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刀語, Katanagatari Episode 8 (1)

Katanagatari Episode 8 (1)

さて 前回 土佐 の 鞘走 山 清涼 院 護 剣 寺 にて

実の 姉 に して 前 日本 最強

そして 多く の 者 が 異口同音 に 化け物 と 呼んだ 鑢 七 実 を 打倒 し

7 本 目 の 刀 「 悪 刀 · 鐚 」 の 収集 に 成功 した

鑢 七 花 と 奇 策 士 とがめ は ここ で 一旦 尾張 へ と 向かった のであり ます

で け え なあ

そ なた が 言う か

でも さ 同じ ような で け え 京 の 都 の きらびやか さ と は 違って

何 か 厳し さ っ つう の が だんだん 伝わって くる なぁ

家 鳴 将軍家 の お膝元 武士 の 町 だ

京 と は 違い 厳正 厳粛に して 威厳 が ある の は 当たり前の こと だ

堀 を 越えたら 屋敷 町 だ

おい とがめ 見て みろ よ あそこ の 屋敷

こんな 雰囲気 の 中

一 軒 だけ やたらに 飾りたてて

派手な 色 を 塗り たく って る 空気 読め ない やつ が いる ぜ

何 だ あれ あの 屋敷 訳 分から ん 金色 の しゃちほこ なんか 載 っけ てる し

俺 も あん ま 人 の こと は 言え ない けど

ここ でも 空気 読め ない や つって の が いる んだ な

悪 趣味 な 屋敷 だ ぜ

どんな 目立ち た がり 屋 の 家 なんだろう な

わたし の 家 だ

登 城 して くる で な 留守番 を して おいて くれ

えっ 俺 の こと を 城 の 連中 に 紹介 する んじゃ なかった の か

その こと だ が な 少々 事情 が 変わって な

刀 を 持って は 行け なく なった

まあ いい 機会 だ ここ に 慣れて おけ

しばらく この 屋敷 で 暮らす こと に なる のだ から

この 屋敷 で

うむ この 悪 趣味 な 屋敷 で だ

根 に 持って る

では 行って くる

何も ねえ のな

とがめ 覚悟 の 旅だった んだ な

今ごろ あそこ で 仕事 して ん の か な

稽古 でも す っか

久しから ず

久しぶり と いう ほど で は ない な 虚 刀 流

右 衛 門 左 衛 門 あんた いつの間に そこ に

得意な のだ 後ろ を 取る の が

あの 鑢 七 実に 勝利 を 収めた そうで は ない か

どう やって ここ に

普通に 歩いて だ

頓知 じゃ なくて

門 を くぐる とき に お前 の 姿 が 見えた ので な

稽古 の 最中 の ようだった ので 声 を 掛ける の を ためらった

それ だけ の こと だ

それ だけ の こと で 後ろ を 取る な

失礼 した な

とがめ なら い ない ぜ

ああ 知っている

だからこそ わたし は ここ に 来た のだ

だからこそ

えっ と 何とか 姫 の 使い って こと

否定 姫 だ

何とか 姫 など と 二 度 と 言う な

悪かった

で 城 で 何 か あった の か

とがめ は

心配 せ ず と も そういう こと で は ない よ

姫 さま が 変 体 刀 の 情報 を 奇 策 士 殿 に 与えよう と 言う ので

だから お前 を 呼び に 来た のだ 虚 刀 流

そういう こと か

何 が そういう こと だ まったく

の この こ 連れ られて きよ って

そ なた さえ 来 なければ

それ を 口実 に あの 不愉快な やつ に 会わ ず に 帰る こと も できた と いう のに

ごめん

尾張 に 帰り着く なり これ だ 一 本 取ら れた と しか 言い よう が ない

あの 女 目 の 上 の たん こぶ どころ か

岩石 小 惑星 いやな んだ

似合い 過ぎる その おかっぱ

ざん ぎり

お 菊 人形

ねえ てんてん てん って やって みて よ

10 歳 いや 20 歳 は 若く 見える

詐欺 詐欺 よ ね

気 が 済んだ か

まあ ね

戻ったら いの一番 に 貴 様 に 聞き たい こと が あった

何かしら

貴 様 「 ち ぇり お 」 と 「 ち ぇす と 」 は 違う と 知って おった ので は ない か

えっ それ

な ー んだ 気付いちゃ った の

今度 こそ は 蹴落として やった つもりだった のに な

