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刀語, Katanagatari Episode 4 (2)

Katanagatari Episode 4 (2)

奥歯 に 仕込んで あった 毒 は

あなた が 気絶 して いる 間 に 没収 さ せて もらい ました から

重ねて 申し訳 あり ませ ん が

これ から あなた を 拷問 しよう と 思って い ます

や っぱ 俺 ちょっと 様子 見て くるわ

えっ

何 か 変な 感じ が

まさか 蟷螂 さん に かぎって

思い過ごし だ な

はい

じゃあ 次 何 やる かな

そう です ねえ

ここ に お 連れ した わけ は そこ に あなた の お 仲間 が 埋まって いる から です

弟 が 埋めた のです 確か 真庭 蝙蝠 さん と か おっしゃい ました か

つまり あなた が 死んだら 同じ 場所 に 埋めて 差し上げる と いう 配慮 を

わたし なり に 示した つもりです が

せっかく だ から 選んで いただけ ない でしょう か

「 選ぶ 」 と は 何 を

わたし に 何 を 選べ と いう の か

だから 黙って 死ぬ か しゃべって 死ぬ か

わたし は 別に どちら でも 構わ ない のです が

とはいえ 拷問 と いう の は いまいち 勝手 が 分かり ませ ん し

こう 言って は 何 です が

正直 黙って 死んで いただけた 方 が 助かる と いう の は あり ます ね

あなた に 聞く べき こと など それ ほど 数 が ある わけで は あり ませ ん し

何もかも 大まかに は 推測 が 立ち ます

真庭 忍 軍

長い です から 「 ま にわ に 」 と 呼ぶ こと に し ましょう

かわいくて すてきです

その ま にわ に の 方 が この 島 に やって 来た と いう こと は

七 花 と とがめ さん の 刀 集 め の 旅 が 順調に 進んで いる と いう こと です ね

で 今 何 本 です か

2 本 いや

この 島 で 収集 した 「 絶 刀 鉋 」 を 合わせれば

3 本 と いう こと に なろう

それ は まあ のんびり と した 旅 な のです ね そんな もん です か

わたし は まだ 主 の 弟 に 会った こと も 直 に 見た こと も ない が

当主 と いう こと は 七 花 は 主 より も 強い の か

ああ いえ どう でしょう ね

ここ 1 年 ほど 七 花 と は まともに 手 合わせ を して おり ませ ん から

それ に わたし は 先代 より 虚 刀 流 の 手解き は 受けて おり ませ ん ので

では 先ほど 使った あの 技 は 虚 刀 流 の 剣 技 で は ない の か

それ は まあ そう な のです が

あれ は 返し 技 の 一 つ で

女郎花 と いい 奪 刀 術 の 一種 です

って いう か どうして わたし の 方 が 質問 さ れて て

しかも 何で わたし も きちんと 答えて る んです か

さあ

わたし から お 聞き し ます

ここ へ は 何 人 で いら した んです か

あなた の ほか に 何 人

ずる した また ずる した

ずる って

その 賽 の 目 を 忍法 で 変えた んだ ろ !

