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Fairy Tales, 銀 の さじ

銀 の さじ

銀 の さじ

むかし むかし 、 江戸 の 町 に 餅 など を 売って いる 小さな 店 が あり ました 。 店 の 主人 の 五郎 は 貧乏です が 、 近所 でも 評判 の 正直 者 で 、 お 金 を 払え ない 人 に は ただ で 餅 を わけて あげ ました 。 その ため 、 五郎 は ますます 貧乏です 。

ある 日 の 事 、 五郎 が 餅 を 店 に 並べて いる と 、 前 の 道 に 何 か 白く 光る 物 が 落ちて い ました 。 「 何 だろう ? 」 不思議に 思い ながら そば へ 行って みる と 、 何と 銀 の さじ が 六 本 も 落ちて いた のです 。 「 こいつ は 、 大変 なお 宝 だ 」 五郎 は 六 本 の さじ を 拾い 上げる と 、 あわてて 辺り を 見 ました 。 しかし 、 どこ に も 人影 は あり ませ ん 。 ( どう しよう ? 落とした 人 は 、 さぞ 困って いる だろう ) 五郎 は さっそく さじ を 持って 、 落とした 人 を 探し に 出かけ ました 。 「 誰 か 、 この さじ を 落とした 人 は いま せんか ? わたし の 店 の 前 に 落ちて いた のです 」 近所 の 人 たち に 尋ねて も 、 みんな は 知ら ない と 首 を 横 に 振る ばかりです 。 正直 者 の 五郎 は 店 を 休んで 、 村 から 村 へ と 落とし主 を 探し 歩き ました 。 そして 十 日 ほど たって 、 ようやく 落とし主 が 見つかり ました 。 それ は 町 で 古 道具 屋 を 開いて いる 、 仁 兵 衛 ( じん べ え ) だった のです 。 「 やれやれ 、 見つかって 良かった 」 そこ で 五郎 は 仁 兵 衛 の 店 へ 銀 の さじ を 届け に 行った のです が 、 ところが この 仁 兵 衛 は 、 とても 欲 の 深い 人 で 、 わざわざ 拾って 届けて くれた 正直 者 の 五郎 から 少し でも お 金 を 巻き上げよう と 、 こう 言った のです 。 「 確かに 、 この 銀 の さじ は わし が 落とした 物 だ 。 だが 、 さじ は 七 本 あった はず 。 どうして 六 本 しか ない のだ ? 」 「 そんな 事 を 言わ れて も 困り ます 。 わたし が 拾った の は 、 六 本 だけ です 」 「 それ なら 、 残り の 一 本 は お前 が 取った に 違いない 。 どうしても 返さない と 言う の なら 、 その 一 本分 の 代金 を 払って 貰おう ! 」 そう 言って 仁 兵 衛 は 、 高い お 金 を 要求 した のです 。 「 そんな 。 わたし に は 、 そんな お 金 は あり ませ ん 。 せっかく ここ まで 届け に 来た のだ から 、 受け取って 下さい よ 」 「 いや 、 受け 取れ ん ! 代金 を 払わ ない の なら 、 残り の 一 本 を 返せ ! 」 五郎 さん は 、 すっかり 困って しまい ました 。 そこ で 奉行 所 へ 訴え 出る と 、 幸運な 事 に 、 名 裁き で 有名な 大岡 越前 が じきじき に 裁いて くれる と いう です 。 五郎 と 仁 兵 衛 が 、 お 白 州 ( お しらす → 裁判 を 受ける 場所 ) に 入る と 、 越前 が 尋ね ました 。 「 五郎 に 尋ねる が 、 お前 が 拾った 銀 の さじ は 、 六本 しか 無かった のだ な ? 」 「 はい 、 お 奉行 さま に お預け した 通り 、 六 本 だけ です 」 「 では 、 仁 兵 衛 に 尋ねる 。 お前 が 落とした の は 、 七 本 であった な 」 「 はい 、 七 本 です 。 それなのに この 男 は 六 本 しか 返さ ず 、 一 本 を ネコババ した のです 。 そこ で 仕方なく 、 お 金 で ゆずって やる と 言って も 承知 し ない のです 」 仁 兵 衛 が 、 胸 を 張って 言い ました 。 「 そんな 、 ネコババ なんて して い ませ ん ! お 奉行 さま 、 銀 の さじ は 六 本 しか なかった のです 。 信じて ください ! 」 「 何 を 言う 、 この 盗人 め ! 品物 を 返さ ない の なら 代金 を 払う 。 当然の 事 だろう ! 」 「 おら 、 盗人 じゃ ねえ ! 」 「 いい や 、 この 盗人 め ! 」 二 人 は とうとう 、 言い 合い を 始め ました 。 二 人 の 態度 を 見て いる と 、 越前 に は 仁兵衛 が うそ を ついて いる の は 明らかな のです が 、 証拠 が ない 以上 、 うそ と 決めつける わけに は いきま せ ん 。 