Ookami to Koushinryou II (Spice and Wolf II ) Episode 8 ookami||koushinryou|ii|spice||wolf|ii|episode

寝息 より そっと 夜明け が 来る ねいき|||よあけ||くる

君 の 夢 は 今 森 を 駆ける きみ||ゆめ||いま|しげる||かける

寝覚め て 灯り を 探す 仕草 ねざめ||ともり||さがす|しぐさ

なく し た なら 見つけ て あげよ う ||||みつけ|||

君 と 僕 の 未来 に 隠れ て いる きみ||ぼく||みらい||かくれ||

さあ ここ へ 手 を 繋 い だ ら |||て||つな|||

解け ない よう 君 と 遠く へ とけ|||きみ||とおく|

遥か な 日 の 記憶 に 咲 い た はるか||ひ||きおく||さ||

蒼 い 国 を 見る ストーリー あお||くに||みる|すとーりー

輝く 瞳 かがやく|ひとみ

その 歌声 伝えよ う |うたごえ|つたえよ|

おお

これ は すごい のう

ずっと 見て い て も 飽き な さ そう じゃ |みて||||あき||||

まっ 結局 こう なる な |けっきょく|||

しかし こうして 見る だけ じゃ ||みる||

町 に 何 か 問題 が ある よう に は 見え ない な まち||なん||もんだい||||||みえ||

狼 の 群れ が 縄張り を 争って 熾烈 な 争い を し て おって も な おおかみ||むれ||なわばり||あらそって|しれつ||あらそい||||||

森 と いう の は 遠く から 見 れ ば いつも と 変わら ぬ 静けさ じゃ しげる|||||とおく||み|||||かわら||しずけさ|

お前 くらい 目 と 耳 が 良 けれ ば おまえ||め||みみ||よ||

遠く から でも わから ない か とおく|||||

あそこ の 見える か や ||みえる||

船 の 積荷 に かけ られ た 税 が べらぼう に 高く せん||つみに|||||ぜい||||たかく

始 め の 値段 で は 積荷 を 渡し たく ない と 言って おる はじめ|||ねだん|||つみに||わたし||||いって|

首 の 値段 が どうのこうの くび||ねだん||

人質 税 って やつ だ ひとじち|ぜい|||

いい 船 は その 川 を 所有 する 領主 の 人質 同然 だ から な |せん|||かわ||しょゆう||りょうしゅ||ひとじち|どうぜん|||

それ に 対 する やせ っぽ ち の 返答 は こう じゃ ||たい||||||へんとう|||

今年 は 北 の 大 遠征 が なくなった せい で ことし||きた||だい|えんせい||||

町 は 大 揉め に 揉め て いる まち||だい|もめ||もめ||

金 を 払って もらえ る だけ で ありがたい と 思え きむ||はらって|||||||おもえ

大 遠征 中止 の 影響 は ここ に も か だい|えんせい|ちゅうし||えいきょう|||||

なんなら 毛皮 と 一緒 に 会議 に かけ て も いい ん だ ぞ |けがわ||いっしょ||かいぎ||||||||

似 た よう な 話 を し て おる 連中 が 少なくとも 四 組 は おる に||||はなし|||||れんちゅう||すくなくとも|よっ|くみ||

税金 が 高 すぎる 北 の 大 遠征 ぜいきん||たか||きた||だい|えんせい

町 の 輸入 が どうこう まち||ゆにゅう||

ああ

今 頼 ん だ 酒 は わ っち の ため で は なく いま|たの|||さけ||||||||

自分 自身 の ため じゃ な じぶん|じしん||||

酒 で 酔う の は わ っち じゃ が さけ||よう||||||

ぬ し は 別 の もの で 酔う つもり じゃ |||べつ||||よう||

酒 を 飲む に は 金 が 要る が さけ||のむ|||きむ||いる|

