Another Episode 9 Another Episode 9

任せろ まかせろ

中尾 くん ボート に 轢 か れ た って なかお||ぼーと||れき||||

夜 見 山 の 外 なら 死な ない って 嘘 よ|み|やま||がい||しな|||うそ

な の かな

もう 逃げ場 なし |にげば|

どう すれ ば いい の

あの さ

合宿 どう する がっしゅく||

行く わけない じゃ ない いく|||

「 ある 年 」 の 夏 休み に 合宿 と か |とし||なつ|やすみ||がっしゅく||

意味 分 かん ない いみ|ぶん||

家 に 閉じこもって る の が 一 番 安全 だって いえ||とじこもって||||ひと|ばん|あんぜん|

な の かな

でも さあ

何で こんな 目 に 遭わ なきゃ いけない わけ なんで||め||あわ|||

ほんと 理不尽 |りふじん

大体 さあ あの 転校 生 が 見 崎 さん に 話しかけ たり し なかったら だいたい|||てんこう|せい||み|さき|||はなしかけ|||

俺 が おれ|

俺 が 守った のに おれ||まもった|

俺 が 残し た のに おれ||のこし||

教室 に きょうしつ|

夜 ヲ 覆 ウ 目蓋 開 ケ よ||おお||まぶた|ひらき|

凶 キ 影 ヲ 恐 レルナカレ きょう||かげ||こわ|

仄 くら き 柩 から そく|||ひつぎ|

産み 堕 と さ れ た 人形 の よう に うみ|だ|||||にんぎょう|||

躰 は 赤く 凍え からだ||あかく|こごえ

心 は 闇 に あやさ れ 育つ こころ||やみ||||そだつ

君 に 僕 が 見える かい きみ||ぼく||みえる|

つなぐ 手 の 冷た さ に |て||つめた||

鮮血 の 爪 立てる せんけつ||つめ|たてる

眉 寄せ て ごらん よ まゆ|よせ|||

壊し 合 お う 先 に 続く 謎 に 満ちる 結末 を こわし|ごう|||さき||つづく|なぞ||みちる|けつまつ|

羽 も 脚 も もが れ た まま はね||あし|||||

虚 空 の なか 朽ち果てる より きょ|から|||くちはてる|

もう ひと り 僕 が い て |||ぼく|||

誰 か を 痛い ほど 愛し て いる ん だ だれ|||いたい||あいし||||

さ ぁ どっち が 幻 だ ろ う ね ||||まぼろし||||

それ じゃあ あなた たち も 気 を つけ て |||||き|||

はい

中尾 くん の 当日 の 様子 は どう だった の か な なかお|||とうじつ||ようす||||||

車 酔い が ひどく て くるま|よい|||

何度 も 吐 い て まし た ね なんど||は|||||

ほか に は

そう です ね

まっすぐ 泳げ て なかった |およげ||

おお そう か

やはり そういう こと な の か

どういう こと です

あい や ね

大庭 くん おおにわ|

夜 見 山 署 の 刑事 に 少し 話 を 聞い て み た ん だ が よ|み|やま|しょ||けいじ||すこし|はなし||ききい||||||

どうも 死因 が ね |しいん||

実は ボート に 轢 か れる 前 に 死 ん で た ん じゃ ない か と じつは|ぼーと||れき|||ぜん||し||||||||

ボート と 衝突 し た 頭部 の 状態 だ が ね ぼーと||しょうとつ|||とうぶ||じょうたい|||

時間 が 合わ ない らしい ん だ よ じかん||あわ|||||

脳 挫傷 に よる 脳 ヘルニア が かなり 進行 し て い た らしい のう|ざしょう|||のう||||しんこう|||||

海 に 来る 前 から って こと です か うみ||くる|ぜん|||||

中尾 くん の 家族 に よれ ば なかお|||かぞく|||

あの 日 の 朝 階段 から 大きな 音 が 聞こえ た そう だ |ひ||あさ|かいだん||おおきな|おと||きこえ|||

様子 を 見 に 行った もの の ようす||み||おこなった||

慌て て 出て 行く 中尾 くん の 背中 しか 見 られ なかった と いう あわて||でて|いく|なかお|||せなか||み||||

その 時 に 頭 を 打って た |じ||あたま||うって|

おそらく

それ って

「 死 」 に 引き込ま れ た の は 夜 見 山 の 中 だった って こと です か し||ひきこま|||||よ|み|やま||なか|||||

そう 言って も 問題 は なか ろ う |いって||もんだい||||

頭 を 打った 状態 で 病院 に 行か ず あたま||うった|じょうたい||びょういん||いか|

夜 見 山 を 出 て しまった 時点 で よ|み|やま||だ|||じてん|

