( 教員 ) と いう わけで 来週 の 月曜 から 基礎 実習 に 入る んだ が
お前 ら の 班 が 行く こと に なって る 斗南 大 病院 から ―
プリント を 預かって る から 配る な
( 鴨狩 啓太 ( かもがり けいた )) はい
( 桔梗 幹 ( ききょう もとき )) ドキドキ し ちゃう
かっこいい 男 の 患者 さん いる かしら ?
( 品川 真里菜 ( しながわ まりな )) どう しよう …
患者 さん と 恋 に 落ちたら どう しよう !
早く ~!
( 入江 琴子 ( いりえ ことこ )) いよいよ かあ ―
いったい どんな 患者 さん 達 なん だろう
( 直太郎 ( なおたろう )) 琴子 お 姉ちゃん じゃ なきゃ ヤダ !
( 琴子 ) 私 に 任せて !
直太郎 君 ワガママ 言っ ちゃ ダメ だ よ
だって 僕 … だって 僕 …
うん いい 感じ
( 直子 ( なおこ )) まあ …
( すすり泣き )
まるで あんた が 孫 の ようだ よ …
もう 直子 おばあちゃん たら
でも いつも 平穏 と は 限ら ない わ ね
( 直次郎 ( なおじろう )) 慰め なんか いら ない よ !
どうせ 俺 は もう 歩け ない んだ …
( 琴子 ) バカっ !
弱虫っ ! 直次郎 君 なら できる わ よっ !
琴子 さん …
一緒に リハビリ 頑張ろう
( 教員 ) おいっ 入江 !
( 小倉 智子 ( おぐら ともこ )) 琴子 さん …
また あっち の 世界 に 行っ ちゃって る
( 教員 ) おい … 入江 ! 帰ってこい !
すいません …
そういう 心 の 旅 は 実習 中 に はやら ない ように
はい
いい か 今 配った 資料 に は お前 ら の 実習 先 …―
第二 整形外科 の ―
患者 さん の 症状 など の 情報 が 書か れて いる ―
それぞれ しっかり 読んで ―
ちゃんと 対応 できる ように よく 理解 して おく こと !
( 一同 ) はい !
♪~
( 細井 小百合 ( ほそい さゆり )) おはよう ございます 看護師長 の 細井 です
( 琴子 達 ) おはよう ございます
えー 今日 から 2 週間 こちら の 第二 整形 外科 で ―
基礎 実習 を して もらう 生徒 さん です ―
みなさん わから ない こと が あったら ―
こちら の 先輩 看護師 達 に 聞いて ください
( 琴子 達 ) はい …
( 琴子 ) ひえ~っ 緊張 する ~
( 佐伯 ( さえき )) で は 今 から 病棟 を 回り ます
それぞれ 患者 さん に も 紹介 して いき ます から
あら 秋子 ( あきこ ) ちゃん
( 上村 秋子 ) 佐伯 さん こんにち は 今 から リハビリ 行って き ます
あら そう じゃ ちょうど いい から 紹介 する わ ね
今日 から 2 週間 看護 実習 で この 病院 に 来た 鴨狩 君
鴨狩 啓太 です よろしく お願いします
あっ よ … よろしく お願いします
佐伯 主任 せっかく なんで ―
僕 が リハビリ 室 まで 連れて いって あげて も 構い ません か ?
あら じゃあ お 願い しよう かしら
ありがとう ございます
よし じゃあ 行こう か 秋子 ちゃん
は … はい
今日 寒く ない ?
大丈夫 です
( 五十嵐 ( いがらし )) 詩音 ( しおん ) 君 彼 実習生 の 桔梗 幹 君 ―
これ から の 2 週間 私 達 の 手伝い を して くれる んで
よろしく ね
( 夏目 ( なつめ ) 詩音 ) え ~? マジ 男 ?
