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盾の勇者成りがり02, 盾の勇者の成り上がり2 Chapter 18

盾 の 勇者 の 成り 上がり 2 Chapter 18

十八 話 疫病 の 村 その 日 は 野宿 と なった 。

食料 を 満載 した 荷車 を 引いた まま だ 。 これ は 食いしん坊 鳥 の エサ と 割り切ろう 。

色々 と 巡回 して いる と 、 北 の 方 でも 飢饉 が あった らしい 。 後 で また 南西 の 村 に 寄って 食料 を 分けて もらう か 。 在庫 処分 に 困って いる ようだ し 、 高く 売れる だ ろ 。

「 ごっは ー ん ! 」 布 を 被せた 荷車 に 頭 を 入れて 中身 を 貪る 鳥 。 「 お ー いす ぃ ー い ぃ ! 」 どっか で 聞いた こと の ある フレーズ だ 。 フィーロ は 急 成長 が 終わって いる の に 大食 漢 な んだ よ 。 日々 の 食費 が 馬鹿に なら ない 。 その代わり に 移動 は 異様に 速く 済む 。 けれど 色々 と 無 茶 を して いる 所 せ 為 い で 馬車 が すぐに 壊れる 。

「 どうした もの か 」

この際 、 木製 で は なく 金属 製 に する か な 。 フィーロ が 軽い 軽い うるさい し 。 でも 耐久 性 を 考える と 、 かなり 高く つき そうだ 。

ラフタリア は 乗り物酔い を 克服 した けど 、 フィーロ の 全速力 だ と 同乗 する 客 が 凄 すごい 勢い で リバース する んだ よ な 。 スプリング と か を 入れ させて ショック を 緩和 する の も 良い かも 。

最近 で は かなり 金 が 貯まって きて いる 。 武器 屋 の 親父 に 会う の が 楽しみだ 。

この 国 を 回って みて わかる の は 、 やはり 城下町 の 武器 屋 が 一 番 良い 物 を 売って いる 。 他の 勇者 が どこ で 武器 防 具 を 買って いる か 知ら ない が 、 俺 が 回った 町 や 村 で は 、 親父 の 店 より も 良い 装備 は 売って いない 。 「 ご しゅじん さま ー 」

も ふ …… フィーロ の 羽毛 が 俺 に 伸し掛かって くる 。

「 え へ へ ー 」

「 む う ……」

ラフタリア が 何故 か 俺 に 引っ付く ように 座る 。

「 へ へ へ 、 みんな で ポカポカ 」

「 俺 は 暑い ……」

「 フィーロ 、 離れ なさい 。 アナタ が 離れれば 丁度 よく なります 」 「 や ー 、 ラフタリア お 姉ちゃん が 離れれば 良い んだ よ 。 ご しゅじん さま を 独り占め よく ない 」

「 独り占め してません ! 」 「 さっさと 寝ろ 。 お前 等 ! 」 「 そんな ー ……」 「 一緒に 寝よう よ ー ご しゅじん さま ー 」

「 俺 は 東 の 地域 に 到着 する 前 に 薬 を 作って おか なきゃ いけない んだ よ 」

在庫 の 治療 薬 だけ で は 間に合わ ない の を 見越して 、 大量に 手 に 入った 薬草 で 鋭 意 調合 中 だ 。 それ でも 足りる か わから ない の が 痛い なぁ …… これ が 行商 の 難点 だ 。

「 ぶ ー ……」

フィーロ は むくれ ながら 俺 から 離れて 外 で 眠る 。

同時に ラフタリア も 馬車 の 中 に 入った 。 地べた で 寝る より 寝心地 が 良い から だろう 。

「 さて 」

俺 は 火 の 番 を し ながら 治療 薬 の 調合 を 続ける 。

「 ナオフミ 様 」

「 ん ? 」 ラフタリア の 声 に 馬車 の 方 を 見る 。 すると ラフタリア が 馬車 の 中 から 手招き して いる 。

「 どうした ? 」 「…… 一緒に 寝ません か ? 」 「 お前 も か …… まったく 、 寂し がり 屋 だ な 。 また 怖い 夢 でも 見た の か ? 」 以前 は 誰 か が 傍 に いない と 夜泣き する ほど だった から な 。 …… それ は 両親 を 酷 い 失い 方 を した トラウマ から なんだろう が 。

「 ち 、 違います ! 」 否定 して いる が 見た目 は 大人 でも 中身 は 子供 。 親 恋しくて 寂しい のだろう 。

「 イヤ か ? なら フィーロ を 人 型 に して 添い 寝 して もらえば 良い だ ろ 」

「 寂しい と か じゃ なくて …… その ……」 ラフタリア は なんか 俯いて 恥ずかし そうに 呟く 。 そう いえば いつの間にか 夜泣き を し なく なった よ なぁ …… アレ から 随分 経った 気 も する 。

「 ナオフミ 様 は 元 の 世界 に …… 好きな 人 と か …… いる んです か ? 」 「 は ? 別に いない ぞ 」 一体 何の 話 が したい と いう のだ 。 意図 が 掴め ない 。

「 いきなり どうした ん だ ? 」 「 いえ …… ナオフミ 様 は 私 の 事 を どう 思って いる の か な と 」 は ? う ー む …… なんか ビッチ が 頭 に 浮かんで きて ムカムカ する が 、 ラフタリア に 怒る 理由 は ない 。 なんで ビッチ が こんな 時 に 浮かぶ の か 、 俺 自身 不明だ 。

「 奴隷 と いう 立場 で 無理 を さ せて しまって いる 」

「 その …… それ 以外 で は ? 」 「 親 代わり と して 立派に 育てよう と 思って いる 」 首 を 傾げ ながら 答える 俺 に 、 ラフタリア は なんとも 微妙な 顔 を する 。

「 俺 を 信じて くれて いる から な 。 俺 も お前 を 娘 の ように 大切に して いる 」

付き合い 自体 は そこ まで 長く ない が 、 俺 は ラフタリア が 大きく なる 前 から 知っている 。

さっき も 思った が 、 外見 こそ 大人 だ が 、 まだまだ 精神 的に は 子供 な んだ 。 無理 を して 大人 振ろう と して いる が 、 誰 か が 守って やら なければ 耐えられ なく なる 事 も ある だろう 。 「 は 、 はい ! って 、 あれ !? なんか おかしく ない です か ? 」 「 おかしく ない 。 明日 も ある し 、 しっかり と 休んで おけ 」

「 は ぁ ……」

笑顔 で 頷く ラフタリア だ けど 、 何 か 疑問 を 持った ように 首 を 傾げ つつ 、 馬車 の 中 の 寝床 に 戻った 。

俺 は 次の 行商 の ため に 作業 を 続行 する 。

ちなみに ここ 最近 の 行商 時 に 起こる 戦い に よって 、 それぞれ Lv が 上がって きて いる 。

俺 Lv 37 ラフタリア Lv 39 フィーロ Lv 38 フィーロ に すら 抜か れた 。 俺 の Lv アップ は 相当 遅い の か ?

いや 、 二 人 は アタッカー だ 。 特に フィーロ は ラフタリア より も 高い 俊 敏 性 で 敵 を 瞬 殺 する 。 だから 上がり も 早い のだろう 。 ラフタリア も 負け じ と 俺 の 指示 を 無視 して 前 に 出る が 、 フィーロ の 速度 に 追いつけ ない のだ 。

「 ご しゅじん さま ー 」

「 どうした ? フィーロ 」

薬 を 調合 して いる と 、 フィーロ が 寝ぼけ 眼 で 人 の 姿 に なり 、 背 を 預けて くる 。

「 ご しゅじん さま は まだ 眠く ない の ー ? 」 「 まだ 行商 用 の 薬 の 調合 が 済んで いない んだ 。 それ が 終わったら 寝る 」

「 そっか ー ……」 「 お前 は ゆっくり 休めよ 。 なんだか んだ で 一 番 大変な んだ から な 」

馬車 を 引く の が 好き と は いって も 、 重 労働 である の は 変わら ない 。 フィーロ 自身 は 楽だ と 言う が 、 健康 面 を 考え ない と 危険だろう 。

「 一 人 で 起きて て 寂しく ない の ? 」 「 認識 の 違いだな 。 お前 等 の 寝顔 を 見て いる 分 に は 寂しく なんか ない 」

「 そう な んだ ? え へ へ 」

嬉し そうに 言う フィーロ 。 なんか 元気 が ない な 。 いや 、 気のせい かも しれ ない が 。

「 どうした ? 」 「 ご しゅじん さま が ー …… フィーロ の 寝顔 を 見て 寂しく ない なら 良い の ー 」 訳 が わから ない な 。

「 あの ね 。 ご しゅじん さま は 、 フィーロ を どんな 気持ち で 選んで くれた の ? 」 「 は ? 」 別に 、 特に 考え も なく 無作為に 選んだ もの だ が 。 と いう か 別に 外れ で も 良い と いう 感覚 で 卵 を 選んだ 。

「 フィーロ ね …… ご しゅじん さま に 選んで もらえて よかった と 思って る よ 」

まあ 、 結果 を 見れば 俺 も 良い 戦力 に なって くれて いる と は 思って いる 。 なんだか んだ で 可愛 げ は ある し 、 親心 的な 感覚 が 芽生えて いる の は 事実 だ 。