「 死 」 は 確定 し た ん だ し||かくてい||||

あの さ 見 崎 ||み|さき

何 いや いい や なん||| ちゃんと 分かったら 言う よ |わかったら|いう|

そう

二十六 年 前 の 集合 写真 って 見つかった にじゅうろく|とし|ぜん||しゅうごう|しゃしん||みつかった

まだ

あなた の せい よ

きみ の せい だ ね

きみ の せい です

きみ の せい ね

お前 の せい だ おまえ|||

教室 きょうしつ

それ 本当 な の か |ほんとう|||

そう 言った ん だ よ 松永 さん が |いった||||まつなが||

教室 って きょうしつ|

旧 校舎 の 昔 の 三 年 三 組 だ よ ね きゅう|こうしゃ||むかし||みっ|とし|みっ|くみ|||

で 教室 に 何 を 隠し た って |きょうしつ||なん||かくし||

そ っか

まっ 場所 が 分かった だけ でも 上出来 だ な |ばしょ||わかった|||じょうでき||

よし

待って まって

ほか の 人 に は 教え たく ない ん だ ||じん|||おしえ||||

何 で よ なん||

中尾 くん さ 海 に 来 なきゃ 死な なかった と 思う ん だ なかお|||うみ||らい||しな|||おもう||

そりゃ あ

だから さあ 人 を 増やし たく ない ん だ ||じん||ふやし||||

これ 以上 人 死に を 出し たく ない ん だ よ |いじょう|じん|しに||だし|||||

赤沢 さん たち 対策 係 に も あかさわ|||たいさく|かかり||

まだ 言わ なく て いい と 思う |いわ|||||おもう

何 か が 見つかって なん|||みつかって

それ で 彼女 ら の 協力 が 必要 だって 分かったら で ||かのじょ|||きょうりょく||ひつよう||わかったら|

ま そうだ な |そう だ|

赤沢 が 死ぬ とこ なんか 見 たく ねえ しな あかさわ||しぬ|||み|||

それ で いつ 行く 旧 校舎 |||いく|きゅう|こうしゃ

これ から じゃ ねえ の

夕方 から 家族 で 出かけ ない と ゆうがた||かぞく||でかけ||

明日 なら あした|

じゃあ 明日 の 早朝 と か どう |あした||そうちょう|||

朝 は 勘弁 し て くれ あさ||かんべん|||

じゃあ 昼 |ひる

昼 は 部活 の 人 が 多い から ひる||ぶかつ||じん||おおい|

一応 旧 校舎 の 二 階 って 立ち入り 禁止 だ し いちおう|きゅう|こうしゃ||ふた|かい||たちいり|きんし||

じゃあ 夜 |よ

夜 に 探し もん す ん の も な よ||さがし||||||

じゃあ 午後 三 時 で 決まり ね |ごご|みっ|じ||きまり|

OK

いい よ

望月 美術 部 って 旧 校舎 だ よ な もちづき|びじゅつ|ぶ||きゅう|こうしゃ|||

そう だ けど

夏 休み って 部員 来る か なつ|やすみ||ぶいん|くる|

誰 も 来 ない ね だれ||らい||

じゃ 部室 に 集合 で いい よ な |ぶしつ||しゅうごう||||

そう だ ね

鍵 は 持って る し かぎ||もって||

僕 なら 旧 校舎 に 行って も 怪しく ない し ぼく||きゅう|こうしゃ||おこなって||あやしく||

勅使河原 お前 その カッコ で 来る な よ てしがわら|おまえ||かっこ||くる||

えっ 何で |なんで

目立つ って めだつ|

お 洒落 さん は 目 だ っちゃ お う か |しゃれ|||め|||||

恒一 ちゃん と テッシ つねいち|||

帰宅 部 の エース が なんで 学校 来 てん の きたく|ぶ||えーす|||がっこう|らい||

ちょっと ね

望月 と 待ち合わせ でよ もちづき||まちあわせ|

てい うか 二 人 と も 部活 ||ふた|じん|||ぶかつ

ちょっと 千 曳 先生 に ね |せん|えい|せんせい||

第 二 図書 室 に だい|ふた|としょ|しつ|

そっち じゃ なく て

千 曳 先生 は 演劇 部 の 顧問 な の せん|えい|せんせい||えんげき|ぶ||こもん||

マジ

あの 黒 ずくめ が |くろ||

意外 だ いがい|

あれ で 結構 演技 指導 上手い ん だ よ ね ||けっこう|えんぎ|しどう|うまい||||

演 戯 し てる と 何 気 に カッコ よく 見える から 不思議 えん|ぎ||||なん|き||かっこ||みえる||ふしぎ

で 二 人 は 何 し に 来 た の |ふた|じん||なん|||らい|| 災厄 を 止める 手掛かり を 探し に 来 た ん だ さいやく||とどめる|てがかり||さがし||らい|||