見え ない 見え ない いい じゃん ! うん
( 幹 ) 詩音 君 ? あれ 詩音 君 ?
( 看護師 ) 青木 ( あおき ) さん
( 青木 ) おお ~ 画 に なる ね ~!
( 黄村 ( きむら )・ 赤木 ( あかぎ )) おお …
すぐ 慣れる わ
( 赤木 ) フィギュア 作り たい なあ
( 佐々木 ( ささき )) ちょっと 自転車 で 転ん じゃって
顔 血だらけ に なっ ちゃい まして …
山本 ( やまもと ) 先輩 包帯 取り替えて あげて も いい です か ?
( 山本 ) え ? ああ … やって みる ?
じゃあ 傷口 …
見 ・ せ ・ て
( 看護師 ) 吉田 ( よしだ ) さーん おはよう 実習 生 連れて きた わ よ
今日 から 2 週間 手伝って くれる 実習 生 の 入江 さん
入江 琴子 です 吉田 さん どうぞ よろしく お 願い し ます ね
( 吉田 トヨ ) ふん ! 実習 生 の 名前 なぞ いちいち 覚えて られる かい
えっ …
どうせ シーツ の 交換 も まとも に でき ん の だろ …
( 琴子 ) なんか ちが~う !!
もう …
あの クソ 生意気 な ガキ 何 が 詩音 よ !
お 菓子 ばっか 食い やがって あの カロリー 小僧 !
アニオタ だって キツイ わ よ
1 時間 ぶっ通し で マニアック な アニメ の 話 語られる の よ
2 週間 後 に は 立派 な アニメ 博士 に なって る わ ね
俺 の 患者 さん は いい 子 だった けど な
私 も
( 琴子 ) はぁ …
( 啓太 ) おい 琴子 どうした ん だ フラフラ じゃねー か
あ … あの ね
吉田 さん って いう 患者 さん が いて ね
もう その 人 が すんごい 人 で …
(4 人 ) はあ ?
午前中 だけ で ナースコール 8 回 !
(4 人 )8 回 !?
肩 もんで 腰 もんで 腕 もんで 足 もんで …
お茶 いれて お代わり して もう一回 お代わり して …
で もう 一回 肩 もんで 腰 もんで …
あら 入江 さん 午前 中 は お疲れ様 ね
( 琴子 ) お疲れ様 です …
ほら 吉田 の おばあちゃん また 例 の あれ 始まっ ちゃって
ああ … 実習 生 いびり
はあ !?
ごめん ね ナースコール 入江 さん に ばっかり 任せ ちゃって
私 が 行って も ―
“ あんた じゃなーい !” って 怒鳴られる だけ だ し
気 を 付けて ね この 前 の 実習 生 …
自信 なく して やめ ちゃった らしい から
( 看護師 ) えーっ ! あの 子 やめ ちゃった の ?
( 男性 ) 腹 減った ~ 何 食べる ?―
ねっ 入江 何 食べる ? 俺 いっぱい 食い たーい
入江 く …
( 看護師 ) ヤダ … 入江 さん よ ! かっこいい ~!
あたし こないだ 一緒に 診察 し ちゃった ~
えーっ マジー ?
あ … あの ~
あの 人 ? 入江 直樹 ( なおき ) さん て いう 実習 に 来て る 医学生 よ
ハンサム でしょ ?
そうそう 今 や ね 看護師 達 の アイドル な の よ
( 看護師 ) まだ 医学生 な のに 頭 が 切れる の よ ね ~
その辺 の 先生 より ずっと 腕 が いい んだ から
あ … あなた 達
今さら 目え付け て も ダメ だ から ね ~
( 五十嵐 ) 先輩 達 を 差し置いて 余計 な こと したり したら
( 看護師 ) どう なる か わかって る わ よ ね ~
( 看護師 ) どう なる か わかって る わ よ ね ~
( ツバ を 飲み込む 音 )
( 入江 直樹 ) よお !―
どう だった 実習 の 感想 は
お前 が 気 に して た 吉田 さん に は もう 会えた か
( 琴子 ) あ … うん
お前 ら なら いい コンビ に なれる と 思う ぜ
いや …
じゃ 頑張って
あ … ちょっと … 待って …
( 看護 師 ) ちょっと ! どういう こと よ !
