( 入江 琴子 ( いりえ ことこ )) あ …
ああ ~! あったあ !
( 一同 ) よっしゃ ー
( 入江 紀子 ( のりこ )) おめでとう ~!
( 琴子 ) 入江 君 私 の 最初の 看護 師 姿 …―
見て ねーっ !!
少し でも 早く 入江 君 に …
入江 君 に … 報告 を …
( 入江 直樹 ( な おき )) やっと 一緒に 働ける な
1 年間 よく 頑張った な
入江 君 !
結構 いいじゃん その 格好
うん …
♪~
失礼 しまーす !
( 男性 達 ) うげー !!―
琴子 ちゃん だ ー !!
何 な んです か ! 私 が 入ってきて “ うげーっ ” て
( 男性 ) で … で 何 する の ?
何 って 採血 です よ
うわ ~ っだ … 誰 ? 誰 ?
えーと 原田 ( はらだ ) さん と 木村 ( きむら ) さん です ね
( 木村 ) うわーっ 俺 だ ~!
( 琴子 ) ほらほら さっ やり ます よ よっこいしょ
( 男性 ) あ … 兄ちゃん 今朝 入院 した ばかりで 知らねー よな
最初 から 気の毒に
( 原田 ) え ?
あの 看護 師 入江 琴子 って いう んだ けど
要注意 人物 だ から
まあ … 見 とけ よ
やー ねえ 注射 ぐらい で ビビっ ちゃって
木村 さん 子供 みたーい
さっ 腕 出して 右 が いい かな 左 が いい かな ?
失敗 し ないで よ
任せて ください はい まず は 駆血帯 ね
あっ 親指 ぎゅっと しまって ください ね
よいしょ ~
ふんっ
うっ …
で 血管 を 浮き上がらせて …
痛い 痛い … 痛いっ !
でえー 消毒 し ます よ …
よいしょ
ちょっと 冷たい です よ ~
よしっ
ふっ
さっ
じゃあ ちょっと チクッと し ます よ ~
はっ
はっ
うぎゃー !
うぎゃー !
( 琴子 ) あれ ? あれ ? おかしい な ~ 血 が 入って こ ない
あ … 大丈夫 です よ ―
血管 が 細い の かな …
変 だ な ?
よいしょ
あ ちょっと 待って ください ね ~
よいしょ ~―
ほっ
じゃあ もう 一回 チクッと し ます よ ~
ほっ
ぎゃー !
( 琴子 ) あれ ?
ぎゃー !
( 琴子 ) はっ
( 木村 ) ぎゃー !
ぎゃー !
ふっ … あれ ?
ふっ … あれ ?
ああ ~!
( 琴子 ) ふっ …
( 木村 ) ぎゃー !
おっかしい な …
いつも こんなんじゃない んだ けど な
これ で 最後 もう 一回 !
腕 が 穴 だらけ に なる ! もう やめて くれ !
( 清水 ( しみず )) ちょっと 入江 さん ! 何 して る の ?
( 琴子 ) 清水 主任 !
もう ~ 貸し なさい !
あ …
助かった
ま … 木村 さん は 難しかった けど ―
原田 さん なら …
はあっ …
勘弁 して くれ … 勘弁 して くれ !
あっ ちょ … 原田 さん 待って ~!
♪~
( 清水 ) ったく 言語道断 !―
入江 さん あなた 看護 師 に なって どれ ぐらい 経つ の ?
に … に … 2 か月 です
注射 2 回 失敗 したら ―
別の 人 を 呼び なさい って 言った でしょ !
すいません
いつまでも 実習生 気分 で いられたら 困り ます !
だいたい 昨日 も …
( ナースコール の 音 )
あー ! 私 の 担当 の 部屋 だ ~
は~い いかが され ました ー ?
はいはい … はい あっ わかり ました は~い
清水 主任 ! いってきまーす
入江 さん ! 入 …
ったく ! 逃げ足 だけ は 早い んだ から
では お大事に
( 桔梗 幹 ( ききょう もとき )) こーとこ !
