へんな 薬 |くすり

ケイ 氏 の 家 に やってきた 友人 が 言った 。 |うじ||いえ|||ゆうじん||いった |||||arrived|||

「 あなた は 、 薬 を いじる の が 好き です ね 。 ||くすり|||||すき|| いつ 来て も 、 薬 を まぜ合わせたり 熱したり して いる 。 |きて||くすり||まぜあわせたり|ねっしたり|| なに か 、 いい こと が ある の です か 」

「 喜んで 下さい 。 よろこんで|ください gladly| やっと 、 すごい 薬 が できました 。 ||くすり|| これ です よ 」

と 、 ケイ 氏 は 粉 の 入った ビン を 指さした 。 ||うじ||こな||はいった|||ゆびさした 友人 は 、 それ を 見 ながら 聞いた 。 ゆうじん||||み||きいた

「 それ は 、 けっこうでした 。 で 、 なんの 薬 です か 」 ||くすり||

「 カゼ の 薬 です 」 かぜ||くすり|

「 いま まで の に くらべ 、 どんな 点 が すぐれて いる と いう の です か 」 ||||||てん||||||||

「 いま 、 ききめ を ごらん に 入れましょう 」 |||||いれましょう

こう 言い ながら 、 ケイ 氏 は 少し 飲んで みせた 。 |いい|||うじ||すこし|のんで| 友人 は ふしぎ そうだった 。 ゆうじん|||そう だった

「 ききめ を 見せる と いって も 、 あなた は 、 カゼ を ひいて いない でしょう 」 ||みせる||||||かぜ||||

「 いい から 、 見て いて ごらん なさい 」 ||みて|||

まもなく 、 ケイ 氏 は セキ を はじめた 。 ||うじ||せき|| 友人 は 心配 そうに 、 ケイ 氏 の ひたい に 手 を 当てた 。 ゆうじん||しんぱい|そう に||うじ||||て||あてた

「 熱 が ある 。 ねつ|| fever|| これ は 、 どうした こと です 」

「 さわぐ こと は ありません 。 これ は カゼ を なおす 薬 で は なく 、 カゼ ひき に なる 薬 な の です 」 ||かぜ|||くすり||||かぜ||||くすり||| ||||cures||||||||||||

「 ばかばかしい 。 あきれました 。 わたし に カゼ を うつさない よう 、 願います よ 」 ||かぜ||うつさ ない||ねがいます| ||||will not infect|||

「 それ は 大丈夫 です 。 ||だいじょうぶ| まあ 、 もう 少し お 待ち 下さい 」 ||すこし||まち|ください

一 時間 ほど たつ と 、 ケイ 氏 の セキ は おさまり 、 熱 も さがった 。 ひと|じかん|||||うじ||せき|||ねつ|| 友人 は 、 ますます 変な 顔 に なった 。 ゆうじん|||へんな|かお||

「 もう なおった の です か 」

「 つまり です ね 。 この 薬 を 飲む と 、 カゼ を ひいた の と 同じ 外見 に なる の です 。 |くすり||のむ||かぜ|||||おなじ|がいけん|||| 外見 だけ で 、 本人 は 苦しく も なく 、 害 も ありません 。 がいけん|||ほんにん||くるしく|||がい|| そして 、 一 時間 たつ と 、 もと に もどる の です 」 |ひと|じかん|||||||

「 妙な もの を 、 こしらえました ね 。 みょうな|||| しかし 、 こんな 薬 が 、 なに か の 役 に 立つ の です か 」 ||くすり|||||やく||たつ|||

「 もちろん です 。 ずる 休み に 使えます 。 |やすみ||つかえます すなわち 、 いやな 仕事 を し なくて すむ と いう わけでしょう 」 ||しごと|||||||

こう 説明 さ れ 、 友人 は はじめて 感心 した 。 |せつめい|||ゆうじん|||かんしん|

「 なるほど 、 なるほど 。 それ は 便利だ 。 ||べんりだ やり たくない 仕事 を 押しつけられ そうに なった 時 は 、 この 薬 を 飲めば いい の です ね 。 |たく ない|しごと||おしつけられ|そう に||じ|||くすり||のめば|||| すばらしい 。 ぜひ 、 わたし に わけて 下さい 」 ||||ください

「 そら ごらん なさい 。 ほしく なった でしょう 。 いい です と も 、 少し あげましょう 」 ||||すこし|

小さな ビン に 入れて もらい 、 友人 は 喜んで 帰って いった 。 ちいさな|||いれて||ゆうじん||よろこんで|かえって| |bottle||||||||

そして 、 ある 日 、 こんど は ケイ 氏 が 友人 の 家 を おとずれた 。 ||ひ||||うじ||ゆうじん||いえ|| 誕生日 の お 祝い を したい から 、 ぜひ 来て くれ と 、 さそわれた のだ 。 たんじょうび|||いわい|||||きて||||

その 食事 の とちゅう 、 ケイ 氏 は ふいに 顔 を しかめて 言った 。 |しょくじ||||うじ|||かお|||いった

「 きゅうに 腹 が 痛み だした 。 |はら||いたみ| 悪い けれど 、 これ で 失礼 します 」 わるい||||しつれい|

友人 は あわてた が 、 気 が ついた よう に 言った 。 ゆうじん||||き|||||いった

「 からかわ ないで 下さい 。 ||ください わたし の 家 に いる の が 面白くない ので 、 早く 帰りたい と いう のでしょう 。 ||いえ|||||おもしろく ない||はやく|かえりたい||| ゆっくり して いって 下さい よ 」 |||ください|

「 いや 、 本当に 痛む のだ 」 |ほんとうに|いたむ|

ケイ 氏 の 顔 は 青ざめ 、 汗 を 流し 、 ぐったり と した 。 |うじ||かお||あおざめ|あせ||ながし||| しかし 、 友人 は 信用 せず 、 笑い ながら ひきとめた 。 |ゆうじん||しんよう|せ ず|わらい||

「 この あいだ の カゼ 薬 以上 に 、 よく できて います 。 |||かぜ|くすり|いじょう|||| いつも カゼ で は 怪しまれます から 、 たまに は 腹痛 に も ならない と いけません ね 」 |かぜ|||あやしまれます||||ふくつう|||なら ない|||

しかし 、 一 時間 たって も ケイ 氏 は 元気に なら ず 、 苦しみ かた は 、 ひどく なる ばかりだ 。 |ひと|じかん||||うじ||げんきに|||くるしみ||||| ||||||||||||||greatly|| 友人 は やっと 、 これ は 本物 の 病気 かも しれない と 考えて 、 医者 を 呼んだ 。 ゆうじん|||||ほんもの||びょうき||しれ ない||かんがえて|いしゃ||よんだ ||||||||||||||called かけつけて きた 医者 は 、 ケイ 氏 の 手当て を して から 言った 。 ||いしゃ|||うじ||てあて||||いった

「 まにあって よかった 。 もう 少し おくれたら 、 手おくれに なる ところ でした よ 。 |すこし||ておくれに|||| しかし 、 なぜ もっと 早く 連絡 して くれ なかった の です か 」 |||はやく|れんらく||||||

この こと が あって から 、 ケイ 氏 は へんな 薬 を 作る の を やめて しまった 。 ||||||うじ|||くすり||つくる||||