「 核 攻撃 力 を 持った 途端 、 金正 恩 は 死ぬ 」 米 高官 の 警告 直前 の 地中 貫通 核 爆弾 投下 試験 公表 は 斬 首 作戦 の 前触れ か (1)
「 核 攻撃 力 を 持った 途端 、 金正 恩 は 死ぬ 」 米 高官 の 警告 直前 の 地中 貫通 核 爆弾 投下 試験 公表 は 斬 首 作戦 の 前触れ か 小 欄 は 前回 、 こう 予測 した 。
《 本年 は 、 朝鮮 戦争 (1950 年 ~) が 休戦 中 に 過ぎ ぬ 現実 を 、 近年 なかった ほど 自覚 する 年 に なる に 違いない 》
で は 、 本年 以前 に 《 自覚 》 した の は いつか 。 素直に 振り返れば 1994 年 だろう 。 理由 は 後 述 する が 、 この 年 、 米 クリントン 政権 は 北朝鮮 の 核 施設 の 空爆 を 真剣に 検討 した 。
以来 、 昨秋 に なって 《 朝鮮 戦争 が 休戦 中 に 過ぎ ぬ 》 兆候 が 、 再び 芽生えた 。 米 国務 省 の ダニエル ・ ラッセル 東 アジア ・ 太平洋 担当 国務 次官 補 は 2016 年 10 月 、 米 メディア の 安全 保障 担当 記者 たち と の 朝食 会 で 、 北朝鮮 の 金正 恩 朝鮮 労働 党 委員 長 の 「 運命 」 に ついて 語り 出した 。
「 彼 ( 正 恩 氏 ) は 核 攻撃 を 遂行 する 強化 さ れた 能力 を 有する こと が できよう が 、 核 攻撃 能力 を 持った 途端 、 死ぬ こと に なる 」
発言 が 余人 で は なく 、 ラッセル 次官 補 であった こと で 、 形式 的な ブラフ だ と は 思え ない 。 米 クリントン 政権 が 北 核 施設 の 空爆 を 真剣に 検討 して いた 当時 、 在 韓 米 大使 館 の 一 等 書記 官 と して 、「 前線 」 の 実務 責任 者 を 務めて いた ラッセル 次官 補 。 「1994 年 の 苦い 経験 」 上 、 北朝鮮 に 対して は 、 もはや 交渉 で は なく 「 正 恩 排除 」 以外 に 手段 が 乏しく なり つつ ある と 感じ 始めて いる - 小 欄 は そう 観測 する 。
ラッセル 発言 の 6 日 前 、 奇妙な 符号 も あった 。 有事 に 備え 、 米軍 核 兵器 の 機能 性 を 維持 ・ 発展 さ せる こと など を 目的 と する 《 国家 核 安全 保障 局 = NNSA 》 が 、《 地中 貫通 核 爆弾 B -61》 投下 試験 を 前月 に 空軍 と 合同で 実施 した と 、 B -2 ステルス 爆撃 機 を 使った 爆弾 投下 の 資料 写真 と ともに 公表 した のである 。 機密 扱い の 核 関連 試験 の 公表 は 異常 事態 と 言い切って よい 。
昨秋 は ピンと こ なかった 「 正 恩 向け 死 の 通告 」 と 「 地中 貫通 核 爆弾 投下 試験 の 公言 」 が 、 正 恩 氏 の 異母 兄 ・ 金 正男 氏 の 毒殺 で 、 にわかに 意味 を 持ち 始めた 。 米国 の 「 ヤル 気 」 だ 。
米国 本土 に 届く ICBM ( 長 距離 弾 道 ミサイル ) は 完成 間近 。 核 報復 が 可能 と なる 核 保有 国 に なれば 攻撃 は 困難で 、 米国 は 北朝鮮 と の 交渉 に 入ら ざる を 得 ない 。 米国 に とり 、 残さ れた 時間 は 極めて 少ない 。 正 恩 氏 を 排除 する 作戦 は 、 実施 の 有無 で は なく 、 いつ ヤル か に 移って いる 。
「 正 恩 向け 死 の 通告 」 の 4 日 前 、 言い換える と 「 地中 貫通 核 爆弾 投下 試験 」 公表 の 2 日 後 、 米 シンクタンク ・ ランド 研究 所 は 《 北朝鮮 は 4 年 以内 に 50~100 個 の 核 兵器 を 保有 し 、 核 弾頭 を 装填 した ICBM で 米 本土 攻撃 能力 を 持つ に 至る 》 と の 分析 報告 を 発出 した 。 しかも 、 北朝鮮 は 金 正男 氏 毒殺 で 、 米国 が 核 兵器 同様 、 大量 破壊 兵器 = 化学 兵器 と して 最も 警戒 する 猛毒 の 神経 剤 VX を 使った 。
