むらがって|あそんで||||||けしき||| The hens were walking in the field looking for food, and the pigeons descended on the ground and swarmed around, and the scenery was truly peaceful.

「 まあ 、 ほんとうに いい ところ です こと 。」 Well, it really is a nice place. と 、 姉さん は 感心 して い い ました 。 |ねえさん||かんしん|||| She was impressed.

「 ボン は いる か しら ん 。」 ぼん||||| "I wonder if there is a bon." と 、 正雄 は いって 口笛 を 吹いて み ました 。 |まさお|||くちぶえ||ふいて|| Said Masao and whistled. けれど 、 ボン は どこ から も 走って き ませ ん でした 。 |ぼん|||||はしって|||| However, Bonn did not run from anywhere. どこ か へ 遊び に いって いる のだろう と 思って 、 二 人 は 、 その 家 の 門 を 入り ました 。 |||あそび||||||おもって|ふた|じん|||いえ||もん||はいり| Thinking they were going somewhere to play, they entered the gate of the house.

ちょうど 日当たり の いい 縁側 に 、 おばあ さん が すわって 、 下 を 向いて 、 ぷう ぷう と 糸 車 を まわして 糸 を 紡いで い ました 。 |ひあたり|||えんがわ||||||した||むいて||||いと|くるま|||いと||つむいで|| Just on the sunny side, the grandmother sat down, turning down and spinning the spinning wheel to spin the yarn. 二 人 は 、 その 音 を 聞く と 、 たいへんに 遠い 田舎 へ でも いって いる ような 気 が した のであり ます 。 ふた|じん|||おと||きく|||とおい|いなか||||||き|||| When they heard the sound, they felt like they were going to a very remote countryside. おばあ さん は 耳 が すこし 遠い ようであり ました 。 |||みみ|||とおい|| The aunt seemed to be a little distant. で 、 二 人 の 入って きた の を すこしも 知り ませ ん でした 。 |ふた|じん||はいって|||||しり||| I had never heard of them before, so I did not know they had come in.

「 ここ が お じいさん の 家 だろう か ? |||||いえ|| "Is this my grandfather's house? 」 と 、 正雄 は 姉さん に 向かって い い ました 。 |まさお||ねえさん||むかって||| Masao was heading for her sister.

「 おばあ さん に たずねて み ましょう 。」 "Let's ask your grandmother." と 、 姉さん は いって 、 おばあ さん の そば へ ゆき ました 。 |ねえさん||||||||| And then she went to her grandmother's side. おばあ さん は はじめて 、 人 の きた のに 気 が ついた ようす で あり ました 。 ||||じん||||き|||||| For the first time, the aunt seemed to notice the arrival of a person. 姉さん は 、 お じいさん の 姓 と 名 と を いって 、 ねえさん|||||せい||な||| Unnie said his grandfather 's first and last name,

「 この お家 で ございます か 。」 |おいえ||| "Are you in this house?" と 、 おばあ さん に 聞き ます と 、 おばあ さん は 、 糸 車 を まわす 手 を やめて 、 つくづく と 姉さん と 正雄 の 顔 を ながめ ながら 、 ||||きき||||||いと|くるま|||て|||||ねえさん||まさお||かお||| Asked the grandmother, the grandmother stopped turning the spinning wheel.

「 おまえ さん たち は 、 どこ から おい で に なり ました 。 "Where did you come from? 私 は 、 ちっとも 見覚え が ない が 。」 わたくし|||みおぼえ||| I don't recognize it at all. " と 、 おばあ さん は 答え ました 。 ||||こたえ| She replied, "I'm not sure I'm going to be able to do that.

そこ で 、 二 人 は 、 先日 お じいさん が 犬 を 連れて 帰った こと を 、 お は あさ んに よく わかる ように 子細に 語り ます と 、 おばあ さん は 、 やはり 、 ふ に 落ち ぬ ような 顔つき を して 、 ||ふた|じん||せんじつ||||いぬ||つれて|かえった||||||||||しさいに|かたり|||||||||おち|||かおつき|| There they talked in detail so that they could easily understand that the grandfather had brought the dog the other day. do it ,

「 多分 、 それ は 家 が ちがい ます よ 、 そんな はず が ない から 。」 たぶん|||いえ||||||||| "Maybe it's a different house, it can't be." と 、 おばあ さん は いい ました 。 She said, "I'm not sure I'm going to be able to do it.