もう そんな 手品 みたいな 忍法 僕 使い ませ ん よ

妙な 問い だ

むろん わたし 1 人 で 来た

女 一 人 を 拉致 する のに 人数 を 使う ほど

真庭 の 里 に 人間 は 余って おら ん

わたし を 拉致 して それ で おしまい と いう わけで は ない のです から

複数 で 来て いて も 変だ と は 思い ませ ん よ

そう です ね

例えば 七 花 が 集めて いる 刀 の 数 と 同じ 3 人 と か

人数 と それぞれ が 使う 忍法 を 教えて くれたら 助かる んです けど

あっ 今 の 「 助かる 」 は わたし が 助かる と いう こと で

あなた の 命 が 助かる と いう 意味合い で は あり ませ ん ので

くれぐれも 誤解 なき よう

弟 の 話 です けど

昔 あの 子 は つめ を かむ 癖 が あり まして ね

「 上品で は ない から やめ なさい 」 と 言って も なかなか 聞か ず

とにかく つめ を かみ 続ける んです

親指 なんて ぼろぼろに なって しまって

だから わたし は ある とき あの 子 の つめ を 全部 はいで あげた のです よ

そう したら あの 子 は それ 以来 つ め を かむ の を やめ ました

まあ 幼少 時代 の しつけ の 話 です から

一概に 拷問 と 一緒 く たに する の は どう か と 思い ます が

あなた の 場合 順序 を 逆に して み ましょう か

かんで み なさい

どう し ました

子供 に 戻った 気分 で 自分 の つめ を かめば いい と 言って いる のです

少し 舌 を 傷める かも しれ ませ ん が

何も しゃべら ない 舌 なんて 不要でしょ

まっ 待て 分かった

「 分かった 」 と は

だから しゃべる 俺 たち の 忍法 は

忍法 忍法 忍法

忍法 爪 合わせ

すみません 動き を 封じ ました

わざと 着物 に

ええ まあ

その 目

この 父 を 許せ 七 実

虚 刀 流 七 代 目 は 七 花 に 決めた

こう なって しまえば 俺 は もう 現役 を 引退 せ ざる を 得 まい

心中 思う ところ は ないで も ない が

しかし 俺 も 誇り 高き 一 本 の 刀 と して

これ も 定め と あきらめよう

俺 は 今 この とき より

虚 刀 流 を 後 の 世に 伝える 役目 を 全うしよう と 思う

これ から 七 花 に は 俺 の 命 が 尽きる まで

俺 の 体 が 朽ちる まで 俺 の 刃 が 錆びる まで

虚 刀 流 の 全て を お前 の 体 に たたき込む

許せ 七 実

本音 を 言えば お前 に 虚 刀 流 を 継いで ほしい と 思う

しかし それ は 不可能な のだ

分かって くれ

無理な もの は 無理な のだ

お前 が 女 だ から で も 病弱だ から で も ない

七 実 俺 に は お前 の ような

例外 的に 強い 人間 を 育てる こと は でき ない のだ

父さん が わたし を 見る とき の 目 と 同じ

疲れた

もとより 忍者 が 拷問 ごとき で 情報 を 売る と は 思って なかった けど

それ でも さすが と 言う べきな の かしら

かま を かけて も 全然 引っ掛かって くれ なかった し

まっ でも だいたい 想像 どおり ね

七 花 ったら あれ から まだ 2 本 しか 刀 を 集めて ない なんて

ホント のんきな んだ から

帰ったら お 仕 置き だ わ

俺 一 度 だけ 姉ちゃん と 手 合わせ した こと が ある んだ けど

引き分け ね

ごめん ね わたし の 体力 的な こと で 時間 制限 あり に しちゃ って

でも なかなか よかった わ よ

錆 と 姉ちゃん どっち が 強い かな

これ って もし かして 蟷螂 さん の 身 に

いやいや 蟷螂 殿 に かぎって

あの 人 の 忍法 爪 合わせ が 通じ ない 相手 なんて 想像 も つか ねえ ぞ

殺人 鬼 が 忍び 装束 着て 歩いて る みたいな 喰鮫 殿 だって

蟷螂 殿 に は 一目 置いて いた んだ

忍法 以前 に あの 人 の 経験 は ちょっと ばかり 半端じゃ ない んだ ぜ

蟷螂 殿 が 負ける はず が ねえ って

そう です よ ね 臙脂 水晶 だって 絶対 で は あり ませ ん

だ よ な 粉々に 割れた ところ で

所有 者 が ぴんぴん して 戻って いた 例 も ある しな

いや その 話 は 僕 も 聞いた こと が ある んです が

あれ は 誰 か が 間違って 落 っこ と して 割っちゃ った って こと だ から

あの この 場合

僕ら は 蟷螂 さん の 敗北 を 前提 に 動いた 方 が

いい んじゃ ない でしょう か

どう する つもりです か

順番 的に 次 に 行く の は 僕 です よ ね

いや 俺 が 行く

じっくり 休ま せて もらった から な

けれど こういう 場合 僕 の 忍法 の 方 が

まだしも 有効に 作用 する と 思い ます