商売 の 種 が 転がって いる か を 考える の は しょうばい||しゅ||ころがって||||かんがえる||

ただ だ から な

しかも わ っち が 横 で ぎ ゃ ん ぎ ゃ ん 吠え ん す ||||よこ||||||||ほえ||

あるいは 素直 に 協力 に 応じ て くれる よう |すなお||きょうりょく||おうじ|||

酒 の 一 杯 や 二 杯 安い もの さけ||ひと|さかずき||ふた|さかずき|やすい|

仰せ の とうり で おおせ|||

まあ 商売 の 話 を し て いる 時 の ぬ し は |しょうばい||はなし|||||じ||||

実に 楽し そう じゃ から な じつに|たのし||||

その 横顔 を 肴 に しよ う |よこがお||さかな|||

あり え ん

わ っち と も あ ろ う もの が

あの 程度 の 酒 で この よう な … |ていど||さけ||||

まあ 旅 の 疲れ が 出 た ん だ ろ う |たび||つかれ||だ|||||

ゆっくり 休 ん でろ |きゅう||

安心 しろ 俺 は 高値 すぎ て あんしん||おれ||たかね||

買い手 は つか ない よ かいて||||

そんな こと で は ない

ゆっくり なさい ませ お姫様 |||おひめさま

開 い て ます か ひらき||||

丁度 今 ふさがっちゃ い まし た ちょうど|いま||||

ほら

穴 が 開く ほど 見て い たい です ね あな||あく||みて||||

そ っか

前掛け に すぐ 穴 が 開く の は みんな が 私 の 顔 じゃ なく て まえかけ|||あな||あく|||||わたくし||かお|||

前掛け ばかり 見る から ね まえかけ||みる||

みんな 気 を 使って る ん です よ |き||つかって||||

素敵 な 顔 を 見 すぎ て すてき||かお||み||

鼻 の 穴 が 三 つ に なら ない よう に はな||あな||みっ||||||

残念 鼻 の 穴 が 三 つ に なれ ば ざんねん|はな||あな||みっ||||

胡散臭い 客 も 嗅ぎ分け られる のに うさんくさい|きゃく||かぎわけ||

どう です か

やっぱり 旅 の お 客 さん は ノリ が 違い ます ね |たび|||きゃく|||のり||ちがい||

で お 酒 ？ 食事 ？ ||さけ|しょくじ

尻尾 料理 を 包み で 二 人 前 お 願い し たい の です が しっぽ|りょうり||つつみ||ふた|じん|ぜん||ねがい|||||

いま ちょっと 港 へ の 仕込み が … ||こう|||しこみ|

お 気 に なさら ず |き|||

急ぎ ませ ん ので いそぎ|||

それ なら その 間 に お 酒 を 一 人 分 追加 なんて どう です か |||あいだ|||さけ||ひと|じん|ぶん|ついか||||

うまい な

こんな 時間 に 行商 人 風 の 方 が 酒場 に 来る なんて |じかん||ぎょうしょう|じん|かぜ||かた||さかば||くる|

目的 は 一 つ です から ね もくてき||ひと||||

その 前 に 料金 を |ぜん||りょうきん|

ちょっと 気 に なって た ん です が |き||||||

街 の 入り口 に 商人 風 の 連中 が たむろ し て まし た よ ね がい||いりぐち||しょうにん|かぜ||れんちゅう||||||||

ああ 毛皮 と それ に 関係 する もの を 扱って いる 人 たち です よ |けがわ||||かんけい||||あつかって||じん|||

毛皮 ？ けがわ

毛皮 が な けがわ||

半分 ぐらい は 遠く の 国 から 毛皮 を 買い付け に 来 た 人 はんぶん|||とおく||くに||けがわ||かいつけ||らい||じん

もう 半分 は 毛皮 を 加工 する の に 必要 な 物 を 商って いる 人 たち |はんぶん||けがわ||かこう||||ひつよう||ぶつ||あきなって||じん|

