結婚 でき ない 男 シーズン 1-5: 家 に 人 を 入れ ない!
♪~
( 信 介 ( しん すけ )) ンンッ !
♪( 口笛 )
( 笑い声 )
( 指 を 鳴らす 音 ) よし !
あれ ?
吉井 ( よし い ) 邸 の 資料 どこ やった ?
あっ !
多分 この 中 に ある はずだ
あれ ?
あれ ? ああ … おかしい …
あっ ! これ 写真 … 懐かしい な
( みちる ) 近づく んじゃ ない の !
あれ ? おかしい … ウッ !
うん ? あった ! 分別 し と いて 良かった
( 男性 ) 桑野 ( くわ の ) さん に お 願い して 正解 でした
どうも
( 女性 ) 桑野 さん って 独身 で いらっしゃる のに
主婦 の 気持ち が よく お 分かり に なる んです ね
まあ
( 摩耶 ( ま や )) それ が この 人 の 仕事 です から
( 男性 ) いつも 1 人 で 掃除 と か 洗濯 と か
苦労 して らっしゃる から じゃ ないで す か ?
いや 別に
( 女性 ) 失礼 よ やって くださる 女性 が いらっしゃる の よ
( 男性 ) アハハ … そう か
いや そんな 者 は おり ませ ん よ
家 の こと は 全部 1 人 で やって ます が 何の 苦労 も あり ませ ん
( 女性 ) ああ …
( 夏美 ( なつみ )) ハァ … はい これ お 願い ( 真理 ( まり )) はい
ハァ … 家事 って すごい 面倒 なんとか な ん ない か なぁ
なんとか って 言わ れて も …
仕事 して る と さ 洗濯物 と か どんどん たまって く の よね
見 ない フリ して なんとか やり過ごして る けど
( 和美 ) 問題 の 解決 に なって ませ ん よ
男 の 人 は 結婚 すれば お 嫁 さん に やって もらえ ます けど ね
あ ~ あ 私 も 嫁 が 欲しい
あっ …
どうぞ ( 信 介 ) はい
どう さ れ ました ?
ちょっと 頭痛 が し まして ね
ここ ん とこ 仕事 が 立て込んで 疲れて る せい か
お 薬 は のま れ ました か ? ( 信 介 ) いえ
この 前 お 出し した 鎮痛 剤 まだ 残って ます よ ね ?
いつも の 軽い 頭痛 なら
しばらく 様子 を 見る と か 少し 休む と かして
それ でも 治ら ない 場合 に 病院 に 来て いただけ ませ ん ?
あなた みたいな 人 が いる せい で 医者 が 忙し すぎる んです
洗濯物 そんなに たまって んです か ? ( 夏美 ) そういう 話 じゃ なくて
家事 が でき ない こと を 患者 の せい に して いい の か なぁ
少し 訂正 し ます と でき ない って 言って る んじゃ ない んです
忙しくて つい おろそかに なる って 言って る んです
僕 は ね 仕事 が どんなに 忙しくて も 家 の 中 が 散らかって る と
もう どうしても 我慢 でき ない 性質 ( たち ) な んです よ
決め られた 物 は 決め られた 場所 に あって
清潔 かつ 機能 的 そういう 状態 を いつも 保つ ように して い ます
さぞかし きれいな お 部屋 な んでしょう ね
ええ … 残念 ながら お 見せ でき ませ ん
他人 を 家 に 入れ ない 主義 な もん です から
見 たい なんて 誰 も 言って ませ ん
( 体温 計 の 信号 音 ) まあ とにかく
家事 が でき ない なんて 言って る 人 は 結局 は 嫌いな んです ね 家事 が
そう です よ 嫌いです よ 家事 なんて
それ で あなた に 迷惑 かけ ました か ?
家事 が 嫌い か …
フフッ … 結婚 する うえ で ハンデ だろう な
余計 なお 世話です
ああ … なんか 頭 痛く なって きた ( 信 介 ) えっ ? 大丈夫です か ?