まったく 貴 様 の しぶと さ に は あきれ返る わ

そんなに も この世 に 未練 が ある の か

あんた が 放った 真庭 忍 軍 ごとき に つぶさ れる ほど わたし は 柔 じゃ ない の

あんた の 真っ黒な 腹 の 中 を 全部 暴く まで は

わたし 何度 でも 蘇って あげる から

無駄だ 無駄だ

貴 様 ごとき に 暴か れる ほど わたし の 腹 の 黒 さ は 淡く は ない

何度 蘇った ところ で あっという間 に 蹴落として やる

いや 踏みつぶして やる

否定 する わたし は あんた の その 言葉 を 否定 する

あんた に は もう 無理

それどころか 逆に わたし が あんた を 踏みつぶす と 予言 する わ

やって みろ 黒 さ に おいて 格 の 違い を 思い知ら せて やる

思い知る の は あんた の 方 よ

地獄 の 底 で 奇 策 でも うどん 粉 でも 練って なさい

やかましい 何 だ 貴 様 こそ その 髪形 人 の こと 言えた 義理 か

あら ー これ なかなか 評判 いい の よ

あんた も やって みれば

あっ 無理 か あ

ごめん ごめん

まだ 言う か しつこい 女 だ

褒めて くれて あり が と

あいさつ は これ くらい に して 本題 に 入る と する か

ええ そう ね

あいさつ 今 の が

あいさつ と いえば 七 花 君

はい

初め まして よ ね よろしく

あらため まして わたし が 否定 姫 よ

どうも

七 花 こんな やつ に 頭 を 下げる な

ごめん

そう いえば あいつ は どこ に 行った んだ

あいつ あー 右 衛 門 左 衛 門 の こと ね

天井 裏 に いる わ よ

あいつ は とにかく 不景気な 面して いて

見て いる と こっち の 気分 まで 沈んで くる から ね

不景気な 面 って 仮面 着けて る から だ ろ

あの 仮面 も わたし が 与えた 物 な んだ けど ね

あいつ の 根 暗 さ は 仮面 程度 じゃ 隠せる もの じゃ なかった の よ

わたし は 七 花 に そんな 無 茶 を 強要 した こと は 一 度 も ない

七 花 君 の 顔 に は そう 書いて ない けど ね

そんな こと より 刀 の 情報 と は

わたし を 陥れる ため の 策略 なら やめて おけ

心配 し なく と も 大丈夫 よ

と いう より なぜ わたし に 協力 する

手柄 を 横取り する つもり か

まあ ー そういう こと も たくらんで いる わ ね

うち の 右 衛 門 左 衛 門 じゃ 刀 集 め は 無理だろう し

で 所在 不明 所有 者 不明の 残り 5 本 の 刀 の 情報 を 教えて くれよう と いう の か

それ は 無理だ けど 四季 崎記 紀 に 関する 情報 を ね

江戸 の 不要 湖 知って る わ よ ね

蝦夷 の 踊 山 陸奥 の 死霊 山 と 並ぶ

一 級 災害 指定 地 城 の 一 つ であろう

そう その 不要 湖 四季 崎記 紀 の 工房 が あった らしい の

あそこ に 工房 だ と

そう あの どうした って 人 の 住み よう も ない 不要 湖 を

あの 伝説 の 刀 かじ は 根城 に して いた らしい の

だが あそこ に は 日和 号 が ある であろう

「 日和 号 」

あなた も 聞いた こと が ある んじゃ ない かしら

あの 日和 号 は 何 か を 守る ため に あの 不要 湖 に いる んじゃ ない か って

そう その 守る べき 物 が 四季 崎記 紀 の 工房 だった と したら

われわれ 真庭 忍 軍 が 得て いる 刀 の 所在 は 3 カ所

陸奥 の 死霊 山 出羽 の 天童 そして 江戸 の 不要 湖 だ

そう だ な 出掛けて みる か

そう だったら 案内 を 付ける わ

勝手に しろ

ところで

そこ の 床の間 の 物

その 変な 鉄 の 塊 みたいな もの は 何 だ

別に ただ の 飾り よ

貴 様 の 趣味 らしく も ない ようだ が 誰 か に 押し付け られた か

何なら 不要 湖 に 捨てて きて やって も よい ぞ

あり が と でも それ に は まったく 及ば ない わ

七 花

ごめん

では 信濃 に ある 刀 の 収集 は 海亀 に 行って もらう と する

はい それ が いい か と 思い ます

任せて おけ

