イタズラ な Kiss 〜 Love in TOKYO #10 (2)
お前 の 弟 が 倒れた ん や
今 琴子 と 一緒に 高尾 病院 に おる ん や
( 直樹 ) すいません ちょっと 抜け ます
( 店員 ) オーケー
( 金之助 ) すいません すいません
( 直樹 ) タクシー !―
すいません 高尾 病院 まで お願いします
入江 君 早く 来て …
入江 君 …
( 直樹 ) すいません 入江 裕樹 は ?
( 戸 が 開く 音 )
入江 君 ! よかった
裕樹 君 が 手術 し ない と いけなくて 親族 の 同意書 が …
今 手続き して きた もう 大丈夫
もう 大丈夫 だ 待たせて 悪かった な
( 裕樹 ) ぼ … 僕 死ぬ の ?
死な ない 簡単 な 手術 だ すぐ 終わる
頑張れ よ
( 戸 が 開く 音 )
( 医師 ) それ じゃあ 準備 が でき ました ので ―
手術室 に 運び ます
( 看護師 ) ご 家族 の 方 は 手術 が 終わる まで こちら で 待機 して いて ください
( 直樹 ) 分かり ました ありがとう ございます
( 金之助 ) はぁ …―
これ で 琴子 も 一安心 や な ほな わし もう 行く わ
今日 大将 おら ん で 小田原 さん 1 人 や し
いっぱい いっぱい や と 思う から
ほんとに ありがとう
小田原 さん に も よろしく 伝え といて ね
おう ほんま 大事 に 至ら ん で よかった またな
( 琴子 ) うん
( 直樹 ) 池沢
ありがとう
お前 ちょっと 自分勝手 すぎる ん ちゃう か ?―
1 人 暮らし す ん の は 勝手 や けど
家族 に 連絡先 ぐらい ちゃんと 教え とか ん かい !―
その せい で 裕樹 君 に もしも の こと が あったら ―
どない す ん ねん
わし かて 大阪 出て 1 人 で 東京 に 来た 男 や
お前 が 1 人 で おり たい っちゅう の は
何か 深い 訳 が ある ん やろ
せや けど その せい で 万が一 の こと が 起き たら
自分 も 周り の 人間 も 傷つく ん や で
そう なって から で は 遅い ねん ―
ふう
人 は 1 人 で は 生き られ へん の や
自分 の 思って る こと と か 考えて る こと と か
周り の 人間 に 話す ん は 大事 な こっちゃ で ―
ふう
ほな 琴子 またな
ほんとに ありがとう
( 琴子 ) はぁ …
入江 君 ?
そう だ 私 おば 様 に 連絡 する の 忘れて た
おお よし
あっ 大変 だ いっぱい 着信 ある
ここ 病院 だ ぞ
そっか
♪~
( 携帯 電話 の 呼び出し音 )
( 紀子 ) あっ やっと つながった わ ! 琴子 ちゃーん !
おば 様 あの ゆ … 裕樹 君 が 急きょ 手術 する こと に なって
( 紀子 ) え えっ !? え … 手術 !?
あの 腸閉塞 の 一種 らしい んです けど あの …
あの 発症 して から すぐに 手術 する こと が できた ので
あの 大事 に は 至らない だろう って はい
あっ もう すぐ あの 手術 終わり ます
そいで あの 入江 君 が 来て くれて
あの それ で 付き添って くれて る ので
( 紀子 ) ああ と … とにかく ! 私 も すぐに 戻る から !
あ … すぐに 戻る って 九州 です よ ね ?
あの 飛行機 と か 新幹線 と か もう 終わって ます よ …
( 紀子 ) 東京 プリーズ !
( 琴子 ) おば 様 たち 今 どこ に いる んです か ?
( 紀子 ) 私 たち の こと は 心配 いら ない わ ―
( 紀子 ) 私 たち の こと は 心配 いら ない わ ―
( 重雄 ) おーい
( 紀子 ) 私 たち の こと は 心配 いら ない わ ―
( 紀子 ) 私 たち の こと は 心配 いら ない わ ―
( 重樹 ) エブリバディ う う …
( 重樹 ) エブリバディ う う …
( 重樹 ) エブリバディ う う …
何と して でも 絶対 必ず ―
東京 に たどりつく から ー !
東京 に たどりつく から ー !
( 重雄 ) 何で 博多 ?
東京 に たどりつく から ー !
東京 プリーズ !―
私 が 帰る まで あと 少し 裕樹 を よろしく ね !
私 が 帰る まで あと 少し 裕樹 を よろしく ね !
はい あの おば 様 たち も あの 気 を 付けて
私 が 帰る まで あと 少し 裕樹 を よろしく ね !
私 が 帰る まで あと 少し 裕樹 を よろしく ね !
