Violet Evergarden Episode 3
( 鐘 の 音 )
あー !
( 生徒 ) ライデン って 大きな 街 ね
( 生徒 ) ホント 私 の 住んで る 所 と 違って ―
道 が 多い から 迷っちゃ った
( ブルー ベル ) ここ の ブローチ ある と 就職 に 有利な ん だって
早く 卒業 して 帰り たい
( イベリス ) ブローチ 欲しい だけ な んじゃ ない の ?
フフッ や だ フフフ …
( ドア が 開く 音 )
( ドア が 開く 音 )
( ローダンセ ) 静粛に ( ブルー ベル ) あっ
( ローダンセ ) 静粛に ( ブルー ベル ) あっ
( 生徒 ) あっ ああ …
( ローダンセ ) 皆さん
自動 手記 人形 育成 学校 へ ようこそ
自動 手記 人形 育成 学校 へ ようこそ
( ドア が 開く 音 )
( ドア が 開く 音 )
( ルクリア ) すみません
遅刻 は 2 度 で 欠席 扱い です よ
はい
大戦 が 終わり ―
ドール へ の 需要 は 高まる 一方 です
もちろん 本校 へ 通わ ず と も ―
ドール に なる こと は 可能です が ―
我々 の 目的 は ただ の ドール で は なく
良き ドール を 育成 する こと です
本校 卒業 の 証し は 一流 の 証明
しかし 私 が 良き ドール と 認め ない かぎり ―
この 証し は 決して 与え られ ませ ん
覚悟 は いい です か ?
( ヴァイオレット ) 了解 し ました
( 生徒 たち ) あっ …
( ルクリア ) ヴァイオレット ・ エヴァーガーデン
その 子 の 立ち居ふるまい は ―
お 人形 の ような 服装 と は かけ離れた ―
まるで 軍人 さん の ようでした
♪~
~♪
( ローダンセ ) 良き ドール に は ―
話す 言葉 を 書き 写せる だけ の タイプ 速度 が 必要です
では 始めて ください
エヴァーガーデン さん どう し ました ?
( ヴァイオレット ) 速度 の 指定 が あり ませ ん
( ローダンセ ) なるほど
指定 さ れれば 打てる と ?
なら 1 分 200 文字 で
( ヴァイオレット ) 了解 し ました
( ヴァイオレット ) 打ち ます ( ローダンセ ) どうぞ
( 生徒 たち の 話し声 )
( ルクリア ) 何も 食べ ない の ?
任務 中 の 食事 は 最小 限 に する よう 訓練 さ れて おり ます
でも …
よかったら 私 の 食べる ?
結構です
ライデン 出身 の ルクリア さん
私 の 自己 紹介 覚えて た の ?
全員 分 覚えて い ます
( ローダンセ ) 良き ドール が 身 に つける べき 手紙 の 書き 方 に は ―
文法 や 語彙 ―
それ に 多種多様な 手紙 の 形式 も 含ま れる のです
( ローダンセ ) ここ まで ( 生徒 たち ) あー
では 本日 の 成績 を 発表 し ます
( 生徒 たち ) えー ( ローダンセ ) 文法 の 成績 満点
ヴァイオレット ・ エヴァーガーデン
次 語彙 の 成績 満点
ヴァイオレット ・ エヴァーガーデン
( ヴァイオレット ) ただいま 任務 より 帰還 し ました
( エリカ ) 学校 どう だった ?
( アイリス ) 怒ら れた でしょ ?
いえ 怒ら れて は いま せ ん
( ホッジンズ ) お かえり ヴァイオレット ちゃん
社長 本日 の 評価 を
ローダンセ 教官 より 預かって おり ます
うん どれ どれ
お っ 初日 の 評価 は 優秀だ ね
( ベネディクト ) お っ 帰って きた の か
( カトレア ) ハッ ! ( ベネディクト ) フンッ
何 よ ! 男 の くせ に いつまでも
んだ よ ! そっち こそ いつまでも !
何 を して いる のでしょう ?
あの 2 人 いつも あんなふうに ケンカ ばかり して る の
社長 ホント よく あれ で 一緒に ―
この 会社 創立 でき ました ね
( ローダンセ ) 本日 の 授業 は ―
実際 に 手紙 を 代筆 する 訓練 を 行い ます
よろしく ね
お 願い し ます ルクリア さん
で 誰 宛て の 手紙 に する ?