で なんで あんな とこ に いる か と 言う と ね ||||||||いう||

いま 町 の 偉い 人 たち が |まち||えらい|じん||

毛皮 を 売る か 売ら ない か 議論 し てる ん です よ けがわ||うる||うら|||ぎろん|||||

五十 人 会議 です ね ごじゅう|じん|かいぎ||

そう そう その 間 毛皮 の 売り買い は 禁止 |||あいだ|けがわ||うりかい||きんし

と なる と 職人 さん たち は 加工 する の に 必要 な もの を |||しょくにん||||かこう||||ひつよう|||

買 お う か どう か 迷う じゃ ない です か か||||||まよう||||

毛皮 を 売る の を 迷う そもそも の 理由 は ？ けがわ||うる|||まよう|||りゆう|

北 の 大 遠征 が 中止 に なった から って 聞い た けど きた||だい|えんせい||ちゅうし|||||ききい||

毛皮 を 大量 に 買って くれる 人 が い なく なった けがわ||たいりょう||かって||じん||||

そういう こと

うち も いつも なら もっと お 客 さん 入る ん です けど ね ||||||きゃく||はいる||||

それ なら

たむろ し て いる 商人 の 方 たち に 売れ ば いい の で は ||||しょうにん||かた|||うれ|||||

あの 人 たち は 渋い ん です よ |じん|||しぶい|||

騎士 さま と か 傭兵 と か は 太っ腹 です もの きし||||ようへい||||ふとっぱら||

私 も 時折 貴族 の お嬢さん が 着る よう な ふか ふか の 服 を わたくし||ときおり|きぞく||おじょうさん||きる||||||ふく|

贈ら れ たり する こと が ある ん です よ おくら|||||||||

もちろん ものすごく 高価 です ||こうか|

でも 服 に なる 前 の 毛皮 は 驚く ほど 安い |ふく|||ぜん||けがわ||おどろく||やすい

服 に し て から 売ら ない と ふく|||||うら||

町 に 落ちる 金 が 少ない と いう わけ だ まち||おちる|きむ||すくない||||

よく でき まし た

でも ここ まで は 他の 酒場 の 尻 軽 女 でも 集め られる 話 ||||たの|さかば||しり|けい|おんな||あつめ||はなし

これ から 言う こと は 聞か なかった こと に し て ください よ ||いう|||きか|||||||

ええ

十中八九 外 の 商人 さん たち の 毛皮 の 買い付け は じゅっちゅうはっく|がい||しょうにん||||けがわ||かいつけ|

阻止 さ れる と 思い ます そし||||おもい|

職人 さん や 毛皮 を 扱う 人 は 怒る でしょ う けど しょくにん|||けがわ||あつかう|じん||いかる|||

情報 元 は じょうほう|もと|

さあ

いい 酒場 から 出 て いく 人 は みんな べろ べろ |さかば||だ|||じん||||

お 客 さん も そう だ と いい な |きゃく|||||||

すぐ に でも 酔い が 回り そう です ね |||よい||まわり|||

尻尾 料理 あがった ぞ しっぽ|りょうり||

はい

ところで お 客 さん ||きゃく|

えっ ？

奥さん と かい ます ？ おくさん|||

財布 の 紐 は 握ら て ませ ん さいふ||ひも||にぎら|||

ですが 手綱 は しっかり と 握ら れ て い ます |たづな||||にぎら||||

く ー きっと とても いい 人 な ん だ ろ う な |-||||じん||||||

悔しい くやしい

あの 中 は 毛皮 か |なか||けがわ|

あれ も

あれ も

あれ も

いずれ に して も 動く 金 が で かい ||||うごく|きむ|||

敵 わ ぬ から な てき||||

え ？

尻尾 を 売ら れ て は 敵 わ ぬ しっぽ||うら||||てき||

俺 は 狩人 じゃ ない おれ||かりゅうど||

売れる もの は なんでも 売る と いった 顔 に 見え た ん じゃ が な うれる||||うる|||かお||みえ|||||

それ は 正確 じゃ ない な ||せいかく|||

たとえば 俺 は 道 の 途中 に 生え て いる 苺 を 摘 ん で |おれ||どう||とちゅう||はえ|||いちご||つま||

売 ろ う と は 思わ ない う|||||おもわ|

必ず 誰 か から 仕入れ 誰 か に 売る かならず|だれ|||しいれ|だれ|||うる

それ は 譲れ ない 大 原則 だ ||ゆずれ||だい|げんそく|

で ぬ し は また どんな 話 を 聞きつけ て き た の か や ||||||はなし||ききつけ||||||

今回 は また 格別 に 楽しく なり そう な ん だ こんかい|||かくべつ||たのしく|||||

