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( 板書 する 音 )
( 末 真 ( す えま ) ) あ …
( チャイム )
( 京子 ( きょうこ ) ) ねえ 末 真 今日 予定 ある ?
よかったら さ 一緒に 帰ら ない ?
うん 別に いい けど
ねえ 別 の 道 から 帰ら ない ?
( 末 真 ) なんで ?
( 京子 ) だって …
誰 か に 襲わ れ て 殺さ れる から ?
( 京子 ) あ …
( 末 真 ) 事情 が 分から ない から あれ だ けど ―
きっと 考え すぎよ そう いう とき って
いい ? 京子
人 って そう 簡単 に 殺さ れ た り なんか し ない わ
あっ
くっ … あっ くう …
( 食べる 音 )
( 早乙女 ( さおとめ ) ) まさに マンティコア だ ね
( 百合 原 ( ゆり はら ) ) マンティコア ?
古代 ギリシャ 語 で “ 人 喰 ( ひと ぐ ) い ” を 意味 する 言葉 さ
( 早乙女 ) 僕 も 協力 する よ
( 百合 原 ) ハッ …
お前 どう し て …
( 早乙女 ) 君 が 好き だ から さ
僕 たち 2 人 を 中心 に 世界 を 創り 変える ん だ
( 末 真 ) 手 大丈夫 ?
で 草津 ( くさ つ ) 秋子 ( あきこ ) って 子 が どう し た の ?
“ 薬 ” って 何 な の ?
( 京子 の 泣き声 )
泣 い てる だけ じゃ 分から ない わ よ
( 京子 ) 誰 に も 言わ ない って 約束 し て くれる ?
( 末 真 ) うん
1 - D の 草津 秋子 って 私 の 中学 の 後輩 な ん だ けど …
( 末 真 ) 同じ 部活 だった ?
( 京子 ) うん その 秋子 が ね
中間 の ころ だ から もう 3 か月 か な
変 な 薬 を 配り だし た の
“ 楽しい ” って
“ 頭 が フワッ と する から 試験 の 息抜き に いい よ ” って ―
みんな に
( 末 真 ) へ え そう な ん だ
( 京子 ) その うち さ
友達 の 中 から 家出 を し ちゃ う 子 が 出 始め て さ
みんな 誰 に も 言わ ず に 姿 を 消し ちゃ う の
それ で 秋子 も い なく なって …
おかしい って 思う よ ね
あっ ぜ 全然 … 続け て
そう いう こと って よく ある し
( 京子 ) そ っか
それ で みんな 薬 の せい かな って 思った の
霧 間 ( き り ま ) 凪 ( なぎ ) が みんな の ところ へ 来 て さっき み たい に ―
“ 薬 の こと は 忘れろ ” って
私 さ 霧 間 凪 は
この ため に わざと 停学 に なって 動 い た よう に しか 見え ない の
きっと 秋子 も 他 の みんな も 霧 間 凪 に …
ねえ 末 真 聞い てる ?
えっ ? あ … うん
( 京子 ) ホント に 誰 に も 言わ ない で ね
私 も もう すぐ 忘れる から
( 末 真 ) ん …
( 末 真 ) 住所 だ と ここ な ん だ けど …
( 深呼吸 )
( チャイム )
( 正樹 ( まさき ) ) はい どちら 様 … ( 末 真 ) えっ
( 正樹 ) あ …
( 正樹 ) へえ 凪 の お 友達 です か
珍しい な
今 呼 ん で すぐ 来る と 思う んで ご ゆっくり
( 末 真 ) あの あなた は ?
( 凪 ) 弟 だ よ ( 末 真 ) あっ
( 凪 ) 血 は つながって ない けど な
( 凪 ) 上 で 話 そ う 末 真 さん
( 末 真 ) それ で “ 谷口 ( たに ぐち ) ” なん だ ね
( 凪 ) ああ 母 さん の 今 の 旦那 の 姓 だ
俺 は オヤジ の 姓 を 勝手 に 名乗って いる
( 末 真 ) お 父さん ?
ん ? 知って て 来 た ん じゃ ねえ の か ?
霧 間 誠一 ( せい いち ) って ―
本 を たくさん 出し てる ヤツ で
え えっ ? ウソ
何 が “ ウソ ” だ よ
だって あの 作家 の 霧 間 誠一 ?
