芝居 見物
しばい|けんぶつ
theatergoer
芝居 見物
しばい|けんぶつ
Play tour
むかし むかし 、 吉 四六 さん と 言う 、 とても ゆかいな 人 が い ました 。
||きち|しろく|||いう|||じん|||
Once upon a time, there was a very cheerful man named Yoshishiro.
ある 日 、 臼杵 ( うすき → 大分 県 ) の 町 に 、 都 から 芝居 が やって 来 ました 。
|ひ|うすき||だいぶ|けん||まち||と||しばい|||らい|
One day, a play came to the town of Usuki (in Oita Prefecture) from the capital.
この 辺り で は 、 これほど の 大芝居 は 初めて です 。
|あたり|||||だい しばい||はじめて|
||||||big performance|||
This is the first time such a grand play has come to this area.
毎日 多く の 人 が 押しかけ 、 うわさ を 聞いた 吉 四六 さん も 、 臼杵 まで 山 を 越えて やって 来 ました 。
まいにち|おおく||じん||おしかけ|||きいた|きち|しろく|||うすき||やま||こえて||らい|
|||||intruded|||||||||||||||
Every day many people came to the festival, and Kishiroku, who had heard the rumors, came over the mountains to Usuki.
町 に 着く と 、 大きな 芝居 小屋 が たって い ました 。
まち||つく||おおきな|しばい|こや||||
When I arrived in the town, there was a large theater standing.
芝居小屋 の 前 に は 役者 の 名 を そめた のぼり が 立って いて 、 入口 に は 綺麗な 絵 看板 が 並んで い ます 。
しばい こや||ぜん|||やくしゃ||な|||||たって||いりぐち|||きれいな|え|かんばん||ならんで||
In front of the theater, there were banners bearing the names of the actors, and beautiful painted signs were lined up at the entrance.
吉 四六 さん は 、 さっそく 入ろう と 思い ました が 、 「 しまった !
きち|しろく||||はいろう||おもい|||
Yoshishiro thought about entering immediately, but then exclaimed, 'Oh no!'
」 かんじんの お 金 を 、 忘れて きた のです 。
||きむ||わすれて||
important||||||
I forgot my important money.
「 これ で は 、 入る 事 は 出来 ん な 」 そこ で 吉 四六 さん は あれこれ と 考えて 、 一 つ の 名案 を 思い つき ました 。
|||はいる|こと||でき|||||きち|しろく|||||かんがえて|ひと|||めいあん||おもい||
With this, it won't be possible to enter. Then Yoshishiro-san thought about various things and came up with one great idea.
「 よし 、 この 手 で いこう 」
||て||
Alright, let's go with this method.
吉 四六 さん は 人混み に 紛れて 芝居 小屋 の 入口 まで やって 来る と 、 くるり と 向き を 変えて 、 わざと 大きな 声 で 言い ました 。
きち|しろく|||じん こん み||まぎれて|しばい|こや||いりぐち|||くる||||むき||かえて||おおきな|こえ||いい|
||||crowd||||||||came|||||||||||||
Yoshi Shiroku blended into the crowd and arrived at the entrance of the theater, then turned around and said deliberately in a loud voice.
「 どうした の かな ー !
|||-
What's the matter, I wonder?!
あいつ は ー !
||-
That guy?!
」 そして 、 人 を 探す ふり を 始めた のです 。
|じん||さがす|||はじめた|
" Then he started pretending to look for people.
まるで 人 を 探し ながら 、 今 、 この 芝居 小屋 の 中 から 出て きた と 言わんばかり です 。
|じん||さがし||いま||しばい|こや||なか||でて|||いわんばかり|
It was as if he had just emerged from inside the playhouse, looking for someone.
キョロキョロ して いる 吉 四六 さん の 後ろ に 、 芝居 小屋 へ 入ろう と する 大勢 の お 客 が 詰めかけて き ました 。
|||きち|しろく|||うしろ||しばい|こや||はいろう|||おおぜい|||きゃく||つめかけて||
||||||||||||||||||||crowded||
Behind the scurrying Mr. Kishioroku, a crowd of customers is waiting to enter the playhouse.
それ でも まだ 、 「 来 ない なあ ー !
|||らい|||-
Still, they said, 'They aren't coming, huh?'
あいつ ー !
|-
That guy!
」 と 、 わざと 入って くる 人 の 邪魔 を する 様 に して いる と 、 芝居小屋 の 番人 が やって 来て 、 「 もしもし 、 そこ の 人 。
||はいって||じん||じゃま|||さま|||||しばい こや||ばんにん|||きて||||じん
||||||||||||||||watchman|||||||
'While doing that, it's like they're purposely trying to interfere with the people coming in, and then the theatre attendant arrived and said, 'Excuse me, you there.'
出る の か ね ?
でる|||
Is it going to come out?
入る の か ね ?
はいる|||
Is it going to come in?
出る なら 出る 、 入る なら 入る で 、 早く し ておくれ よ 。
でる||でる|はいる||はいる||はやく|||
If it's coming out, then let it come out; if it's coming in, then let it come in, so hurry up already.
邪魔に なる じゃ ない か 」 すると 吉 四六 さん は 、 すま な そうに 言い ました 。
じゃまに||||||きち|しろく|||||そう に|いい|
a hindrance||||||||||||||
"Don't you think it will be a nuisance?" Then Yoshishiro said, looking apologetic.
「 いや ー 、 連れ と はぐれた んだ が 。
|-|つれ||||
||||lost||
"Well, I got separated from my companions."
・・・ 仕方ない 、 中 で 待つ と する か 」 こうして 吉 四六 さん は 芝居 小屋 に 入って 行き 、 ただ で 芝居 見物 を した のです 。
しかたない|なか||まつ|||||きち|しろく|||しばい|こや||はいって|いき|||しばい|けんぶつ|||
"... I guess there's no helping it, I'll wait inside then." Thus, Yoshishiro entered the theater and watched the play for free.
おしまい