そり が どういう もの か 分から ない けど |||||わから||

見つかったら ちゃんと 皆 に 話す つもり だ から みつかったら||みな||はなす|||

えっ マジ

そんな の ある ん だ

でき れ ば 自分 たち の 手 で |||じぶん|||て|

三 組 の 災厄 を 止め たい ん だ みっ|くみ||さいやく||とどめ|||

綾 野 と 小椋 も 来る か あや|の||おぐら||くる|

ちょっと

パス ぱす

あたし も ちょっと

さよなら 恒一 ちゃん |つねいち|

じゃ ね

さよなら

見 崎 み|さき

望月 は もちづき|

さあ

私 も さっき 来 た ばかり だ から わたくし|||らい||||

どうして ここ に

どこ に やる こと も なかった し

家 に い て も ね いえ|||||

絵 でも 描 こ う か と 思った ん だ けど え||えが|||||おもった|||

そう

あなた たち は

それ に 望月 くん も か ||もちづき|||

三 人 で 何 を みっ|じん||なん|

それ は

まあ な ん つ う か

探険 たんけん

ごめん ごめん

三 人 で どこ を 探険 する の みっ|じん||||たんけん||

それ は

えっ と 勅使河原 くん が ここ に 集合 しよ う って ||てしがわら|||||しゅうごう|||

いや 俺 は な |おれ||

あれ だ

サカキ が 探しもの する って 言う から な さかき||さがしもの|||いう||

その 大事 な もの を ね |だいじ||||

あの さ

何 が 起こる か 分から ない から なん||おこる||わから||

でき れ ば 部室 に い て 欲しい ん だ けど |||ぶしつ||||ほしい|||

私 は 大丈夫 わたくし||だいじょうぶ

大丈夫 って だいじょうぶ|

や っぱ 見 崎 お前 変わって ん な ||み|さき|おまえ|かわって||

怖く ねえ の こわく||

たぶん 怖く ない |こわく|

どこ が 三 組 だった ん だ ろ ||みっ|くみ||||

真ん中 じゃ ない まんなか||

教室 は 五 つ だ し きょうしつ||いつ|||

そう いや さ

この 旧 校舎 は 「 七不思議 」 って ない の |きゅう|こうしゃ||ななふしぎ|||

知ら ねえ しら|

大体 俺 「 七不思議 」 の 類 に は 興味 ねえ し だいたい|おれ|ななふしぎ||るい|||きょうみ||

じゃあ 霊 と か 祟 り と か あんまり 信じ て ない ん だ |れい|||たたり|||||しんじ||||

ん な もん ある わけ ねえ

ただ の 見 間違い に 偶然 だって ||み|まちがい||ぐうぜん|

ただ 一 つ うち ら の 「 災厄 」 を 除 い て な |ひと|||||さいやく||のぞ|||