( みちる ) ああ こんばん は
( 夏美 ) ああ … 疲れた
大変です ね 毎晩 遅く まで
まあ 自分 で 選んだ 仕事 だ けど さ
保険 の 書類 と か レセプト の チェック と かもし なきゃ いけない し
その 上 … 桑野 さん は 来る し
そんなに よく 来る んです か ?
医者 の 言う こと 聞か ない わりに 来る の よ ! もう なんとか して よ
私 に どう しろ って … ( 夏美 ) ハァ … ごめん 愚痴 った
愚痴 なら 聞き ます から 飲み に 行き ましょう そうだ !
英治 ( えいじ ) 君 も 誘って “ 桑野 さん を こき下ろす 会 ” し ませ ん ?
やろ っか ?
( 英治 ) うわ っ … やりて え ! ( みちる ) じゃ おいで よ
ああ … でも ダメ
沙織 ( さおり ) ちゃん に 怒ら れる から ?
ああ … 今 打ち合せ 中 で さ … 急に 新しい 仕事 の 話 が 入っちゃ って
そう な んだ …
今度 絶対 呼んで よ こき下ろす 会
こけら落とし か ぁ … ( 英治 ) わ っ … いた !
( 信 介 ) 主演 は …
じゃ また ね ( みちる ) うん … じゃ また ね
3 階建て 完全 2 世帯 同居 か 挑戦 し がい は ある な
でも 9 月 頭 に 着工 と なる と 時間 的に は 相当 厳しい です よ
逆算 する と 今週 中 に は 設計 の 大 枠 を ―
固め なきゃ なら な いって わけ か
でも 前田 ( まえ だ ) さん が やる 予定 だった んでしょう ?
なんで でき なく なっちゃ った ん ス か ?
海外 で やって た 仕事 が 長引いちゃ って
当分 日本 に 帰れ なく なった ん だって
おいしい 仕事 を 優先 して
余り を 俺 に 渡そう って 魂胆 か まったく 嫌 みな ヤツ だ よ
まあ どっち に しろ スケジュール 的に は 難しい です よ
今 やって る 仕事 も ちょうど ヤマ場 です し
ムリ なら しょうがない わ ね
“ 桑野 の 手 に は 余る ようです ” って お 断り し と くわ
誰 が ムリ だっ つった ? ( 摩耶 ) えっ ?
やる よ やりゃ いい んだろう ?
え えっ ? 大丈夫です か ? ( 信 介 ) あいつ に は さ ―
絶対 想像 も つか ない ような すごい 物 作って やる から
その 結果 売り上げ アップ で 給料 アップ だ ぞ
やり ます か !
( 摩耶 ) 受け といて 結局 間に合わ ない なんて ことに なったら
かえって 問題 よ
楽勝 だ ね
違う な
この 階段 な んです けど ( 作業 員 ) はい
え ~ これ は …
… で こう 窓 つける と か こう もう 少し 明るく した ほう が
ハァ … 疲れた な
あっ … メシ 食う の 忘れて た
時間 も ない し そうめん で 済ます か
あれ ? ショウガ …
ショウガ なし じゃ そうめん は 食え んだろう チッ …
フン !
あれ ? こんな 時間 あった っけ ?
♪~
~♪
あっ 達 川 ( たつ かわ ) 邸 の 図面 でき ました ? ( 信 介 ) まだ
あした の 朝 まで に お 願い し ます ( 信 介 ) はい
“ はい ” って 何 だ よ ? お前 俺 に 指示 す んな よ
別に 指示 し たくて して んじゃ ない ッス よ
いい です か ? あした に は 桑野 さん が 立 面 と 断面 を 仕上げて
俺 が 模型 作成 の 作業 に 入ら ない と
3 日 後 の 打ち合わせ に 間に合わ ない ん ス よ
ああ そう か ( 英治 ) えっ ?
楽勝 だ よ と か 言って た けど
ちょっと 甘く 見て た んじゃ ない ッス か ?
