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I Am a Cat by Soseki Natsume, Chapter I - 07

Chapter I - 07

ほか に 悪口 の 言いよう を 知らない の だから 仕方 が ない が 、 今 まで 辛棒 した 人 の 気 も 知らないで 、 無暗に 馬鹿 野郎 呼わり は 失敬 だ と 思う 。 それ も 平生 吾輩 が 彼 の 背中 へ 乗る 時 に 少し は 好い 顔 でも する なら この 漫罵 も 甘んじて 受ける が 、 こっち の 便利に なる 事 は 何一つ 快く して くれた 事 も ない のに 、 小便 に 立った の を 馬鹿 野郎 と は 酷い 。 元来 人間 と いう もの は 自己 の 力量 に 慢じて みんな 増長 して いる 。 少し 人間 より 強い もの が 出て 来て 窘めて やら なくて は この先 どこ まで 増長 する か 分らない 。 我儘 も この くらい なら 我慢 する が 吾輩 は 人間 の 不徳 に ついて これ より も 数倍 悲しむ べき 報道 を 耳 に した 事 が ある 。 吾輩 の 家 の 裏 に 十 坪 ばかりの 茶園 が ある 。 広く は ない が 瀟洒 と した 心持ち 好く 日 の 当る 所 だ 。 うち の 小供 が あまり 騒いで 楽々 昼寝 の 出来ない 時 や 、 あまり 退屈 で 腹 加減 の よく ない 折 など は 、 吾輩 は いつでも ここ へ 出て 浩然 の 気 を 養う の が 例 である 。 ある 小春 の 穏やかな 日 の 二時 頃 であった が 、 吾輩 は 昼飯 後 快く 一睡 した 後 、 運動 かたがた この 茶園 へ と 歩 を 運ばした 。 茶 の 木 の 根 を 一 本 一 本 嗅ぎ なが ら 、 西側 の 杉 垣 の そば まで くる と 、 枯菊 を 押し倒して その 上 に 大きな 猫 が 前後不覚 に 寝て いる 。 彼 は 吾輩 の 近づく の も 一向 心付かざる ごとく 、 また 心付く も 無頓着 なる ごとく 、 大きな 鼾 を して 長々 と 体 を 横えて 眠って いる 。 他の 庭内 に 忍び入り たる もの が かく まで 平気に 睡られる もの か と 、 吾輩 は 窃かに その 大胆 なる 度胸 に 驚かざる を 得なかった 。 彼 は 純粋 の 黒猫 である 。 わずかに 午 を 過ぎ たる 太陽 は 、 透明 なる 光線 を 彼 の 皮膚 の 上 に 抛げかけて 、 きらきら する 柔毛 の 間 より 眼 に 見えぬ 炎 でも 燃え 出ずる よう に 思われた 。 彼 は 猫 中 の 大王 と も 云う べき ほど の 偉大 なる 体格 を 有して いる 。 吾輩 の 倍 は たしかに ある 。 吾輩 は 嘆賞 の 念 と 、 好奇 の 心 に 前後 を 忘れて 彼 の 前 に 佇立 して 余念 も なく 眺めて いる と 、 静か なる 小春 の 風 が 、 杉垣 の 上 から 出たる 梧桐 の 枝 を 軽く 誘って ばらばら と 二 三 枚 の 葉 が 枯菊 の 茂み に 落ちた 。 大王 は かっと その 真 丸 の 眼 を 開いた 。 今 でも 記憶 して いる 。 その 眼 は 人間 の 珍重 する 琥珀 と いう もの より も 遥かに 美しく 輝いて いた 。

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Chapter I - 07 chapter|i Kapitel I - 07 Chapter I - 07 第 I-07 章

ほか に 悪口 の 言いよう を 知らない の だから 仕方 が ない が 、 今 まで 辛棒 した 人 の 気 も 知らないで 、 無暗に 馬鹿 野郎 呼わり は 失敬 だ と 思う 。 ||あく くち||いいよう||しら ない|||しかた||||いま||しん ぼう||じん||き||しら ないで|む あんに|ばか|やろう|よ わり||しっけい|||おもう ||悪口||言い方|||||||||||辛棒||||||知らないで|むあんに|||呼ばわり||||| ||||modo di dire|||||||||||sacrificio||||||senza sapere||bello|stronzo|chiamarlo||scortese||| I have no choice because I do not know what other bad words say, but I do not know the mind of the person who has been so far, and I think that the call of Hikaro will be absurd. No puedo evitarlo porque no sé qué decir mal, pero ni siquiera conozco la mente de los que han sido picantes hasta ahora, y creo que es una falta de respeto llamarlo tonto. それ も 平生 吾輩 が 彼 の 背中 へ 乗る 時 に 少し は 好い 顔 でも する なら この 漫罵 も 甘んじて 受ける が 、 こっち の 便利に なる 事 は 何一つ 快く して くれた 事 も ない のに 、 小便 に 立った の を 馬鹿 野郎 と は 酷い 。 ||へいぜい|わがはい||かれ||せなか||のる|じ||すこし||この い|かお|||||まんば||あまんじて|うける||||べんりに||こと||なにひとつ|こころよく|||こと||||しょうべん||たった|||ばか|やろう|||こく い ||平生|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||| ||||||||||||||||||||insulti||con rassegnazione|||||conveniente||||non ha fatto nulla|volentieri|||||||fare pipì|||||||||brutale I also accept this Manga if I have a slightly good face when he rides on his back. It's awful to be a fool. Se almeno si degnasse di mostrarsi un po' contento quando io gli salgo sulla schiena, accetterei volentieri anche queste ingiurie, ma non ha mai fatto nulla di piacevole per il mio vantaggio, e chiamarmi idiota perché mi sono messo in piedi per orinare è davvero eccessivo. 元来 人間 と いう もの は 自己 の 力量 に 慢じて みんな 増長 して いる 。 がんらい|にんげん|||||じこ||りきりょう||まん じ て||ぞうちょう|| ||||||||||慢arsi||si è gonfiato|| Originally, human beings are all prosperous because of their ability. In realtà, gli esseri umani tendono tutti a diventare arroganti in base alle proprie capacità. 少し 人間 より 強い もの が 出て 来て 窘めて やら なくて は この先 どこ まで 増長 する か 分らない 。 すこし|にんげん||つよい|||でて|きて|たしなめて||||このさき|||ぞうちょう|||ぶん ら ない ||||||||叱って|||||||||| ||||||||||||||||||non si sa We have to come out with something that is a little stronger than humans, and we have no idea how far it will grow in the future. Se non ci fosse qualcuno un po' più forte degli umani che ci mettesse in riga, non si sa fino a dove arriverà questa arroganza in futuro. 我儘 も この くらい なら 我慢 する が 吾輩 は 人間 の 不徳 に ついて これ より も 数倍 悲しむ べき 報道 を 耳 に した 事 が ある 。 われ まま|||||がまん|||わがはい||にんげん||ふとく||||||すう ばい|かなしむ||ほうどう||みみ|||こと|| ||||||||||||malvagità||||||più volte|||notizia||||||| I can put up with this, but I have heard reports that are many times more sad about human vices. 吾輩 の 家 の 裏 に 十 坪 ばかりの 茶園 が ある 。 わがはい||いえ||うら||じゅう|つぼ||ちゃ えん|| |||||||||giardino del tè|| Dietro la mia casa c'è un giardino di tè di circa dieci tatami. 広く は ない が 瀟洒 と した 心持ち 好く 日 の 当る 所 だ 。 ひろく||||しょうしゃ|||こころもち|すく|ひ||あたる|しょ| ||||elegante||||buono|||colpire il sole|| ||||洒落た||||||||| It's not a big place, but it's a nice and elegant place. Non è grande, ma è un luogo piacevole e soleggiato dove ci si può sentire eleganti. うち の 小供 が あまり 騒いで 楽々 昼寝 の 出来ない 時 や 、 あまり 退屈 で 腹 加減 の よく ない 折 など は 、 吾輩 は いつでも ここ へ 出て 浩然 の 気 を 養う の が 例 である 。 ||しょう とも|||さわいで|らくらく|ひるね||でき ない|じ|||たいくつ||はら|かげん||||おり|||わがはい|||||でて|ひろし ぜん||き||やしなう|||れい| ||||||facilmente|||non può|||||||fame||||momento|||||||||Hōzen||||nutrire|||| Quando i miei bambini fanno troppo rumore e non riesco a fare un sonnellino tranquillo, o quando mi annoio e ho un po' di mal di pancia, di solito esco qui per rinfrescare il mio spirito. ある 小春 の 穏やかな 日 の 二時 頃 であった が 、 吾輩 は 昼飯 後 快く 一睡 した 後 、 運動 かたがた この 茶園 へ と 歩 を 運ばした 。 |こはる||おだやかな|ひ||にじ|ころ|||わがはい||ひる めし|あと|こころよく|いっすい||あと|うんどう|||ちゃ えん|||ほ||はこば した ||||||due||||||pranzo|||un sonnellino||||e|||||cammino||portò It was about two o'clock on a calm day in Koharu, but after having a good night's sleep after lunch, I went to the tea garden where I was exercising. Era circa le due di un giorno tranquillo di Koharu, quando io, dopo aver pranzato, mi sono goduto un breve sonno, poi ho cominciato a camminare verso questo giardino di tè per un po' di esercizio. 茶 の 木 の 根 を 一 本 一 本 嗅ぎ なが ら 、 西側 の 杉 垣 の そば まで くる と 、 枯菊 を 押し倒して その 上 に 大きな 猫 が 前後不覚 に 寝て いる 。 ちゃ||き||ね||ひと|ほん|ひと|ほん|かぎ|な が||にしがわ||すぎ|かき||||||こきく||おしたおして||うえ||おおきな|ねこ||ぜんごふかく||ねて| ||||||||||||||||||||||枯菊||押し倒して|||||||前後不覚||| Mentre annusavo le radici di ogni pianta di tè, quando arrivai vicino al recinto di cedro a ovest, trovai un grande gatto che giaceva addormentato, in uno stato confusionario, sopra delle crisantemi appassiti. 彼 は 吾輩 の 近づく の も 一向 心付かざる ごとく 、 また 心付く も 無頓着 なる ごとく 、 大きな 鼾 を して 長々 と 体 を 横えて 眠って いる 。 かれ||わがはい||ちかづく|||ひと むかい|こころ つか ざる|||こころ つく||むとんちゃく|||おおきな|いびき|||ながなが||からだ||よこ えて|ねむって| |||||||まったく|心付かざる|||心付く||無頓着||||鼾|||長々||||横たえて|眠って| |||||||||||||||come||ronfato|||a lungo||||sdraiato|| He is sleeping with a loud snore, as if he is not paying attention to my approach, and as if he is not paying attention to my approach. Non sembrava accorgersi affatto del mio avvicinarmi, e sembrandone indifferente, continuava a russare sonoramente, disteso lungo il suo corpo. 他の 庭内 に 忍び入り たる もの が かく まで 平気に 睡られる もの か と 、 吾輩 は 窃かに その 大胆 なる 度胸 に 驚かざる を 得なかった 。 たの|にわ ない||しのび はいり||||||へいきに|すいられる||||わがはい||ひそかに||だいたん||どきょう||おどろか ざる||え なかった |nel giardino||||||隠れる||tranquillamente|dormire||||||silenziosamente||audace||coraggio||sorprendersi||non poteva I was surprised at the audacity of the thief, wondering how anyone could sleep so peacefully in another's yard. Chiunque riesca a infilarsi in un altro giardino e a dormire con tale tranquillità, non può che sorprendere con il suo audace coraggio. 彼 は 純粋 の 黒猫 である 。 かれ||じゅんすい||くろ ねこ| ||puro||gatto nero| He is a pure black cat. Lui è un puro gatto nero. わずかに 午 を 過ぎ たる 太陽 は 、 透明 なる 光線 を 彼 の 皮膚 の 上 に 抛げかけて 、 きらきら する 柔毛 の 間 より 眼 に 見えぬ 炎 でも 燃え 出ずる よう に 思われた 。 |うま||すぎ||たいよう||とうめい||こうせん||かれ||ひふ||うえ||なげう げ かけて|||じゅう け||あいだ||がん||みえ ぬ|えん||もえ|だ ずる|||おもわれた |||||||trasparente||raggio||||||||lanciando|brillare||peluria|||||||fiamma|||uscire|||sembrava Just past noon, the sun cast a clear ray of light over his skin, and it seemed that even an invisible flame would burn out between the glittering fluff. Il sole, che aveva appena superato il mezzogiorno, sembrava gettare raggi trasparenti sulla sua pelle, come se una fiamma invisibile si stesse accendendo tra i suoi morbidi peli luccicanti. 彼 は 猫 中 の 大王 と も 云う べき ほど の 偉大 なる 体格 を 有して いる 。 かれ||ねこ|なか||だいおう|||うん う||||いだい||たいかく||ゆうして| |||||grande re|||dire||||grande||statura||ha| He has a great physique that can be called the Great King of Cats. Lui ha una grande corporatura che si può dire essere il re dei gatti. 吾輩 の 倍 は たしかに ある 。 わがはい||ばい||| It's certainly twice as much as I am. Certamente è il doppio di me. 吾輩 は 嘆賞 の 念 と 、 好奇 の 心 に 前後 を 忘れて 彼 の 前 に 佇立 して 余念 も なく 眺めて いる と 、 静か なる 小春 の 風 が 、 杉垣 の 上 から 出たる 梧桐 の 枝 を 軽く 誘って ばらばら と 二 三 枚 の 葉 が 枯菊 の 茂み に 落ちた 。 わがはい||なげ しょう||ねん||こう き||こころ||ぜんご||わすれて|かれ||ぜん||たたず た||よねん|||ながめて|||しずか||こはる||かぜ||すぎ かき||うえ||で たる|ごきり||えだ||かるく|さそって|||ふた|みっ|まい||は||こきく||しげみ||おちた ||ammirazione||pensiero||curiosità|||||||||||in piedi||senza distrazioni||||||||||||Sugigaki||||uscente|albero di Paulownia||ramo||||leggermente||||||||crisantemo||cespuglio||è caduta ||嘆賞||||好奇|||||||||||佇立||||||||||||||杉垣||||出たる|梧桐|||||誘って|ばらばら||||||||||茂み|| Io, rapito da un sentimento di ammirazione e da una curiosità che mi fa dimenticare tutto, mi trovo davanti a lui, senza distrazioni, a osservare tranquillamente, quando una dolce brezza primaverile, soffiando sopra il recinto di cedri, ha leggermente fatto ondeggiare i rami di un albero di paulownia, e alcune foglie secche sono cadute nel folto dei crisantemi. 大王 は かっと その 真 丸 の 眼 を 開いた 。 だいおう||||まこと|まる||がん||あいた ||improvvisamente||||||| ||怒って||||||| The Great King opened his true round eyes. Il Grande Re aprì i suoi occhi rotondi. 今 でも 記憶 して いる 。 いま||きおく|| I still remember it. Anche ora lo ricordo. その 眼 は 人間 の 珍重 する 琥珀 と いう もの より も 遥かに 美しく 輝いて いた 。 |がん||にんげん||ちんちょう||こはく||||||はるかに|うつくしく|かがやいて| |||||||ambra||||||molto più||| |||||||||||||はるかに||| His eyes were shining much more beautifully than the precious amber of humans. Quegli occhi brillavano di una bellezza ben oltre quella dell'ambra, che gli esseri umani tanto venerano.