に して も まだ その 刀 の 名 も 形 も 所有 者 も 分から ぬ まま だ

す すすみ ませ ん 信濃 の どこ か の 禅寺 の 塔頭 に ある って こと しか

その 寺 の 特定 が あの でき なく って

まあ 取りあえず 出向いて みる

今 の ところ わし ら を 邪魔 する 者 は おら んだろう

詳しい 情報 が 入り しだい ご っ ご 連絡 し ます

頼む

では 早速

頼んだ ぞ

とがめ 疲れた の か

そう 見える か

お ぶって やる

じゃあ こう

じゃあ どう

でも あいつ 前 に いる から 見え ない よ こっち

だから 大丈夫 だって

いやいや

じゃあ 歩ける の か

確かに もう 足 が 棒 だ

だったら

駄目 やっぱり 駄目

い いって 大丈夫 だって

でも

来い よ ほら

そう か

意地 張る なって

それにしても 右 衛 門 左 衛 門 殿

そ なた の ところ の お姫さま は 相変わらず 人使い が 荒い な

及ば ず 大した こと で は ない

ああ そう いえば 元 忍者 だった か

それ故

そ なた は わたし たち の 旅路 も こっそり 付け回して おった のだった な

それ も 任 故

ならば お姫さま の 護衛 の 任 は 気 に なら ぬ か

それ も 及ば ず だ

奇 策 士 殿 と 違い 姫 さま に は 表立った 敵 は 少ない

いや 唯一 の 敵 が 今 わたし と いる のだ から それ も 心配 ない

着いた ぞ この先 が 不要 湖 だ

わたし は 別の 任 が ある ので これ で

邪魔 と 分かった んだろう まあ よい で は ない か

やっと 2 人きり に なれた のだ から

何 ノリ 悪 っ いや っ 意味 分から なくて とがめ さ ん

足元 に 気 を 付ける のだ ぞ

それにしても 本当に この 下 に 湖 なんて あった の か な

誰 か いる の か

何 だ がらくた か

日和 号 だ

おい 刀 持って ん ぞ

ああ だ が この 距離 なら 大丈夫だ

で どう する

まずは 様子 見 だ

いい か 七 花

今日 今 ここ で 決着 を つける こと が 目的 で は ない から な

分かって る よ

と か 言って いる が 剣士 は すぐに 熱く なる から な

だから 分かって る って

四季 崎 の 工房 を 探り 当てれば 今後 の 刀 集 め に とって 有益に なる

ならば その 番人 の 日和 号 を 打破 する 必要 が ある

その 奇 策 を 練る に は こいつ の こと を もっと 知ら ねば なら ん

ああ

ならば 行け

人間 認識 人間 認識

とがめ 刀 だ

やはり な

違う その 刀 じゃ ない

こいつ が

ああ 分かって おる

この 日和 号 そのもの が 「 微 刀 · 釵 」 だ

真庭 忍 軍 十二 頭領 が 一 人 真庭 魚 組 指揮 官 真庭 海亀 と 見受ける

何 だ お 主 は

どうして わし が 最高 カッコ良くて 最高 いかした 最高 強い

最高 モテモテ 最高 金持ち の 真庭 海亀 だ と 知って おる

名乗った 覚え も ない のだ が な

わたし は 左 右田 右 衛 門 左 衛 門 と いう

「 長寿 の 海亀 」 など と いう から

てっきり ご 老人 だ と 思って いた のに ずいぶん と お 若い

わし が 最高 カッコ良くて 最高 いかした 最高 強い

最高 モテモテ 最高 金持ち な の は 見たら 分かる と して も

二 つ 名 まで 知って おる と は

まあ いい

それ で 何 だ わし は 火急の 用 で 先 を 急ぐ

邪魔 を する な

残念だ が 邪魔 を する の が わたし の 仕事 だ

誰 の 差し金 か

答え ず

もしや お前 否定 姫

そう か 俺 たち が 奇 策 士 の 姉ちゃん に 頼ま れて 姫 を たば かった ので

その 意 趣 返し と いう わけ か

いい や

違う と なる と

逆に 問う が お前 が この 信濃 の 地 まで 来た の は

四季 崎記 紀 の 変 体 刀 の 1 本 を 収集 する ため だろう

さあ どうか な

確かに 「 炎 刀 · 銃 」 が ここ に あった の は 間違い で は ない

刀 の 種類 を 知っている の か


Katanagatari Episode 8 (1) Katanagatari Episode 8 (1)