そう だ 勝負 する か ||しょうぶ||

勝負 ？ しょうぶ

匂い だけ で なんの 獣 の におい||||けだもの|

どこ の 肉 か 当てられ たら ||にく||あてられ|

晩 飯 は お前 の 好き な もの を 好き な だけ 食べ て いい ばん|めし||おまえ||すき||||すき|||たべ||

ほほ う

町 の 手前 で 寝泊り し て い た 行商 人 たち が い た だ ろ う まち||てまえ||ねとまり|||||ぎょうしょう|じん|||||||

あれ は 絶対 に 何 か ある ||ぜったい||なん||

で なけ れ ば あんな 風 に 大人 しく 待って いる はず が ない |||||かぜ||おとな||まって||||

五十 人 会議 で ごじゅう|じん|かいぎ|

外地 商人 の 買い付け が 阻止 さ れる だ ろ う こと は がいち|しょうにん||かいつけ||そし|||||||

おそらく わかって いる はず だ

こっそり と 包み を は がそ う なんて し て ない よ な ||つつみ||||||||||

当然 じゃ とうぜん|

わかった か

待ち ん す まち||

で さっき の 続き だ が |||つづき||

これ は 間違い なく 裏 に 大きな 権力 機構 が 控え て いる ||まちがい||うら||おおきな|けんりょく|きこう||ひかえ||

服 の 加工 で 有名 な 西 の 商人 組織 か ふく||かこう||ゆうめい||にし||しょうにん|そしき|

毛皮 貿易 を 独占 し たい と 考える けがわ|ぼうえき||どくせん||||かんがえる

とてつもない 大 商会 か |だい|しょうかい|

いずれ に せよ …

ぬ しよ

わかった か

ぬ し の 出し た 条件 は |||だし||じょうけん|

わ っち が これ を 当てる の と 釣り合わ ぬ 気 が し て きた ん じゃ が … |||||あてる|||つりあわ||き|||||||

そういう こと は 初め に 言う もん だ |||はじめ||いう||

それ は そう じゃ が …

で 答え は ？ |こたえ|

名 は 知ら ぬ が な な||しら|||

尻尾 が で かく て 平ら な 鼠 の 尻尾 じゃ ろ しっぽ|||||たいら||ねずみ||しっぽ||

え ？ ああ

じゃ から 釣り合わ ぬ と 言った のに ||つりあわ|||いった|

知って た の か しって|||

この 町 に き た は な は |まち||||||

街 の 様子 に まったく 見覚え も なく 不安 じゃ った が がい||ようす|||みおぼえ|||ふあん|||

今 は もう 違う いま|||ちがう

一気に 記憶 が よみがえった いっきに|きおく||

匂い を 嗅 い だ 直後 に におい||か|||ちょくご|

懐かし さ で 泣か なかった の が 勝負 の 分かれ目 じゃ なつかし|||なか||||しょうぶ||わかれめ|

さっき の は わざ と か

わ っち を 人 の 好意 に つけ込む 卑劣 な やつ じゃ と でも ？ |||じん||こうい||つけこむ|ひれつ|||||

つけ込む こと 自体 は しょっちゅう だ ろ う つけこむ||じたい|||||

わ っち は この 匂い も きっと ずっと 忘れ ぬ ||||におい||||わすれ|

俺 も だ おれ||

ぬ し が 言う と あまり に クサ いの |||いう|||||

悪かった な わるかった|

そんなに 困って おる の か や |こまって||||

ん ？

クメルスン で の 儲け で |||もうけ|

店 の 一 つ も 出 せる 金 は ある じゃ ろ てん||ひと|||だ||きむ||||

ああ それ は そう だ が

わ っち に は 止める 権利 は ない が のう ||||とどめる|けんり||||

困って おら ぬ なら のんびり せ ぬ か こまって|||||||

わ っち は そうした い

そう だ な それ も そう だ

北 の 道 ？ きた||どう

ええ

今年 は 雪 が 少ない さほど 苦労 は し ない だ ろ う ことし||ゆき||すくない||くろう||||||

一応 ニョッヒラ を 目指し て いる の です が いちおう|||まなざし|||||

わざわざ 異 教 の 地 に … |い|きょう||ち|

だが 商人 と は そういう もの な の か |しょうにん|||||||

金 の 袋 を 担い で どこまでも 行く … きむ||ふくろ||にない|||いく

結局 死 の 床 で は その 袋 を 捨てる こと に なる の です が けっきょく|し||とこ||||ふくろ||すてる||||||

ならば なぜ 金 を 稼ぐ 捨てる ため に 得る など … ||きむ||かせぐ|すてる|||える|

部屋 の 掃除 を する 時 に 同じ 質問 は 為さら ない でしょ へや||そうじ|||じ||おなじ|しつもん||なさら||