後 で 紹介 する が 、 小 欄 が 加わった 安全 保障 関係 者 の シミュレーション でも 、 米軍 が 北朝鮮 に 仕掛ける 攻撃 の 確率 は 驚異 的な 数字 を はじき出した 。
対 北 異例 人事 の 底 意
ラッセル 次官 補 は オバマ 前 政権 に 続き 、 前 政権 の 「 政治 任用 の 残滓 」 を 排除 したい ドナルド ・ トランプ 大統領 に 引き続き 採用 さ れ 、 継続 して 北朝鮮 問題 を 担当 して いる 。 驚き の 異例 人事 だ 。 韓国 だけ で なく 、 日本 勤務 も 豊富 。 オバマ 政権 に 比べ 、 格段に 強まる トランプ 政権 の 対 北 姿勢 を 考えれば 、 米 日 韓 の 調整 に は うってつけの 人物 だ が 、 ラッセル 次官 補 の 再 任用 の 意味 を 読み 解く に は 「1994 年 の 苦い 経験 」 を おさらい する 必要 が ある 。
北朝鮮 は 1994 年 、 IAEA ( 国際 原子 力 機関 ) の 査察 を 拒否 。 あま つ さえ 、 核 兵器 の 原料 プルトニウム を 抽出 す べく 、 使用 済み 燃料 棒 8千 本 を 原子 炉 より 取り出し 、 核 燃料 貯蔵 施設 に ストック した 。 米 クリントン 政権 は 北 核 施設 の 空爆 を 真剣に 検討 し 、 事態 は 朝鮮 戦争 以降 、 最大 の 危機 を 迎えた 。 北朝鮮 が 「 核 施設 が 空爆 さ れれば 、 ソウル を 火 の 海 に する 」 と 脅迫 した の は 、 この とき だ 。
ソウル で は 市民 が 大挙 して 避難 した 。 結局 、 米国 / 韓国 / 日本 / 中国 / ロシア の 5 カ国 は 、 北朝鮮 に 核 兵器 開発 を 放棄 さ せる ため の 《 枠組み 合意 》 を “ 成立 ” さ せ 、 エネルギー ・ 経済 援助 も 行った 。 しかし 、 実態 は 、 北朝鮮 に 核 武装 達成 の 時間 を 献上 する 「 枠組み 合意 」 であった 。
ラッセル 次官 補 は 、 さぞ 怒った こと だろう 。 否 。 怒り は 今 、 限界 に 達して いる はず 。 金正 恩 政権 が 誕生 する と 、 核 実験 や ミサイル 発射 の 回数 は 、 北朝鮮 軍事 史上 最多 と なった 。
ラッセル 次官 補 ら の 助言 も あった に 相違 ある まい 。 安全 保障 音痴 の オバマ 前 政権 も 、 さすが に 任期 最後 の 半年 に なって 、 北朝鮮 の 正体 を 学習 した 。
象徴 が 、 冒頭 の 地中 貫通 核 爆弾 の 誇示 であろう 。 朝鮮 人民 軍 ( 北朝鮮 軍 ) の 指揮 ・ 統制 施設 や 、 核 ・ 生物 ・ 化学 兵器 の 貯蔵 施設 と いった 軍事 中枢 は 、 地下 深く にあって 分厚い コンクリート + 岩盤 で 鎧 われ 、 坑道 も 十重二十重 に 掘られて いる 。 2012 年 に 国際 問題 誌 ディプロマップ は 《 軍事 衛星 の 監視 を 外れる 地下 航空 基地 は 20 カ所 、 地下 砲兵 陣地 は 数 千 カ所 》 と 報じて いる 。
正 恩 氏 も 暗殺 を 恐れ 、 極秘 の 地上 ・ 地下 居所 ( 複数 ) を 日替わり で 転々 と して いる と みられる 。 国土 が 要塞 化 されて いる 北朝鮮 の 特性 を 受け 、 米国 は 地中 貫通 爆弾 + 核 爆弾 の 組み合わせ に よる 北 攻撃 を 立案 して いる 、 と 小 欄 は みる 。 すなわち (1) 非核 弾頭 を 搭載 した 通常 型 地中 貫通 爆弾 = バンカーバスター (2) 核 爆発 力 を 抑えた 「 小さな 核 爆弾 = ミニ ・ ニューク 」(3) 通常 型 地中 貫通 爆弾 で は 破壊 でき ぬ 深く 堅 牢 な 地下 施設 を 破壊 する 、「 小さな 核 爆弾 」 を 装填 した 地中 貫通 核 爆弾 - の 3 種類 の 使い分け だ 。 使い分け は 作戦 と 予想 さ れる 戦況 に よって 変わる 。
