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とっくり 幽霊
むかし から お 酒 の 好きな 人 は 、 意地 が 汚い と 言わ れて い ます 。
お 酒 が ある うち は 、 「 もう 一 本 」 「 もう 一 本 だけ 」 「 ほんとに 、 もう 一 本 だけ 」 「 最後に 、 もう 一 本 」 など と 言い ながら 、 ついつい 全部 飲んで しまう から です 。
でも これ が 出来る は 、 お 酒 を 買える 幸せな 酒飲み で 、 お 金 の ない 酒飲み は 、 こう は いきま せ ん 。
さて 、 ある 長屋 に 、 貧乏な 侍 が い ました 。
大 の つく 酒飲み でした が 、 その日暮らし が やっと の あり さ まで 、 酒 など めったに 飲む 事 が 出来 ませ ん 。
この 男 が ある とき 、 病 で 倒れて しまい ました 。
男 は まくら元 に 、 おかみ さん を 呼んで 、 「 わし が このまま 死んだら 、 なきがら は どう か 備前 の 国 ( び ぜん の くに → 岡山 県 ) の 土 に うずめて くれ 」 と 、 弱々しい 声 で 頼み ました 。
「 はい 、 それ は よろしゅう ございます が 、 あなた は 備前 の 国 に は 縁 も ゆかり も ない でしょう に 」 おかみ さん が 、 不思議 そうに 言う と 、 「 わし は これ まで 、 好きな 酒 を 思う ように 飲め なかった 。
せめて 死んで から は 、 ゆっくり と 酒 を 飲み たい 。
酒 の とっくり は 、 備前 の 土 で 焼いた 物 が 一 番 よい と さ れて いる 。
備前 の 土 に なって とっくり に 焼か れれば 、 いつでも 酒 を 入れて おいて もらえる から な 」 と 、 男 は 言い ました 。
しばらく する と 男 は あの世 に 行って しまい 、 備前 の 土 に うめ られ ました 。
「 願い 通り に して あげた のだ から 、 どんなに 喜んで いる 事 でしょう 。
今頃 は もう 、 とっくり に 焼か れて おいしい お 酒 を 入れて もらい 、 幸せに して いる 事 でしょう ね 」 おかみ さん が そう 思って いる と 、 ある 晩 おそく 、 男 が 幽霊 に なって 現れ ました 。
「 うらめし や ~。
水 を くれ え 、 のど が かわいて たまら ん のだ 」 「 あら ?
いったい 、 どう なされ ました 。
願い 通り 備前 の 土 に なって 、 とっくり に 焼か れた ので は あり ませ ん か ?
」 おかみ さん が 聞く と 、 「 ああ 、 お前 の おかげ で 備前 の 土 に なる こと が 出来 、 とっくり に も 焼か れた 。
しかし それ が 、 とんだ あて は ずれ で な 。
悲しい 事 に 酒 の とっくり で は なく 、 しょうゆ の とっくり な んだ 。
毎日 しょう ゆび たり だ もん で 、 のど が かわいて 、 かわいて 、 たまら ず に 出て きた のだ 。
うらめし や ~、 水 を くれ え 」 「 は いはい 、 いま あげ ます よ 」 おかみ さん が ひしゃく に 水 を くんで さし出す と 、 男 は うま そうに ごくごく と 飲んで 、 すう っと 消えて いった そうです 。
♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )
とっくり 幽霊
むかし から お 酒 の 好きな 人 は 、 意地 が 汚い と 言わ れて い ます 。 お 酒 が ある うち は 、 「 もう 一 本 」 「 もう 一 本 だけ 」 「 ほんとに 、 もう 一 本 だけ 」 「 最後に 、 もう 一 本 」 など と 言い ながら 、 ついつい 全部 飲んで しまう から です 。 でも これ が 出来る は 、 お 酒 を 買える 幸せな 酒飲み で 、 お 金 の ない 酒飲み は 、 こう は いきま せ ん 。
さて 、 ある 長屋 に 、 貧乏な 侍 が い ました 。 大 の つく 酒飲み でした が 、 その日暮らし が やっと の あり さ まで 、 酒 など めったに 飲む 事 が 出来 ませ ん 。 この 男 が ある とき 、 病 で 倒れて しまい ました 。 男 は まくら元 に 、 おかみ さん を 呼んで 、 「 わし が このまま 死んだら 、 なきがら は どう か 備前 の 国 ( び ぜん の くに → 岡山 県 ) の 土 に うずめて くれ 」 と 、 弱々しい 声 で 頼み ました 。 「 はい 、 それ は よろしゅう ございます が 、 あなた は 備前 の 国 に は 縁 も ゆかり も ない でしょう に 」 おかみ さん が 、 不思議 そうに 言う と 、 「 わし は これ まで 、 好きな 酒 を 思う ように 飲め なかった 。 せめて 死んで から は 、 ゆっくり と 酒 を 飲み たい 。 酒 の とっくり は 、 備前 の 土 で 焼いた 物 が 一 番 よい と さ れて いる 。 備前 の 土 に なって とっくり に 焼か れれば 、 いつでも 酒 を 入れて おいて もらえる から な 」 と 、 男 は 言い ました 。
しばらく する と 男 は あの世 に 行って しまい 、 備前 の 土 に うめ られ ました 。 「 願い 通り に して あげた のだ から 、 どんなに 喜んで いる 事 でしょう 。 今頃 は もう 、 とっくり に 焼か れて おいしい お 酒 を 入れて もらい 、 幸せに して いる 事 でしょう ね 」 おかみ さん が そう 思って いる と 、 ある 晩 おそく 、 男 が 幽霊 に なって 現れ ました 。 「 うらめし や ~。 水 を くれ え 、 のど が かわいて たまら ん のだ 」 「 あら ? いったい 、 どう なされ ました 。 願い 通り 備前 の 土 に なって 、 とっくり に 焼か れた ので は あり ませ ん か ? 」 おかみ さん が 聞く と 、 「 ああ 、 お前 の おかげ で 備前 の 土 に なる こと が 出来 、 とっくり に も 焼か れた 。 しかし それ が 、 とんだ あて は ずれ で な 。 悲しい 事 に 酒 の とっくり で は なく 、 しょうゆ の とっくり な んだ 。 毎日 しょう ゆび たり だ もん で 、 のど が かわいて 、 かわいて 、 たまら ず に 出て きた のだ 。 うらめし や ~、 水 を くれ え 」 「 は いはい 、 いま あげ ます よ 」 おかみ さん が ひしゃく に 水 を くんで さし出す と 、 男 は うま そうに ごくごく と 飲んで 、 すう っと 消えて いった そうです 。
♪ ちゃん ちゃん ( おしまい )
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