フィーロ も ラフタリア も まだ 子供 だ 。 体 は 大人 に 近づいて いる のだろう けど な 。

…… 本当 は 戦い なんて さ せちゃ いけない と わかって いる 。 幾ら 異 世界 だ から と いって 、 年 端 も いか ない 女の子 を 前 に 出して 戦わ せる なんて 真似 を 、 良心 を 持つ 者 なら させよう と は 思わ ない 。

本人 が 望んで る から なんて 方便 で 、 実際 俺 は 酷 い 奴 だ 。

本当 なら 、 ラフタリア の 居場所 を 作って あげて 戦い から 遠ざける べきな のだろう 。

だけど 今 の 俺 に は そんな 力 も 無い し 、 金 も 無い 。

フィーロ も 今 は 普通に 女の子 だ し 、 戦わ せる べきで は ない のだろう 。 本当 なら 魔物 と 戦わ せ ず 、 好きな 事 を さ せたい 。 例えば …… 馬車 を 引か せる ? これ は 今 と 変わら ない か 。

う ー む …… どっち に して も 俺 は 酷 い 人間 だ な 。

「 あの ね 。 フィーロ は ね 。 安物 だった ん だって 」

「 ん ? 」 フィーロ は 語り だした 。 奴隷 商 に 預けた その 日 、 俺 が 去った 牢屋 で 手 を 伸ばして 泣いて いる と 、 奴隷 商 が ポツリ と 呟いた 。

「 おかしい です ねぇ 。 盾 の 勇者 様 に お 売り した 卵 は 安物 な のです が 、 何故 こんな 変異 を した のでしょう ? 」 「 クエ !?」 フィーロ が 人 の 言葉 を 理解 して いる の を 知って か 知ら ず か 奴隷 商 は 部下 と 話 を 続けて いた 。

「 えっと 、 再 確認 致しましょう か 。 この フィロリアル は 駄羽 同士 の 組み合わせ で 、 食肉 用 でした ね ? 」 部下 が 奴隷 商 の 問い に 頷く 。 「 卵 で の 価値 は 銀貨 五〇 枚 、 成鳥 でも 変わら ない はず ……」

「 クエエエエ ! 」 バサバサ と 翼 を 広げ 、 本来 の 価値 を 言われて フィーロ は 抗議 の 声 を 上げた 。 「 これ が 勇者 様 の 力 …… な のでしょう か 。 それとも 波 で 生じた 魔物 の 肉 を 食した 所 為 な の か 、 面白く なって きました です 。 ハイ 。 上手く いけば 一 儲け できます です 」 「 それ で 、 この フィロリアル は どう する のです か ? 」 「 要 調査 です 。 銀貨 五〇 枚 で これ な のです から 、 もっと 高価な フィロリアル を 勇者 様 に 提供 すれば 、 更 なる 金 に なる 可能 性 が あります 。 入念に 調べ 上げ 、 最悪の 場合 は 補填 と 称して 高額の フィロリアル を 与えましょう 。 いえ 、 ドラゴン を 進呈 する の も 良い かも しれませんです 。 ハイ ! 」 「 ク 、 クエエエエエエエエエエエエエエ !?」 「 うわ ! 檻 が ! 」 それ を 聞いて フィーロ は 否定 したい 気持ち で 檻 を 壊した 。 自分 は もっと 優秀だ と 自己 主張 した 結果 壊して しまった らしい 。

自身 の 本当の 価値 は 俺 に 決めて もらう 。 その ため に 何でも する 。 じゃ ない と 自分 で は ない フィロリアル に 居場所 を 奪わ れる 。 なにがなんでも 俺 の フィロリアル は 自分 だ と 主張 し たかった ようだ 。

「 ご しゅじん さま …… フィーロ の 事 、 見捨て ないで 。 フィーロ は ここ に いたい の ……」 潤んだ 瞳 で フィーロ は 懇願 する ように 言う 。

「 ワガママ を 言わ なかったら 見捨てたり は し ない 」

安易に 選んで しまった が …… 俺 の 所 為 で 本来 の フィーロ が 辿 る 運命 と は 違う 結果 に なって しまった と も 言える の か 。

普通の フィロリアル と して 牧場 で 生きる 道 も …… あった の かも しれ ない 。 もちろん 、 食肉 用 と いう 酷 い 一生 に なって しまった かも しれ ない けれど 、 それ が フィロリアル な のだろう 。

そう 考える と 俺 の 所 為 で フィーロ は 戦い に 身 を 投じる 羽目 に なった の か 。

それ は …… 幸せな のだろう か ? 選ば れる と いう の は とても 苦痛 を 伴う もの だ と 、 俺 は 『 盾 の 勇者 』 に 選ば れた こと で 知った 。

「 ほんと ? フィーロ が 怪我 を して 動け なく なったら 別の 子 を 買ったり し ない ? 」 「 ああ 、 本当だ 。 俺 が 嘘 を 言った こと が …… ある な 。 でも すぐに 代わり が 効く と は 思って ない 」

「 うん ! フィーロ がんばる ね ! 」 「 期待 して いる 」 そう 言う と 、 フィーロ は 俺 の 背中 に 寄り掛かった 体勢 で 寝息 を 立て 始めた 。

まったく 、 何 を 恐れて いる んだ か ……。

全て の 原因 は むしろ …… 俺 だ 。 恨ま れる 謂われ は あって も 感謝 さ れる 覚え は ない 。

俺 に 無 価値 だ と 思わ れる の を 怖がって いる の か …… 最初 から 思っちゃ いない のに な 。 むしろ 俺 は …… ラフタリア や フィーロ に 戦う こと を 拒ま れる こと の 方 が 、 怖い 。

矛盾 して いる 自覚 は ある 。 だけど 俺 は ラフタリア と フィーロ が いる から こそ 、 こうして 戦えて いる んだ 。 本当 は ラフタリア も フィーロ も 戦わ なくて 良かった はずな のに 、 俺 が 奴隷 商 の 所 で 選んで しまった から 運命 が 変わって しまった 。

だ から こそ 、 責任 を 持た ない と …… いけない んだ よ な 。

世界 が 平和に なった 時 、 二 人 が 幸せに 過ごせる 場所 を 作って あげ ない と いけない な 。

国 の 東 の 地域 に 到着 した 。

辺り の 木々 が 枯れて いて 空気 が 重たい 。 別に 特別 寒い わけで も ない 地域 だ と いう のに 、 大地 の 色 が 黒く 、 例えて 言う の なら 暗黒の 大地 みたいだ 。

空 を 見上げる と 雲 も 分厚く 大きな 山脈 が 少しずつ 近づいて くる 。 なんとも 不吉な 感じ だ 。

「 えっと 」 道 が 分かれて いた ので 地図 で 確認 する 。

「 フィーロ 、 山 の 方 へ 進め 」

「 は ー い ! 」 「 二 人 と も 念のため に 布 で 口 を 覆って おけ よ 。 この 辺り は 疫病 が 流行 して いる らしい から な 」

「 はい 」

俺 も 口 を 布 で 覆い 、 最低 限 の 防御 を して から 目的 の 農村 に 辿り着いた 。

村 の 印象 を あえて 言う の なら 、 暗い 。 空 を 暗雲 が 覆って いて 、 なんとも 黒っぽい 村 だ 。

「…… 行商 の 方 です か ? 申し訳 ありません が この 村 は 、 疫病 が 蔓延 して い まして 、 ゴホ …… 避難 した 方 が ……」 苦し そうに 咳き込み ながら 村人 が 俺 達 に 説明 する 。

「 わかって います 。 だから 治療 薬 を 売り に 来ました 」 「 そ 、 そう です か ! 助かった 」

村人 が 走り出し 、 薬 の 行商 が 来た こと を 告げ に 行く 。

…… かなり 緊迫 した 様子 だ 。 この 調子 じゃ 在庫 に 不安 が ある な 。

俺 の 不安 は 的中 し 、 村中 から 薬 を 欲する 声 が 響く 。

「 神 鳥 の 馬車 だ ! これ で 村 も 救わ れる ! 」 うわ ぁ …… これ で 俺 の 作った 薬 の 効果 が 無い と か だ と 、 途端 に 信用 が 落ちる 。 しょうがない 。

「 薬 を 飲ま せたい 奴 は どこ だ ? 」 治療 薬 を 購入 した 奴 から 順に 、 一 番 効果 が 高い 方法 で 俺 が 飲ま せる と いう 行動 に 出る 。 「 こちら です 。 聖人 様 」

前々 から 聖人 と か 言われて いる が なんか む ず 痒 い 。 盾 の 勇者 と 嫌な 目 で 見られる より は 良い が 。 案内 さ れた の は 症状 の 重い 者 達 を 一堂 に 集めた 建物 だった 。 隔離 施設 的な 建物 だった のだろう 。

施設 の 裏 に は 墓地 が あり 、 真 新しい 墓 標 が 何 本 も 立って いる 。

…… 死 の 匂い が する と 言えば 伝わる だろう か 。 病院 や 墓場 独特 の 嫌な 空気 の 原因 と 同じだ と 確信 する 。

治療 薬 だけ で 治 せる か 不安だ 。

中級 レシピ を 解読 した 程度 で 自惚れて は いけない 。 もしも ここ で 治療 薬 の 効果 が 無かったら 、 手段 が なくなる 。 いや …… 高く つく が 高額の 薬 を 俺 が 服用 さ せれば 効果 は 出る だろう 。

それ でも …… 対応 できる ように なりたい 。 たとえ 解読 が 難しくて も 高くて も 、 何も 手段 が 無い より は あった 方 が 良い 。 上級 レシピ の 本 を 薬屋 に 売って もらえ ない か 今度 聞いて おこう 。

「 妻 を お 願い します ! 」 「 ああ 」 俺 は 咳 を 止め処 なく して いる 女性 を 起こし 、 少しずつ 治療 薬 を 飲ま せる 。

パア ……っと 光 が 女性 を 中心 に 広がった 。 女性 の 血色 が 良く なった ように 感じる 。 良かった 。 効果 が ある ようだ 。

「 次 ! 」 俺 が 顔 を 上げる と 、 案内 して きた 村人 の 奴 、 驚愕 の 眼差し で 俺 を 見て いた 。 「 どうした ? 」 「 あ 、 あの ……」 女性 の 隣 で 横 に なって いる 子供 を 指差す 。

先ほど まで 女性 同様に 咳き込んで いた はずな のに 、 咳 が 止まって いた 。

ん ? 死んだ ……?

