Bokurano Episode 3
♪~
~♪
( セミ の 鳴き声 )
( 鳥 の 鳴き声 )
( 狭山 ( さ やま ) ) 参考 に 話 を 聞く だけ だ から ね
( 狭山 ) 楽 に し て いい よ
( キリエ ) あっ はい
何 しろ 信じ られ ない 事件 な もの で ね
覚え て いる こと を ありのまま 話し て くれ れ ば いい から
( モジ ) はい
この 自然 学校 に 来 た の に は 何 か きっかけ が あった の か な ?
( カンジ ) 別に これ と いって ない けど
ひ ょっ と する と 参加 する と ―
内 申 が よく なったり する の ? ( キリエ ) ええ
どう だ ろ う 学校 に よって は ある ん じゃ ない です か ?
俺 は 関係ない けど
夏 休み った って やる こと ない から 出 た だけ で
人 に よって は “ ほか の 学校 に 友達 作 っと こ う ”
… み たい の も ある の か な
( ナカマ ) 最近 少しずつ 話せる よう に なって き まし た
( チズ ) 気晴らし … かな
授業 は 普通 です よ
“ ちょっと いい 環境 で 勉強 する ” み たい な
( 狭山 ) 女の子 目当て な ん じゃ ない の ?
まあ かわいい 子 も いる けど
… で 昨日 の 夜 は どこ へ 行って た の ?
あの … えっ と …
寝よ う と し たら 地震 が あって 怖く て 外 に 飛び出し た ん です
( マキ ) あの 民宿 木造 でしょ う ? つぶれる か と 思って
( ダイチ ) そ したら あの ロボット が 見え た ん です
( 狭山 ) なるほど
よく 見よ う と 思って 海 の 見える 所 まで 行き まし た
高 さ は 500 メートル くらい です よ
( 狭山 ) ああ … テレビ で そう 言って た ね
いえ 俺 分かる ん です
母 が 高層 建築 の 仕事 も し てる もの です から
へえ …
( アナウンサー ) 昨日 午後 9 時 55 分 ごろ
神奈川 県 御 友 島 ( み と も じ ま ) 海岸 に 巨大 怪獣 が 出現 し まし た
これ は その とき の 映像 です
( アンコ ) アア …
ンッ …
( アンコ ) 私 たち 怖く て どう し たら いい か 分から なく て …
( 刑事 ) そ っか 大変 だった ね
お 嬢ちゃん も 怖かった かい ?
( マチ ) よく 覚え て ない ん です
( ため息 )
( アナウンサー ) なお この 事件 で
今 の ところ 確認 さ れ て いる 犠牲 者 は ―
死者 2,130 人 負傷 者 213 人 行方 不明 者 …
誰 と 一緒 だった ?
はい えっ と …
門司 ( も じ ) 君 と 小高 ( こ だ か ) 君 と …
( カコ ) 本田 ( ほん だ ) さん と 切 江 ( き りえ ) 君 と …
宇 白 ( うしろ ) 君 と 吉川 ( よし か わ ) 君 と それ から …
え ~ っと …
和久 ( わく ) 君 !
それ は 和久 隆 ( たかし ) 君 の こと かい ?
( ウシロ ) その 14 人 です
ホント に ?
ええ 和久 君 は い ませ ん で し た
う ~ ん …
でも 同じ 部屋 だ ろ う ? 一緒 に 出かけ なかった の かい ?
( ウシロ ) 違う ! 軽く やった だけ だ 押し て ない !
信じ て くれよ !
本当 に 和久 君 は 一緒 じゃ なかった の ?