しばらく 考えて いた 越前 は 、 二 人 に 言い ました 。 「 ともかく 、 二 人 と も 黙れ ! いい か 、 お前 たち は わたし に 裁き を 求めて 来た 。 どんな 裁き であろう と 、 反論 する 事 は 許さ ぬ ぞ 」 「 はい 」 「 はい 」 五郎 は 、 もしかすると 自分 が お 金 を 支払わ なければ なら ない と 思う と 、 心配で たまり ませ ん 。 一方 、 仁 衛兵 の 方 は 、 最悪で も 落とした 銀 の さじ が 自分 の 元 に 戻って くる し 、 うまく いけば 余分に お 金 を もらえる と 余裕 です 。 越前 は 、 そんな 二 人 に こう 言い ました 。 「 仁 兵 衛 が 落とした の は 、『 七 本 の さじ 』。 五郎 が 拾った の は 、『 六 本 の さじ 』 である 。 よって 、 五郎 の 拾った さじ は 、 仁 兵 衛 の 物 で は ない 。 仁 兵 衛 は 、 自分 が 落とした 『 七 本 の さじ 』 が 出て くる まで 、 待つ が よい 。 そして 五郎 の 拾った 『 六 本 の さじ 』 は 、 持ち主 が 現れ ない もの と して 、 拾った 五郎 の 物 と する 。 よい な ! 」 それ を 聞いて 、 仁 兵 衛 は びっくり して 、 「 そ 、 そんな 馬鹿な 。 お 奉行 さま 、 あの さじ は わたし の 物 です 。 実は あの さじ は 、 最初 から 六 本 ・・・」 と 、 言い かけて 、 慌てて 口 を 押さえ ました 。 それ を 見て 、 越前 は 怖い 顔 で 仁 兵 衛 に 言い ました 。 「 ほ ほう 。 最初 から 六 本 と 言う 事 なら 、 あの さじ は お前 に 返して やろう 。 しかし 、 おかみ に 嘘 を ついた 罪 と して 島流し を 命ずる が 、 それ でも 良い のだ な ! 」 「・・・ いえ 。 わたし の 落とした の は 七 本 の さじ な ので 、 五郎 が 拾った 六 本 の さじ は 、 五郎 の 物 です 」 仁 兵 衛 は 、 泣き そうな 声 で そう 言い ました 。 越前 は 、 そんな 仁 兵 衛 を にらみ つける と 、 にっこり 笑って 五郎 に 言い ました 。 「 五郎 よ 。 聞いて の 通り 、 お前 が 拾った 六 本 の さじ は 仁 兵 衛 の 物 で は ない 。 落とし主 が 分から ぬ ゆえ 、 遠慮 なく 貰って 帰る が よい ぞ 」 「 はい 。 お 奉行 さま 。 名 裁き を ありがとう ございます 」 こうして 六 本 の 銀 の さじ は 正式に 五郎 の 物 と なり 、 五郎 は 大喜びで 家 に 帰って 行った のです 。

「 うむ 。 これ にて 、 一件 落着 ! 」 おしまい

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銀 の さじ ぎん|| silver|possessive particle|spoon Silberschere silver spoon gümüş makas 银汤匙 銀湯匙

銀 の さじ ぎん|| silver||spoon Silver Spoon

むかし むかし 、 江戸 の 町 に 餅 など を 売って いる 小さな 店 が あり ました 。 ||えど||まち||もち|||うって||ちいさな|てん||| ||||||rice cake||||||||| Once upon a time, in the town of Edo, there was a small shop selling rice cakes and other items. 店 の 主人 の 五郎 は 貧乏です が 、 近所 でも 評判 の 正直 者 で 、 お 金 を 払え ない 人 に は ただ で 餅 を わけて あげ ました 。 てん||あるじ||ごろう||びんぼうです||きんじょ||ひょうばん||しょうじき|もの|||きむ||はらえ||じん|||||もち|||| ||||Goro||poor||neighborhood||||honest||||||cannot pay|||||||||shared|| The shopkeeper, Goro, was poor, but he was well-known in the neighborhood as an honest person, and he would give rice cakes for free to those who could not pay. その ため 、 五郎 は ますます 貧乏です 。 ||ごろう|||びんぼうです For that reason, Goro is getting poorer and poorer.

