トラ の あぶら
とら||
Tigerbusch
tiger's blubber
jauge d'huile tiger
トラ の あぶら
とら||
Tiger's oil
むかし むかし 、 土佐 の 国 ( と さ の くに → 高知 県 ) に 是 市 ( これ いち ) と いう 、 とんち の 上手な 若者 が 住んで い ました 。
||とさ||くに|||||こうち|けん||ぜ|し|||||||じょうずな|わかもの||すんで||
||Tosa|||||||Kochi|||Kore||this|one||||||young man||||
Once upon a time, in the land of Tosa (which is now Kochi Prefecture), there lived a young man named Koreichi, who was skilled at clever wit.
ある 日 の 事 、 隣村 へ 出かけた 是 市 は 、 突然の にわか雨 に 降ら れて 、 すっかり ずぶ濡れ に なって しまい ました 。
|ひ||こと|りんそん||でかけた|ぜ|し||とつぜんの|にわかあめ||ふら|||ずぶぬれ||||
||||neighboring village||||||||||||soaked through||||
One day, when Koreichi went to a neighboring village, he was caught in a sudden downpour and ended up thoroughly drenched.
服 が ビショビショ で 、 このまま で は 風邪 を ひいて しまい ます 。
ふく|||||||かぜ||||
||soaking wet|||||||||
My clothes are soaking wet, and if it stays like this, I will catch a cold.
「 早く 着物 を 乾かさ ない と 、 寒くて かなわ ん わ 」 しばらく 歩く と 一 軒 の 家 が あり 、 中 を のぞく と 、 お じいさん が いろり に 火 を たいて い ました 。
はやく|きもの||かわかさ|||さむくて|||||あるく||ひと|のき||いえ|||なか|||||||||ひ||||
|||dry|||||||||||||||||||||||||||||
I need to dry my clothes quickly, or I won't be able to stand the cold. After walking for a while, I came across a house, and when I peeked inside, I saw an old man starting a fire in the hearth.
「 これ は ちょうど いい 。
This is just right.
ちょいと 、 火 に 当たら せて もらえ ない か 」 「 ああ 、 いい です よ 」 お じいさん が 快く 是 市 を 家 に 入れて くれた ので 、 是 市 は さっそく いろり の 火 に 当たら せて もらった のです が 、 火 が 弱い ので 着物 は なかなか 乾き ませ ん 。
|ひ||あたら||||||||||||こころよく|ぜ|し||いえ||いれて|||ぜ|し|||||ひ||あたら|||||ひ||よわい||きもの|||かわき||
a little|||||||||||||||willingly|||||||||||||||||||||||||||||||
Could you let me warm myself by the fire a bit?" "Ah, sure," the old man gladly let Keshichi into his home, so Keshichi promptly warmed himself by the irori fire, but since the fire was weak, his kimono wasn't drying quickly.
( もう 少し 火 を 強く し たい が 、 服 を 乾かす のに 火 を 強く して くれ と 言う の は 、 ちょいと ずうずうしい し ) そこ で 是 市 は 、 お じいさん に こう 言い ました 。
|すこし|ひ||つよく||||ふく||かわかす||ひ||つよく||||いう||||||||ぜ|し||||||いい|
|||||||||||||||||||||a little|||||||||||||
(I want to make the fire a bit stronger, but to ask to make the fire stronger just to dry my clothes is a bit too presumptuous.) So Keshichi said this to the old man.
、 「 なあ 、 じいさん 。
, "Hey, old man.
おら の 村 で は 固い 竹 を 食べる が 、 このあたり でも 食べる の か ね ?
||むら|||かたい|たけ||たべる||この あたり||たべる|||
In our village, we eat hard bamboo, but do we eat around here as well?
」 「 固い 竹 ?
かたい|たけ
" Hard bamboo?"
タケノコ で は なく 、 固い 竹 が 食べ られる じゃ と !
たけのこ||||かたい|たけ||たべ|||
It's not bamboo shoots, but you can eat hard bamboo, can't you!
そり ゃあ 、 初耳 ( はつみみ → はじめて 聞いた こと ) じゃ 。
||はつみみ|||きいた||
|||first hearing||||
Well, that's the first I've heard of it.
