JIN -仁 - 完结 编 #08
( 勝 ) あいつ は アレ を 仕掛けよう と して る の かも しん ねえ な
( 仁 ) 大政 … 奉還 てこ と です か !?
いつ だ … それ は いつ 頃 ?
分かる 奴 が いん なら おい ら も 聞いて み たい よ
( 後藤 ) 武力 討 幕 が 始まる より 先 に
幕府 が 政 を 朝廷 に 返して しまう
( 龍 馬 ) 天子 様 じゃ ち 薩長 じゃ ち 政権 を 手放した もん を
まさか 武力 討伐 する こと は でき ん が じゃ ろう
それ は えい ! ほ いたら 土佐 は 時代 の 舵 を 握れる が じゃ
けん ど 薩長 は このような 策 を 許さ ん き
そんな もん は お まん
ばれ ん か ったら それ で えいが じゃ
( 橘 ) 仁 友 堂 と 坂本 は
いまや 全く 交わり を 断って いる もの と 思わ れ ます
( 上役 ) で は 引き続き 調べ を 続けよ
はい
お 許し を
〈 龍 馬 さん の 暗殺 は 大政 奉還 から 明治 に なる まで の 間 の 〉
〈 寒い 時期 だった イメージ が ある 〉
〈 大政 奉還 は 今年 1867 年 〉
〈 と いう こと は 来年 の どこ か で 明治 〉
〈 と いう こと は 暗殺 は 今年 の 終わり 頃 か 〉
〈 来年 の 頭 頃 の はず 〉
《( 未来 ) 坂本 龍 馬 と 同じです ね 》
《 龍 馬 が 死んだ 日 も 確か …》
確か … 何 てった っけ なあ
( 咲 ) やはり 燃やさ れる のです か ?
勝 先生 に そうした ほう が いい って 言わ れて
坂本 様 に も
事 の 次第 を お 知らせ した ほう が よい かも しれ ませ ん ね
これ は すごい ぜ よ 先生
出る な よ
いける か ?
「 土 の 龍 道 に 果て つる 寒き 京 」
「 ご 注意 を 」
届いて くれよ
出かける んです か ? ( 福田 ) 咲 さ んに 産婆 の 紹介 を
野 風 さん が いらっしゃる まで に できる だけ の こと を 覚えよう か と
よろしく お 願い し ます
〈 今 は 他 に 動く こと が でき なかった 〉
〈 十 月 に 野 風 さん の 出産 が 控えて いる 状態 で 〉
〈 どこ に いる か 分から ない 龍 馬 さん を 捜し に 出る の は 〉
〈 あまりに も リスキー だった 〉
〈 来るべき 時 に 備えて 〉
〈 できる だけ の こと を して おく こと が 〉
〈 龍 馬 さん に 対して 今 の 俺 に できる 〉
〈 最大 限 の こと だった 〉
( 横 松 ) しか し 恐ろし げ な 名 です な 呪い の シート と は
ノイロシート です
( 佐分利 ) しか し この 鈍い シート 便利 で ん なあ
また 何で ノロイ … ノイロシート です
( 八木 ) 先生 久留米 の 田中 久 重 様 から お 届け 物 が
田中 さん から ?
( 山田 ) お ~ ッ
これ は 夜 の 手術 が 助かり まん な
( 田中 )「 お 使い いただければ ありがたき 幸せに 存じ ます 」
「 ところで ご 友人 と は その後 いか が なされた でしょう か ?」
ご 心配 なら もう 一 度 文 を お 出し に なら れて みて は ?
手紙 が 届か ない の も 歴史 の 修正 力 の 気 が する んです
箱 に 触れて も よろし う ございます か ?