まあ いい

それ で 早々 に 発 つ か ||はやばや||はつ||

いえ ひとまず 五十 人 会議 が 終わる まで 待って から と ||ごじゅう|じん|かいぎ||おわる||まって||

今 なら まだ お前 の 馬 で 途中 まで 行ける だ ろ う いま|||おまえ||うま||とちゅう||いける|||

その先 は 長 毛 種 に 乗り換え た ほう が いい そのさき||ちょう|け|しゅ||のりかえ||||

厩 に 一 頭 い まし た ね うまや||ひと|あたま||||

あれ の 持ち主 は 北 の 人間 だ ||もちぬし||きた||にんげん|

詳しい 道 の 事情 を 知って いる だ ろ う くわしい|どう||じじょう||しって||||

お 名前 は |なまえ|

名前 ？ 長い こと ここ に 泊まって いる が なまえ|ながい||||とまって||

名 を 聞い た こと が ない な||ききい||||

毎年 ぶ くぶ く 太って いく 様 すら まいとし||||ふとって||さま|

克明 に 記憶 し て いる のに な こくめい||きおく|||||

なるほど こういう こと も ある の か

見かけ たら お前 の 話 を し て おこ う みかけ||おまえ||はなし|||||

ありがとう ござい ます

だが

五十 人 会議 を 待って い て は 春 に なって しまう かも しれ ない ごじゅう|じん|かいぎ||まって||||はる||||||

そんなに 長引き そう です か |ながびき|||

人 の 人生 に すら 趨勢 が ある じん||じんせい|||すうせい||

ならば その 集まり で ある 町 に も 趨勢 が あって 当然 で ある ||あつまり|||まち|||すうせい|||とうぜん||

運命 に 逆らう の が 人 の 常 か と 思い ます うんめい||さからう|||じん||とわ|||おもい|

過ち を 犯し て は 償い を 求め てる 人間 の よう に あやまち||おかし|||つぐない||もとめ||にんげん|||

反論 は 難しい よう だ はんろん||むずかしい||

この 宿 は 三 度 目 だ な 名前 は ？ |やど||みっ|たび|め|||なまえ|

クラフト ? ロレンス です くらふと||

アロルド ? エクルンド だ

昔 なら ば 自慢 の 革 紐 を 仕立てる ところ だ が むかし|||じまん||かわ|ひも||したてる|||

今 と なって は 静か な 夜 を 楽し ん で もらう ほか ない いま||||しずか||よ||たのし|||||

なにより です

オレ は 五 度 目 の 時 だった おれ||いつ|たび|め||じ|

オレ より 早く 口 を 聞く の か アロルド さん おれ||はやく|くち||きく||||

お前 と 会話 を し た の が 五 度 目 の 時 だった から な おまえ||かいわ||||||いつ|たび|め||じ|||

お前 こそ 口 を 聞く と は 珍しい おまえ||くち||きく|||めずらしい

あんた

なに か

少し 話さ ない か リゴロ に 用 が ある ん だ ろ う すこし|はなさ|||||よう||||||

ええ

もらって く ぜ

では

やっぱり 温め て 飲む に は もったいない 葡萄 酒 だ な |あたため||のむ||||ぶどう|さけ||

で ずいぶん と 警戒 さ れ て いる が |||けいかい|||||

理由 を 聞い て いい かい りゆう||ききい|||

女 の 商人 は 珍しい です から ね おんな||しょうにん||めずらしい|||

その よう な 方 が 声 を かけ て くれ ば |||かた||こえ|||||

いつも 以上 に 警戒 し ます |いじょう||けいかい||

ここ 数 年 は 見抜か れ た こと も なかった ん だ が |すう|とし||みぬか||||||||

今朝 宿 の 前 で すれ違った でしょ う けさ|やど||ぜん||すれちがった||

連れ が 動物 並み に 勘 が 働き まし て ね つれ||どうぶつ|なみ||かん||はたらき|||

女 の 勘 と いう の は 侮れ ない オレ が 言う の も なん だ が ね おんな||かん|||||あなどれ||おれ||いう||||||

それ は 日々 実感 し て い … ||ひび|じっかん|||

俺 は フルール ? ボラン おれ|||

だが フルール なんて しまら ない から な

商売 上 は エーブ ? ボラン だ しょうばい|うえ||||

クラフト ? ロレンス です くらふと||

クラフト ？ ロレンス ？ くらふと|

商売 上 は ロレンス です しょうばい|うえ|||

オレ は エーブ だ ボラン と いう の は 好き じゃ なく て ね おれ|||||||||すき||||

それ と 化粧 を し て カツラ を つけ れ ば ||けしょう||||かつら||||