俺 は その 子供 の 呼吸 を 確認 する …… よかった 。 まだ 生きて いる 。

しかし 直前 まで 咳き込んで いた はずな のに 随分 と 安定 して いる な 。

「 どう なって いる んだ ? 」 「 聖人 様 が 妻 に 薬 を 飲ま せる と ほぼ 同時に 、 隣 の 子 の 呼吸 も 和らいだ ように 見えました 」 ふむ …… も しか して 薬効 果 範囲 拡大 ( 小 ) と は この 事 を 指して いた の か ?

範囲 が 広がるって 効果 は 優秀 過ぎる だ ろ 。 見た 限り だ と 半径 一 メートル 程度 、 薬 を 服用 さ せた 者 の 周囲 に 同様の 効果 を 出せる ようだ 。

どれ だけ の スペック を 秘めて いる んだ 、 この 盾 は 。

ただ 、 戦闘 に なる と 範囲 外 である 可能 性 は 高い な 。 一 メートル 以内 で 固まって いたら 、 格 下 の 相手 で ない 限り 一網打尽 に さ れる 。

「 それ なら 話 は 早い ! 治療 薬 を 飲む 人 の 半径 一 メートル 以内 に 集めれば 、 全員 に 薬効 が ある 。 いそげ ! 」 「 は 、 はい ! 」 人手 が 足りない ので 、 フィーロ と ラフタリア に も 病人 を 運ば せて 集め 、 中心 の 人 に 薬 を 飲ま せた 。 薬 の 節約 に も なり 、 隔離 施設 の 連中 の 治療 も 思いのほか 早く 終わった 。

ただ …… あれ から しばらく 経った けれど 、 症状 の 緩和 だけ で どの 人 も 完全に 快方 に 向かって いる わけで は ない の が 厳しい ところ だ 。

「 やはり 俺 の 治療 薬 じゃ これ が 限界 か ……」

「 ありがとう ございました ! 」 感謝 さ れる の は 嬉しい が 、 俺 は 満足 と は 言い切れ ない 状況 だった 。 感染 する 危険 性 も 孕んで いる し 、 根絶 でき ない と は 。

「 そう いえば この 病 は どこ から 来た んだ ? 風土 病 か 何 か か ? いや 普通 は 流行 は やり り 病 やまい か 」

治療 薬 で この 程度 しか 効果 が 無い と いう 事 は かなり 重度 な 病 だ 。 俺 達 に も 感染 する 危険 性 が ある 。 最悪 、 早急に ここ を 去る と いう 選択 を とら ねば なら ない 。

「 その …… 実は 魔物 の 住む 山 から 流れて くる 風 が 原因 だ と 治療 師 は 説明 して おりました 」 「 詳しく 話せ 」

「 では 、 彼 に ……」

治療 師 と は 、 俺 の 世界 で 言う 医師 に 近い 回復 魔法 と 薬学 に 精通 した 職種 だ 。

その 治療 師 は 、 この 村 で 病 に 効果 の ある 薬 の 調合 を 行って おり 、 丁度 俺 達 が 治療 中 に 隔離 施設 に 来て 治療 を 手伝って いた 。

「 お前 、 治療 薬 より 高位 の 薬 が 作れる か ? 」 「 はい 。 現在 製作 中 です が 、 聖人 様 が 調合 した 薬 で 症状 の 大規模な 改善 が 見られた ので 、 放置 して います 」 「 早く 作業 を 再開 しろ 。 完全に 治療 できて いない と いう 事 は 、 いずれ 再発 する と いう こと だ 」 「 は 、 はい ! 」 「 待て 」 大急ぎで 作業 を 続行 しよう と する 治療 師 を 呼び止める 。

「 お前 は この 病 の 原因 を 山 から の 風 だ と 説明 して いた そうだ な 。 何故 だ 」

「 あ 、 はい 。 約 一 ヶ月 ほど 前 、 山脈 を 縄張り に する 巨大な ドラゴン を 剣 の 勇者 様 が 退治 いたしました 」 そう いえば 、 そんな 噂 が 流れた な 。

「 ドラゴン は 人里 離れた 地 を 根城 に して 巣 を 作る のです が 、 この ドラゴン は はぐれ 者 だった ような のです 」

「 それ と 何の 関係 が ある んだ ? 」 「 一 時期 この 村 に は 、 勇者 様 の 偉業 を 見 に 冒険 者 達 が 集まった そうです 。 そして 彼等 は 山 に 登り 、 勇者 様 が 倒した ドラゴン の 素材 を 持ち帰って きました 」 ドラゴン の 素材 で 優秀な 武器 と か 防 具 を 作れば 良い もん なぁ ……。

ちょっと 羨ま し い 。

「 で ? 」 「 ここ から が 本題 です 。 素材 が 剥がさ れた まで は よかった のです 。 その おかげ で この 寂れた 村 も 金銭 的に 非常に 潤いました 。 ですが …… その ドラゴン の 死骸 が 腐り 始めた 頃 に 問題 が 起こった のです 。 丁度 同 時期 に 死骸 を 見 に 行った 冒険 者 が 病 を 発症 しました 」 「 その 死骸 が この 病 の 原因 か 」

「 おそらくは ……」

素材 を 剥ぎ まくって いる のに …… と いう ところ で 安易に 想像 が 付く 。 ドラゴン の 死骸 で 残されて い そうな 部位 …… 肉 だ な 。 幾ら ドラゴン と いえ ど 一 番 に 腐る と いったら その 辺り だろう 。

一部 の 美食 家 と か が 欲する かも しれ ない が 、 大抵 は 腐り かけ の 肉 など 冒険 者 は 欲し ない 。

物語 と か だ と ドラゴンって 余す 所 が ない ほど 肉 が 美味しい と 言わ れる けど 、 この 世界 の 基準 だ と どう な んだろう 。 毒 が ある の かも しれ ない 。

後 は 臓物 だ 。 特に 肝臓 の 類 は 腐り やすい 。

錬 は 素材 目当て の 可能 性 が 高い から 、 臓物 辺り は 無視 して い そうだ 。

精 々 心臓 と か …… 魔力 的 効果 の 高 そうな 部位 だろう なぁ 。

「 原因 が わかって いる なら ササッ と 処分 すれば 良い だ ろ 」

「 それ が …… 元々 冒険 者 で も なければ 入ら ない 凶悪な 魔物 の 住む 地域 の 山脈 な ので …… 近隣 の 農民 で は 撤去 も 不可能な のです 」

「 じゃあ 冒険 者 に 頼めば 良い だ ろ 」

「 気付いた 頃 に は 山 の 生態 系 が 劇的に 変化 して い まして 、 空気 に は 毒 が 混ざり 、 病 の 影響 で 並み の 冒険 者 で は 入る こと さえ 困難に …… しかも 流行り 病 を 警戒 して 冒険 者 も 近づきません 」 は ぁ …… 錬 の 奴 、 魔物 の 死骸 くらい ちゃんと 処分 して いけ 。

錬 は 勇者 の 中 で 一 番 年 下 だ 。 俺 が 高校 生 だ と したら 、 物 が 腐って 困る 、 なんて 発想 は 出て こ なかった だろう 。 ゲーム と 現実 の 違い に 一 番 遠い と 言わ れれば この 結果 は 必然 と 言える 。

「 聖人 様 、 どう しましょう 」 「 国 に は 報告 した の か ? 」 「 はい 。 近々 薬 が 届く 予定 です 」

「…… 勇者 は ? 」 「 何分 、 忙しい 身 な ので 、 後回し に なって いる 可能 性 が 高い か と 」 元 もと 康 やす と いい 樹 と いい 錬 と いい 、 腹立たしくて しょうがない 。

「 国 へ の 依頼 料 と か は 既に 払って いる の か ? 」 「 ええ ……」 「 キャンセル したら 金 は 戻って くる か ? 」 治療 師 の 奴 、 俺 を まっすぐに 見て 目 を 見開く 。 「 聖人 様 が 行か れる のです か ? 」 「 どうせ 薬 が 出来る まで 時間 が 掛かる だ ろ ? 成功 したら 報酬 を 貰う ぞ 」

「 はい …… 後 半日 は 掛かる か と 」

「 わかった 。 その 間 に ドラゴン の 死骸 を 処分 し に 行って くる 。 代わり に 国 へ 支払った 依頼 料 を 寄越せ 」

「 わ 、 わかりました 」 こうして 俺 達 は 山 の 方 へ ドラゴン の 死骸 を 処分 し に 行く こと に なった 。


盾 の 勇者 の 成り 上がり 2 Chapter 18 たて||ゆうしゃ||なり|あがり|chapter

十八 話 疫病 の 村 じゅうはち|はなし|えきびょう||むら その 日 は 野宿 と なった 。 |ひ||のじゅく||

食料 を 満載 した 荷車 を 引いた まま だ 。 しょくりょう||まんさい||にぐるま||ひいた|| これ は 食いしん坊 鳥 の エサ と 割り切ろう 。 ||くいしんぼう|ちょう||えさ||わりきろう