はい
写真 なる もの は 消えた まま で ございます ね
はい
やはり 私 に は
先生 の ご存じ だった 未来 さん は
野 風 さん と ご 家 門 の 大 殿様 と の 間 の 子孫 であった から
消えて しまった のだ と 思わ れ ます
だ と すれば すでに 先生 は
歴史 を 変えて おら れる ので は ない でしょう か
薬 や 医療 の こと など は もちろん です が
生き 死に に かかわる こと でも
歴史 の 修正 力 が 働か ぬ こと も ある ので は ない でしょう か
それ は そう かも しれ ませ ん けど
でも です よ
少し 変えて しまった が ゆえ に
もっと 悪く なる こと って ない んでしょう か
たとえば 野 風 さん の 血筋 が 絶た れて しまったり と か
なれ ど 修正 力 が どう 働こう が
先生 の 望み は 変わら ぬ ので は ございませ ぬ か ?
〈 俺 の 望む 未来 は …〉
( 野 風 ) 何 ゆえ 子 の 名 を 教えて くださら ぬ ので ?
おかしな 父上 で ご ざん す なあ
〈 野 風 さん が 子供 を 産み 〉
〈 未来 が 生まれ 変われる こと 〉
生まれ変わら れ た方 と 先生 は
出会わ ねば なり ませ ん
〈 そして 〉
≪( 後藤 ) お ~ い 坂本 !
容堂 公 が 大政 奉還 を 建 白 して くださる そうじゃ !
〈 坂本 龍 馬 が 暗殺 さ れ ない 歴史 を つくる こと 〉
守って くれよ
未来
〈 自ら 望む 未来 を この 手 で つくり出す だけ だ 〉
〈 歴史 は 変え られ ない と 決まった わけじゃ ない んだ から 〉
もう じき ぜ よ ~!
先生 ~ ッ
よろしゅう お 願 いしん す
はい
子 は 順調で ございます
母体 の ほう も 異常 は 見受け られ ませ ぬ
出産 は この 具合 だ と
月 の 終わり ほど に なり そうです ね
岩 も さほど 進行 して ませ ん し うまく いき そうです よ
私 を 奥 医師 に です か ?
( 良 順 ) 上 様 から 是非 南方 先生 を と
ご 指名 が ございまして
上 様 に は 捕らえ られた 折 に
ご 一筆 を いただいた ご恩 も ございましょう
それ は そう です けど
率直に 申し上げ ます と その 恩 を 忘れ
反旗 を 翻して る ご 友人 も おら れる ようで
この 時世 いか な 疑い を 受ける か 分かり ませ ぬ
江戸 で 仁 友 堂 が 苦境 に 置か れ ぬ ため に も
お 考え いただけ ませ ぬ か
はい
( 三隅 ) 南方 先生 で は ございませ ぬ か
あ ッ えっ と …
野 風 花魁 の お 調べ に
ご 一緒 し ました 三隅 で ございます
あ ッ …
あの 三隅 先生 も 最近 は 医学 所 に ?
私 も 今では 奥 医師 に 取り立て られ まして な
そう な んです か
すべて 南方 先生 の お陰 で ございます よ
え ッ ?
あの 折 の 見立て 違い を 大殿 に きつく 戒め られた から こそ
初心 に 帰り 医 の 道 に 励む こと が でき ました
これ から も ご 指南 いただければ
はい
あ ッ じゃあ
もう じき すべて を 失い ます よ →
南方 先生
何 か ございました か ?
何 か …
( ため息 )
仁 友 堂 の 立場 か …
≪( 福田 ) ゆっくり そうです →
もう 少し 丁寧に はい やさしく
そう です そうです
何 を やって る んです か ?
子 が 逆 子 に なって しまい 向き を 戻す 整 胎 術 を 施して い ます
逆 子 です か !?
こんな 時期 に なって 逆 子 に なる なんて
めったに ない です よ ね
まあ そう です なあ
戻ら へんか ったら 前言 うて はった
帝王 切開 っ ちゅう 手術 を する んで っか ?
いや 仁 友 堂 に ある 麻酔 は 胎児 に は 強 すぎ ます から
それ は でき ない んです
では その 場合 は …
とりあえず 灸 を 試みて み ましょう か
お 灸 です か ?