「 じゃ 、 同じ 番地 に 、 こういう お じいさん は 住んで い ませ ん か 。」 |おなじ|ばんち||||||すんで|||| "Then, aren't such grandfathers living at the same address?" と 、 正雄 は 聞き ます と 、 |まさお||きき||

「 その お じいさん の 家 なら ここ です 。 ||||いえ||| "This is the old man's house. その 人 は 私 の 連れ合い です が 、 もう 一 月 ばかり 前 に なくなり ました 。」 |じん||わたくし||つれあい||||ひと|つき||ぜん||| The man is my companion, but she disappeared just a month ago. " と 、 おばあ さん は 答え ました 。 ||||こたえ| She replied, "I'm not sure I'm going to be able to do that.

二 人 は 思わず 顔 を 見合って 驚き ました 。 ふた|じん||おもわず|かお||みあって|おどろき| They were surprised to see each other's faces.

「 どうした の だろう 。」 "What happened?" と いって 、 大いに 不思議 がり ました 。 ||おおいに|ふしぎ|| But I was very surprised. よく おばあ さん に 聞いて み ます と 、 ボン の 死んだ ころ と 、 お じいさん の なくなった ころ と 同じであり ました 。 ||||きいて||||ぼん||しんだ|||||||||おなじであり| When I asked my grandmother, it was the same as when Bonn died and when his grandfather died. また 、 先日 正雄 の 家 へ やってきた お じいさん と 、 死んだ お じいさん と は 、 ようす が そっくり 似て いる のであり ました 。 |せんじつ|まさお||いえ||||||しんだ||||||||にて||| In addition, the grandfather who came to Masao's house the other day and the dead grandfather were very similar. その とき 、 おばあ さん は 、 うなずき な から 二 人 に 向かって 、 ||||||||ふた|じん||むかって At that time, the grandmother nodded to them,

「 わかり ました 。 I understand. お じいさん は 平常 犬 や 猫 や 鳥 が 大好きであった から 、 きっと その 犬 を つれて 、 いまごろ は 、 極楽 の 路 を 歩いて い なさる のだ 。 |||へいじょう|いぬ||ねこ||ちょう||だいすきであった||||いぬ|||||ごくらく||じ||あるいて||| My grandfather loved normal dogs, cats and birds, so I guess she would take her and walk along the paradise. 坊ちゃん が 、 犬 を かわいがって お やり だった から 、 きっと 犬 が あの 世 から たずねて きた のです よ 。 ぼっちゃん||いぬ||||||||いぬ|||よ||||| The boy was petting his dog, so he must have been asking him since that time. それ を お じいさん が 迎え に きて 、 また 、 連れて いった のです 。」 |||||むかえ||||つれて|| と いい ました 。

正雄 も 姉さん も 、 あるいは そう か と 思い ました 。 まさお||ねえさん||||||おもい| Both Masao and Unnie thought it was so. やがて おばあ さん に 別れ を 告げて 帰る 途 すがら 、 二 人 は ボン の こと を 話し 合い ました 。 ||||わかれ||つげて|かえる|と||ふた|じん||ぼん||||はなし|あい| Eventually, as they said goodbye to their grandmother and returned home, they talked about Bonn. ボン は この世 に 生きて いて 、 人情 の ない 人 たち に いじめ られる より か 、 かえって あの 世 に いって 、 しんせつな お じいさん に かわいがら れた ほう が 、 どれほど しあわせである か しれ ない と 語り 合った のであり ま ぼん||このよ||いきて||にんじょう|||じん|||||||||よ|||||||||||||||||かたり|あった|| Bon said that living in this world and how much better it would be to be bullied by those who have no humanity, but rather to go to that world and be treated by a lascivious grandfather. Ma