蝶 々 さん の 忍法 は 何という か 直接 的 過ぎ ます

分かって くれ や 蜜蜂

俺 は 蟷螂 殿 が 好きだった んだ よ

そんな の 僕 だって 同じです

俺 は お前 も 好きな んだ よ

虫 組 の 中 で 誰 か 1 人 生き残る んだ と したら

それ は 一 番 若い お前 である べきだ と 思う

そんな

いい か

お前 は 俺 と 虚 刀 流 の 姉 と の 戦い を 離れた 場所 から 観察 して いろ

そして もし 俺 が 負ける ような こと が あれば

それ を 踏まえて お前 が 娘 を 拉致 する んだ

しかし それ で は 蝶 々 さん が かま せ 犬 どころ か 犬死に に なって しまい ます

バーカ

だから 俺 は 別に 犠牲 に なって 死ぬ つもり は ねえ って

案外 うまい こと 言って

お前 から 手柄 を 横取り しよう と して る だけ かもし ん ねえ ぜ

しかも 「 犬死に 」 って 俺 ら 虫 組 だ ぜ

でも

あの さあ 蜜蜂

何で すか

この 任務 が 終わったら 俺 結婚 する んだ

いつ どこ で 命 を 落とす か 分から ん 家業 だ から

これ まで 踏み切れ なかった が

俺 決めた んだ

身 を 固めよう って

そ っ そう だった んです か

お 相手 は

お前 も 知って る やつ だ よ

勘 の いい お前 の こと だ うすうす 感づいて た んじゃ ない の か

えっ いや

同じ 十二 頭領 の 一 人 で

鳥 組 の 真庭 鴛鴦 だ

鴛鴦 さん です か 尻 に 敷か れ そうです ね

だ な

鳥 組 と 虫 組 って まるで 捕食 関係 みて ー だ けど よ

思えば あの とき 俺 の 心 は あいつ に 食わ れ ち まった の かもし れ ね ー な

俺 たち の 馴 れ 初め って の が だ な これ また 笑っちゃ

蝶 々 さん

いい 話 です けど どう でしょう

その あたり で やめて おいた 方 が

何で

いや とにかく 分かり ました

順番 は 蝶 々 さん に お 譲り し ます

しかし 僕 だって 忍び です やる からに は 徹底 し ます よ

何 が あろう と 助太刀 に 入る こと は あり ませ ん

たとえ 蝶 々 さん が なぶら れる ような 目 に 遭おう と も

ああ そう して くれ

そういう 場合 は せいぜい 悪あがき して

お前 が 得 られる 情報 を 増やして やる ぜ

危 ねえ 危 ねえ

ちょっと 前 から 禁煙 して る んだった

鴛鴦 が す っげ え 嫌 煙 家 で さあ

外 で 吸って も に おいつく だ ろ

鴛鴦 さん も 今日 の 1 本 くらい は 許して くれる んじゃ ない です か

それ は 僕 が 預かって おき ます

任務 完了 の 折り に 心置きなく 吸って ください

蜜蜂 お前

そう だ な

お っ そうだ

これ も 預か っと いて くれ

後 で 一緒に 吸おう ぜ

たばこ は

はい

さて と 行く と する か

ほら よ

何で すか

虫 組 は いつも 一緒 って こと だ よ

死んだ 程度 で 俺 たち の 絆 は ほつれたり し ねえ

何 だ

蝶 々 さん って 意外 と いい 人だった んです ね

よせ

あっ 左 胸 に 入れて おく と いい です よ

何 だ それ

いい から そうして ください

分かった よ

じゃあ な

あの 水晶 が

いや 蟷螂 さん の 魂 が 蝶 々 さん を 守って くれる と いい んです が

巌 流 島 だ

どうして 分かった

気配 は 完璧に 消して いた はずだ が な

むしろ わたし が 聞き たい ぐらい な のです けれど

どうして 生きて いる くせ に 気配 が 消せる など と

そこ に いる 人 は そこ に いる 人 で しか ない でしょう

自分 は そこ に いる のに 自分 探し なんて でき ない の と 一緒です

まあ いい

俺 は 真庭 忍 軍 十二 頭領 が 一 人

真庭 蝶 々 だ

あんた を さらい に 来た

魅力 的な 口説き 文句 です ね

殿 方 に そんな せりふ を 言わ れる 日 が 来る と は ついぞ 思い も し ませ ん でした

申し 遅れ ました

すでに ご存じ でしょう が

一応 礼儀 と いう こと で 名乗ら せて いただき ます

わたし は 鑢家 の 家長

鑢 七 実 と 申し ます

ああ 知って る

せっかく だ から 教えて もらえ ます か

先ほど あなた と 同じ 服装 を なさった 方

あの 方 の お 名前 は

名乗ら なかった の か

聞く 暇 が あり ませ ん でした

あの 人 の 名前 は 真庭 蟷螂 だ よ

蟷螂

ああ だ から つめ が 武器 だった のです ね

蟷螂 殿 を 殺した か

ええ 襲わ れた もの です から

ああ そうだ そちら の 人数 を 教えて いただけ ます か

実は 軽く 拷問 した のです が

Katanagatari Episode 4 (2) Katanagatari Episode 4 (2)