色々 と 巡回 して いる と 、 北 の 方 でも 飢饉 が あった らしい 。 いろいろ||じゅんかい||||きた||かた||ききん||| 後 で また 南西 の 村 に 寄って 食料 を 分けて もらう か 。 あと|||なんせい||むら||よって|しょくりょう||わけて|| 在庫 処分 に 困って いる ようだ し 、 高く 売れる だ ろ 。 ざいこ|しょぶん||こまって||||たかく|うれる||

「 ごっは ー ん ! ご っ は|-| 」 布 を 被せた 荷車 に 頭 を 入れて 中身 を 貪る 鳥 。 ぬの||かぶせた|にぐるま||あたま||いれて|なかみ||むさぼる|ちょう 「 お ー いす ぃ ー い ぃ ! |-|||-|| 」 どっか で 聞いた こと の ある フレーズ だ 。 ど っか||きいた||||| フィーロ は 急 成長 が 終わって いる の に 大食 漢 な んだ よ 。 ||きゅう|せいちょう||おわって||||たいしょく|かん||| 日々 の 食費 が 馬鹿に なら ない 。 ひび||しょくひ||ばかに|| その代わり に 移動 は 異様に 速く 済む 。 そのかわり||いどう||いように|はやく|すむ けれど 色々 と 無 茶 を して いる 所 せ 為 い で 馬車 が すぐに 壊れる 。 |いろいろ||む|ちゃ||||しょ||ため|||ばしゃ|||こぼれる

「 どうした もの か 」

この際 、 木製 で は なく 金属 製 に する か な 。 このさい|もくせい||||きんぞく|せい|||| フィーロ が 軽い 軽い うるさい し 。 ||かるい|かるい|| でも 耐久 性 を 考える と 、 かなり 高く つき そうだ 。 |たいきゅう|せい||かんがえる|||たかく||そう だ

ラフタリア は 乗り物酔い を 克服 した けど 、 フィーロ の 全速力 だ と 同乗 する 客 が 凄 すごい 勢い で リバース する んだ よ な 。 ||のりものよい||こくふく|||||ぜんそくりょく|||どうじょう||きゃく||すご||いきおい|||||| スプリング と か を 入れ させて ショック を 緩和 する の も 良い かも 。 すぷりんぐ||||いれ|さ せて|しょっく||かんわ||||よい|

最近 で は かなり 金 が 貯まって きて いる 。 さいきん||||きむ||たまって|| 武器 屋 の 親父 に 会う の が 楽しみだ 。 ぶき|や||おやじ||あう|||たのしみだ

この 国 を 回って みて わかる の は 、 やはり 城下町 の 武器 屋 が 一 番 良い 物 を 売って いる 。 |くに||まわって||||||じょうかまち||ぶき|や||ひと|ばん|よい|ぶつ||うって| 他の 勇者 が どこ で 武器 防 具 を 買って いる か 知ら ない が 、 俺 が 回った 町 や 村 で は 、 親父 の 店 より も 良い 装備 は 売って いない 。 たの|ゆうしゃ||||ぶき|ふせ|つぶさ||かって|||しら|||おれ||まわった|まち||むら|||おやじ||てん|||よい|そうび||うって| 「 ご しゅじん さま ー 」 |||-

も ふ …… フィーロ の 羽毛 が 俺 に 伸し掛かって くる 。 ||||うもう||おれ||のしかかって|

「 え へ へ ー 」 |||-

「 む う ……」

ラフタリア が 何故 か 俺 に 引っ付く ように 座る 。 ||なぜ||おれ||ひっつく||すわる

「 へ へ へ 、 みんな で ポカポカ 」 |||||ぽかぽか

「 俺 は 暑い ……」 おれ||あつい

「 フィーロ 、 離れ なさい 。 |はなれ| アナタ が 離れれば 丁度 よく なります 」 ||はなれれば|ちょうど||なり ます 「 や ー 、 ラフタリア お 姉ちゃん が 離れれば 良い んだ よ 。 |-|||ねえちゃん||はなれれば|よい|| ご しゅじん さま を 独り占め よく ない 」 ||||ひとりじめ||

「 独り占め してません ! ひとりじめ|して ませ ん 」 「 さっさと 寝ろ 。 |ねろ お前 等 ! おまえ|とう 」 「 そんな ー ……」 |- 「 一緒に 寝よう よ ー ご しゅじん さま ー 」 いっしょに|ねよう||-||||-

「 俺 は 東 の 地域 に 到着 する 前 に 薬 を 作って おか なきゃ いけない んだ よ 」 おれ||ひがし||ちいき||とうちゃく||ぜん||くすり||つくって|||||

在庫 の 治療 薬 だけ で は 間に合わ ない の を 見越して 、 大量に 手 に 入った 薬草 で 鋭 意 調合 中 だ 。 ざいこ||ちりょう|くすり||||まにあわ||||みこして|たいりょうに|て||はいった|やくそう||するど|い|ちょうごう|なか| それ でも 足りる か わから ない の が 痛い なぁ …… これ が 行商 の 難点 だ 。 ||たりる||||||いたい||||ぎょうしょう||なんてん|

「 ぶ ー ……」 |-

フィーロ は むくれ ながら 俺 から 離れて 外 で 眠る 。 ||||おれ||はなれて|がい||ねむる

同時に ラフタリア も 馬車 の 中 に 入った 。 どうじに|||ばしゃ||なか||はいった 地べた で 寝る より 寝心地 が 良い から だろう 。 じべた||ねる||ねごこち||よい||

「 さて 」

俺 は 火 の 番 を し ながら 治療 薬 の 調合 を 続ける 。 おれ||ひ||ばん||||ちりょう|くすり||ちょうごう||つづける

「 ナオフミ 様 」 |さま

「 ん ? 」 ラフタリア の 声 に 馬車 の 方 を 見る 。 ||こえ||ばしゃ||かた||みる すると ラフタリア が 馬車 の 中 から 手招き して いる 。 |||ばしゃ||なか||てまねき||

「 どうした ? 」 「…… 一緒に 寝ません か ? いっしょに|ね ませ ん| 」 「 お前 も か …… まったく 、 寂し がり 屋 だ な 。 おまえ||||さびし||や|| また 怖い 夢 でも 見た の か ? |こわい|ゆめ||みた|| 」 以前 は 誰 か が 傍 に いない と 夜泣き する ほど だった から な 。 いぜん||だれ|||そば||||よなき||||| …… それ は 両親 を 酷 い 失い 方 を した トラウマ から なんだろう が 。 ||りょうしん||こく||うしない|かた||||||

「 ち 、 違います ! |ちがい ます 」 否定 して いる が 見た目 は 大人 でも 中身 は 子供 。 ひてい||||みため||おとな||なかみ||こども 親 恋しくて 寂しい のだろう 。 おや|こいしくて|さびしい|

「 イヤ か ? いや| なら フィーロ を 人 型 に して 添い 寝 して もらえば 良い だ ろ 」 |||じん|かた|||そい|ね|||よい||

「 寂しい と か じゃ なくて …… その ……」     ラフタリア は なんか 俯いて 恥ずかし そうに 呟く 。 さびしい|||||||||うつむいて|はずかし|そう に|つぶやく そう いえば いつの間にか 夜泣き を し なく なった よ なぁ …… アレ から 随分 経った 気 も する 。 ||いつのまにか|よなき|||||||||ずいぶん|たった|き||

「 ナオフミ 様 は 元 の 世界 に …… 好きな 人 と か …… いる んです か ? |さま||もと||せかい||すきな|じん||||| 」 「 は ? 別に いない ぞ 」 べつに|| 一体 何の 話 が したい と いう のだ 。 いったい|なんの|はなし||し たい||| 意図 が 掴め ない 。 いと||つかめ|

「 いきなり どうした ん だ ? 」 「 いえ …… ナオフミ 様 は 私 の 事 を どう 思って いる の か な と 」 ||さま||わたくし||こと|||おもって||||| は ? う ー む …… なんか ビッチ が 頭 に 浮かんで きて ムカムカ する が 、 ラフタリア に 怒る 理由 は ない 。 |-|||||あたま||うかんで||むかむか|||||いかる|りゆう|| なんで ビッチ が こんな 時 に 浮かぶ の か 、 俺 自身 不明だ 。 ||||じ||うかぶ|||おれ|じしん|ふめいだ

「 奴隷 と いう 立場 で 無理 を さ せて しまって いる 」 どれい|||たちば||むり|||||

「 その …… それ 以外 で は ? ||いがい|| 」 「 親 代わり と して 立派に 育てよう と 思って いる 」 おや|かわり|||りっぱに|そだてよう||おもって| 首 を 傾げ ながら 答える 俺 に 、 ラフタリア は なんとも 微妙な 顔 を する 。 くび||かしげ||こたえる|おれ|||||びみょうな|かお||

「 俺 を 信じて くれて いる から な 。 おれ||しんじて|||| 俺 も お前 を 娘 の ように 大切に して いる 」 おれ||おまえ||むすめ|||たいせつに||