なんで あんた が 入江 さん と しゃべって ん の よ !
私 だって まだ な のに
今日 入り たて の 新人 の くせ に どういう 関係 よ !
え … いや その …
( 看護 師 ) ほら ! 言い なさい よ
( 看護 師 ) ほら ! 言い なさい よ
( 机 を 叩く 音 )
( 看護 師 ) どういう こと よ !
だから その …
( 幹 ) 琴子 は 入江 さん の 奥さん な んです
(3 人 ) ええ~っ !!
ま … その 叫び わかる わ あたし 達 も 同じ だった もん ね
( 五十嵐 ) ちょっと ウソ でしょ ?
だって 結婚 して る って 噂 は あった けど …
まさか こんな 見栄え の し ない 子 と なんて …
ヤダ ! 納得 いか ない !
いや … そう 言わ れて も
( 看護 師 ) 上等 じゃない の !
は …?
入江 さん の 奥さん なら ―
さぞかし ご 立派 な 看護 なさる こと でしょう よ
ホント 私 達 の 指導 なんて 余計 な お 世話 でしょう ねえ
じゃあ 吉田 の おばあちゃん の お 世話 ―
入江 さん に お任せ し ちゃおう かしら
(2 人 ) あ それ …
いい ん じゃなーい !
いい ん じゃなーい !
うーん !
( 看護師 ) さっ 食べ ましょ 食べ ましょ
あの ちょっと 先輩 先輩 達 …
琴子 ファイト !
( ナースコール の 音 )
うわ … ごめんなさい おー ごめんなさい ―
ご … ごめんなさい
35… 36…
( 琴子 ) お呼び です か ~ 吉田 さん
遅い 私 が 呼んだら 15 秒 以内 に 来 ん かい !
だって もう これ で 12 回目 です よ
今度 は 何 が 起きた んです か
テレビ つけ と くれ
はっ ?
この リモコン 使えば いい じゃない です か
腕 が 痛くて ねえ …
ボタン が 押せ ない んだ よ
ボタン … です よ ちょっと 押す だけ …
だいたい ! 痛く ない 方 の 手 が ある じゃない です か 右手 が !
何い !
あんた !
この 重病人 の か 弱い 老人 に
そんな むごい こと を 言う の かい !
すごく 元気 じゃない です か 吉田 さん 甘え すぎ です よ !
ひどい 女 だ よ … あんた って 女 は
お … 鬼 だ よお … 鬼 だ よ …
うわ ~!
何 です ! 何か あり ました か ?
師長 さん …
( 細井 ) 吉田 さん どう し ました ?
この 実習 生 と きたら ひどい んです よ
この 老いぼれた 年寄り を いきなり 怒鳴りつける … あっ
( 細井 ) 入江 さん ! ちょっと いらっしゃい !
あ ? は …
大丈夫 です から ね ~
より に よって … 5 階 と は …
実習 生 に も エレベーター 使わ せて よ ~
まだ 3 階 かあ …
よしっ !
( 琴子 ) はいっ お 待たせ し ました
( トヨ ) ち~が~う ~!
あたしゃ チョコレートクランチ が かかった やつ って 言った ろ ?
これ の どこ が クランチ な の さ ?
そんな の 売店 に 売って ないし クランチ じゃ なくて も ―
チョコレート な んだ から いい じゃ ないで す か !
何 言って ん だい !
クランチ の ない チョコ なんて チョコ じゃない んだ よ !
はあ ~?