全然 … あした の 朝 まで だろう ? やる よ
家 ( うち ) で やろう … お前 も 家 で やって いい ぞ
ああ 俺 家 に 仕事 持ち込ま ない 主義 なんで
家 は やっぱり 彼女 と 過ごす 場所 でしょう
俺 は な 他人 を 家 に 持ち込ま ない 主義 なんで な
主義 は いい けど それ じゃ 結婚 どころ か 恋人 も でき ませ ん よ
戸締まり して 帰れよ ( 英治 ) はい
( 店員 ) いらっしゃい ませ
ちょっと 待った
“ タウリン 3600” … 効く かな ?
( 店員 ) いらっしゃい ませ
あっ ! 出て る
そんな 時間 ない か
( 自動 ドア の 開く 音 )
( 足音 )
ハァ … なんだ 桑野 さん
どこ 行く んです か ? ( 夏美 ) みちる ちゃん とこ です
なんで 声 かけ ない んです か ? 怖い じゃ ないで す か
話しかけて 話題 が なかったら フフッ … イヤでしょう ?
ほら
あきれて もの が 言え ない だけ です
女 同士 で 食事 です か ?
“ 最近 仕事 が 忙しくて ロク な 物 食べて ない ” って 言ったら
何 か ごちそう する って 誘って くれた んです
フッ … 男 い ない の か ? あの 子 ( 夏美 ) 女 同士 でも 楽しい んです
食後 に 卒業 アルバム 見たり する んです か ?
いい でしょう ? 見た って
ハァ ~…
よし やる か
♪( ハミング )
( みちる ) さあ 召し上がれ ! ( 夏美 ) いただき ま ~ す
豚肉 と ルッコラ で リゾット 作って みた んです
うん ! おいしい ( みちる ) そうです か ?
ふ ~ ん … 結構 ちゃんと した 物 作れる んだ ?
夏美 さん が 来る と 思って 気合い 入っちゃ い ました
いい なぁ …
家 に 帰って くる と 部屋 が 明るくて 誰 か が 料理 作って くれて て
私 も 想像 しちゃ う
エプロン 着けて お 料理 して たら 旦那 さま が 仕事 から 帰って きて
“ お かえり ! お 風呂 に する ? それとも ごはん ?” なんて
ダメダメ ! また “ 嫁 欲しい モード ” 入って きた
私 も ! 想像 して る 暇 が あったら 男 探さ ない と
みちる ちゃん って 結構 いい 奥さん に なれ そう
… でしょう ? 私 も そう 思う んです
でも なかなか それ を アピール する チャンス が なくて
夏美 さん は 収入 ある んだ し 専業 主夫 やって くれる 男 の 人 と
結婚 した って いい んじゃ ない です か ?
うーん …
そういう 選択肢 も あった か ( みちる ) うん
桑野 さん って 家事 ちゃん と やって そうです よ ね
あっ … そう いえば
“ うち の 部屋 は いつも ピカピカ だ ” みたいな こ と 言って た
へえ ~ どんな 部屋 だろう ?
他人 を 部屋 に 入れ ない 主義 み たいよ
うわ っ ! なんか すごい 秘密 が あったり して
見た くない です か ? ( 夏美 ) 私 は いい
( 携帯 電話 の 着信 音 )
( 着信 音 )
はい ( 英治 ) ああ すいません あの …
吉井 ( よし い ) 邸 の 図面 が 必要な ん ス けど メール で 送って もらえ ませ ん か ?
分かった ( 英治 ) あと 達 川 邸 の 平面 …
あした の 朝 まで に 間に合い そうです か ?
当然だろう … すぐ 送る よ
ああ ちなみに そこ 夜 10 時 過ぎる と 霊 が 出る から 気 を つけろ よ
生意気に …
チッ … うーん … BGM が 欲しい な
♪( クラシック )
チッ … 違う な
ショルティ より バレンボイム な んだ よ な
( 携帯 電話 の 着信 音 )
ハァ … はい 何 か ?
