Tasogare Otome x Amnesia Episode 11

貞一 くん 貞一 くん さだいち||さだいち|

夕子 さん ゆうこ|

僕 は ぼく|

今 まで ずっと ここ に いま||||

ずっと

つい さっき 気 を 失って 倒れ た の よ ||き||うしなって|たおれ|||

ええ

それ じゃ あれ から 時間 は 立って い ない ||||じかん||たって||

うん

影 夕子 は かげ|ゆうこ|

影 夕子 って かげ|ゆうこ|

さっき 僕達 を 追いかけ て |ぼくたち||おいかけ|

夕子 さん は また 記憶 を 切り離し た ん だ ゆうこ||||きおく||きりはなし|||

うん

意識 の 外 に 置 い あって その 存在 を 心から 捨て て いしき||がい||お||||そんざい||こころから|すて|

貞一 くん 立てる さだいち||たてる

ああ はい

どう し た ん です か 夕子 さん ||||||ゆうこ|

貞一 くん あなた 私 の 過去 を さだいち|||わたくし||かこ|

あなた 昔 の 私 の 記憶 を |むかし||わたくし||きおく|

夕子 さん 夕子 さん 夕子 さん ゆうこ||ゆうこ||ゆうこ|

貞一 くん どこ さだいち||

貞一 くん どこ さだいち||

どう し た ん です か 夕子 さん ||||||ゆうこ|

貞一 くん どこ に いる の さだいち|||||

ここ です よ

ここ に い ます よ 夕子 さん |||||ゆうこ|

答え て 貞一 くん ここ に い ます よ 夕子 さん こたえ||さだいち|||||||ゆうこ|

答え て 貞一 くん こたえ||さだいち|

お 願い 一 人 に し ない で |ねがい|ひと|じん||||

夕子 さん 貞一 くん ゆうこ||さだいち|

私 よ 燃え て わたくし||もえ|

燃え て 抱きしめて もえ||だきしめて

見る の は 罪 じゃ ない でしょ う みる|||ざい||||

火 で 闇 を 払え ひ||やみ||はらえ

Choir Jail

嘆 い て も 夢 は 歌わ ない なげ||||ゆめ||うたわ|

ここ で 叫 ん だ よ ||さけ|||

答え は 誰 が 持って る の こたえ||だれ||もって||

うつむ い た まま じゃ 気づか ない |||||きづか|

きみ の 瞳 の 中 未来 を 探す ||ひとみ||なか|みらい||さがす

もしも 奇跡 が 今 も さす なら |きせき||いま|||

にじむ 涙 拭う って |なみだ|ぬぐう|

前 を 向 い て 歩 こ う ぜん||むかい|||ふ||

私 を あけ て わたくし|||

こんな 苦し さ で 何も 見え ない |にがし|||なにも|みえ|

私 よ 燃え て わたくし||もえ|

燃え て 彼方 へ もえ||かなた|

情熱 は 罪 じゃ ない でしょ う じょうねつ||ざい||||

火 で 闇 を 払え ひ||やみ||はらえ

Choir Jail

夕子 さん ゆうこ|

貞一 くん まだ 来 て ない の か な さだいち|||らい|||||

きっと そこ に いる ん だ よ ね

きっと

きっと それ は おまえ が 夕子 の 過去 を 知った こと が 原因 だ な |||||ゆうこ||かこ||しった|||げんいん||