まず 、 かねて 用意 の 《 作戦 計画 5015》 の 場合 。
《 北朝鮮 の 核 ・ 軍事 施設 など 数 百 ~1000 カ所 を 先制 ピン ポイント ( 精密 誘導 ) 爆撃 し 、 米 韓 連合 軍 の 主力 が 進攻 。 同時に 米軍 特殊 作戦 部隊 が 正 恩 氏 ら 首脳 部 の 潜伏 場所 を 急襲 → 排除 する 》 片や 《 斬 首 作戦 》。
《 有人 ・ 無人 機 で 正 恩 氏 ら 首脳 部 の 潜伏 場所 を ピン ポイント 攻撃 、 特殊 作戦 部隊 が 急襲 → 排除 する 。 もしくは 、 特殊 作戦 部隊 が 単独 で 潜入 → 急襲 → 排除 を 実行 する 》
正 恩 氏 は 、 他の 無法 者 の 斬 首 作戦 に よる 惨めな 最期 も 回顧 して いる かも しれ ぬ 。 例えば -。
《 イスラム 暴力 集団 を 率いる テロリスト の アブ ・ ムサブ ・ ザルカウィ (1966~2006 年 )→2006、 米 空軍 の F -16 戦闘 機 が ピン ポイント 爆撃 し 、 特殊 作戦 部隊 が 身柄 を 確保 した 後 死亡 した 》
《 米 同時 多発 テロ (2001 年 9 月 11 日 ) の 首 魁 に して テロ ・ ネットワーク の アルカーイダ 総 司令 官 ウサマ ・ ビン ・ ラーディン (1957? ~2011 年 )→ パキスタン の アジト を 米 海軍 特殊 作戦 部隊 SEALs が 急襲 し 、 銃撃 戦 の 末 、 仕留めた 》
作戦 計画 5015 も 斬 首 作戦 も 、 急襲 目標 に よって は 通常 型 地中 貫通 爆弾 の 支援 を 受ける 。 課題 は 、「 小さな 核 爆弾 」 や 地中 貫通 核 爆弾 の 運用 事態 だ 。 いくら 、 核 爆発 力 を 抑制 して も 、 味方 の 主力 や 特殊 作戦 部隊 の 行動 は 制約 さ れる 。 けれども 、 核 の 登場 機会 は ゼロ で は ない 。
米軍 が 核 を 使用 する 局面
作戦 や 投 射 部隊 の 変更 を 伴って も 、 失敗 の 絶対 許さ れ ない 「 一 発 勝負 」 の 場合 など だ 。 考えつく 想定 は 、 少なくとも 2 つ ある 。
複数 標的 に 対し 、 最初の 一撃 で 壊滅 的 打撃 を 与え ない と 、 残存 兵器 の 報復 で 、 北朝鮮 の 言う 「 ソウル を 火 の 海 に する 」 は 現実 と なる 。 非 武装 地帯 ( DMZ ) 付近 に は 、 多 連 装 ロケット 砲 や 自 走 砲 と いった 長 距離 火力 が 1万 門 ・ 基 も 集中 配備 されて いる 。 一斉に 撃ち込ま れれば 被害 は 甚大 。 40 キロ 先 の ソウル は 無論 、200 キロ 飛ぶ ロケット は 軍 の 重要 施設 が 集まる 大田 ( テジョン ) に まで 達する 。
もう 一 つ の 理由 は 、 正 恩 氏 の 「 若 さ 」。 「 首 級 」 を あげられ ず 、 正 恩 氏 が 政権 崩壊 を 目指す 暗殺 未遂 を 経験 すれば 、 側近 や 重臣 に 裏切り者 が いる と 猜 疑心 を 重篤な ほど 深め 、 粛清 を 今 以上 に 劇化 さ せる 。 粛清 だけ なら 周辺 国 へ の 被害 は 限ら れる が 、30 歳 代 前半 の 若き 指導 者 は 、 乏しい 判断 能力 を さらに 下げて しまう 。
現に 、 韓国 ・ 国家 情報 院 に よる と 、 正 恩 氏 の 側近 で 、 恐怖 政治 を 下支え して きた 秘密 警察 ・ 国家 保 衛 省 の トップ だった 人物 が 解任 ・ 軟禁 さ れた 。 国家 保 衛 省 は 信頼 回復 を 図る べく 、「 金 正男 が 韓国 情報 機関 と 接触 し 、 亡命 しよう と して いる 」 と の 情報 を 上げた 。 ウソ か ホント か は 闇 の 中 だ が 、「 亡命 情報 」 が 金 正男 氏 暗殺 の トリガー の 一 つ と なった ようだ 。 保 衛 省 の 次官 級 幹部 5 人 以上 も 高射砲 で “ 砲殺 ” さ れた 、 と いう 。