奥歯 に 仕込んで あった 毒 は おくば||しこんで||どく|

あなた が 気絶 して いる 間 に 没収 さ せて もらい ました から ||きぜつ|||あいだ||ぼっしゅう|||||

重ねて 申し訳 あり ませ ん が かさねて|もうし わけ||||

これ から   あなた を 拷問 しよう と 思って い ます ||||ごうもん|||おもって||

や っぱ 俺 ちょっと 様子 見て くるわ ||おれ||ようす|みて|

えっ

何 か   変な 感じ が なん||へんな|かんじ|

まさか   蟷螂 さん に かぎって |かまきり|||

思い過ごし だ な おもいすごし||

はい

じゃあ   次   何 やる かな |つぎ|なん||

そう です ねえ

ここ に お 連れ した わけ は そこ に あなた の お 仲間 が 埋まって いる から です |||つれ|||||||||なかま||うずまって|||

弟 が 埋めた のです   確か 真庭 蝙蝠 さん と か おっしゃい ました か おとうと||うずめた|の です|たしか|まにわ|こうもり||||||

つまり あなた が 死んだら 同じ 場所 に 埋めて 差し上げる と いう 配慮 を |||しんだら|おなじ|ばしょ||うずめて|さしあげる|||はいりょ|

わたし なり に 示した つもりです が |||しめした|つもり です|

せっかく だ から 選んで いただけ ない でしょう か |||えらんで||||

「 選ぶ 」 と は 何 を えらぶ|||なん|

わたし に 何 を 選べ と いう の か ||なん||えらべ||||

だから 黙って 死ぬ か   しゃべって 死ぬ か |だまって|しぬ|||しぬ|

わたし は 別に どちら でも 構わ ない のです が ||べつに|||かまわ||の です|

とはいえ 拷問 と いう の は いまいち 勝手 が 分かり ませ ん し |ごうもん||||||かって||わかり|||

こう 言って は 何 です が |いって||なん||

正直 黙って 死んで いただけた 方 が 助かる   と いう の は あり ます ね しょうじき|だまって|しんで||かた||たすかる|||||||

あなた に 聞く べき こと など それ ほど 数 が ある わけで は あり ませ ん し ||きく||||||すう||||||||

何もかも 大まかに は 推測 が 立ち ます なにもかも|おおまかに||すいそく||たち|

真庭 忍 軍 まにわ|おし|ぐん

長い です から 「 ま にわ に 」 と 呼ぶ こと に し ましょう ながい|||||||よぶ||||

かわいくて すてきです |すてき です

その ま にわ に の 方 が この 島 に やって 来た と いう こと は |||||かた|||しま|||きた||||

七 花 と とがめ さん の 刀 集 め の 旅 が 順調に 進んで いる と いう こと です ね なな|か|||||かたな|しゅう|||たび||じゅんちょうに|すすんで||||||

で   今 何 本 です か |いま|なん|ほん||

2 本   いや ほん|

この 島 で 収集 した 「 絶 刀 鉋 」 を 合わせれば |しま||しゅうしゅう||た|かたな|かんな||あわせれば

3 本 と いう こと に なろう ほん|||||

それ は   まあ のんびり と した 旅 な のです ね   そんな もん です か ||||||たび||の です|||||

わたし は まだ 主 の 弟 に 会った こと も 直 に 見た こと も ない が |||おも||おとうと||あった|||なお||みた||||

当主 と いう こと は   七 花 は 主 より も 強い の か とうしゅ|||||なな|か||おも|||つよい||

ああ いえ   どう でしょう ね

ここ 1 年 ほど 七 花 と は まともに 手 合わせ を して おり ませ ん から |とし||なな|か||||て|あわせ||||||

それ に わたし は 先代 より 虚 刀 流 の 手解き は 受けて おり ませ ん ので ||||せんだい||きょ|かたな|りゅう||てほどき||うけて||||

では 先ほど 使った あの 技 は   虚 刀 流 の 剣 技 で は ない の か |さきほど|つかった||わざ||きょ|かたな|りゅう||けん|わざ|||||