ある 日 の 事 、 五郎 が 餅 を 店 に 並べて いる と 、 前 の 道 に 何 か 白く 光る 物 が 落ちて い ました 。 |ひ||こと|ごろう||もち||てん||ならべて|||ぜん||どう||なん||しろく|ひかる|ぶつ||おちて|| |||||||||||||||||||||object|||| One day, while Goro was setting up rice cakes at the store, he noticed something white and shiny lying in the road ahead. 「 何 だろう ? なん| I wonder what that is? 」   不思議に 思い ながら そば へ 行って みる と 、 何と 銀 の さじ が 六 本 も 落ちて いた のです 。 ふしぎに|おもい||||おこなって|||なんと|ぎん||||むっ|ほん||おちて|| |||soba||||||||||||||| I went over to the spot and found six silver spoonfuls of rice bran on the ground. 「 こいつ は 、 大変 なお 宝 だ 」   五郎 は 六 本 の さじ を 拾い 上げる と 、 あわてて 辺り を 見 ました 。 ||たいへん||たから||ごろう||むっ|ほん||||ひろい|あげる|||あたり||み| |||great|||||||||||picked up|||||| "This fellow is a great treasure," Goro said as he picked up six spoons and hurriedly looked around. しかし 、 どこ に も 人影 は あり ませ ん 。 ||||ひとかげ|||| ||||shadow|||| However, there are no signs of people anywhere. ( どう しよう ? (What should I do?) 落とした 人 は 、 さぞ 困って いる だろう )   五郎 は さっそく さじ を 持って 、 落とした 人 を 探し に 出かけ ました 。 おとした|じん|||こまって|||ごろう|||||もって|おとした|じん||さがし||でかけ| |||surely|||||||||||||||| The person who dropped it must be very troubled. Goro immediately took a spoon and went out to search for the person who dropped it. 「 誰 か 、 この さじ を 落とした 人 は いま せんか ? だれ|||||おとした|じん||| |||||||||hasn't come Is there anyone who has dropped this spoon? わたし の 店 の 前 に 落ちて いた のです 」   近所 の 人 たち に 尋ねて も 、 みんな は 知ら ない と 首 を 横 に 振る ばかりです 。 ||てん||ぜん||おちて|||きんじょ||じん|||たずねて||||しら|||くび||よこ||ふる| |||||||||||||||||||||||||shake| I found it in front of my shop.” Even when he asked the neighbors, everyone just shook their heads, saying they didn’t know. 正直 者 の 五郎 は 店 を 休んで 、 村 から 村 へ と 落とし主 を 探し 歩き ました 。 しょうじき|もの||ごろう||てん||やすんで|むら||むら|||おとしぬし||さがし|あるき| |||||||||||||finder of lost items|||| Goro, an honest man, took a break from his store and walked from village to village looking for the owner of the lost property. そして 十 日 ほど たって 、 ようやく 落とし主 が 見つかり ました 。 |じゅう|ひ||||おとしぬし||みつかり| ||||||owner of lost item||| And about ten days later, the owner was finally found. それ は 町 で 古 道具 屋 を 開いて いる 、 仁 兵 衛 ( じん べ え ) だった のです 。 ||まち||ふる|どうぐ|や||あいて||しとし|つわもの|まもる||||| ||||||||||Jin||Jinbee||||| The owner was Jinbee, who runs an antique shop in town. 