晩 ごはん 食べ ました ? ( 信 介 ) いえ それ が 何 か ?
みちる ちゃん と 食事 して た んです けど
結構 余っちゃ った んです よ ね よかったら 要り ませ ん ?
ハハッ … 残飯 処理 です か
解釈 は お 任せ し ます
まあ … ( おなか の 鳴る 音 )
どうしても と おっしゃる なら もらい に 行き ます
( 夏美 )1 人 じゃ 持て ない んで 私 たち 持っていき ます よ
いえ こちら から 行き ます
どうして そんなに 人 を 家 に 入れ たく ない んです か ?
よく 聞き ました ね
家 の 中 ぐらい 人間 関係 から 解放 さ れ たい から です よ
そんなに 人間 関係 ある んです か ?
人 に は ね それぞれ 聖域 と いう もの が 必要な んです
じゃ いい で すよ 聖域 から 出て こっち まで 来て ください
あっ 思い出した そうだ … 帰り に 寿司 買った んだ 食べ なきゃ
じゃ いい んです ね ?
私 これ から みちる ちゃん の 卒業 アルバム 見せて もらって
今夜 お 泊まり です
あっ そう です か じゃ お やすみ なさい
お やすみ なさい
やっぱり 見る の か
そうめん …
( 夏美 ) へえ ~… ねえ ねえ ねえ
この 中 に 好きな 人 いた の ?
ウフフ … 当てて ください
え えっ … う ~ ん … 誰 だ と 思う ?
あっ ! こって ます ね ここ
あ ~ そこそこ そこそこ
ああ いい ねえ ( みちる ) フフフフ …
( せきばらい )
ああ … 疲れた な
おはよう ( 英治 ) おはよう ございます
おう ( 摩耶 ) 差し入れ
ああ ありがとう ございます ( 信 介 ) サンキュー な
おう これ ( 英治 ) はい
あっ ! すごい ちゃん と でき ました ね
当たり前だ よ 仕事 に かかれ ( 英治 ) はい …
じゃ 桑野 さん は 今日 中 に 立 面 断面 よろしく お 願い し ます ね
次 から 次 へ と な …
大変 そう ね ( 信 介 ) フフッ …
おい ちゃん と 片づけろ って いつも 言って んだろう !
もう これ で 9 回 目 だ ぞ
しょうがない じゃ ないで す か 忙しい んだ から
は いはい 私 が やって あげ ます よ ~
( 英治 ) ああ すいません ホント
よい しょ っと
ねえ 松野 ( まつの ) さん に 聞いた んだ けど スケジュール 空いて る って
松野 ? 何 が ( 摩耶 ) えっ … だ から
もし 今回 の 仕事 が ムリ そう なら ピンチヒッター 頼める って こと
ヤダ よ 今更 何 だ よ ? ( 摩耶 ) だって …
やる っつ ったら やる んだ よ 余計な こと す んな よ !
もう … 心配 して 言って くれて る んじゃ ない です か
そんな 言い 方 ない んじゃ ない ッス か ?
あっ いい の “ やる ” って 言う んだ から 任せる しか ない わ よ ね
じゃ 頑張って ね
すいません ( 摩耶 ) うん
あっ そうだ あと で 銀行 行って さ 家賃 振り込んで きて くれ ない か ?
できる わけない じゃ ないで す か そんな の
えっ なんで ? ( 英治 ) いや そういう 雑用 は
今 まで ボランティア で やって あげて た んです よ
俺 だって 模型 作って 確認 申請 も やら なきゃ いけない し
忙しい んです よ ( 信 介 ) あっ そう …
じゃ あと で 自分 で 行こう ( 英治 ) 当然です
おい 金田 ( かね だ ) 更新 して る ぞ ( 英治 ) ああ そう です か
ほら やっぱり こいつ 全然 仕事 して ない や
親 の 金 食いつぶして 遊んで る だけ だ
そんな の より さ
こう やって 忙しく 仕事 して る ほう が いい だろう ?
