( CD プレーヤー の 音楽 )
( 真 帆 ( ま ほ )) アマデウス と サリエリ
紅 莉栖 ( くり す ) と 私
天 賦 の 才 を 与え られた アマデウス ・ モーツァルト
彼 を 終生 の ライバル だ と 考えて いた ―
アントニオ ・ サリエリ
( 紅 莉栖 ) K ( ケッヘル )311
モーツァルト 「 ピアノ ・ ソナタ 第 11 番 イ 長調 第 1 楽章 」
( 真 帆 ) あなた モーツァルト 好きな の ?
( 紅 莉栖 ) かじった 程度 です けど …
“ 死 と は モーツァルト を 聴け なく なる こと だ ” って 言葉 は 好きです
知ら ない わ そんな 言葉
厳密に アインシュタイン が 言った と いう 記録 は ―
残って ない んです けど …
私 は この 言葉 が ロジカル だ なって 思う んです
( 真 帆 ) ロジカル ?
だって 死んだら モーツァルト は 聴け なく なり ます から
そんな の 当たり前じゃ ない
はい 当たり前です “ 死んだら 聴け なく なる ”
命題 は “ 真 ” です
あ …
( 紅 莉栖 ) ねっ ロジカル でしょ ?
( 真 帆 )2010 年 7 月 28 日 ―
牧 瀬 ( まき せ ) 紅 莉栖 は この世 を 去った
アマデウス と サリエリ
私 に とって 特別な 意味 を 持つ 2 人
( ロッカー を 閉める 音 )
( 真 帆 ) 私 は 紅 莉栖 が 大好きだった
紅 莉栖 を 尊敬 して いた
紅 莉栖 に 憧れて いた
私 は …
♪~
~♪
( 真 帆 ) ん ?
“ 世界 脳 科学 研究 機構 オフィス 準備 室 の レスキネン から ―”
“ 募金 の お 願い ”
“ これ を ご覧 の 方 全員 から 1 ドル もらえれば ―”
“ おでん 缶 が 食べ られ ます ”
相変わらず こういう の が 好き ね 教授 は
( レスキネン ) や あ 真 帆
パワー アップ した 準備 室 へ ようこそ
( 真 帆 ) この テーブル と ソファー が です か ?
( レスキネン ) イエス ! “ シンプルである こと こそ が ―”
“ 真理 へ 近づく 秘訣 ( ひけつ ) である ” と 言う だろう ?
( 真 帆 ) 誰 の 言葉 です ?
私さ ハハハハ …
それ で アマデウス は ?
さっき 最後 の 確認 を し ました
立ち上げて も 問題 ない か と 思い ます
起動 し ます か ? ( レスキネン ) もちろん !
( アマデウス 紅 莉栖 ) お 久しぶりです 先輩
どう ? 問題 は な さ そう ?
( アマデウス 紅 莉栖 ) です ね
私 が 分かる 範ちゅう に おいて は … です けど
分かった 岡部 ( お かべ ) さん に も 連絡 して おく わ ね
( アマデウス 紅 莉栖 ) はい
もっとも 復旧 した と いって も 私 と は 話して くれる か どう か …
そう な の ?
きっと 先輩 と 話して る ほう が 楽しい んです よ
先輩 も 楽し そうです し
( 真 帆 ) ん …
( レスキネン ) フフフ …
まだ そんな こと 言って る の ?
まだ そんな こと 言って る の ?
そんな ん じゃ ない って 言って る でしょう !
( アマデウス 紅 莉栖 ) 冷静な 観察 と 分析 に 基づいた 確度 の 高い 推論 です
( 真 帆 ) どこ が !
頭 の 中 に いつも 渦巻いて いる 色 恋 妄想 でしょ ?
( アマデウス 紅 莉栖 ) あ ?
( 真 帆 ) あ ?
( レスキネン ) ハハハハ … この 雰囲気 懐かしい ね
さあ で は ミーティング を 始めよう か ?
( アマデウス 紅 莉栖 ) はい
( 真 帆 ) はい
( 岡部 ) 何 だ ? これ は …
( ま ゆり ) わ あ …
うわ あ …
( ま ゆり ) すごい 部屋 だ ね
( 真 帆 ) あら 岡部 さん
早かった の ね
( 岡部 ) あ …
あ … ハァ …
何 なんだ この 部屋 は ?