さっ 行った 行った ! もう 一度 買い直して きて おくれ
もう 間違え っちゃった よ チキショー
( 看護師 ) お 大事に どうぞ
ただいま 戻り ました …
入江 さん お疲れ様 で~す
よっこらせ っと …
( ナースコール の 音 )
( ナースコール の 音 )
はい 来た !―
吉田 さん 本日 22 回目 の ナースコール でーす
はあ ? ええ~っ
早く 行く ー ! ほらっ
はい …
( 看護師 ) どう され ました ?
今度 は 何 な んです か 吉田 さん …
( トヨ ) あー こっち 来て ほらっ これ 持って !
( 琴子 ) はあ ?
ちゃんと 持って !
ちゃんと 持って !
( 琴子 ) はい
今日 は 大事 な 日 な んじゃ から …
( トヨ の 鼻歌 )
( 細井 ) 吉田 さーん 回診 です よ ~
おっ … ほっ !
しょっと おっ !
うぷ … よしっ !
あの これ …
そこ 置いて !
そこ 置いて !
( 琴子 ) はい
( 琴子 ) 入江 く~ん ―
ああ ~ こんな 素敵 な 瞬間 が ある から ―
やめ られ ない の よ ね
( 医師 ) 吉田 の おばあちゃん お 加減 は いかが です か ?
どう です か 少し は よく なり ました ?
いや それ が ねえ どうも あちこち 痛くて ねえ
それ に この 実習 生 が ホント 何の 役 に も 立た なくて ねえ ~
あ …
( 医師 ) まあまあ 大目 に 見て やって ください よ
じゃ ちょっと 診ましょう かね
あっ でも …
入江 先生 で お 願い し ます
( 細井 ) ちょっと 吉田 さん !
だって ~ 今日 は 回診 日 だ から 入江 先生 が 来る の ―
ずーっと 待って た ん ですう ~
( 医師 ) あの ねえ 吉田 さん ねえ …
何度 も 言う ようだ けど 実習 生 に 検診 させる こと は でき な …
ダメ ! あんた じゃ 絶対 ダメ !
私 の この 大事 な 体 を 誰 が あんた なんか に 触らせる もん です かい !
入江 先生 で お 願い し ます
( 琴子 ) え ? これ って …
もう … 仕方ない 今回 だけ 特別 です よ
入江 君 ちょっと やって み なさい
はい
( 琴子 ) もしかして そういう こと !?
( 直樹 ) じゃ 吉田 さん 脈 測り ます ね
はい
ねえ 先生 …
私 の 脈 速く ない です か ~?
そう です ね 少し 速い かも しれ ない です ね
先生 の こと 考えて る から ですう ~
そう です か では 一時的 な もの でしょう
( 琴子 ) 何 だ この 会話 !
ホントに 吉田 さん は 入江 君 の こと が お気に入り だ ね
問題 ない よう です
うん
でも ダメ です よ 吉田 さん
入江 君 は この 実習 生 の 入江 さん と 結婚 して んです から
なっ …
冗談 言わ ねー で ちょうだい よ ~
まったく 年寄り を かついで
入江 先生 が こんな バカ な 実習 生 と ―
結婚 なんか する わけ ない でしょう が ~
ね ?
本当 です が
( 琴子 ) ああ ~ これ で ますます いびり 地獄 が …
琴子 さん って 言った っけ ?
はい …
ごめんなさい ねえ 今 まで ワガママ ばっかり 言っ ちゃって
へ ?
うん
入江 先生 が 選んだ 女子 なら 間違い ある まい
これ から も …
よろしく ね 琴子 さん !
吉田 の … おばあちゃん !
よし ! じゃあ 吉田 さん お 大事に ね
今度 から は 私 に も 診察 させて ください よ
はいはい
琴子 さん
はい
お詫び の しるし に お 菓子 でも 一緒に 食べ ましょう か
いい んです か ? おばあちゃん
ちょっと 待って て 私 お茶 いれて くる から
いやいや そんな こと は 私 が …
あっ いい から いい から ! ここ 座って ねっ ―
これ ね ~ すんごく おいしい の よ
先 食べて て ! すぐ 戻って くる から
おばあちゃん …
おいしそう !