夕子 は 死ぬ 直前 の 記憶 を 自分 から 切り離し て いる だ ろ う ゆうこ||しぬ|ちょくぜん||きおく||じぶん||きりはなし|||||

とても 悲しかった です 背負 続ける に は 辛い 過ぎ ます |かなしかった||せお|つづける|||からい|すぎ|

その 記憶 を 見 た こと で |きおく||み|||

おまえ に も 記憶 が コッピー さ れ た ん だ よ |||きおく||||||||

そんな の って

それ で 夕子 は おまえ の こと も 意識 から 切り離し て いる ん だ ||ゆうこ||||||いしき||きりはなし||||

つまり お前 自身 が 影 夕子 に なった も 同然 な ん だ |おまえ|じしん||かげ|ゆうこ||||どうぜん|||

そんな

夕子 に は 影 夕子 が 見え ない ゆうこ|||かげ|ゆうこ||みえ|

何 か の きっかけ で 一時的 に 見える こと も ある が なん|||||いちじてき||みえる||||

すぐに 記憶 から 切り捨て て 見え なく なる |きおく||きりすて||みえ||

おそらく 新谷 の こと も |あらや|||

あれ お 昼 食べ ない ん です か ||ひる|たべ||||

うん ちょっと 食欲 が なく て ||しょくよく|||

へ ええ そう なん です か

貞一 くん さだいち|

ここ に い ます よ

はえ

ああ いえ なんでも

貞一 くん だ よ ね さだいち||||

どう し た ん です か 新谷 さん ||||||あらや|

やっぱり

まるで 貞一 くん が 幽霊 みたい |さだいち|||ゆうれい|

いや ああ ああ ああ ああ

私 は 幽霊 誰 も 私 の こと を 意識 し ない わたくし||ゆうれい|だれ||わたくし||||いしき||

だれ も だれ も

そんな こと ない です よ

誰 も 私 を 見 ない だれ||わたくし||み|

僕 が 見 て ます ぼく||み||

誰 も 私 の 声 を 聞か ない だれ||わたくし||こえ||きか|

僕 が 聞い て い ます ぼく||ききい|||

誰 も 私 に 触ら ない だれ||わたくし||さわら|

いや あ ああ ああ ああ

まるで 僕 が 幽霊 に なった みたい です |ぼく||ゆうれい||||

そう か

このまま だ と 何 時 の 日 か 夕子 さん は |||なん|じ||ひ||ゆうこ||

僕 の こと も 忘れ ちゃ う か も ぼく||||わすれ||||

幽霊 と 人間 で だけ で まとも じゃ ない ん だ ゆうれい||にんげん||||||||

もしかしたら 潮時 な の かも な |しおどき||||

どう し た 反論 し ない の か |||はんろん||||

それ も そう な の かも 知れ ませ ん ||||||しれ||

僕 が 触れ て 夕子 さん が 苦しむ の なら ぼく||ふれ||ゆうこ|||くるしむ||

近づく べき じゃ ない ん です ちかづく|||||

僕 の 存在 が 辛い 過去 を 意識 さ せ て 悲しむ の なら ぼく||そんざい||からい|かこ||いしき||||かなしむ||

おまえ 本気 で そう 思って いる の か |ほんき|||おもって|||

え 相手 の ため に 身 を 引く なんて そんな の は 嘘 だ |あいて||||み||ひく|||||うそ| 結局 自分 が 怖気づ い てる だけ だ ぞ けっきょく|じぶん||おじけづ|||||