逆 子 に 効果 が ある と いい ます し まだ 日 が ございます
切羽詰まった 顔 は よし ましょう
そう です ね
この 子 は 生まれて き たく ない ので お ざ りんしょう か
逆 子 の まま 産む と いう 方法 も ございます よ
そりゃ まこと で !? 案ずる より 産む が やすし
お産 は 何とか なる もの で ございます
左 様 で
時に 坂本 様 は どうして おいで で ?
あ ッ 今 は どこ に いらっしゃる の か …
なかなか のんで くれ ん のう 徳川 は
大丈夫じゃ 最後 は 絶対 に の むき
その 自信 は ど っ から くる が じゃ
( 東 ) 坂本 殿 !
お ッ … お ッ
≪( 大久保 ) 若 年寄 の 永井 玄 蕃 頭 の 屋敷 に →
出入り して いた そう じゃ っど ん
一体 何 を しち ょい やった と な
そりゃ あ 大久保 さん
敵 の 様子 を 探 っち ょっ たが じゃ
ね や ね や !
土佐 は 事もあろうに
大政 奉還 を 建 白 した そう じゃ なか か
土佐 の 十八 番 は 裏切り か !
まあまあ まあ
ち っく と 話 を 聞い とう せ
これ は 壮大な 茶 番 じゃき
茶 番 ?
≪( 龍 馬 ) 考えて も みんか や
戦 で 負けちゃ あ せ ん が やに 政 を 返 せっちゅう 話 を
徳川 二百六十 年 が のむ と 思う かえ ?
陰 で 勅許 を もろう て 武力 で 討 幕 を する っ ちゅう が は
ち っく と 聞こえ も ような いろう
それ やったら 正面 から 建 白し
それ でも 通 らん が やったら こりゃ 武力 討 幕 も しかた ある まい し
そう なる が じゃ ろう
どうせ 断る が じゃ
ほ いたら じきに 挙 兵 したら えい !
( 西郷 ) そげ なお 考え やったら ない ごて おい 達 に
話 を して くれ ん かった と で ご わす か ?
敵 を 欺く に ゃあ まず 味方 から ち 言う じゃ ろう
じゃ っど ん 実は 先ほど おい 達 は
官軍 に なり も した
勅許 が 下った が かえ ?
坂本 さ あの お 心遣い は ありがた か どん
兵 を 待た して は 士気 が 落ち もす
こん まま 挙 兵 した かち 思い もす
西郷 さん ち っく と 考え と ー せ あと 何 日 か 待てば …
薩摩 の こつ は 薩摩 が 決め もす
《 暴力 は 暴力 を 生む だけ な んです !》
助け られた もん は
助け られた 恩 を 感じる
力 で ねじ伏せ られた もん は
ねじ伏せ られた 恨み を 忘れ ん
戦 は 戦 を 呼ぶ
どっち が 新しい 国 を つくり やすい と 思う が ぜ よ
西郷 さん !
やっ ぱい そい が 本心 で ご わした か
え ッ ほ いたら 勅許 っ ちゅう が は
茶 番 で ご わす
ああ …
やっ ぱい そん つもりじゃ った と か 幕府 の 犬 が !
≪( 薩摩 藩士 ) 坂本 !
みんな が 一生懸命 や っち ょる が は
この 茶わん の 中 の けんか じゃ !
こんな もん は ほれ
外 から 指 一 本 で 倒さ れて しまい ぜ よ
( 龍 馬 ) 国 中 の 戦 が 長引けば
列強 に つけこま れ 植民 地 と さ れる が じゃ
討 幕 は かなって も 属国 に なって は 元 も 子 も ない ろう
頼む き まこと の 利 は 何たる か
人 は
利 だけ で 生きる わけで は ご わ はん
人 に は 情 ちゅうもん が ご わす
己 の 裏 を かいた 相手 を
信じる こつ は でき もはん
ねじ伏せ られ ん かった こつ を
ありがた がる ように は できて おり もはん !
わし の 友人 の 南方 仁 は
南方 仁 は 幕府 と 長 州 が 戦う ちゅう が を 見て
どっち が どっち やら 分から ん ち 言う たが じゃ
その 意味 を も っぺ ん 考えて くれ ん かのう 西郷 さん →
西郷 さん !