自分 の 顔 が 男 の 目 に どう 映る か は 把握 し て いる じぶん||かお||おとこ||め|||うつる|||はあく|||

そこ を 褒め られる の も 好き じゃ ない ||ほめ||||すき||

なるほど

隠せ れ ば 隠す つもり だった ん だ が かくせ|||かくす|||||

オレ も 元来 無口 な たち じゃ なく て ね おれ||がんらい|むくち||||||

どちら か と いえ ば お 喋り だ ||||||しゃべり|

愛想 も 悪く ない と 自負 し て いる あいそ||わるく|||じふ|||

愛想 に つい て は あいそ||||

おいおい 印象 を 変え て いく つもり です |いんしょう||かえ||||

ですが 私 は 貴 女 と 短い 挨拶 しか 交わし て い なかった |わたくし||とうと|おんな||みじかい|あいさつ||かわし|||

気 に 入ら れ た 理由 が わかり ませ ん き||はいら|||りゆう||||

一 つ は アロルド の 爺さん に 気 に 入ら れ て い た こと ひと|||||じいさん||き||はいら|||||

あの 爺さん 人 を 見る 目 だけ は 確か だ |じいさん|じん||みる|め|||たしか|

無口 で 愛想 は ない が むくち||あいそ|||

唯一 の 口癖 と いったら ゆいいつ||くちぐせ||

来年 に は 巡礼 の 旅 に らいねん|||じゅんれい||たび|

で あんた の 連れ だ |||つれ|

連れ ？ つれ

そう あんた の 連れ |||つれ

あれ は 女 だ ろ 女 連れ の 商人 なんて 滅多に 見 ない ||おんな|||おんな|つれ||しょうにん||めったに|み|

まあ 私 の 連れ に 関して は |わたくし||つれ||かんして|

色々 あり まし て いろいろ|||

もちろん 詮索 は し ない |せんさく|||

あんた ら は 旅 慣れ た 様子 で |||たび|なれ||ようす|

なおかつ 金 で 繋がって る 感じ で も なかった |きむ||つながって||かんじ|||

これ なら 話しかけ て も 大丈夫 そう 思った ||はなしかけ|||だいじょうぶ||おもった

まあ そういう わけ だ が

いきなり 雑談 し ま しょ う どう です か |ざつだん|||||||

なんて いえ ない だ ろ

だから リゴロ の 名 を 使った ん だ が |||な||つかった|||

あながち 単なる 出汁 な わけ で も ない |たんなる|だし|||||

あんた リゴロ に 会い たい ん だ ろ |||あい||||

ええ

その 理由 は 詮索 し て いい か |りゆう||せんさく||||

リゴロ さん が この 町 の 年代 記 作家 と お 聞き し まし て ||||まち||ねんだい|き|さっか|||きき|||

この 町 に 残る 古い 話 の 記録 を 見 たい ん です |まち||のこる|ふるい|はなし||きろく||み|||

へえ また 妙 な 目的 も あった もん だ ||たえ||もくてき||||

てっきり 毛皮 の こと か と |けがわ||||

もちろん 私 も 商人 です から |わたくし||しょうにん||

その 情報 も 入る なら それ に 越し た こと は あり ませ ん |じょうほう||はいる||||こし||||||

ですが 危険 です し |きけん||

連れ も それ を 望 ん で い ない つれ||||のぞみ||||

確かに あいつ の 書斎 に は たしかに|||しょさい||

何 代 に も 渡って 受け継が れ て き た と いう 山 ほど の 本 が ある なん|だい|||わたって|うけつが|||||||やま|||ほん||

本人 も 日々 それ を 読 ん で 暮らす の が 夢 だ そう だ ほんにん||ひび|||よ|||くらす|||ゆめ|||

五十 人 会議 の 書記 なんて 役目 は いつも 辞め た がって る ぜ ごじゅう|じん|かいぎ||しょき||やくめ|||やめ||||

そう な の です か

次 から 次 へ と 接触 しよ う と する 奴 が あと を 絶た ない ん だ よ つぎ||つぎ|||せっしょく|||||やつ||||たた||||

今 正面 から 会い に いって も 恐ろしい 形相 で 睨ま れ て いま|しょうめん||あい||||おそろしい|ぎょうそう||にらま||

門前払い だ ろ う ぜ もんぜんばらい||||

オレ は ここ の 教会 を 相手 に 取引 し て い て な おれ||||きょうかい||あいて||とりひき|||||

その 付き合い は なかなか の もの だ |つきあい|||||

で リゴロ の 奴 も 普段 は 教会 を 相手 に 文字 を 書く 仕事 を し て いる |||やつ||ふだん||きょうかい||あいて||もじ||かく|しごと||||

