宇崎 ちゃん は 遊びたい!02
< 亜紀 彦 : 音響 控えめ の スロ ー な ジャズ 。
明る すぎ ない 店 内 照明 。
そして 心 落ち着く コ ー ヒ ー の 香り 。
お 客 様 に ゆっくり
心 安らげ る 空間 を 提供 する 。
それ が この 店 を 開いた とき から の
私 の 経営 方針 >
桜井 くん 。
お 客 さん が 会計 に いく から
お 願い できる かな 。
( 桜井 ) あっ 。
すごい な ホント 気付く の 早い で すね 。
フッ … 君 も 10 年 も やれば
わかる ように なる よ 。
《 桜井 くん は 去年 から
働いて もらって いる が
なかなか よい 。
顔つき は 少々 怖い が
気 を 遣え る し
店 の 方針 を 理解 して くれて いて
何 が あって も
落ち着いて 対処 して くれる 。
決して うるさく 騒ぐ こと も …》
( 桜井 ) わ ぁぁ !
ん っ ?
( 宇崎 ) せ ん ぱ ~ い !
《 桜井 くん が あんな 大声 を
出す の は 初めて 聞いた な 》
先輩 ここ で バイト して たんす か ?
大学 超 近い じゃ ない っす か 。
いい っす ね ~。
《 仲よし な の か な ?》
なんで
教えて くれ なかった ん す か ~。
あっ 私 大学 近く に 住んで る
友達 の 家 の 帰り で
お腹 空いて たから
軽く なんか 食べ たい な ~ って 。
帰れ !
なんで っす か !
《 仲 悪い の か な ?》
( 桜井 ) ここ は 俺 の バイト 先 だ が
安らぎ の 場所 で も ある んだ 。
だから 帰れ !
な に 言って ん す か ?
私 も 安らが せて ください よ
お腹 空いて る ん すよ ~。
他 に も 食う 場所 ある だ ろ 。
冷たい っす ね
いい じゃ ない っす か 。
ごはん 食べ させて ください よ 。
お前 は 店 の 雰囲気 に 合わ ない 。
ウッ ! ブ ー ひどい っす 差別 っす !
そんな ん だ から ぼっ ちな ん すよ 。
ぼ っち 関係 ねえ だ ろ !
《 う っ …
立ち上がる タイミング を 失った な 》
あっ 店長 さん です か ?
宇崎 花 って いい ます !
先輩 が いつも
お 世話に なって ます !
お前 は 俺 の なん な んだ よ 。
何 して る ん す か ?
あ … いや … 在庫 の チェック を ね 。
うん うん なるほど 先輩 ね 。
小 … 中学生 くらい かな ?
大学生 っす よ !
同じ 大学 の 1 こ 下 の 後輩 です 。
って いう か 「 小学生 」 って
言い かけ ました ? 今 !
ハハハ 背 が 低い から な オメエ は 。
うるさい ! う っせ ~ っす よ !
は … 外した !?
なんか ショック 受けて る っす よ ?
ウ ー ン ふだん
こういう 人 じゃ ない んだ が な 。
《 喫茶 店 経営 で
人 を 見る 目 を
長年 鍛えて きた この 私 が
外した だ と !?》
ん っ ?
《 いや …》
大学生 … 大人 だ ねぇ 。
えっ そう っす よ 大人 っす 。
《 なんか ここ 数 分 で
マスタ ー の イメ ー ジ が
ずいぶん 変わって きた ぞ 》
ま ぁ いい や
お前 この 席 で いい だ ろ 。
ほれ 座れ 。
ムッ …。
注文 は ?
ちょっと 先輩 ?
さっき から その 態度 は
ない んじゃ ない っす か ?
あぁ ?
今 の 私 は お 客 っす よ お ・ き ゃ ・ く 。
これ じゃ ふだん の 勤務 態度 も
疑わしい もん すね ~。
ちゃんと した 接客
できて る ん すか ねぇ ?
ちゃんと した 接客 ?
なんで ? お前 相手 に ?
ちょっと 店長 ~ この 店員 さん
態度 悪く ない っす か ?
時給 減らした ほう が
いい んじゃ ない っす か ~?
う っせ ~ よ !
注文 し ねえ なら 帰れよ !
アハハ … ハッ …。
《 この 子 ら おもしろ 。
しばらく 見 とこう 》
せ ん ぱ ~ い 。
相手 が 誰 であろう と
本気 の 仕事 見せて ください よ ~。
それ が プロ って もんじゃ
な いっす か ~?
と か 言い つつ 真面目に やったら
絶対 バカ に する だ ろ お前 !
し ませ ん よ ~。
ハァ …。
正直 知り合い と か に 見 られて
仕事 す ん の 照れくさい んだ よ 。
でも 先輩 大学 近い んだ し
他の 知り合い と か
来て ない ん す か ?