付き合い 自体 は そこ まで 長く ない が 、 俺 は ラフタリア が 大きく なる 前 から 知っている 。 つきあい|じたい||||ながく|||おれ||||おおきく||ぜん||しっている

さっき も 思った が 、 外見 こそ 大人 だ が 、 まだまだ 精神 的に は 子供 な んだ 。 ||おもった||がいけん||おとな||||せいしん|てきに||こども|| 無理 を して 大人 振ろう と して いる が 、 誰 か が 守って やら なければ 耐えられ なく なる 事 も ある だろう 。 むり|||おとな|ふろう|||||だれ|||まもって|||たえ られ|||こと||| 「 は 、 はい ! って 、 あれ !? なんか おかしく ない です か ? 」 「 おかしく ない 。 明日 も ある し 、 しっかり と 休んで おけ 」 あした||||||やすんで|

「 は ぁ ……」

笑顔 で 頷く ラフタリア だ けど 、 何 か 疑問 を 持った ように 首 を 傾げ つつ 、 馬車 の 中 の 寝床 に 戻った 。 えがお||うなずく||||なん||ぎもん||もった||くび||かしげ||ばしゃ||なか||ねどこ||もどった

俺 は 次の 行商 の ため に 作業 を 続行 する 。 おれ||つぎの|ぎょうしょう||||さぎょう||ぞっこう|

ちなみに ここ 最近 の 行商 時 に 起こる 戦い に よって 、 それぞれ Lv が 上がって きて いる 。 ||さいきん||ぎょうしょう|じ||おこる|たたかい||||lv||あがって||

俺 Lv 37 おれ|lv ラフタリア Lv 39 |lv フィーロ Lv 38 |lv フィーロ に すら 抜か れた 。 |||ぬか| 俺 の Lv アップ は 相当 遅い の か ? おれ||lv|あっぷ||そうとう|おそい||

いや 、 二 人 は アタッカー だ 。 |ふた|じん||あたっかー| 特に フィーロ は ラフタリア より も 高い 俊 敏 性 で 敵 を 瞬 殺 する 。 とくに||||||たかい|しゆん|さとし|せい||てき||またた|ころ| だから 上がり も 早い のだろう 。 |あがり||はやい| ラフタリア も 負け じ と 俺 の 指示 を 無視 して 前 に 出る が 、 フィーロ の 速度 に 追いつけ ない のだ 。 ||まけ|||おれ||しじ||むし||ぜん||でる||||そくど||おいつけ||

「 ご しゅじん さま ー 」 |||-

「 どうした ? フィーロ 」

薬 を 調合 して いる と 、 フィーロ が 寝ぼけ 眼 で 人 の 姿 に なり 、 背 を 預けて くる 。 くすり||ちょうごう||||||ねぼけ|がん||じん||すがた|||せ||あずけて|

「 ご しゅじん さま は まだ 眠く ない の ー ? |||||ねむく|||- 」 「 まだ 行商 用 の 薬 の 調合 が 済んで いない んだ 。 |ぎょうしょう|よう||くすり||ちょうごう||すんで|| それ が 終わったら 寝る 」 ||おわったら|ねる

「 そっか ー ……」 そ っか|- 「 お前 は ゆっくり 休めよ 。 おまえ|||やすめよ なんだか んだ で 一 番 大変な んだ から な 」 |||ひと|ばん|たいへんな|||

馬車 を 引く の が 好き と は いって も 、 重 労働 である の は 変わら ない 。 ばしゃ||ひく|||すき|||||おも|ろうどう||||かわら| フィーロ 自身 は 楽だ と 言う が 、 健康 面 を 考え ない と 危険だろう 。 |じしん||らくだ||いう||けんこう|おもて||かんがえ|||きけんだろう

「 一 人 で 起きて て 寂しく ない の ? ひと|じん||おきて||さびしく|| 」 「 認識 の 違いだな 。 にんしき||ちがいだな お前 等 の 寝顔 を 見て いる 分 に は 寂しく なんか ない 」 おまえ|とう||ねがお||みて||ぶん|||さびしく||

「 そう な んだ ? え へ へ 」

嬉し そうに 言う フィーロ 。 うれし|そう に|いう| なんか 元気 が ない な 。 |げんき||| いや 、 気のせい かも しれ ない が 。 |きのせい||||

「 どうした ? 」 「 ご しゅじん さま が ー …… フィーロ の 寝顔 を 見て 寂しく ない なら 良い の ー 」 ||||-|||ねがお||みて|さびしく|||よい||- 訳 が わから ない な 。 やく||||

「 あの ね 。 ご しゅじん さま は 、 フィーロ を どんな 気持ち で 選んで くれた の ? |||||||きもち||えらんで|| 」 「 は ? 」 別に 、 特に 考え も なく 無作為に 選んだ もの だ が 。 べつに|とくに|かんがえ|||むさくいに|えらんだ||| と いう か 別に 外れ で も 良い と いう 感覚 で 卵 を 選んだ 。 |||べつに|はずれ|||よい|||かんかく||たまご||えらんだ

「 フィーロ ね …… ご しゅじん さま に 選んで もらえて よかった と 思って る よ 」 ||||||えらんで||||おもって||

まあ 、 結果 を 見れば 俺 も 良い 戦力 に なって くれて いる と は 思って いる 。 |けっか||みれば|おれ||よい|せんりょく|||||||おもって| なんだか んだ で 可愛 げ は ある し 、 親心 的な 感覚 が 芽生えて いる の は 事実 だ 。 |||かわい|||||おやごころ|てきな|かんかく||めばえて||||じじつ|

フィーロ も ラフタリア も まだ 子供 だ 。 |||||こども| 体 は 大人 に 近づいて いる のだろう けど な 。 からだ||おとな||ちかづいて||||

…… 本当 は 戦い なんて さ せちゃ いけない と わかって いる 。 ほんとう||たたかい||||||| 幾ら 異 世界 だ から と いって 、 年 端 も いか ない 女の子 を 前 に 出して 戦わ せる なんて 真似 を 、 良心 を 持つ 者 なら させよう と は 思わ ない 。 いくら|い|せかい|||||とし|はし||||おんなのこ||ぜん||だして|たたかわ|||まね||りょうしん||もつ|もの||さ せよう|||おもわ|

本人 が 望んで る から なんて 方便 で 、 実際 俺 は 酷 い 奴 だ 。 ほんにん||のぞんで||||ほうべん||じっさい|おれ||こく||やつ|

本当 なら 、 ラフタリア の 居場所 を 作って あげて 戦い から 遠ざける べきな のだろう 。 ほんとう||||いばしょ||つくって||たたかい||とおざける||

だけど 今 の 俺 に は そんな 力 も 無い し 、 金 も 無い 。 |いま||おれ||||ちから||ない||きむ||ない

フィーロ も 今 は 普通に 女の子 だ し 、 戦わ せる べきで は ない のだろう 。 ||いま||ふつうに|おんなのこ|||たたかわ||||| 本当 なら 魔物 と 戦わ せ ず 、 好きな 事 を さ せたい 。 ほんとう||まもの||たたかわ|||すきな|こと||| 例えば …… 馬車 を 引か せる ? たとえば|ばしゃ||ひか| これ は 今 と 変わら ない か 。 ||いま||かわら||

う ー む …… どっち に して も 俺 は 酷 い 人間 だ な 。 |-||||||おれ||こく||にんげん||

「 あの ね 。 フィーロ は ね 。 安物 だった ん だって 」 やすもの|||

「 ん ? 」 フィーロ は 語り だした 。 ||かたり| 奴隷 商 に 預けた その 日 、 俺 が 去った 牢屋 で 手 を 伸ばして 泣いて いる と 、 奴隷 商 が ポツリ と 呟いた 。 どれい|しょう||あずけた||ひ|おれ||さった|ろうや||て||のばして|ないて|||どれい|しょう||ぽつり||つぶやいた

「 おかしい です ねぇ 。 盾 の 勇者 様 に お 売り した 卵 は 安物 な のです が 、 何故 こんな 変異 を した のでしょう ? たて||ゆうしゃ|さま|||うり||たまご||やすもの||||なぜ||へんい||| 」 「 クエ !?」 フィーロ が 人 の 言葉 を 理解 して いる の を 知って か 知ら ず か 奴隷 商 は 部下 と 話 を 続けて いた 。 ||じん||ことば||りかい|||||しって||しら|||どれい|しょう||ぶか||はなし||つづけて|

「 えっと 、 再 確認 致しましょう か 。 えっ と|さい|かくにん|いたし ましょう| この フィロリアル は 駄羽 同士 の 組み合わせ で 、 食肉 用 でした ね ? |||だはね|どうし||くみあわせ||しょくにく|よう|| 」 部下 が 奴隷 商 の 問い に 頷く 。 ぶか||どれい|しょう||とい||うなずく 「 卵 で の 価値 は 銀貨 五〇 枚 、 成鳥 でも 変わら ない はず ……」 たまご|||かち||ぎんか|いつ|まい|せいちょう||かわら||

