Boogiepop wa Warawanai (2019) Episode 18
( 羽原 ( は ばら ) ) く そ っ これ じゃ 話 に なら ねえ
( 羽原 ) 一体 どう なって ん だ ?
( ロック 音楽 ) ( 羽原 ) え ?
( 寺 月 ( てら つき ) ) 分から ない の か ね ?
そんな バカ な
( 寺 月 ) 簡単 な こと だ よ
実に 簡単 だ
この 映像 は きっかけ の 説明 で しか ない
ただ それ だけ の こと だ よ
( 羽原 ) じゃ じゃあ 歪曲 王 ( わ い きょく おう ) って の は この 現象 は 結局 …
( 寺 月 ) 合作 と いう こと に なる な ( 羽原 ) あっ …
( 寺 月 ) その 男 と 私 の な
いや あ ここ まで の 舞台 を 作り上げ て くれ た こと に は ―
感嘆 の 念 を 禁じ 得 ない が ね
( 羽原 ) ん っ
あっ …
( 田中 ( た なか ) ) 残念 だ が ―
まだ ムーン テンプル を 開け させる わけ に は いか ない
志郎 ( しろう ) …
お前 その 目 …
そう 僕 が 歪曲 王 の 本体 だ
( 敬 ( けい ) の 荒い 息 )
( 早乙女 ( さおとめ ) ) ほう 分かった と いう の です か ? 委員 長
( 敬 ) ええ
あなた が あの 場所 に 現れ た 時点 で 気づく べき だった
( 早乙女 ) 何 か 言い まし た か ねえ ? 早乙女 正美 ( まさみ ) は
私 も すっかり 忘れ て た
でも そう あなた の 流儀 で 言う なら ―
私 は それ を なかった こと に しよ う と ―
別 の 人格 に 押し込め て 忘れよ う と し て い た の かも しれ ない
( 早乙女 ) なるほど
さすが です ね
いくら 好意 を 抱 い て も 必ずしも 相手 が ―
その 気持ち を 肯定 的 に 捉え て くれる と は 限ら ない
そんな こと 知り たく も なかった
でも それ は 事実 な の
( 早乙女 ) それ は 自分 の こと を 言って いる ん です か ?
あなた が 竹田 ( たけ だ ) 啓司 ( けいじ ) の こと を 好き だ と いう ―
その 気持ち の こと を
( 敬 ) 分から ない わ まだ 苦しい もの
( 早乙女 ) ハハハ … 正直 です ね
( 敬 ) かも ね
委員 長 だ し
でも …
でも もう 逃げ たく ない
( ブギー ポップ ) さあ 僕 は 知ら ない けど ―
きっと 君 と 同じ 感じ な ん じゃ ない か な
( 敬 ) そう 恥じる 必要 なんか ない
お 見事 です よ
新 刻 ( に い とき ) 敬
大した もの だ あなた は
( ブギー ポップ ) 新 刻 敬 また 君 か
何 し に 来た ん だい ?
何 か 考え が あって 上って き た ん だ ろ う ね
まあ ない か 君 の こと だ から
( 足音 )
( 敬 ) えっ ? た 田中 君 ?
ちょ ちょっと 本物 よ ね ?
まさか また 幻覚 と か じゃ ない ん でしょ う ね ?
( ブギー ポップ ) なるほど それ で 僕 の こと を 知って い た わけ か
( 敬 ) ん ?
この 前 は 一緒に 戦った から 知って い て 当然 だ な
なあ 歪曲 王
あっ … 何 を 言って いる の ?
( 田中 ) 僕 は 誰 も 傷つける 気 は ない
これ は あくまで も 実験 な ん だ
どう すれ ば 人 の 心 の ゆがみ を 癒 やす こと が できる の か
皆 の 心 に は ―
ムダ な ゆがみ が あまり に も 大きく 残り すぎ て いる
僕 は それ を 指さし て 見せ た だけ だ
( ブギー ポップ ) なるほど
それ が 君 の 能力 か
人間 の 隠さ れ た ゆがみ を 指摘 し 引っ張り出す 能力
人 の 精神 と 共振 し て その 中 の 一部 を 拡大 さ せる 能力 …
と いった ところ か
生まれ た ばかり に し て は やる じゃ ない か
あっ …
そう だ ろ う ? 歪曲 王
君 が 出 て き た の は ごく 最近
恐らく ―
今朝 この ムーン テンプル に 来 た その とき だった ん じゃ ない か ?