数 日 前 から さらに ひどく なって いる ぞ
( 真 帆 ) 時間 が たてば 物 も 人 も 変わる もの よ
どう ? 機能 的に なった でしょう
( ま ゆり ) 探検 でき そうだ ね
( 真 帆 ) それ より アマデウス が 無事 復旧 した の
そう か
どう する ?
まだ テスト を 続ける なら 再 設定 して も いい けど
ああ 頼む
いい の ? ホントに ?
あれ から いろいろ あって な
思った んだ
“ 受け入れて 進む しか ない んだ ” って
しかし どうして フェイリス は ―
“ まゆ り も 連れて こい ” って 言った んだ ?
エッヘヘ ~
まゆ し ぃ は ひらめいちゃ った のです
フェリス ちゃん は きっと ね この 部屋 を 片づけて ほしい んだ よ
( 岡部 ) まゆ り が いる と 片づく の か ?
たぶん まゆ し ぃ が 来れば ―
あの 人 を 呼んで くれる と 思った んじゃ ない か な ?
あの 人 ?
お 掃除 軍曹 さん です
( 綯 ( なえ )) 私 が 訓練 教官 の 天 王寺 ( てんのう じ ) 専任 軍曹 である
( 岡部 ) ぬ っ …
綯 … だ よ な ?
( 綯 ) フン ! ( 岡部 ) ん っ …
( 綯 ) いい か ? この 部屋 が 片づく まで ―
お前 ら は 尺取り虫 さん だ
葉っぱ の 上 で 伸びたり 縮んだり する しか でき ない ―
地球 で 最 下等 の 生命 体 だ !
分かった か !?
ハァ … 何 だ ? あれ は
綯ちゃ ん はね お 掃除 と なる と ちょっぴり 性格 が 変わる のです
変わり すぎ だ ろ
( ダル ) 掃除 が 終わったら ―
急に 優しく なって イチャイチャ する 展開 キボンヌ
何で お前 まで いる ?
誰 だ 今 気持ち 悪い こと 言った の は !
( ダル ) ひ い っ ! じ … 自分 で あり ます !
何 を ニヤニヤ して いる !
いい か ? 今 から お前 は “ ほほえみ クマ さん ” だ
いい な ? ほほえみ クマ さん !
は はい ! 綯 様 !
よろしい ほほえみ クマ さん
30 秒 以内 に 廊下 の 雑巾がけ 10 往復 だ !
綯 様 は い ! 綯 様 !
ハッ ハッ ハッ ハッ ハッ …
完全に ご 褒美 に なって る な
( 真 帆 ) 一体 何 が 始まる の ?
終わる まで 比 屋 定 ( ひや じょう ) さん と 桐生 ( きりゅう ) さん は 外 に 出て いた ほう が いい
( 真 帆 ) えー ? ( 萌郁 ( もえ か )) 聞いて ない
家主 から の 依頼 だ 拒否 権 は ない
( 綯 ) ん っ …
まだまだ 足りない ぞ ほほえみ クマ さん !
まだまだ 足りない ぞ ほほえみ クマ さん !
( 真 帆 ) それ で その後 の 状況 は ?
( 岡部 ) 進捗 ( しんちょく ) は ない な
犯人 に ついて も 予測 は ついて いる が 調べ よう が ない
SERN ( セルン ) の とき の ように は いか ない
( 真 帆 ) セルン ?
( 岡部 ) あ いや … 何でもない
( 真 帆 ) でも にわかに は 信じ られ ない わ ね
紅 莉栖 が タイム マシン の 研究 を して いた なんて
( 岡部 ) 事実 だ
( 真 帆 ) ウソ だ と は 言って ない わ
まさか … と 思う 一方 で ―
あの 子 なら やり かね ない って
( 岡部 )“ Salieri ( サリエリ )”?
( 真 帆 ) 私 の 大学 で の ユーザー 名
教えて なかった ?
ああ … 何 か 意味 が ある の か ?
特に
そう か
( 真 帆 ) アントニオ ・ サリエリ
アマデウス ・ モーツァルト に よって 人生 を 狂わさ れた 男
知って る ?
( 岡部 ) 映画 の 話 だ ろ ? 聞いた こと が ある
( 真 帆 ) 音楽 家 と して の 成功 を 約束 さ れて いた サリエリ は ―
モーツァルト の 才能 に 嫉妬 し 絶望 して しまう
そして 結果 的に 彼 を 追い詰め 死に 追いやって しまう の
( 岡部 ) 比 屋 定 さん …
( 真 帆 ) 心配 し ないで
本気で そう 思って いる わけじゃ ない
ただ …
( 岡部 ) ん ?