「 やれやれ 、 見つかって 良かった 」   そこ で 五郎 は 仁 兵 衛 の 店 へ 銀 の さじ を 届け に 行った のです が 、 ところが この 仁 兵 衛 は 、 とても 欲 の 深い 人 で 、 わざわざ 拾って 届けて くれた 正直 者 の 五郎 から 少し でも お 金 を 巻き上げよう と 、 こう 言った のです 。 |みつかって|よかった|||ごろう||しとし|つわもの|まもる||てん||ぎん||||とどけ||おこなった|||||しとし|つわもの|まもる|||よく||ふかい|じん|||ひろって|とどけて||しょうじき|もの||ごろう||すこし|||きむ||まきあげよう|||いった| |||||||仁兵衛||||store||||||delivered|||||||||||||||||||delivered||||||||||||extract money|||said| "Well, I'm glad I found it," Goro said, and he went to deliver the silver spoon to Jinbee's shop. However, this Jinbee was a very greedy person and said this in an attempt to squeeze some money from the honest Goro who had bothered to pick it up and deliver it. 「 確かに 、 この 銀 の さじ は わし が 落とした 物 だ 。 たしかに||ぎん||||||おとした|ぶつ| Indeed, this silver spoon is something I dropped. だが 、 さじ は 七 本 あった はず 。 |||なな|ほん|| However, there should have been seven spoons. どうして 六 本 しか ない のだ ? |むっ|ほん||| Why are there only six? 」 「 そんな 事 を 言わ れて も 困り ます 。 |こと||いわ|||こまり| That's a problem for me, even if you say such things. わたし が 拾った の は 、 六 本 だけ です 」 「 それ なら 、 残り の 一 本 は お前 が 取った に 違いない 。 ||ひろった|||むっ|ほん|||||のこり||ひと|ほん||おまえ||とった||ちがいない ||picked up|||||||||the remaining||||||||| I only picked up six. Then that remaining one must have been taken by you. どうしても 返さない と 言う の なら 、 その 一 本分 の 代金 を 払って 貰おう ! |かえさ ない||いう||||ひと|ほんぶん||だいきん||はらって|もらおう by all means|will not return|||||||one book||payment||pay|let's receive If you absolutely refuse to return it, then I expect you to pay for that one piece! 」   そう 言って 仁 兵 衛 は 、 高い お 金 を 要求 した のです 。 |いって|しとし|つわもの|まもる||たかい||きむ||ようきゅう|| ||||||||||requested|| So saying, Jin Heiwa demanded a large amount of money. 「 そんな 。 Such a thing. わたし に は 、 そんな お 金 は あり ませ ん 。 |||||きむ|||| I do not have that kind of money. せっかく ここ まで 届け に 来た のだ から 、 受け取って 下さい よ 」 「 いや 、 受け 取れ ん ! |||とどけ||きた|||うけとって|ください|||うけ|とれ| ||||||||please take|||||| "Since I've gone through the trouble of delivering it all the way here, please accept it." "No, I can't accept it!" 代金 を 払わ ない の なら 、 残り の 一 本 を 返せ ! だいきん||はらわ||||のこり||ひと|ほん||かえせ If you don't pay, return the other bottle! 」   五郎 さん は 、 すっかり 困って しまい ました 。 ごろう||||こまって|| Goro was completely in trouble. そこ で 奉行 所 へ 訴え 出る と 、 幸運な 事 に 、 名 裁き で 有名な 大岡 越前 が じきじき に 裁いて くれる と いう です 。 ||ぶぎょう|しょ||うったえ|でる||こううんな|こと||な|さばき||ゆうめいな|おおおか|えちぜん||||さばいて|||| ||governor|||appeal|||fortunate||||judgment|||Ooka|Echizen||||will judge|||| So he went to the magistrate's office to plead his case and, fortunately, he was told that the famous judge Ooka Echizen would personally preside over the trial. 五郎 と 仁 兵 衛 が 、 お 白 州 ( お しらす → 裁判 を 受ける 場所 ) に 入る と 、 越前 が 尋ね ました 。 ごろう||しとし|つわもの|まもる|||しろ|しゅう|||さいばん||うける|ばしょ||はいる||えちぜん||たずね| ||||||||court||court||||||||||| When Goro and Jinbei entered the shirasu (the place where trials are held), Echizen asked them. 「 五郎 に 尋ねる が 、 お前 が 拾った 銀 の さじ は 、 六本 しか 無かった のだ な ? ごろう||たずねる||おまえ||ひろった|ぎん||||むっほん||なかった|| |||||||||||six||did not exist|| I ask Goro, did you find only six silver scissors? 」 「 はい 、 お 奉行 さま に お預け した 通り 、 六 本 だけ です 」 「 では 、 仁 兵 衛 に 尋ねる 。 ||ぶぎょう|||おあずけ||とおり|むっ|ほん||||しとし|つわもの|まもる||たずねる |||||safekeeping||as stated|||||||||| Yes, there are only six bottles, as I entrusted to the Inquisitor. お前 が 落とした の は 、 七 本 であった な 」 「 はい 、 七 本 です 。 おまえ||おとした|||なな|ほん||||なな|ほん| ||dropped|||||||||| What you dropped was seven, right? Yes, it was seven. それなのに この 男 は 六 本 しか 返さ ず 、 一 本 を ネコババ した のです 。 ||おとこ||むっ|ほん||かえさ||ひと|ほん|||| |||||||returned|||||kept for oneself|| Yet, this man only returned six and kept one for himself. そこ で 仕方なく 、 お 金 で ゆずって やる と 言って も 承知 し ない のです 」   仁 兵 衛 が 、 胸 を 張って 言い ました 。 ||しかたなく||きむ|||||いって||しょうち||||しとし|つわもの|まもる||むね||はって|いい| ||||||giving up||||||||||||||||| Thereupon, even when I said that I would give him money, he did not agree, 「 そんな 、 ネコババ なんて して い ませ ん ! |pocketing||||| I'm not doing that kind of bedbugging! お 奉行 さま 、 銀 の さじ は 六 本 しか なかった のです 。 |ぶぎょう||ぎん||||むっ|ほん||| My lord, there were only six silver spoons. 信じて ください ! しんじて| Please believe me! 」 「 何 を 言う 、 この 盗人 め ! なん||いう||ぬすびと| ||||thief| What are you saying, you thief! 品物 を 返さ ない の なら 代金 を 払う 。 しなもの||かえさ||||だいきん||はらう ||||||||pay If you don't return the item, then pay the price. 当然の 事 だろう ! とうぜんの|こと| natural|| That's only natural! 」 「 おら 、 盗人 じゃ ねえ ! |ぬすびと|| |thief|| Hey, I'm not a thief! 」 「 いい や 、 この 盗人 め ! |||ぬすびと| "Hey, you thief!" 」   二 人 は とうとう 、 言い 合い を 始め ました 。 ふた|じん|||いい|あい||はじめ| |||finally||argument||| "The two of them finally started arguing." 