「 クエエエエ ! 」 バサバサ と 翼 を 広げ 、 本来 の 価値 を 言われて フィーロ は 抗議 の 声 を 上げた 。 ||つばさ||ひろげ|ほんらい||かち||いわ れて|||こうぎ||こえ||あげた 「 これ が 勇者 様 の 力 …… な のでしょう か 。 ||ゆうしゃ|さま||ちから||| それとも 波 で 生じた 魔物 の 肉 を 食した 所 為 な の か 、 面白く なって きました です 。 |なみ||しょうじた|まもの||にく||くわした|しょ|ため||||おもしろく||き ました| ハイ 。 はい 上手く いけば 一 儲け できます です 」 うまく||ひと|もうけ|でき ます| 「 それ で 、 この フィロリアル は どう する のです か ? 」 「 要 調査 です 。 かなめ|ちょうさ| 銀貨 五〇 枚 で これ な のです から 、 もっと 高価な フィロリアル を 勇者 様 に 提供 すれば 、 更 なる 金 に なる 可能 性 が あります 。 ぎんか|いつ|まい|||||||こうかな|||ゆうしゃ|さま||ていきょう||こう||きむ|||かのう|せい||あり ます 入念に 調べ 上げ 、 最悪の 場合 は 補填 と 称して 高額の フィロリアル を 与えましょう 。 にゅうねんに|しらべ|あげ|さいあくの|ばあい||ほてん||そやして|こうがくの|||あたえ ましょう いえ 、 ドラゴン を 進呈 する の も 良い かも しれませんです 。 |||しんてい||||よい||しれ ませ ん です ハイ ! はい 」 「 ク 、 クエエエエエエエエエエエエエエ !?」 「 うわ ! 檻 が ! おり| 」 それ を 聞いて フィーロ は 否定 したい 気持ち で 檻 を 壊した 。 ||きいて|||ひてい|し たい|きもち||おり||こわした 自分 は もっと 優秀だ と 自己 主張 した 結果 壊して しまった らしい 。 じぶん|||ゆうしゅうだ||じこ|しゅちょう||けっか|こわして||

自身 の 本当の 価値 は 俺 に 決めて もらう 。 じしん||ほんとうの|かち||おれ||きめて| その ため に 何でも する 。 |||なんでも| じゃ ない と 自分 で は ない フィロリアル に 居場所 を 奪わ れる 。 |||じぶん||||||いばしょ||うばわ| なにがなんでも 俺 の フィロリアル は 自分 だ と 主張 し たかった ようだ 。 |おれ||||じぶん|||しゅちょう|||

「 ご しゅじん さま …… フィーロ の 事 、 見捨て ないで 。 |||||こと|みすて| フィーロ は ここ に いたい の ……」 ||||い たい| 潤んだ 瞳 で フィーロ は 懇願 する ように 言う 。 うるんだ|ひとみ||||こんがん|||いう

「 ワガママ を 言わ なかったら 見捨てたり は し ない 」 ||いわ||みすてたり|||

安易に 選んで しまった が …… 俺 の 所 為 で 本来 の フィーロ が 辿 る 運命 と は 違う 結果 に なって しまった と も 言える の か 。 あんいに|えらんで|||おれ||しょ|ため||ほんらい||||てん||うんめい|||ちがう|けっか||||||いえる||

普通の フィロリアル と して 牧場 で 生きる 道 も …… あった の かも しれ ない 。 ふつうの||||ぼくじょう||いきる|どう|||||| もちろん 、 食肉 用 と いう 酷 い 一生 に なって しまった かも しれ ない けれど 、 それ が フィロリアル な のだろう 。 |しょくにく|よう|||こく||いっしょう||||||||||||

そう 考える と 俺 の 所 為 で フィーロ は 戦い に 身 を 投じる 羽目 に なった の か 。 |かんがえる||おれ||しょ|ため||||たたかい||み||とうじる|はめ||||

それ は …… 幸せな のだろう か ? ||しあわせな|| 選ば れる と いう の は とても 苦痛 を 伴う もの だ と 、 俺 は 『 盾 の 勇者 』 に 選ば れた こと で 知った 。 えらば|||||||くつう||ともなう||||おれ||たて||ゆうしゃ||えらば||||しった

「 ほんと ? フィーロ が 怪我 を して 動け なく なったら 別の 子 を 買ったり し ない ? ||けが|||うごけ|||べつの|こ||かったり|| 」 「 ああ 、 本当だ 。 |ほんとうだ 俺 が 嘘 を 言った こと が …… ある な 。 おれ||うそ||いった|||| でも すぐに 代わり が 効く と は 思って ない 」 ||かわり||きく|||おもって|

「 うん ! フィーロ がんばる ね ! 」 「 期待 して いる 」 きたい|| そう 言う と 、 フィーロ は 俺 の 背中 に 寄り掛かった 体勢 で 寝息 を 立て 始めた 。 |いう||||おれ||せなか||よりかかった|たいせい||ねいき||たて|はじめた

まったく 、 何 を 恐れて いる んだ か ……。 |なん||おそれて|||

全て の 原因 は むしろ …… 俺 だ 。 すべて||げんいん|||おれ| 恨ま れる 謂われ は あって も 感謝 さ れる 覚え は ない 。 うらま||いわれ||||かんしゃ|||おぼえ||

俺 に 無 価値 だ と 思わ れる の を 怖がって いる の か …… 最初 から 思っちゃ いない のに な 。 おれ||む|かち|||おもわ||||こわがって||||さいしょ||おもっちゃ||| むしろ 俺 は …… ラフタリア や フィーロ に 戦う こと を 拒ま れる こと の 方 が 、 怖い 。 |おれ||||||たたかう|||こばま||||かた||こわい

矛盾 して いる 自覚 は ある 。 むじゅん|||じかく|| だけど 俺 は ラフタリア と フィーロ が いる から こそ 、 こうして 戦えて いる んだ 。 |おれ||||||||||たたかえて|| 本当 は ラフタリア も フィーロ も 戦わ なくて 良かった はずな のに 、 俺 が 奴隷 商 の 所 で 選んで しまった から 運命 が 変わって しまった 。 ほんとう||||||たたかわ||よかった|||おれ||どれい|しょう||しょ||えらんで|||うんめい||かわって|

だ から こそ 、 責任 を 持た ない と …… いけない んだ よ な 。 |||せきにん||もた||||||

世界 が 平和に なった 時 、 二 人 が 幸せに 過ごせる 場所 を 作って あげ ない と いけない な 。 せかい||へいわに||じ|ふた|じん||しあわせに|すごせる|ばしょ||つくって|||||

国 の 東 の 地域 に 到着 した 。 くに||ひがし||ちいき||とうちゃく|

辺り の 木々 が 枯れて いて 空気 が 重たい 。 あたり||きぎ||かれて||くうき||おもたい 別に 特別 寒い わけで も ない 地域 だ と いう のに 、 大地 の 色 が 黒く 、 例えて 言う の なら 暗黒の 大地 みたいだ 。 べつに|とくべつ|さむい||||ちいき|||||だいち||いろ||くろく|たとえて|いう|||あんこくの|だいち|

空 を 見上げる と 雲 も 分厚く 大きな 山脈 が 少しずつ 近づいて くる 。 から||みあげる||くも||ぶあつく|おおきな|さんみゃく||すこしずつ|ちかづいて| なんとも 不吉な 感じ だ 。 |ふきつな|かんじ|

「 えっと 」 えっ と 道 が 分かれて いた ので 地図 で 確認 する 。 どう||わかれて|||ちず||かくにん|

「 フィーロ 、 山 の 方 へ 進め 」 |やま||かた||すすめ

「 は ー い ! |-| 」 「 二 人 と も 念のため に 布 で 口 を 覆って おけ よ 。 ふた|じん|||ねんのため||ぬの||くち||おおって|| この 辺り は 疫病 が 流行 して いる らしい から な 」 |あたり||えきびょう||りゅうこう|||||

「 はい 」

俺 も 口 を 布 で 覆い 、 最低 限 の 防御 を して から 目的 の 農村 に 辿り着いた 。 おれ||くち||ぬの||おおい|さいてい|げん||ぼうぎょ||||もくてき||のうそん||たどりついた

村 の 印象 を あえて 言う の なら 、 暗い 。 むら||いんしょう|||いう|||くらい 空 を 暗雲 が 覆って いて 、 なんとも 黒っぽい 村 だ 。 から||あんうん||おおって|||くろっぽい|むら|

「…… 行商 の 方 です か ? ぎょうしょう||かた|| 申し訳 ありません が この 村 は 、 疫病 が 蔓延 して い まして 、 ゴホ …… 避難 した 方 が ……」 もうしわけ|あり ませ ん|||むら||えきびょう||まんえん|||||ひなん||かた| 苦し そうに 咳き込み ながら 村人 が 俺 達 に 説明 する 。 にがし|そう に|せきこみ||むらびと||おれ|さとる||せつめい|

「 わかって います 。 |い ます だから 治療 薬 を 売り に 来ました 」 |ちりょう|くすり||うり||き ました 「 そ 、 そう です か ! 助かった 」 たすかった

村人 が 走り出し 、 薬 の 行商 が 来た こと を 告げ に 行く 。 むらびと||はしりだし|くすり||ぎょうしょう||きた|||つげ||いく

…… かなり 緊迫 した 様子 だ 。 |きんぱく||ようす| この 調子 じゃ 在庫 に 不安 が ある な 。 |ちょうし||ざいこ||ふあん|||

俺 の 不安 は 的中 し 、 村中 から 薬 を 欲する 声 が 響く 。 おれ||ふあん||てきちゅう||むらなか||くすり||ほっする|こえ||ひびく

「 神 鳥 の 馬車 だ ! かみ|ちょう||ばしゃ| これ で 村 も 救わ れる ! ||むら||すくわ| 」 うわ ぁ …… これ で 俺 の 作った 薬 の 効果 が 無い と か だ と 、 途端 に 信用 が 落ちる 。 ||||おれ||つくった|くすり||こうか||ない|||||とたん||しんよう||おちる しょうがない 。