そりゃ まあ … ( 信 介 ) 銀行 行って くれ
イヤです
( 物音 )
桑野 さん ! ちょ … 大丈夫です か
アハハ … 大丈夫 大丈夫 銀行 … 銀行 行か なきゃ
いや 銀行 ぐらい 行って あげ ます から
ああ っ ! ちょっと 桑野 さん ! 大丈夫です か ? 桑野 さん !
桑野 さん !
( 中川 ( なか がわ )) そんなに 何 日 も 徹夜 して た んです か ?
ええ ここん とこ ずっと みたいです
( 圭子 ) 最近 家 に 来 ない と 思ったら そういう こと だった の か
( 中川 ) しょうがない な まったく
( ゆみ ) しょうがない なぁ ( 圭子 ) 意地 張って
結局 人 に 迷惑 かけて 昔 から そう な の よ この 人 は
勝手な こと ばっ か 言う な
ああ … 仕事 し ない と いけない ( 圭子 ) ああ っ …
ちょっと こら こら こら こら こら ( 信 介 ) もう 何 だ よ ?
ええ ? 早坂 ( はやさ か ) 先生 の 診断 に よる と 過労 に よる 一過性 の 不整 脈 だ
血圧 も やや 高 めだ し 2~3 日 は 安静 する ように って
もう 十分 寝た し 仕事 再開 し ない と いけない んだ よ
( 中川 ) ダメ だって ( 圭子 ) お 兄ちゃん
もう いい んです よ ( 信 介 ) えっ ? 何 が
沢崎 ( さ わざ き ) さん と 話して
今回 の 仕事 松野 さん に ピンチヒッター お 願い し ました
おい ! お前 ら 何 やって んだ ? 勝手に
しょうがない でしょう この 状態 じゃ
楽し たかった だけ だろう ! ( 中川 ) そんな 言い 方 ない だろう
桑野 さん いつも そう です よ
人 の 気持ち なんか 考え ないで 自分 の 都合 ばっかり
そんなに 俺 が 気 に 食わ ない んだったら な
いる こと ない だろう
出て け !
分かり ました よ 出て いき ます よ
( 圭子 ) えっ … ちょ … いい の ?
あれ ? 今 の って クビ って こと じゃ ない よ な ?
フン ! こんな こと で クビ に する か
ねえ 大丈夫 ? 彼 クビ に さ れた と 思って ない ?
えっ ?
言って こよう か ? “ 誤解 し ない ように ” って
もう いい よ 放っとけ
… たく もう !
あれ ? 今 の って クビ って こと ?
いい や もう 知る か !
( ノック ) ( 戸 の 開く 音 )
面会 謝絶 だ !
それ は 医者 が 決める こと です
徹夜 続き だった んです って ?
食事 も ロク に して なかった んでしょう ?
私 が 行って 料理 と か 掃除 と かして あげよう か ?
結構だ
妹 さん ぐらい いい じゃ ないで す か 部屋 に 入れた って
余計 イヤです ね
あいつ は ね 昔 から 人 の 部屋 を 勝手に いじる 習性 が ある んで
でも こういう とき は さすが の お 兄ちゃん も
やっぱり 結婚 し たい って 思う んじゃ ない の ?
フン ! 全く
家事 と か 料理 して くれる 人 が いれば
仕事 に 集中 できて いい じゃ ないで す か
家事 を さ せる なら 家政 婦 を 雇えば 済む 話 だ
結婚 と 家政 婦 雇う の は 違う でしょう ?
フン ! 生活 を 保障 して 家事 を やら せる 点 で 同じです
愛 が ある か どう か この 違い は 大きい わ よ
愛情 で ごまかして る うち は な
ホント ややこしい ヤツ だ な 桑野 信 介
それでは 桑野 さん を こき下ろす 会 を 始め ま ー す
はい ( みちる ) どうぞ
あの 男 は 大体 自分勝手な んだ よ
だから 何でも 自分 の 都合 が 通る と 思って て さ
それ に 人 を 自分 より 下 に 見る だろう ?