さて   前回 土佐 の 鞘走 山   清涼 院 護 剣 寺 にて |ぜんかい|とさ||さやそう|やま|せいりょう|いん|まもる|けん|てら|

実の 姉 に して   前 日本 最強 じつの|あね|||ぜん|にっぽん|さいきょう

そして 多く の 者 が 異口同音 に   化け物 と 呼んだ 鑢 七 実 を 打倒 し |おおく||もの||いくどうおん||ばけもの||よんだ|やすり|なな|み||だとう|

7 本 目 の 刀 「 悪 刀 · 鐚 」 の 収集 に 成功 した ほん|め||かたな|あく|かたな|びた||しゅうしゅう||せいこう|

鑢 七 花 と 奇 策 士 とがめ は   ここ で 一旦 尾張 へ と 向かった のであり ます やすり|なな|か||き|さく|し|||||いったん|おわり|||むかった||

で け え なあ

そ なた が 言う か |||いう|

でも さ   同じ ような で け え 京 の 都 の きらびやか さ と は 違って ||おなじ|||||けい||と||||||ちがって

何 か 厳し さ っ つう の が だんだん 伝わって くる なぁ なん||きびし|||||||つたわって||

家 鳴 将軍家 の お膝元   武士 の 町 だ いえ|な|しょうぐんけ||おひざもと|ぶし||まち|

京 と は 違い   厳正 厳粛に して 威厳 が ある の は 当たり前の こと だ けい|||ちがい|げんせい|げんしゅくに||いげん|||||あたりまえの||