( 琴子 ) これ … これ ね !―
看護師 が やめ られ なく なる 一瞬 って …―
私 この 日 の こと ―
一生 忘れ ない !
( 細井 ) 入江 さん !
( 琴子 ) 師長 ! 見て ください これ ~
あなた いったい なんて こと して る んです !
患者 さん から お菓子 を 奪い取って ―
その 上 患者 さん に お茶 を くみ に 行か せる なんて !
いや これ 違う ん …
ごまかさ なーい !―
いい です か !?
今 ね 吉田 さん が 私 の とこ に 泣きついて きた んです !―
入江 さん に ひどい 目 に 遭って る って !
はあ ?
本来 患者 さん から は
物 を もらって は いけない 原則 な んです ―
それ を あんた って 人 は !―
私 は 今 まで いろんな 実習 生 を 見て き ました が ―
あなた みたいな 人 は 初めて です !―
ちょっと 入江 さん ! 聞いて る んです か ?
( トヨ ) アハッ ―
ハハハ !
秋子 ちゃん 今日 の リハビリ とっても よかった よ
啓太 さん の おかげ です
秋子 ちゃん なら ―
すぐに 歩ける ように なる から
頑張って な !
はい ! 頑張り ます
( 琴子 ) 本当 は こう なる はず じゃなかった
トヨ ばあちゃん これ …
もっと 右 ~
はい …
( 琴子 ) しかも 敵 は トヨ ばあちゃん だけ じゃなく …
ちょっと 痛い でしょ !
それ と 手順 が 違う ! ちゃんと マニュアル 通り に
ちょっと 入江 さん 何 この 看護 計画
書き直して
え … はい すいません
あの どの へん が …
自分 で 考える
ダメ ! この シーツ 交換 やり直し 雑 すぎ !
すいません …
よく そんな ん で 奥さん やって られる わ ねえ
( 琴子 ) もう なんだか 病院 中 が 敵 の ようで …
ダメ … 誰か 血圧 測って …
あっ !
あっ ごめんなさい
( 秋子 ) いえ こっち こそ …
( 琴子 ) 秋子 ちゃん だ よ ね ?
後ろ 押そう か ?
秋子 ちゃん は どの くらい 入院 して る の ?
2 か月 です
確か 事故 だった よね 啓太 が 受け持つ こと 多い もん ね
啓太 さん リハビリ に 興味 が ある から …
でも いつ 歩ける ように なる か わかんない し …
もしかして 一生 …
ダメ よ 弱気に なっちゃ ! 啓太 も 悲しむ よ
琴子 さん て …
ん ?
琴子 さん て 啓太 さん の こと …
ん ? 啓太 が どうした ?
いえ … 何でもない です
ちょっと 何 ~? 聞か せて …
やめて ください !
もう いい です から !
私 って どの 患者 さん から も 打ち解けて もらえ ない の かなあ …
♪~
( 琴子 ) い … 入江 君 !
なかなか いい 写真 じゃろ ?
どうして こんな 所 に 入江 君 が !
( トヨ ) ほーれ ほーれ …―
まだまだ ある んだ よお ~
ウソ ~!
入江 君 の お医者さん バージョン 私 で さえ 持って ない のに …
おばあちゃん それ 私 に も 焼き増し させて … ねっ
ヤダ ね~っ !
私 なんか 入江 先生 を ひっそり と 陰 から 見つめて る だけ なんだ から
はあ ? どこ が !
嫁 の あんた なんか に 誰 が あげる もん かい
ああ っ 入江 君 !
ああ ~
や … め … て …
( トヨ ) うっ …―
胸 が …
えっ ?