だから 世の中 みんな バカ ばっかり だ と 思って んだ よ
あと 言う べき こと を 全然 言わ ない くせ に
なんか 余計な こと ばっかり 言う んだ よ な あいつ ホントに
あっ … この 人 おかわり ( バーテンダー ) はい
そのくせ 仕事 だけ は ちゃんと して んだ よ
作る 家 は どこ に 出して も 恥ずかしく ない し
お 客 さん に 喜ば れて る し … うん
たまに は 思いやり あったり も する し
時々 かわいかったり する んだ よ な うん
褒め てるよ ( 英治 ) えっ ?
ちゃんと 仲直り したら ? ( 英治 ) いや …
どうぞ ( 英治 ) あっ …
( バーテンダー ) いらっしゃい ませ ( 英治 ) ああ っ ! 金田
( 金田 ) ハァ … いつも の ( バーテンダー ) はい
今日 は お 1 人 です か ? ( 金田 ) うん たまに はね
あっ …
いや あいつ は ダメ やめ といた ほう が いい よ
金持ち そう じゃ ない ( 千鶴 ) 時計 カルティエ だ よ
どうせ 親 の 金 だ よ 全然 仕事 して ないし
親 の 金 だって いい じゃ ん ( 英治 ) え えっ
羨ま し いよ な 美女 2 人 と 酒 が 飲める なんて
いや ぁ …
こんな 時間 に 何 やって る んです か ?
眠れ なくて
だから って ウロウロ し ないで ください
娯楽 室 と か ない の ?
旅館 じゃ ない んです から
まったく … 病院 って 所 は …
まだ 怒って んだ ?
松野 さん ピンチヒッター OK して くれた
今日 は ね クライアント の 達 川 さま に あなた に ―
設計 や って もらえ なく なった こと おわび に 行って きた
特に 奥さま が 残念がって くださって ね
これ まで 家事 を 楽しい と 思って やった こと ない んだ って
だから あなた の 作る キッチン 楽しみに して くださって た の よ
フン ! キッチン に そこ まで 期待 さ れて も な
フフッ … 私 も そう 思った
でも ありがたい 話 じゃ ない
まあ 次の 仕事 頑張る こと ね 私 そろそろ 行か ない と
それ じゃ … 静かに 寝て ん の よ
( 戸 の 開閉 音 )
どういう こと ? ( 信 介 ) 何 が ?
“ 何 が ?” じゃ ない わ よ !
たった今 松野 さん から 電話 が あった の
ああ “ ピンチヒッター は 結構です ” って 電話 した んだ
あなた まさか やる つもりな の ?
入院 し て遅れ が 出て る し 体調 だって よく ない んでしょう ?
俺 は な そうめん ゆで 始めて から ショウガ が ない こと に 気づいたら
どうしても 買い に 行か なきゃ いけない
どう しよう も ない 性質 なんだ しか も な ―
チューブ 入り の ショウガ じゃ ダメな んだ
何の 話 ? ( 信 介 ) まあ そういう こと だ
クライアント に は 俺 が やる って 言 っと いて くれ じゃ …
分から ん …
( 育代 ( いくよ )) ホントに 縛ら れる の が ダメな んです よ あいつ は
これ まで 何 度 か こういう こと が あった んです けど
フフッ … 覚えて ない わ
ウチ でも 前 に あった んです ( 育代 ) そう な んです か
あの 子 も 結婚 すれば
ちょっと は マシ に なる か と は 思って いる んです けど ね
でも あの 人 時々 ちゃんと した こと も 言い ます よ
昨日 も “ 奥さん に 家事 を やって もらう ため に 結婚 する なら ”
“ 家政 婦 雇う の と 同じだ ” って ( 育代 ) 偉 そうな こと を !
まあ 自分 が 結婚 でき ない もん だ から
まあ 悔し紛れに そう 言って る だけ でしょう
ハァ … ホント どうし よう も ない 息子 です よ
やる ぞ … ハァ …
あれ ?