でも

それ を 夕子 が 望 ん でる と でも 思って る の か ||ゆうこ||のぞみ|||||おもって|||

わたし は な 人 に 見え ない から って |||じん||みえ|||

イチャイチャ し てる の を 見る と イライラ する ん だ |||||みる||いらいら|||

霧 江 さん きり|こう|

だが それ 以上 に お前 ら が ウジウジ し てる の は もっと 嫌 な ん だ よ ||いじょう||おまえ|||||||||いや||||

そんな 勝手 な |かって|

ああ 勝手 だ よ はっきり しろ はっきり |かって|||||

夕子 の こと が すき な ん だ ろ う ゆうこ|||||||||

離れ たく ない ん だ ろ う はなれ||||||

屁理屈 を 言って 自分 を 誤 魔 化 す な へりくつ||いって|じぶん||ご|ま|か||

そんな つもり は

おまえ ら 責任 取れよ な ||せきにん|とれよ|

あれ だけ いろんな 事件 で 頑張った のに |||じけん||がんばった|

霧 江 さん きり|こう|

この 程度 で 別れる なんて 私 が 許さ ない から な |ていど||わかれる||わたくし||ゆるさ|||

夕子 さん ゆうこ|

貞一 くん さだいち|

暖かい あたたかい

貞一 くん さだいち|

はい 夕子 さん |ゆうこ|

ありがとう

僕 も 楽しい です よ ぼく の こと を 見 て もらえ なく て も ぼく||たのしい|||||||み|||||

夕子 さん の こと は 見える し 声 も 聞け る し ゆうこ|||||みえる||こえ||きけ||

こうして 気持ち を 交わす こと だって |きもち||かわす||

いや

寂しい よ 辛い よ 忘れ た はず な のに さびしい||からい||わすれ||||

こんな 気持ち 捨て た はず な のに |きもち|すて||||

夕子 さん ゆうこ|

誰 か 助け て だれ||たすけ|

おはよう ございます

だ あっ お っ お おはよう 小此木 さん ||||||おこのぎ|

どう し た ん です か

う うん なんでも

今日 は 新谷 さん に お土産 を 持って き た ん です よ は い きょう||あらや|||おみやげ||もって|||||||

これ は

小此木 製菓 特製 伝説 の キャンディー おこのぎ|せいか|とくせい|でんせつ||

小此木 式 ドロップス です おこのぎ|しき||

小此木 製菓 って おこのぎ|せいか|

うち で 作って る ん です よ ||つくって||||

今度 懐かしい 人気 商品 を 復刻 版 で 出す ん です こんど|なつかしい|にんき|しょうひん||ふっこく|はん||だす||

これ は その 第 一 弾 な ん です |||だい|ひと|たま|||

本当 だ 昔 の と 同じ 味 が する ほんとう||むかし|||おなじ|あじ||

え えっ 新谷 さん 食べ た こと が ある ん です か ||あらや||たべ|||||||

これ 何 十 年 も 作って なかった ん です けど |なん|じゅう|とし||つくって||||

ああ いや なんとなく 懐かしい 味 だ な ～ と 思って |||なつかしい|あじ||||おもって

夕子 さん は これ を あさ ちゃん と 食べ て た ん だ よ な ゆうこ||||||||たべ||||||

あさ ちゃん あさ ちゃん

そう 言え ば |いえ|

どう し た ん です か

ありがとう 小此木 さん |おこのぎ|

え えっ と 良く 分かり ませ ん が お 役 に 立て て 光栄 です |||よく|わかり|||||やく||たて||こうえい|

すみません 無理 言って |むり|いって

なあ に この 程度 お 安い 御用 だ |||ていど||やすい|ごよう|

ここ って

ああ 私 の 祖母 は この 誠 教 学園 の 理事 長 な ん だ |わたくし||そぼ|||まこと|きょう|がくえん||りじ|ちょう|||

そう だった ん です か

他言 無用 で 頼む ぞ たごん|むよう||たのむ|

私 が 生徒 や 教師 に 特別 視 さ れる と 良く ない から わたくし||せいと||きょうし||とくべつ|し||||よく||

皆 に は 伏せ て いる ん だ みな|||ふせ||||

はい

私 も お祖母 ちゃん に は 今日 まで 夕子 が 見える こと を 話し て い なかった わたくし||おばあ||||きょう||ゆうこ||みえる|||はなし|||

どうして

それ は すごく 悲しむ から |||かなしむ|

どうぞ

失礼 し ます しつれい||

私 の 祖母 庚 紫 子 だ わたくし||そぼ|こう|むらさき|こ|

この 人 が 夕子 さん の 妹 の |じん||ゆうこ|||いもうと|

大きく なった わ ね 貞一 君 おおきく||||さだいち|きみ

え 霧 江 から 話 を 聞き まし た |きり|こう||はなし||きき|| 本当 に あなた に も 夕子 が 見える の ほんとう|||||ゆうこ||みえる|