ぜひとも 食べ 方 を 教えて くれ 」 すると 是 市 は 、 ( しめ しめ 、 引っかかった ぞ ) と 、 ニヤリ と 笑う と 、 お じいさん に 言い ました 。
|たべ|かた||おしえて|||ぜ|し||||ひっかかった|||||わらう|||||いい|
||||||||||||got caught|||||||||||
Please tell me how to eat it. "The city said, (I'm squeezed, I got caught), grinning and telling my grandfather.
「 いい か 。
まずは 竹 を 輪切り に して ナベ に 入れて 、 どんどん 火 を たいて 竹 を ぐらぐら と 煮 込む んじゃ 」 「 よし 。
|たけ||わぎり|||なべ||いれて||ひ|||たけ||||に|こむ||
|||sliced into rounds|||||||||||||||||
First, slice the bamboo into rings and put it in the pot, then keep the fire going to boil the bamboo thoroughly.
さっそく 試して みよう 」 お じいさん は 大きな 竹 を 切って 来る と 、 輪切り に して いろり の ナベ を かけ ました 。
|ためして|||||おおきな|たけ||きって|くる||わぎり|||||なべ|||
||||||||||||round slice||||||||
Alright. Let's give it a try right away. The old man cut a large bamboo, sliced it into rings, and placed it in the pot over the hearth.
「 駄目 駄目 、 もっと 火 を たか ない と 。
だめ|だめ||ひ||||
No, no, you need to get the fire going more.
よし 、 おら も 手伝って やる 」 是 市 は いろり に まき を ドンドン 放り 込んで 、 火 を 大きく し ました 。
|||てつだって||ぜ|し||||||どんどん|はな り|こんで|ひ||おおきく||
Alright, I'll help too," said the man as he threw firewood into the hearth, making the fire grow larger.
その おかげ で 着物 は 、 たちまち 乾いて しまい ました 。
|||きもの|||かわいて||
|||kimono|||||
Thanks to that, the kimono quickly dried up.
外 を 見る と 、 雨 は すっかり 止んで い ます 。
がい||みる||あめ|||やんで||
Looking outside, the rain had completely stopped.
「 まだ か 。
"Not yet?
まだ 食え ん の か ?
|くえ|||
|can eat|||
Still can't eat?
」 お じいさん は 早く 竹 が 食べ たくて 、 うずうず して い ます 。
|||はやく|たけ||たべ|||||
||||||||antsy|||
The old man is eager to eat bamboo quickly and is restless.
「 ああ 、 もう 少し だ 。
||すこし|
Ah, just a little more.
ここ で トラ の あぶら を 入れれば 、 すぐ に 食える ぞ 。
||とら||||いれれば|||くえる|
||tiger|||||||can eat|
If I put tiger fat here, I can eat it right away.
さあ 、 トラ の あぶら を 出して くれ 」 是 市 が 言う と 、 お じいさん は 不思議 そうな 顔 で 言い ました 。
|とら||||だして||ぜ|し||いう|||||ふしぎ|そう な|かお||いい|
"Well then, give me the fat of the tiger," said the city, and the old man replied with a look of curiosity.
「 トラ の あぶら ?
とら||
"Is it tiger fat?"
そんな 物 は ない ぞ 」 「 そう な の か ?
|ぶつ|||||||
There is no such thing, is there?" "Is that so?
おら の 村 じゃあ 、 どこ の 家 に も 置いて ある んだ が 。
||むら||||いえ|||おいて|||
In our village, it is kept in every house.
困った なあ 。
こまった|
This is troublesome.
トラ の あぶら が ない と 、 竹 は 食えん から のう 。
とら||||||たけ||しょくえん||
||||||||cannot eat||
Without the tiger's oil, bamboo wouldn't eat.
残念 、 残念 」 是市 は そう 言う と 、 さっさと 帰って しまい ました 。
ざんねん|ざんねん|ぜ し|||いう|||かえって||
||this city||||||||
"Too bad, too bad," said the city, and then quickly went home.
おしまい
The end