ん ?
私 が 手紙 を 書き たい 相手 ?
あなた が 気持ち を 伝え たい 身近な 人 に すれば よい のです
身近な 人 ?
宛先 は クラウディア ・ ホッジンズ 様 に
クラウディア …
お 友達 ? ご 家族 ?
社長 です
( ヴァイオレット ) 以上 報告 終了 し ます
ヴァイオレット ・ エヴァーガーデン
あっ これ で 終わり ?
( ヴァイオレット ) で は
“ 少佐 より の 新たな 命令 は まだ 届き ませ ん でしょう か ?”
と 付け加えて ください
何だか 手紙 って いう より 報告 書 みたい
今度 は ルクリア さん の 手紙 を どうぞ
あっ うん
えー っと お 兄 …
う うん 両親 宛て に する わ
了解 し ました
えっ と …
お 父さん お 母さん に 今 まで の こと の お 礼 を
ちゃんと 言えて なくて
うーん いざ 手紙 に する と なる と
何 か 言い たい こと が うまく 出て こ ない よ ね
あっ あと 一緒に 行った 場所 の こと
行き たかった 場所 の こと たくさん あり すぎて ―
伝えき れ ない ね
それ じゃあ また 心配 し ないで ね
ルクリア より
ん …
ヴァイオレット 読んで み なさい
( ヴァイオレット ) はい
“ 拝啓 父上 様 母上 様 ”
“ 久々の 手紙 です が 伝達 事項 は あり ませ ん ”
“ 以前 から の 件 に 感謝 を 伝えて い ない こと を ―”
“ 懸念 して おり ます ”
“ 一緒に 行った 場所 行き たかった 場所 に 関して ―”
“ 伝える べき 情報 は なし ”
“ 当方 は 現在 鋭 意 努力 中 ”
“ 状況 は 健康 無事 ”
“ 問題 は 起きて おり ませ ん ”
“ 以上 くれぐれも 憂慮 なき よう ”
“ ルクリア ”
それ で 手紙 に なって いる つもりです か ?
あっ あの …
もしかしたら 私 の 話 が 抽象 的 すぎた の かも …
( ローダンセ ) そういう 問題 で は あり ませ ん
手紙 と は そもそも 人 の 心 を 伝える もの
良き ドール と は 人 が 話して いる 言葉 の 中 から ―
伝え たい 本当の 心 を すくい上げる もの です
ヴァイオレット
あなた は 学科 の 成績 も よくて タイプ も とても 速くて 正確です
けれど あなた の 代筆 した もの は 手紙 と は 呼べ ませ ん
( ヴァイオレット ) 手紙 と は 呼べ ない ?
( ルクリア ) あの もう 一 度 …
( ローダンセ ) 今日 は ここ まで です
では この 手紙 は お互い の 相手 に ―
必ず 渡して ください
( ルクリア ) 今日 は 調子 が 悪かった だけ よ
以前 も 同じ ような こと を 言わ れた こと が あり ます
そう
ねえ この 街 で 一 番 ステキな 景色 教えて あげる
ここ よ
急だ から 気 を つけて
ステキでしょ ?
私 は 子供 の ころ から ずっと ―
この 眺め が 大好きな の
( ギルベルト ) ヴァイオレット
いつか 君 に も ―
ライデン から 見える あの 美しい 景色 を 見て ほしい
( ルクリア ) じゃあ 私 こっち だ から
また ね
( ヴァイオレット ) ルクリア さん ( ルクリア ) あ …
ルクリア で いい わ ヴァイオレット
( 店主 ) もう 早く 帰れよ
( スペンサー ) まあ そう 言う なって
いい だ ろ ?
( ルクリア ) お 兄ちゃん ! また 飲んで た の ?
( スペンサー ) あ ? 飲んで ねえ
( 店主 ) お かえり
こいつ が 飲ま せ ねえ から 飲んで ね …
あっ
( ルクリア ) お 兄ちゃん ! 大丈夫 ?