その 人 たち に も
そんな 態度 で 接客 し たんす か ?
あっ 。
バカ だ な 。
こんな 接客 す ん の お前 だけ だ よ 。
お前 は 特別 さ 。
あっ …。
わかったら さっさと
コ ー ラ でも 飲んで 帰 っち まえ ボケナス 。
キメ 顔 で ボロクソ 言わ れる と
さすが に 腹 立つ っす ね !
ま ぁま ぁ 桜井 くん 。
せっかく だ から 見せて あげ なさい 。
いつも は
いい 接客 して る んだ から 。
う っす …。
そう っす よ !
注文 ! 店員 さん の いい 接客 1 つ !
お 冷や 出す ところ から
やり 直し ね ~!
や っぱ 腹 立つ な コイツ 。
ご 注文 を お 願い し ます 。
ブ ー ッ !
だめ ! 無理 ! 耐え られ ない !
いつも の ! 悪人 面 が !
見る 影 も ! なく なって ! アハハハ !
違う ん すよ ~ 先輩 !
笑っちゃ いけない とき って
沸点 下がる じゃ ない っす か ~!
あぁ もう !
絶対 こう なる と 思って たよ クソ !
ごめん 先輩 もう 笑わ ない から ~。
なんか 食わせて ~。
やかましい !
桜井 くん …
今日 は 上がって いい よ 。
も もう 暗い し
あの 子 送って あげ なさい 。
マスタ ー も 笑って ます よ ね !?
絶対 笑って ます よ ね !?
( 桜井 ) お 疲れ した ~。
先輩 お腹 激減 りっす
ど っか 寄り ましょう よ 。
まっすぐ 帰って 家 で メシ を 食え 。
チェ ー ッ 。
じゃあ 次回 は
なんか 注文 さ せて ください よ 。
そう だ な
俺 が い ない とき に また 来て くれ 。
え ~ っ ! もう 次 は
絶対 笑わ ない っす から !
先輩 の スマイル 見て も … ププッ 。
テメエ !
でも あそこ いい お 店 っす ね 。
あっ … あぁ 。
ほどよく オシャレ で 静かで 。
うん いい 店 だ よ ホント に
好きな んだ あの 雰囲気 が 。
あっ そう だ !
ん っ ?
私 も あそこ で バイト しよう か な
先輩 と 一緒に 。
お ぉ 。
ねっ !
絶対 に 楽しい っす よ !
うん … うん 。
絶対 やめて 。
なんで っす か !
フワァ …。
《 なんで 俺 は 夜中 に
新作 ゲ ー ム 開 けち まう か な 》
ハッ !
( 鼻歌 )
先輩 でも からかって
今日 を 乗り切る と しよう か な ~。
あっ 。
イテ … イテテテ …。
おい …
俺 は ちょっと なで たい だけ で 。
お っ 元気だ な この ヤロウ 。
ニャ ー 。
アイテテ ちょっと 痛い って 。
アハハ … ちょ … お ま … アハハ 。
キモ っ 。
朝っぱら から 何 して ん す か 先輩 。
キモ いっす よ 。
お ぉ 宇崎 。
いや 野良 猫 を 見つけて な 。
全然 逃げ ない から
なで られる か なって 。
フ ー ン 人 に 馴 れて ん すね 。
引っかか れる ばかりで
全然 なで させて くれ ない けど な 。
その わりに
なんで うれし そうなん す か 。
だって かわいい じゃ ない か 。
キモ っ 。
ま ぁ それ は そう と
さては 動物 の 相手 す ん の
素人 っす ね 先輩 。
う … うん 。
手 は 下 から っす よ 。
自分 より 大きい 生き物 が
頭 の 上 から 手 を 伸ばして きたら
猫 だって 怖い でしょう 。
ま ぁ … 確かに 。
下 から 手 を 出して
待って みて ください 。
よ ~ し よし よし よし 。
お ぉ ~ っ 。
ねっ 人 に 馴 れ てるこ なら
簡単です よ 。
いい なぁ 。
たぶん 近所 の 家 で 飼わ れて る か
エサ もらって る んじゃ ない っす か ね 。
お前 猫 に 詳しい んだ な 。
猫 飼って ます から ね うち で 。
2 匹 い ます 。
えっ そう な の か 。
今度 うち の 見 に き ます ?
う っ … う ~ ん 。
《 猫 は 触り たい が
男 一 人 で
女子 の 家 に 行く の は なぁ 》
( ブレ ー キ 音 )
あっ 。
逃げた …。
ブレ ー キ の 音 に ビビ った ん すね
猫 は 高い 音 が 苦手な ん すよ 。
ま ぁ この 近所 に
住んで る んだろう から
また 会え ます よ 。
さ ぁ 先輩 学校 行き ましょう 。
う えっ !