これ は …
未来 さん に お 願い して いらっしゃる のです か ?
その つもり だった んです けど
これ って 未来 的に は
自分 に つながら ない 祖先 が 生まれる って こと じゃ ないで す か
応援 して くれる ような もん じゃ ない んじゃ …
≪( 野 風 ) 先生 咲 様
始まった ようで ござ りん す
力 を 抜いて ください
逆 子 は どう なって ?
少し 回り 始めて おり ます
その せい で お産 が 早まった の か と
陣痛 の 合間 に 回転 さ せ ます
大丈夫です よ 野 風 さん
あい
福田 先生 呼んで き ます
もう 少し 回って ください
楽に 出 られ ます よ
咲 様 は
真っ白であり ん す なあ
あ ちき が 子 を 産めば
先生 の 思い 人 を
もう 一 度 つくる こと に なる や もし れんせん の に
やはり ご存じ で
力 を 抜いて ください 楽に
野 風 さん
私 の 心 は 真っ黒で ございます よ
いつも いつも つまら ぬ 嫉妬 ばかり で
その 度 に 己 が 嫌に なり ます
野 風 さん に は
いつも とても かなわ ぬ と
かなわ ぬ ?
野 風 さん は 何も 見返り を 求め ぬ で は ないで す か
私 は そのような 気持ち に は …
( 足音 )
野 風 さん は ?
この とおり 大丈夫で お ざん す
うまく いって くれよ
おなか に 力 入れて はい おなか に 力 入れて
もう 少し です よ がんばって ください
≪( 福田 ) はい 力 入れて
≪( 野 風 ) う う ~ ッ ≪( 福田 ) もう 少し です よ
( 中岡 ) 大政 奉還 こそ が 本心 やった と は
わし の こと まで だまし ち ょっ たっちゅう こと か !
お まん も 文句 の 一 つ も 言わ ん か !
こいつ は お まん の こと も だまし ちょ った ぜ よ
私 は
大政 奉還 は 悪く ない と 思い ます が
ひがし ~
おんし は
徳川 が これ を 受けん か ったら どう する つもりじゃ ?
土佐 を 徳川 と 心中 さ せる 気 か と 聞 いち ょる が じゃ
徳川 は 絶対 に のむ !
と 思う
何 を 根拠 に
南方 仁 が
これ が 正しい 道 じゃ ち 言う たから じゃ
は あ ?
( 土佐 の 者 ) 坂本 さん !→
在京 四十 藩 の 重臣 が 二条城 に 招集 さ れた ようです →
大政 奉還 に ついて 評定 が なされる もの か と !
きた ーッ !
こ ッ これ は
子 が 横向き に なり そのまま 出て こよう と して しまって
子供 の 片手 だけ が 出て きて しまった ので ございます
え ッ …
ちょっと いい です か ?
先生 ?
大丈夫です 手 は あり ます
準備 を して き ます ので 福田 先生 手伝って ください
はい
陣痛 が 始まって すでに 十五 時間
母体 の 衰弱 も 激しい です
そもそも 普通の 体 で は あり ませ ん し
子供 は 諦めて
野 風 さん の 命 だけ でも 助け ましょう
待って ください 野 風 さん は 長く は ない 体 と 知って て
それ でも 産む と 決めた んでしょう
命 を 落として も 産み たい ん と …
他 に 方法 が ない んです !
そんな …
たとえば 麻酔 なし で 帝王 切開 する こと に した と し ます
母体 が その 途中 で 息 絶えれば
胎児 を 無事に 取り出す こと も でき なく なる 可能 性 も ある んです
どちら か 一 人 でも
確実に 助ける と する なら
それ は 母体 しか ない んです
野 風 さん が 耐え きれる ほう に かけて みる って こと は …
脈 も 呼吸 も 速く なって ます
もう 限界 だ と 思い ます
野 風 さん を 手術 室 に お 願い し ます
( 苦し そうな 野 風 )
なぜ こちら に ?