( スペンサー ) クソッ ! ( ルクリア ) あっ …
ルクリア
あり が と
( ホッジンズ ) ヴァイオレット ちゃん
手紙 を くれる の は うれしい んだ けど
何だか 報告 書 みたいだ ね
( ヴァイオレット ) 教官 に も ―
私 の 代筆 した もの は ―
手紙 と は 呼べ ない と 指摘 さ れ ました
私 は 良き ドール に なれる のでしょう か ?
( ルクリア ) ただいま すぐ ご飯 作る から …
( スペンサー の いびき )
( ルクリア ) お 父さん お 母さん
( ローダンセ ) ブルーベル ・ ユノア ( ブルー ベル ) はい
( ローダンセ ) イベリス ・ コノウエ ( イベリス ) はい
( ローダンセ ) ルクリア ・ モール バラ
ルクリア ・ モール バラ
( ルクリア ) あっ はい
( ローダンセ ) で は 以上 9 名 を 今回 の 卒業 者 と し ます
皆さん が 良き ドール に なり ます ように
( イベリス ) やった ー ! どこ で ドール に なる ?
( ブルー ベル ) 私 は 地元 の 郵便 局
( 生徒 ) 私 は ライデン で 探そう か な
( イベリス ) ルクリア は ? ( ルクリア ) え ?
えっ と 私 は まだ 何も 決まって なくて
( イベリス ) えー ! 成績 トップ の くせ に
( ホッジンズ ) そう か 残念だった ね
( ヴァイオレット ) 申し訳 ございませ ん
大丈夫
卒業 でき なくて も ドール に なれ ない わけじゃ ないし
( ヴァイオレット ) です が ―
それでは 何の ため に 学校 へ 通った のでしょう か ?
確かに 卒業 が すべて で は あり ませ ん が ―
人 が 話して いる 言葉 の 中 から ―
伝え たい 心 を すくい上げ られ ない ので は
ドール の 意味 が あり ませ ん
( ルクリア ) やっぱり ここ に 来る と 思った
( ヴァイオレット ) ルクリア
学校 は 終了 した の に なぜ ここ に いる のです か ?
( ルクリア ) うーん ここ に 来れば ―
また あなた に 会える か なって 思って
ねえ ヴァイオレット
少佐 って 誰 ?
あなた 毎回 手紙 の 最後に
“ 少佐 から の 手紙 は まだ です か ?” って つけて る じゃ ない ?
本当に 手紙 を 書き たい 相手 は その 人 じゃ ない の ?
今日 は その 人 に 手紙 を 書いて み ない ?
いつも の 報告 書 みたいな のじゃ なく って
あなた の 素直な 気持ち を 込めた 手紙 を
最後 まで 付き合う から
( ヴァイオレット ) 少佐 …
( 鐘 の 音 )
ハハハ …
( ヴァイオレット ) すみません
私 は あの 方 に 何 を 伝え たい の か 自分 でも 分から ない のです
私 は まだ
あの 方 が 言って くださった 言葉 の 意味 さえ も ―
理解 して い ない のです から
( ルクリア ) ヴァイオレット は ―
どうして ドール に なり たい と 思った の ?
( ヴァイオレット ) 私 は “ 愛して る ” を 知り たい のです
“ 愛して る ” を 知り たい …
心 を 伝える って 難しい ね
実は ね 私 の 両親 死んじゃ った の
残った 家族 は お 兄ちゃん だけ
私 お 兄ちゃん に 何 を 言えば いい か 分から ない の
戦争 が 始まって ―
お 兄ちゃん は 兵士 と して 戦い に 出た わ
でも 配備 さ れた 西部 戦線 は ほとんど 戦闘 が ない 所 だった
戦い は いつも どこ か 離れた 場所 で 起きて いて ―
私 たち は ずっと ひと 事 の ように 戦争 を 感じて いた の
でも お 父さん と お 母さん が ―
貿易 の 仕事 で ヘルネ に 行った とき …
( ヴァイオレット ) 西部 戦線 が 突破 さ れた のです ね
( ルクリア ) お 父さん も お 母さん も ―
遺品 すら 見つから なかった
そして 戦争 が 終わった わ
( 争う 声 ) お 兄ちゃん は 無事に 帰って きた
私 は お 兄ちゃん だけ でも 生きて くれた こと を 喜び たかった
( 争う 声 ) でも ―
お 兄ちゃん は ヘルネ を 守れ なかった こと を 悔やんで ―
お 父さん と お 母さん が 死んだ の は ―
自分 の せい だ と 思い込んで る
( スペンサー ) ああ っ …
( 男性 ) 二度と 顔 見せ ん な よ
( スペンサー の 叫び声 )
本当 は
本当 は ただ …
生きて て くれる だけ で うれしい の
“ ありがとう ” って 伝え たい だけ な のに !