堀 を 越えたら   屋敷 町 だ ほり||こえたら|やしき|まち|

おい とがめ   見て みろ よ あそこ の 屋敷 ||みて|||||やしき

こんな 雰囲気 の 中 |ふんいき||なか

一 軒 だけ やたらに 飾りたてて ひと|のき|||かざりたてて

派手な 色 を 塗り たく って る 空気 読め ない やつ が いる ぜ はでな|いろ||ぬり||||くうき|よめ|||||

何 だ あれ あの 屋敷   訳 分から ん 金色 の しゃちほこ なんか 載 っけ てる し なん||||やしき|やく|わから||きんいろ||||の|||

俺 も あん ま 人 の こと は 言え ない けど おれ||||じん||||いえ||

ここ でも 空気 読め ない や つって の が いる んだ な ||くうき|よめ||||||||

悪 趣味 な 屋敷 だ ぜ あく|しゅみ||やしき||

どんな 目立ち た がり 屋 の 家 なんだろう な |めだち|||や||いえ||

わたし の 家 だ ||いえ|

登 城 して くる で な   留守番 を して おいて くれ のぼる|しろ|||||るすばん||||

えっ   俺 の こと を 城 の 連中 に 紹介 する んじゃ なかった の か |おれ||||しろ||れんちゅう||しょうかい|||||

その こと だ が な   少々 事情 が 変わって な |||||しょうしょう|じじょう||かわって|

刀 を 持って は 行け なく なった かたな||もって||いけ||

まあ   いい 機会 だ   ここ に 慣れて おけ ||きかい||||なれて|

しばらく この 屋敷 で 暮らす こと に なる のだ から ||やしき||くらす|||||

この 屋敷 で |やしき|

うむ   この 悪 趣味 な 屋敷 で だ ||あく|しゅみ||やしき||

根 に 持って る ね||もって|

では 行って くる |おこなって|

何も ねえ のな なにも||

とがめ   覚悟 の 旅だった んだ な |かくご||たびだった||

今ごろ   あそこ で 仕事 して ん の か な いまごろ|||しごと|||||

稽古 でも す っか けいこ|||

久しから ず ひさしから|

久しぶり と いう ほど で は ない な   虚 刀 流 ひさしぶり||||||||きょ|かたな|りゅう

右 衛 門 左 衛 門   あんた いつの間に そこ に みぎ|まもる|もん|ひだり|まもる|もん||いつのまに||

得意な のだ   後ろ を 取る の が とくいな||うしろ||とる||

あの 鑢 七 実に 勝利 を 収めた そうで は ない か |やすり|なな|じつに|しょうり||おさめた|そう で|||

どう やって ここ に

普通に 歩いて だ ふつうに|あるいて|

頓知 じゃ なくて とんち||

門 を くぐる とき に お前 の 姿 が 見えた ので な もん|||||おまえ||すがた||みえた||

稽古 の 最中 の ようだった ので 声 を 掛ける の を ためらった けいこ||さい なか||||こえ||かける|||

それ だけ の こと だ

それ だけ の こと で 後ろ を 取る な |||||うしろ||とる|

失礼 した な しつれい||

とがめ なら い ない ぜ

ああ 知っている |しっている

だからこそ   わたし は ここ に 来た のだ |||||きた|

だからこそ

えっ と   何とか 姫 の 使い って こと ||なんとか|ひめ||つかい||

否定 姫 だ ひてい|ひめ|

何とか 姫 など と 二 度 と 言う な なんとか|ひめ|||ふた|たび||いう|

悪かった わるかった

で   城 で 何 か あった の か |しろ||なん||||

とがめ は

心配 せ ず と も そういう こと で は ない よ しんぱい||||||||||

姫 さま が 変 体 刀 の 情報 を 奇 策 士 殿 に 与えよう と 言う ので ひめ|||へん|からだ|かたな||じょうほう||き|さく|し|しんがり||あたえよう||いう|

だから お前 を 呼び に 来た のだ   虚 刀 流 |おまえ||よび||きた||きょ|かたな|りゅう

そういう こと か

何 が そういう こと だ   まったく なん|||||

の この こ 連れ られて きよ って |||つれ|||

そ なた さえ 来 なければ |||らい|

それ を 口実 に あの 不愉快な やつ に 会わ ず に 帰る こと も できた と いう のに ||こうじつ|||ふゆかいな|||あわ|||かえる||||||

ごめん

尾張 に 帰り着く なり これ だ   一 本 取ら れた と しか 言い よう が ない おわり||かえりつく||||ひと|ほん|とら||||いい|||

あの 女   目 の 上 の たん こぶ どころ か |おんな|め||うえ|||||

岩石   小 惑星   いやな んだ がんせき|しょう|わくせい||

似合い 過ぎる   その おかっぱ にあい|すぎる||

ざん ぎり

お 菊 人形 |きく|にんぎょう

ねえ てんてん てん って やって みて よ

10 歳 いや 20 歳 は 若く 見える さい||さい||わかく|みえる

詐欺   詐欺 よ ね さぎ|さぎ||

気 が 済んだ か き||すんだ|

まあ ね

戻ったら いの一番 に 貴 様 に 聞き たい こと が あった もどったら|いのいちばん||とうと|さま||きき||||

何かしら なにかしら

貴 様 「 ち ぇり お 」 と 「 ち ぇす と 」 は 違う と 知って おった ので は ない か とうと|さま|||||||||ちがう||しって|||||