はい 彼 は サッカー ボール を 持って よく 1 人 で 出かける ん です よ
和久 君 は わりと 1 人 で 行動 する 人 だった って いう か
彼 いつも 元気 だ から
( 刑事 ) ええ ご 安心 ください こちら で 保護 し て おり ます
あっ いや 書類 を 作る だけ の 型どおり な 調べ だ と ―
刑事 さん は 言って おり まし た よ
( 刑事 ) ええ 是非 迎え に 来 て あげて ください お 願い し ます
はい … はい
( 刑事 ) 分かり まし た
( 刑事 ) 狭山 さん 取り調べ てる の って …
( 刑事 ) 事件 当時 2 度 と も 行方 不明 に なって た って いう ―
自然 学校 の 子供 たち 本部 から 回さ れ て き た ん だ よ
( 刑事 ) そんな 手伝い 仕事 の わりに 狭山 さん 随分 入れ 込 ん でる ね
( 刑事 ) うん … N 個別 に 聞き たい って 狭山 さん が ね
( 狭山 ) 実は ね
ほか に 和久 君 が 一緒 だった って 言って る 子 が いる ん だ けど な
( コダマ ) さあ ?
君 は 昨日 の 事件 で 何 人 死 ん だ か 知って る の かい ?
これ は 何 の ため の 尋問 です か ? 僕ら 未 成年 を 拘束 する 理由 は ?
保護 者 で ある 私 の 父 の 了解 は 取り まし た か ?
う ~ ん …
( 刑事 ) 狭山 さん ちょっと
そう か
( ドア の 閉まる 音 )
( ため息 )
門司 君 今 報告 が あって ね
和久 君 の 遺体 が 浜 に 打ち上げ られ た そう だ よ
アア …
( 狭山 ) 彼 に 何 が あった の か な ?
( コダマ ) 昨日 は 人 が たくさん 死 ん だ ん です よ ね ?
和久 君 も その 中 の ひと り に すぎ ない と 思い ます けど
ホント だ よ ! ホント に 俺 は 押し て ない ん だ !
みんな 信じ て くれよ !
分かった 分かった から 落ち 着こ う
みんな も 状況 を しっかり 把握 しよ う
そう で なきゃ 取り返し が つか なく なる
あの 高 さ じゃ 絶対 助から な いよ ね
でも ウシロ は 故意 に 押し て い ない 俺 は それ を 信じる
見 てりゃ 分かる だ ろ う 当然 だ
( 泣き声 )
うる せ え な 泣く な よ !
しょうがない でしょ う 当たり 前 よ
( 泣き声 )
( コモ ) やめよ う こんな の もう ゲーム なんか じゃ ない
見 て 分かる じゃ ない 人 が 死 ん でる の よ
( ヘリコプター の 音 )
( チズ ) この 分 だ と 町 の 被害 も 相当 だ よ ね
私 たち きっと 刑務所 に 入れ られ ちゃ う よ
そんな … おい どう す ん だ よ !
( コモ ) だ から 言って る じゃ ない やめる べき だって
事情 を 話し て … N ( カコ ) 今更 遅 ( おせ ) え だ ろ う !
でも きっと 死傷 者 も 大勢 いる ん だ から
自分 たち に 疑い が かけ られる こと は ない ん じゃ ない ?
もちろん 黙って い れ ば の 話 だ けど
そ … そうだ よ ! きっと そう だ !
ダメ よ ! だって 人 が 死 ん でる の よ そんな の 許さ れる わけない わ
( コダマ ) お前 ら バカ だ な
( 一同 ) えっ ?
死 ん だ ワク より も ―
生き て いる 俺 たち の こと を 考える べき だ ろ う
そ … そんな …
( ドア の 開く 音 ) あっ …
( 神岡 ) これ は これ は 古 茂 田 ( こも だ ) 議員 の お嬢さん で し た か
( 神岡 ) 何も 心配 いり ませ ん よ
迎え を よこし て くださる と 先ほど お 父上 から 電話 が あり まし た から ね
( コモ ) あの … N ( 神岡 ) はい ?
実は 私 たち あの ロボット に 乗って た ん です
私 たち が あれ を 操縦 し て た ん です
( 狭山 ) えっ ?
( セミ の 鳴き声 )
( アンコ ) あっ …
( アンコ ) ママ !
( コダマ ) 結局 自然 学校 は 中止 に なり
僕たち は それぞれ の 家 に 帰る こと に なった
けれど これ で 僕ら の ゲーム が 終わる わけ で は ない こと も ―
みんな 心 の 隅 に 忘れ て は い ない
( 殴る 音 ) 何 す ん だ よ !