こちら の ほう が 治療 し やすい と いう 話 です
野 風 さん 少し 痛み が 強い ような ので
まず 痛み を 止める 処置 を し ます
子 に 害 の ない 痛み止め は なか …
ごく 軽い もの な ので 大丈夫です
嘘 が 下手で お ざん す なあ
え ッ ?
腹 を 切って おく ん なん し
このまま 腹 を 裂き
子 を 取り出して おく ん なん し
切る の なら 麻酔 が 必要に なり ます
その 麻酔 は 子供 は 耐える こと が でき ま …
ならば このまま 切って くん な ん し !
≪( 山田 ) 麻酔 を せ ず に 切る など
痛み で 死に ま する ぞ !
あ ちき は
廓 の 中 の かご の 鳥 で お ざん した
行き たい ところ に も 行け ず
会い たい お方 に も 会え ず
けん ど
この 子 は 違い ん す
野山 を 駆け回る こと も
愛 しき 方 と
肩 を 並べ 歩く こと も
何 だって でき ん しょう
天 かける
鳥 の ごとく
生きて い けんしょう
どうか あ ちき の 夢 を 奪わ ないで くん な ん し !
帝王 切開 を いたし ましょう
大丈夫です
女子 は 子 を 守る ため なら
どんな 痛み に も 耐え られ ま する
あ ちき は 死に ん せ ん
この 子 を 抱く まで は
決して 死に ん せ ん
帝王 切開 の 準備 を
よう 飲める のう
こんな とき に
こりゃ あ 願 かけ じゃ
先生 準備 が でき ました
すいません
帝王 切開 は 実は ほとんど やった こと が ない んです
未来 さん が 必ず お 守り ください ます
どうして そんな こと が 分かる んです か ?
先生 を お 慕い して いる から です
未来 さん は たとえ 己 が 消えよう と も
先生 の 幸せ を
願って おら れる はずだ から で ございます
野 風 さん と 同じ ように
まいり ましょう
はい
メス
う ッ …
クーパー は い
覚え ち ょる かえ 先生
初めて 野 風 に 会い に 行った 日 ん こと を →
襖 の 向こう で 野 風 と 酒 を 飲んで 待ち よったら
ゴリゴリ ゴリゴリ 頭 に 穴 を 開ける 音 が して の う
気づいたら 死 に かけ とった もん が
安らかに 息 を し ちょ った が じゃ
膀胱 と 子宮 下 節 の 間 の 結合 組織 を 切開 し ます
あ ッ !
ほう やき わし は 信じた ぜ よ
死に かけ ちゅうもん の こと は
先生 が 一 番 よう 知 っ ちゅう
国 も 一緒じゃ
卵 膜 が 露呈 したら
切開 創 両 示 指 を 用いて 鈍 的に 拡大
あ ~ ッ !
野 風 さん もう 少し です よ
卵 膜 を 破 膜 したら 広く 開けた 切開 創 から
胎児 の 先進 部 へ 手 を 挿入
ああ ~ ッ !
死に かけ ちゅう 国 を 生き返ら せる に は
先生 の 言う こと が 一 番 正しい が じゃ ろうと
信じた ぜ よ
野 風 さん 頭 が 見えて き ました もう すぐです
咲 さ ん 胎児 の 娩出 を
佐分利 先生 娩出 が 終わったら 直ちに 麻酔 を かけ ます
いき ます
( 野 風 ) ああ ~ ッ
もう 少し です 頑張って ください
もう 少し
生まれ ました 野 風 さん
生まれて …
泣か … ぬ
そんな …
けん ど
これ で お うちゅう かえ ?
泣き なさい
こん 国 は
これ で 生まれ 変われる が かえ ?
泣いて
泣き なさい !
泣いて
泣け ~!
わし は また
道 を 間違う たがや ない か え
先生 !
( 産声 )
野 風 さん かわいらしい 女子 で …
野 風 さん ?
野 風 さん !
先生 子宮 から 出血 が !
DIC
《 お初 ちゃん !》
先生 !