はい … はい
はい … はい
( 携帯 電話 の 切れる 音 )
( 携帯 電話 の 切れる 音 )
え ? もしも … もしも … え …
え ? もしも … もしも … え …
ありがとう 琴子
( 鼻 を すする 音 )
怖かった …
( 琴子 の 泣き声 )
( 琴子 ) 怖かった …―
入江 君 怖かった …
( 琴子 の 泣き声 )
( 琴子 の 泣き声 )
もう 大丈夫 だ よ
( 琴子 の 泣き声 )
( 医師 ) 手術 は 無事に 成功 し ました
あした に は 一般 病棟 の 方 に 移し ます
ご 家族 の 方 も 今夜 は 一度 お 戻り に なら れて ください
でも …
ICU の 方 で は 付き添い が でき ません し
宿泊 施設 も 用意 して い ません ので
あした の 朝 来て いただければ 大丈夫です から
分かり ました
先生 本当に ありがとう ございました
しかし あの お嬢さん が 素早い 判断 を して
病院 に 連れて きて くれて 本当に よかった ―
早期 に 発見 すれば 決して 大事に 至る 病 で は ない のです が ―
単なる 腹痛 だ と 思って 我慢 さ せて しまう こと も 多くて
本来 なら 治る 病 な のに 命 に 関わる 事態 に
なって しまう こと も ある んです よ ―
特に 小さな 子供 の 場合 は ―
弟 さん は 本当に 運 が よかった ―
あの お嬢さん に 感謝 し ない と いけ ませ ん ね
( 琴子 ) どう だった ?
もう 大丈夫 あした に は 一般 病棟 に 移れる って
じゃあ 私 裕樹 君 の 付き添い に …
じゃあ 私 裕樹 君 の 付き添い に …
それ は でき ない って
それ は でき ない って
でも …
後 は プロ に 任せよう
あした から も 裕樹 の 入院 生活 は 続く んだ し
お前 も 少し 休んだ 方 が いい
行こう 送って く よ
( 琴子 ) う ~ うわ 雪 降って る
( 直樹 ) 今夜 かなり 冷え込んだ から な ―
終電 も 終わって る し ―
この 雪 じゃ なかなか タクシー も 拾え そうに ない な
( 琴子 ) え ?―
ああ どう しよう ―
ほんと だ 全然 車 来 ない
俺 の マンション 来る ?
えっ ?
こっから 歩いて 10 分 ぐらい な んだ けど
( 琴子 ) 傘 は ? 傘 は ?―
傘 … あの 傘 は …
どうぞ
( 琴子 ) お邪魔します
じろじろ 見 ん な よ
フフ …
( 琴子 ) これ が 入江 君 の 住んで る 部屋 ―
私 今 入江 君 の 部屋 に 二人きり で いる んだ
この 部屋 …
松本 さん も 来た の ?
( 直樹 ) いや お前 が 初めて
冷え た だろ ?
シャワー 使う ?
ほおっ
アハッ 入江 君 お 先 に どうぞ
俺 は 後 で いい よ
おお いや 入江 君 ち なんだ から
おっ 私 おば 様 に
無事 手術 が 終わった って 連絡 とか し ない と ―
あの 今夜 は 付き添い でき ない んだ って 言っ とか ない と
病院 に 直行 し ちゃい そう だ し ねっ
だから 入江 君 先 に どうぞ ハァ ハァ
( 琴子 ) 彼 は シャワー を 浴びて いて ―
そして これ から 二人きり の 一夜 が …―
そりゃ 入江 家 で 一度 そんな こと も あった けど ―
今度 は 訳 が 違う ―
だって この 部屋 …―
ベッド が 1 つ しか ない んだ もん !
ええ ~ う おお ~
ううん 私 こんな とき 何て こと 考えて ん の もう
ハァ ハァ …
( ドア が 開く 音 )
( 直樹 ) お先に
( 琴子 ) うん
( 直樹 ) 着替え 俺 の しか ない けど
うん
ありがとう
じゃあ
じゃあ お 風呂 いただきまーす ウフフ
ウフフ じゃあ
ふう
おっ 入江 君 の シャンプー
おお 入江 君 が 使った せっけん
フフ …
フフ …
( ノック )
( ノック )
( ノック )
ほっ ほっ はい はい
ほっ ほっ はい はい
( 直樹 ) タオル そこ に ある から
あ … はい
ああ … 入江 君 の タオル …
ああ …
( 物音 )
お 風呂 いただき ました
ああ
俺 そろそろ 寝る けど
うっ ああ そう ね
じゃあ 私 ここら 辺 で 寝る から 入江 君 どうぞ ベッド 使って
そんな の 当たり前 だろ
へっ ?
普通 女の子 に
“ 何 言って んだ よ ”―
“ 俺 ここ で 寝る から 君 ベッド 使い な よ ”―
と か 言わ ない ?
冗談 だ よ ベッド 使って いい よ
え ?
ああっ いや いや でも
あの それ じゃ 申し訳ない から ね ?
自分 で 言いだした くせ に どっち だ よ
いい から さっさ と 寝ろ よ
いや … いや でも …
( 直樹 ) おやすみ
うっ はい
電気 消す ぞ
は … はい
ねえ
( 直樹 ) 何 だ よ ?
ちっちゃい 電気 つか ない ?
俺 真っ暗 じゃない と 寝れ ない んだ けど
でも これ じゃ トイレ に も 行け ない
( 直樹 ) はぁ …―
ったく ―
これ で いい か ?