「 薬 を 飲ま せたい 奴 は どこ だ ? くすり||のま||やつ||| 」 治療 薬 を 購入 した 奴 から 順に 、 一 番 効果 が 高い 方法 で 俺 が 飲ま せる と いう 行動 に 出る 。 ちりょう|くすり||こうにゅう||やつ||じゅんに|ひと|ばん|こうか||たかい|ほうほう||おれ||のま||||こうどう||でる 「 こちら です 。 聖人 様 」 せいじん|さま

前々 から 聖人 と か 言われて いる が なんか む ず 痒 い 。 まえまえ||せいじん|||いわ れて||||||よう| 盾 の 勇者 と 嫌な 目 で 見られる より は 良い が 。 たて||ゆうしゃ||いやな|め||み られる|||よい| 案内 さ れた の は 症状 の 重い 者 達 を 一堂 に 集めた 建物 だった 。 あんない|||||しょうじょう||おもい|もの|さとる||いちどう||あつめた|たてもの| 隔離 施設 的な 建物 だった のだろう 。 かくり|しせつ|てきな|たてもの||

施設 の 裏 に は 墓地 が あり 、 真 新しい 墓 標 が 何 本 も 立って いる 。 しせつ||うら|||ぼち|||まこと|あたらしい|はか|しるべ||なん|ほん||たって|

…… 死 の 匂い が する と 言えば 伝わる だろう か 。 し||におい||||いえば|つたわる|| 病院 や 墓場 独特 の 嫌な 空気 の 原因 と 同じだ と 確信 する 。 びょういん||はかば|どくとく||いやな|くうき||げんいん||おなじだ||かくしん|

治療 薬 だけ で 治 せる か 不安だ 。 ちりょう|くすり|||ち|||ふあんだ

中級 レシピ を 解読 した 程度 で 自惚れて は いけない 。 ちゅうきゅう|れしぴ||かいどく||ていど||うぬぼれて|| もしも ここ で 治療 薬 の 効果 が 無かったら 、 手段 が なくなる 。 |||ちりょう|くすり||こうか||なかったら|しゅだん|| いや …… 高く つく が 高額の 薬 を 俺 が 服用 さ せれば 効果 は 出る だろう 。 |たかく|||こうがくの|くすり||おれ||ふくよう|||こうか||でる|

それ でも …… 対応 できる ように なりたい 。 ||たいおう|||なり たい たとえ 解読 が 難しくて も 高くて も 、 何も 手段 が 無い より は あった 方 が 良い 。 |かいどく||むずかしくて||たかくて||なにも|しゅだん||ない||||かた||よい 上級 レシピ の 本 を 薬屋 に 売って もらえ ない か 今度 聞いて おこう 。 じょうきゅう|れしぴ||ほん||くすりや||うって||||こんど|きいて|

「 妻 を お 願い します ! つま|||ねがい|し ます 」 「 ああ 」 俺 は 咳 を 止め処 なく して いる 女性 を 起こし 、 少しずつ 治療 薬 を 飲ま せる 。 おれ||せき||とめど||||じょせい||おこし|すこしずつ|ちりょう|くすり||のま|

パア ……っと 光 が 女性 を 中心 に 広がった 。 ぱあ||ひかり||じょせい||ちゅうしん||ひろがった 女性 の 血色 が 良く なった ように 感じる 。 じょせい||けっしょく||よく|||かんじる 良かった 。 よかった 効果 が ある ようだ 。 こうか|||

「 次 ! つぎ 」 俺 が 顔 を 上げる と 、 案内 して きた 村人 の 奴 、 驚愕 の 眼差し で 俺 を 見て いた 。 おれ||かお||あげる||あんない|||むらびと||やつ|きょうがく||まなざし||おれ||みて| 「 どうした ? 」 「 あ 、 あの ……」 女性 の 隣 で 横 に なって いる 子供 を 指差す 。 じょせい||となり||よこ||||こども||ゆびさす

先ほど まで 女性 同様に 咳き込んで いた はずな のに 、 咳 が 止まって いた 。 さきほど||じょせい|どうように|せきこんで||||せき||とまって|

ん ? 死んだ ……? しんだ

俺 は その 子供 の 呼吸 を 確認 する …… よかった 。 おれ|||こども||こきゅう||かくにん|| まだ 生きて いる 。 |いきて|

しかし 直前 まで 咳き込んで いた はずな のに 随分 と 安定 して いる な 。 |ちょくぜん||せきこんで||||ずいぶん||あんてい|||

「 どう なって いる んだ ? 」 「 聖人 様 が 妻 に 薬 を 飲ま せる と ほぼ 同時に 、 隣 の 子 の 呼吸 も 和らいだ ように 見えました 」 せいじん|さま||つま||くすり||のま||||どうじに|となり||こ||こきゅう||やわらいだ||みえ ました ふむ …… も しか して 薬効 果 範囲 拡大 ( 小 ) と は この 事 を 指して いた の か ? ||||やっこう|か|はんい|かくだい|しょう||||こと||さして|||

範囲 が 広がるって 効果 は 優秀 過ぎる だ ろ 。 はんい||ひろがる って|こうか||ゆうしゅう|すぎる|| 見た 限り だ と 半径 一 メートル 程度 、 薬 を 服用 さ せた 者 の 周囲 に 同様の 効果 を 出せる ようだ 。 みた|かぎり|||はんけい|ひと|めーとる|ていど|くすり||ふくよう|||もの||しゅうい||どうようの|こうか||だせる|

どれ だけ の スペック を 秘めて いる んだ 、 この 盾 は 。 |||||ひめて||||たて|

ただ 、 戦闘 に なる と 範囲 外 である 可能 性 は 高い な 。 |せんとう||||はんい|がい||かのう|せい||たかい| 一 メートル 以内 で 固まって いたら 、 格 下 の 相手 で ない 限り 一網打尽 に さ れる 。 ひと|めーとる|いない||かたまって||かく|した||あいて|||かぎり|いちもうだじん|||

「 それ なら 話 は 早い ! ||はなし||はやい 治療 薬 を 飲む 人 の 半径 一 メートル 以内 に 集めれば 、 全員 に 薬効 が ある 。 ちりょう|くすり||のむ|じん||はんけい|ひと|めーとる|いない||あつめれば|ぜんいん||やっこう|| いそげ ! 」 「 は 、 はい ! 」 人手 が 足りない ので 、 フィーロ と ラフタリア に も 病人 を 運ば せて 集め 、 中心 の 人 に 薬 を 飲ま せた 。 ひとで||たりない|||||||びょうにん||はこば||あつめ|ちゅうしん||じん||くすり||のま| 薬 の 節約 に も なり 、 隔離 施設 の 連中 の 治療 も 思いのほか 早く 終わった 。 くすり||せつやく||||かくり|しせつ||れんちゅう||ちりょう||おもいのほか|はやく|おわった

ただ …… あれ から しばらく 経った けれど 、 症状 の 緩和 だけ で どの 人 も 完全に 快方 に 向かって いる わけで は ない の が 厳しい ところ だ 。 ||||たった||しょうじょう||かんわ||||じん||かんぜんに|かいほう||むかって|||||||きびしい||

「 やはり 俺 の 治療 薬 じゃ これ が 限界 か ……」 |おれ||ちりょう|くすり||||げんかい|

「 ありがとう ございました ! 」 感謝 さ れる の は 嬉しい が 、 俺 は 満足 と は 言い切れ ない 状況 だった 。 かんしゃ|||||うれしい||おれ||まんぞく|||いいきれ||じょうきょう| 感染 する 危険 性 も 孕んで いる し 、 根絶 でき ない と は 。 かんせん||きけん|せい||はらんで|||こんぜつ||||

「 そう いえば この 病 は どこ から 来た んだ ? |||びょう||||きた| 風土 病 か 何 か か ? ふうど|びょう||なん|| いや 普通 は 流行 は やり り 病 やまい か 」 |ふつう||りゅうこう||||びょう||

治療 薬 で この 程度 しか 効果 が 無い と いう 事 は かなり 重度 な 病 だ 。 ちりょう|くすり|||ていど||こうか||ない|||こと|||じゅうど||びょう| 俺 達 に も 感染 する 危険 性 が ある 。 おれ|さとる|||かんせん||きけん|せい|| 最悪 、 早急に ここ を 去る と いう 選択 を とら ねば なら ない 。 さいあく|そうきゅうに|||さる|||せんたく|||||

「 その …… 実は 魔物 の 住む 山 から 流れて くる 風 が 原因 だ と 治療 師 は 説明 して おりました 」 |じつは|まもの||すむ|やま||ながれて||かぜ||げんいん|||ちりょう|し||せつめい||おり ました 「 詳しく 話せ 」 くわしく|はなせ

「 では 、 彼 に ……」 |かれ|

治療 師 と は 、 俺 の 世界 で 言う 医師 に 近い 回復 魔法 と 薬学 に 精通 した 職種 だ 。 ちりょう|し|||おれ||せかい||いう|いし||ちかい|かいふく|まほう||やくがく||せいつう||しょくしゅ|

その 治療 師 は 、 この 村 で 病 に 効果 の ある 薬 の 調合 を 行って おり 、 丁度 俺 達 が 治療 中 に 隔離 施設 に 来て 治療 を 手伝って いた 。 |ちりょう|し|||むら||びょう||こうか|||くすり||ちょうごう||おこなって||ちょうど|おれ|さとる||ちりょう|なか||かくり|しせつ||きて|ちりょう||てつだって|