旧 校舎 の 「 七不思議 」 は きゅう|こうしゃ||ななふしぎ|

第 二 図書 室 の 秘密 って やつ だ ね だい|ふた|としょ|しつ||ひみつ||||

あそこ が

時々 あの 部屋 で 人 の 呻き声 が 聞こえる って 話 ときどき||へや||じん||うめきごえ||きこえる||はなし

聞い た こ と ある ききい||||

ない よ

あの 図書 室 の 地下 に |としょ|しつ||ちか|

公 に でき ない 秘密 の 文書 が 隠さ れ た 書庫 が あって おおやけ||||ひみつ||ぶんしょ||かくさ|||しょこ||

それ を 守る ため に ||まもる||

昔 そこ に 閉じ込め られ た 司書 が い て って いう の むかし|||とじこめ|||ししょ||||||

そい つ が まだ 地下 で 生き て い て ||||ちか||いき|||

その 声 が 聞こえ て くる って |こえ||きこえ|||

その 正体 は 千 曳 って いう 先生 だった って 落ち だ ろ う どうせ |しょうたい||せん|えい|||せんせい|||おち||||

偶に 聞こえる よ たまに|きこえる|

人 の 呻き声 じん||うめきごえ

マジ

ホント ほんと

嘘 少し 空気 入れ 替え ま しょ うそ|すこし|くうき|いれ|かえ|| 全然 大丈夫 じゃ ない じゃ ん ぜんぜん|だいじょうぶ||||

ほら 大丈夫 |だいじょうぶ

大丈夫 そう だ な だいじょうぶ|||

誰 か に 見 られ て だれ|||み||

新しい 「 七不思議 」 に なる の も 気 が 引ける し あたらしい|ななふしぎ|||||き||ひける|

窓 は 開け ない で おこ う よ まど||あけ|||||

うん

勅使河原 てしがわら

勘弁 し て くれよ かんべん|||

大丈夫 そう ね だいじょうぶ||

元気 で ね げんき||

うん

電話 する から でんわ||

また ね

また ね

ない ね

机 の 中 み たい な 分かり やすい 場所 じゃ ない と 思う つくえ||なか||||わかり||ばしょ||||おもう

でも 絶対 に 見つから ない よう な 場所 じゃ |ぜったい||みつから||||ばしょ|

残す 意味 は ない し のこす|いみ|||

そう だ ね

床 や 壁 の 中 って こと は ない と 思う とこ||かべ||なか||||||おもう

あそこ は

掃除 用 具 だけ かな そうじ|よう|つぶさ||

何 だ なん|

何 か あったか なん||

何 だ これ なん||

何 か 書 い て ある ね なん||しょ||||

ええ と

将来 この クラス で 理不尽 な 災い に 苦しめ られる で あ ろ う 後輩 たち に しょうらい||くらす||りふじん||わざわい||くるしめ||||||こうはい||