あ … ああ
「 殺戮 ( さつ りく ) 者 は 気 が 変わる 」
「 心 の 中 の 叫び - 多重 人格 に つい て 」
「 人 が 人 を 殺す とき 」 「 退屈 する 悪魔 」
「 VS ( バーサス ) イマジ ネーター 」
俺 の オヤジ だ よ
俺 が 10 歳 の とき に 死 ん だ けど ね
( 末 真 ) あ …
昨日 の こと だ けど 霧 間 さん どう し て …
( 凪 ) ああ 理由 か
( 末 真 ) ええ なんで 京子 を 助け た の ?
あれ を よく “ 助け た ” と 分かった な
( 京子 ) あっ くう … ああ …
このまま へし折る か ?
再生 する に し て も 時間 が かかる ぞ マンティコア
霧 間 さん ?
( 京子 ) 痛い 痛い 痛い ! やめ て !
( 凪 ) 俺 だけ じゃ ない エコーズ も お前 を 捜し て いる
( 京子 ) もう し ない よ もう 薬 なんか に 手 を 出さ ない から !
( 凪 ) 草津 秋子 を 殺し た くせ に 何 を 言って る !
知ら ない って 薬 は あの 子 から もらった だけ で …
チッ 普通 の 人 間 か
( 末 真 ) 京子 ! な … 何 な の よ 一体 !
表沙汰 に なる より マシ だ ろ 木下 ( き の した )
( 京子 ) う っ う っ …
( 末 真 ) 話 は 全部 京子 から 聞い た わ
霧 間 さん 怪し げ な 薬 から 彼女 たち を 助け て くれ た ん でしょ ?
( 凪 ) さて ね どう かな
( 末 真 ) それ に 京子 に 言った ―
マンティコア と か エコーズ って 一体 何 ?
家出 し た 子 たち と 何 か 関係 が ある の ?
( 凪 ) あんた に は 関係ない 話 だ
あっ
( 凪 ) メサイア ・ コンプレックス なん だ よ 俺 は
まあ いろいろ あって さ
俺 は 普通 で いる こと を やめ た ん だ よ
それ に 誰 か が やら なきゃ いけ ない こと だ ろ う ?
教師 ども は 当て に なん ねえ し な
さて 暗く なる 前 に そこ まで 送る よ 末 真 さん
もう この 辺 で 大丈夫
ありがとう
そう か じゃあ 明日 学校 で
あ …
ああ 明日 で 停学 は 明ける
( 末 真 ) そう な ん だ
( 凪 ) なあ 末 真 さん ( 末 真 ) ん ?
( 凪 ) あんた も いつ まで も 過去 の こと を 引きずる ん じゃ ない ぞ
あっ …
あんまり こだわる と たた られる ぜ
( 百合 原 ) 霧 間 凪 が 戻って き た わ
( 早乙女 ) そう みたい だ ね
大丈夫 だ 言った ろ ?
“ 状況 は こちら が 有利 だ ” って
やっぱり 彼女 いかに も 早乙女 君 の 好き そう な 感じ
フン
( 直子 ( なお こ ) ) ん …
( 早乙女 ) あっ
百合 原 … さん ?
あっ
う う っ
う わ あっ う っ …
( マンティコア ) 見 た な
見 られ た から に は 生かし て おか ぬ
( 早乙女 ) あっ う っ …
( マンティコア ) ん ん …
( 早乙女 ) あ … ああ …
くっ … フフ …
( マンティコア ) 殺さ れ たい の か ?
あの 女 より 男 の お前 の ほう が 都合 が よ さ そう だ な
お前 を コピー する こと に しよ う
( 早乙女 ) コピー だって ?
( マンティコア ) そう だ
お前 に 変わり 人間 社会 に 溶け込む ん だ
誰 に も 見つから ない よう に な
そう いう こと か
それ なら 僕 は 生かし て おい て もらった ほう が ―
効率 が いい よ
( マンティコア ) は あ ?
( 携帯 電話 の 振動 音 )
( 早乙女 ) フッ
( カラオケ の 音楽 )
( 秋子 ) イエーイ !