二 人 の 態度 を 見て いる と 、 越前 に は 仁兵衛 が うそ を ついて いる の は 明らかな のです が 、 証拠 が ない 以上 、 うそ と 決めつける わけに は いきま せ ん 。 ふた|じん||たいど||みて|||えちぜん|||しとし ひょうえ||||||||あきらかな|||しょうこ|||いじょう|||きめつける||||| |||attitude|||||Echizen|||||||||||obvious|||||||||assume it's a lie||||| Watching the two of them, it is obvious to Echizen that Jinbee is lying, but without evidence, it cannot be concluded that he is lying. しばらく 考えて いた 越前 は 、 二 人 に 言い ました 。 |かんがえて||えちぜん||ふた|じん||いい| After thinking for a while, Echizen said to the two. 「 ともかく 、 二 人 と も 黙れ ! |ふた|じん|||だまれ |||||be quiet "In any case, both of you be quiet!" いい か 、 お前 たち は わたし に 裁き を 求めて 来た 。 ||おまえ|||||さばき||もとめて|きた Listen, you two came to me seeking judgment. どんな 裁き であろう と 、 反論 する 事 は 許さ ぬ ぞ 」 「 はい 」 「 はい 」   五郎 は 、 もしかすると 自分 が お 金 を 支払わ なければ なら ない と 思う と 、 心配で たまり ませ ん 。 |さばき|||はんろん||こと||ゆるさ|||||ごろう|||じぶん|||きむ||しはらわ|||||おもう||しんぱいで||| ||||argument|||||||||||||||||will pay|||||||||| Goro was worried that he might have to pay the money. 一方 、 仁 衛兵 の 方 は 、 最悪で も 落とした 銀 の さじ が 自分 の 元 に 戻って くる し 、 うまく いけば 余分に お 金 を もらえる と 余裕 です 。 いっぽう|しとし|えいへい||かた||さいあくで||おとした|ぎん||||じぶん||もと||もどって|||||よぶんに||きむ||||よゆう| ||||||||||||||||||||||extra||||||| On the other hand, the Jin guards can afford to get the extra money, hopefully, and the silver scoop that they dropped will come back to them at worst. 越前 は 、 そんな 二 人 に こう 言い ました 。 えちぜん|||ふた|じん|||いい| Echizen|||||||| Echizen said to those two. 「 仁 兵 衛 が 落とした の は 、『 七 本 の さじ 』。 しとし|つわもの|まもる||おとした|||なな|ほん|| "What Jinpei dropped was 'seven spoons.' 五郎 が 拾った の は 、『 六 本 の さじ 』 である 。 ごろう||ひろった|||むっ|ほん||| What Goro picked up was 'six spoons.'" よって 、 五郎 の 拾った さじ は 、 仁 兵 衛 の 物 で は ない 。 |ごろう||ひろった|||しとし|つわもの|まもる||ぶつ||| Therefore, the spoon that Goro picked up does not belong to Jinpei. 仁 兵 衛 は 、 自分 が 落とした 『 七 本 の さじ 』 が 出て くる まで 、 待つ が よい 。 しとし|つわもの|まもる||じぶん||おとした|なな|ほん||||でて|||まつ|| Jinpei should wait until the 'seven spoons' he dropped come out. そして 五郎 の 拾った 『 六 本 の さじ 』 は 、 持ち主 が 現れ ない もの と して 、 拾った 五郎 の 物 と する 。 |ごろう||ひろった|むっ|ほん||||もちぬし||あらわれ|||||ひろった|ごろう||ぶつ|| And the 'six spoons' that Goro picked up will be considered his property since the owner does not appear. よい な ! That's good! 