あっ 岡部 … さん
( 岡部 ) 久しぶりだ な
お 変わり ない ようで
そっち も な
( アマデウス 紅 莉栖 ) 当たり前でしょ AI なんだ から
( アマデウス 紅 莉栖 ) 当たり前でしょ AI なんだ から
( メール の 着信 音 )
( 真 帆 ) 何 か … 落ち着か ない わ ね
あと で 使い やすい ように 整理 し ない と
( 岡部 ) その 言葉 を 聞いたら みんな 怒る ぞ
オカリン お 待た せ
( 岡部 ) 寝て しまった んだ な
うん お 掃除 軍曹 は 体力 を 消耗 する のです
( ダル ) 僕 が お ぶろう か ?
天 王寺 さん の こん身 の 右 ストレート を 食らう こと に なる ぞ
こん身 の 右 ストレート !
ハァハァ ハァハァ ハァハァ ハァハァ …
ハァハァ ハァハァ ハァハァ ハァハァ …
こいつ 完全に 訓練 さ れ きって や がる
( ま ゆり ) じゃあ 場所 が 分から ない もの が あったら ―
連絡 して ね
分かった わ
フェイリス さん と 桐生 さん は ?
( ま ゆり ) もう すぐ 帰って くるって
( フェイリス ) わ あ !
( 岡部 ) ん ? ( フェイリス ) 凶 真 ( きょう ま )!
( 岡部 ) だ から その 名前 で 呼ぶ な ( フェイリス ) ハハハハ …
( 萌郁 ) 帰り ? ( 岡部 ) ああ その 袋 は ?
“ 一緒に 買い に 行こう ” って … ( フェイリス ) エヘッ
残念だ けど 今日 は 男子 禁制 ! 凶 真 は ダメニャン
男子 禁制 ?
そう ニャ ! 今日 行わ れる 作戦 は …
ニャン !
夜更かし シンデレラ たち の 秘密の オフ 会
お ねむ で 思わず ドッキリ 発言 ?
ニャ !
(2 人 ) ん …
2 人 と も どうした ニャ ? テンション 低い ニャ
さあ さあ ケーキ も アイス も ちょっと だけ 高い 物 を 用意 した ニャ
( 真 帆 ) まあ いい けど …
( フェイリス ) それにしても 真 帆 ニャン は ―
お 人形 さん みたいだ から 何でも 似合う ニャン
その 呼び 方 やめて
( 萌郁 ) ウフ …
( フェイリス ) ニャ ? ( 真 帆 ) あっ 桐生 さん ?
モエニャン が 笑った ニャ ハハハハ …
や … やめて
す っ す っ ごい おっぱい ニャ
こ これ は くすぐり がい が ある ニャー ホホ …
こ これ は くすぐり がい が ある ニャー ホホ …
( 萌郁 ) えっ … い 嫌 っ やめて
あっ ちょっと … ダメ ダメ 嫌 っ 嫌 っ
あっ ちょっと … ダメ ダメ 嫌 っ 嫌 っ
何 か 変な 気持ち に なって くる ニャー
あっ ちょっと … ダメ ダメ 嫌 っ 嫌 っ
あっ ちょっと … ダメ ダメ 嫌 っ 嫌 っ
オホホホ よい で は ない か オホ オホ オホホホ …
オホホホ よい で は ない か オホ オホ オホホホ …
オホホホ よい で は ない か オホ オホ オホホホ …
やめ … て
オホホホ よい で は ない か オホ オホ オホホホ …
ジュース 取って くる ニャ
ハァ ハァ …
( 真 帆 ) 何 な の よ
何 を 書いて いる の ?
メモ … 小説 の
小説 … 書いて る の ?
うん 私 は 優秀じゃ ない から
代わり が いくら でも いる 人間 だ から
何 言って る の ! 自分 は 自分 代わり なんて いる わけな いわ
でも …
自分 を 卑下 して “ 代わり が いる ” と か ―
自分 を 誰 か と 比較 して ―
劣等 感 を 抱き 続ける と か ―
そんな の … あっ
ん …
何でもない
( 寝息 )
( フェイリス と 萌郁 の 寝言 )
( 岡部 ) あれ から いろいろ あって な
“ 受け入れて 進む しか ない んだ ” って
何で あなた は …
( 真 帆 ) わ あ !