胸 が 痛い んだ よ
どうした の ? トヨ ばあちゃん ―
えっ ?
誰か ー ! この 辺 に お医者さん いません かーっ !―
お医者さん ! いない
知ら ない ? 知ら ない ?
おおーっ お医者さん !
何 何 ? いい から 早く 来て !
( 男性 ) え ? おっ おい …
( 琴子 ) トヨ ばあちゃん 大丈夫 よ ! 先生 連れて きた …
( 細井 ) どうした ん です ? 何の 騒ぎ です !?
はいはい みなさん おそろい で
ちょっ トヨ ばあちゃん 心臓 は ?
誰 が 心臓 が 痛い なんて 言った よ
あたしゃ 入江 先生 の こと 思って 胸 が 痛い …
そう 言った んだ よ
それ を あんた が 勝手に 勘違い して 大騒ぎ して さあ
( 琴子 ) ひどい …
私 すごい 心配 した のに … それ を だました の ね !
人 聞き の 悪い こと 言わ ない ど くれ ~
だいたい あんた は ね ―
恋煩い と 心臓 発作 の 違い も わかんない の かい
それ で 看護師 に なれ ん の か ねえ
( 男性 ) あの …
私 … 医師 じゃなくて 放射線 技師 な んだ けど
え ?
あっ すいません !
もう 行って いい かな ?
はい … すいません でした !
( 細井 ) まったく …―
入江 さん あなた 何 やって る んです !
すいません
( 細井 ) いい です か !
そういう 緊急 の 時 は 落ち着いて ―
まず 脈拍 や 症状 を ちゃんと 確認 する の が 基本 でしょ !?
それ に 患者 さん に “ だました ” と は 何 です ?
はい …
かーっ !!
入江 さん 来 なさい !
( 琴子 ) あっ はい …
( 直樹 ) よお
( 琴子 ) 入江 君 …
また 騒動 を 起こした ん だって ?
私 … 自信 なく し ちゃった ―
一生懸命 やって も ―
トヨ ばあちゃん に は 全然 通じ なく って …
あげく に 本気で 腹 立て ちゃって …
完全に おちょくられて て 情けなく って …
もう クタクタ で …
やめる か 看護師
それも 1 つ だろ
この 前 から 言おう と 思って た んだ
お前 は 俺 が 医者 に なる から 看護師 に なり たい ん だろ ?
それ だけ じゃ 無理な 仕事 な ん じゃない か ?―
ここ ん と この お前 見て る と 限界 超して る だろ
そんなに つらい ん だったら ―
やめ ちまった 方 が いい ぜ
♪~
ふう …
入江 さん
あなた 明日 から ―
吉田 さん の 病室 に は 行か ない ように お 願い し ます
えっ ?
患者 さん に 振り回されて ばかり じゃ ダメ です から ね
それ に ―
他 の 患者 さん に 接する 時間 も 作る ように し ない と
実習 に は なり ません から
その方 が あなた も 楽 でしょ ?
実習 で 接する に は ちょっと キツイ 人 だった から
( 琴子 ) そんな …―
こんな 気持ち の まま 終わっ ちゃって いい の …
トヨ ばあちゃん
眠って る の ?
( トヨ ) 何 じゃい
あの ね …
明日 から 私 …
担当 を 替わる こと に なっ ちゃった の
それ で 挨拶 して おこう と 思って …
なんか 私 と トヨ ばあちゃん て
気 が 合わ なかった の かも しれ ない ね
なんで かな …
寂しい や
今 まで イライラ させ ちゃって ごめん ね ―
もう ~ 最後 ぐらい こっち 見て よ !
もしかして 泣いて る と か ?
( トヨ ) なんじゃ … はあっ
大変 ! トヨ ばあちゃん 熱 ある じゃない !
平気 じゃ これ くらい …
もう ~ なんで こういう 時 ナースコール し ない の !