えっ   それ

な ー んだ   気付いちゃ った の |-||きづいちゃ||

今度 こそ は 蹴落として やった つもりだった のに な こんど|||けおとして||||

まったく 貴 様 の しぶと さ に は あきれ返る わ |とうと|さま||||||あきれかえる|

そんなに も この世 に 未練 が ある の か ||このよ||みれん||||

あんた が 放った 真庭 忍 軍 ごとき に つぶさ れる ほど わたし は 柔 じゃ ない の ||はなった|まにわ|おし|ぐん||||||||じゅう|||

あんた の 真っ黒な 腹 の 中 を 全部 暴く まで は ||まっくろな|はら||なか||ぜんぶ|あばく||

わたし 何度 でも 蘇って あげる から |なんど||よみがえって||

無駄だ 無駄だ むだだ|むだだ

貴 様 ごとき に 暴か れる ほど わたし の 腹 の 黒 さ は 淡く は ない とうと|さま|||あばか|||||はら||くろ|||あわく||

何度 蘇った ところ で あっという間 に 蹴落として やる なんど|よみがえった|||あっというま||けおとして|

いや 踏みつぶして やる |ふみつぶして|

否定 する   わたし は あんた の その 言葉 を 否定 する ひてい|||||||ことば||ひてい|

あんた に は もう 無理 ||||むり

それどころか 逆に わたし が あんた を 踏みつぶす と 予言 する わ |ぎゃくに|||||ふみつぶす||よげん||

やって みろ   黒 さ に おいて 格 の 違い を 思い知ら せて やる ||くろ||||かく||ちがい||おもいしら||

思い知る の は あんた の 方 よ おもいしる|||||かた|

地獄 の 底 で 奇 策 でも うどん 粉 でも 練って なさい じごく||そこ||き|さく|||こな||ねって|

やかましい   何 だ 貴 様 こそ その 髪形 人 の こと 言えた 義理 か |なん||とうと|さま|||かみがた|じん|||いえた|ぎり|

あら ー   これ なかなか 評判 いい の よ |-|||ひょうばん|||

あんた も やって みれば

あっ   無理 か あ |むり||

ごめん ごめん

まだ 言う か   しつこい 女 だ |いう|||おんな|

褒めて くれて あり が と ほめて||||

あいさつ は これ くらい に して   本題 に 入る と する か ||||||ほんだい||はいる|||

ええ   そう ね

あいさつ   今 の が |いま||

あいさつ と いえば   七 花 君 |||なな|か|きみ

はい

初め まして よ ね よろしく はじめ||||

あらため まして   わたし が 否定 姫 よ ||||ひてい|ひめ|

どうも

七 花   こんな やつ に 頭 を 下げる な なな|か||||あたま||さげる|

ごめん

そう いえば あいつ は どこ に 行った んだ ||||||おこなった|

あいつ   あー 右 衛 門 左 衛 門 の こと ね ||みぎ|まもる|もん|ひだり|まもる|もん|||

天井 裏 に いる わ よ てんじょう|うら||||

あいつ は とにかく 不景気な 面して いて |||ふけいきな|めんして|

見て いる と こっち の 気分 まで 沈んで くる から ね みて|||||きぶん||しずんで|||

不景気な 面 って 仮面 着けて る から だ ろ ふけいきな|おもて||かめん|つけて||||

あの 仮面 も わたし が 与えた 物 な んだ けど ね |かめん||||あたえた|ぶつ||||

あいつ の 根 暗 さ は 仮面 程度 じゃ 隠せる もの じゃ なかった の よ ||ね|あん|||かめん|ていど||かくせる|||||

わたし は 七 花 に そんな 無 茶 を 強要 した こと は 一 度 も ない ||なな|か|||む|ちゃ||きょうよう||||ひと|たび||

七 花 君 の 顔 に は そう 書いて ない けど ね なな|か|きみ||かお||||かいて|||

そんな こと より 刀 の 情報 と は |||かたな||じょうほう||

わたし を 陥れる ため の 策略 なら やめて おけ ||おとしいれる|||さくりゃく|||

心配 し なく と も 大丈夫 よ しんぱい|||||だいじょうぶ|

と いう より なぜ わたし に 協力 する ||||||きょうりょく|

手柄 を 横取り する つもり か てがら||よこどり|||

まあ ー   そういう こと も たくらんで いる わ ね |-|||||||

うち の 右 衛 門 左 衛 門 じゃ   刀 集 め は 無理だろう し ||みぎ|まもる|もん|ひだり|まもる|もん||かたな|しゅう|||むりだろう|

で   所在 不明 所有 者 不明の 残り 5 本 の 刀 の 情報 を 教えて くれよう と いう の か |しょざい|ふめい|しょゆう|もの|ふめいの|のこり|ほん||かたな||じょうほう||おしえて|||||

それ は 無理だ けど   四季 崎記 紀 に 関する 情報 を ね ||むりだ||しき|さきき|き||かんする|じょうほう||

江戸 の 不要 湖 知って る わ よ ね えど||ふよう|こ|しって||||

蝦夷 の 踊 山   陸奥 の 死霊 山 と 並ぶ えぞ||おどり|やま|むつ||しりょう|やま||ならぶ

一 級 災害 指定 地 城 の 一 つ であろう ひと|きゅう|さいがい|してい|ち|しろ||ひと||

そう   その 不要 湖   四季 崎記 紀 の 工房 が あった らしい の ||ふよう|こ|しき|さきき|き||こうぼう||||

あそこ に 工房 だ と ||こうぼう||

そう   あの どうした って 人 の 住み よう も ない 不要 湖 を ||||じん||すみ||||ふよう|こ|

あの 伝説 の 刀 かじ は 根城 に して いた らしい の |でんせつ||かたな|||ねじろ|||||

だが あそこ に は 日和 号 が ある であろう ||||ひより|ごう|||

「 日和 号 」 ひより|ごう

あなた も 聞いた こと が ある んじゃ ない かしら ||きいた||||||

あの 日和 号 は 何 か を 守る ため に   あの 不要 湖 に いる んじゃ ない か って |ひより|ごう||なん|||まもる||||ふよう|こ||||||