この 基 板 美術 品 みたいに 美しい パターン を して いる わ
“ IFX 008 イメージ センサー ”?
何で こんな 物 が ここ に !?
( 岡部 ) おお っ … おう
( 真 帆 ) 秋葉原 ( あき は ばら ) に こんな 場所 が あった なんて !
( アマデウス 紅 莉栖 ) 真 帆 先輩 実は こういう 人 な の
( 岡部 ) まさか パーツ に ここ まで 反応 する と は …
組み立てる 物 が 好きな の
子供 の ころ は ―
日本 の プラスチック モデル を よく 作った わ
( アマデウス 紅 莉栖 ) じゃあ ゲルマニウムラジオ なんか も ?
はんだ 付け で よく やけど した もの よ
( アマデウス 紅 莉栖 ) ウフッ みんな 同じな んです ね
ホント ! フフフ …
ホント ! フフフ …
( アマデウス 紅 莉栖 ) フフフ …
( 岡部 ) うん お前たち だけ だ と 思う ぞ
( 真 帆 ) あ ~ あ どうして 私 もっと 早く 来 なかった の かしら
教えて くれれば よかった のに
( 岡部 ) まさか そこ まで 好きだ と は
( 真 帆 ) ほか に は あんな 場所 は ない の ?
( 岡部 ) 昔 は もう 少し あちこち に あった けど な
最近 は …
ああ それ より 話 が ある んじゃ なかった の か ?
あと で !
今日 は 時間 ある んでしょ ? もう 少し つきあって
まあ 構わ ない けど な
( アマデウス 紅 莉栖 ) ウフ …
ん ? ああ っ !
( 岡部 ) ん ?
( 真 帆 ) これ って さ ( 岡部 ) ん ?
( 真 帆 ) これ って さ ( 岡部 ) ん ?
( アマデウス 紅 莉栖 ) ん ?
( 岡部 )@ ちゃん ねる の キャラ か
( 真 帆 )@ ちゃん ねる ?
実は この キャラ ―
紅 莉栖 が ベッドルーム に 置いて いた の よ
( 岡部 ) 紅 莉栖 が ? アメリカ まで 取り寄せて いた の か ?
わ ああ ! 先輩 その 話 は …
さすが 隠れ @ ちゃん ねら ー だ な
( アマデウス 紅 莉栖 ) な … 何の 話 かしら ?
@ ちゃん ねら ー って 何 ?
ぬる ぽ
ガッ … ああ っ
くっ … 岡部 ~!
自業自得 だ
ちょっと 挑戦 して も いい かしら ?
えっ と … この アーム を 操作 して そこ の 穴 に 運べば いい の よ ね ?
よ ー し
ああ っ 何で ! 何で そんな 奇跡 的な 動き 方 する の
( 岡部 ) まあ 向こう も 商売 だ から な
( 真 帆 ) でも 今 の で だいぶ ズレ たわ
次 は もう いける って こと よ ね
両替 して くる
完全に 死亡 フラグ だ な
( アマデウス 紅 莉栖 ) そんな こと 言って る 場合 じゃ ない でしょ ?
え ?
ここ は 男 を 見せる ところ よ 岡部 さん !
お … 俺 か ?
よし これ だけ あれば …
え ?
店員 さん が 来て な 少し 位置 を ズラ して くれた
あげる よ
いい の ?
俺 が 持って て も しょうがない しな
じゃあ 遠慮 なく
そんなに 気 に 入って た の か ?
紅 莉栖 が 亡くなった あと に ね
お 母さん が “ これ は 気 に 入って た から ” って ―
紅 莉栖 の ベッドルーム に 飾る こと に した んだ けど ―
火事 で 燃えちゃ った から
そんな こと が …
だから これ は 紅 莉栖 の お 母さん に プレゼント し たい の
いい かしら ?
もちろん それ が いい
あ …
あっ 中 に 入ら ない ? レース ゲーム も ある し
( 岡部 ) ん ?