」   それ を 聞いて 、 仁 兵 衛 は びっくり して 、 「 そ 、 そんな 馬鹿な 。 ||きいて|しとし|つわもの|まもる||||||ばかな Upon hearing that, Jinpei was surprised and said, 'N-no way that's ridiculous.' お 奉行 さま 、 あの さじ は わたし の 物 です 。 |ぶぎょう|||||||ぶつ| |||||topic marker|||| Sir, that spoon is mine. 実は あの さじ は 、 最初 から 六 本 ・・・」 と 、 言い かけて 、 慌てて 口 を 押さえ ました 。 じつは||||さいしょ||むっ|ほん||いい||あわてて|くち||おさえ| ||||||||||||||covered| I was about to say, "Actually, there have been six of those spears since the beginning..." but then I panicked and held my mouth shut. それ を 見て 、 越前 は 怖い 顔 で 仁 兵 衛 に 言い ました 。 ||みて|えちぜん||こわい|かお||しとし|つわもの|まもる||いい| Seeing that, Echizen said to Jinpei with a scary face. 「 ほ ほう 。 Ho ho. 最初 から 六 本 と 言う 事 なら 、 あの さじ は お前 に 返して やろう 。 さいしょ||むっ|ほん||いう|こと|||||おまえ||かえして| If you say six from the beginning, then I will return that spoon to you. しかし 、 おかみ に 嘘 を ついた 罪 と して 島流し を 命ずる が 、 それ でも 良い のだ な ! |||うそ|||ざい|||しまながし||めいずる||||よい|| |||||||||||to order|||||| However, I order you to be exiled to the island for lying to the housewife, but is that okay with you? 」 「・・・ いえ 。 わたし の 落とした の は 七 本 の さじ な ので 、 五郎 が 拾った 六 本 の さじ は 、 五郎 の 物 です 」   仁 兵 衛 は 、 泣き そうな 声 で そう 言い ました 。 ||おとした|||なな|ほん|||||ごろう||ひろった|むっ|ほん||||ごろう||ぶつ||しとし|つわもの|まもる||なき|そう な|こえ|||いい| What I dropped were seven spoons, so the six spoons that Goro picked up belong to Goro," said Jinpei with a voice that sounded like he was about to cry. 越前 は 、 そんな 仁 兵 衛 を にらみ つける と 、 にっこり 笑って 五郎 に 言い ました 。 えちぜん|||しとし|つわもの|まもる||||||わらって|ごろう||いい| Echizen glared at such Jinpei and, smiling brightly, said to Goro. 「 五郎 よ 。 ごろう| "Goro." 聞いて の 通り 、 お前 が 拾った 六 本 の さじ は 仁 兵 衛 の 物 で は ない 。 きいて||とおり|おまえ||ひろった|むっ|ほん||||しとし|つわもの|まもる||ぶつ||| As you heard, the six spoons you picked up do not belong to Jinbei. 落とし主 が 分から ぬ ゆえ 、 遠慮 なく 貰って 帰る が よい ぞ 」 「 はい 。 おとしぬし||わから|||えんりょ||もらって|かえる|||| |||||||received||||| Since we do not know the owner, feel free to take them home. お 奉行 さま 。 |ぶぎょう| Yes, sir. 名 裁き を ありがとう ございます 」   こうして 六 本 の 銀 の さじ は 正式に 五郎 の 物 と なり 、 五郎 は 大喜びで 家 に 帰って 行った のです 。 な|さばき|||||むっ|ほん||ぎん||||せいしきに|ごろう||ぶつ|||ごろう||おおよろこびで|いえ||かえって|おこなった| |||||||||||||officially|||||||||||||

「 うむ 。 これ にて 、 一件 落着 ! ||ひと けん|らくちゃく ||one|settled With this, one case is settled! 」 おしまい