舟 の 渡し 賃 ふね||わたし|ちん Boat Fare

舟 の 渡し 賃 ふね||わたし|ちん

むかし むかし 、 吉四六さん と 言う 、 とても ゆかいな 人 が い ました 。 ||きち しろく さん||いう|||じん||| ある 日 の 事 、 吉 四六 さん は 庄屋 ( しょうや ) さん に 呼ば れ ました 。 |ひ||こと|きち|しろく|||しょうや||||よば|| 「 すま ない 、 吉 四六 さん 。 ||きち|しろく| 渡し 舟 の 船頭 が 病気 で 倒れて しまった んだ 。 わたし|ふね||せんどう||びょうき||たおれて|| 今日 だけ で いい から 、 代わり に 渡し 舟 の 船頭 に なって は くれ まい か 」 「 はい 、 いい です よ 」 　 そんな わけ で 、 吉 四六 さん は 今 日一日 、 村 の 渡し 舟 の 船頭 です 。 きょう|||||かわり||わたし|ふね||せんどう||||||||||||||きち|しろく|||いま|ひいちにち|むら||わたし|ふね||せんどう|

「 暇じゃ な 。 ひまじゃ| 誰 か 客 が 来 ない か なあ 」 　 川縁 で タバコ を 一服 して いる と 、 旅 の 侍 ( さむらい ) が やって 来 ました 。 だれ||きゃく||らい||||かわべり||たばこ||いっぷく||||たび||さむらい||||らい| 「 これ 、 船頭 。 |せんどう 渡し 賃 は いくら だ ？ わたし|ちん||| 」 「 はい 。 片道 、 八 文 (→ 二百四十 円 ほど ) です 」 　 する と 旅 の 侍 は 、 威張って 命令 し ました 。 かたみち|やっ|ぶん|にひゃくしじゅう|えん|||||たび||さむらい||いばって|めいれい|| 「 八 文 と は 高い 。 やっ|ぶん|||たかい 六 文 に いたせ ！ むっ|ぶん|| 」 　 吉 四六 さん は 、 ( この ケチ 侍 め ) と 、 思い ました が 、 侍 と けんか を して も 負けて しまい ます 。 きち|しろく|||||さむらい|||おもい|||さむらい||||||まけて|| 「 では 、 舟 を 出し ます よ 」 　 吉 四六 さん は 、 侍 を 乗せて こぎ 出し ました 。 |ふね||だし|||きち|しろく|||さむらい||のせて||だし| ところが 、 あと 少し で 向こう岸 に 着く と いう ところ で 、 吉 四六 さん は 舟 を 止め ました 。 ||すこし||むこうぎし||つく|||||きち|しろく|||ふね||とどめ| 「 六 文 で は 、 ここ まで です 。 むっ|ぶん||||| あと 二 文 出して くれれば 、 向こう岸 まで 着け ます が 、 どう いたし ましょう ？ |ふた|ぶん|だして||むこうぎし||つけ||||| 」 「 何 だ と 。 なん|| ここ で 降りて 、 あと は 泳いで 行け と いう の か ！ ||おりて|||およいで|いけ|||| 」 「 いいえ 、 あと 二 文 出せば 、 向こう岸 まで お 送り し ます よ 」 「 ええ い 、 こう なれば 意地 比べ だ 。 ||ふた|ぶん|だせば|むこうぎし|||おくり||||||||いじ|くらべ| 向こう岸 まで やれ ない の なら 、 元 の 岸 に 戻せ ！ むこうぎし||||||もと||きし||もどせ 」 「 へい 、 分かり ました 」 　 吉 四六 さん は 素直に 舟 を 戻す と 、 侍 の 前 に 手 を 出し ました 。 |わかり||きち|しろく|||すなおに|ふね||もどす||さむらい||ぜん||て||だし| 「 では 、 六 文 の ところ を 行って 帰って 来 ました ので 、 合計 十二 文 ちょうだい いたし ます 」 「・・・ くそ ー っ ！ |むっ|ぶん||||おこなって|かえって|らい|||ごうけい|じゅうに|ぶん|||||-| わし の 負け だ ！ ||まけ| 」 　 侍 は 十二 文 を 払う と 、 どこ か へ 行って しまい ました 。 さむらい||じゅうに|ぶん||はらう|||||おこなって||

おしまい