それ は まあ   そう な のです が |||||の です|

あれ は 返し 技 の 一 つ で ||かえし|わざ||ひと||

女郎花 と いい   奪 刀 術 の 一種 です おみなえし|||だつ|かたな|じゅつ||いっしゅ|

って いう か どうして わたし の 方 が 質問 さ れて て ||||||かた||しつもん|||

しかも   何で わたし も きちんと 答えて る んです か |なんで||||こたえて||ん です|

さあ

わたし から お 聞き し ます |||きき||

ここ へ は 何 人 で いら した んです か |||なん|じん||||ん です|

あなた の ほか に   何 人 ||||なん|じん

ずる した   また ずる した

ずる って

その 賽 の 目 を 忍法 で 変えた んだ ろ ! |さい||め||にんぽう||かえた||

もう   そんな 手品 みたいな 忍法 僕 使い ませ ん よ ||てじな||にんぽう|ぼく|つかい|||

妙な 問い だ みょうな|とい|

むろん わたし 1 人 で 来た ||じん||きた

女 一 人 を 拉致 する のに 人数 を 使う ほど おんな|ひと|じん||らち|||にんずう||つかう|

真庭 の 里 に 人間 は 余って おら ん まにわ||さと||にんげん||あまって||

わたし を 拉致 して それ で おしまい と いう わけで は ない のです から ||らち||||||||||の です|

複数 で 来て いて も 変だ と は 思い ませ ん よ ふくすう||きて|||へんだ|||おもい|||

そう です ね

例えば   七 花 が 集めて いる 刀 の 数 と 同じ  3 人 と か たとえば|なな|か||あつめて||かたな||すう||おなじ|じん||

人数 と それぞれ が 使う 忍法 を 教えて くれたら 助かる んです けど にんずう||||つかう|にんぽう||おしえて||たすかる|ん です|

あっ 今 の 「 助かる 」 は わたし が 助かる と いう こと で |いま||たすかる||||たすかる||||

あなた の 命 が 助かる と いう 意味合い で は あり ませ ん ので ||いのち||たすかる|||いみあい||||||

くれぐれも 誤解 なき よう |ごかい||

弟 の 話 です けど おとうと||はなし||

昔 あの 子 は つめ を かむ 癖 が あり まして ね むかし||こ|||||くせ||||

「 上品で は ない から やめ なさい 」 と 言って も なかなか 聞か ず じょうひんで|||||||いって|||きか|

とにかく つめ を かみ 続ける んです ||||つづける|ん です

親指 なんて ぼろぼろに なって しまって おやゆび||||

だから わたし は ある とき あの 子 の つめ を 全部 はいで あげた のです よ ||||||こ||||ぜんぶ|||の です|

そう したら   あの 子 は それ 以来 つ め を かむ の を やめ ました |||こ|||いらい||||||||

まあ 幼少 時代 の しつけ の 話 です から |ようしょう|じだい||||はなし||

一概に 拷問 と 一緒 く たに する の は どう か と 思い ます が いちがいに|ごうもん||いっしょ|||||||||おもい||

あなた の 場合   順序 を 逆に して み ましょう か ||ばあい|じゅんじょ||ぎゃくに||||

かんで み なさい

どう し ました

子供 に 戻った 気分 で 自分 の つめ を かめば いい と 言って いる のです こども||もどった|きぶん||じぶん|||||||いって||の です

少し 舌 を 傷める かも しれ ませ ん が すこし|した||いためる|||||

何も しゃべら ない 舌 なんて 不要でしょ なにも|||した||ふようでしょ

まっ   待て 分かった |まて|わかった

「 分かった 」 と は わかった||

だから しゃべる 俺 たち の 忍法 は ||おれ|||にんぽう|

忍法   忍法   忍法 にんぽう|にんぽう|にんぽう

忍法   爪 合わせ にんぽう|つめ|あわせ

すみません   動き を 封じ ました |うごき||ほうじ|

わざと   着物 に |きもの|

ええ   まあ

その 目 |め

この 父 を 許せ   七 実 |ちち||ゆるせ|なな|み

虚 刀 流 七 代 目 は   七 花 に 決めた きょ|かたな|りゅう|なな|だい|め||なな|か||きめた

こう なって しまえば   俺 は もう 現役 を 引退 せ ざる を 得 まい |||おれ|||げんえき||いんたい||||とく|

心中 思う ところ は ないで も ない が しんじゅう|おもう||||||

しかし 俺 も 誇り 高き 一 本 の 刀 と して |おれ||ほこり|たかき|ひと|ほん||かたな||

これ も 定め と あきらめよう ||さだめ||

俺 は 今 この とき より おれ||いま|||

虚 刀 流 を 後 の 世に 伝える 役目 を 全うしよう と 思う きょ|かたな|りゅう||あと||よに|つたえる|やくめ||まっとうしよう||おもう

これ から   七 花 に は 俺 の 命 が 尽きる まで ||なな|か|||おれ||いのち||つきる|

俺 の 体 が 朽ちる まで 俺 の 刃 が 錆びる まで おれ||からだ||くちる||おれ||は||さびる|