その 未熟 さ ゆえ に 能力 を うまく 扱い き れ ず ―
ゾーラギ の 出現 など を 招 い て しまったり し た ん だ ろ う ?
なぜ 君 が 生まれ た ん だ ?
君 自身 は それ を 自覚 し て いる の かい ?
ああ 分かって いる
田中 志郎 に は 根深い 罪悪 感 が つきまとって い た
彼女 が 何 を 考え て い た の か 全然 分から ない … と いう ね
彼女 …
紙 木城 ( かみ きしろ ) 直子 ( なお こ ) か ?
あっ …
( 田中 ) 彼女 の 気持ち に 応え て あげ なけ れ ば なら なかった の で は ない か ―
と いう 思い が 形 に なって この 能力 が 作ら れ た よう だ
( ブギー ポップ ) なるほど ね
( 田中 ) だ から 未熟 でも 何でも ―
彼女 の ため に 僕 は ここ で 引く こと は でき ない ん だ
たとえ どんな に 道 が 長く と も … ね
( ブギー ポップ ) ご 立派 だ ね まったく
( 田中 ) どう する ? ブギー ポップ
やはり 僕 と 戦う の か ?
( 敬 ) ちょ ちょっと 待って よ 2 人 と も !
先輩 なら 分かる はず です
( 敬 ) えっ ?
ゆがみ を くぐり抜け た あなた なら 分かる はず だ
( 敬 ) だ と し たら 田中 君 自身 の 苦しみ は どう なる の ?
だって そう でしょ う ?
直子 さん が 死 ん で しまって ―
田中 君 は 罪悪 感 を 覚える ほど 苦し ん だ ん でしょ う ?
その 苦しみ は どう なっちゃ う の ?
それ は …
( 敬 ) “ 全て の 苦し み を 黄金 ( きん ) に 変え なきゃ なら ない ”
そう 言った の は あなた よ !
( ブギー ポップ ) かつて 1 人 の 少年 が い た
その 少年 は 別に それ 自体 で は 悪く も 何とも ない 人間 だった
だが 彼 は 実は 世界 の 敵 だった
彼 は 運命 の いたずら で 人 喰 ( ひと ぐ ) い と 出会い
自分 の 中 に 生きる こと に 対する 根深い 憎悪 が ある こと を ―
知って しまった
そして 彼 自身 が 人 を 喰 ( く ) う も のに なって しまった
そして 1 人 の 少女 が い た
彼女 は 人 の 死 を 見る こと が でき た
それ 自体 で は 何でもない 能力 だった が ―
彼女 は 死 を 絶対 的 な もの だ と 捉え
人 から 死 を 取り出し て 集め れ ば ―
何 か 巨大 な もの が 作 れる はず だ と いう 考え に ―
取りつか れ た
それ が 人 と いう 限界 を 突破 する こと だ と 思い込 ん だ 少女 は ―
世界 の 敵 に なった
( 田中 ) 何 の 話 を し て いる ?
( ブギー ポップ ) どちら も 僕 の 敵 に なって しまった 者 の 話 だ
彼ら に は 残念 ながら それ 以外 の 道 も 未来 も なかった
それ が 彼ら に とって 幸 か 不幸 か は 定か で ない
あるいは 彼ら は そんな こと は どう でも よく て
僕 と 同じ ように ―
ある 種 の 可能 性 が 形 に なって この 世界 に 現れ た だけ の ―
主体 の ない 存在 な の かも しれ ない
だが …
だが 君 は どう な ん だ ろ う ね
どう いう 意味 だ ?
( ブギー ポップ ) 君 は さっき “ どんな に 道 が 長く と も ” と 言った
つまり この 先 何 が あ ろ う と も 対応 しよ う と いう ―
柔軟 性 が ある と いう こと だ
ハッ
あっ …
あっ ああ …
( 田中 ) 僕 が まだ 迷って いる と でも 思って いる の か ?
( ブギー ポップ ) 無論 迷わ ぬ 存在 も ある
それ は この 世界 に 絶望 し て いる 者 だ
だ と し たら 僕 は それ 以上 進ま ぬ よう
道 を 遮断 する 以外 ない
くっ …
( ブギー ポップ ) … が 君 は そう で は ない
ここ で 受け た 傷 は 現実 に も 影響 が 出る ぞ
( ブギー ポップ ) 知って る よ それ は 君 も 同じ だ
恐らく 君 は 今 …
少し 意地 に なって いる だけ じゃ ない か ?