( 琴子 ) モト ちゃん
また 清水 主任 の カミナリ 落とさ せた って ?
何 よ 元気ない わねー
主任 と か 先生 に 怒ら れる の 慣れっこ でしょ ?
そんな こと じゃない の !
せっかく やっと の 思い で 看護 師 に なれて ―
“ ああ 入江 君 と 一緒に 働けるう !”
って 喜び に 涙 して た のに …
なのに なのに よ !
神戸 の 病院 に 欠員 なし で 断ら れる なんて …
そんな こと って ある !?―
まだ 入江 君 と 離れ離れ の まま な の ひどすぎる よお !―
そりゃあ 元気 も 出る わけない じゃなーい !
そう よ ねえ …
そろそろ 離婚 の 話 が 出て も おかしく ない わ ね
ちょっ やめて よっ !
しょうがない じゃない
まっ 慣れ親しんだ 斗南 病院 に 配属 された だけ ―
マシ な んじゃない ?
まあ そりゃそー だ けど …
真里奈 ( まりな ) と 船津 ( ふなつ ) さん は 何の 因果 か 同じ 循環器 内科 で
智子 ( ともこ ) は もちろん 第二 外科
啓太 ( けいた ) は 整形 外科 で …
モト ちゃん と 私 は 第三 外科 大学 の 時 と 同じ メンバー な のに …
入江 君 だけ が い ない の よーっ !!
( 琴子 ) いつ に なったら 私 ―
入江 君 と 同じ 病院 に 行ける ん だろう ―
やっと 入江 君 の 役 に 立てる 私 に なれた のに …―
神様 の イジワル …
( 西垣 ( にしがき )) 入江 くーん
浮か ない 顔 を して いる ね また ドジ した の ?
( 幹 ) 西垣 先生 ~
せんせー この 子 ったら ―
採血 でき ず に 患者 さん の 腕 穴 だらけ に した んです よ
ちょっと ! 余計な こと を …
それ は ひどい
おーっ !
今度 僕 が じっくり 注射 を 教えて あげる よ
夜勤 の 時 に でも … ね ?
結構です !
そう ? じゃあ デート でも する ?
はあ !? 西垣 先生 !
私 は これ でも れっきとした 人妻 な んです
なん だって ねえ ~
いや ~ 見え ない なー 見え ない よ …
旦那 かなり 優秀な 研修 医 だって ?
僕 より イイ 男 な の ?
当たり前 です !
ふーん なーんか 許せ ない な
まっ ここ に い ない 奴 じゃ ライバル に も なん ない けど ね
旦那 が い なくて 寂しく なったら ―
僕 の ところ おいで 遠慮 せず に
行き ません !
( 幹 ) 行き ます
( 田中 ( たなか )) 西垣 先生 お昼ご 一緒 し ませ ん ?
( 西垣 ) ああー 田中 く~ん
いい よ ! あれ ?
髪型 変えた ?
わかり ます ? 嬉しい
もちろん だ よ
きれいな 人 の 変化 は 見逃せ ない 性分 で ね
いいね 似合って る よ
( 田中 ) 本当です かあ ? もう お 上手な んだ から ―
長い ランチ に なり そうだ !
ひいー !
軽うい ! 寒気 して きた !
でも イイ 男 じゃない ? 西垣 先生
あの 先生 なら オーケー な んだ けど な あたし
はあー ? 何 が オーケー な の よ あんな チャラい 男 !
外科医 として の 腕 も 超 一流 だ し ―
かっこいい し 29 歳 独身 だし …
入江 さん が い ない 今
西垣 先生 で 目 の 保養 を する しか ない の よね ー
ねっ そう 思わ ない ?
ぜんっぜん !!
まっ 確かに 確かに ! 顔 は 男前 だ し ―
腕のいい お 医者 様 な の かも しれ ない けど …
けど ! 全然 違う の 入江 君 と は !