いつも 余計な 時 ばっか 鳴らして 肝心 な 時 我慢 して !
バッカ じゃない の !
誰 が お前 の 世話 に なんか
いつも して る わ よ !
待って て トヨ ばあちゃん 今 先生 呼んで くる から ね !―
待って て !
うーん …
肺炎 を 起こし かけて る な 酸素 5 リットル して あげて
はい
( 琴子 ) もしかして 朝 の あれ 本当に 具合 が 悪かった の かも ―
師長 の 言う通り あの 時 ちゃん と 診て れば …
トヨ さん の 容体 が あんまり … はい
高熱 が 出て い まして … え ?
もしもし !
もう …
どう でした ?
ダメ 高熱 くらい じゃ 行け ない って
そんな !
( 佐伯 ) 本当に 危なく なったら 電話 しろ です って
まったく … 親 を 何 だ と 思って る の かしら
ひどい ! だって …
まあ 結構 ある の よ
お 年寄り の 面倒 見 たく なく って ―
老人 ホーム 代わり に 病院 に 送りこむ の
あなた が いる 間 だって ―
一度 も お見舞い 来 なかった ん じゃない ?
そう いえば …
あなた の こと 困ら せて た みたい だ けど ―
たぶん 寂しかった ん じゃない かな
ほら 私達 ベテラン って うまく あしらえる けど
あなた 素直 に 反応 して あげ ちゃう でしょ ―
きっと 吉田 さん 楽しかった の よ
♪~
( 琴子 ) 主任 !
主任 ! 私 今夜 吉田 さん に 付き添って あげ ちゃ ダメです か ?
( 佐伯 ) 大丈夫 よ ―
もう 夜勤 の 看護師 に は 連絡 して ある から
( 琴子 ) でも 私 …
それ に …
実習 生 は 夜勤 でき ない の よ
でも !
困った わ ねえ
( 細井 ) 佐伯 さん
あっ 師長
吉田 さん の ご 家族 どう だった ?
ええ … ダメ でした
そう … 困った わ ねえ
せめて こういう 時 誰か 知り合い の 方 でも いたら ―
代わり に 付き添い お 願い できる んだ けど …
なあ ~
知り合い の 方 …
じゃ … それ って …
( 細井 ) 入江 さん ! 何 して る んです か !
あなた もう 実習 終わり の 時間 でしょ ?
早く 着替えて き なさい !
あっ はい …
この後 あなた が 何 を しよう が 勝手です が ―
明日 の 実習 に は 差し支え ない ように ね
はい ! 失礼 し ます !
♪~
( カーテン が 開く 音 )
( 琴子 ) 入江 君
どう ? 吉田 さん ―
まだ 呼吸 が 荒い な
( 琴子 ) 熱 が 下がら なくて …
私 が もっと …
やれる こと は やった んだ から ―
あと は 吉田 さん の 回復 力 を 信じる しか ない だ ろ
今 は とにかく そば に いて やれ よ
うん
俺 は 帰る ぞ
うん 来て くれて ありがとう
琴子 …
しっかり な
うん
( トヨ ) ん …
どうした ? トヨ ばあちゃん どこか 痛い の ?
そっか …
トヨ ばあちゃん 神経 痛 だった もん ね
少し は よく なる かな
トヨ ばあちゃん が おとなしい と なんだか 拍子抜け し ちゃう な
ねえ―
トヨ ばあちゃん の 旦那 さん て 入江 君 と 似て た ?
まっ 入江 君 ほど いい 男 は そう そう い ない けど …
私 達 男 の 趣味 似て る の かも ね
( トヨ ) う … う … う …―
重いっ !!
何 を 寝ぼけて る んじゃ
患者 の 上 で 寝る 看護 師 なんざ 初めて 見た わ !
トヨ ばあちゃん 熱 は ?
そんな もの 初め から ない わ !