ビンゴ

これ だ ね

きっと これ も 松永 さん が 書 い た ん だ よ |||まつなが|||しょ|||||

そりゃ あ ここ に は ある だ ろ う けど

いい の

バレ なきゃ 問題 ない って ||もんだい||

あった よ

よし かける ぞ

ええ と

俺 の 俺 の 名前 は 松永 克巳 おれ||おれ||なまえ||まつなが|かつみ

1983 年度 の 三 年 三 組 の 生徒 で ねんど||みっ|とし|みっ|くみ||せいと|

録音 が 終わったら この テープ は 教室 の どこ か に 隠す つもり だ ろくおん||おわったら||てーぷ||きょうしつ|||||かくす||

今 この テープ を 聞い て いる 「 君 」 いま||てーぷ||ききい|||きみ

もしかしたら 「 君 たち 」 かも しれ ない が |きみ|||||

君 たち が 未来 の 三 年 三 組 の 生徒 きみ|||みらい||みっ|とし|みっ|くみ||せいと

その 可能 性 は どの ぐらい かな |かのう|せい||||

そして 君 たち が 今年 俺 が |きみ|||ことし|おれ|

俺 たち が 経験 し た の と 同じ よ う な おれ|||けいけん|||||おなじ|||

理不尽 な 災い に 怯え て いる 可能 性 は りふじん||わざわい||おびえ|||かのう|せい|

まあ いい

俺 は こんな テープ を 残 そ う と 決め た の に は おれ|||てーぷ||ざん||||きめ||||

二 つ の 意味 が ある ん だ ふた|||いみ||||

一 つ は 俺 の 俺 自身 の 罪 の 告白 ひと|||おれ||おれ|じしん||ざい||こくはく

誰 か に 俺 が やった こと を 話し たく て だれ|||おれ|||||はなし||

聞い て ほしく て ききい|||

もう 一 つ の 意味 は 後輩 で ある 君 たち に アドバイス を 伝え たい |ひと|||いみ||こうはい|||きみ|||あどばいす||つたえ|

クラス に 紛れ込む 「 もう 一 人 」 と くらす||まぎれこむ||ひと|じん|

そい つ の せい で 起こる 「 災厄 」 |||||おこる|さいやく

これ を 終わら せる に は どう する か ||おわら||||||

つまり それ

いや やっぱり 順 追って 話し た ほう が いい な ||じゅん|おって|はなし|||||

合宿 が あった ん だ がっしゅく||||

八 月 八 日 から やっ|つき|やっ|ひ|

二 泊 三 日 で クラス 合宿 が ふた|はく|みっ|ひ||くらす|がっしゅく|

担任 の 古賀 先生 が 言い出し た ん だ たんにん||こが|せんせい||いいだし|||

合宿 を し て 神社 に お参り を しよ う って がっしゅく||||じんじゃ||おまいり||||

夜 見 山 に は 「 夜 見 山 神社 」 って いう 古い 神社 が ある ん だ よ|み|やま|||よ|み|やま|じんじゃ|||ふるい|じんじゃ||||

そこ に 皆 で お参り を し たら ||みな||おまいり|||

きっと 呪い が 消える に 違いない って |まじない||きえる||ちがいない|

参加 し た 生徒 は 俺 を 含め て 二十 人 さんか|||せいと||おれ||ふくめ||にじゅう|じん

皆 半信半疑 だった けど みな|はんしんはんぎ||

合宿 二 日 目 がっしゅく|ふた|ひ|め

その 日 俺 たち は 先生 と 山 に 登って |ひ|おれ|||せんせい||やま||のぼって

神社 に お参り し た ん だ じんじゃ||おまいり||||

ひどく 寂れ た 神社 だった |さびれ||じんじゃ|

何だか もう 世界 から 見捨て られ ち まっ てる よう な なんだか||せかい||みすて||||||

この 町 の 名前 が つい た 神社 だって の に |まち||なまえ||||じんじゃ|||

全然 管理 さ れ て ない 感じ だった ぜんぜん|かんり|||||かんじ|

だから お参り ついでに 皆 で 境内 を 掃除 し て |おまいり||みな||けいだい||そうじ||

あの 時 は 「 もしかしたら これ で 呪い が 解ける ん じゃ ない か 」 |じ|||||まじない||とける||||