虚 刀 流 の 全て を お前 の 体 に たたき込む きょ|かたな|りゅう||すべて||おまえ||からだ||たたきこむ

許せ   七 実 ゆるせ|なな|み

本音 を 言えば   お前 に 虚 刀 流 を 継いで ほしい と 思う ほんね||いえば|おまえ||きょ|かたな|りゅう||ついで|||おもう

しかし   それ は 不可能な のだ |||ふかのうな|

分かって くれ わかって|

無理な もの は 無理な のだ むりな|||むりな|

お前 が 女 だ から で も 病弱だ から で も ない おまえ||おんな|||||びょうじゃくだ||||

七 実   俺 に は お前 の ような なな|み|おれ|||おまえ||

例外 的に 強い 人間 を 育てる こと は でき ない のだ れいがい|てきに|つよい|にんげん||そだてる|||||

父さん が わたし を 見る とき の 目 と 同じ とうさん||||みる|||め||おなじ

疲れた つかれた

もとより 忍者 が 拷問 ごとき で 情報 を 売る と は 思って なかった けど |にんじゃ||ごうもん|||じょうほう||うる|||おもって||

それ でも   さすが と 言う べきな の かしら ||||いう|||

かま を かけて も   全然 引っ掛かって くれ なかった し ||||ぜんぜん|ひっかかって|||

まっ   でも だいたい 想像 どおり ね |||そうぞう||

七 花 ったら あれ から まだ 2 本 しか 刀 を 集めて ない なんて なな|か|||||ほん||かたな||あつめて||

ホント のんきな んだ から ほんと|||

帰ったら お 仕 置き だ わ かえったら||し|おき||

俺 一 度 だけ 姉ちゃん と 手 合わせ した こと が ある んだ けど おれ|ひと|たび||ねえちゃん||て|あわせ||||||

引き分け ね ひき わけ|

ごめん ね   わたし の 体力 的な こと で 時間 制限 あり に しちゃ って ||||たいりょく|てきな|||じかん|せいげん||||

でも なかなか よかった わ よ

錆 と 姉ちゃん   どっち が 強い かな さび||ねえちゃん|||つよい|

これ って   もし かして 蟷螂 さん の 身 に ||||かまきり|||み|

いやいや   蟷螂 殿 に かぎって |かまきり|しんがり||

あの 人 の 忍法 爪 合わせ が 通じ ない 相手 なんて 想像 も つか ねえ ぞ |じん||にんぽう|つめ|あわせ||つうじ||あいて||そうぞう||||

殺人 鬼 が 忍び 装束 着て 歩いて る みたいな 喰鮫 殿 だって さつじん|おに||しのび|しょうぞく|きて|あるいて|||しょくさめ|しんがり|

蟷螂 殿 に は 一目 置いて いた んだ かまきり|しんがり|||いちもく|おいて||

忍法 以前 に あの 人 の 経験 は ちょっと ばかり 半端じゃ ない んだ ぜ にんぽう|いぜん|||じん||けいけん||||はんぱじゃ|||

蟷螂 殿 が 負ける はず が ねえ って かまきり|しんがり||まける||||

そう です よ ね   臙脂 水晶 だって 絶対 で は あり ませ ん ||||えんじ|すいしょう||ぜったい|||||

だ よ な 粉々に 割れた ところ で |||こなごなに|われた||

所有 者 が ぴんぴん して 戻って いた 例 も ある しな しょゆう|もの||||もどって||れい|||

いや   その 話 は 僕 も 聞いた こと が ある んです が ||はなし||ぼく||きいた||||ん です|

あれ は 誰 か が 間違って 落 っこ と して 割っちゃ った って こと だ から ||だれ|||まちがって|おと||||わっちゃ|||||

あの この 場合 ||ばあい

僕ら は 蟷螂 さん の 敗北 を 前提 に 動いた 方 が ぼくら||かまきり|||はいぼく||ぜんてい||うごいた|かた|

いい んじゃ ない でしょう か

どう する つもりです か ||つもり です|

順番 的に 次 に 行く の は 僕 です よ ね じゅんばん|てきに|つぎ||いく|||ぼく|||

いや   俺 が 行く |おれ||いく

じっくり 休ま せて もらった から な |やすま||||

けれど   こういう 場合 僕 の 忍法 の 方 が ||ばあい|ぼく||にんぽう||かた|

まだしも 有効に 作用 する と 思い ます |ゆうこうに|さよう|||おもい|

蝶 々 さん の 忍法 は   何という か   直接 的 過ぎ ます ちょう||||にんぽう||なんという||ちょくせつ|てき|すぎ|

分かって くれ や 蜜蜂 わかって|||みつばち

俺 は 蟷螂 殿 が 好きだった んだ よ おれ||かまきり|しんがり||すきだった||

そんな の 僕 だって 同じです ||ぼく||おなじ です

俺 は お前 も 好きな んだ よ おれ||おまえ||すきな||

虫 組 の 中 で   誰 か 1 人 生き残る んだ と したら ちゅう|くみ||なか||だれ||じん|いきのこる|||

それ は 一 番 若い お前 である べきだ と 思う ||ひと|ばん|わかい|おまえ||||おもう

そんな

いい か

お前 は   俺 と 虚 刀 流 の 姉 と の 戦い を 離れた 場所 から 観察 して いろ おまえ||おれ||きょ|かたな|りゅう||あね|||たたかい||はなれた|ばしょ||かんさつ||