「 お前 、 治療 薬 より 高位 の 薬 が 作れる か ? おまえ|ちりょう|くすり||こうい||くすり||つくれる| 」 「 はい 。 現在 製作 中 です が 、 聖人 様 が 調合 した 薬 で 症状 の 大規模な 改善 が 見られた ので 、 放置 して います 」 げんざい|せいさく|なか|||せいじん|さま||ちょうごう||くすり||しょうじょう||だいきぼな|かいぜん||み られた||ほうち||い ます 「 早く 作業 を 再開 しろ 。 はやく|さぎょう||さいかい| 完全に 治療 できて いない と いう 事 は 、 いずれ 再発 する と いう こと だ 」 かんぜんに|ちりょう|||||こと|||さいはつ||||| 「 は 、 はい ! 」 「 待て 」 まて 大急ぎで 作業 を 続行 しよう と する 治療 師 を 呼び止める 。 おおいそぎで|さぎょう||ぞっこう||||ちりょう|し||よびとめる

「 お前 は この 病 の 原因 を 山 から の 風 だ と 説明 して いた そうだ な 。 おまえ|||びょう||げんいん||やま|||かぜ|||せつめい|||そう だ| 何故 だ 」 なぜ|

「 あ 、 はい 。 約 一 ヶ月 ほど 前 、 山脈 を 縄張り に する 巨大な ドラゴン を 剣 の 勇者 様 が 退治 いたしました 」 やく|ひと|かげつ||ぜん|さんみゃく||なわばり|||きょだいな|||けん||ゆうしゃ|さま||たいじ|いたし ました そう いえば 、 そんな 噂 が 流れた な 。 |||うわさ||ながれた|

「 ドラゴン は 人里 離れた 地 を 根城 に して 巣 を 作る のです が 、 この ドラゴン は はぐれ 者 だった ような のです 」 ||ひとざと|はなれた|ち||ねじろ|||す||つくる|||||||もの|||

「 それ と 何の 関係 が ある んだ ? ||なんの|かんけい||| 」 「 一 時期 この 村 に は 、 勇者 様 の 偉業 を 見 に 冒険 者 達 が 集まった そうです 。 ひと|じき||むら|||ゆうしゃ|さま||いぎょう||み||ぼうけん|もの|さとる||あつまった|そう です そして 彼等 は 山 に 登り 、 勇者 様 が 倒した ドラゴン の 素材 を 持ち帰って きました 」 |かれら||やま||のぼり|ゆうしゃ|さま||たおした|||そざい||もちかえって|き ました ドラゴン の 素材 で 優秀な 武器 と か 防 具 を 作れば 良い もん なぁ ……。 ||そざい||ゆうしゅうな|ぶき|||ふせ|つぶさ||つくれば|よい||

ちょっと 羨ま し い 。 |うらやま||

「 で ? 」 「 ここ から が 本題 です 。 |||ほんだい| 素材 が 剥がさ れた まで は よかった のです 。 そざい||はがさ||||| その おかげ で この 寂れた 村 も 金銭 的に 非常に 潤いました 。 ||||さびれた|むら||きんせん|てきに|ひじょうに|うるおい ました ですが …… その ドラゴン の 死骸 が 腐り 始めた 頃 に 問題 が 起こった のです 。 ||||しがい||くさり|はじめた|ころ||もんだい||おこった| 丁度 同 時期 に 死骸 を 見 に 行った 冒険 者 が 病 を 発症 しました 」 ちょうど|どう|じき||しがい||み||おこなった|ぼうけん|もの||びょう||はっしょう|し ました 「 その 死骸 が この 病 の 原因 か 」 |しがい|||びょう||げんいん|

「 おそらくは ……」

素材 を 剥ぎ まくって いる のに …… と いう ところ で 安易に 想像 が 付く 。 そざい||はぎ||||||||あんいに|そうぞう||つく ドラゴン の 死骸 で 残されて い そうな 部位 …… 肉 だ な 。 ||しがい||のこさ れて||そう な|ぶい|にく|| 幾ら ドラゴン と いえ ど 一 番 に 腐る と いったら その 辺り だろう 。 いくら|||||ひと|ばん||くさる||||あたり|

一部 の 美食 家 と か が 欲する かも しれ ない が 、 大抵 は 腐り かけ の 肉 など 冒険 者 は 欲し ない 。 いちぶ||びしょく|いえ||||ほっする|||||たいてい||くさり|||にく||ぼうけん|もの||ほし|

物語 と か だ と ドラゴンって 余す 所 が ない ほど 肉 が 美味しい と 言わ れる けど 、 この 世界 の 基準 だ と どう な んだろう 。 ものがたり|||||ドラゴン って|あます|しょ||||にく||おいしい||いわ||||せかい||きじゅん||||| 毒 が ある の かも しれ ない 。 どく||||||

後 は 臓物 だ 。 あと||ぞうもつ| 特に 肝臓 の 類 は 腐り やすい 。 とくに|かんぞう||るい||くさり|

錬 は 素材 目当て の 可能 性 が 高い から 、 臓物 辺り は 無視 して い そうだ 。 ||そざい|めあて||かのう|せい||たかい||ぞうもつ|あたり||むし|||そう だ

精 々 心臓 と か …… 魔力 的 効果 の 高 そうな 部位 だろう なぁ 。 せい||しんぞう|||まりょく|てき|こうか||たか|そう な|ぶい||

「 原因 が わかって いる なら ササッ と 処分 すれば 良い だ ろ 」 げんいん|||||||しょぶん||よい||

「 それ が …… 元々 冒険 者 で も なければ 入ら ない 凶悪な 魔物 の 住む 地域 の 山脈 な ので …… 近隣 の 農民 で は 撤去 も 不可能な のです 」 ||もともと|ぼうけん|もの||||はいら||きょうあくな|まもの||すむ|ちいき||さんみゃく|||きんりん||のうみん|||てっきょ||ふかのうな|

「 じゃあ 冒険 者 に 頼めば 良い だ ろ 」 |ぼうけん|もの||たのめば|よい||

「 気付いた 頃 に は 山 の 生態 系 が 劇的に 変化 して い まして 、 空気 に は 毒 が 混ざり 、 病 の 影響 で 並み の 冒険 者 で は 入る こと さえ 困難に …… しかも 流行り 病 を 警戒 して 冒険 者 も 近づきません 」 きづいた|ころ|||やま||せいたい|けい||げきてきに|へんか||||くうき|||どく||まざり|びょう||えいきょう||なみ||ぼうけん|もの|||はいる|||こんなんに||はやり|びょう||けいかい||ぼうけん|もの||ちかづき ませ ん は ぁ …… 錬 の 奴 、 魔物 の 死骸 くらい ちゃんと 処分 して いけ 。 ||||やつ|まもの||しがい|||しょぶん||

錬 は 勇者 の 中 で 一 番 年 下 だ 。 ||ゆうしゃ||なか||ひと|ばん|とし|した| 俺 が 高校 生 だ と したら 、 物 が 腐って 困る 、 なんて 発想 は 出て こ なかった だろう 。 おれ||こうこう|せい||||ぶつ||くさって|こまる||はっそう||でて||| ゲーム と 現実 の 違い に 一 番 遠い と 言わ れれば この 結果 は 必然 と 言える 。 げーむ||げんじつ||ちがい||ひと|ばん|とおい||いわ|||けっか||ひつぜん||いえる

「 聖人 様 、 どう しましょう 」 せいじん|さま||し ましょう 「 国 に は 報告 した の か ? くに|||ほうこく||| 」 「 はい 。 近々 薬 が 届く 予定 です 」 ちかぢか|くすり||とどく|よてい|

「…… 勇者 は ? ゆうしゃ| 」 「 何分 、 忙しい 身 な ので 、 後回し に なって いる 可能 性 が 高い か と 」 なにぶん|いそがしい|み|||あとまわし||||かのう|せい||たかい|| 元 もと 康 やす と いい 樹 と いい 錬 と いい 、 腹立たしくて しょうがない 。 もと||やす||||き||||||はらだたしくて|

「 国 へ の 依頼 料 と か は 既に 払って いる の か ? くに|||いらい|りょう||||すでに|はらって||| 」 「 ええ ……」 「 キャンセル したら 金 は 戻って くる か ? きゃんせる||きむ||もどって|| 」 治療 師 の 奴 、 俺 を まっすぐに 見て 目 を 見開く 。 ちりょう|し||やつ|おれ|||みて|め||みひらく 「 聖人 様 が 行か れる のです か ? せいじん|さま||いか||| 」 「 どうせ 薬 が 出来る まで 時間 が 掛かる だ ろ ? |くすり||できる||じかん||かかる|| 成功 したら 報酬 を 貰う ぞ 」 せいこう||ほうしゅう||もらう|

「 はい …… 後 半日 は 掛かる か と 」 |あと|はんにち||かかる||

「 わかった 。 その 間 に ドラゴン の 死骸 を 処分 し に 行って くる 。 |あいだ||||しがい||しょぶん|||おこなって| 代わり に 国 へ 支払った 依頼 料 を 寄越せ 」 かわり||くに||しはらった|いらい|りょう||よこせ

「 わ 、 わかりました 」 |わかり ました こうして 俺 達 は 山 の 方 へ ドラゴン の 死骸 を 処分 し に 行く こと に なった 。 |おれ|さとる||やま||かた||||しがい||しょぶん|||いく|||