その 縁 で 付き合って 結構 な 時間 に なる |えん||つきあって|けっこう||じかん||

商人 ロレンス しょうにん|

あんた が どれほど の 傑 物 な の か は わから ない が ||||すぐる|ぶつ|||||||

十 把 一 絡 げ の 有 象 無 象 と は ちょっと 違う らしい じゅう|わ|ひと|から|||ゆう|ぞう|む|ぞう||||ちがう|

褒め て いただき 恐縮 です が ほめ|||きょうしゅく||

握手 を する なら あくしゅ|||

もう 少し 待って いただけ ない か と |すこし|まって||||

掌 に 汗 を かく よう な 間抜け じゃ ない ん だ ろ う てのひら||あせ|||||まぬけ||||||

さっき から 底 の 読め ない 顔 を ずっと 保って いる ん だ ||そこ||よめ||かお|||たもって|||

では なに を 商って いる の か 聞く 代わり に |||あきなって||||きく|かわり|

一 つ お 聞き し て も いい です か ひと|||きき||||||

なん だい

紹介 料 は いかほど で ？ しょうかい|りょう|||

金 も 物 も いら ない きむ||ぶつ|||

ただ

オレ と 雑談 し て は くれ まい か おれ||ざつだん||||||

なに 嘘 じゃ ない |うそ||

奇妙 に 思わ れる か も し れ ん が な きみょう||おもわ||||||||

だが オレ に とっちゃ 女 で ある こと を |おれ|||おんな||||

隠さ ず に 雑談 できる 相手 かくさ|||ざつだん||あいて

特に 商人 と いう の は リマー 金貨 より 価値 が 高い とくに|しょうにん||||||きんか||かち||たかい

では リュミオーネ 金貨 より は 価値 が 低い ||きんか|||かち||ひくい

オレ は 商人 だ ぞ どっち に し た って 金 が 一 番 さ おれ||しょうにん||||||||きむ||ひと|ばん|

だが あんた の 連れ は どういう 奴 か わから ん |||つれ|||やつ|||

でき れ ば サシ が いい |||さし||

側 で むす っと さ れ ちゃ あ 酒 も まずい がわ||||||||さけ||

それ は ない と 思い ます よ ||||おもい||

そう か 女心 ほど 訳 の わから ん もの は ない だ ろ う ||おんなごころ||やく|||||||||

女 の する 話 は よく わから ねえ し おんな|||はなし|||||

ま オレ は ここ に 商売 で 来 て て な |おれ||||しょうばい||らい|||

都合 が 合う なら 話 の 相手 も し て 欲しい つごう||あう||はなし||あいて||||ほしい

こう 見え て も … |みえ||

お 喋り で 愛想 が いい |しゃべり||あいそ||

ああ そう だ

連れ が 嫉妬 し ない 程度 で し たら つれ||しっと|||ていど|||

そりゃ 大変 な 条件 だ |たいへん||じょうけん|

そして 恋 する 僕たち は |こい||ぼくたち|

愛 の 手前 で すれ違う あい||てまえ||すれちがう

伝え たい の に たまり 込む つたえ|||||こむ

take me

take me to the perfect world

坂道 を 空 へ 登れ ば さかみち||から||のぼれ|

流れ 往 く 彗星 の 湖 ながれ|おう||すいせい||こ

未完成 な 僕たち だ から みかんせい||ぼくたち||

傷つけ ず に い られ ない きずつけ|||||

抱きしめて くれ たら だきしめて||

触れ合え る 気 が する ふれあえ||き||

抱きしめ あえ たら だきしめ||

愛 する 人 は きっと そば に いる あい||じん|||||

大切 な もの は いつも そば に ある たいせつ|||||||

次回 狼 と 無謀 な 商談 じかい|おおかみ||むぼう||しょうだん

次回 狼 と 無謀 な 商談 じかい|おおかみ||むぼう||しょうだん