どんな 色っぽい 看護 師 でも 患者 さん でも なびか ない ―
硬派 な お医者様 な の !
あんた に も ね
は ?
でも 女 に 対して 硬派 と いえば ~
大蛇森 ( だいじゃもり ) 先生 だって そう じゃない ?
アハハ …
もう やっだ ! 一緒に し ないで よ ~
あの 先生 は そういう 意味 じゃ …
あーっ !
何 よ ?
11 時 に MRI 室 に ―
大蛇森 先生 の 患者 さん 連れて いか なきゃ だった …
あの 先生 1 分 でも 遅れたら 大変 よ ~
ね ちっこい から ね
えー ちなみに 今 …―
11 時 15 分
ノー !!
入江 さん ! 廊下 は 走ら ないっ !!
( 琴子 ) すいません …
( 清水 ) こらーっ !!
ほっ よっ …
( 細井 小百合 ( ほそい さゆり )) 事情 は 清水 主任 から 聞き ました
困り ました ね …
今日 だけ で 江崎 ( えざき ) 先生 ―
大蛇森 先生 から も 苦情 が 出て いる し
患者 さん から も 苦情 が 出て い ます ―
ったく 初歩的 な ミス が 多すぎ ます !
すいません
入江 さん
あなた 神戸 の 病院 に 希望 を 出して いる わ よ ね ?
あっ はい
ご主人 …
入江 先生 が あちら で 働いて いる から ?
はい 入江 く …
入江 先生 の もと で 働き たい と …
それ は 結構な こと ね
私 も 夫婦 離れ離れ は いけない と 思い ます
ただし ! 今 の まま の あなた で いい と 思い ます か ?―
入江 先生 は 医学生 の 頃 から とても 優秀 でした から ―
今 ますます ご 活躍 されて いる こと でしょう
あなた は そんな 入江 先生 の
よき パートナー に なり たい の よ ね ?
はい !
でも 今 の まま の あなた だったら よき パートナー どころ か ―
入江 先生 の 迷惑に なり かね ません よ !
( 琴子 ) 入江 君 の … 迷惑 …
♪~
( せき払い )
( 相原 重雄 ( あいはら しげお )) あのなあ …
( 池沢 金之助 ( いけざわ きんのすけ )) なん や なん や 琴子 ~
久しぶりに 来て くれた と 思ったら えらい 落ち込んで んな
( クリスティーヌ ・ ロビンス ) ホンマ ヤ 琴子 ドナイシタン デッカ ?
念願 の 看護 師 さん に なれた ん やろ ?
わし の 具合 が 悪う なったら ―
琴子 に 看病 して もらう の 楽しみに しとった ん や で
金之助 ハ アタシ ガ 看病 シマ ン ガナ
アホ ! 昔 から の 夢 な ん じゃ
ソンナ 夢 ハ 捨テ ナハレ
なんで や ねん !
ワタシ モ ナース デキル ヤ ネン !
できる ん か ? お前
できる ん か ? お前
デキマス ヨ
デキマス ヨ
デキマス ヨ
やってみ …
やって み …
やって み …
OK
仲いい ね 金 ちゃん と クリス
なんで 結婚 し ない の ?
ソー ヤ モット 言ッタッテ 琴子 !
お前 離さん かい ! もう
二人 で 一緒に 働いて …
二人 で ずーっと 一緒に いれて …
いーなあ
入江 と 離れ と ん の が いっちゃん こたえて ん の やろ
琴子 アカン デ 好キ ナ 男 ト 離レトン ノ ハ
ワタシ ダッテ イギリス 帰ル ノ ヤメマシタ ンデ !
そう だ よ ね …
私 も ホント は ずっと 入江 君 と ―
毎日 会い たい
でも ね このまま じゃ ダメな ん だって
入江 君 に 迷惑 かける だけ なん だって …
本当に そうだ よ ね …
いつも 失敗 ばっかり して
先生 や 患者 さん に まで も 迷惑 かけ ちゃって
怖がられて …
このまま じゃ …
入江 君 の お 手伝い どころ か ―
足手まとい に なる だけ
琴子 …
( クリスティーヌ ) アキマヘン 琴子 !