そう   その 守る べき 物 が 四季 崎記 紀 の 工房 だった と したら ||まもる||ぶつ||しき|さきき|き||こうぼう|||

われわれ 真庭 忍 軍 が 得て いる 刀 の 所在 は 3 カ所 |まにわ|おし|ぐん||えて||かたな||しょざい||かしょ

陸奥 の 死霊 山   出羽 の 天童   そして 江戸 の 不要 湖 だ むつ||しりょう|やま|でわ||てんどう||えど||ふよう|こ|

そう だ な   出掛けて みる か |||でかけて||

そう だったら   案内 を 付ける わ ||あんない||つける|

勝手に しろ かってに|

ところで

そこ の 床の間 の 物 ||とこのま||ぶつ

その 変な 鉄 の 塊 みたいな もの は 何 だ |へんな|くろがね||かたまり||||なん|

別に   ただ の 飾り よ べつに|||かざり|

貴 様 の 趣味 らしく も ない ようだ が   誰 か に 押し付け られた か とうと|さま||しゅみ||||||だれ|||おしつけ||

何なら 不要 湖 に 捨てて きて やって も よい ぞ なんなら|ふよう|こ||すてて|||||

あり が と   でも それ に は まったく 及ば ない わ ||||||||およば||

七 花 なな|か

ごめん

では   信濃 に ある 刀 の 収集 は 海亀 に 行って もらう と する |しなの|||かたな||しゅうしゅう||うみがめ||おこなって|||

はい   それ が いい か と 思い ます ||||||おもい|

任せて おけ まかせて|

に して も   まだ その 刀 の 名 も 形 も 所有 者 も 分から ぬ まま だ |||||かたな||な||かた||しょゆう|もの||わから|||

す すすみ ませ ん   信濃 の どこ か の 禅寺 の 塔頭 に   ある って こと しか ||||しなの|||||ぜんでら||たっちゅう|||||

その   寺 の 特定 が   あの でき なく って |てら||とくてい|||||

まあ 取りあえず 出向いて みる |とりあえず|でむいて|

今 の ところ わし ら を 邪魔 する 者 は おら んだろう いま||||||じゃま||もの|||

詳しい 情報 が 入り しだい   ご っ   ご 連絡 し ます くわしい|じょうほう||はいり|||||れんらく||

頼む たのむ

では 早速 |さっそく

頼んだ ぞ たのんだ|

とがめ   疲れた の か |つかれた||

そう 見える か |みえる|

お ぶって やる

じゃあ こう

じゃあ どう

でも あいつ 前 に いる から 見え ない よ   こっち ||ぜん||||みえ|||

だから 大丈夫 だって |だいじょうぶ|

いやいや

じゃあ 歩ける の か |あるける||

確かに もう 足 が 棒 だ たしかに||あし||ぼう|

だったら

駄目   やっぱり 駄目 だめ||だめ

い いって   大丈夫 だって ||だいじょうぶ|

でも

来い よ   ほら こい||

そう か

意地 張る なって いじ|はる|

それにしても   右 衛 門 左 衛 門 殿 |みぎ|まもる|もん|ひだり|まもる|もん|しんがり

そ なた の ところ の お姫さま は 相変わらず 人使い が 荒い な |||||おひめさま||あいかわらず|ひとづかい||あらい|

及ば ず   大した こと で は ない およば||たいした||||

ああ   そう いえば 元 忍者 だった か |||もと|にんじゃ||

それ故 それゆえ

そ なた は わたし たち の 旅路 も こっそり 付け回して おった のだった な ||||||たびじ|||つけまわして|||

それ も 任 故 ||にん|こ

ならば お姫さま の 護衛 の 任 は 気 に なら ぬ か |おひめさま||ごえい||にん||き||||

それ も 及ば ず だ ||およば||

奇 策 士 殿 と 違い 姫 さま に は 表立った 敵 は 少ない き|さく|し|しんがり||ちがい|ひめ||||おもてだった|てき||すくない

いや 唯一 の 敵 が 今 わたし と いる のだ から それ も 心配 ない |ゆいいつ||てき||いま||||||||しんぱい|

着いた ぞ この先 が 不要 湖 だ ついた||このさき||ふよう|こ|

わたし は 別の 任 が ある ので これ で ||べつの|にん|||||

邪魔 と 分かった んだろう まあ よい で は ない か じゃま||わかった|||||||

やっと 2 人きり に なれた のだ から |ひときり||||