あなた に もって

それ じゃ

ええ ずっと 私 に も 姉 の 霊 が 見え て い まし た ||わたくし|||あね||れい||みえ||||

怒り と 憎しみ に 満ち た いかり||にくしみ||みち|

おぞましい 怨霊 と なった 姿 が |おんりょう|||すがた|

姉 を 埋め た 人 たち に も その 姿 は 見え て い た らしく あね||うずめ||じん|||||すがた||みえ||||

ひどく 怯え て い まし た |おびえ||||

そして 村 で は 長い 間 その こと を 口 に する の は 禁じ られ て い た の です |むら|||ながい|あいだ||||くち|||||きんじ||||||

そう です か

大人 たち が 死に おとな|||しに

若く し て この 学園 を 継ぐ こと に なった 私 は わかく||||がくえん||つぐ||||わたくし|

どこ か に 姉 が 埋め られ て いる 旧 校舎 を 供養 と して |||あね||うずめ||||きゅう|こうしゃ||くよう||

取り壊さ ず 残し て き まし た とりこわさ||のこし||||

でも 姉 の 霊 は 安らぐ こと なく |あね||れい||やすらぐ||

学園 を 彷徨い 続け がくえん||さまよい|つづけ

私 に は どうして あげる こと も わたくし||||||

そんな こと ない です よ

え 夕子 さん は 元気 です 優しく て きれい で |ゆうこ|||げんき||やさしく||| すぐ 機嫌 を 損ねる けど いつも 陽気 で |きげん||そこねる|||ようき|

あなた に は そう 見える の ||||みえる|

はい

浅 ちゃん を 看病 し て い た よう な 優しく て きれい な お 姉さん です あさ|||かんびょう|||||||やさしく|||||ねえさん|

どうして それ を

僕 は 僕 は もう 一 度 そんな 夕子 さん と 話 が し たい ん です ぼく||ぼく|||ひと|たび||ゆうこ|||はなし|||||

紫 子 さん 僕 が あなた に 会い たかった の は むらさき|こ||ぼく||||あい|||

浅 ちゃん の こと を 詳しく 聞き たかった ん です あさ|||||くわしく|きき|||

彼女 の こと かのじょ||

え そう きっと あなた に は あの 子 の 思い が 受け継が れ て いる の ね |||||||こ||おもい||うけつが||||| 見せ て あげ ま しょ う みせ|||||