1 回 だけ でも なで たかった な …。
マジ へこみ して る 。
いや いい んだ 。
俺 犬 も 猫 も 超 好きだ けど
実家 も 今 の アパ ー ト も ペット だめだ し
猫 も あんまり 触った こと なくて …。
じゃあ さっき のこ
捕まえて き ます よ !
えっ ?
まだ 近く に いる と 思う し
あの 人 に 馴 れた 感じ は
いける と 思い ます 。
い いって ! おい !
だめだったら
今度 猫 カフェ 行き ましょう !
マジ で !?
お っ … ほら いた 。
ハァ ハァ …。
そりゃ ~ っ !
待つ っす よ ~ 猫 ちゃ ~ ん !
あぁ …。
ん っ ? ああ っ !
どうした !
先輩 ! ヤバ いっす !
先輩 ! ヘルプ ー !
なんだ いったい !
ハァ … な っ !?
は ぁ !?
って … おい !?
抜け なく なって しまって …。
しまえ ! ケツ を !
痛 ~ っ ! な に す ん す か !
あぁ すま ん つい …。
「 つい 」 で なんで 叩く ん す か !
ただ … パッ パパ …
パンツ が 見えて た から 戻そう と 。
えっ ! じゃ じゃあ いい っす 。
《 パンツ ? えっ
てい うか お 尻 触ら れた !?
ま ぁ いい や あと で 問い詰めよう 》
とりあえず 先輩
後ろ から 引っ張って ください 。
腰 つかんで 。
わ わかった 。
《 うわ 腰 ほ っそ コイツ 》
あっ あぁ ! 先輩 ストップ ストップ !
えっ ?
まず いっす ! 服 引っ掛かって
このまま じゃ おっぱい 出る っす
かなり の 確率 で !
お っ おっぱい と か 言う な !
まず 引っ掛かって る ところ を
外して
破け ない よう ちょっと ずつ
引っ張って ください !
頼 ん ますよ
買った ばっ か なん す から !
注文 多い な !
早く 抜いて ください よ 先輩 ~。
もう ちょっと だ から
おとなしく しろ って 。
ん っ 。
( 悲鳴 )
ちょ … ち 違う んだ ~ っ !
ま だっす か 先輩 ~。
いやはや 一 時 は どう なる こと か と
どうも っす 先輩 。
《 お 尻 の こと は ま ぁ いっか 》
ほら 授業 行き ましょう 先輩 。
今日 は もう 帰り たい 。
じゃあ 猫 カフェ 行き ます ?
う っ …。
また 今度 …。
あっ 。
せ ん ぱ ~ い 今日 は 学 食 っす か ?
う 宇崎 …。
ん っ ? どうし たんす か ?
《 この前
あんな こと が あった から
目 合わせ づらい な 》
あっ ぼっ ち 飯 が
恥ずかし い ん す か ?
は ぁ ?
ざん ね ~ ん 。
今日 は 友達 と 食べる から
先輩 と 一緒に
食べて あげ られ ない ん すよ ~。
寂しくて も
泣か ないで ください ね 。
う っせ ~ な
俺 だって ツレ と 食う んだ よ !
えっ … え !?
なんだ よ こぼし まくって ん ぞ 。
先輩 友達 いたん す か !?
失礼 極まりない !
どう し ましょう !
私 先輩 の 友達 に
挨拶 し といた ほう が
いい っす か ね !?
オカン か お前 は ! あっ ち 行け バ ー カ !
あっ ?
何 して んだ ? あの バカ 。
《 な に 見て んだ ? お ぅ !?》
はっ ?
ん っ ?
あぁ ?
ん っ ?
《 な に やって んだ あの アホ は
全然 わから ん 》
ん っ ?
なんの 心配 して んだ アイツ 。
あっ 。
クゥ …。
ハハッ アハハハ 。
花 ちゃん 麺 のび てるよ 。
アハハハ … あっ 。
ごはん の とき は スマホ やめよう ね 。
うん …。
( 桜井 ) ありがとう ございました
また お 越し ください ませ 。
桜井 くん
片づけたら 1 杯 どう だい ?
ありがとう ございます
いただき ます 。
大学 生活 も もう 半分 だ ね 。
どう だい ? 単位 は 。
ま ぁ ぼちぼち です 。
うち の は あら かた
単位 取っちゃ った みたいで ね 。
毎日 ダラダラ し てるよ 。
いや その ほう が いい です よ
うらやましい です 。
うん ま ぁ …。
あと で 泣き 見る より
ずっと いい んだ けど ね 。
《 桜井 : やっぱり ここ は いい な 。
音響 控えめ の スロ ー な ジャズ 。
そして 心 落ち着く コ ー ヒ ー の 香り 。
まるで 時間 が
ゆっくり 流れて いる ような
心 安らげ る 場所 …》
せ ん ぱ ~ い !