何 ノリ 悪 っ なん|のり|あく| いや っ 意味 分から なくて とがめ さ ん ||いみ|わから||||

足元 に 気 を 付ける のだ ぞ あしもと||き||つける||

それにしても 本当に この 下 に 湖 なんて あった の か な |ほんとうに||した||こ|||||

誰 か いる の か だれ||||

何 だ がらくた か なん|||

日和 号 だ ひより|ごう|

おい 刀 持って ん ぞ |かたな|もって||

ああ だ が この 距離 なら 大丈夫だ ||||きょり||だいじょうぶだ

で どう する

まずは 様子 見 だ |ようす|み|

いい か 七 花 ||なな|か

今日 今 ここ で 決着 を つける こと が 目的 で は ない から な きょう|いま|||けっちゃく|||||もくてき|||||

分かって る よ わかって||

と か 言って いる が 剣士 は すぐに 熱く なる から な ||いって|||けんし|||あつく|||

だから 分かって る って |わかって||

四季 崎 の 工房 を 探り 当てれば 今後 の 刀 集 め に とって 有益に なる しき|さき||こうぼう||さぐり|あてれば|こんご||かたな|しゅう||||ゆうえきに|

ならば その 番人 の 日和 号 を 打破 する 必要 が ある ||ばんにん||ひより|ごう||だは||ひつよう||

その 奇 策 を 練る に は こいつ の こと を もっと 知ら ねば なら ん |き|さく||ねる||||||||しら|||

ああ

ならば 行け |いけ

人間 認識 人間 認識 にんげん|にんしき|にんげん|にんしき

とがめ 刀 だ |かたな|

やはり な

違う その 刀 じゃ ない ちがう||かたな||

こいつ が

ああ 分かって おる |わかって|

この 日和 号 そのもの が 「 微 刀 · 釵 」 だ |ひより|ごう|その もの||び|かたな|さい|

真庭 忍 軍 十二 頭領 が 一 人 真庭 魚 組 指揮 官 真庭 海亀 と 見受ける まにわ|おし|ぐん|じゅうに|とうりょう||ひと|じん|まにわ|ぎょ|くみ|しき|かん|まにわ|うみがめ||みうける

何 だ お 主 は なん|||おも|

どうして わし が 最高 カッコ良くて 最高 いかした 最高 強い |||さいこう|かっこいくて|さいこう||さいこう|つよい

最高 モテモテ 最高 金持ち の 真庭 海亀 だ と 知って おる さいこう||さいこう|かねもち||まにわ|うみがめ|||しって|

名乗った 覚え も ない のだ が な なのった|おぼえ|||||

わたし は 左 右田 右 衛 門 左 衛 門 と いう ||ひだり|みぎた|みぎ|まもる|もん|ひだり|まもる|もん||

「 長寿 の 海亀 」 など と いう から ちょうじゅ||うみがめ||||

てっきり ご 老人 だ と 思って いた のに ずいぶん と お 若い ||ろうじん|||おもって||||||わかい

わし が 最高 カッコ良くて 最高 いかした 最高 強い ||さいこう|かっこいくて|さいこう||さいこう|つよい

最高 モテモテ 最高 金持ち な の は 見たら 分かる と して も さいこう||さいこう|かねもち||||みたら|わかる|||

二 つ 名 まで 知って おる と は ふた||な||しって|||

まあ いい

それ で 何 だ わし は 火急の 用 で 先 を 急ぐ ||なん||||かきゅうの|よう||さき||いそぐ

邪魔 を する な じゃま|||

残念だ が 邪魔 を する の が わたし の 仕事 だ ざんねんだ||じゃま|||||||しごと|

誰 の 差し金 か だれ||さしがね|

答え ず こたえ|

もしや お前 否定 姫 |おまえ|ひてい|ひめ

そう か   俺 たち が 奇 策 士 の 姉ちゃん に 頼ま れて 姫 を たば かった ので ||おれ|||き|さく|し||ねえちゃん||たのま||ひめ||||

その 意 趣 返し と いう わけ か |い|おもむき|かえし||||

いい や

違う と なる と ちがう|||

逆に 問う が お前 が この 信濃 の 地 まで 来た の は ぎゃくに|とう||おまえ|||しなの||ち||きた||

四季 崎記 紀 の 変 体 刀 の 1 本 を 収集 する ため だろう しき|さきき|き||へん|からだ|かたな||ほん||しゅうしゅう|||

さあ どうか な

確かに 「 炎 刀 · 銃 」 が ここ に あった の は 間違い で は ない たしかに|えん|かたな|じゅう|||||||まちがい|||

刀 の 種類 を 知っている の か かたな||しゅるい||しっている||