( カコ の 姉 ) それ は こっち の セリフ でしょ う
何 やって ん の ( カコ ) うる せ え な
( 真一 ( しん いち ) ) 一体 何 が あった ん だ ?
あっ …
別に
( 真一 ) 心配 し た ぞ ( コダマ ) パパ は ?
分かって ん だ ろ う 仕事 だ よ
“ 別に 逮捕 さ れ た わけ じゃ ない ん だ ろ う ” って な
何 だ ? その メガネ
伊達 ( だて ) だ よ 頭 よ さ そう に 見える だ ろ う ?
バカ 言い や が って 行く ぞ
( チズ の 姉 ) チズ ちゃん 大丈夫 だった ?
うん
お 父さん と お 母さん も 心配 し てる よ
( チズ ) いい よ !
( 女性 ) お 母 さま も 心配 さ れ て い まし た よ
あの 人 は 俺 の こと を 心配 し たり し ない だ ろ う
( 女性 ) そんな こと は …
親父 ( おやじ ) さん 迎え に 来 ない の か ?
さっき “ 来 ない で いい から ” って 電話 し た ん だ よ
ふ ~ ん … そういう こと か 来い よ
ヤツ ら が 何 か を 隠し てる こと は 見え見え な ん だ が なぁ
( 刑事 ) でも だ から って ―
“ あの ロボット に 乗って い た ” と 言わ れ て も ねえ
( 狭山 ) フフッ …
( ドア の 開く 音 )
( 神岡 ) 狭山 君 捜査 資料 を 全て 彼ら に 渡し て くれ
一体 どなた です か ?
( 家政 婦 ) お かえり なさい ませ
ねえ パパ 何時ごろ 帰る かな
( 圭子 ( けいこ ) ) 今日 も きっと 遅い わ よ 今 大変 だ から
あっ …
ハァ …
ママ ( 圭子 ) うん ?
私 が あの ロボット に 乗って たって 言ったら 信じる ?
( 圭子 ) まさか
( ため息 )
( カンジ ) あと で メシ 食い に 上がって こい よ
( ウシロ ) ああ
( 明かり を つける 音 )
アア …
( ため息 )
( 水道 の 音 )
( うがい )
ンッ … N ( 舌打ち )
ハァ …
( 古 茂 田 ) う ~ ん …
まさか お前 たち が あの 騒ぎ に 関わって い た と は な
( コモ の 母親 ) あなた み たい な 子供 たち が ―
あんな 怪獣 み たい な 物 を 動かす なんて …
私 たち 最初 ゲーム だ と 思って た ん です
こんな こと に なる と 思って なかった ん です
でも もう 罪 の 償い を する 覚悟 は でき て ます
しかし な どちら に しろ ―
警察 に 話し た の で あれ ば 問題 ない だ ろ う
この 事件 は 政府 も 対策 本部 を 設置 し て ―
調査 に 乗り出し た と 聞い てる よ
お 父さん … N 私 の 言う こと 信じ て ない の ね ?
えっ ? ( コモ ) 私 が 今 まで 一 度 でも ―
ウソ を つい た こと が あり まし た か ? ( 古 茂 田 ) 分かった 分かった よ
お前 は 正直 で 優しい …
私 の 大事 な 娘 だ
約束 しよ う
私 から も 政府 の 動き を 探って みる それ で いい か ?
今 の 話 は 秘書 の ムカイ に ―
書き 取ら せ て おい た ほう が いい な ( 母親 ) はい
まだ いる だ ろ う 電話 し て み て くれ
( モジ ) もしもし マキ ? モジ です
今 話せる ?
うん … うん
告別 式 …
そ っか
( 電話 の 着信 音 )
( コモ ) はい 古 茂 田 です
( マキ ) マキ です コモ ? ( コモ ) ああ !
ごめん ね 遅く に ( コモ ) う うん どう し た の ?
あした ワク の お 葬式 な ん だ って ( コモ ) ああ …
コモ 行く よ ね ? ( コモ ) もちろん よ
ほか の みんな も 来る よ ね ?