うん ごめん ね ありがと
じゃあ おやすみなさい
( 時計 の 秒針 の 音 )
ねえ
今度 は 何 だ ?
入江 君 やっぱり 寒く ない ?
寒い に 決まって んだ ろ
う … 私 やっぱり 下 行く よ
あの だって ここ 入江 君 ち だ し さ
いい から もう 寝て くれ よ
え … でも だって 申し訳ない し
だって 冷たい の も だって もう …
分かった !
俺 も そっち に 行けば いい んだ ろ ?
へ ?―
う … ちょっ あっ 私 床 に 下 に …
いい よ こう したら お前 も 静かに なる だ ろ
( 琴子 ) あ …
( 直樹 ) おやすみ
♪~
( 琴子 ) 私 ったら 何 を 期待 して る ん だろう ―
裕樹 君 が こんな とき に ―
当たり前 じゃない
おやすみなさい
( 琴子 ) でも 女の子 と 1 つ の ベッド で 何も し ない なんて ―
ただ 私 に 女 と して の 魅力 が ない だけ な の か なあ ―
そう か そう だ よ ね
( 直樹 ) 落ち込んで る ?
俺 が 何も し ない から お前 落ち込んで る だ ろ ?
( 琴子 ) フ … 落ち込んで なんか …
俺 おふくろ の 思いどおり に なり たく ない んだ
今日 お前 が ここ に 泊まり に 来た こと を おふくろ が 知って
それ で 何か あった なんて いう こと に でも なって みろ
あの 人 の 思うつぼ だ ろ
そしたら 俺 一生 あの 人 の 思いどおり に され ちまう
琴子 ちゃーん
お 兄ちゃん の 部屋 に 泊まった の ?
まあ ! ウフフ
( 琴子 ) フフ … 何となく 分かる
だから 家族 に も この 家 の 住所 を 教え なかった んだ
そう だった の
おふくろ って あんな ん だ ろ ? もし 住所 教えたら
合鍵 作って 毎日 押しかけて
3 食 作って 置いて き そう だ もん
それ じゃあ 1 人 暮らし の 意味 ない から さ
1 人 暮らし の 意味 ?
あの まま ずっと 家 に いて
大学 出て おやじ の 会社 継いで
本当に そのまま で いい の か なあ と 思って
それ じゃあ 親 の 敷いた レール どおり に 生きて る だけ じゃん
それ が 本当に やり たい こと なら いい けど
分かんなく って
だから 自分 が やり たい こと を 見つける ため に
自分 の 力 だけ で 生活 して みたい って 思った んだ
そう いえば …
入江 君 お 台場 ( だいば ) で 言って た もん ね
何の 苦労 も ない 人生 より
あえて 試練 に 立ち向かった 方 が 面白い って 思う ように なった って
まあ ね
フッ じゃあ
1 人 暮らし 始めた の 私 を 避ける ため じゃ なかった んだ
何で そんな こと の ため に
ここ まで 面倒くさい こと し なきゃ いけない んだ よ
1 人 暮らし って 結構 大変な んだ ぜ
今 まで 実家 で
どれほど 甘やかさ れて きた か 思い知ら さ れた よ
そっか
でも …
その せい で こんな こと に なって
今 まで 俺 お前 に 迷惑 かけ られ っぱなし だった けど
今日 は 俺 が 迷惑 かけ ちゃった な
フフ …
そんな こと …
私 は
そんな こと くらい しか でき ない から
入江 君 は 天才 だ から 何でも でき ちゃう けど
今日 病院 で 思った んだ
人 の 命 って 一瞬 の 判断 に 懸かって る ん だって
ちょっと した こと で
簡単 に 治せる もの も 治せ なく なっ ちゃう
それ くらい 人 の 命 って もろい もの な んだ なって
( 医師 ) 本来 なら 治る 病 な のに 命 に 関わる 事態 に ―
なって しまう こと も ある んです よ ―
特に 小さな 子供 の 場合 は ―
今回 だって もし 朝 まで 待って いたら …
俺 も 怖かった
今 まで 命 なんて 神様 が 決めた もん で
人 に は どうにも でき ない って 思って いた から
でも 入江 君 に は どうにか でき ちゃい そう
いろんな 薬 発明 したり
お 医者 さん に なって 病気 ぺろ って 治したり ―
入江 君 に は いっぱい いろんな 可能性 が ある んだ よ ね
その 可能性 を 見つける ため に 1 人 暮らし した んだ よ ね
どんなに 可能性 が あって も
何 を やり たい の か 分かって なかったら
意味 が ない から ―
今 まで 何 を やって も 余裕 が あった
逆に いえば 暇 だった んだ よ
忙しく なって みて
自分 に とって 大切 な もの 興味 が ある こと
少しずつ だ けど 分かって きた 気 が する んだ …
( 琴子 の 寝息 )
( 琴子 の 寝息 )
お前 って ほんと 大事 な とき に こう だ もん な
♪~
( 琴子 )“ 先 に 裕樹 君 の 病院 に 行って ます ”―