み たい な 気分 に なった ん だ けど |||きぶん|||||

お参り の 後 先生 は 自信 たっぷり に おまいり||あと|せんせい||じしん||

「 これ で もう 大丈夫 です 」 って |||だいじょうぶ||

ところが ダメ だった ん だ |だめ|||

そんな 甘い もん じゃ なかった |あまい|||

神社 の 帰り道 で さっそく だった じんじゃ||かえりみち|||

ずっと いい 天気 だった の が ||てんき|||

いきなり 雲行き が 怪しく なって き て |くもゆき||あやしく|||

雨 が 降り 出し て あめ||ふり|だし|

しかも ひどい 雷雨 で さ ||らいう||

慌て て 山 を 下る 中 あわて||やま||くだる|なか

最初 に やら れ た の は 浜口 って いう 男子 だった さいしょ|||||||はまぐち|||だんし|

バカ な やつで さ ばか|||

用意 周到 に 傘 なんか 持って 来 て て ようい|しゅうとう||かさ||もって|らい||

一 人 さ し て た ん だ ひと|じん||||||

山道 で 雷雨 だって の に やまみち||らいう|||

その 浜口 が 俺 の 前 を 歩 い て た ん だ が |はまぐち||おれ||ぜん||ふ||||||

一瞬 視界 が 真っ白 に なって さ いっしゅん|しかい||まっしろ|||

同時に 凄い 音 が し た ん だ どうじに|すごい|おと|||||

浜口 に 雷 が 落ち た ん だ はまぐち||かみなり||おち|||

肉 が 焦げる 嫌 な 匂い を 今 でも 覚え てる にく||こげる|いや||におい||いま||おぼえ|

それ でも う その 場 は パニック さ ||||じょう||ぱにっく|

浜口 の こと は 放ったら かし て はまぐち||||はなったら||

ほとんど の 生徒 が 走り出し て ||せいと||はしりだし|

とにかく 早く 山 を 下り なきゃ って |はやく|やま||くだり||

雨 の 中 を 闇 雲 に 走り出し た すぐ 後 だった あめ||なか||やみ|くも||はしりだし|||あと|

二 人 目 の 犠牲 者 が 出 た ん だ ふた|じん|め||ぎせい|もの||だ|||

星川 って 女子 だった ほしかわ||じょし|

パニク って 走る うち に 足 を 踏み外し て 崖 から 落ち ち まって ||はしる|||あし||ふみはずし||がけ||おち||

切り立った 高い 崖 で きりたった|たかい|がけ|

下山 し て 助け を 呼ぶ しか なかった ん だ げざん|||たすけ||よぶ||||

結局 二 人 と も 助から なかった けっきょく|ふた|じん|||たすから|

神社 の お参り なんて 何 の 効果 も なかった じんじゃ||おまいり||なん||こうか||

で 肝心 な の は この 後 だ |かんじん|||||あと| やっと の 思い で 下山 し た 直後 ||おもい||げざん|||ちょくご

それ が あった ん だ

それ って いう の は つまり

俺 が おれ|

ヤベッ

危 ねえ き|

さすが に 冷や汗 が 出 た よ ||ひやあせ||だ||

まったく だ よ

テープ てーぷ

ちょっと

バカ め ばか|

マジ か よ

肝心 な と こ 聞い て ない ん だ けど かんじん||||ききい|||||

どう す ん だ よ

修理 し たら きっと 聞け る よ しゅうり||||きけ||

これ 直せ る の か |なおせ|||

でき なく は ない と 思う けど |||||おもう|

よし じゃあ 任せ た ||まかせ|

続き 聞か せろ よ な つづき|きか|||

任せ られ て 大丈夫 まかせ|||だいじょうぶ

うん とにかく やって みる よ

兄貴 あにき

色褪せ て く フィルム の よう に いろあせ|||ふぃるむ|||

確か な 今 も いずれ 霞 ん で たしか||いま|||かすみ||

何でもなく 笑い あった なんでもなく|わらい|

刹那 の 時間 と 光 せつな||じかん||ひかり

繋がって ゆく 記憶 の 底 に つながって||きおく||そこ|

誰 か が 見つける ため ある と 信じ てる 今 でも だれ|||みつける||||しんじ||いま|