今 ここ で その 実験 と やら を やめ て も ―
実は あまり 未練 は ない ん じゃ ない の か ?
そんな こと は ! くっ …
( ブギー ポップ ) そもそも 君 は 僕 の こと を 敵視 し て いる よう だ が ―
どう し て 敵 だ と 思う ん だ ?
“ 敵 じゃ ない ” と でも 言い たい の か ?
もっと 正確 に 言 お う
君 は なぜ 自分 の こと を 悪 だ と 思う ん だ ?
君 が やって いる こと は 悪い こと な の か ?
君 自身 “ 誰 も 傷つけ て い ない ” と 言って い た
この ビル に 人 を 閉じ込め た の は 君 か ?
違う だ ろ う ?
なのに なぜ 周囲 に 敵 が 存在 する と 思い込む ん だ ?
そんなに つらかった の か ?
田中 志郎 は そんなに も 自分 は 悪い ヤツ だ と ―
自分 を 責め て い た の か ?
新 刻 先輩
先輩 は どう 思い ます か ?
えっ ?
( 田中 ) 彼女 は 何 を 考え て い た と 思い ます ?
それ は 分から ない
でも 彼女 は いつも 楽し そう に 言って た
“ 敬 私 さ 好き な 人 が いる の ” って
私 は そんな ふう に 言 える の が 少し 羨ま しかった
ねえ 田中 君 あなた 直子 さん の こと が 好き だった の ?
あっ …
( 敬 ) 恋 を し て い た の ?
今 の 私 なら 分かる
きっと 田中 君 は そこ まで いって なかった って
直子 さん は 田中 君 の こと を 本当 に 好き だった けど
田中 君 自身 は 自分 の 気持ち が 最後 まで 分から なかった
それ で そのまま 直子 さん が い なく なって しまって
どう し て いい か 分から なく て
罪悪 感 から 歪曲 王 を 作って …
でも つまり それ って …
( ブギー ポップ ) そう それ が 君 自身 の ゆがみ だ
くっ …
どうやら 君 が 倒す べき 相手 は 僕 で は ない よう だ な
でも 田中 君 !
直子 さん なら きっと 笑って こう 言う と 思う
“ 人 の こと を 気 に する 前 に 自分 の こと を なんとか し な よ ” って
田中 君 !
( 落ちる 音 )
( 敬 ) 田中 君 ?
ブギー ?
( 田中 ) 先輩 …
あの コード を …
( 敬 ) 田中 君 あなた な の ?
先輩 あそこ に ある キーボード に 解除 コード を …
あっ …
( 操作 音 )
( 敬 ) やっぱり これ な ん でしょ ? ブギー
♪ 「 ニュルンベルク の マイスター ジンガー 」
♪ 「 ニュルンベルク の マイスター ジンガー 」
( 静香 ( しずか ) ) あら ? これ クラシック ?
( 寺 月 ) ああ 終幕 に は 似つかわしく ない 曲 だ が ―
まあ しかたがない
( 静香 ) 終幕 って … 終わる の ?
ああ お 別れ だ
ゆがみ は ゆがみ らしく ―
元 の 場所 に 戻る こと に なった よ
( 静香 ) そう … な の 残念 だ わ
すごく 楽しかった から
それ は 何より だ よ
本当 よ
いろいろ な 胸 の つかえ が 取れ た よう な 気 が する
本物 と 話し て も こう は いか なかった わ きっと
( 寺 月 ) フン
( 静香 ) あなた の こと は 忘れ ない
いや 君 は 忘れる よ
ゆがみ が 解消 さ れ た あと で は それ が 何 だった の か ―
人 は 覚え て い ない もの な の さ
そう よく 分から ない けど
それ で いい
君 たち 親子 は くぐり抜け た ん だ
でも あなた は それ で 寂しく ない の ?
覚え て い て もら え ない なんて
あっ … あ …
本体 たち の 道 は 長い
寂しい と か 思って いる 余裕 は ない ん だ よ
( 静香 ) ねえ あなた は どこ に いる の ?
( 寺 月 ) 私 は どこ に でも い て ―
どこ に も い ない 存在
♪ 「 ニュルンベルク の マイスター ジンガー 」
( 静香 ) 真 ( まこと ) 起き なさい 真
( 真 ) ん ん … あれ お 母 さん ?