下がった …
トヨ ばあちゃん 下がった ! よかったあ ~
は … 離れ ん かい !
う~ん よかった よ ~
この 間 は 私 …
琴子 さん に 嫌な 態度 とっ ちゃって ごめんなさい
え ? そんな こと あった っけ ?
実は 真里奈 さん から ―
啓太 さん が 琴子 さん の こと 好き だった って 聞いて …
で なんか 私 …
真里奈 が ? あいつ …
ていうか 秋子 ちゃん 啓太 の こと 好き だった の ?
え ? そ … それ は …
は ~ そう な の かあ ~
まあ 啓太 は ね 口 は うるさい けど いい 奴 だ よ
頑張って ! 応援 する !
琴子 さん …
あっ でも 琴子 さん は 啓太 さん の こと …
いやいや …
私 は これ でも 入江 直樹 先生 の 奥さん よ
え ? え えっ !
( 泣き声 )
せっかく 詩音 君 と 仲良く なれた のに ー !
しょうがない よ いつ だって 別れ は 付き もん さ
頑張って 立派な 看護 師 に なり な よ モト 兄ちゃん
もう ~ 兄ちゃん じゃなくて 姉ちゃん !
( 泣き声 )
ありがとう ~ マナ リン !
マナ リン !?
これ から は マナ リン と …
コト リン の ツートップ 体制 で いく から さ ー
ごめん
お 願い だ から あたし の こと は もう 忘れて
(3 人 ) あー !
ごめんなさい !
せっかく 智子 さん の おかげ で 包帯 取れた のに …
また 転んじゃって
私 こっち です よ !
( 佐々木 ) 僕 ホントに 情けなくて …
大丈夫 です よ
それより 思い出 に もう 一回 傷 見して もらって いい です か ?
( 啓太 ) 秋子 ちゃん 今日 で 俺 終わり だ から
今 まで ありがと
( すすり泣き )
どうした ? 具合 でも 悪い か ?
大丈夫 だって ―
秋子 ちゃん なら 絶対 歩ける ように なる から
( 琴子 ) 私 も トヨ ばあちゃん に 挨拶 し なくちゃ ―
でも なんか いろいろ あった けど ―
やっぱり 寂しい な …―
ダメダメ 笑顔 で お別れ よ
よしっ
トヨ ばあちゃーん …
( シャッター 音 )
( 琴子 ) あーっ ! ちょっとお !
なんで トヨ ばあちゃん が 入江 君 と 一緒に 写真 撮って ん の よ !
しかも 寄り添って !
うるさあい ! 患者 の 特権 じゃ
( 琴子 ) えーっ ずーるーいー !
五十嵐 先輩 私 も 撮って ください
はあ ? 実習 中 に 何 言って ん の !
お 願い し ます ~
( 五十嵐 ) ダーメ
( 琴子 ) そこ を 何とか
( 琴子 ) そこ を 何とか
( 五十嵐 ) ダメ !
( 琴子 ) お 願い … じゃあ 貸して ください よお !
割と いい 子 を 選んだ ん じゃない ?
でしょ
トロくさい けど …
根性 は ある ね
はい チーズ !
( シャッター 音 )
♪~
( 入江 紀子 ( のりこ )) 理加 ( りか ) ちゃん が ウチ で ―
暮らす こと に なった から
( 入江 理加 ) 直樹 !
( 琴子 ) 何 だ これ は あ ~ っ !
( 理加 ) アメリカ 行く 前 に 直樹 に ツバ つけて おけば よかった な
( 琴子 ) 私 だけ が ―
ちょっと あの 空気 に 入って いけない って いう か …
( 幹 ) なん って 小憎らしい キューティー な ハニー な の
( 啓太 ) 強い 夫婦 の 絆 って もん が ある だろう が !
( 琴子 ) そう よ !―
私 は 入江 直樹 の 妻 な んだ もん ねっ !
直樹 って キス 上手 だ よ