( 殴る 音 )
( ルクリア ) ずっと
言え ない
( ヴァイオレット ) ルクリア 手紙 を 書き ましょう
あなた の 伝え たい 気持ち を 手紙 に し ましょう
でも お 兄ちゃん に 伝えよう って 考える と ダメな の
今 まで 何度 も 何度 も 伝えよう と した けど ―
でも ダメな の
きっと これ から も
ありがとう ヴァイオレット
少佐 へ の 手紙 は また 今度 ね
( ドア の 開閉 音 )
“ 良き ドール と は ―”
“ 言葉 の 中 から ―”
“ 伝え たい 本当の 心 を すくい上げる もの ”
( ルクリア ) お 兄ちゃん
お 兄ちゃん 待って
( スペンサー ) ほら
ん っ
( ルクリア ) うん
( スペンサー ) 早く こっち
うわ ー !
ホント キレイ !
( スペンサー ) うわ っ !
あ …
う っ !
女 ?
あんた ルクリア の ?
これ は ?
( ヴァイオレット ) 任務 …
いえ 課題 です
いえ 手紙 です
ルクリア から あなた 宛て の
ルクリア から ?
( スペンサー )“ お 兄ちゃん ”
“ 生きて いて くれて ―”
“ うれしい の ”
“ ありがとう ”
( スペンサー の すすり泣き )
( カトレア ) お かえり なさい
ずいぶん 遅かった けど どこ 行って た の ?
( ヴァイオレット ) 学校 です
ところで 社長 は どちら に ?
( ベネディクト ) 組合 の 寄り合い だって よ
つうか お前
学校 もう 終わ っち まったん じゃ なかった っけ ?
はい
ですが 今日 は 手紙 を 書いて き ました
え ?
( ヴァイオレット ) 心 が 伝わった か どう か は 分かり ませ ん が …
そ っか
お 2 人 は ケンカ して いる ので は なかった のです か ?
( カトレア ) ハッ ! そう な の よ この バカ
私 が 代筆 した 手紙 の 上 に 濡 ( ぬ ) れた コップ を 置いた の よ
私 が 代筆 した 手紙 の 上 に 濡 ( ぬ ) れた コップ を 置いた の よ
( ベネディクト ) バカ は どっち だ よ
( ベネディクト ) あんな 所 に 手紙 を 置く お前 が 悪い んだ ろ !
( カトレア ) だ から 何 よ その 言い 方 !
( ベネディクト ) ああ もう ! ( カトレア ) その 態度 !
( 鐘 の 音 )
ヴァイオレット !
( ヴァイオレット ) ルクリア どうした の です か ?
アハッ
おはよう ヴァイオレット
( ヴァイオレット ) 教官 学校 は 終わった はずで は ?
( ルクリア ) ごめん ね 私 が 勝手に お 願い した の
この 手紙 を ルクリア に 見せて もらい ました
あなた が 書いた ルクリア から お 兄さん へ の 手紙 を
( ルクリア ) ずっと 言え なかった お 兄ちゃん へ の 思い
ヴァイオレット あなた が 届けて くれた の よ
( ローダンセ ) 良き ドール と は ―
人 が 話して いる 言葉 の 中 から ―
伝え たい 本当の 心 を すくい上げる もの
あなた は 今 その 一 歩 を 踏み出した のです
ヴァイオレット
あなた が 良き ドール に なり ます ように
ヴァイオレット !
おめでとう !
ルクリア
それ から
本当に ありがとう
( ルクリア ) 時 に 手紙 は ―
たくさんの 美しい 言葉 を 並べる より ―
ひと言 だけ で 大切な 気持ち を 伝える こと が できる のです
私 は ドール に とって 一 番 大切な こと を ―
彼女 に 教わった 気 が し ます
彼女 は お 人形 の ような 服装 で ―
ちょっと 軍人 さん みたいで ―
ちょっと 変わった とって も ステキな 女の子 でした
♪~
~♪