フッ …
( 真 帆 ) すっかり 長居 を して しまった わ
( 岡部 ) しか し ―
比 屋 定 さん が あんなに レース ゲーム が 得意だった と は な
( 真 帆 ) ちょっと 熱く なって しまった わ ね
( 岡部 ) 次 は どう する ? 食事 に でも しよう か
いえ もう こんな 時間 に なって しまった しね
どうしても 訪れて おき たい 所 が ある の
アメリカ に 帰る 前 に
( 岡部 ) ここ か
( 真 帆 ) そう 牧 瀬 紅 莉栖 が 命 を 落とした 場所
最期 の 場所
嫌 なら 場所 だけ 教えて
1 人 で 行って くる から
( 岡部 ) いや …
( 真 帆 ) ずいぶん 静かな の ね
( 岡部 ) 建て替え が 決まって から 店舗 が だいぶ 移って る んだ
ここ も あまり 使わ れて い ない
( 岡部 ) こっち だ
( 岡部 ) この 中 だ
( 真 帆 ) そう こんな 場所 で
紅 莉栖 …
私 は 物理 学 者 で は ない から ―
相対 性 理論 の こと を 詳細に 理解 して いる わけで は ない けれど …
時間 と 空間 が 同列 なら ―
なぜ 空間 と 同じ ように ―
時間 も 自分 の 意志 で 移動 でき ない の かしら ね
今 空間 的に は 紅 莉栖 の 死 と 同じ 軸 上 に いる の よ
なのに 時間 軸 が ほんの 少し ズレ て いる せい で ―
手出し する こと すら かなわない
( 岡部 ) 手出し は でき ない ( 真 帆 ) え ?
たとえ 同じ 時間 軸 に 戻れた と して も ―
変える こと は でき ない
どうして そう 言い切れる の ?
( 岡部 ) そう 紅 莉栖 と 話した
そう
( 岡部 ) 紅 莉栖 と …
う っ … う う …
岡部 さん ?
岡部 さん !
あっ …
( 岡部 ) ハァ ハァ …
( 真 帆 ) 岡部 さん …
( 岡部 ) ぐ っ … すまない
( 真 帆 ) ごめんなさい
私 こそ デリカシー の ない こと を したわ
そこ まで 紅 莉栖 の こと を …
( 岡部 ) いや 気 に し ないで くれ
ねえ 本当に セミナー で 知り合った だけ な の ?
とても そう は 思え ない
時々 あなた と 紅 莉栖 の 話 を して いる と 思う の
1 か月 2 か月 …
いえ それ 以上 前 から 知り合い だった ような 話し 方 だって
それ は …
( 真 帆 ) なぜ そこ まで 紅 莉栖 の こと を …
俺 は …
俺 は 紅 莉栖 を …
( 真 帆 ) ん …
すまない
分かった わ
あなた の 中 に 話せ ない 何 か が ある こと は 分かった
それ で 十 分
比 屋 定 さん …
( 真 帆 ) あなた を 見る たび に ずっと 思って いた の
“ どうして いつも 寂し そうな んだろう ” って
紅 莉栖 の 話 を する とき も そう
みんな と 話して いる とき も そう
何 か を ずっと 後悔 して いて ―
何 か に ずっと あらがって いる ようで
まゆ りさん や 私 の こと も ―
懸命に 何 か から 守ろう と して いる ようで
そ したら 実際 に 襲撃 さ れたり して …
そんなふうに 思って いた の か
ええ
全て を 今 話して ほしい と は 思わ ない
ただ あなた の その 気持ち に 力 に なり たい と 思う
だから …
だから ?
誰 に も 言わ ない と 心 に 決めて いた けど 話す わ
私 ね …
実は 持って いる の
紅 莉栖 の … 牧 瀬 紅 莉栖 の 遺産 を
紅 莉栖 の … 遺産 ?
( 真 帆 ) そう
彼女 の ノート パソコン
( 岡部 ) な っ !?
( 真 帆 ) 彼女 の 研究 データ を 記録 し 論文 を 書き ―
プライベートな こと も 記録 して ある 彼女 の パソコン
私 の ホテル に 入った 賊 の 狙い も 恐らく それよ
( 岡部 ) ハッ … どこ に ある ?
パスワード が 分から なくて ね
今 信頼 できる 所 に 解析 に 出して いる わ
ダメだ !
その パソコン は パンドラ の 箱 だ
開けて は いけない
中 に 入って いる データ は 世界 を 滅亡 へ と 導く 災厄 だ !
どういう こと ?
話し ただ ろ ?
タイム マシン の 開発 を 巡って ―
アメリカ と ロシア で 争い に なって いる って !
その パソコン に 収め られて いる であろう データ は ―
両 国 が 最も 欲しがって いる もの だ
第 3 次 世界 大戦 の 引き金 と なる もの な んだ !
第 3 次 … 世界 大戦 ?
♪~
~♪