正 恩 氏 の 警備 陣 の 間 でも 、 仲間割れ が 起きて いる 可能 性 が ある 。 朝鮮 日報 など 韓国 紙 に よる と 、 正 恩 氏 の 身辺 警護 は 一義的に 重 武装 兵 を 含む 12万 人 を 擁する 護衛 司令 部 。 護衛 司令 部 を 国家 保 衛 省 と 朝鮮 人民 軍 保 衛 局 ( 北朝鮮 軍 の 情報 部隊 ) が 補完 し 、 さらに 外周 を 人民 保安 省 ( 警察 ) が 担当 する 。
ところが 、 斬 首 作戦 が 警戒 対象 に 上がる と 、 護衛 司令 部 が 3 重 の 警護 体制 を 無視 して 身辺 警護 任務 を 独占 し 、 他の 組織 に 正 恩 氏 の 公開 活動 の 予定 を 通知 し なく なった 、 と か 。 護衛 司令 部 は 機関 の 生き残り を かけ 、 任務 独占 を 謀って いる と の 指摘 も ある 。 もっとも 、 正 恩 氏 は 護衛 側 に 裏切り者 が 潜んで いる と 、 疑心 暗鬼 に 陥って いる と の 情報 も 聞こえる 。
疑心 暗鬼 は やがて 錯乱 状態 へ と 悪化 し 、 核 に よる 先制 攻撃 も やり かね ない 。 そう なる と 、 わが国 に 到達 する 核 ミサイル は 既に 実戦 段階 であり 、 在 日 米軍 や 自衛 隊 の 基地 など を 狙って 襲来 する 局面 を 誘発 する 。
北朝鮮 は 石油 が 採れ ない が 、 外貨 不足 で 、 年間 わずか 50万 トン 程度 しか 輸入 でき ない 。 石油 の 全面 禁輸 と なれば 朝鮮 人民 軍 は 機能 マヒ に 。 通常 兵器 が 運用 でき なければ 、 ますます 核 ミサイル に 資源 を 集中 する 。
先制 攻撃 の 確率 は 50~60%
冒頭 紹介 した 、 米 シンクタンク ・ ランド 研究 所 の 分析 報告 の タイトル は 《 次期 米 政府 の 指導 者 に 告 ぐ 》。 《 米国 の 次期 政府 が 直面 する 5 つ の 脅威 》 の 筆頭 に 北朝鮮 の 核 兵器 を 挙げ 、 結果 的に は トランプ 大統領 に 向かい 警告 を 発した 分析 報告 と なった 。 分析 報告 は 、 こんな 不気味な 表現 も して いる 。
《 北朝鮮 が 米 本土 まで 届く 長 距離 弾 道 ミサイル など を 保有 する 事態 を 、 米国 や 韓国 は 到底 受けいれられ ない 》 《 到底 受けいれられ ない 》 事態 に 、 どう 対抗 する のだろう か 。 トランプ 大統領 は 2 月 、 ロイター 通信 に 正 恩 氏 と の 直接 会談 に ついて 「 もう 遅 すぎる 」 と 語った 。 米 紙 ウォールストリート ・ ジャーナル は 、 米 朝 外務 省 高官 級 の 会談 も 、 米 側 が 事実 上 拒絶 した 旨 を 報じて いる 。
折しも 、 韓国 と 周辺 海域 で は 、 朝鮮 半島 有事 に 備えた 過去 最大 の 米 韓 合同 軍事 演習 が 始まった 。 米 海軍 特殊 作戦 部隊 の SEALs や 米 陸軍 特殊 作戦 部隊 の グリーン ・ ベレー 、 韓国 軍 特殊 作戦 部隊 も 加わり 、 斬 首 作戦 に 磨き を かけて いる もよう だ 。
演習 前日 、 かつて なかった ほど の 超 弩級 の 危機 が ヒタヒタ と 近付く 中 、 わが国 の 最大 野党 ・ 民進党 の センセイ は 参議院 予算 委員 会 で “ 政治 センス ” を 披露 した 。
「 国民 の 最大 の 関心 事 は やはり 森友 学園 だ 」
もちろん 、 森友 学園 問題 に 国会 質問 の 価値 が ない と は 思わ ない 。 が 、 現下 、「 国民 の 安全に 向けた 最大 の 重要 事 は やはり 朝鮮 半島 有事 だ 」。