何 弱イ コト ホザイテ マンネン ! ン !?―
アタシ ノ 恋 ノ オ 手本 デシタ 琴子 ガ
ドコ 行ッテ シマイマシタ ン ノ !―
モウ ソンナ 弱気 ナ 琴子 ハ 琴子 ト チャイ マッセ !
琴子 ナラ 琴子 ナラ …
花 モ 嵐 モ 踏ミ越エテ ソレデモ 入江 ヲ 追イカケル ンダ !
ソレガ 正シイ 琴子 デッセ !
花 も … 嵐 も ?
( クリスティーヌ ) ソウデス !
踏み越えて ?
ウン ソー デン ガナ !
ああ … そうだ よ ね
でき なかったら やれる ように 頑張る しか ない んだ よ ね
立ち止まったら もう 入江 君 に 会え なく なっ ちゃう もん ね !
ソウ デッセ 琴子 !
クリス !
ソレデコソ 正シイ 琴子 デッセー
私 やる わ !
立ち直り の 早い 奴 だ な
( 琴子 ) 花 も 嵐 も 踏み越えて … か
横井 ( よこい ) さん の 点滴 終わり ました 今 から 昼食 の 配膳 行って き ます
そ … そう ~ ご苦労様
あっ 山岸 ( やまぎし ) さん 203 号 室 の シーツ 交換 どう なった の ?
( 山岸 ) あっ すいません ! 今 すぐ …
私 やっと き ました
(2 人 ) えっ ?
じゃあ 行って き まーす
ど … どー し ちゃった んでしょう 入江 さん
さあ ?
( 琴子 ) 将来 の 夢 って ある の ?
( 少年 ) 将来 の 夢 ? 将来 の 夢 は …
うーん …
私 は ね ~ あの ね ~ 旦那 さん が ね お 医者 様 で ね
だから ね 私 看護 師 に なった んだ よ
( 原田 ) 神様 神様 …
よし じゃあ ちょっと チクッと し ます ね
神様 神様 … か …
( 木村 達 ) おお ~
( 拍手 )
216 の 長谷部 ( はせべ ) さん が 13 時 に 術後 の 痛み を 訴えて きた ので ―
ソセアタ を ドリップ し とき ました
はい わかり ました
失礼 し ます
( 細井 ) ああ ~ 入江 さん 来 ました ね
すいません
私 また 何 か しでかし ました か !?
オホホ …
違う わ よ 今回 は いい お 話 です よ
空き が 出た そうです
へっ ?
神戸 の 入江 先生 の いる 病院 から 通知 が 来 ました
早速 来週 に でも 移れる 手続き を 取り ましょう ね
一日 も 早く 行き たい でしょ ?
あの … あ … あの …
私 もしかして 入江 君 の 病院 に ?
そう です よ !
あなた も 長い 間 離れ離れ で つらかった でしょ ?―
最近 の あなた は 随分 頑張って い ました から ね
その 調子 で 入江 先生 の お 手伝い を して ください
はいっ ! 師長 ~ ありがとう ございます !
オホホ … オホホ …
神戸 の 病院 ?
( 男性 ) そっかー 琴子 ちゃん い なく なる んだ
いや ~ そりゃ 寿命 が 少し 延びる かも な
( 男性 達 の 笑い声 )
ちょっと !
でも 寂しく なる ね
そう そう この 元気な 声 が 聞け ない の は な ~
旦那 さん の 先生 と うまく や んな よ
( 木村 ) 注射 も もっと うまく ね
私 … みなさん の こと …
( 西垣 ) あー いた いた 入江 君 !
何 やって ん の 原田 さん の 回診 する よ
あ … は … はい
( 西垣 ) 原田 さん じゃあ 傷 診 ます ね ~
( 原田 ) はーい お 願い し ます