イエーイ
次 早乙女 君 も 歌って よ
ああ はい これ
ありがとう
すぐ に 食べ られ ない の は 生殺し だ わ
今 は 辛抱 だ よ
お前 に 力 を 与え た
その 力 で 私 に 人間 を 貢げ
いい か ? お前 は あくまで 自分 の 意志 で 落ち て いく の だ
( 秋子 ) あっ … あ …
あれ ? 私 …
大丈夫 ?
( 百合 原 ) うまく いった でしょ う ? 改造
うん さすが すごい 能力 だ
これ で あの 女 は 自分 でも 出 どころ の 分から ない 麻薬 を
周囲 の 友人 に 吸わ せる こと に なる わ
自覚 の ない まま 自分 の 脳 細胞 で 合成 さ れ た 麻薬 を ね
( 早乙女 ) ああ
薬物 に 手 を 出す よう な 堕落 し た 人間 なら ―
突然 失踪 し て も 不自然 じゃ ない
天才 ね 早乙女 君 は
( 食器 の 割れる 音 ) ( 百合 原 ) あっ
( 店員 ) 失礼 し まし た ( 店員 ) 失礼 し まし た
ハァ …
( 早乙女 ) 怖い の かい ? 施設 の ヤツ ら が
( 百合 原 ) ええ
あれ だけ の 規模 の こと を やってのける 人間 たち よ
きっと 追っ手 の ひと つ や ふた つ は 出 て いる わ
心配 ない
この スレイブ 化 が うまく いけ ば こっち に も 戦力 が できる
そう すれ ば 逆襲 も 可能 だ
失敗 作 の 私 を 消 そ う と し て いる 連中 を
逆 に 消し て やる って こと ね
当然 だ ろ
最高 !
( 早乙女 ) 失敗 作 どころ か 君 こそ が 新しい 世界 の 王 だ
( 百合 原 ) 早乙女 君 あなた こそ 私 の 王子 様 よ
ねえ スレイブ は また 作る ?
ああ もう 少し ね
いずれ は 大がかり に やる こと に なる だ ろ う から
( 百合 原 ) どう し て …
どう し て 目 を 覚まさ ない の よ !
大丈夫 喰 って 処理 すれ ば いい ( 百合 原 ) くっ …
チッ
( 食べる 音 )
ごめんなさい
次 は うまく やる わ
慌てる こと は ない
まだまだ 機会 は いくら で も ある さ
( 早乙女 ) 草津 … 秋子 です か ?
ああ 早乙女 君 彼女 と 同じ クラス だ ろ ?
仲 は よかった ?
( 早乙女 ) いや その … ( 凪 ) ん ?
( 早乙女 ) 一 度 デート し まし た
でも 一 度 だけ で …
( 凪 ) その とき 何 か 様子 が おかしかった ところ は ?
( 早乙女 ) いえ 特に は …
あの … 草津 が どう かし た ん です か ?
もし 僕 で よけ れ ば 力 に … あっ
先輩 それ …
( 凪 ) ああ 大丈夫 だ
何でもない
( 教師 ) 霧 間 何 だ これ は ?
( 物 が 落ちる 音 )
( 百合 原 ) 霧 間 凪 なんで あいつ が …
( 早乙女 ) 分から ない
ただ 霧 間 凪 が 何 か 感づ い て いる こと は 確か だ
どう し て よ ! 私 たち は うまく やって る わ
ああ その とおり だ
だから 彼女 も 僕ら に まで は たどりつ い て い ない
けど 学園 内 で の 行動 は 控えよ う
怪しま れ たら 面倒 だ
霧 間 凪 は 殺さ ない の ?
うん
ヤツ が 何 を どこ まで 知って いる の か を 知る まで は ね
殺し ま しょ う よ !
大丈夫 証拠 なんて 残さ ない
それ に あいつ は 変人 だ から ―
消え た って … ( 早乙女 ) 知ら ない の か ?
彼女 の 今 の 両親 は 資産 家 な ん だ
失踪 し たら ただ の 不良 娘 の 家出 じゃ 済ま ない
本当 に それ だけ ? ( 早乙女 ) え ?
( 百合 原 ) 早乙女 君 彼女 の こと が 好き な ん じゃ ない の ?
なんで そう 思う ?
違う ? 当たり でしょ
( 直子 ) エコーズ ここ に いる の ?