そして   もし 俺 が 負ける ような こと が あれば ||おれ||まける||||

それ を 踏まえて お前 が 娘 を 拉致 する んだ ||ふまえて|おまえ||むすめ||らち||

しかし それ で は 蝶 々 さん が かま せ 犬 どころ か 犬死に に なって しまい ます ||||ちょう||||||いぬ|||いぬじに||||

バーカ

だから   俺 は 別に 犠牲 に なって 死ぬ つもり は ねえ って |おれ||べつに|ぎせい|||しぬ||||

案外 うまい こと 言って あんがい|||いって

お前 から 手柄 を 横取り しよう と して る だけ かもし ん ねえ ぜ おまえ||てがら||よこどり|||||||||

しかも  「 犬死に 」 って 俺 ら 虫 組 だ ぜ |いぬじに||おれ||ちゅう|くみ||

でも

あの さあ   蜜蜂 ||みつばち

何で すか なんで|

この 任務 が 終わったら 俺   結婚 する んだ |にんむ||おわったら|おれ|けっこん||

いつ   どこ で   命 を 落とす か 分から ん 家業 だ から |||いのち||おとす||わから||かぎょう||

これ まで   踏み切れ なかった が ||ふみきれ||

俺   決めた んだ おれ|きめた|

身 を 固めよう って み||かためよう|

そ っ   そう だった んです か ||||ん です|

お 相手 は |あいて|

お前 も 知って る やつ だ よ おまえ||しって||||

勘 の いい お前 の こと だ   うすうす 感づいて た んじゃ ない の か かん|||おまえ|||||かんづいて|||||

えっ   いや

同じ 十二 頭領 の 一 人 で おなじ|じゅうに|とうりょう||ひと|じん|

鳥 組 の 真庭   鴛鴦 だ ちょう|くみ||まにわ|おしどり|

鴛鴦 さん です か   尻 に 敷か れ そうです ね おしどり||||しり||しか||そう です|

だ な

鳥 組 と 虫 組 って まるで 捕食 関係 みて ー だ けど よ ちょう|くみ||ちゅう|くみ|||ほしょく|かんけい||-|||

思えば あの とき 俺 の 心 は あいつ に 食わ れ ち まった の かもし れ ね ー な おもえば|||おれ||こころ||||くわ||||||||-|

俺 たち の 馴 れ 初め って の が だ な これ また 笑っちゃ おれ|||じゅん||はじめ||||||||わらっちゃ

蝶 々 さん ちょう||

いい 話 です けど どう でしょう |はなし||||

その あたり で やめて おいた 方 が |||||かた|

何で なんで

いや   とにかく 分かり ました ||わかり|

順番 は 蝶 々 さん に お 譲り し ます じゅんばん||ちょう|||||ゆずり||

しかし   僕 だって 忍び です やる からに は 徹底 し ます よ |ぼく||しのび|||||てってい|||

何 が あろう と   助太刀 に 入る こと は あり ませ ん なん||||すけだち||はいる|||||

たとえ   蝶 々 さん が なぶら れる ような 目 に 遭おう と も |ちょう|||||||め||あおう||

ああ   そう して くれ

そういう 場合 は せいぜい 悪あがき して |ばあい|||わるあがき|

お前 が 得 られる 情報 を 増やして やる ぜ おまえ||とく||じょうほう||ふやして||

危 ねえ   危 ねえ き||き|

ちょっと 前 から   禁煙 して る んだった |ぜん||きんえん|||

鴛鴦 が す っげ え 嫌 煙 家 で さあ おしどり|||||いや|けむり|いえ||

外 で 吸って も   に おいつく だ ろ がい||すって|||||

鴛鴦 さん も 今日 の 1 本 くらい は 許して くれる んじゃ ない です か おしどり|||きょう||ほん|||ゆるして|||||