浅 ちゃん あさ|

まだ 気づか な いよ ね この 写真 は ね |きづか|||||しゃしん||

夕子 さん ごめんなさい ゆうこ||

あら 雪 |ゆき

なに どうして

こんな の 何 ||なん

いや

いや いや いや いや

やめ て

貞一 君 さだいち|きみ

僕 が 見える ん です ね 夕子 さん ぼく||みえる||||ゆうこ|

どうして

こう すれ ば 意識 し て くれる と 思った ん です |||いしき|||||おもった||

ここ に ある の は 夕子 さん に とって 大切 な 記憶 の 品 だ から |||||ゆうこ||||たいせつ||きおく||しな||

貞一 君 さだいち|きみ

それ に 夕子 さん が 僕 を 意識 すれ ば ||ゆうこ|||ぼく||いしき||

もう 一 人 の 夕子 さん も 見える と 思った から |ひと|じん||ゆうこ|||みえる||おもった|

です よ ね

違う の 貞一 君 ちがう||さだいち|きみ

それ は 私 じゃ ない 私 じゃ ない の ||わたくし|||わたくし|||

夕子 さん ゆうこ|

そう あなた に とって は 忘れ たい 記憶 |||||わすれ||きおく

あなた に とって 認め ない 感情 |||みとめ||かんじょう

やめ て お 願い |||ねがい

思い出す の よ 私 の こと を おもいだす|||わたくし|||

一緒 に 苦し ん で いっしょ||にがし||

あの 日 の こと |ひ||

いや

僕 も あなた に 会い たかった ん です ぼく||||あい|||

僕 は あなた に 触れ て 過去 の 記憶 を 見 まし た ぼく||||ふれ||かこ||きおく||み||

そして 知った ん です |しった||

何 が あった の か を なん|||||

あなた が 知ら ない わ ||しら||

本当の こと なんか 何も ほんとうの|||なにも

あれ は すべて で は ない の

あれ で 終わって わけ じゃ ない の ||おわって||||

たっ だ あれ だけ で 分かった 気 に なら ない で |||||わかった|き||||

貞一 君 さだいち|きみ

あなた は 知ら ない 私 の 苦し み を ||しら||わたくし||にがし||

あなた は 知ら ない 私 の 悲し み を ||しら||わたくし||かなし||

殺し て おき ながら 恐れ おののく 人々 の 顔 ころし||||おそれ||ひとびと||かお

私 を 見る 妹 の おびえ た 目 わたくし||みる|いもうと||||め

煮え た ヒルフ の 感情 を 逆なで する 人々 と にえ||||かんじょう||さかなで||ひとびと|

その 苦し み を すべて 押し付け た 私 自身 |にがし||||おしつけ||わたくし|じしん

すべて が 憎い の ||にくい|

痛い の いたい|

悲しい の かなしい|

苦しい の くるしい|

悪く ない のに あんな 目 に あわ さ れ て わるく||||め|||||

その つらい 思い を 全部 背負わ さ れ た ||おもい||ぜんぶ|せおわ|||

そんな 私 の こと あなた に |わたくし||||

あなた に 何 が 分かる の ||なん||わかる|

それ は 僕 に は わかり ませ ん ||ぼく|||||

え 分かり ませ ん だ けど 辛い ん です |わかり|||||からい|| だって 悲しい じゃ ない です か |かなしい||||

苦しい じゃ ない です か くるしい||||

憎む こと しか でき ない なんて にくむ|||||

恨む こと しか でき ない なんて うらむ|||||

ずっと ずっと 長い 間 ||ながい|あいだ

そんな 気持ち で いる こと しか でき ない なんて |きもち|||||||

辛 すぎる しん|

憎む な って ほう が 無理 です にくむ|||||むり|

あんな の 恨ま ず に いる なんて でき ませ ん ||うらま|||||||

僕 も 記憶 を 見せ て もらった とき ぼく||きおく||みせ|||

痛かった ん です いたかった||

すごく 怖かった ん です |こわかった||

そして 悔しかった |くやしかった

あなた が 苦し ん で いる 間 ||にがし||||あいだ

何も でき ず なにも||

ただ 見て いる こと しか でき なかった こと が |みて|||||||

何 の 力 も ない 僕 が 悔しかった ん です なん||ちから|||ぼく||くやしかった||

あんな の って ない

どうして どうして 私 に 触れ られる の ||わたくし||ふれ||