佐分利 先生 出血 点 探して ください
咲 さ ん 輸血 の 準備 を はい !
お 願い し ます は い
どこ だ
どこ から
脈 が 停止 し ました !
佐分利 先生 お 願い し ます
《 それ なら この 子 を 》
《 抱け ん す なあ 》
子供 を 抱く んじゃ なかった んです か ッ
歩く の を 見る んじゃ なかった んです か ッ
声 を 聞く んじゃ なかった んです か !
《 この 子 を 抱く まで は 決して 死に ん せん 》
絶対 に 死な ない って
そう 言った じゃ ないで す か !
神 は …
神 は 乗り越え られる 試練 しか 与え ない んじゃ ない の か ~ ッ !
≪( 山田 ) 脈 戻って き ました !
出血 点 あり ました !
直ちに 結 紮 止血 して ください ( 佐分利 ) はい
点滴 を 全開 で 投与 して ください ! ≪( 山田 ) はい
≪( 土佐 の 者 ) 坂本 さん !
後藤 様 から です
やった ぜ よ 先生
夜 が 明けた ぜ よ ~!
あなた は ね
私 の 恋 敵 を お つくり に なる 方 な のです よ
私 と した こと が
大変な 方 を 取り上げて しまい ました
あなた に
一 つ だけ お 願い が ある ので ございます よ
どうか
南方 仁 と いう 方 に
傷つく こと が 多い あの 方 に
誰 より も 幸せな
今度 は 誰 より も 幸せな 未来 を
与えて 差し上げて ください
( いびき )
殺さ れちゃ い ます よ
坂本 さん
もう よい です よ ね
兄 上
安 寿
日本 語 で は 「 幸い 」
フランス 語 で は 「 天 の 使い 」 に ござ りん す か
安 寿
安 寿 さん であり ん す と
あの 何 ゆえ 銀 の 匙 を ?
西洋 で は 子 が 一生 豊かに 暮らせる ように と
誕生 の 祝い に 贈る そう であり ん す
《( 父 ) 今日 死んで しまう なんて この 子 あれ みたいです ね →》
《 ほら 幕末 の …》
《 坂本 龍 馬 と 同じです ね 》
《 龍 馬 が 死んだ 日 も 確か …》
《 誕生日 》
誕生日
誕生日 だ !
≪( 佐分利 ) 先生 !
勝 …
勝 先生 ?
先 の 十五 日 に
大政 奉還 が なった んだ と よ
え ッ !?
あいつ やり や がった よ
徳川 を 終わら せ や がった
これ が 大政 奉還 の 建 白 の もと と なった →
龍 馬 の 意見 な んだ けど よ
議員 を 置く こと と か 天下 の 人材 を 顧問 に 据える と か
八 つ 目 まで は おい ら や 一 翁 さん が 教えた もん を →
そっくり ちょうだい して や がって
けど 最後 の 一 つ 九 つ 目 って の が よ →
おい ら に ゃ とんと 覚え が ない んだ よ
「 皆 が 等しく 必要なる 医療 を 受け られ 」
「 健やかに 暮らせる …」
「 保険 なる 仕組み を つくる こと 」
知恵 を つけた の は 先生 かい ?
〈 いる はず も ない 俺 の 足跡 が 〉
〈 歴史 に 刻ま れて いく 〉
〈 坂本 龍 馬 の 手 で 〉
〈 歴史 は 〉
〈 変え られ ない わけじゃ ない 〉
龍 馬 さん の 誕生日 は いつ です か ?
確か 十一 月 十五 日 だった っけ かな
あと ひと 月
♪♪~ ええ じゃ ない か ええ じゃ ない か …
( 大久保 ) して やられ も した なあ
お ぬし と は 別の 密 偵 が 飛脚 より 買い取った もの だ
坂本 と 通じ 我ら を たば かった か !
龍 馬 さん に 会い に 京 に 行き ます 今 から で ございます か ?
咲 さ ん
龍 馬 さん は ひと 月 後 に あん さ …
先生 !?
あ ッ あ ッ あん さ …
あ ッ あ ッ あん …