( 携帯 電話 の 着信 音 )
あれ ? ない … ちくしょう
はい ( 夏美 ) もしもし 早坂 です
( 信 介 ) 病院 抜け出した の は 謝り ます
でも 今 あなた と 話して る 場合 じゃ ない んで
忘れ物 した でしょう ? 病院 に ( 信 介 ) えっ ?
( 夏美 )“ 達 川 邸 設計 データ ” って 書いて あり ます
大切な 物 じゃ ない んです か ?
これ まで の データ が 全部 入って る んです
( 信 介 ) 返して もらえ ます か ?
お返し する に は 条件 が あり ます ( 信 介 ) 聞き ましょう
( 夏美 ) これ から 伺い ます から 診察 さ せて ください
は ぁ ?
もう 一 度 心臓 の 聴 診 と 血圧 を 測ら せて ください
( 夏美 ) OK でしたら 仕事 する こと を 認め ます
フフッ … “ 認める ” って 何 さま の つもり だ !
お 医者 さま です
家 に 入る つもりです か ?
病院 まで 来て いただいて も いい んです よ 時間 が あれば
あり ませ ん ! 仕事 が ある んで
じゃ 私 が 行く しか ない でしょう ? ( 信 介 ) ハァ …
… だったら さっさと 来て もらえ ます か ?
その メモリー が ない と 仕事 が でき ない んです
今 … 下 に い ます ( 信 介 ) えっ
どうも ( 信 介 ) どうも
大丈夫です か ? ( 信 介 ) 大丈夫です
いいかげん 観念 したら どう です か ?
メモリー 持ってきて もらえた でしょう ね ?
持って ます よ
ああ ! ( 夏美 ) ああ !
あっ ! ああ っ !
( ドア を たたく 音 ) ちょっと ! 開け なさい よ !
( 夏美 ) 卑怯 者 ! ( 信 介 ) ざ まあ みろ って んだ
桑野 さん ! 開け なさい よ !
ちょっと ! ( ドア を たたく 音 )
ああ ムカ つく ! ( みちる ) とんでもない 人 です ね
このまま で 済ませる もん です か !
( 携帯 電話 の 着信 音 )
はい … うん どうした の ?
桑野 さん が 病院 抜け出して 仕事 して る って 沢崎 さん から 聞いて
手伝おう と 思って 前 まで 来た んだ けど
ふ ~ ん …
桑野 さん に どう 言えば いい かな ?
えっ ? 私 に 聞か れて も …
あっ … まあ とりあえず 家 来る ? 夏美 さん も いる し
( 呼び出し 音 ) うーん … 出 ない なぁ
英治 君 が 来れば さすが に ドア は 開ける でしょう ?
その 隙 を ついて こう … こじあけて !
そんな カッカ して る 夏美 さん 初めて 見 ました
当然でしょう ?
( 物音 ) なに ? 今 の 音
ダメです 完全 無視 ( 夏美 ) ハァ …
まあ これ 飲んで 落ち着いて ください
うん
ハァ …
まさか 倒れて る んじゃ … ( みちる ・ 英治 ) えっ ?
昨日 も 倒れた んです よ ね ?
前 に 私 が 倒れた とき 桑野 さん この 外側 越えて 来た みたいです よ
え えっ … マジ ?
うわ っ ! ムリムリムリ
どう し ます ? ( 夏美 ) ハァ …
( 蹴破る 音 )
( 英治 ) よい しょ
よい しょ … うわ ぁ … わりと 簡単に 侵入 でき んだ な
どうぞ ( 夏美 ・ みちる ) うん
よい しょ …
( 夏美 ) ああ っ ! ( 英治 ) えっ ?
( 夏美 ) 桑野 さん ? ( 英治 ) えっ 桑野 さん !
( 夏美 たち ) 桑野 さん ! 桑野 さん ! 桑野 さん ! 桑野 さん !