この 憎悪 の 塊 を |ぞうお||かたまり|

この 醜い 姿 を |みにくい|すがた|

だって あなた も 夕子 さん じゃ ない です か |||ゆうこ|||||

あなた も 僕 の 大好き な 夕子 さん じゃ ない です か ||ぼく||だいすき||ゆうこ|||||

だから だ から

やめ て

あなた が 泣く の を やめ て ||なく||||

夕子 さん ゆうこ|

そう よ 貞一 君 に 泣か れ たら ||さだいち|きみ||なか||

あなた に 泣か れ たら ||なか||

あなた に 抱きしめ られ たら ||だきしめ||

あんなに 苦しかった のに |くるしかった|

捨て去り たかった のに すてさり||

全部 消え ちゃ う ぜんぶ|きえ||

こんなに 長い 間 ずっと 思い 続け て き た のに |ながい|あいだ||おもい|つづけ||||

ずっと 切り捨て て い た のに |きりすて||||

そんな こと が どうでも よく なっちゃ う

夕子 さん ゆうこ|

貞一 君 本当 に いい の さだいち|きみ|ほんとう|||

私 いい の わたくし||

ええ だって 二 人 と も 僕 の 大好き な 夕子 さん です から ||ふた|じん|||ぼく||だいすき||ゆうこ|||

私 私 怖い わ よ わたくし|わたくし|こわい|| もう いい の

貞一 君 が 認め て くれる なら さだいち|きみ||みとめ|||

思い残す こと なんて おもいのこす||

お 帰り なさい |かえり|

私 夕子 さん わたくし|ゆうこ| ただいま 貞一 君 |さだいち|きみ

一 人きり の 寂し さ ひと|ひときり||さびし|

一 時 の 微笑み ひと|じ||ほおえみ

あなた が くれる もの は

みんな 愛し い |あいし|

すぐ そば に い て も

触れ られ ない もの ふれ|||

心 は 月 の よう に こころ||つき|||

形 を 変え て く の かた||かえ|||

叶わ ない 約束 も かなわ||やくそく|

乾か ない 涙 も かわか||なみだ|

あなた が くれ た もの は

抱きしめて 踊る だきしめて|おどる

あの 時 人 柱 の 密談 を し て い た 人 たち の 名前 |じ|じん|ちゅう||みつだん||||||じん|||なまえ

全部 呪い 石 の 慰霊 碑 に 刻ま れ て いる そう です ぜんぶ|まじない|いし||いれい|ひ||きざま|||||

そう

結局 疫病 で 苦し ん だ ん です ね けっきょく|えきびょう||にがし|||||

いい の もう

私 の 辛かった 記憶 わたくし||からかった|きおく

私 の 幸せ な 記憶 わたくし||しあわせ||きおく

今 は 全部 ここ に いま||ぜんぶ||

そう だ これ を 見せ たかった ん です ||||みせ|||

これ は 浅 ちゃん ||あさ|

紫 子 さん の アルバム から 借り た ん です むらさき|こ|||あるばむ||かり|||

浅 ちゃん って 本名 は 浅 葱 って いう ん です ね あさ|||ほんみょう||あさ|ねぎ|||||

浅 葱 色 の 浅 葱 あさ|ねぎ|いろ||あさ|ねぎ

夕焼け の 赤 と 夕闇 の 紫 の 間 に 開か れ 薄い 青 ゆうやけ||あか||ゆうやみ||むらさき||あいだ||あか||うすい|あお

浅 葱 って 実は 僕 の おばあ ちゃん の 名前 な ん です あさ|ねぎ||じつは|ぼく|||||なまえ|||

それ って まさか

はい 僕 浅 ちゃん の 孫 みたい です |ぼく|あさ|||まご||

夕子 さん ゆうこ|

無駄 じゃ なかった ん だ むだ||||

私 が 苦し ん だ の 無駄 じゃ なかった ん だ わたくし||にがし||||むだ||||

浅 ちゃん は 無事 に 生き延び て あさ|||ぶじ||いきのび|

こうして 貞一 君 と 出会え た から |さだいち|きみ||であえ||

貞一 君 と 結ばれる なら さだいち|きみ||むすばれる|

私 何 か 人 柱 に なって も いい わたくし|なん||じん|ちゅう||||

結ば れ 夕子 さん むすば||ゆうこ|

どう し た ん です か 夕子 さん ||||||ゆうこ|

う うん 何でもない ||なんでもない

かけ た 心 は 満ち ||こころ||みち

無くし た とき は 巻き戻す なくし||||まきもどす

もう 一 度 過ごす |ひと|たび|すごす

本当 の 姿 で ほんとう||すがた|

十二 の 怪 黄昏 乙女 じゅうに||かい|たそがれ|おとめ