( マキ ) 多分 モジ が 回し てる みたい だ から
( モジ ) じゃ あした 1 時 に 二子 ( ふたご ) 会館 の 前 で
OK
あと カンジ の とこ ウシロ いる ん だ よ ね ?
( カンジ ) ああ 伝え とく
ムリ し て 呼ば なく て いい と 思う けど
う ~ ん … 本人 しだい だ ろ う
そう だ ね じゃ よろしく
あっ … すみません
( ワク の 父親 ) ハァ …
あっ …
フフッ …
( アンコ ) モジ 君
みんな は ? ( モジ ) 来 てる よ あそこ
( マキ ) ウシロ は 来 ない ね
( ダイチ ) あいつ は しょうがない だ ろ う
正直 俺 も 来 たく なかった
ああ … 俺 も 早く 帰り て え な
( マキ たち ) ンッ …
( チズ ) 見 て
( 検視 官 ) … で その 内閣 官房 調査 室 さま と や ら が
一体 どの よう な 権限 で ここ の ホトケ を 調べよ う って いう の か ね ?
( 桂木 ( かつらぎ ) ) 超 法規 的 な 権限 です
フフッ …
その 超 法規 的 な 権限 と やら で ―
この 仕事 の 山 を 全部 持って って くれ たら
私 も 家 帰れ る よ
( 桂木 ) 和久 隆 の もの だけ で い い ん です
和久 隆 だって ? ( 桂木 ) おととい 溺死 体 で ―
ここ に 運ば れ て き た ろ う 捜し て くれ
溺死 じゃ ない ( 狭山 ) なん だって ?
和久 隆 は 溺れ 死 ん だ ん じゃ ない と 言って る ん だ
あ ~ もう 報告 書 出し てる はず だ よ ( 刑事 ) 届 い て ない ぞ
そう か 彼 を 調べ に 来 た の か
( 狭山 ) オオッ …
おい
( 読経 )
( 父親 ) 今日 は どうも ありがとう
みんな 自然 学校 の … N ( モジ ) ええ
あっ あの … この度 は 謹んで …
君 たち が 最後 に 隆 と 過ごし て くれ た の か
本当 に ありがとう
( 父親 の 泣き声 )
( 狭山 ) おかしい じゃ ない か
謎 の 多い 死体 を そんなに 早く 返し て しまう なんて
そら あんた の 家 で 預かって くれる っ つ うん だったら
取 っと い た さ
オッ ! あった あった
体 の 中 に 水 も 白色 細小 泡 沫 ( ほう まつ ) も 見 られ ない
挫 創 と 骨折 は 見 られ た が 明らか に 死後 の もの だ
つまり ?
ハァ … この 少年 は ―
波 に 巻か れる 前 に 死 ん で い た と いう こと だ よ
( 父親 ) 本日 は お 忙しい ところ を
息子 隆 の ため に お 集まり いただき まし て
誠に ありがとう ござい まし た
おかげ さま で 式 も 滞り なく 終了 し 出 棺 の 運び と なり まし た
( 泣き声 )
乱暴 者 で 元気 な だけ が 取り柄 の 息子 が ―
生前 どんなに か 皆さん に 迷惑 を かけ た か 分かり ませ ん
しかし 私 と いたし まして は 元気 な 息子 が 誇り で し た
今 思え ば もっと かまって やれ ば よかった と …
私 が 仕事 に 追わ れ て おり まし た もの です から …
( 泣き声 )
( 泣き声 )
ワク 君 … 死 ん だ ん だ ね
( 桂木 ) それ じゃ 死因 は 何 です か ?
それ が 分から ない ( 狭山 ) バカ な …
きれい な もん だった どこ を 見 て も 体 の 中 が きれい な ん だ
( 検視 官 ) ただ ひと つ だけ … N 彼 の 命 だけ が 消え て い た
( 燃える 音 )
( 燃える 音 )
( コダマ ) うん ?
俺 か
♪~
~♪
( コダマ ) 命 に は 2 通り ある
死 ん で いく 命 と 選ば れ て 生き残って いく 命 だ
次回 「 ぼくら の 」 “ 強 さ ”
俺 は その 選ば れ た 側 の 人間 に なる