あっ 。
( ドア の 開く 音 )
ハ ー イ 。
うわ ぁぁ ! また お前 か !
俺 が いる とき は
来る なって 言った だ ろ !
え ~ 冷たい こと
言わ ないで ください よ 。
それ に 先輩 が い なきゃ
意味 ない ん すよ !
一刻 も 早く
先輩 に 会い たくて 来 たんす から !
はっ … は ぁ ?
な に 言って んだ お前 。
レポ ー ト の 再 提出
手伝って ください !
へ っ ?
なんだ … レポ ー ト か 。
先輩 文章 系 強かった っす よ ね 。
だめだ 。
えっ どうして っす か !
見りゃ わかん だ ろ バイト 中 だ 。
待つ っす よ !
その 時間 で 自力 で やれよ !
一 人 で できる 気 が し ない っす !
よく 大学 受かった な お前 。
手伝って ください よ ~。
お前 なぁ …。
( 亜紀 彦 ) ま ぁま ぁ 桜井 くん 。
(2 人 ) あっ 。
後輩 が 頼って きて る んだ
かわいい じゃ ない か 。
もう 上がり で いい から
よかったら
ここ で やっていき なさい 。
えっ 。
マジ っす か !
今 は お 客 さん い ない し ね 。
《 この 子 たち の 掛け合い は
見て る と おもしろい から 》
お っ 。
あっ 。
うち の 大事な 従業 員 の
後輩 さん に サ ー ビス 。
わ あっ !
いやいや
そんな こと
して くれ なくて いい です よ 。
やった ぁ マスタ ー 太っ腹 ! あっ 。
メシ は レポ ー ト が 終わって から 。
え ~ 厳しい っす よ 。
もう ちょっと じゃ ねえ か
ほら ここ も おかしい 。
「 思い ます 」 じゃ
小学生 の 作文 だろう が 。
「 と 思わ れる 」 か
「 と 考え られる 」 に しろ 。
ほほ ~ ん 。
大学生 な んだ から
子ども っぽい 文章 書く な 。
俺 なら
「 個人 的に は ○○ さ れて いる
と 感じた 」 と 書いて
文字 数 を 稼ぐ 。
なるほど 。
そこ 直したら あと は
締め の 一 文 で 終わり だ から
一気に 書き上げろ 。
そう いや
前 から 聞き たかった ん す けど ね 。
ホント 集中 力 ねえ な お前 。
先輩 の 家 行く の は だめな ん す か ?
絶対 だめ 。
《 即答 さ れた 》
って いう か な んだ よ 急に ?
だって 行って み たい し 。
だって じゃ ねえ よ 。
興味本位で
俺 の 生活 圏 荒らさ れて たまる か 。
荒らさ ない っす よ !
なんで だめな ん す か ?
なんで って … お前 …。
《 マジ か コイツ …》
お前 を 家 に 入れ に ゃ なら ん
理由 が ない 。
あり ます よ !
先輩 一 人 暮らし って
言って ました よ ね ?
私 が ごはん を 作れば
お 金 も 節約 できる し
先輩 の 家 の ほう が
学校 から 近い し
ほら ! メリット の ほう が
多く ない っす か ?
お前 マジ で 言って ん の ?
って いう か 食える 料理 出せ ん の ?
なん す か その 言 い草
ちゃんと 食え ます よ !
は いはい いい から レポ ー ト や ん ぞ …。
お前 さっき 最後 なん つった ?
うん ?
俺 の 家 が 学校 から 近けりゃ
なん だって んだ ?
だから 学校 から 近い と
ちょっと 朝 寝坊 できる じゃ …。
泊め ねえ よ !?
お ま … 信じ らん ねえ こ と 言う な 。
な に 怒って ん す か ?
ん っ …。
怒 っ … て は ねえ けど よ 。
だって お前 … そんな …。
なん す か ?
部屋 に 入れる だけ でも
あれ な のに …。
そんな … 簡単に な …。
女 が 男 の 部屋 に だ な …。
し たく ない ん す か ?
は … は ぁ ?
徹夜 で 対戦 と か 協力 プレ ー
し ましょう よ !
へ っ ?
先輩 あの 新作 ゲ ー ム
買った の 知って ん すよ !
フレンド っす から ね ~!
学校 帰り に 通えば
何 日 だって 遊べ ます よ ! エヘヘヘ 。
バ … バ ー カ ! バ ー カ ! バ ー カ !
なんで っす か !?
バ ー カ !
《 さまざまな 人生 を
垣間見 られる こと が 醍醐味 だ
と 思って 始めた 喫茶 店 だ が
最高に いつまでも
見て い たい 2 人 だ な 。
桜井 くん に 店 を 辞め られたら
見 られ ない から
時給 上げちゃ おうか な 》