( 夏美 ) 桑野 さん ! ( 英治 ) くわ … あっ …
( 窓 を たたく 音 ) ( 夏美 ) 桑野 さん !
何 だ ? ( 窓 を たたく 音 )
何 して んだ !
ああ っ ! ちょっと …
あ ~ あ … 壊して … ( 夏美 ) さあ 診察 さ せて ください
しつこい 人 です ね ( 夏美 ) 仕事 です から
こっち も ね 仕事 中 な んです よ
( みちる ) あっ ! ケン ちゃん ( 信 介 ) あっ … おい ちょっと …
おい 何 して んだ ? お前 人 の 牛乳 勝手に 飲む な
シッ ! ちょっと … シッ ! シッ !
シッ ! おいおい シッ ! シッ ! シッ ! シッ !
ちょ っ … ちょ … ちょっと ちょ ちょ ちょ … ちょ ちょ …
帰れ ( 英治 ) 俺 … 仕事 手伝い ます
今夜 は いい …
あした 事務 所 で パース 起こして くれ
はい ( 信 介 ) ちゃん と 片づけて 帰れよ
ハァ … まったく 油断 も 隙 も あった もん じゃ ない な
え えっ
うん ?
診察 し ます ( 信 介 ) おい !
あなた が プロ の 建築 家 なら 私 は プロ の 医者 です
仕事 さ せて ください
胸 を 出して ください ( 信 介 ) えっ ?
何 か ? ( 信 介 ) 別に
… で どう です か ? ( 夏美 ) 少し 血圧 が 高い ようです ね
ホント は 安静に して もらい たい んです けど
まあ 出した お 薬 を ―
ちゃんと のむ と いう 条件 で OK し ましょう
もう 40 な んです から 昔 みたいに は いか ない んです よ
それ じゃ
あっ …
隣 で 料理 作って あと で 運ぶ んで 食べて ください
どうも ( 夏美 ) それ じゃ
( 英治 ) うまい ね ( 夏美 ) うん うまい うまい
( 英治 ) あの … ちょっと 思った んです けど ニンジン って
こう やって むいて る と 手 が かゆく なって くる もん です か
( 夏美 ) え えっ それ 初耳
( 英治 ) 僕 こういう 感じ で むい てれば い い ん ス かね ?
( 笑い声 )
よし
( 摩耶 ) “ 自然 と 家族 の みんな が 集まる キッチン ” と いう コンセプト で
桑野 が 設計 いたし ました
娘 さん と 並んで 料理 が できる ように 横幅 を かなり 広 めに 取って おり ます
( 達 川 の 妻 ) ありがとう ございます 桑野 さん は ?
今日 は あいにく 久しぶりに お 休み を いただいて い ます
“ よろしく お 伝え して ください ” と の こと です
( 摩耶 ・ 英治 ) ありがとう ございました
( 摩耶 ) ハァ …
( 沙織 ) ただいま 戻り ました ( 摩耶 ) ああ お かえり
( 沙織 ) はい これ お土産 です ( 摩耶 ) ありがとう
サンキュー
浮気 し なかった でしょう ね ? ( 英治 ) あの さ …
浮気 する 暇 なかった と 思う よ ( 沙織 ) どう だ か
ホント だって !
お前 … 俺 が どんな 過酷な 日々 を 過ごして きた か 聞く ?
( 真理 ) 桑野 さん 大丈夫です かね ?
( 和美 ) ちゃん と 安静に して れば いい けど
大丈夫でしょう きちんと 薬 の んで 睡眠 も 取る ように 言 っと いた から
それ に 今ごろ ちゃん と 栄養 も とって る だろう し
ハァ …
( ため息 )
“ 仕事 が 終わったら 食べて ください ”
“ きん ぴら は みちる ちゃん が ”
“ ロール キャベツ は 私 が 作り ました ”
フッ … なに 自己 主張 して んだ
塩味 が きつ すぎる な しか も 煮込み 過ぎ だろう
ハァ … これ じゃ あの 女 フフッ …
結婚 でき ない な ハハハ …