ぐ わ っ
が っ …
( 百合 原 ) そんな … エコーズ が … あいつ が … あいつ が …
( 早乙女 ) どう し た ? 何 だ その “ エコーズ ” って
私 の オリジナル
進化 し すぎ た 男 …
( 直子 ) エコーズ …
( エコーズ の ため 息 )
( エコーズ ) 人間 は どっち な の だ ろ う か
( エコーズ ) ハァ …
ああ …
う っ …
( ブギー ポップ ) 君 は 何 か を 追い求め て いる ん だ ね
だったら 泣く の は ―
それ を 見つけ て から に し た ほう が いい
( エコーズ ) ハッ …
あなた ケガ し てる わ よ
一体 どう し た の ?
( 直子 ) あなた の 名前 は ? 家 は どこ ?
うーん 困った わ ね
警察 に でも 行く しか …
そ っか 訳 あり な ん だ ね
ごめん
大丈夫
私 の 友達 に 面白い 子 が い て さ
彼女 なら きっと なんとか し て くれる わ よ
君 が 悪い ヤツ で さえ なきゃ ね
( 凪 ) は あ ? 男 を かくまって る ?
シーッ ! 声 大きい って
誰 も い ねえ から 大丈夫 だ よ
お前 田中 ( た なか ) と か いう 1 年 は いい の か よ ?
( 直子 ) あっ う うん そう いう の じゃ なく て
ねえ その 子 が 宇宙 から 来 た って 言ったら
凪 信じる ?
まあ お前 が 言う なら
( 直子 ) フフッ
( 凪 ) わざわざ 宇宙 から 何 の 用 って ? そい つ
( 直子 ) この 星 の 人類 を 試す ため
宇宙 に は そう いう 大きな 意識 が ある ん だ って
( 凪 ) なんだか すげ え 話 だ な
よく 分から ねえ けど
( 直子 ) 本当 は 彼 人間 と 同じ 姿 に なって 調査 する はず だった ん だ けど ―
手違い で 進化 し すぎ た 存在 に なった みたい で ね
その 力 を 利用 しよ う と し た 政府 ? 企業 だ か に 捕まって ―
“ エコーズ ” って 名前 を 付け られ て コピー まで 作ら れ て しまった の
エコーズ ?
うん 人 の 言葉 を 繰り返す こと しか でき ない から ―
“ エコーズ ”
( 凪 ) 進化 し た わり に 不便 な ヤツ だ な
そんな こと は ない よ
だって エコーズ は 人間 が 優しい か どう か を ―
調べ に 来 た だけ な ん だ から
誰 か に 優しく さ れる ため に ―
自分 から 何 か を 訴える 必要 なんて ない よ
でも エコーズ と 違って コピー の ほう は ―
恐ろしい 人 喰 い に なって しまって
研究 所 の 人 を 皆殺し に し て 逃げ出し ちゃ って …
( 凪 ) つまり エコーズ と やら は 責任 を 感じ て ―
その コピー を 追って る って こと か ?
そもそも お前 は どう やって その 話 を 聞 け た ん だ よ
エコーズ は 話せ ねえ ん だ ろ ?
( 直子 ) 何となく … かな
心 と 心 が 通じ合う って やつ ?
俺 に その コピー を 捜せ って か ?
( 直子 ) フッ
( 凪 ) で エコーズ は 今 どこ に いる ん だ ?
( 直子 ) 学校
何だか んだ 一 番 安全 かな って 思って さ
内緒 だ よ
じゃあ 俺 近い うち に 停学 に なる よ
ありがとう 凪
( 百合 原 の おびえる 声 )
大丈夫 だ マンティコア 状況 は こちら が 有利 だ
紙 木城 ( かみ きしろ ) 直子 の 死体 は 君 が 処理 し て ある
何 も 問題 は ない
少女 が また 1 人 消え た と いう だけ の 話 だ
ねえ 凪 もし エコーズ が 宇宙 に 帰ったら
彼 人間 の こと を 宇宙 に どう 紹介 する かしら ?
( 凪 ) うん ?
( 直子 ) “ 大丈夫 いい 生き物 です ” って 言って くれる かな ?
フッ
お前 が 仲よく すりゃ たぶん な
じゃ なきゃ 救い が ねえ だ ろ
( 直子 ) だ と いい けど な
( 凪 ) 直子 が 消え た ん だ
どこ に も い ない
なんとか 言 えよ
エコーズ
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