( 真 ) ブギー ポップ は ! ? ( 竹田 ) あっ
( 真 ) ゾーラギ … ゾーラギ を バシッ と やっつけ ちゃ って
ホント すごかった ん だ よ ブギー ポップ
( 静香 ) そう
や あ
( 咲子 ( さ きこ ) ) 終わった の ?
( ブギー ポップ ) ああ 僕 の 出番 は もう ない よう だ
そう
( ブギー ポップ ) それ じゃ
あっ あの … また 会え る ?
僕 なんか と は 二 度 と 会 お う なんて 思わ ない ほう が いい の さ
( 咲子 ) じゃ じゃ あさ
もし … もしも よ もしも 私 が …
その … あんた の 敵 に なったら ?
( ブギー ポップ ) 君 が 僕 の 敵 に ?
( 咲子 ) ええ もし そう なったら さ …
( 咲子 ) ええ もし そう なったら さ …
( 足音 )
( タケシ ) やっと 見つけ た … 大丈夫 か よ !
( タケシ の 荒い 息 )
( 咲子 ) 何 が よ ?
( タケシ ) は あ ? 何 が って お前 …
こんな 事件 が 起き てん だ ぞ
しかも 怒って い なく なった 直後 だ し …
( タケシ ) 俺 は 必死 で … ( 咲子 ) あっ
( ブギー ポップ ) その とき は 僕 も 君 に ―
容赦 し ない と 約束 しよ う
( 竹田 ) せっかく の デート だって の に 何 を やって る ん だ あいつ は
新 刻 なんで こんな 所 に ?
( 敬 ) 竹田 先輩
こんな 所 で 何 し てる ん です か ? 先輩
( 竹田 ) ああ いや その …
と いう か それ は こっち の セリフ だ よ
新 刻 こそ 何 してん だ ? こんな 所 で
私 は 気 に なる 人 を 追いかけ て き た だけ です
あっ …
( 敬 ) そ したら こんな こと に 巻き込ま れ ちゃ って
そ そ っか お互い 災難 だった な
( 敬 ) ええ でも おかげ で その 人 に は 会 え まし た けど ね
フフ …
もし かして 先輩 今 自分 の こと だって 思い まし た ?
( 竹田 ) えっ …
( 敬 ) それ って 自 意識 過剰 です よ
そ そう いう わけ じゃ ない けど
( 敬 ) 先輩 の こと じゃ あり ませ ん から
アハハ …
で 先輩 は なんで ここ に ?
( 竹田 ) そ そう だ 新 刻 変 な こと 聞く けど さ
この 曲 を かけ た 人 知ら ない か ?
知って ます けど
( 竹田 ) そい つ 今 どこ に ?
( 敬 ) ここ です ( 竹田 ) えっ …
( 敬 ) かけ た の 私 です けど
は あ ?
( 敬 ) 私 じゃ 変 です か ?
い いや …
先輩 宮下 ( みや した ) さん を 捜し てる ん でしょ ?
( 竹田 ) えっ ああ いや そう な ん だ けど …
やっぱり … 宮下 さん なら さっき 会い まし た よ
ここ の 下 で
あっ でも … ( メール の 着信 音 )
( 竹田 ) あっ …
電波 が 通じ て なかった から 入れ 違った ん じゃ ない です か ?
急 い で 行った ほう が いい と 思い ます よ
そ そう か じゃ 俺 は これ で
( 駆け て いく 足音 )
( 近づ い て くる 足音 )
( 竹田 ) あ あの さ 新 刻
悪かった な
何 が です ?
( 竹田 ) い いや なんか その … 一応 な
言った でしょ
追いかけ た の は 先輩 じゃ あり ませ ん から
あ …
フッ … だった な
( 敬 ) おかげ で 自分 の 気持ち も はっきり と 分かり まし た
どう も それ じゃ 先輩
ああ それ じゃ
さよう なら
( 羽原 ) 結局 これ は ―
“ 大 富豪 寺 月 の 孤独 が 生 ん だ 狂気 の 犯罪 ” と か ―
そんな 感じ で 処理 さ れる ん だ ろ う な
けど なんか なあ
なんか スッキリ し ねえ ん だ よ な
( 田中 ) そう いう もの さ
あっ …
フッ …
そう だ な
( 竹田 ) ブギー ポップ
( 足音 )
( ブギー ポップ ) なんで 僕 と 分かった ?
( 竹田 ) フッ
分かる よ 友達 の 顔 くらい
フッ …
( ブギー ポップ ) 危機 は 去った よ 竹田 君
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