それ は 僕 が 預かって おき ます ||ぼく||あずかって||

任務 完了 の 折り に 心置きなく 吸って ください にんむ|かんりょう||おり||こころおきなく|すって|

蜜蜂   お前 みつばち|おまえ

そう だ な

お っ   そうだ ||そう だ

これ も 預か っと いて くれ ||あずか|||

後 で 一緒に 吸おう ぜ あと||いっしょに|すおう|

たばこ は

はい

さて と   行く と する か ||いく|||

ほら よ

何で すか なんで|

虫 組 は いつも 一緒 って こと だ よ ちゅう|くみ|||いっしょ||||

死んだ 程度 で 俺 たち の 絆 は ほつれたり し ねえ しんだ|ていど||おれ|||きずな||||

何 だ なん|

蝶 々 さん って 意外 と いい 人だった んです ね ちょう||||いがい|||ひとだった|ん です|

よせ

あっ 左 胸 に 入れて おく と いい です よ |ひだり|むね||いれて|||||

何 だ   それ なん||

いい から そうして ください

分かった よ わかった|

じゃあ な

あの 水晶 が |すいしょう|

いや   蟷螂 さん の 魂 が 蝶 々 さん を 守って くれる と いい んです が |かまきり|||たましい||ちょう||||まもって||||ん です|

巌 流 島 だ いわお|りゅう|しま|

どうして 分かった |わかった

気配 は 完璧に 消して いた はずだ が な けはい||かんぺきに|けして||||

むしろ わたし が 聞き たい ぐらい な のです けれど |||きき||||の です|

どうして 生きて いる くせ に 気配 が 消せる など と |いきて||||けはい||けせる||

そこ に いる 人 は そこ に いる 人 で しか ない でしょう |||じん|||||じん||||

自分 は そこ に いる のに 自分 探し なんて でき ない の と 一緒です じぶん||||||じぶん|さがし||||||いっしょ です

まあ いい

俺 は 真庭 忍 軍 十二 頭領 が 一 人 おれ||まにわ|おし|ぐん|じゅうに|とうりょう||ひと|じん

真庭 蝶 々 だ まにわ|ちょう||

あんた を さらい に 来た ||||きた

魅力 的な 口説き 文句 です ね みりょく|てきな|くどき|もんく||

殿 方 に そんな せりふ を 言わ れる 日 が 来る と は ついぞ 思い も し ませ ん でした しんがり|かた|||||いわ||ひ||くる||||おもい|||||

申し 遅れ ました もうし|おくれ|

すでに ご存じ でしょう が |ごぞんじ||

一応 礼儀 と いう こと で 名乗ら せて いただき ます いちおう|れいぎ|||||なのら|||

わたし は 鑢家 の 家長 ||やすりいえ||かちょう

鑢 七 実 と 申し ます やすり|なな|み||もうし|

ああ   知って る |しって|

せっかく だ から 教えて もらえ ます か |||おしえて|||

先ほど あなた と 同じ 服装 を なさった 方 さきほど|||おなじ|ふくそう|||かた

あの 方 の お 名前 は |かた|||なまえ|

名乗ら なかった の か なのら|||

聞く 暇 が あり ませ ん でした きく|いとま|||||

あの 人 の 名前 は   真庭 蟷螂 だ よ |じん||なまえ||まにわ|かまきり||

蟷螂 かまきり

ああ   だ から つめ が 武器 だった のです ね |||||ぶき||の です|

蟷螂 殿 を 殺した か かまきり|しんがり||ころした|

ええ   襲わ れた もの です から |おそわ||||

ああ   そうだ そちら の 人数 を 教えて いただけ ます か |そう だ|||にんずう||おしえて|||

実は   軽く 拷問 した のです が じつは|かるく|ごうもん||の です|